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1. WO2007026880 - HYDROGEN STORAGE DEVICE

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[ JA ]
明 細書

水素貯蔵装置

技術分野

[0001] 本発明は、水素貯蔵装置に関し、詳しくは、水素を吸着して貯蔵するのに好適な水 素貯蔵装置に関する。

背景技術

[0002] 近年、水素を燃料として用いる燃料電池やエンジン等が実用化されており、これら 燃料電池やエンジン等に供給するための水素を吸蔵もしくは貯蔵する方法や装置等 に関する検討が広く行なわれて、る。

[0003] 従来、水素の貯蔵方法として、例えば、水素に圧力をカ卩えて高圧水素ボンベに水 素を貯蔵する方法や、冷却して液化された液体水素をボンべ等の低温容器に貯蔵 する方法などが知られて、る。

[0004] 液体水素の形態で蓄える場合、低温容器と潜熱で貯蔵して、る。したがって、時間 の経過に伴なつて外部からの熱の進入により徐々に蒸発し、実使用に見合う長期保 存が不可能で、燃料としての実用性に乏し力つた。また、蒸発後の水素ガスは、早期 に外部に放出せざるを得ず、利用効率の点でも液体水素を燃料として使用すること は難し力つた。

[0005] 上記以外に、活性炭やカーボンナノチューブなどの炭素材料を用いて水素を貯蔵 する技術も知られている。例えば、活性炭の粒に酸ィ匕鉄等の磁性体を担持または接 触させて活性炭に吸着させる水素ガス貯蔵方法に関する開示がある(例えば、特許 文献 1参照)。ここでは、オルソ水素力低温で安定なパラ水素への変換を促進する ために、活性炭に触媒として磁性体を担持等して液ィ匕することが記載されている。

[0006] 水素には一般に、スピン間の角運動量の違いに基づくパラ水素とオルソ水素とがあ り、常温ではオルソ水素とパラ水素とは 3 : 1の比率で存在している。低温下ではパラ 水素の方がエネルギーが低いため、全てがパラ水素となる。この変換速度は遅いが、 冷却によりオルソーパラ変換が可能であり、逆に低温では変換速度は遅いものの、パ ラ—オルソ変換も可能である。

特許文献 1 :特開 2001— 12693号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0007] しカゝしながら、実際には、水素貯蔵装置を炭素系材料を用いて構成した場合には、 装置 (タンク)内に磁性体を混入させると、タンク内の炭素系材料の容積が相対的に 減ってしまうため、水素吸蔵量の向上には限界がある。また、タンク入口に磁性体を 配置し、炭素系材料の飛散を抑制するためにフィルタを設けようとすると、フィルタと 磁性体とがガスの出入りの圧損となってしまう。

[0008] また更に、オルソ—パラ変換が起きると変換熱が発生し、この変換熱により液体状 態にある水素は再び気化してしま、、例えばカーボンファイバー等を用 V、て薄厚に 形成されたタンクで長期間水素を保持することは実質上困難となる。

[0009] 本発明は、上記に鑑みなされたものであり、タンクの水素流通口における圧損の増 大を伴なわず、多量の水素を長期間貯蔵することができる水素貯蔵装置を提供する ことを目的とし、該目的を達成することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明は、水素の取扱い時にパラ水素からオルソ水素に変換できるように構成する と、パラーオルソ変換時の吸熱による冷却効果を、貯蔵タンク内を低温に保持するの に有効に利用できるとの知見を得、力かる知見に基づいて達成されたものである。前 記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。

[0011] 前記目的を達成するために、本発明の第 1の態様の水素貯蔵装置は、水素流通口 を備え、少なくとも一部に水素吸着材が内装されたタンクと、前記水素流通口に配置 された多孔質磁性体とで構成したものである。

[0012] 本発明の水素貯蔵装置においては、タンク内に水素吸着材と共に多孔質磁性体を 設ける場合に、タンク内に磁性体を配置せず、タンクに設けられた水素流通口に多 孔質磁性体を配置することで、タンク内部の水素吸着材の充填量を確保することが できる。したがって、多量の水素を貯蔵することができる。また、水素の給排時、特に 水素を排出する際に、貯蔵された水素はパラーオルソ変換させて排出されるので、 ノ オルソ変換に伴なう吸熱により冷却効果が得られ、タンク及びタンク内雰囲気 を低温に保持することができる。

[0013] また、多孔質磁性体を水素流通口に設けてフィルタ機能をも兼備させるので、多孔 質磁性体およびフィルタの双方を水素流通口に設けることが不要であり、タンクの水 素流通口における圧損の増大をも抑制することが可能である。

[0014] タンク内の少なくとも一部には水素吸着材が充填されており、水素吸着材は外部よ り供給された水素 (特に液体水素)を、水素分子の形態で物理的に吸着して保持す る。水素貯蔵装置のタンク内には、液体水素を供給して貯留することが可能である。 タンク内部において、水素を液体状態で保持すると共に、蒸発して気体状態になつ たときには、液体水素と非接触にあるいは接触した状態で配置されている水素吸着 材に吸着されて保持される。水素吸着材に保持された水素は、水素流通口から必要 に応じて取り出すことが可能なようになって、る。

[0015] 本発明における水素吸着材は、その表面に水素分子を吸着して保持可能な物質 であり、原子状水素を捉えて吸蔵する水素吸蔵合金とは区別されるものである。

[0016] 本発明の水素貯蔵装置を構成するタンクは、断熱容器を用いて好適に構成するこ とができる。断熱容器で構成することで、タンク外部カゝらタンク内部の空間への熱の 伝導が抑制され、水素貯蔵装置内に液体水素を貯蔵した場合に、液体水素の気化 が効果的に抑えられ、水素の貯蔵期間を長期に確保するのに有効である。

[0017] 水素流通口は、気体もしくは液体の水素をタンク内に供給するための水素流入口と 、タンク内部に貯蔵された水素を外部に取り出すための水素流出口とを設けて構成 することができる。この場合、多孔質磁性体を水素流出口に配置する構成が有効で ある。

[0018] 例えば液体水素をタンク内部に供給して貯蔵する場合、タンク内部は低温に保持さ れ、低温下では水素はパラ水素の状態で貯蔵される。貯蔵されているパラ水素を水 素流出ロカ外部に取り出す場合には、水素流出口に配置された多孔質磁性体の 作用によりパラ水素をオルソ水素に変換することで、吸熱反応を起こさせることができ 、変換時の潜熱でタンクやタンクの内部雰囲気 (タンク内雰囲気)を低温に保つことが できる。すなわち、液体水素の蒸発を抑えて、水素の貯蔵期間を長期に確保するの に有効である。

[0019] また、前記潜熱による冷却効果と共に、水素を取り出すことに伴なうタンク内圧が下 力 ¾ことによつても、水素の貯蔵期間を長期に確保する点で有効である。

[0020] 多孔質磁性体は、水素吸着材を内装したタンクを構成する構成部材と熱交換可能 なように配置されるのが効果的である。タンクが金属材を用いて構成され、金属材と 熱交換可能な形態の場合に特に効果的である。

[0021] 上記のように、多孔質磁性体はそれ自体、タンク内部から外部に水素を取り出す際 の潜熱で冷却される。よって、タンクの構成部材と熱交換可能なように多孔質磁性体 を配置することで、タンク自体を冷却することでき、タンク内雰囲気を低温に保つこと ができる。すなわち、水素の使用と共に、液体水素の蒸発が抑えられ、水素の貯蔵 期間を長期に確保するのに有効である。

[0022] また、タンクは、金属層を有するシールド材を断熱材で挟んだ断熱構造を有し、多 孔質磁性体がシールド材と熱交換可能なように配置された形態が効果的である。熱 を遮断するシールド材を断熱材間に挟んでなる断熱構造に構成することで、外部か らタンク内部への熱伝達を高度に抑止しながら、水素の取り出し時に冷却される多孔 質磁性体との熱交換により、タンク自体をより効果的に冷却することができる。また、タ ンク内雰囲気を安定的に低温に保つことができる。すなわち、吸着量が増加すると共 に、液体水素の蒸発が抑えられ、水素の貯蔵期間をより長期に確保することができる

[0023] 多孔質磁性体は、タンク内雰囲気と接触する位置に配置してタンク内雰囲気を直 接冷却することもできる。好ましくは多孔質磁性体を、上記のようにタンクの構成部材 と熱交換可能に配置すると共に、さらにタンク内雰囲気と熱交換可能な位置に配置 することができる。このように、タンクを冷却するのみならず、水素の貯蔵領域であるタ ンク内部の雰囲気をも同時に冷却できる構成とすることで、冷却効果が高められる。 したがって、吸着量がより増加すると共に、タンク内雰囲気をより安定的に低温に保 つことができ、液体水素の蒸発を回避し、水素の貯蔵期間をより長期間確保すること ができる。

[0024] 水素吸着材としては、活性炭、カーボンナノチューブ、または MOFが挙げられる。

多孔質磁性体としては、酸化鉄、シリカゲルとニッケルの混合物、または酸化クロム を担体としたアルミナが挙げられる。

[0025] 水素流出口には水素を流通する水素流通管が接続されており、水素流通管の内 壁の少なくとも一部に多孔質磁性体を担持することができ、また、水素流通管の少な くとも一部に多孔質磁性体を充填することができる。水素流通管は、タンクの外壁面 に沿って配設することができる。

[0026] 水素吸蔵材は、前記タンク内の反重力方向となる上部壁面に設けることができる。

前記シールド材は、ポリエステルフィルムの片面のみがアルミ蒸着されたものでもよ い。

また、前記断熱構造は、断熱材 ZA1板 Z断熱材の積層構造に積層することができ る。

[0027] 本発明の第 2の態様の水素貯蔵装置は、タンクの水素流通口に多孔質磁性体を配 置して構成されている。

本態様でも、上記のように、水素貯蔵装置のタンク内には、液体水素を供給して貯 留することができる。また、タンクは、金属層を有するシールド材を断熱材で挟んだ断 熱構造を有し、多孔質磁性体がシールド材と熱交換可能なように配置された形態が 効果的である。多孔質磁性体としては、酸化鉄、シリカゲルとニッケルの混合物、また は酸ィ匕クロムを担体としたアルミナが挙げられる。また、水素流出口には水素を流通 する水素流通管が接続されており、多孔質磁性体は水素流通管の少なくとも一部に 担持または充填することができ、この水素流通管はタンクの外壁面に沿って配設する ことができる。

発明の効果

[0028] 本発明によれば、タンクの水素流通口における圧損の増大を伴なわずに、多量の 水素を長期間貯蔵することができる水素貯蔵装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0029] [図 1]本発明の第 1実施形態に係る水素貯蔵装置を示す斜視図である。

[図 2]図 1の水素貯蔵装置の A—線断面図である。

[図 3A]本発明の第 1実施形態に係る水素貯蔵装置の水素排出管の内壁面にパラ— オルソ変換触媒が担持されている様子を示す概略図である。

[図 3B]本発明の第 1実施形態に係る水素貯蔵装置の水素排出管の管内部にパラー オルソ変換触媒が詰められている様子を示す概略図である。

[図 4]本発明の第 2実施形態に係る水素貯蔵装置を示す断面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0030] 以下、図面を参照して、本発明の水素貯蔵装置の実施形態について詳細に説明 する。

(第 1実施形態)

本発明の水素貯蔵装置の第 1実施形態を図 1〜図 3Bを参照して説明する。本実 施形態の水素貯蔵装置は、タンク (容器)の上部壁面に活性炭 (水素吸着材)を内装 すると共に、酸化鉄が主体の多孔質磁性体を、タンク (容器)に設けられた水素流出 口および水素流出口と連通する水素排出管の内部に配設し、タンク内部を低温に保 持して水素の長期貯蔵が可能な構成としたものである。

[0031] 本実施形態の水素貯蔵装置 10は、図 1に示すように、断面円形の筒状容器の両 端面が略半球形の曲面で閉塞された構造に構成されている。その壁面には、水素流 入口 12および、酸化鉄が主体の多孔質磁性体が担持された水素流出口 13が設け られている。この多孔質磁性体は、さらに水素排出管 16に担持されている。以下、具 体的に説明する。

[0032] 図 2に示すように、本実施形態は、水素流入口および水素流出口を備え、内部中 空で断面円形の筒状体の両端面が略半球形の曲面で閉塞されたステンレス合金 (S US316L)製のステンレス容器 11、ステンレス容器 11に内装された活性炭(水素吸 着材) 14、並びにステンレス容器 11の外壁面全体を覆うようにして設けられた断熱層 15を備えたタンクと、管内壁に酸化鉄が主体の多孔質磁性体を担持して備え、水素 流出口 13と活性炭 14とを連通するように断熱層 15中に埋設された水素排出管 16と を備えている。

[0033] ステンレス容器 11は、 0. 5〜3. OMPa程度の耐圧強度を有し、内容積が 70〜20 OL (リットル)程度になるように、ステンレス合金 (SUS316L)を用いて筒状に成形し 、筒の長さ方向の両端を略半球形の曲面で閉塞した中空容器である。断面形状や サイズは、目的等に応じて、円形以外の矩形、楕円形などの任意の形状、サイズを 選択することができる。また、ステンレス合金以外に、アルミニウム合金、 CFRP、 GF RP等で構成されて、てもよヽ。

[0034] 水素流入口 12および水素流出口 13は、水素流通口としてステンレス容器 11の壁 面に設けられている。水素流入口 12を介して、外部より液体水素をステンレス容器内 に供給し、水素流出口 13を介して、ステンレス容器内に貯蔵されている水素を必要 に応じて取り出すことができるようになって!/、る。

[0035] ステンレス容器 11の中空内部には、図 2に示すように、容器内の反重力方向となる 上部壁面に、金属メッシュで仕切りを設けてペレット状の活性炭 (水素吸着材) 14が 内装されている。活性炭 14が設けられた領域以外の空間には、図 2に示すように、水 素流入口 12から供給された液体水素 21を貯留できるようになつている。液体水素 21 の供給時の蒸発ゃ貯留された液体水素の蒸発により気化した水素は、活性炭 14〖こ 水素分子の状態で吸着して保持される。このとき、水素は、原子状に吸蔵されるので はなぐ水素分子の状態で物理吸着されている。

[0036] 水素吸着材としては、活性炭以外に、例えば、カーボンナノチューブ、 Zn 4O (l, 4 ベンゼンジカルボン酸ジメチル) 3等の MOF (多孔性金属有機構造)などを好適に 用いることができる。これらは、例えば、顆粒状、ペレット状、又は粉末などの形態とし 、袋やメッシュ、網等に詰めるなど雰囲気との接触が妨げられない任意の形態で使用 できる。

[0037] ステンレス容器 11の外側には、外壁面全体を覆うようにして断熱層 15が設けられて いる。断熱層 15は、断熱材 17と厚み lmm以下の A1板よりなる冷却シールド 18とで 構成されており、断熱材と断熱材との間に冷却シールドを挟んで断熱材を複数積層 した積層構造に構成されている。本実施形態では、 3層の断熱材が、断熱材 ZA1板 Z断熱材 ZA1板 Z断熱材の積層構造に積層されたものである。

[0038] 断熱材 17は、ポリエステルフィルムの両面がアルミ蒸着された薄膜の放射シールド 材と、放射シールド材同士を非接触に保ち熱伝導を防ぐスぺーサ材とが交互に積層 された真空積層断熱材 (多層インシュレーション; MLI)である。この真空積層断熱材 は、外部からの熱を遮断してステンレス容器およびその内部を長期間低温に保持し 、内部に貯留された液体水素 21の急激な蒸発を回避して長期間水素を貯蔵可能な

ようになっている。

[0039] 放射シールド材は、ポリエステルフィルムの片面のみがアルミ蒸着されたものでもよ いし、ポリエステルフィルム以外の榭脂フィルムで構成されたものでもよい。また、スぺ ーサ材としては、ガラス繊維の布や紙、ナイロンネット等が好適に用いられる。 MLIは 、シールド材を N枚挿入すると輻射による進入熱量を 1Z (N+ 1)に減少させることが できる。

[0040] なお、断熱層の構成は、目的や場合に応じて適宜選択することができる。断熱材の 層数は、 3層以外に 1層または 2層あるいは 4層以上のいずれでもよい。また、冷却シ 一ルド材も、 A1板以外に、断熱効果の得られる材料を選択して構成することが可能 である。

[0041] ステンレス容器 11を覆う断熱層 15の内部には、ステンレス容器 11の外壁面に沿う ようにして、ステンレス容器 11に最も近、断熱材 17中に埋設して水素排出管 16が配 設されている。水素排出管 16は、管内部を流通して水素を排出すると共に、断熱層 15は水素排出管 16を外部力もの熱(例えば 290〜310K)力も遮断し、同時にステ ンレス容器は水素排出管 16との間で熱交換して冷却されるようになっている。

[0042] 水素排出管 16の一端は、活性炭 14に吸着して保持されている水素の取り出しが 可能なように活性炭 14に設けられた水素流出口 19に接続されている。水素排出管 1 6の他端は、水素流出口 13と接続されている。この水素排出管 16を通じて、ステンレ ス容器 11内に貯蔵されて、る水素の排出、外部供給が行なえる構成となって、る。 活性炭(水素吸着材) 14に吸着された水素は、必要に応じて水素流出口 19から水 素排出管 16によって連通する水素流出口 13から排出することができ、水素流出口 1 3と繋がる水素使用装置に水素の供給が行なえるようになつている。

[0043] 水素排出管 16には、図 3Αに示すように、その一端が接続する水素流出口 19から 他端の水素流出口 13に向力管内壁の全面に一様に、できる限り比表面積が大きく なるように酸化鉄主体の多孔質磁性体 20が担持されて、る。多孔質磁性体 20は、 水素流出口 19から取り込まれた水素を流通しながらパラ水素からオルソ水素にパラ —オルソ変換させ得るようになって!/、る。

[0044] また、水素排出管 16の水素流出口 13、 19に近い管内には、管内部に充填して、 図 3Bに示すように、できる限り比表面積が大きくなるように酸ィ匕鉄主体の多孔質磁性 体 20が詰められている。これにより、排出される水素を通すフィルタとしての機能も担 つている。また同様に、水素流出口 13、 19には、水素との接触領域に多孔状に酸化 鉄主体の多孔質磁性体が担持して設けられている。これにより、パラーオルソ変換を 行うと共に、排出される水素を通すフィルタとしての機能をも担うようになっている。

[0045] 多孔質磁性体は、水素のパラーオルソ変換触媒であり、上記の酸化鉄主体の多孔 質磁性体以外に、例えば、シリカゲルとニッケルの混合物、酸化クロムを担体としたァ ルミナ、酸素を吸着した活性炭などが好適に使用できる。

[0046] 液体水素が蒸発する温度以上では、パラ水素はパラーオルソ変換触媒の作用を受 けてオルソ水素に変化する。このパラ水素からオルソ水素への変換 (パラーオルソ変 換)は、吸熱により進行する。そのため、管内を流通すると同時にパラーオルソ変換 触媒自体は次第に冷やされ、水素排出管も冷却されるので、水素排出管との間で熱 交換してステンレス容器 11は低温に保持される。

[0047] すなわち、水素のパラーオルソ変換は低温域 (例えば 20K)ではパラ水素の方が安 定で進行が遅い。そのため、水素排出管 16の一端に近い側 (水素流出口 19側)で は、低温の水素が流入するために低温状態が保持されて変換速度は遅ぐパラーォ ルソ変換による吸熱効果は大きくは得られない。しかし、他端から流入した低温の水 素(例えば 100K以下)で冷却されてステンレス容器と熱交換し得る。したがって、ス テンレス容器および容器内雰囲気は低温に保たれる。その後さらに、水素排出管内 にある水素は、管内を水素流出口 13側に向力つて流通していくにつれて徐々に昇 温し、水素流出口 13と繋がる他端に近い側でパラ—オルソ変換が起き易くなる。そし て、徐々にパラ水素がオルソ水素に変換されると、変換による吸熱により水素排出管 の水素流出口 13に近い下流側は低温に冷却される。このとき、水素流出口 13でも ノ—オルソ変換が起きるので、水素流出口 13で接触する断熱材 17の放射シール ド材 (アルミ)および冷却シールド (A1板) 18と熱交換され冷却される。

[0048] つまり、水素排出時の水素流出口 13に近い下流側では、パラーオルソ変換時の潜 熱で水素排出管 16は冷却される。また、ステンレス容器との間で熱交換されると共に 、放射シールド材および冷却シールド (A1板) 18との間で熱交換されて、ステンレス 容器自体並びに容器内雰囲気を低温に保つことができる。

[0049] 水素吸着材 14に水素が充分に吸着された後は、水素吸着材 14は貯留されている 液体水素 21に触れてもよい。水素が充分に吸着された水素吸着材に液体水素が触 れても吸着熱は発生せず、液体水素の沸騰は生じな、ためである。

[0050] 本実施形態では、パラ—オルソ変換触媒 (多孔質磁性体)を水素排出管 16の内壁 全面に担持するようにした。しかし、必ずしも管内壁全面に担持する必要はなぐ一 部のみに担持するようにしてもよい。この場合、既述のように低温域ではパラーオルソ 変換速度が遅いため、水素排出管 16の水素流通方向の下流側に担持するのが効 果的である。特に水素排出管 16の他端近傍、すなわち水素流出口 13に近い下流 領域に局部的に担持するようにすることが、少ない担持量で効率よく吸熱効果 (冷却 )が得られる点で好ましい。

[0051] パラーオルソ変換触媒 (多孔質磁性体)は、水素流出口のみならず、必要に応じて 水素流入口のみ、あるいは水素流出口および水素流入口の両方に設けてもょ、。 また、水素取り出しを容易にするためにステンレス容器 11内にヒーターを設けるよう にしてもよい。

[0052] (第 2実施形態)

本発明の水素貯蔵装置の第 2実施形態を図 4を参照して説明する。本実施形態は 、水素流出口にパラーオルソ変換触媒 (多孔質磁性体)を担持して MLIの蒸着アル ミとの間で熱交換を行なってステンレス容器の冷却が行なえる構成としたものである。

[0053] なお、水素は第 1実施形態と同様に液体水素を用いることができ、第 1実施形態と 同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。

[0054] 本実施形態では、ステンレス合金(SUS316L)力もなる水素流出口 23が断熱層 2 5の内部に内装されている。この水素流出口 23には、他端が活性炭(水素吸着材) 1 4と繋がる水素排出管 26の一端が接続されており、水素排出管 26を流通して取り出 された水素を外部に供給できるようになつている。

[0055] 水素流出口 23には、通過する水素が接触し得る領域に多孔状に酸化鉄主体の磁 性体が担持されている。水素流出ロカ水素が排出する際に、フィルタとして機能さ せると同時に、パラ水素力もオルソ水素にパラ一オルソ変換させることができる構成と なっている。

[0056] 断熱層 25は、ポリエステルフィルムの両面がアルミ蒸着された薄膜の放射シールド 材と、シールド材間を非接触に保ち熱伝導を防ぐスぺーサ材とが交互に積層された 多層インシュレーション(MLI)を用いて構成されて、る。この多層インシュレーション は、外部からの熱を遮断してステンレス容器 11およびその内部を長期間低温に保持 し、内部に貯留された液体水素 21の急激な蒸発を回避して、長期間水素を貯蔵可 能なようになっている。

[0057] 水素流出口 23は、断熱層 25の放射シールド材を構成する蒸着アルミと熱交換可 能なように接触させて設けられている。水素排出時には、パラーオルソ変換されて冷 却される力このとき蒸着アルミとの間で熱交換される。これにより、ステンレス容器の 熱は、該容器を取り巻くように配置されている蒸着アルミを介して放出され、ステンレ ス容器 11自体並びに容器内雰囲気は低温に保持される。

[0058] 水素排出管 26には、第 1実施形態のように管内壁の一部 (好ましくは管下流側)ま たは全面にパラ—オルソ変換触媒を設けてもよい。

[0059] 本実施形態では、 MLIの放射シールド材を構成する蒸着アルミとの間でのみ熱交 換して冷却を行なう場合を中心に説明した。しかし、蒸着アルミとの間で熱交換すると 共に、水素流出口 23をステンレス容器 11および Zまたは容器内雰囲気とも熱交換 可能なように接触させて設けるようにしてもよい。この場合には、ステンレス容器およ び Zまたは雰囲気自体をも同時に冷却することが可能であり、冷却効率をより高める ことができる。

[0060] 上記の実施形態では、水素吸着材を用いた場合を中心に説明した。しかし、本発 明においては、水素吸着材を必ずしも用いた形態にする必要はなぐ水素吸着剤を 用いずに水素貯蔵装置を構成した場合も同様である。

符号の説明

[0061] 10 水素貯蔵装置

11 ステンレス容器

12 水素流入口

13, 19 水素流出口

活性炭

酸化鉄主体の多孔質磁性体