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1. WO2020137925 - IN-WHEEL MOTOR DRIVE DEVICE

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明 細 書

発明の名称 インホイールモータ駆動装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018  

発明の効果

0019  

図面の簡単な説明

0020  

発明を実施するための形態

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087  

符号の説明

0088  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14A   14B   15   16   17A   17B   18   19  

明 細 書

発明の名称 : インホイールモータ駆動装置

技術分野

[0001]
 本発明は、インホイールモータ駆動装置に関する。

背景技術

[0002]
 下記の特許文献1には、駆動力を発生させる電動モータ部と、電動モータ部の回転を減速して出力する減速機部と、減速機部の出力を車輪に伝達する車輪用軸受部とを備えたインホイールモータ駆動装置において、スプライン嵌合により減速機部の出力軸と車輪用軸受部の内方部材(ハブ輪)とを軸方向に相対スライド可能な状態で一体回転可能に連結することが記載されている。係る構造を採用すれば、スプライン嵌合部で軸方向の振動を吸収することができるので、軸方向の振動に起因した騒音の発生を効果的に防止することができる、としている。しかしながらこの場合、上記出力軸に設けられる雄スプラインとハブ輪に設けられる雌スプラインの歯面間にガタ(すきま)があるため、雄スプラインおよび雌スプラインの何れか一方又は双方が摩耗等し易いという問題がある。
[0003]
 そこで、下記の特許文献2には、スプライン嵌合部を潤滑するためのスプライン潤滑手段(スプライン潤滑構造)を設けることが開示されている。スプライン潤滑手段は、例えば、スプライン嵌合部の軸方向両側に設けられた第1シール部材および第2シール部材と、両シール部材で密封された密封空間に充填されたグリース等の潤滑剤とで構成される(同文献の図10~16)。第1シール部材としては、スプライン嵌合部よりもインボード側で出力軸およびハブ輪の双方に密着したOリングが採用され、第2シール部材としては、スプライン嵌合部よりもアウトボード側でハブ輪の中空部の開口を封口するシールキャップが採用される。この場合、スプライン嵌合部を持続的に潤滑することができるので、スプラインの摩耗を効果的に防止し、耐久性を向上することができる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2013-148198号公報
特許文献2 : 特開2015-137733号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 上記のスプライン嵌合部およびスプライン潤滑手段(スプライン潤滑構造)を有するインホイールモータ駆動装置は、電動モータ部および減速機部をケーシングの内周に組み込んでから、ケーシングに組み込まれた減速機部の出力軸と車輪用軸受部のハブ輪との間にスプライン嵌合部およびスプライン潤滑手段を形成するようにして、減速機部に車輪用軸受部を連結する、といった手順を踏んで組み立てられる。
[0006]
 そのため、減速機部と車輪用軸受部の連結作業は、通常、第1シール部材を出力軸の外径面に嵌合固定すると共に第2シール部材をハブ輪の中空部に固定し、かつグリース等の潤滑剤をスプライン嵌合部の形成予定領域(雄スプラインおよび雌スプラインの少なくとも一方)に塗布した状態で行われる。この場合、上記連結作業は、ハブ輪、第2シール部材、出力軸および潤滑剤によって画成される空間(密封空間)に介在する空気を圧縮しながら進展することになるため、車輪用軸受部を所定位置まで押し込むのに大きな力が必要になる。また、上記連結作業に伴って密封空間に圧縮空気が残存すると、車輪用軸受部と減速機部とを分離させる必要が生じた場合、負圧の影響によって大きな力が必要となる。要するに、上記のスプライン嵌合部およびスプライン潤滑手段を兼ね備えた特許文献2のインホイールモータ駆動装置は、静粛で耐久性に優れるという利点を有する反面、組立性・分解性が悪いという問題がある。
[0007]
 このような問題は、例えば、第2シール部材を未装着の状態で上記連結作業を実行し、その後、第2シール部材をハブ輪の中空部に固定することで解消できるとも考えられる。しかしながら、このような手順を採用すると、第2シール部材に付与される軸方向の圧入力がハブ輪を介して車輪用軸受部の構成部品に伝達されてキズや凹みが生じ、車輪用軸受部の軸受性能、ひいては車両の走行性能に悪影響が及ぶ懸念がある。
[0008]
 そこで、本発明は、静粛で耐久性に優れると共に組立性・分解性が良好なインホイールモータ駆動装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 上記の目的を達成するために創案された本願の第1発明は、電動モータ部と、電動モータ部の回転を減速して出力する減速機部と、減速機部の出力を車輪に伝達する車輪用軸受部と、電動モータ部および減速機部を収容したケーシングと、減速機部の出力軸と車輪用軸受部のハブ輪とを相対変位可能な状態で一体回転可能に連結したスプライン嵌合部と、スプライン嵌合部に介在する半固体状潤滑剤とを備え、ハブ輪の中空部の開口が、スプライン嵌合部よりもインボード側で出力軸およびハブ輪に密着した環状の第1シール部材と、スプライン嵌合部よりもアウトボード側でハブ輪の中空部の内径面に固定された第2シール部材とで封口されたインホイールモータ駆動装置であって、出力軸に、一端が出力軸のアウトボード側の端面に開口すると共に、他端が出力軸のうちケーシングの内部空間への露出面に開口した孔部を設けたことを特徴とする。
[0010]
 なお、本願の第1発明でいう「インボード側」および「アウトボード側」とは、それぞれ、インホイールモータ駆動装置を車輪の内周に組み込んだときに車幅方向の内側および外側になる側を言う。また、「半固体状潤滑剤」としては、例えば、グリースや、グリースに固体潤滑剤を分散させたものなどを挙げることができる。以下に示す本願の第2発明においても同様である。
[0011]
 まず、本願の第1発明(および後述する第2発明)に係るインホイールモータ駆動装置は、その前提構成として、特許文献2の図10等に開示されたインホイールモータ駆動装置に設けられたスプライン嵌合部およびスプライン潤滑手段に準ずる構成を有する。そのため、軸方向および径方向の振動に起因した騒音の発生を効果的に防止することができることに加え、スプライン嵌合部を持続的に潤滑可能としてその耐久性を向上することができる。
[0012]
 また、減速機部の出力軸に上記孔部を設けておけば、第2シール部材が固定されたハブ輪と減速機部の出力軸との間にスプライン嵌合部を形成するのに伴って、ハブ輪、第2シール部材、出力軸および半固体状潤滑剤で画成される空間(密封空間)に介在する空気を上記孔部を介してケーシングの内部空間に逃がすことができる。そのため、スプライン嵌合部の形成過程で密封空間の圧力が高まることによる組立性の低下、さらにはスプライン嵌合部の分解過程で密封空間の圧力が低下することによる分解性(減速機部と車輪用軸受部の分離性)の低下を防止することができる。
[0013]
 上記の露出面は、出力軸のインボード側端面又は外径面の何れか一方又は双方とすることができる。すなわち、上記孔部の他端は、出力軸のインボード側端面に開口させても良いし、出力軸の外径面に開口させても良いし、出力軸のインボード側端面および外径面の双方に開口させても良い。
[0014]
 上記の第1発明および後述する第2発明に係るインホイールモータ駆動装置において、減速機部は、電動モータ部の出力を受けて回転する入力歯車軸と、入力歯車軸と平行に配置された上記出力軸としての出力歯車軸とを有する、いわゆる平行軸歯車減速機を備えたものとすることができる。平行軸歯車減速機であれば、特許文献2に開示されたサイクロイド減速機に比べ、減速機部を簡素化してインホイールモータ駆動装置の組み立て性向上に寄与することができる。このとき、ケーシングの内部空間に、出力歯車軸に設けられる歯車(出力歯車)の一部を油浴状態とする潤滑油を貯留しておけば、出力歯車軸が回転するのに伴って掻き上げられる潤滑油を利用して減速機部の全体を効率良く潤滑することができる。
[0015]
 以上の構成において、第2シール部材としては、上記孔部の一端開口(アウトボード側の開口)を封口するシール部を有するものを採用しても良い。このようなシール部を設けておけば、スプライン嵌合部の形成後に上記密封空間とケーシングの内部空間とを非連通の状態に維持することができるので、密封空間(スプライン嵌合部)に介在する半固体状潤滑剤がケーシングの内部空間側に流出するのを、また、ケーシングの内部空間に潤滑油を貯留する場合には、この潤滑油が密封空間側に流出して半固体状潤滑剤と混ざり合い、その結果、半固体状潤滑剤に特性変化が生じるのを防止することができる。
[0016]
 また、上記の目的を達成するために創案された本願の第2発明は、電動モータ部と、電動モータ部の回転を減速して出力する減速機部と、減速機部の出力を車輪に伝達する車輪用軸受部と、減速機部の出力軸と車輪用軸受部のハブ輪とを相対変位可能な状態で一体回転可能に連結したスプライン嵌合部と、スプライン嵌合部に介在する半固体状潤滑剤とを備え、ハブ輪の中空部の開口が、スプライン嵌合部よりもインボード側で出力軸およびハブ輪に密着した環状の第1シール部材と、スプライン嵌合部よりもアウトボード側でハブ輪の中空部に固定された第2シール部材とで封口されたインホイールモータ駆動装置において、スプライン嵌合部を形成する雄スプラインおよび雌スプラインの少なくとも一方の周方向一部領域を軸方向に沿って肉取りすることにより、出力軸とハブ輪との間に直線状空間を形成し、この直線状空間と、出力軸と第2シール部材とを軸方向に離間して配置することで両者間に形成した空気溜りとを軸方向で連続させたことを特徴とする。
[0017]
 第2発明では、スプライン嵌合部を形成する雄スプラインおよび雌スプラインの少なくとも一方の周方向一部領域を軸方向に沿って肉取りすることにより、出力軸とハブ輪との間に直線状空間を形成し、この直線状空間と、出力軸と第2シール部材との間に形成した空気溜りとを軸方向で連続させている。このような構成によれば、スプライン嵌合部の形成過程で出力軸と第2シール部材との間に形成される空間(密封空間)の圧力が上昇するのを抑えることができる。そのため、スプライン嵌合部の形成時における車輪用軸受部の押し込み力を軽減することが可能となり、プレス機等の大掛かりな設備を使用する必要がなくなるので、インホイールモータ駆動装置の組立性を向上することができる。また、スプライン嵌合部の形成過程で上記空間の圧力が上昇するのを抑えることができれば、インホイールモータ駆動装置の分解性(減速機部と車輪用軸受部の分離性)が低下するのも防止することができる。
[0018]
 なお、スプラインの肉取り量を多くするほど、スプライン嵌合部の形成性(インホイールモータ駆動装置の組立性および分解性)向上には有利となるものの、肉取り量が過剰であると出力軸とハブ輪の間のトルク伝達性能に悪影響が及ぶ。そのため、スプラインの肉取り量は、出力軸とハブ輪の間のトルク伝達性能に悪影響を及ぼさない範囲内で任意に設定する。

発明の効果

[0019]
 以上から、本願の第1および第2発明によれば、静粛で耐久性に優れ、かつ組立性・分解性が良好なインホイールモータ駆動装置を実現することができる。

図面の簡単な説明

[0020]
[図1] 第1発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の概略断面図であって、図2のP-P線矢視断面図である。
[図2] 図1のQ-Q線矢視断面図である。
[図3] 図1の部分拡大図である。
[図4] 図3のR-R線矢視断面図である。
[図5] 図1に示すインホイールモータ駆動装置の組立工程を示す図である。
[図6] 第1発明の他の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の部分断面図である。
[図7] 第1発明の他の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の部分断面図である。
[図8] 第1発明の他の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の部分断面図である。
[図9] 第1発明の他の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の部分断面図である。
[図10] 第2発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の概略断面図であって、図11のZ -Z 線矢視断面図である。
[図11] 図10のZ -Z 線矢視断面図である。
[図12] 図10の部分拡大図である。
[図13] 図12のZ -Z 線矢視断面図である。
[図14A] 減速機部と車輪用軸受部の連結工程の初期段階を示す図である。
[図14B] 図14AのZ -Z 線矢視断面図である。
[図15] 減速機部と車輪用軸受部の連結工程の途中段階を示す図である。
[図16] 図15を模式的に示した図である。
[図17A] 第2発明の他の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の部分断面図である。
[図17B] 第2発明の他の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置の部分断面図である。
[図18] インホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車の概略平面図である。
[図19] 図18に示す電気自動車の後方断面図である。

発明を実施するための形態

[0021]
 以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[0022]
 まず、図18および図19に基づき、インホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車11の概要を説明する。図18に示すように、電気自動車11は、シャシー12と、操舵輪として機能する一対の前輪13と、駆動輪として機能する一対の後輪14と、左右の後輪14のそれぞれを駆動するインホイールモータ駆動装置21とを備える。図18に示すように、後輪14は、シャシー12のホイールハウジング15の内部に収容され、懸架装置16を介してシャシー12の下部に固定されている。
[0023]
 懸架装置16は、左右に延びるサスペンションアームによって後輪14を支持すると共に、コイルスプリングおよびショックアブソーバを含むストラットによって、後輪14が路面から受ける振動を吸収してシャシー12の振動を抑制する。懸架装置16は、路面の凹凸に対する追従性を向上し、後輪14の駆動力を効率よく路面に伝達するために、左右の車輪を独立して上下させる独立懸架式が好ましいが、その他の懸架方式が採用される場合もある。
[0024]
 この電気自動車11では、左右のホイールハウジング15の内部に、左右の後輪14それぞれを回転駆動させるインホイールモータ駆動装置21が組み込まれるので、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構等を設ける必要がなくなる。そのため、この電気自動車11は、客室スペースを広く確保でき、しかも、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。
[0025]
 なお、インホイールモータ駆動装置21は、上記のように、後輪14を駆動輪とした後輪駆動タイプの電気自動車11のみならず、前輪13を駆動輪とした前輪駆動タイプの電気自動車や、前輪13および後輪14の双方を駆動輪とした四輪駆動タイプの電気自動車に組み込むこともできる。
[0026]
 図1は、本願の第1発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置21、より詳細には、図18に示す電気自動車11の左側の駆動輪を回転駆動させるインホイールモータ駆動装置21の概略断面図(図2のP-P線矢視断面図)である。このインホイールモータ駆動装置21は、駆動力を発生させる電動モータ部Aと、電動モータ部Aの回転を減速して出力する減速機部Bと、減速機部Bの出力を駆動輪に伝達する車輪用軸受部Cとを備える。電動モータ部Aおよび減速機部Bはケーシング22のモータ室22Aおよび減速機室22Bにそれぞれ収容され、車輪用軸受部Cはケーシング22に取り付けられている。なお、以下の説明では、インホイールモータ駆動装置21を駆動輪の内周に組み込んだ状態で車幅方向の外側および内側となる側を、それぞれ、アウトボード側およびインボード側という。図1においては、紙面左側がアウトボード側であり、紙面右側がインボード側である。
[0027]
 電動モータ部Aは、ケーシング22に固定された筒状のステータ23と、図示しない径方向隙間を介してステータ23の内周に配置されたロータ24と、外周にロータ24を装着したモータ回転軸25とを有するラジアルギャップ型の電動モータ26を備える。モータ回転軸25は、その軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受40,41によってケーシング22に対して回転自在に支持されており、毎分1万数千回程度の回転速度で回転可能である。電動モータ部Aには、ラジアルギャップ型に替えてアキシャルギャップ型の電動モータを採用することもできる。
[0028]
 図示は省略しているが、インホイールモータ駆動装置21の駆動中、電動モータ部Aの各部は、図示外の潤滑機構から供給される潤滑油によって潤滑および冷却される。
[0029]
 図1に示すように、減速機部Bには、入力歯車31を有する入力歯車軸35と、入力側中間歯車(大径歯車)32および出力側中間歯車(小径歯車)33を有する中間歯車軸36と、出力歯車34を有する出力軸としての出力歯車軸37とを備え、各歯車軸35~37(の回転軸O1~O3)が互いに平行に配置された、いわゆる平行軸歯車減速機30が設けられる。図2にも示すように、この平行軸歯車減速機30では、入力歯車31と入力側中間歯車32とが噛み合い、出力側中間歯車33と出力歯車34とが噛み合っている。入力側中間歯車32の歯数は、入力歯車31および出力側中間歯車33の歯数よりも多く、出力歯車34の歯数は、出力側中間歯車33の歯数よりも多い。係る構成から、本実施形態の平行軸歯車減速機30は、モータ回転軸25の回転を二段階で減速して出力する。
[0030]
 図1に示すように、入力歯車軸35は、モータ回転軸25と同軸に配置され、スプライン嵌合によってモータ回転軸25と一体回転可能に連結されている。従って、モータ回転軸25の回転軸(回転中心)は、入力歯車軸35の回転軸O1上にある。入力歯車軸35は、軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受42,43によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。中間歯車軸36は軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受44,45により、また、出力歯車軸37は軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受46,47により、それぞれ、ケーシング22に対して回転自在に支持されている。
[0031]
 詳細な図示は省略しているが、減速機30に設けられる入力歯車31、両中間歯車32,33および出力歯車34には、何れも、歯筋がつるまき線状に形成された(歯筋が軸方向に対して傾斜した)はすば歯車を用いている。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が多く、歯当たりが分散されるため、噛合い時の音が静かでトルク変動が少ないという利点を有する。従って、はすば歯車を用いれば、静粛かつトルク伝達効率に優れた減速機30を実現する上で有利となる。
[0032]
 各歯車31~34がはすば歯車で構成される関係上、インホイールモータ駆動装置21の駆動中(各歯車軸35~37の回転中)、入力歯車31と入力側中間歯車32との噛合い部、および出力側中間歯車33と出力歯車34との噛合い部には、ラジアル荷重およびスラスト荷重の双方が作用する。これらのラジアル荷重およびスラスト荷重は、歯車軸35~37を支持する転がり軸受42~47によって支持される。従って、転がり軸受42~47には、ラジアル荷重およびスラスト荷重の双方を受けることができる軸受、例えば深溝玉軸受が使用される。
[0033]
 本実施形態のインホイールモータ駆動装置21においては、中間歯車軸36のインボード側の端部を支持する転がり軸受44に、中間歯車軸36のアウトボード側の端部を支持する転がり軸受45よりも大径のもの、すなわち負荷容量(剛性)が大きいものを用いると共に、出力歯車軸37の軸方向中央部付近を支持する転がり軸受47に、出力歯車軸37のインボード側の端部を支持する転がり軸受46よりも大径のものを用いている。係る構成に加え、入力側中間歯車32を部分的に肉取りして入力側中間歯車32の内周に中間歯車軸36のインボード側の端部を支持する転がり軸受44を配置している。以上の構成を採用することにより、減速機部Bに高い減速比を確保しつつ、減速機部Bの軸方向のコンパクト化を図っている。
[0034]
 図2に示すように、ケーシング22の減速機室22Bには、出力歯車34の一部を常時油浴状態とする潤滑油Fが充填されている。そして、出力歯車34の回転に伴って潤滑油Fが掻き上げられると、この掻き上げられた潤滑油Fにより、減速機部Bの各部(歯車同士の噛合い部や転がり軸受42~47)が潤滑される。
[0035]
 図1および図3に示すように、車輪用軸受部Cは、いわゆる内輪回転タイプの車輪用軸受50を備える。車輪用軸受50は、ハブ輪51および内輪52からなる内方部材53と、外輪54と、ボール57と、図示外の保持器とを備えた複列アンギュラ玉軸受からなる。この車輪用軸受50では、ハブ輪51および内輪52の外周にそれぞれ形成された内側軌道面55と、外輪54の内周に形成された複列の外側軌道面56とで形成されるボールトラックに複数のボール57が組み込まれている。内方部材53と外輪54との間に画成される環状空間59はグリース等の潤滑剤で満たされている。環状空間59への異物侵入および環状空間59からの潤滑剤漏洩を防止するため、環状空間59の軸方向両端部にはシール部材が設けられている。
[0036]
 ハブ輪51は、そのアウトボード側の端部外周に設けられたフランジ部51aを有し、このフランジ部51aに駆動輪が取り付けられる。また、ハブ輪51のインボード側の端部には、内輪52を加締め固定してなる加締め部51bが形成されている。この加締め部51bは、車輪用軸受50に予圧を付与する機能を有する。
[0037]
 外輪54には、そのアウトボード側の端部から径方向外向きに延びるフランジ部が設けられ、このフランジ部にアタッチメント58がボルト止めされている。そして、車輪用軸受部Cは、アタッチメント58を介してケーシング22に対してボルト止めされている。
[0038]
 図3に示すように、ハブ輪51の中空部の内径面には雌スプライン51cが形成されており、この雌スプライン51cに減速機部Bの出力軸(出力歯車軸37)の外径面に形成された雄スプライン37aを嵌合することでハブ輪51と出力歯車軸37とが一体回転可能に連結されている。図4に示すように、雄スプライン37aと雌スプライン51cのはめあいは、両スプライン37a,51cの歯面間にすきまを介在させたすきまばめとなっている。そのため、雌スプライン51cに雄スプライン37aを嵌合することで形成されるスプライン嵌合部Mは、ハブ輪51と出力歯車軸37とを径方向および軸方向に相対変位可能な状態で一体回転可能に連結している。係る構成により、インホイールモータ駆動装置21の駆動中に、組立誤差等に起因する静的なミスアライメントや、車両走行時の車輪の変位等に起因する動的なミスアライメントによりハブ輪51や出力歯車軸37(インホイールモータ駆動装置21の出力系)で生じる径方向の振動をスプライン嵌合部Mで吸収することができる他、車両走行時にハブ輪51等に入力される軸方向の変位(振動)もスプライン嵌合部Mで吸収することができる。そのため、各種振動等に起因した騒音の発生を可及的に防止することができ、静粛なインホイールモータ駆動装置21を実現することができる。
[0039]
 但し、スプライン嵌合部Mが無潤滑の状態でハブ輪51と出力歯車軸37とが繰り返し相対変位すると、スプライン37a,51c(の歯面)が摩耗し、耐久性が低下する懸念がある。そのため、図4に示すように、スプライン嵌合部M(両スプライン37a,51cの歯面間のすきま)には半固体状潤滑剤Jを介在させている。この潤滑剤Jとしては、例えば、リチウム系グリースやウレア系グレースなどに代表される各種グリースの他、上記グリースに二硫化モリブデンやグラファイト等の固体潤滑剤を分散させることで潤滑効果(摩耗防止効果)を高めたもの、などを使用することができる。
[0040]
 図3に示すように、スプライン嵌合部Mよりもインボード側およびアウトボード側には、スプライン嵌合部Mを密封(ハブ輪51の中空部の開口を封口)するための第1シール部材S1および第2シール部材S2がそれぞれ設けられる。このため、半固体状潤滑剤Jが介在するスプライン嵌合部Mは、両シール部材S1,S2で密封された(両シール部材S1,S2間に形成された)密封空間60に配置されている。係る構成により、潤滑剤Jの外部漏洩やスプライン嵌合部Mへの異物侵入等を可及的に防止しつつ、スプライン嵌合部Mを持続的にかつ効率良く潤滑することができる。
[0041]
 本実施形態では、出力歯車軸37の外径面のうち、スプライン嵌合部Mよりもインボード側の領域に設けた環状溝37bに第1シール部材S1としてのOリング61を嵌合固定し、このOリング61を出力歯車軸37およびハブ輪51の双方に密着させることにより、ハブ輪51の中空部のインボード側の開口を封口している。また、ハブ輪51の中空部の内径面のうち、スプライン嵌合部M(雌スプライン51cの形成領域)よりもアウトボード側の領域に、有底筒状をなした第2シール部材S2としてのシールキャップ62を圧入することでハブ輪51の中空部のアウトボード側の開口を封口している。シールキャップ62は、芯金63と、芯金63の表面に加硫接着されたゴム部64とを有し、ゴム部64がハブ輪51の中空部の内径面に密着している。
[0042]
 出力歯車軸37には、一端がアウトボード側の端面37cに開口し、他端がケーシング22(減速機室22B)の内部空間に露出した露出面Eに開口した孔部65が設けられる。本実施形態の露出面Eは、出力歯車軸37のインボード側の端面37dである。このような孔部65が設けられていることにより、密封空間60とケーシング22(減速機室22B)の内部空間とが連通している。
[0043]
 以上の構成を有するインホイールモータ駆動装置21は、ケーシング22のモータ室22Aおよび減速機室22Bにモータ部Aおよび減速機部Bをそれぞれ組み込んでから、ケーシング22に組み込まれた減速機部Bの出力軸(出力歯車軸37)と車輪用軸受部Cのハブ輪51との間にスプライン嵌合部M(潤滑剤Jが介在するスプライン嵌合部M)を形成するようにして、減速機部Bに車輪用軸受部Cを連結する、といった手順を踏んで組み立てられる。
[0044]
 上記の連結作業時には、潤滑剤Jが介在するスプライン嵌合部Mを密封する密封空間60も併せて形成する。そのため、図5に示すように、減速機部Bを構成する出力歯車軸37には、その外径面(詳細には、外径面のうち雄スプライン37aのインボード側に隣接する領域)に設けた環状溝37bに第1シール部材S1としてのOリング61が嵌合固定されると共に、雄スプライン37aに潤滑剤Jが塗布されている。また、車輪用軸受部Cを構成するハブ輪51には、その中空部の内径面に第2シール部材S2としてのシールキャップ62が圧入されている。なお、潤滑剤Jは、雄スプライン37aに替えて、あるいは雄スプライン37aとともに雌スプライン51cに塗布しても良い。
[0045]
 上記態様で減速機部Bに車輪用軸受部Cを連結する際には、出力歯車軸37の雄スプライン37a(および/またはハブ輪51の雌スプライン51c)に潤滑剤Jが塗布され、また、ハブ輪51の中空部にシールキャップ62が圧入固定されている関係上、雌スプライン51cと雄スプライン37aの嵌合が開始されると、図5に示すように、出力歯車軸37、ハブ輪51、シールキャップ62および潤滑剤Jによって密封空間60が画成される。そのため、以降、減速機部Bに対する車輪用軸受部Cの相対的な接近移動は、密封空間60の容積を縮小させるようにして進展することになる。このとき、出力歯車軸37には上記の孔部65が設けられていることから、密封空間60に介在する空気は、減速機部Bに対する車輪用軸受部Cの接近移動が進展するのに伴い、孔部65を介してケーシング22の内部空間に逃げる(図5の塗り潰し矢印参照)。
[0046]
 要するに、出力歯車軸37に上記のような孔部65を設けておけば、密封空間60に介在する空気が車輪用軸受部Cを減速機部Bに連結する際(スプライン嵌合部Mを形成する際)の抵抗とはならず、従って、車輪用軸受部Cを減速機部Bに対して容易に連結することができる。また、密封空間60とケーシング22の内部空間とが孔部65を介して連通しており、上記連結作業の実施に伴う密封空間60の圧力上昇を防止することができるので、スプライン嵌合部Mの分解過程で密封空間60の圧力が低下することによる分解性(減速機部Bと車輪用軸受部Cの分離性)の低下も効果的に防止することができる。
[0047]
 従って、以上で説明した本発明の実施形態に係るインホイールモータ駆動装置21は、静粛で耐久性に優れると共に組立性および分解性も良好である。
[0048]
 以上の構成を有するインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動態様を簡単に説明する。まず、電動モータ部Aにおいて、ステータ23に交流電流が供給されると、これに伴って生じる電磁力によりロータ24およびモータ回転軸25が一体回転する。モータ回転軸25の回転は、平行軸歯車減速機30によって減速された上で車輪用軸受50に伝達されるので、低トルクで高回転型の電動モータ(小型の電動モータ)26を採用した場合でも、駆動輪に必要なトルクを伝達することができる。
[0049]
 以上、第1発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置21について説明したが、インホイールモータ駆動装置21には、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更を施すことが可能である。
[0050]
 例えば、出力歯車軸37に設けた孔部65の他端は、出力歯車軸37の外表面のうち、ケーシング22の内部空間に露出した露出面Eであれば、インボード側の端面37d以外の面に開口させても構わない。具体的には、孔部65の他端を、図6や図7に示すように出力歯車軸37の外径面に開口させても良い。図6に示す実施形態では、出力歯車軸37の外径面のうち、出力歯車34とハブ輪51に設けた加締め部51bとの間の領域37eに孔部65の他端を開口させており、図7に示す実施形態では、出力歯車軸37の外径面のうち、出力歯車34よりもインボード側の領域(入力側中間歯車32と対向する領域)37fに孔部65の他端を開口させている。この場合、孔部65は、出力歯車軸37の回転軸O3に沿って延びた軸方向部と、この軸方向部に対して直交する方向(径方向)に延びた径方向部とで構成される。径方向部は、一つだけ設けても良いし、複数設けても良い。また、図示は省略するが、孔部65の他端は、出力歯車軸37のインボード側の端面37dおよび外径面の双方に開口させても良い。
[0051]
 また、第2シール部材S2としてのシールキャップ62には、図8および図9に示すように、孔部65の一端開口(アウトボード側の開口)を封口するシール部66を有するものを採用しても良い。シール部66は、ゴム材料、熱可塑性エラストマーおよび樹脂材料等の弾性材料で形成され、シールキャップ62を構成する芯金63に適宜の手段で固定されている。シール部66をゴム材料で形成する場合、シール部66はゴム部64と一体に設けることもできる。図8に示すシール部66は、孔部65のアウトボード側端部に嵌合されることで孔部65の一端開口を封口しており、図9に示すシール部66は、出力歯車軸37のアウトボード側の端面37cに密着することで孔部65の一端開口を封口している。
[0052]
 シールキャップ62に上記のシール部66を設けておけば、スプライン嵌合部Mの形成後に密封空間60とケーシング22の内部空間とを非連通の状態に維持することができる。そのため、密封空間60(スプライン嵌合部M)に介在する半固体状潤滑剤Jがケーシング22の内部空間側に流出し、その結果、スプライン嵌合部Mで潤滑不良が生じるのを防止することができる。また、図2に示すように、ケーシング22(特に減速機室22B)の内部空間に潤滑油Fを貯留する場合には、この潤滑油Fが密封空間60側に流出して半固体状潤滑剤Jと混ざり合い、その結果、半固体状潤滑剤Jに特性変化が生じるのを防止することができる。
[0053]
 以上で説明した実施形態では、平行軸歯車減速機30として、入力歯車軸35と出力歯車軸37との間に一軸の中間歯車軸36を配置してなり、モータ回転軸25の回転を二段階で減速して車輪用軸受部Cに伝達する三軸タイプの平行軸歯車減速機30を採用したが、平行軸歯車減速機30には、入力歯車軸35と出力歯車軸37との間に二軸以上の中間歯車軸36を配置してなる四軸以上の平行軸歯車減速機30を採用することも可能である(図示省略)。また、第1発明は、減速機部Bに平行軸歯車減速機30以外の減速機を採用した場合にも同様に適用することができる。
[0054]
 以下、本願の第2発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[0055]
 図10は、本願の第2発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置121の概略断面図(図11のZ -Z 線矢視断面図)である。このインホイールモータ駆動装置121は、駆動力を発生させる電動モータ部A1と、電動モータ部A1の回転を減速して出力する減速機部B1と、減速機部B1の出力を駆動輪に伝達する車輪用軸受部C1とを備える。電動モータ部A1および減速機部B1はケーシング122のモータ室122Aおよび減速機室122Bにそれぞれ収容され、車輪用軸受部C1はケーシング122に取り付けられている。なお、以下の説明で使用する“アウトボード側”および“インボード側”とは、それぞれ、インホイールモータ駆動装置121を駆動輪の内周に組み込んだ状態で車幅方向の外側および内側となる側である。図10においては、紙面左側がアウトボード側であり、紙面右側がインボード側である。
[0056]
 電動モータ部A1は、ケーシング122に固定された筒状のステータ123と、図示しない径方向隙間を介してステータ123の内周に配置されたロータ124と、外周にロータ124を装着したモータ回転軸125とを有するラジアルギャップ型の電動モータ126を備える。モータ回転軸125は、その軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受140,141によってケーシング122に対して回転自在に支持されており、毎分1万数千回程度の回転速度で回転可能である。電動モータ部A1には、ラジアルギャップ型に替えてアキシャルギャップ型の電動モータを採用することもできる。
[0057]
 図示は省略しているが、インホイールモータ駆動装置121の駆動中、電動モータ部A1(電動モータ126)の各部は、図示外の潤滑機構から供給される潤滑油によって潤滑および冷却される。
[0058]
 図10に示すように、減速機部B1には、入力歯車131を有する入力歯車軸135と、入力側中間歯車(大径歯車)132および出力側中間歯車(小径歯車)133を有する中間歯車軸136と、出力歯車134を有する出力軸としての出力歯車軸137とを備え、各歯車軸135~137(の回転軸O11~O13)が互いに平行に配置された、いわゆる平行軸歯車減速機130が設けられる。図11にも示すように、この平行軸歯車減速機130では、入力歯車131と入力側中間歯車132とが噛み合い、出力側中間歯車133と出力歯車134とが噛み合っている。入力側中間歯車132の歯数は、入力歯車131および出力側中間歯車133の歯数よりも多く、出力歯車134の歯数は、出力側中間歯車133の歯数よりも多い。係る構成から、本実施形態の平行軸歯車減速機130は、モータ回転軸125の回転を二段階で減速して出力する。
[0059]
 図10に示すように、入力歯車軸135は、モータ回転軸125と同軸に配置され、スプライン嵌合によってモータ回転軸125と一体回転可能に連結されている。従って、モータ回転軸125の回転軸(回転中心)は、入力歯車軸135の回転軸O11上にある。入力歯車軸135は、軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受142,143によってケーシング122に対して回転自在に支持されている。中間歯車軸136は、軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受144,145によりケーシング122に対して回転自在に支持され、また、出力歯車軸137は、軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受146,147によりケーシング122に対して回転自在に支持されている。
[0060]
 詳細な図示は省略しているが、減速機130に設けられる入力歯車131、両中間歯車132,133および出力歯車134には、何れも、歯筋がつるまき線状に形成された(歯筋が軸方向に対して傾斜した)はすば歯車を用いている。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が多く、歯当たりが分散されるため、噛合い時の音が静かでトルク変動が少ないという利点を有する。従って、はすば歯車を用いれば、静粛かつトルク伝達効率に優れた減速機130を実現する上で有利となる。
[0061]
 各歯車131~134がはすば歯車で構成される関係上、インホイールモータ駆動装置121の駆動中(各歯車軸135~137の回転中)、入力歯車131と入力側中間歯車132との噛合い部、および出力側中間歯車133と出力歯車134との噛合い部には、ラジアル荷重およびスラスト荷重の双方が作用する。これらのラジアル荷重およびスラスト荷重は、歯車軸135~137を支持する転がり軸受142~147によって支持される。従って、転がり軸受142~147には、ラジアル荷重およびスラスト荷重の双方を受けることができる軸受、例えば深溝玉軸受が使用される。
[0062]
 本実施形態のインホイールモータ駆動装置121においては、中間歯車軸136のインボード側の端部を支持する転がり軸受144に、中間歯車軸136のアウトボード側の端部を支持する転がり軸受145よりも大径のもの、すなわち負荷容量(剛性)が大きいものを用いると共に、出力歯車軸137の軸方向中央部付近を支持する転がり軸受147に、出力歯車軸137のインボード側の端部を支持する転がり軸受146よりも大径のものを用いている。係る構成に加え、入力側中間歯車132を部分的に肉取りして入力側中間歯車132の内周に中間歯車軸136のインボード側の端部を支持する転がり軸受144を配置している。以上の構成を採用することにより、減速機部B1に高い減速比を確保しつつ、減速機部B1の軸方向のコンパクト化を図っている。
[0063]
 図11に示すように、ケーシング122の減速機室122Bには、出力歯車134の一部を常時油浴状態とする潤滑油F1が充填されている。そして、出力歯車34の回転に伴って潤滑油F1が掻き上げられると、この掻き上げられた潤滑油F1により、減速機部B1の各部(歯車同士の噛合い部や転がり軸受142~147)が潤滑される。
[0064]
 図10および図12に示すように、車輪用軸受部C1は、いわゆる内輪回転タイプの車輪用軸受150を備える。車輪用軸受150は、ハブ輪151および内輪152からなる内方部材153と、外輪154と、ボール157と、図示外の保持器とを備えた複列アンギュラ玉軸受からなる。この車輪用軸受150では、ハブ輪151および内輪152の外周にそれぞれ形成された内側軌道面155と、外輪154の内周に形成された複列の外側軌道面156とで形成されるボールトラックに複数のボール157が組み込まれている。内方部材153と外輪154との間に画成される環状空間159はグリース等の潤滑剤で満たされている。環状空間159への異物侵入および環状空間159からの潤滑剤漏洩を防止するため、環状空間159の軸方向両端部にはシール部材が設けられている。
[0065]
 ハブ輪151のアウトボード側の端部には、径方向外向きに延びたフランジ部151aが設けられており、このフランジ部151aに駆動輪が取り付けられる。また、ハブ輪151のインボード側の端部には、車輪用軸受150に予圧を付与するため、内輪152を加締め固定してなる加締め部151bが形成されている。
[0066]
 外輪154のアウトボード側の端部には、径方向外向きに延びたフランジ部が設けられ、このフランジ部にアタッチメント158がボルト止めされている。そして、車輪用軸受部C1は、アタッチメント158を介してケーシング122に対してボルト止めされている。
[0067]
 図12に拡大して示すように、ハブ輪151の中空部の内径面には雌スプライン151cが形成されており、この雌スプライン151cに出力歯車軸137の外径面に形成された雄スプライン137aを嵌合することでハブ輪151と出力歯車軸137とが一体回転可能に連結されている。図13に示すように、雄スプライン137aと雌スプライン151cのはめあいは、両スプライン137a,151cの歯面間にすきまを介在させたすきまばめとなっている。図13では、理解の容易化のために歯面間のすきまを誇張して描いており、実際のすきま幅は0.1~0.5mm程度である。そのため、雌スプライン151cに雄スプライン137aを嵌合することで形成されるスプライン嵌合部M1は、ハブ輪151と出力歯車軸137とを径方向および軸方向に相対変位可能な状態で一体回転可能に連結している。
[0068]
 係る構成により、インホイールモータ駆動装置121の駆動中に、組立誤差等に起因する静的なミスアライメントや、車両走行時の車輪の変位等に起因する動的なミスアライメントによりハブ輪151や出力歯車軸137(インホイールモータ駆動装置121の出力系)で生じる径方向の振動をスプライン嵌合部M1で吸収することができる他、車両走行時にハブ輪151等に入力される軸方向の変位(振動)もスプライン嵌合部M1で吸収することができる。そのため、各種振動等に起因した騒音の発生を可及的に防止することができる静粛なインホイールモータ駆動装置121を実現できる。
[0069]
 図12および図13に示すように、スプライン嵌合部M1を形成する雄スプライン137aは、周方向の一部領域が軸方向に沿って肉取りされている。図示例では、雄スプライン137aを構成する多数の歯(凸部)のうち、一つの凸部全体を除去するようにして肉取り部165を形成している。このような肉取り部165が設けられていることにより、スプライン嵌合部M1の周方向一部領域には軸方向に沿って延びた直線状空間166が形成される。この直線状空間166の形成領域では、出力歯車軸137とハブ輪151の離間距離(歯面間のすきま)が直線状空間166の非形成領域に比べて大きくなっている。肉取り部165は、例えば、通常の雄スプライン137aを形成した後、切削等の機械加工で雄スプライン137aを構成する一つの凸部を除去することによって形成することができる。
[0070]
 スプライン嵌合部M1が無潤滑の状態でハブ輪151と出力歯車軸137とが繰り返し相対変位すると、スプライン137a,151cが摩耗し、耐久性が低下する可能性がある。そのため、図13に示すように、スプライン嵌合部M1(両スプライン137a,151cの歯面間のすきま)には、上記の直線状空間166を含め、半固体状潤滑剤J1が介在している。この潤滑剤J1としては、例えば、リチウム系グリースやウレア系グレースなどに代表される各種グリースの他、上記グリースに二硫化モリブデンやグラファイト等の固体潤滑剤を分散させることで潤滑効果(摩耗防止効果)を高めたもの、などを使用することができる。
[0071]
 図12に示すように、スプライン嵌合部M1よりもインボード側およびアウトボード側には、ハブ輪151の中空部の開口を封口した第1シール部材S11および第2シール部材S12がそれぞれ設けられる。これにより、スプライン嵌合部M1に介在させた半固体状潤滑剤J1の外部漏洩やスプライン嵌合部M1への異物侵入等を可及的に防止することができるので、スプライン嵌合部M1を持続的にかつ効率良く潤滑することができる。
[0072]
 本実施形態では、出力歯車軸137の外径面のうち、スプライン嵌合部M1よりもインボード側の領域に設けた環状溝137bに環状の第1シール部材S11としてのOリング161を嵌合固定し、このOリング161を出力歯車軸137およびハブ輪151の双方に密着させることにより、スプライン嵌合部M1よりもインボード側でハブ輪151の中空部の開口を封口している。また、ハブ輪151の中空部の内径面のうちスプライン嵌合部M1よりもアウトボード側に設けた大径内径面に、有底筒状をなした第2シール部材S12としてのシールキャップ162を圧入することにより、スプライン嵌合部M1よりもアウトボード側でハブ輪151の中空部の開口を封口している。シールキャップ162は、芯金163と、芯金163の表面に加硫接着されたゴム部164とを有し、ゴム部164をハブ輪151の中空部の内径面に圧入することで密封性を担保している。
[0073]
 図12に示すように、シールキャップ162は、出力歯車軸137と軸方向に離間して配置されており、出力歯車軸137(のアウトボード側の端面137c)との間に空気が介在する空気溜り160を形成している。この空気溜り160は、肉取り部165を設けることでスプライン嵌合部M1の周方向一部領域に形成された直線状空間166(図13参照)と軸方向で連続している。すなわち、直線状空間166のアウトボード側の端部は空気溜り160に開口している。なお、空気溜り160の大半は空気で占められているが、空気溜り160には、スプライン嵌合部M1の形成過程等でスプライン嵌合部M1から溢れ出た半固体状潤滑剤J1が介在する場合もある。
[0074]
 以上の構成を有するインホイールモータ駆動装置121は、ケーシング122のモータ室122Aおよび減速機室122Bにモータ部A1および減速機部B1をそれぞれ組み込んでから、ケーシング122に組み込まれた減速機部B1の出力軸(出力歯車軸137)と車輪用軸受部C1のハブ輪151との間にスプライン嵌合部M1(半固体状潤滑剤J1が介在するスプライン嵌合部M1)を形成するようにして、減速機部B1に対して車輪用軸受部C1を連結する、といった手順を踏んで組み立てられる。そのため、連結作業の開始前には、雄スプライン137aおよび雌スプライン151cの少なくとも一方に半固体状潤滑剤J1が塗布される。本実施形態では、雌スプライン151cの全域に半固体状潤滑剤J1が塗布される(図14A参照)。
[0075]
 連結作業時には、スプライン嵌合部M1の密封構造も併せて形成する。そのため、図14Aに示すように、連結作業に供される出力歯車軸137には、その外径面に設けた環状溝137bにOリング161が嵌合固定され、連結作業に供されるハブ輪151の中空部の内径面には、シールキャップ162が圧入されている。
[0076]
 上記態様で減速機部B1に対して車輪用軸受部C1を連結する際には、ハブ輪151の雌スプライン151cに潤滑剤J1が塗布され、また、ハブ輪151の中空部の内径面にシールキャップ162が圧入固定されている関係上、雌スプライン151cと雄スプライン137aの嵌合が開始されると、図14Aに示すように、出力歯車軸137、ハブ輪151、シールキャップ162および潤滑剤J1によって密封空間160’が画成される。そのため、以降、減速機部B1に対する車輪用軸受部C1の連結作業は、密封空間160’の容積を縮小(密封空間160’に介在する空気を圧縮)するようにして進展する。
[0077]
 本実施形態では、雄スプライン137aの周方向一部領域を軸方向に沿って肉取りしたことにより、スプライン嵌合部M1の周方向一部領域に直線状空間166が形成されており、この直線状空間166の形成領域では、両スプライン137a,151cの歯面間のすきまが直線状空間166の非形成領域よりも大きくなっている。そのため、上記連結作業が進展し、密封空間160’に介在する空気が圧縮されるのに伴って、スプライン嵌合部M1に介在する半固体状潤滑剤Jに空気の反発力が作用すると、Oリング161がハブ輪151の内径面に接触していない段階では、直線状空間166に介在する半固体状潤滑剤J1が押し退けられて密封空間160’と外部空間とが連通する(図14A,14B参照)。これにより、密封空間160’の圧力上昇を抑えることができるので、車輪用軸受部C1に付与すべき軸方向の押し込み力をいたずらに高めずとも、車輪用軸受部C1をスムーズに押し込むことができる。
[0078]
 連結作業がさらに進展し、図15に示すように、Oリング161がハブ輪151の内径面に接触すると、密封空間160’と外部空間とは非連通の状態になるが、密封空間160’は、この状態では半固体状潤滑剤J1で満たされていない直線状空間166と軸方向で連続しているので、密封空間160’の容積を拡大することができる。これにより、密封空間160’の圧力上昇を抑えることができるので、車輪用軸受部C1をスムーズに押し込むことができる。
[0079]
 また、連結作業が完了したインホイールモータ駆動装置121(図12参照)においては、ハブ輪151に固定されたシールキャップ162と出力歯車軸137との間に空気が介在する空気溜り160が形成されている。係る構成は、シールキャップ162と出力歯車軸137とが軸方向で当接するまで(密封空間160’が実質的に消失するまで)減速機部B1と車輪用軸受部C1とを接近移動させずに、シールキャップ162と出力歯車軸137とを所定量軸方向に離間して配置することによって得られる。そのため、連結作業の完了間際においても、密封空間160’の圧力上昇を抑えることができる。
[0080]
 以上で説明したように、本願の第2発明によれば、スプライン嵌合部M1の形成過程における密封空間160’の圧力上昇を抑えることができる。これにより、減速機部B1に対する車輪用軸受部C1の連結作業をプレス機等の大掛かりな設備を用いずに人手作業で実施することが可能となるので、組立工程を簡略化してインホイールモータ駆動装置121の組立性(生産性)を高めることができる。また、上記連結作業の実施に伴う密封空間160’の圧力上昇を抑えることができれば、スプライン嵌合部M1の分解過程で空気溜り160の圧力が低下することによる分解性(減速機部B1と車輪用軸受部C1の分離性)の低下も効果的に防止することができる。
[0081]
 従って、以上で説明した第2発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置121は、静粛で耐久性に優れると共に組立性および分解性も良好である。
[0082]
 なお、上記のように、減速機部B1に対する車輪用軸受部C1の連結作業(スプライン嵌合部M1の形成)を人手作業で実施可能とするには、密封空間160’の圧力上昇に伴って生じる空気の反発力(最大値)を20kgf(196N)以下に抑えるのが好ましい。これを実現するには、図16に模式的に示すように、空気溜り160の容積をV 、雄スプライン137aの半径(最大値)をr、出力歯車軸137に嵌合したOリング161がハブ輪151の内径面に接触した位置(図15参照)から車輪用軸受部C1の連結完了位置(スプライン嵌合部M1の形成完了位置)に至るまでの出力歯車軸137のストローク量をxとしたとき、V ≧(π x)/(1960-πr )の関係式が成立するようにする。例えば、r=15mm、x=3mmの場合、V≒1195mm (≒1cm )以上に設定する。
[0083]
 以上の構成を有するインホイールモータ駆動装置121の全体的な作動態様を簡単に説明する。まず、電動モータ部A1において、ステータ123に交流電流が供給されると、これに伴って生じる電磁力によりロータ124およびモータ回転軸125が一体回転する。モータ回転軸125の回転は、平行軸歯車減速機130によって減速された上で車輪用軸受150に伝達されるので、低トルクで高回転型の電動モータ(小型の電動モータ)126を採用した場合でも、駆動輪に必要なトルクを伝達することができる。
[0084]
 以上、第2発明の一実施形態に係るインホイールモータ駆動装置121について説明したが、インホイールモータ駆動装置121には、第2発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更を施すことが可能である。
[0085]
 例えば、スプライン嵌合部M1の周方向一部領域に設ける直線状空間166は、図17Aに示すように、雄スプライン137aを構成する多数の凸部のうち、一つの凸部を部分的に除去するように肉取り部165を設けることで形成しても良いし、図17Bに示すように、雌スプライン151cを構成する多数の凸部のうち、一つの凸部全体を除去するように肉取り部165を設けることで形成しても良い。さらに言えば、肉取り部165(直線状空間166)の形成態様は、スプライン嵌合部M1におけるトルク伝達性能に悪影響が及ばない限りにおいて任意に変更することができる。従って、肉取り部165は、雄スプライン137aおよび雌スプライン151cの双方に設けても良いし、周方向に離間した複数箇所に設けても良い。この場合、減速機部B1と車輪用軸受部C1の連結作業性(インホイールモータ駆動装置121の組立性)を向上する上で有利となる。
[0086]
 また、以上で説明した実施形態では、平行軸歯車減速機130として、入力歯車軸135と出力歯車軸137との間に一軸の中間歯車軸136を配置してなり、モータ回転軸125の回転を二段階で減速して車輪用軸受部C1に伝達する三軸タイプの平行軸歯車減速機130を採用したが、平行軸歯車減速機130には、入力歯車軸135と出力歯車軸137との間に二軸以上の中間歯車軸136を配置してなる四軸以上の平行軸歯車減速機130を採用することも可能である(図示省略)。また、第2発明は、減速機部B1に平行軸歯車減速機130以外の減速機を採用した場合にも同様に適用することができる。
[0087]
 以上で説明した第1発明および第2発明は、前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内においてさらに種々なる形態で実施し得る。すなわち、本願の第1発明および第2発明の範囲は、請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。

符号の説明

[0088]
21   インホイールモータ駆動装置
22   ケーシング
22B  減速機室
26   電動モータ
30   平行軸歯車減速機
37   出力歯車軸(減速機部の出力軸)
37a  雄スプライン
50   車輪用軸受
51   ハブ輪
51c  雌スプライン
60   密封空間
61   Oリング(第1シール部材)
62   シールキャップ(第2シール部材)
65   孔部
66   シール部
A    電動モータ部
B    減速機部
C    車輪用軸受部
E    露出面
F    潤滑油
J    半固体状潤滑剤
S1   第1シール部材
S2   第2シール部材
121  インホイールモータ駆動装置
122  ケーシング
122B 減速機室
126  電動モータ
130  平行軸歯車減速機
137  出力歯車軸(減速機部の出力軸)
137a 雄スプライン
150  車輪用軸受
151  ハブ輪
151c 雌スプライン
160  空気溜り
160’ 密封空間
161  Oリング(第1シール部材)
162  シールキャップ(第2シール部材)
165  肉取り部
166  直線状空間
A1   電動モータ部
B1   減速機部
C1   車輪用軸受部
F1   潤滑油
J1   半固体状潤滑剤
S11  第1シール部材
S12  第2シール部材

請求の範囲

[請求項1]
 電動モータ部と、該電動モータ部の回転を減速して出力する減速機部と、該減速機部の出力を車輪に伝達する車輪用軸受部と、前記電動モータ部および前記減速機部を収容したケーシングと、前記減速機部の出力軸と前記車輪用軸受部のハブ輪とを相対変位可能な状態で一体回転可能に連結したスプライン嵌合部と、該スプライン嵌合部に介在する半固体状潤滑剤とを備え、
 前記ハブ輪の中空部の開口が、前記スプライン嵌合部よりもインボード側で前記出力軸および前記ハブ輪に密着した環状の第1シール部材と、前記スプライン嵌合部よりもアウトボード側で前記ハブ輪の中空部の内径面に固定された第2シール部材とで封口されたインホイールモータ駆動装置であって、
 前記出力軸に、一端が前記出力軸のアウトボード側の端面に開口すると共に、他端が前記出力軸のうち前記ケーシングの内部空間への露出面に開口した孔部を設けたことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
[請求項2]
 前記露出面が、前記出力軸のインボード側端面および外径面の何れか一方又は双方である請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
[請求項3]
 前記減速機部が、前記電動モータ部の出力を受けて回転する入力歯車軸と、該入力歯車軸と平行に配置された前記出力軸としての出力歯車軸とを有する平行軸歯車減速機を備える請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
[請求項4]
 前記ケーシングの内部空間に、前記出力歯車軸に設けられる出力歯車の一部を油浴状態とする潤滑油が貯留されている請求項3に記載のインホイールモータ駆動装置。
[請求項5]
 前記第2シール部材が、前記孔部の一端開口を封口したシール部を有する請求項1~4の何れか一項に記載のインホイールモータ駆動装置。
[請求項6]
 電動モータ部と、該電動モータ部の回転を減速して出力する減速機部と、該減速機部の出力を車輪に伝達する車輪用軸受部と、前記減速機部の出力軸と前記車輪用軸受部のハブ輪とを相対変位可能な状態で一体回転可能に連結したスプライン嵌合部と、該スプライン嵌合部に介在する半固体状潤滑剤とを備え、
 前記ハブ輪の中空部の開口が、前記スプライン嵌合部よりもインボード側で前記出力軸および前記ハブ輪に密着した環状の第1シール部材と、前記スプライン嵌合部よりもアウトボード側で前記ハブ輪の中空部に固定された第2シール部材とで封口されたインホイールモータ駆動装置であって、
 前記スプライン嵌合部を形成する雄スプラインおよび雌スプラインの少なくとも一方の周方向一部領域を軸方向に沿って肉取りすることにより、前記出力軸と前記ハブ輪との間に直線状空間を形成し、この直線状空間と、前記出力軸と前記第2シール部材とを軸方向に離間して配置することで両者間に形成した空気溜りとを軸方向で連続させたことを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
[請求項7]
 前記減速機部が、前記電動モータ部の出力を受けて回転する入力歯車軸と、該入力歯車軸と平行に配置された前記出力軸としての出力歯車軸とを有する平行軸歯車減速機を備える請求項6に記載のインホイールモータ駆動装置。
[請求項8]
 前記電動モータ部および前記減速機部を収容したケーシングの内部空間に、前記出力歯車軸に設けられる出力歯車の一部を油浴状態とする潤滑油が貯留されている請求項7に記載のインホイールモータ駆動装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14A]

[ 図 14B]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17A]

[ 図 17B]

[ 図 18]

[ 図 19]