Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2002025265 - PROBING METHOD USING ION TRAP MASS SPECTROMETER AND PROBING DEVICE

Note: Text based on automatic Optical Character Recognition processes. Please use the PDF version for legal matters

[ JA ]
イオントラップ質量分析計を用いた探知方法及ぴ探知装置

技術分野

本発明は爆発物や麻薬の探知技術に係わり、特に質量分析計を用いた 探知装置に関する。

背景技術

国際紛争の深刻化に伴い、テロの防止や治安維持のため、爆発物を探 知するための探知装置が求められている。探知装置では、 X線透過を用 V、た手荷物検査装置が空港を中心に広く用いられている。 X線探知装置 などは、対象を塊として認識し、形状等の情報から危険物を判別するた め、バルク検出と呼ばれる。一方、ガス分析をベースとした探知法はト レース検出と呼ばれ、化学分析情報から物質の同定を行う。トレース検 出には、カバンなどに付着した極微量の成分を探知できるという特徴が ある。社会的にセキュリティ強化が求められる中、バルク検出とトレー ス検出とを組み合わせて、より高精度に危険物を探知する装置が望まれ ている。

一方、様々なルートで持ち込まれる禁制薬物の発見のため、税関等で も探知装置が使用される。税関では主にバルク検出装置と麻薬探知犬が 使用されているが、麻薬探知犬に代わる禁制薬物用のトレース分析装置 が熱望されている。

トレース検出では、イオンモビリティスぺクトロスコピー、ガスクロ マトグラフィなど様々な分析方法が試みられている。探知装置として重 要なスピード、感度、選択性を全て兼ね備えた装置の開発に向けて研究 が進められている。

このような状況のなか、質量分析法は基本的にスピード、感度、選択 性に優れているため、例えば特開平 7— 1 3 4 9 7 0号公報の様に、質 量分析法をベースとした探知技術が提案されている。第 1 6図を用いて、 質量分析法をベースとした従来の探知装置を説明する。

空気取り入れプローブ 1は絶縁パイプ 2を介してイオン源 3に接続さ れ、イオン源 3は排気口 4、絶縁パイプ 5を介し空気排気用ポンプ 6に 接続される。イオン源 3は針電極 7と第 1細孔電極 8と中間圧力部 9と 第 2細孔電極 1 0とを備え、針電極 7は電源 1 1に接続され、第 1細孔 電極 8と第 2細孔電極 1 0はイオン加速電源 1 2に接続される。中間圧 力部 9は排気口 1 3を介し真空ポンプに接続される。中間圧力部の後段 に静電レンズ 1 4が配置され、静電レンズ 1 4の後段に質量分析部 1 5、 検出器 1 6が配置される。検出器 1 6からの検出信号は増幅器 1 7から データ処理部 1 8に供給される。データ処理部 1 8は特定の薬物を示す 複数の mZ z (イオンの質量数/イオンの価数)値を判定し、被検気体 に特定の薬物が含まれているか否かを判定する。

このデータ処理部 1 8は、質量判定部 1 0 1、薬物 A判定部 1 0 2、 薬物 B判定部 1 0 3、薬物 C判定部 1 0 4と警報駆動部 1 0 5とを備え ている。また、警報駆動部 1 0 5により駆動される警報表示部 1 9には、 表示部 1 0 6、 1 0 7、 1 0 8が配置される。 '

発明の開示

上記従来技術には、次のような課題があった。

上記の装置では、ィオン源で生成したィオンの m/ z値を用いて薬物 判定を行う。従って、探知している薬物と同じ m/ zを有するイオンを 生成する化学物質が存在した場合、薬物が無いにもかかわらず警報を表 示してしまうといった誤報の可能性が高かった。

より具体的には、手荷物中の覚醒剤を探知している際に、手荷物に入 れられた化粧品の成分に反応して誤報を発してしまうといった課題があ つた。これは、イオンを分析する質量分析部の選択性が低い事が原因で あり、偶然同一の m/ zを有する覚醒剤由来のイオンと化粧品由来のィ オンとを区別できないために起きる。

質量分析装置において選択性を高める方法として、タンデム質量分析 法が知られている。タンデム質量分析法を実施するための装置として、 三連四重極質量分析計や四重極ィオントラップ質量分析計などがある。 タンデム質量分析法では、通常、

( 1 ) 1段目の質量分析

質量分析を行い、イオン源で生成されたイオンの mZ zを測定する。 ( 2 ) 選択

様々な mノ zを有するイオンの中から、特定の mZ zを有するイオン を選択する。

( 3 ) 解離

選択されたイオン(プリカーサ一イオン)を中性ガスなどとの衝突に より解離させ、分解物イオン(フラグメントイオン)を生成する。

( 4 ) 2段目の質量分析

フラグメントイオンの質量分析を行う。

というステップが用いられる。プリカーサ一^ fオンが解離する場合、分 子の中でどの部位が切れるかは、部位ごとの化学結合の強さに依存する。 従って、フラグメントイオンを分析すると、プリカーサ一イオンの分子 構造情報を極めて豊富に含んだ質量スペクトルが得られる。従って、ィ オン源で生成されたイオンの m/ zが偶然同じでも、フラグメントイォ ンの質量スぺクトルを調べる事で探知の対象物が含まれているか否かを 判別できる。

従って、第 1 6図に示した従来の探知装置において、質量分析部 1 5 を三連四重極質量分析計や四重極ィオントラップ質量分析計に置き換え、 タンデム質量分析法を行えば、選択性が向上し、誤報を低減できる。し かしながら、タンデム質量分析法は通常の質量分析法に比べて時間がか かるため、探知装置に求められる探知スピードが達成できないといった 課題があった。

以上の様な理由により、高い選択性と速い探知スピードとを兼ね備え た探知装置が望まれていた。

本発明の目的は、高速のスクリーニングモードと、高選択性の精査モ 一ドとを併用する事により、高速かつ誤報の少ない爆発物 ·禁制薬物等 の探知装置を提供することにある。

図面の簡単な説明

第 1図は、本発明の一実施例のアルゴリズムを示す図であり、第 2図 は、本発明を実施するための装置構成の一例を示す図であり、第 3図は、 本発明を実施するためのイオン源部の構成の一例を示す図であり、第 4 図は、本発明を実施するための蒸気採取部の構成の一例を示す図であり、 第 5図は、本発明の一実施例での電圧印加のタイミングを示す図であり、 第 6図は、本発明の一実施例での M S /M S分析の手順を示す図であり、 第 7図は、本発明の一実施例での分析の手順を示す図であり、第 8図は、 タンデム質量分析法を示すフローチャート図であり、第 9図は、本発明 の一実施例のアルゴリズムを示す図であり、第 1 0図は、リング電極と エンドキヤップ電極に印加する高周波電圧のタイミングを示す図であり、 第 1 1図は、閉じ込め選択時間にエンドキャップ電極印加された電圧の 周波数を示す図であり、第 1 2図は、本発明の一実施例でイオン閉じ込 めと解離が同時に進行する状況を示す図であり、第 1 3図は、本発明の 一実施例でイオン閉じ込めと解離が同時に進行する際のエンドギヤプ電 極に印加された高周波電圧の周波数を示す図であり、第 1 4図は、本発 明の一実施例のアルゴリズムを示す図であり、第 1 5図は、本発明の一 実施例の装置構成を示す図であり、第 1 6図は、危険物探知に用いられ る従来の質量分析計の構成を示す図である。

発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の実施の形態について、図を用いて詳細に記載する。 第 1図は本発明の一実施例のァルゴリズムを説明する図である。 本実施例では、質量スぺクトルを取得する第 1の分析ステップ 2 0 1 と、第 1の固有の m/ zのイオンが存在するか判定する第 1の判定ステ ップ 2 0 2と、前記第 1の判定ステップ 2 0 2の判定結果に応じてタン デム質量分析法を行う第 2の分析ステップ 2 0 3と、第 2の固有の mZ zのィオンが存在するか判定する第 2の判定ステツプ 2 0 4と、前記第 2の判定するステップ 2 0 4の判定結果に応じて警報を発動する告知ス テツプ 2 0 5を設ける。ステップ 2 0 1とステップ 2 0 2による測定操 作をスクリ一二ングモード、ステップ 2 0 3とステップ 2 0 4による測 定操作を精查モードとする。

探知を行う場合、試料ガスから生成されるイオンをステップ 2 0 1に おいて分析し、探知対象物由来のイオンに相当する m/ zを有するィォ ンが検出されたかどうかをステップ 2 0 2において判定する。例えば、 覚醒剤の一種であるアンフエタミンを正の大気圧化学イオン化モードで イオン化すると、アンフェタミン分子にプロトンが付加した擬似分子ィ オン (M+ H) + (Mは試料分子、 Hはプロトン)が生成される。この 擬似分子イオンの m/ zは 1 3 6であるため、ステップ 2 0 2では m/ zが 1 3 6のィオンが検出されたかどうかを判定する。 (第 1の判定) ここで、ステップ 2 0 2において判定する mZ zの値が探知対象物に 応じて異なる事は言うまでも無い。種々の麻薬、覚醒剤等に対応して、 複数の異なる mZ zを判定しても良い。

第 1の分析ステップ 2 0 1における分析時間を 0 . 1秒とした場合、 ステップ 2◦ 1を操り返し、測定結果を積算してか積算した結果に対 してステップ 2 0 2により判定しても良い。積算する事で、ランダムノ ィズが平均化されるので、ステップ 2 0 2において誤った判定する割合 を低減できる。

ステップ 2 0 2において、あらかじめ設定しておいた第 1の固有の m / zを有するイオンが存在すると判定された場合、タンデム質量分析法 (以下では、 M S /M Sと記載する)を行う第 2の分析ステップ 2 0 3 が実行される。ステップ 2 0 3には、プリカーサ一イオンの選択、プリ カーサ一イオンの解離、フラグメントイオンの質量分析が含まれる。分 析の精度を上げるため、ステップ 2 0 3ではステップ 2 0 1に比べて長 い時間をかけると良い。

ステップ 2 0 3において、分子構造情報を豊富に含んだ質量スぺクト ルが得られる。この質量スぺクトルをステップ 2 0 4において判定し (第 2の判定)、探知対象物特有の m/ zを有するイオンが存在するかどうか 判定し、 ·存在する場合にはステップ 2 0 5において警報を駆動し告知す る。

ステップ 2 0 4において判定を行う際、探知対象物のタンデム質量分 析法による質量スぺクトルをあらかじめ測定してデータベースとし、こ のデータベースを参照する事により精度の高い判定が可能になる。

第 1図に示したアルゴリズムを用いた探知方法を、より具体的に説明 すると以下の様になる。探知中は、まずスクリーニングモード(すなわ ちステップ 2 0 1における測定とステップ 2 0 2による判定)を実行し、 これを操り返す事になる。ステップ 2 0 1に要する時間を 0 . 1秒に設 定し、 1 0回の測定結果を積算してからステップ 2 0 2により判定する と、トータルの探知時間はおよそ 1秒である。ステップ 2 0 2による判 定によって、探知対象物が存在すると疑われる場合は、精査モードに移 行する。ステップ 2 0 3に要する時間を 0 . 5秒とし、やはり 1 0回の 測定結果を積算してからステップ 2 0 4により判定すると、ステップ 2 0 1から始まるスクリーニングモードを含めてトータルで約 6秒程度の 探知時間になる。セキュリティゲートなどに付随する手荷物検査の場合、 通常は探知装置への手荷物の搬入、探知、探知装置からの手荷物の搬出 を含めて数秒で行わなければならない。従って、実際に探知に費やす事 が出来る時間は 1〜2秒であるが、ほとんどの手荷物には探知対象物は 入っていないと想定されるので、スクリーユングモードによりおよそ 1 秒で探知を終了させる事が出来る。従って、第 1図に示したァルゴリズ ムを用いる事により、まれに精査モードまで行うため時間がかかる事が あっても、探知に要する平均時間として手荷物一つ当たり 1〜2秒程度 に抑える事ができ、セキュリティゲートにおいて荷物の流れを著しく妨 げる事無く手荷物の検査を行う事が出来る。また、最終的に精査モード によりタンデム質量分析法に基づく判定を行うため、選択性が高く、誤 報を低減させることが出来る。

以上の様に、タンデム質量分析法により精査するには時間がかかるた め、ステップ 2 0 2の判定の結果ステップ 2 0 3に移行した場合、すな わちスクリーニングモードから精査モードへと移行した場合、この段階 で警告ランプを点灯させるなど、操作者が認識しやすい信号を出力する と良い。

第 2図は、本発明を実施するための具体的な装置構成を示す図である。 質量分析部に、四重極イオントラップ質量分析計(以下では、イオント ラップ質量分析計と記載する)を使用した例を示す。イオン源 2 0には ガス導入管 2 1、および排気管 2 2 a、 2 2 bが結合されている。試料 ガス採集口からのガスは、排気管 2 2 a、 2 2 bに結合されたポンプに より吸引され、ガス導入管 2 1を介してイオン源 2 0に導入される。ィ オン源に導入されたガス中に含まれる成分は、一部がイオン化される。 イオン源により生成したイオンおよびイオン源に導入されたガスの一部 は、第 1細孔 2 3、第 2細孔 2 4、第 3細孔 2 5を介し'て真空ポンプ 2 6により排気された真空部 2 7に取り込まれる。これらの細孔は、直径 0 . 3 m m程度であり、細孔の開口する電極はヒータ(図示せず)によ り、 1 0 0 °Cから 3 0 0 °C程度に加熱される。第 1細孔 2 3から取り込 まれなかったガスは、排気管 2 2 a、 2 2 bからポンプを介して装置の 外部に排気される。

細孔 2 3、 2 4、 2 5の開口する電極の間は差動排気部 2 8、 2 9に なっており、荒引きポンプ 3 0により排気される。荒引きポンプ 3 0に は、通常、ロータリポンプ、スクロールポンプ、またはメカニカルブー スタポンプなどが用いられるが、この領域の排気にターボ分子ポンプを 使用することも可能である。また、細孔 2 3、 2 4、 2 5の開口する電 極には電圧が印加できるようになっており、ィオン透過率を向上させる と同時に、残留する分子との衝突により、断熱膨張で生成したクラスタ イオンの開裂を行う。

第 2図では、荒引きポンプ 3 0に排気速度 9 0 0リツトル/分のスク ロールポンプ、真空部 2 7を排気する真空ポンプ 2 6に排気速度 3 0 0 リットルノ分のターボ分子ポンプを使用した。ターボ分子ポンプの背圧 側を排気するポンプとして、.荒引きポンプ 3 0を兼用している。第 2細 孔 2 4と第 3細孔 2 5間の圧力は約 1 トールである。また、第 2細孔 2 4の開口する電極を除去し、第 1細孔 2 4と第 3細孔 2 5の二つの細孔 で構成された差動排気部にすることも可能である。ただし、上記の場合 に比較して、流入するガス量が増えるので、使用する真空ポンプの排気 速度を増やす、細孔間の距離を離すなどの工夫が必要となる。また、こ の場合も、両細孔間に電圧を印加することは重要となる。

生成したイオンは第 3細孔 2 5を通過後、収束レンズ 3 1により収束 される。この収束レンズ 3 1には、通常 3枚の電極からなるアインツエ ルレンズなどが用いられる。イオンはさらにスリット電極 3 2を通過す る。第 3細孔 2 5を通過したイオンは、収束レンズ 3 1によりスリット 電極 3 2の開口部に収束し、通過するが、収束されない中性粒子などは このスリツト部分に衝突し質量分析部側に行きにくい構造となっている。 スリット電極 3 2を通過したイオンは、多数の開口部を備えた内筒電極 3 3と外筒電極 3 4よりなる二重円筒型偏向器 3 5により偏向かつ収束 される。二重円筒型偏向器 3 5では、内筒電極の開口部より滲みだした 外筒電極の電界を用いて偏向かつ収束している。この詳細は、既に特開 平 7— 8 5 8 3 4に開示している。

二重円筒型偏向器 3 5を通過したイオンは、リング電極 3 6とエンド キヤップ電極 3 7 a、 3 7 bで構成されるイオントラップ質量分析計に 導入される。グート電極 3 8は質量分析計へのイオンの入射のタイミン グを制御するために設けられている。つば電極 3 9 a、 3 9 bは、ィォ ンがリング電極 3 6とエンドキャップ電極 3 7 a、 3 7 bを保持する石 英リング 4 0 a、 4 0 bに到達し、石英リング 4 0 a、 4 0 bが帯電す るのを妨げるために設けられている。

イオントラップ質量分析計の内部には、ヘリウムガス供給管(図示せ ず)からヘリゥムが供給され、 1 0—3トール程度の圧力に保たれている。 イオントラップ質量分析計は、質量分析計制御部(図示せず)により制 御される。質量分析計内に導入されたイオンは、ヘリウムガスと衝突し てエネルギーを失い、交流電界により捕捉される。捕捉されたイオンは、 リング電極 3 6とエンドキヤップ電極 3 7 a、 3 7 bに印加された高周 波電圧を走查することによって、ィオンの mZ zに応じてイオントラッ プ質量分析計の外に排出され、イオン取り出しレンズ 4 1を経て検出器 4 2により検出される。検出された信号は増幅器 4 3.によって増幅後、 データ処理装置 4 4にて処理される。

イオントラップ質量'分析計は内部(リング電極 3 6とエンドキャップ 電極 3 7 a、 3 7 bとで囲まれた空間)にイオンを捕捉する特性を有す るので、探知対象物質の濃度が低く生成されるイオン量が少ない場合で もイオンの導入時間を長くすると検出できる点にある。従って、試料濃 度が低い場合でも、イオントラップ質量分析計のところでィオンの高倍 率濃縮が可能であり、試料の前処理(濃縮など)を非常に簡便化できる。 第 3図は、第 2図における装置のイオン源部の拡大図である。試料ガ ス導入管 2 1を通して導入されたガスは、いったんイオンドリフト部 4 5に導入される。このィオンドリフト部 4 5はほぼ大気圧状態にある。 ィオンドリフト部 4 5に導入された試料ガスの一部は、コロナ放電部 4 6に導入され、残りは排気管 2 2 bを通してイオン源外に排出される。 コロナ放電部 4 6に導入された試料ガスは、針電極 4 7に高電圧を印可 する事で針電極 4 7の先端付近に生成されるコロナ放電領域 4 8に導入 され、イオン化される。このとき、コロナ放電領域 4 8では、針電極 4 7から対向電極 4 9に向かってドリフトするイオンの流れにほぼ対向す るような方向に試料ガスが導入される。生成したイオンは電界により対 向電極 4 9の開口部 5 0を通して、イオンドリフト部 2に導入される。 このとき、対向電極 4 9と第 1細孔 2 3の開口する電極との間に電圧を 印加することにより、イオンをドリフトさせ、効率良く第 1細孔 2 3に 導く事ができる。第 1細孔 2 3から導入されたイオンは、第 2細孔 2 4 及ぴ第 3細孔 2 5を通して、真空部 2 7に導入される。

コロナ放電部 4 6に流入するガスの流量は高感度かつ安定に探知する ために重要である。このため、排気管 2 2 aには流量制御部 5 1を設け ると良い。また、ドリフト部 4 5やコロナ放電部 4 6、ガス導入管 2 1 などは、試料の吸着を防ぐ観点から、ヒーター(図示せず)などにより 加熱しておくと良い。ガス導入管 2 1や排気管 2 2 bを通過するガス流 量は、ダイアフラムポンプのような吸引ポンプ 5 2の容量及び配管のコ ンダクタンスにより決定することができるが、ガス導入管 2 1や排気管 2 2 bにも第 3図に示した流量制御部 5 1のような制御装置を設けても 良い。吸引ポンプ 5 2を、ガスの流れから見てイオン生成部(すなわち、 図示した構成ではコロナ放電部 4 6 ) の下流に設ける事で、吸引ポンプ 5 2の内部の汚染(試料の吸着等)による影響が少なくなる。

第 4図は、本発明に係る装置の試料ガス採取部の一例を示す図である。 探知装置は大きく分けて、本体 5 3、ガス吸引部 5 4、筐体 5 5、デー タ処理装置 4 4により構成される。ガス吸引部 5 4として、プローブ 5 6を接続したガス導入管 2 1を用い、手荷物などにプローブ 5 6を近づ けて手荷物周辺の空気を本体 5 3に吸引し、探知を行う。

参考まで、本発明の一実施例におけるイオントラップ質量分析計の動 作について説明するため、第 5図、第 6図にリング電極とエンドキヤッ プ電極に印可する電圧のタイミングを示す。第 5図は、第 1図における ステップ 2 0 1での動作を表し、第 6図は、ステップ 2 0 3での動作を 表す。 +

ステップ 2 0 1において、イオン閉じ込め時 3 0 2には、リング電極 に高周波を印可し、質量分析計内にイオンを捕捉するための電界を発生 させる。また、ゲート電極に印可する電圧を調整し、イオンがゲート電 極を通過して質量分析計に導入されるよう制御する。次に質量分析時 3 0 3には、イオンがさらに流入するのを防止するためゲート電極に印可 する電圧を調整する。リング電極及びエンドキャップ電極に印可する高 周波の振幅などを操作して、電界により内部に捕捉されたイオンの中か ら m/ zの異なるイオンを順に質量分析計外に排出し、検出器で検出す る事により質量スぺクトルを得る。次に、残留イオン除去時間 3 0 1を 設け、リング電極に印可する電圧を切る事により質量分析計の内部に残 留するイオンを除去する。

典型的には、イオン閉じ込め時間 3 0 2を 0 . 0 4秒、質量分析時間 3 0 3を0 . 0 5秒、残留イオン除去時間 3 0 1に 0 . 0 1秒とし、 0 . 1秒で質量スペクトルを 1回取得する事が出来る。試料の濃度が希薄で、 高い感度が必要な場合は、イオン閉じ込め時間 3 0 2をさらに長くして も良い。

次に、ステップ 2 0 2での動作を第 6図を用いて説明する。イオン閉 じ込め時 3 0 2と質量分析時 3 0 3の動作はステップ 2 0 1の場合と同 様である。選択時間 3 0 4では、ィオン閉じ込め時間 2 0 3で閉じ込め られた様々なイオンの中から、定められた m/ zを有するイオンを残留 させ、それ以外のイオンを排除する操作を行う。この選択時間 3 0 4で は、例えばラピッドコミュニケーションズインマススぺクトロ メトリー誌、 7卷、 1 0 8 6頁(1 9 9 3年)に開示されているフィル タード ノイズフィールドを使用する事ができる。解離時間 3 0 5で は、選択時間 3 0 4で選択された定められた mZ zを有するイオンにェ ネルギーを与え、質量分析計内のヘリウムガスなどと衝突させ、フラグ メントイオンを生成する。イオンにエネルギーを与えるには、エンドキ ヤップ電極間に高周波を印可し、イオンを質量分析計内で加速する。加 速されたイオンはヘリウムなどのガスと衝突するが、その際にイオンの 運動エネルギーの一部がイオンの内部エネルギーへと変換され、衝突を

繰り返すうちに内部エネルギーが蓄積されてイオンの中の化学結合の弱 い部分が切断されて解離が起きる。

' タンデム質量分析法では、選択や解離の際にイオンの損失が生じるた め、フラグメントイオンの良好な質量スぺクトルを取得するためには十 分な量のイオンをイオン閉じ込め時 3 0 2において閉じ込めておく必要 がある。このため、典型的には、イオン閉じ込め時間 3 0 2を 0 . 4 0 秒、質量分析時間 3 0 3を 0 . 0 5秒、選択時間 3 0 4を 0 . 0 3秒、 解離時間 3 0 5を 0 . 0 1秒、残留ィオン除去時間 3 0 1を 0 . 0 1秒 とし、 0 . 5秒で質量スペクトルを 1回取得する。

分析分野において、質量分析法は様々な用途に用いられている。しか しながら、探知装置に質量分析法を用いた場合では、通常の分析とは状 況が異なる点がある。

まず、通常の分析では極めて多くの成分を対象としているのに対し、 探知装置では極めて限られた物質を検出対象とする。例えば、爆弾は様々 な爆薬を混合して作成されるため、主要な爆薬を数成分選択して探知す れば、爆弾を見つける事ができる。また、通常の分析では物質の濃度な どの定量が行われるが、探知の際は対象物の有無を判定できれば良い。 そこで、探知装置において特に有効な質量分析計の動作方法を第 6図 を用いて説明する。イオントラップ質量分析計において、閉じ込められ たイオンを外部に取り出す際、質量走査の速度によって取り出し効率が 異なる。すなわち、第 5図の分析時間 3 0 3において、リング電極に印 可する振幅の増加率を増やし、短い時間で分析時間 3 0 3が終了するよ うに設定すると、質量分析計の外に取り出され検出器まで到達するィォ ン量が増えるため、感度が向上するという利点がある。しかしながら、 分析時間 3 0 3におけるリング電極に印可する振幅の増幅率を増やと、 質量分解能が低下したり、所定のタイミングでイオンが排出されないた

め測定された m/ zが正しい値からずれるといった問題点があった。そ こで、第 7図に示す様に、イオントラップ質量分析計を動作させる際、 イオン閉じ込めのステップ 2 0 6 (イオン閉じ込め時間 3 0 2に相当) と、イオン排出のステップ 2 0 8 (分析時閘 3 0 3に相当)の間に、特 定のイオンを選択するステップ 2 0 7 (選択時間 3 0 7に相当)を設け た。つまり、高速で質量走査する事による分解能の低下を、あらかじめ 質量分析計内に残るイオンの mZ zを制限する事により捕うのがポイン トである。具体的には、アンフェタミンの探知を行う場合、まずチェッ クするのは m/ zが 1 3 6の正イオンである。そこで、イオン源で生成 されたイオンをステップ 2 0 6により質量分析計内に閉じ込め、次にス テツプ 2 0 7において m/ zが 1 3 6以外の値を有するイオンを排除し、 m/ zが 1 3 6のイオンを選択的に残留させる。次に、イオン排出のス テツプ 2 0 8において高速で質量走査し、質量分析計内に残っているィ オンを効率良く質量分析計の外部に引き出す。この様にする事により、 検出器に到達するイオンの m/ zが 1 3 6である事が明らかであるので、 ステップ 2 0 8において精密な質量選択を行う必要がなくなり、分析時 間を短縮できるとともに感度の良い探知が可能となる。この方法は、ス クリーニングの際だけではなく、タンデム質量分析法により精査する場 合でも有効である。第 8図に示す様に、解離を行うステップ 2 0 9とィ オンの排出を行うステップ 2 0 8との間に、質量分析計内に残るイオン の m/ zを選択するステップ 2 1 0を設ける事で可能になる。

さらに、探知対象物の種類が限定される事から、対象物に関するデー タベースをデータ処理装置上に構築しておき、このデータベースを参照 しながら探知する方法は極めて有効である。より具体的には、タンデム 質量分析法を行う場合、解離時間の長さや、解離時にイオンにエネルギ 一を与えるためエンドキヤップ電極に印可する高周波の振幅などの最適

値は対象となる化学物質により異なる。従って、第 9図に示すように、 各々の探知対象成分に対する最適な分析条件をあらかじめ調べてデータ ベース化しておき、高速モードで特定の物質の存在が疑われた場合に、 精查モ一ドに移る際にデータベースを参照してその物質に対する最適分 析条件を読み込むステップ 2 1 1を設ける。この様にすることにより、 フラグメントイオンの良好な質量スぺクトルが得られ、精度良く判定す る事ができる。例えば、アンフェタミンやコカインなどの様々な禁制薬 物に対して、各々の最適の分析条件を調べてデータベース化しておき、 アンフエタミンが疑われた場合にはアンフエタミン用の分析条件を、ま た、コカインが疑われた場合にはコカイン用の分析条件を呼び出して分 析するとよレ、。

以上、探知対象物質をィオン化し、イオンの m/ zに基づいてスクリ 一ユングする方法について説明したが、必ずしも質量分離によりイオン の m/ zを特定しなくともスクリーニングを行う事ができる。第 1 0図, 第 1 1図により、イオン電流値によりスクリーニングを行う本発明の第 2の実施例を説明する。第 1 0図はリング電極とエンドキャップ電極に 印加する高周波のタイミングを示す。第 6図に示したように、イオン閉 じ込め時間 3 0 2とイオン選択時間 3 0 4を順に設けても良いが、第 1 0図では、イオン閉じ込めと選択を同時に行う閉じ込め,選択時間 3 0 2、 3 0 4を設けた。第 1 1図は、閉じ込め ·選択時間 3 0 2、 3 0 4 にエンドキヤップ電極に印可する高周波の周波数を示す。イオントラッ プ質量分析計の内部に閉じ込められたイオンは、その m/ zに応じて共 鳴し易い周波数を有する。そこで、探知対象とする物質のイオンの mZ zに対応した周波数(f 1、 f 2、 f 3 ) を含まず、それ以外の周波数 成分を含んだ信号を印可すると、閉じ込め,選択時間 3 0 2、 3 0 4で は着目する m/ zを有するイオンだけが閉じ込められる。次に、イオン 排出時間 3 0 6を設け、質量分析計内に残っているイオンを排出させ、 検出器で検出する。ここで、何らかの信号が得られた場合には、警報を 発するなり、より詳しい精査モードに移行するなりすればよい。この方 法では、質量分析に要する時間が不用になるため、より高速でスクリー ニングを行う事ができる。

次に、爆発物の探知に有効な、本発明の第 3の実施例について、第 1 2図、第 1 3図を用いて説明する。爆薬が解離して得られるニトロ基由 来のイオンでスクリーユングする方法である。二トロ化合物はエネルギ 一を加えると分解しやすく、ニトロ基の部分が解離しやすい傾向がある。 このため、第 1 2図に示したように、イオン閉じ込めと解離とを同時に 行う閉じ込め .解離時間 3 0 2、 3 0 5を設ける。第 1 3図は、閉じ込 め '解離時間 3 0 2 , 3 0 5にエンドキャップ電極に印可する高周波の 周波数を示す。探知対象とする物質のイオンの m/ zに対応した周波数 ( f l、 f 2、 f 3 ) を含み、検出するニトロ基由来のイオンの mZ z に対応した周波数(ί 4 ) を含まない信号を微弱ながらエンドキャップ 電極に印可する。操知対象とする爆薬のイオンが閉じ込められると、ェ ンドキヤップ電極に印可された高周波により共鳴し、エネルギーが与え られてヘリゥムなどのガスと衝突する。その際にェトロ基が解離するの で、この解離した二トロ基由来のイオン、例えば N O 2一を分析時間 3 0 3において検出することでスクリーニングを行う事ができる。この方法 の利点は、探知対象としていた物質以外の二トロ化合物が含まれていた としても、解離したニトロ基を検出するので、発見できる事である。 以上に示した方法において、選択性を更に高めるため、第 1 4図に示 したように更に高次の質量分析を行っても良い。すなわち、フラグメン トイオンの中から特定の m/ zを有するイオンを選択し、そのイオンを 解離させて得られるイオンを質量分析するステップ 2 1 2 (これは M S ノ M S /M Sまたは M S 3と呼ばれる)を設けても良い。このような選 択、解離、質量分析の過程は、選択性が満足されるまで繰り返すことが できる (一般に M S 11と呼ばれる)。

本発明において、高速のスクリーニング時と精査時では、探知に要す る時間が異なる。そこで、第 1 5図に示す様に、本発明による探知装置 を荷物の搬送装置 5 7と組み合わせて使用すると良い。搬送装置 5 7、 搬送装置制御装置 5 8、探知装置本体 5 3とを信号ライン 5 9 a、 5 9 bにて結び付ける。スクリーニング時は一定速度で搬送を行うが、本体 5 3が精査モードに切り替わって数秒の時間をかけて探知を行う場合に は、搬送装置 5 7の搬送速度を遅くするなどの制御を行うと良い。

以上、本発明によれば、高速かつ高選択性を有する探知が可能になり、 荷物や人の流れを妨げることなく対象物質の有無を調べることができる ようになった。