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1. WO2007086392 - POLYMER/METAL COMPOSITE AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME

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[ JA ]
明 細書

ポリマ一一金属複合体及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、ポリマ一一金属複合体及びその製造方法に関し、特に、ポリマー基材 の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させたポリマ一一金属複合体 及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002] 金属や無機塩をポリマー基材に含有させることにより、様々な機能を持たせたポリ マー系複合材料 (ハイブリッド素材)が注目され、広く研究されて、る。

該ポリマー系複合材料の製造方法としては、例えば、フィルム等の成形体の表層部 に、化学的無電解めつき、真空蒸着、スパッタリング等により、金属層を形成する方法 が知られており、実用化されている。し力しながら、これらの方法によると、表面に形 成された金属層が、機械的な摩擦等により脱落して機能低下を生じるという問題や、 均一な金属層を形成するために、被処理基材の形状や面状が制限されるという問題 がある。

[0003] 一方、ポリマー基材中に金属を分布させてなる高分子複合材料としては、例えば、 原料のポリマー中に金属塩等を含有させた後、加熱処理により該金属塩を還元する ことによってポリマー原料中に超微粒子を作製し、この原料を用いて繊維や成形体を 製造する方法 (例えば、特許文献 1参照)や、固体高分子化合物をガラス転移温度 以上において、重金属化合物の蒸気に接触させ、内部に金属クラスターを形成する 方法 (例えば、特許文献 2参照)等が提案されてヽる。

[0004] このように、前記特許文献 1及び 2の方法によると、成形加工工程等における熱履 歴により、金属の分散状態の不均一化や金属の変性を生じることがあるという問題、 さらに、溶融することのできな、原料や耐熱性の低、原料には適用できな、と、う問 題がある。

[0005] したがって、被処理基材の形状に制限が無ぐ溶融等を行うことなく金属イオンを前 記被処理基材の深部にまで拡散させ、前記被処理基材の内部に金属粒子を均一に

析出させることができるポリマ一一金属複合体の製造方法は未だ提供されておらず、 更なる改良開発が望まれているのが現状である。

[0006] 特許文献 1 :特開平 6— 287355号公報

特許文献 2:特開 2000 - 256489号公報

発明の開示

[0007] 本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とす る。

即ち、本発明は、被処理基材の形状に制限が無ぐ前記被処理基材の内部及び 表面の少なくとも一方に、溶融等を行うことなく金属イオンを拡散させ、金属粒子を均 一に析出させることができるポリマ一一金属複合体の製造方法、及び該製造方法に より得られたポリマ一一金属複合体を提供することを目的とする。

[0008] 前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ポリマー基材 (例 えば、フィルム)を、ポリヨウ素イオン (In—:ただし、 nは 3又は 5)を含む溶液に浸漬す ることにより得られたポリヨウ素コンプレックスは、未処理の前記ポリマー基材よりもィ オンや分子の拡散性及び透過性が高、ため、 2次ドープした金属イオンが容易に拡 散し、拡散した前記金属イオンとポリヨウ素イオンとが反応することにより、金属ヨウ化 物コンポジットが形成され、ポリヨウ素イオンを介在した還元反応等により金属粒子が 前記ポリマー基材の内部で生成するという知見を得た。通常、高温条件下でしか観ら れない金属ヨウ化物の分解が、前記ポリヨウ素コンプレックス中においては、室温条 件下においても観られ、前記ポリマー基材の内部に、室温条件下において金属粒子 が析出することは、本発明者らの新たな知見である。また、前記ポリヨウ素コンプレツ タスを金属電極に接触させることにより、金属粒子が前記ポリマー基材表面に析出す ることも見出された。さらに、本発明におけるポリマ一一金属複合体は、抗菌性能を 示すこと、及び偏光素子として利用できることがわ力つた。

[0009] 本発明は、本発明者らによる力かる知見に基づくものであり、前記課題を解決する ための手段は、以下の通りである。即ち、

< 1 > ポリマー基材にヨウ素をドープさせたポリヨウ素コンプレックスを介して、前 記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させることを特

徴とするポリマ一一金属複合体の製造方法である。

< 2> ポリマー基材にヨウ素をドープさせる工程力ポリマー基材を、ポリヨウ素ィ オン及びヨウ素のいずれかを含む溶液中に浸漬することにより行われる前記 < 1 >に 記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

[0010] < 3> 0〜100°Cの温度条件下で行われる前記 < 1 >又は < 2>に記載のポリマ 一一金属複合体の製造方法である。

<4> ポリマー基材が、フィルム、繊維、粉末、ペレット、不織布、多孔質体、織布 、高分子ブレンド、共重合体、及びゲルのいずれかである前記 < 1 >から < 3>のい ずれかに記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

< 5 > ポリマーが、少なくとも親水性基及び極性基の!/、ずれかを有する前記 < 1 >から < 4 >のいずれかに記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

[0011] < 6> ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープしてポリヨウ素コンプレックスを調製する 1次ドープ工程、

前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、金属イオンをドープして金属ヨウ化物コンポジ ットを調製する 2次ドープ工程、及び

前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方に、金属粒子を析出させる析 出工程

を少なくとも含む前記 < 1 >に記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

< 7> 2次ドープ工程が、ポリヨウ素コンプレックスを、金属イオンを含む溶液中に 浸漬することにより行われる前記 < 6 >に記載のポリマ一一金属複合体の製造方法 である。

[0012] < 8> 金属ヨウ化物コンポジットに対し、レーザ光を照射して金属粒子の析出を促 進させる前記 < 6 >又は < 7>に記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

< 9> 金属ヨウ化物コンポジットに対し、電界を印加して金属粒子の析出を促進さ せる前記 < 6 >又は < 7 >に記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

< 10> 金属ヨウ化物コンポジットを、酸素存在下において 150〜300°Cで一定時 間加熱して金属粒子の析出を促進させる前記 < 6 >又は < 7 >に記載のポリマ一一 金属複合体の製造方法である。

[0013] < 11 > 金属イオンが、銀、銅、白金、金、鉄、水銀、コノレト、カドミウム、タンダス テン、チタン、鉛、ビスマス、クロム、ニッケル、亜鉛、モリブデン、マンガン、パラジウム 、及びスズの!、ずれ力から選択される少なくとも 1種の金属イオンである前記 < 6 >か ら < 10 >の、ずれかに記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

< 12> 金属イオンを含む溶液が、金属塩溶液であり、前記金属塩が、金属硝酸 塩、金属硫酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物塩、金属臭化物塩、及び 金属ヨウ化物、並びにそれらの配位化合物の、ずれかである前記 < 6 >からく 11 > のいずれかに記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

[0014] < 13> ポリマー基材力ポリアミド製フィルムであり、

1次ドープ工程が、前記ポリアミド製フィルムを、ヨウ素—ヨウ化カリウム水溶液に浸 漬してポリヨウ素コンプレックスを調製する工程であり、

2次ドープ工程が、前記ポリヨウ素コンプレックスを、硝酸銀水溶液に浸漬してヨウ 化銀コンポジットを調製する工程であり、

析出工程が、前記ポリアミド製フィルム内部に銀粒子を析出させる工程である前記 < 6 >からく 12 >のいずれかに記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

< 14> ヨウ化銀コンポジットが淡黄色であり、 50〜250cm_1の領域におけるラマ ンスペクトルのピーク波数、ピーク強度、及び波形パターン力ヨウ化銀 (Agl)と略同 一である前記 < 13 >に記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

[0015] < 15> 2次ドープ工程において、ドープ開始後のヨウ化銀コンポジットは淡緑色 であり、その後、淡黄色となる前記く 13>又はく 14>に記載のポリマ一—金属複合 体の製造方法である。

< 16> ヨウ化銀コンポジットが無色乃至白色である前記 < 13 >に記載のポリマ 一一金属複合体の製造方法である。

< 17> ポリヨウ素コンプレックスを、 0〜20°Cの硝酸銀水溶液に浸漬する前記く 13 >に記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

[0016] < 18> ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープしてポリヨウ素コンプレックスを調製す るドープ工程、及び

前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、金属電極を接触させることにより前記ポリマ

一基材の表面に、該金属粒子を析出させる析出工程

を少なくとも含む前記 < 1 >に記載のポリマ一一金属複合体の製造方法である。

[0017] < 19 > 前記 < 1 >から < 18 >のいずれかに記載のポリマ一一金属複合体の製 造方法により製造されたことを特徴とするポリマ一一金属複合体である。

< 20> 前記 < 13 >からく 17>のいずれかに記載のポリマ一一金属複合体の製 造方法により製造され、銀粒子がポリアミド製フィルム内部に析出してなることを特徴 とするポリマ一一金属複合体である。

< 21 > 抗菌素材、建材、被服素材、偏光素子、導電性素材、電磁波遮蔽素材、 ガス吸収素材、ガス吸蔵素材、触媒素材、及び金属微粒子形成用铸型素材のいず れかに用いられる前記く 19 >又はく 20>に記載のポリマ一—金属複合体である。

[0018] 本発明によると、従来における問題を解決することができ、被処理基材の形状に制 限が無ぐ前記被処理基材内部及び表面の少なくとも一方に溶融等の極めて高い温 度での処理を行うことなぐ金属粒子を均一に析出させることができるポリマ一一金属 複合体の製造方法、及び該製造方法により得られたポリマ一一金属複合体を提供す ることがでさる。

図面の簡単な説明

[0019] [図 1]図 1は、金属ヨウ化物コンポジットに金属粒子析出を促進するために直流電界 を印加する方法の一例を示す模式図である。

[図 2A]図 2Aは、ポリアミド銀複合体の製造方法における Stage Iのヨウ化銀コン ポジットのラマン分光の解析結果を示すチャートである。

[図 2B]図 2Bは、ポリアミド—銀複合体の製造方法における Stage IIのヨウ化銀コン ポジットのラマン分光の解析結果を示すチャートである。

[図 2C]図 2Cは、ポリアミド—銀複合体の製造方法における Stage ΙΠのヨウ化銀コン ポジットのラマン分光の解析結果を示すチャートである。

[図 2D]図 2Dは、ヨウ化銀のラマン分光の解析結果を示すチャートである。

[図 3]図 3は、実施例 1において測定された X線回折強度の測定結果を示すチャート である。

[図 4]図 4は、実施例 2におヽて測定された X線回折像である。

[図 5]図 5は、実施例 2において測定された X線回折強度の測定結果を示すチャート である。

[図 6]図 6は、実施例 3におヽて測定された X線回折像である。

[図 7]図 7は、図 6から測定した赤道線上の回折強度を示すチャートである。

[図 8]図 8は、実施例 4で得られたポリアミド—銀複合体の外観の写真である。

[図 9A]図 9Aは、実施例 5で得られたポリアミド銀複合体の外観の写真 (表面)であ る。

[図 9B]図 9Bは、実施例 5で得られたポリアミド—銀複合体の外観の写真(断面)であ る。

[図 10A]図 10Aは、実施例 5において測定された X線回折像の edge viewである。

[図 10B]図 10Bは、実施例 5において測定された X線回折像の thru viewである。

[図 11A]図 11Aは、実施例 5において測定された X線回折強度の edge viewの解析 結果を示すチャートである。

[図 11B]図 11Bは、実施例 5において測定された X線回折強度の thru viewの解析 結果を示すチャートである。

[図 12A]図 12Aは、実施例 6で得られたポリアミド—金複合体の写真である。

[図 12B]図 12Bは、実施例 6で得られたポリアミド—金複合体の写真 (還元剤水溶液 浸漬後)である。

[図 13A]図 13Aは、実施例 7で得られたポリアミド一鉄複合体の写真である。

[図 13B]図 13Bは、実施例 7で得られたポリアミド—鉄複合体の写真 (還元剤水溶液 浸漬後)である。

[図 14]図 14は、実施例 10における光学レイアウトを示す図である。

[図 15]図 15は、実施例 10における透過光映像を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

本発明のポリマ一一金属複合体の製造方法は、ポリマー基材にヨウ素をドープさせ たポリヨウ素コンプレックスを介して、前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも 一方に、金属粒子を析出させることを特徴とする。

本発明において好適な実施形態について、以下に説明する。

[1]第一実施形態

(1)ポリマ一一金属複合体の製造方法

第一実施形態では、前記ポリマ一一金属複合体の製造方法は、 1次ドープ工程、 2 次ドープ工程、及び析出工程を少なくとも含み、さらに必要に応じてその他の工程を 含む。

[0021] < 1次ドープ工程 >

前記 1次ドープ工程は、前記ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープ (添加)し、ポリマ 一とポリヨウ素とのコンプレックスを調製する工程である。

前記ポリヨウ素コンプレックスとは、前記ポリマーにポリヨウ素が分散 '吸着し、包含さ れてなるものであり、例えば、前記ポリマーの分子鎖間の水素結合によりポリヨウ素が 包接されてなる構造を有するもの、分子鎖又は側鎖上のアミド基等を配位座としてポ リヨウ素が配位した構造を有するもの、結晶等の分子鎖の凝集によって分子鎖間に 配位座が形成されるもの、単分子鎖であっても分子鎖上の極性基の配列やらせん構 造のピッチ変化によって配位座が形成されるもの等が挙げられる。

[0022] 前記 1次ドープ工程におけるヨウ素のドープ方法としては、前記ポリマー基材がポリ ヨウ素コンプレックスを形成可能な方法である限り、特に制限はなぐ目的に応じて適 宜選択することができ、例えば、前記ポリマー基材を、ポリヨウ素イオン及びヨウ素の V、ずれかを含む溶液中に浸漬する方法、ポリヨウ素イオン及びヨウ素の、ずれかを含 む溶液を噴霧する方法、ヨウ素蒸気に長時間曝露する方法、ヨウ素単体と混合して 溶融 ·成型する方法等が挙げられるが、これらの中でも、前記ポリマー基材を、ポリヨ ゥ素イオン及びヨウ素のヽずれかを含む溶液中に浸漬する方法が好まし、。

[0023] 前記ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液としては、例えば、ヨウ素 ヨウ化カリウム溶液、ヨウ素—ヨウ化アンモ-ゥム溶液、ヨウ素—ヨウ化リチウム溶液、 その他金属イオンのヨウ化物溶液にヨウ素単体を溶解させた溶液、又はヨウ素単体を 溶質とする有機溶媒等が挙げられ、これらの中でもヨウ素ヨウ化カリウム溶液等、 1 価の陽イオンのヨウ化物溶液にヨウ素単体を溶解させた溶液が好ましい。また、前記 溶液の溶媒としては、例えば、水が挙げられ、前記ヨウ素ヨウ化カリウム溶液として は、ヨウ素—ヨウ化カリウム水溶液が挙げられる。

前記ポリヨウ素イオン及びヨウ素のいずれかを含む溶液の濃度としては、 0. 05〜5 . ON力女子ましく、 0. 1〜2. ON力り女子まし!/ヽ。

[0024] ポリマー基材ー

——ポリマ■

前記ポリマーとしては、ヨウ素を包含可能な高分子化合物である限り、特に制限は なぐ目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも親水性基及び極性基の いずれかを有する高分子化合物が好ましぐ例えば、ポリアミド、ポリビュルアルコー ル、セルロース、タンパク質、ポリアクリルアミド、ポリ尿素、ポリアクリロニトリル、及びァ ミロースデンプン等の多糖類等が挙げられる。

前記セルロースとしては、植物由来セルロースが挙げられ、例えば、綿、木質パル プ、レンコン繊維、竹繊維、ケナフ、及び寒天ゲル等が挙げられる。

前記タンパク質としては、動植物由来タンパク質が挙げられ、例えば、蚕糸、羊毛、 ゼラチンゲル、及び DNA等が挙げられる。

これらの中でも、ポリアミド、ポリビュルアルコール、及びセルロース等の親水性のポ リマーが好ましい。

また、前記ポリアミドとしては、例えば、ポリイミドをアルカリ等で部分的に加水分解し て得られるポリアミド (酸)等が挙げられる。

なお、前記ヨウ素を包含可能な高分子化合物とは、前記ヨウ素が内部まで拡散し、 かつ分子内に吸着、又は非共有結合で会合した構造をとりうる高分子化合物を意味 する。

[0025] 基材

前記基材としては、原料であってもよぐ前記原料を成形加工してなる成形体であ つてもよく、例えば、フィルム、繊維、粉末、ペレット、不織布、多孔質体、織布、高分 子ブレンド、共重合体、ゲル等が挙げられる。前記フィルムとしては、例えば、表面に 凹凸を有するエンボスフィルムや、多孔質フィルムであってもよぐ前記繊維としては 、中空糸、多孔化繊維等の特殊加工繊維や、らせん状等の特殊形状の繊維であつ てもよい。

また、前記ポリマー基材は、前記ポリマ一一金属複合体の用途に応じ、適宜その他

の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分としては、特に制限はなぐ目的に応 じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、セラミックス、無機塩類等の無機化合 物、ゴム等の有機材料、及び顔料等が挙げられる。

[0026] < 2次ドープ工程 >

前記 2次ドープ工程は、前記ポリヨウ素コンプレックスに対し、金属イオンをドープ( 添加)し、前記ポリマーと金属ヨウ化物とのコンポジットを調製する工程である。

前記金属ヨウ化物コンポジットとは、前記ポリヨウ素コンプレックス中に、前記金属ィ オンが拡散し、前記ポリヨウ素コンプレックスの構成要素であるポリヨウ素力分離した ヨウ素イオンと、前記金属イオンとが反応して金属ヨウ化物を形成してなるものである

なお、該金属ヨウ化物コンポジットは、同一の金属塩を同一のポリヨウ素コンプレック スにドープした場合においても、前記 1次ドープ工程及び前記 2次ドープ工程におけ る条件 (例えば、ヨウ素のドープ量、金属イオンのドープ量、処理時間、温度履歴、試 料のサイズや形状等)に応じて、外観や特性が異なるものが得られることがある。

[0027] 前記 2次ドープ工程における金属イオンのドープ方法としては、前記ポリヨウ素コン プレックスが、金属ヨウ化物のコンポジットを形成可能な方法である限り、特に制限は なぐ目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ポリヨウ素コンプレックスを 、金属イオンを含む溶液に浸漬する方法、及び金属イオンを含む溶液を噴霧する方 法等が挙げられる力これらの中でも、前記ポリヨウ素コンプレックスを、金属イオンを 含む溶液に浸漬する方法が好まし、。

[0028] 浸漬後又は噴霧後、前記金属ヨウ化物コンポジットを水洗処理することにより前記 2 次ドープ工程を停止することができ、該水洗処理の処理時間により、前記金属ヨウ化 物コンポジット表面の金属イオン濃度を調整することができる。

[0029] 金属イオン

前記金属イオンとしては、特に制限はなぐ目的に応じて適宜選択することができ、 例えば、銀、銅、白金、金、鉄、水銀、コバルト、カドミウム、タングステン、チタン、鉛、 ビスマス、クロム、ニッケル、亜鉛、モリブデン、マンガン、パラジウム、及びスズ等の金 属イオンが挙げられる。

[0030] 前記金属イオンを含む溶液は、金属塩溶液であることが好ましい。

前記金属塩としては、水溶性金属塩であれば特に制限はなぐ目的に応じて適宜 選択することができるが、沈殿を生じないものが好ましぐ例えば、金属硝酸塩、金属 硫酸塩、金属酢酸塩、金属炭酸塩、金属塩化物塩、金属臭化物塩、及び金属ヨウ化 物、並びにそれらの配位ィ匕合物等が挙げられる。

[0031] 前記金属塩は、水溶液として前記ポリヨウ素コンプレックスにドープされることが好ま しい。前記金属塩の水溶液の濃度としては、 0. 05〜14M (mol/L)が好ましぐ 0. 1

〜10Mがより好ましい。

[0032] <金属粒子の析出工程 >

前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも一方における金属粒子の析出は、 前記金属ヨウ化物コンポジットにおいて、該金属ヨウ化物コンポジットからのヨウ素ィォ ンの放出 (揮発乃至酸化)が進行し、前記金属ヨウ化物が分解されることにより進行 する。

金属ヨウ化物は、通常、室温におけるイオン伝導性が極めて低ぐ高温条件下 (例 えば、ヨウ化銀の場合、約 150°C以上)でなければイオン伝導が誘起されることはな いが、前記金属ヨウ化物コンポジットを形成した場合は、転移点まで昇温することなく 、室温においても比較的容易にイオンの伝導や拡散が生じる。このため、前記金属ョ ゥ化物コンポジットは、例えば、室温条件下 (例えば、 5〜30°C)に静置することにより 、ヨウ素イオンが放出され、前記金属粒子が析出する。

[0033] 前記金属粒子の析出を促進させる方法としては、前記金属ヨウ化物コンポジットに 対し、例えば、レーザ光を照射する方法、電界を印加する方法、酸素存在下で加熱 する方法、紫外光を照射する方法等が挙げられ、これらの方法は、単独で、又は適 宜組合せて行うことができる。

[0034] 前記レーザ光を照射する方法としては、前記ポリマー基材が分解しな、範囲で照 射が行われる限り、特に制限はなぐ波長、エネルギー量、及び照射時間等を適宜 選択することができる。

[0035] 前記電界を印加する方法としては、特に制限はなぐ目的に応じて適宜選択するこ とができる力例えば、図 1に示すように、前記基材 10がフィルムの場合、マイ力等の 絶縁材 13で絶縁した陰極 11及び陽極 12の間に前記基材を挟むように設置し、電場 を印加する方法等が挙げられる。なお、電界の印加は、湿潤環境下で行うことができ る。

[0036] 前記酸素存在下で加熱する方法としては、前記金属ヨウ化物コンポジットを酸素存 在下において 150〜300°Cで一定時間加熱する方法であり、前記金属ヨウ化物コン ポジットは、過剰量の金属イオンがドープされていることが好ましぐそのような前記ョ ゥ化物コンポジットとしては、例えば、 2次ドープ後の水洗時間を短縮する等して調製 することができる。前記加熱温度は、 170〜260°Cが好ましぐ 220〜250°Cがより好 ましい。

[0037] くその他の工程 >

前記その他の工程としては、特に制限はなぐ公知の工程力も適宜選択することが でき、前記ホスト高分子基材が成形体である場合、例えば、表面処理工程、端面処 理工程等が挙げられ、前記ホスト高分子基材が原料である場合、例えば、成形工程 、結晶化度制御、分子量制御、ブレンドによる異性化、架橋反応による粘性制御、紡 糸工程、一軸又は二軸の延伸処理、熱処理、溶媒等による膨潤処理等が挙げられる

[0038] 前記ポリマ一一金属複合体の用途に応じ、適宜その他の成分を添加する工程等が 挙げられる。前記その他の成分としては、特に制限はなぐ目的に応じて適宜選択す ることができ、例えば、ガラス、セラミックス、無機塩類等の無機化合物、親水性やヨウ 素親和性の異なる異種高分子、ゴム等の有機材料、及び顔料、染料等の着色剤等 が挙げられる。

[0039] 本発明のポリマ一一金属複合体の製造方法は、被処理基材の形状に制限が無ぐ 溶融等の極めて高、温度での処理を行うことなく、金属イオンを前記被処理基材の 深部にまで拡散させ、金属粒子を均一に析出させることができるため、各種機能性素 材の調製、及び各種成形品に抗菌性や偏光性、導電性等の各種機能を付加する方 法として好適に用いることができる。

[0040] (2)ポリマ一一金属複合体

本発明の第一実施形態におけるポリマ一一金属複合体の製造方法により得られた

本発明のポリマ一一金属複合体は、前記ポリマー基材の内部及び表面の少なくとも 一方に、前記金属粒子が析出してなる。

前記金属粒子の析出は、例えば、広角 X線回折 (WAXD)を用い、金属粒子(単体 金属)からの反射を検出することにより確認することができる。

[0041] 前記ポリマ一一金属複合体は、前記ポリマー基材及び前記金属粒子との組合せに 応じ、各種機能性材料として用いることができ、例えば、抗菌素材、建材、被服素材、 導電性素材、電磁波遮蔽素材、ガス吸収素材、ガス吸蔵素材、触媒素材、及び金属 微粒子形成用铸型素材等として用いることができる。

具体的には、各種サニタリー用品、ペット用品、容器、包装材、文具、建築内装材、 建築外装材、車両等の部材ゃ内外装材、服飾製品、電子機器、電気機器、電池、半 導体、高透過度の光学偏光材料、環境応答センサー、フィルム状導線、及び多孔質 状の触媒フィルター、特定の気体分子の吸着剤、並びにこれらの原料として用いるこ とがでさる。

[0042] (3)ポリアミド銀複合体の製造方法

本発明のポリマ一一金属複合体の製造方法は、ポリアミド (例えば、ポリアミド 6)製 の基材に好適に使用することができる。以下、本発明のポリマ一一金属複合体の製 造方法を用いたポリアミド製フィルム内部に銀粒子が析出してなるポリアミド銀複合 体の製造方法の一例について説明する。

[0043] <ポリヨウ素コンプレックスの調製(1次ドープ工程) >

前記ポリヨウ素コンプレックスは、前記 1次ドープ工程として、前記ポリアミド力もなる フィルム状、繊維状、又は多孔質体の基材に対し、ヨウ素をドープ (添加)して調製す ることがでさる。

例えば、前記ポリアミドからなるフィルム状基材 (ポリアミド製フィルム)としては、前記 ポリアミドのペレット等を用いて適宜成形してなる無延伸フィルム、及び成形後延伸し てなる二軸延伸フィルムの!/、ずれであってもよ!/、。

[0044] 前記ポリアミド製フィルムの厚みとしては、特に制限はなぐ目的に応じて適宜選択 することができるが、工程の効率化の観点から、 0. 02〜: LOmmが好ましぐ 0. 1〜0 . 5mmがより好ましい。

なお、前記ポリアミド製フィルムは、前記 1次ドープを行う前に、真空中で熱処理す ることにより、合成時の溶媒や吸湿成分を低減させ、同時に結晶性を高めることもで きる。

[0045] 前記ポリヨウ素コンプレックスは、例えば、前記ポリアミド製フィルムを、 0. 1〜3Nの ヨウ素一ヨウ化カリウム水溶液中に、 1秒以上浸漬することにより調製することができる 。浸漬時間は、ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液の濃度に応じて適宜選択することが出 来、例えば、ヨウ素ヨウ化カリウム水溶液が 0. 8N以上であれば、前記浸漬時間と しては 1秒〜 1時間が好ましぐ 0. 1Nであれば、前記浸漬時間としては 1〜2週間が 好ましい。

[0046] 得られた前記ポリヨウ素コンプレックスは、次、で行う 2次ドープ工程にお!、て、揮 発成分による影響を低減させる目的で、乾燥処理を行うことが好ましい。

前記乾燥処理としては、例えば、真空乾燥、又は大気圧下でシリカゲルを用いる方 法が挙げられる。

前記乾燥処理時間としては、真空乾燥の場合には 24時間〜 1週間が好ましぐシリ 力ゲルを用いた乾燥処理の場合には 1ヶ月以上が好ましい。

[0047] <ヨウ化銀コンポジットの調製(2次ドープ工程) >

前記ヨウ化銀コンポジットは、前記 2次ドープ工程として、前記ポリヨウ素コンプレック スに対し、硝酸銀をドープ (添加)して調製することができる。

[0048] 前記ヨウ化銀コンポジットは、前記ポリヨウ素コンプレックスを、 0. 1〜: LOMの硝酸 銀水溶液中に、 1分〜 12時間浸漬することにより調製することができる。

なお、前記ヨウ化銀コンポジットとしては、前記硝酸銀水溶液の濃度及び温度、並 びに前記硝酸銀水溶液への浸漬時間に応じて、外観や特性の異なる複数の態様の ヨウ化銀コンポジットが得られる。

なお、ヨウ化銀コンポジットの水洗処理を簡略ィ匕することにより、表面の銀イオンの 濃度を高く維持することができ、加熱により銀粒子の析出を促進する場合に有利であ る。

[0049] ヨウ化銀コンポジットの態様

前記ヨウ化銀コンポジットの態様としては、例えば、下記 Stage I、 Stage II、及び Stage IIIの 3種の態様が挙げられる力これらに限定されるものではない。また、こ れらの態様は、互いに遷移状態にあってもよぐ複数の態様が混成してなるものであ つてもよい。

[0050] —— Stage I——

前記 Stage Iのヨウ化銀コンポジットは、前記 2次ドープ工程の初期(例えば、前記 硝酸銀水溶液に浸漬後数分後から)において観られる態様であり、外観は淡緑色で ある。

該 Stage Iのヨウ化銀コンポジットは、ヨウ素単体の析出や昇華が活発な状態であ る(図 2A参照)。

[0051] —— Stage II——

前記 Stage IIのヨウ化銀コンポジットは、淡黄色であり、該ヨウ化銀コンポジットの 5 0〜250cm_1の領域におけるラマンスペクトルのピーク波数、ピーク強度、及び波形 ノターンは、銀イオンとヨウ素イオンとが通常の反応で生成するヨウ化銀 (Agl)と略同 一である(図 2B参照)。すなわち、 Stage IIは、通常のヨウ化銀が分散した形であり 、比較的に安定な態様である。

[0052] —— Stage III——

前記 Stage ΠΙのヨウ化銀コンポジットは、無色乃至白色であり、該ヨウ化銀コンポ ジットの 50〜250cm_1の領域におけるラマンスペクトルのピーク位置は、銀イオンと ヨウ素イオンとが通常の反応で生成するヨウ化銀 (Agl)と略同一であるが、強度が異 なり、さらに、前記ヨウ化銀及び前記 Stage Πでは現れていないピークを有する(図 2 C参照)。

前記 Stage IIIは、前記ポリヨウ素コンプレックスを高濃度のヨウ化銀水溶液に浸漬 した場合、長時間浸潰した場合に観られる態様である(図 2D参照)。

[0053] く銀粒子の析出工程 >

前記ポリアミド製フィルムの内部における銀粒子の析出は、前記ヨウ化銀コンポジッ トにおいて、該ヨウ化銀コンポジットからのヨウ素イオンの放出 (揮発乃至酸化)と銀ィ オンの還元反応が進行することにより生じ、前記ヨウ化銀コンポジットを放置すること により進行するが、前記銀粒子の析出を促進するために、前記ヨウ化銀コンポジット

に対し、例えば、レーザ光を照射する方法、電界を印加する方法、酸素存在下でカロ 熱する方法、紫外光を照射する方法等を適用してもよい。

また、前記銀粒子の析出を促進する方法としては、前記ヨウ化銀コンポジットの調製 にお、て、 0〜20°Cの硝酸銀溶液を用いる方法を適用してもよ!、。

なお、前記銀粒子は、均一な銀粒子層として析出されることが好ましぐ上記これら の方法を用いることにより、前記銀粒子層の形成が容易となる。

前記銀粒子の析出方法としては、上記の方法を単独で、又は適宜組合せて行うこ とがでさる。

[0054] また、前記電界を印加する方法にぉ、ては、例えば、電界強度、電極形状、印加 時間等を制御することにより、析出する銀粒子の分布や粒径を制御することもできる。 更に、前記フィルムの一方の面に銀粒子を集中して析出させて導体とし、他方の面 をヨウ化銀に富む常温における半導体とした機能性材料等を調製することもできる。

[0055] 前記ポリアミド銀複合体が得られたことは、前記銀粒子層が表面に近い領域で形 成された場合には、肉眼で色調の変化 (例えば、銀色化、灰色化、黒色化)を観察す ることにより確認することができる。一方、前記ポリアミド製フィルムの内部に析出した 銀粒子乃至銀粒子層は、断面の顕微鏡観察等により観察することができ、銀粒子の 存在は、広角 X線回折等により観察することができる。

[0056] (4)ポリアミド銀複合体

前記ポリアミド—銀複合体は、抗菌性素材、建材、電子材料、容器 ·包装材料等に 好適に使用することができる。

[0057] [2]第二実施形態

(1)ポリマ一一金属複合体の製造方法

第二実施形態では、前記ポリマ一一金属複合体の製造方法は、ドープ工程、及び 析出工程を少なくとも含み、さらに必要に応じてその他の工程を含む。

[0058] <ドープ工程 >

前記ドープ工程は、前記ポリマー基材に対し、ヨウ素をドープ (添加)し、ポリマーと ポリヨウ素とのコンプレックスを調製する工程である。

前記ドープ工程におけるヨウ素のドープ方法としては、前記第一実施形態における 1次ドープ工程と同様に行うことができる。

[0059] <金属粒子の析出工程 >

前記ポリマー基材の表面及び内部の少なくとも一方における金属粒子の析出は、 前記ポリヨウ素コンプレックスを金属電極に接触させることにより、達成される。

ポリヨウ素コンプレックスは通常の親水性高分子よりもイオンや分子の拡散や透過 が活性ィ匕されている。このため、コンプレックス中に存在するイオンは外部電場によつ て電気泳動し、イオン伝導としての導電性が観測される。ここで、金属電極を直接接 触させることで、ポリヨウ素コンプレックスを電解質とした電気分解が行われる。ポリヨ ゥ素コンプレックスに接触させる電極板を適宜選択することによって、電極板金属の 腐食からイオン化が進行し、高分子素材表面及び内部の少なくとも一方に金属元素 を拡散させることが可能となる。

[0060] くその他の工程 >

前記その他の工程としては、特に制限はなぐ前記第一実施形態におけるその他 の工程と同様に、公知の工程力も適宜選択することができる。

[0061] (2)ポリマ一一金属複合体

本発明の第二実施形態におけるポリマ一一金属複合体の製造方法により得られた 本発明のポリマ一一金属複合体は、前記ポリマー基材の表面及び内部の少なくとも 一方に、前記金属粒子又は錯体を含む金属化合物が析出してなる。

前記金属粒子又は錯体を含む金属化合物の析出は、肉眼でも観察できるが、例え ば、広角 X線回折 (WAXD)を用い、金属粒子(単体金属)からの反射を検出すること により確認することができる。

実施例

[0062] 以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定され るものではない。

(実施例 1)ポリアミド銀複合体の製造

くポリマー基材の調製 >

前記ポリマー基材として、膜厚 0. 1mmのポリアミド製フィルム (市販品、商品名:レ ィファン、東レ (株)製)を、 10 X 30mmの大きさに切出し、これを真空中で、 210°Cに て 48時間処理した。

[0063] < 1次ドープ工程 >

前記ポリアミド製フィルムを、 0. 8Nのヨウ素—ヨウ化カリウム水溶液 3mL中に 1時間 浸漬し、ポリヨウ素コンプレックスを調製した。なお、浸漬は、 25°Cの温度条件下にて 行った。

前記ポリヨウ素コンプレックスを形成した前記ポリアミド製フィルムを、前記ヨウ素—ョ ゥ化カリウム水溶液中から取り出した後、十分な量のシリカゲルと共に密閉して 25°C で 3ヶ月以上乾燥させた。

なお、前記乾燥に要する時間は、 3日間以上真空条件下で脱気処理することにより 短縮することができる。

[0064] < 2次ドープ工程 >

前記ポリヨウ素コンプレックスを形成した前記ポリアミド製フィルムを、 8°Cの 1M硝酸 銀水溶液 3mL中に 4時間浸漬し、ヨウ化銀コンポジットを調製した。なお、浸漬は、水 溶液注入後は 25°Cの温度条件下にて行った。

[0065] <銀粒子の析出 >

前記ヨウ化銀コンポジットを前記硝酸銀水溶液力取り出し、温度 25°Cの環境下で 1ヶ月以上時間静置し、ポリアミド—銀複合体を得た。得られた前記ポリアミド—銀複 合体は、外観が灰色化し、銀粒子が析出していることが予想された。

前記ポリアミド銀複合体を切断し、断面を観察したところ、表層に近い領域に灰 色の層が形成されていた。

また、前記ポリアミド—銀複合体に対し、広角 X線回折により銀粒子による反射の有 無を調べたところ、 X線が前記フィルム面に平行に入射する配置(edge view)にお Vヽて観測された力 X線が前記フィルム面に垂直に入射する配置 (thru view)にお いては、観測されな力た。このことから、前記ポリアミド製フィルム内部に銀粒子が 析出し、該銀粒子は、フィルム表面付近に銀粒子層を形成していることがわ力つた。 結果を図 3に示す。

[0066] (実施例 2)

実施例 1と同様にして、 1次ドープ工程を行い、ポリアミド製フィルムにポリヨウ素コン プレックスを形成した。前記 2次ドープ工程として、前記ポリヨウ素コンプレックスを形 成した前記ポリアミド製フィルムを、 25°Cの 1M硝酸銀水溶液 3mL中に 4時間浸漬し 、ヨウ化銀コンポジットを調製した。なお、浸漬は、水溶液注入後は 25°Cの温度条件 下にて行った。

なお、得られたヨウ化銀コンポジットは、 Stage IIであると観察された。

[0067] <銀粒子の析出 (湿潤条件下での電界の印力!]) >

図 1に示すように、マイ力で絶縁した陰極と陽極で前記ヨウ化銀コンポジットを挟む ように配置し、相対湿度 80%以上の環境下にて、 1. 2〜1. 5 X 103VZmの直流電 界を印加した。前記ヨウ化銀コンポジットは、陽極上のマイ力表面にテープで固定し、 陰極との間に約 2mmの空隙を設けて設置した。

直流電界を印加後、 30日間経過後、前記ヨウ化銀コンポジットを取り出し、広角 X 線回折像及び強度プロファイルを測定したところ、銀粒子の析出が観測され、ポリアミ ド一銀複合体が得られたことがわ力つた。広角 X線回折像を図 4に、強度プロファイル 図 5に示す。

[0068] (実施例 3)

前記ヨウ化銀コンポジットに対し、下記の方法によりレーザ光を照射することにより銀 粒子を析出させたこと以外は、実施例 2と同様にして、ポリアミド—銀複合体を調製し た。

<銀粒子の析出(レーザ光の照射) >

前記 Stage IIのヨウ化銀コンポジットに対し、出力約 50mWの Arレーザを、集光 せずに照射した。照射開始力も 10分後、照射領域が灰色に変色し、銀粒子の析出 が予想された。照射を 120分行った後、照射領域を広角 X線解析で観測したところ、 銀粒子の反射が測定された。結果を図 6に示す。

また、該領域の断面を、光学顕微鏡により観察したところ、フィルムの内部の深い領 域にも銀粒子の析出を示す灰色の変色が観られ、銀粒子の析出による変色であるこ とが、図 6の赤道線上の回折強度の解析結果力も明らかとなった。該赤道線上の回 折強度の解析結果を、図 7に示す。

[0069] (実施例 4)

前記ヨウ化銀コンポジットに対し、下記の方法により酸素存在下で加熱することによ り銀粒子を析出させたこと以外は、実施例 2と同様にして、ポリアミド—銀複合体を調 製した。

<銀粒子の析出 (加熱) >

前記 Stage IIのヨウ化銀コンポジットは、 2次ドープ後の水洗処理を簡略化し、銀 イオンの濃度をヨウ素イオンの濃度よりも高めたものを用いた。

該ヨウ化銀コンポジットを、空気中で室温から 220〜250°Cの範囲になるまで加熱 した。

加熱後、表面に金属光沢が現れ、銀粒子が表面付近に均一に析出したことが予想 された。結果を図 8に示す。

[0070] (実施例 5)

前記ヨウ化銀コンポジットに対し、下記の方法により電界を印加すること以外は、実 施例 2と同様にして、ポリアミド—銀複合体を調製した。

<銀粒子の析出 (乾燥条件下での電界の印力!]) >

白金陰極と銅陽極で前記 Stage IIのヨウ化銀コンポジットを挟むように配置し、 4〜 7Vの直流電流を通電した。

直流電流を通電後、数十分から 1時間程度で、陰極側(図 9A左側)から黒変部が 榭状に拡大し始めた(図 9A参照)。この「黒変」はポリマー基材の表面に生じた(図 9 B参照)。前記ヨウ化銀コンポジットを取り出し、広角 X線回折像及び強度プロファイル にて測定したところ、銀粒子の析出が観測され、ポリアミド—銀複合体が得られたこと がわかった。広角 X線回折像を図 10に、強度プロファイル図 11に示す。

フィルム面に平行に入射する配置(edge view)においては、銀粒子によると見ら れる反射 (d= 2. 36 A、 Ag (111) )が観測された力フィルム面に垂直に入射する 配置(thru view)においては、これが観察されなかった。このことから、「表面付近 の構造」(黒変部)による回折であることがわかる。

[0071] (実施例 6)

くポリマー基材の調製 >

前記ポリマー基材として、膜厚 0. 1mmのポリアミド製フィルム (市販品、商品名:ナ ィロン 6)を、 10 X 30mmの大きさに切出し、これを真空中で、 210°Cにて 48時間処 理した。

[0072] <ドープ工程 >

前記ポリアミド製フィルムを、 0. 8Nのヨウ素—ヨウ化カリウム水溶液 3mL中に 1時間 浸漬し、ポリヨウ素コンプレックスを調製した。なお、浸漬は、 25°Cの温度条件下にて 行った。

前記ポリヨウ素コンプレックスを形成した前記ポリアミド製フィルムを、前記ヨウ素—ョ ゥ化カリウム水溶液中から取り出した後、十分な量のシリカゲルと共に密閉して 25°C で 3ヶ月以上乾燥させた。

[0073] 金属金 Auを電極として、前記ヨウ化銀コンポジットに、相対湿度 80%以上の環境 下にて、 10Vの直流電流を通電した。直流電流を通電後、 10日間経過後、金属金 粒子が陰極 (金)側(図 12A左側)力も析出成長した (図 12A参照)。一般的な水溶 液やゲルに対する電気分解の場合には陽極板の金属が(陽)イオン化されて電解質 に拡散してゆくのに対して、ヨウ素コンプレックスを電解質として利用した上記の電気 分解の場合には陽極板よりも陰極板の電極板金素材がヨウ素コンプレックス中に溶 解'拡散している。このこと力、陰極の金表面力溶出した Au3+が、錯イオン [Aul 4 ]

—として分散した後に、陰極で還元されて単体 Au(c>)になっていることが予想される。

[0074] さらに通電後の試料を還元剤水溶液 (チォ硫酸ナトリウム水溶液)に浸したところ、 表面析出した金光沢が明確になっただけでなぐ極板間部分が黒色域として残った( 図 12B)。このことから、この「極板間黒色部」はヨウ素の包接構造とは異なる、金属ィ オンとの化合物 (又は錯体)としてポリマー中に分散 '析出したものと考えられる。

[0075] (実施例 7)

上記実施例 6において、金電極の代わりに鉄電極を用いて、同様に直流電流を通 電し、ポリアミド—鉄化合物複合体を調製した。

貴金属でありヨウ素との錯体 [Aul 4 Γを作る可能性がある金だけでなぐ卑金属で ある鉄を極板とした場合も、類似の結果が得られた。すなわち、試料の内部又は表面 に金属元素が残留し、陰電極の腐食が確認された(図 13A)。

[0076] また、通電後の試料を還元剤水溶液 (チォ硫酸ナトリウム水溶液)に浸したところ、 極板間部分が黒色域として残った(図 13B)。このことから、この「極板間黒色部」はョ ゥ素の包接構造とは異なる、金属イオンとの化合物 (又は錯体)としてポリマー中に分 散'析出したものと考えられる。

また電極による電場印加をフィルムの厚み方向にかけることで、更にフィルム内部へ の金属イオン注入や析出を図ることも可能であると予想される。

[0077] (実施例 8)

実施例 1で得られたポリアミド—銀複合体 (フィルム)の抗菌作用を以下の方法によ り評価した。

無菌環境下で、寒天培地を充填したシャーレに、前記ポリアミド—銀複合体 (フィル ム)を投入したものを調製し、 A. niger (黒カビ)を含む排水溝の汚垢を採取し、これ を精製水に懸濁した後 1時間経過した液を接種した。前記各シャーレを 37°Cの環境 下で 24時間放置し、菌数を測定した。

この結果、前記ポリアミド—銀複合体 (フィルム)を投入したシャーレ中の黒力ビの増 殖は抑制されていた。

[0078] (実施例 9)ポリアミドヨウ化銀複合体の抗菌性評価

ポリマー基材として、ポリアミド製メッシュ(市販品、ナイロン 6メッシュ)を、 30 X 50m mの大きさに切出した。実施例 1の 1次ドープ工程及び 2次ドープ工程と同様にして、 上記ポリアミド製メッシュを 0. 3N又は 0. 03Nのヨウ素—ヨウ化カリウム水溶液中に 1 分間浸漬し、ポリヨウ素コンプレックスを形成させた後、軽く純水で洗浄してから、直ち に硝酸銀水溶液中に 4分間浸漬し、ヨウ化銀導入ポリアミドコンポジットを調製した。

[表 1]


この試料の抗菌性を JIS L 1902「繊維製品の抗菌試験方法」に準拠して評価し た。

試料に接種した初期の菌濃度と、基材であるヨウ化銀を含まな、ナイロン 6メッシュ

に対する培養後の菌濃度 (コントロール)を表 2に示す。これらの数値は単位体積あ たりに存在する菌体が形成するコロニー数を表しており、単位は CFUZmL (コ口- 一形成単位)である。

[表 2]


[0080] 表 3に各実施例における抗菌試験の結果を示す。

[表 3]


[0081] 実施例 9 1〜9 3では、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、緑膿菌のいずれも、ほとん ど死滅しており、強い抗菌性を有することが分力つた。実施例 9—4では、ナイロン 6 中に形成されるヨウ化銀の量が小さいため、黄色ブドウ球菌、ならびに肺炎桿菌に対 しては抗菌効果がやや低、が、緑膿菌に対し高、抗菌性を示した。

[0082] (実施例 10) Stage IIIのヨウ化銀コンポジットの光学偏光実験

液晶デバイス等に最も一般的に使われている安価な偏光素子は PVAにポリヨウ素 をドープしたものである。このようなヨウ素ドープ偏光フィルムは、ポリヨウ素イオンの発 色による光吸収が生じるため、偏光性能の向上と吸光度の低減 (透過光強度の向上 )とは二律背反の関係にある。これに対して、本発明における上記 Stage ΙΠの金属 ヨウ化物コンポジットは、(ポリ)ヨウ素イオンや金属イオンを内包するにもかかわらず 無色又は白色であるために光透過性が高いと考えられる。そのため、光透過性の高 V、偏光素子が実現できるのではな、かと考えた。

[0083] 巿販ナイロンフィルムをベースに、以下のような手順にて、 Stage ΙΠのコンポジット を調整した。ヨウ素ドープ(1次ドープ)及び金属イオンの 2次ドープの前後、又は両プ ロセス間において材料に延伸操作を施すことで、配向した Stage ΙΠコンポジットを 調整することができる。なお、処理は全て室温下で行った。

基材:ナイロン 6フィルム(TORAY Rayfan # 1401、 O. lmm)

実施例:ヨウ素による 1次ドープ (0. 2N I 2 KI水溶液)→延伸(延伸比 3)→硝酸 銀による 2次ドープ(2. OMの硝酸銀水溶液)

比較例:延伸のみ (延伸比 3)

[0084] 光学レイアウトを図 14に示す。

光源 (He— Neレーザー、 15mW) →強度調整用アツテネータ→偏光子(固 定)→試料(normal又は parallel) →分析器(0° 〜90° ) → CCDカメラ( 1024 X 484ピクセル)

normal:各試料の延伸方向と偏光子の偏光方向が直交。

parallel:各試料の延伸方向と偏光子の偏光方向が平行。

各試料を円形窓(直径約 5mm)にはり付けた状態で CCDカメラで透過光映像を測 定した。このデータ(10ビット(21C>) X 1024 X 484ピクセル〜 900KB)をビットマップ ファイルィ匕した後に、試料窓付近(30 X 30ピクセル)のみを拡大及びトリミングした。

[0085] 各角度における透過光映像を図 15に示す。

「2次ドープ」のための条件を適当に選択することで得られた Stage ΙΠのコンポジ ットにおいては、入射光の直線偏光に対して透過強度が変化することから、偏光素子 としての機能性が確認された。具体的には入射側偏光子の偏光面に対して、試料延 伸方向を垂直に配置した場合 (normal)に透過光強度がより強く観測されたのに対

して、平行に配置した場合 (parallel)の透過光強度が相対的に減少することが確認 された。このことは金属化合物を内包するコンポジットとして、延伸による分子鎖配向 に対して垂直な偏光成分を多く透過し、平行な成分に強度減少を生じてヽることを意 味する。

産業上の利用可能性

本発明のポリマ一一金属複合体の製造方法は、被処理基材の形状に制限が無ぐ 溶融等を行うことなぐ金属イオンを前記被処理基材の深部にまで拡散させ、金属粒 子を均一に析出させることができるため、各種機能性素材の調製や、各種成形品に 対し抗菌性や偏光性、導電性等の各種機能を付加する方法として好適に使用するこ とがでさる。