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1. JPWO1997025107 - キック式トレーニング器具

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【発明の詳細な説明】
技術分野
本発明は、背筋群や腹筋群の等尺性筋力の強化を目的とした新規な筋肉運動原理に基づくトレーニング器具に関し、特に、下肢の回転運動を主体とする従来のエアロバイク(いわゆる自転車漕ぎ器具)に対して、下肢のキック運動つまり後方への直線的又は円弧的往復運動を主体とするキック式のトレーニング器具に関する。
背景技術
近年、心肺機能の強化や筋肉の強化を目的とした種々のトレーニング器具が普及しているが、これらは基本的に健常者を対象にしている。フィットネスクラブのジムに設置されているトレーニング器具は、現役スポーツマンがより強靭な肉体を作るのに最適な器具ばかりである。
ところが、社会人になってから運動を志す人々の多くは半健康人といってもよい。例えば、腰痛症や膝痛症などの整形外科的既往症を持っている人、高血圧、糖尿病などの内科的既往症を持っている人、また、肥満やコレステロール値を気にしている人などがその例である。この意味で、半健康人に適したトレーニング器具の開発が急務である。
半健康人を対象にしたトレーニング器具の開発に当たっては、等尺性筋力(=骨格を支える筋力)を強化する視点が極めて重要である。腰痛や膝痛に代表される疾患は、この等尺性筋力が低下したときに発病することが医学上明らかになっている。また、成人病の最大原因が基礎代謝量の低下であることが知られているが、その大きな原因も、また、等尺性筋肉の低下である。
従来、等張性筋力(=運動を行うための筋力)を鍛えるトレーニング器具は数多いが、上記等尺性筋力を鍛える器具は皆無である。
発明の開示
従って、本発明の解決すべき主たる技術的課題は、等尺性筋力、特に、腰痛症の最大の要因である背筋群と腹筋群の等尺性筋力、を強化するための新規なトレーニング器具を提供することである。
今1つの課題は、半健康人や、腰や膝に疾患のある人であっても、無理なく上記等尺性筋力を鍛えることのできるトレーニング器具を提供することである。
さらなる課題は、心肺機能の向上および基礎代謝量の向上を図る上で従来のエアロバイクより効率がよく、また、エネルギー消費量を精度よく算出できるトレーニング器具を提供することである。
また、さらなる課題は、上記等尺筋力の強化に加えて、膝痛症の大きな要因である大腿部や下腿部の等張性筋力を効果的に整合強化できるトレーニング器具を提供することである。
また、さらなる課題は、運動時の、下肢帯筋群と背筋群との協調性を向上させることである。取り分け、寛骨筋群と他の筋群との運動協調性、すなわち、寛骨筋群と背筋群、寛骨筋群と腸腰部構成筋群、さらには寛骨筋群と大腿部構成筋群とのそれぞれの運動協調性、を向上させることが可能なトレーニング器具を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明によれば、以下の構成のキック式トレーニング器具が提供される。
このキック式トレーニング器具は、フレームや台座等で構成されるボデーと、ボデーに装着された、使用者が着座するサドルと、使用者の両下肢が作用するとき、両下肢に負荷を与える負荷発生手段とを備えている。負荷発生手段は、使用者の両足が乗せられて、使用者の両下肢による後方への交互キック運動で同方向に移動する一対のステップ手段すなわち足踏ロッドやペダルと、各ステップ手段の後方への移動、すなわち、略水平後方、斜め下方後方、又は略斜め上方後方への略直線的又は円弧的移動、に対して負荷を与える一方、各ステップ手段に対する踏み込み力の解除時には、各ステップ手段を前方に、好ましくは迅速に、自動復帰させるエアーシリンダやウエイト等の負荷手段とを含むことを特徴としている。
使用者は、サドルの上に着座して、両下肢で交互に単純にステップ手段を踏み込み、その運動を一定時間継続する。このステップ手段の踏み込み運動を行うことにより、背筋群の等尺性筋力が鍛えられるとともに、これと連携して腹筋群の等尺性筋力も鍛えられる。つまり、この筋力強化運動は、直接的に背筋や腹筋にストレスをかける運動ではなく、下肢の前後の又は上下の運動という実質的に直線的な単純なキック運動により間接的に背筋や腹筋を鍛えることができるのである。さらに、従来のエアロバイクのように不良肢位である前傾姿勢、すなわち腰部又は骨盤に対して体幹部を前かがみにする姿勢、をとる必要がなく、優良肢位で運動ができる。つまり、従来のエアロバイクの場合は、サドル上の直立姿勢の腰部に対して、上半身すなわち体幹部を前かがみにするので、腰部に無理な力が加わり、背骨周囲の筋肉は過度の緊張を来たし筋疲労をもたらすという不具合があるが、本発明のトレーニング器具によれば、体幹部を前かがみにすれば、それに応じて腰部も前傾にすることで、換言すれば、身体全体を前傾させることで、優良肢位にすることができるのである。
また、本発明のトレーニング器具によれば、下腿長軸方向へのキック運動は実質的に股関節を支点とした振り子運動となり、使用者から出力される駆動力は、下肢筋肉が負荷に見合う一定の緊張を維持しながら行う体幹部の重心移動によるところが大きく、したがって、下肢に負荷をかける運動にも拘らず膝関節や足関節は略一定した関節角度に維持することができる。そのため、それらの関節運動を大幅に回避しつつ筋力運動ができる。通常、運動痛は、関節が過度に動いた時に発生するものである。
したがって、背筋や腹筋が非力であっても、また腰部疾患があっても、腰部、膝部、足首等に無理な力をかけないで、楽にキック運動を行うことができ、それらの等尺性筋力を鍛えることができる。ちなみに、単にサドルに着座して下肢を動かすという意味では従来のエアロバイクと同様であるが、下肢の運動形態が本質的に異なっている。エアロバイクでは、上記等尺性筋力は効果的に鍛えることは不可能である。
また、この下腿長軸方向へのキック運動は、膝部および足部の関節部位にかかる力を大腿部と下腿部を構成する筋群が効率的に吸収し、それにより同関節部位にかかる負担が大幅に軽減される。また、下腿長軸方向へのキック運動は、運動負荷の体幹部への伝導が他の運動形態より直線的に速く伝わる。これは、神経線維を伝わる求心性の情報伝達が中枢神経に伝わる伝達速度も速くなる。このことは、速く反射弓(=筋肉が連携プレイを行う状態)を形成することを意味し、筋肉群間の協調阻害の改善に大きく役立つ。
また、このトレーニング器具によれば、ステップ手段の踏み込み運動は実質的に直線的な運動であって、従来のエアロバイクのようなペダルの回転運動ではない。そのため、ステップ手段踏み込み中持続的に負荷をかけるように構成でき、、エアロバイクに比較して、短時間で効率的に心肺運動効果を得ることができる。また、これと同時に、大腿部や下体部の等張性筋力を強化することもできる。ちなみに、従来のエアロバイクの場合には、ペダルの踏み込み時、つまりペダル回転の前半は、下肢に所定値の負荷がかかるものの、ペダル回転の後半はペダルは惰性回転するため、換言すれば、負荷は極端に減少するため、運動ロスが大きくて運動効率が十分でなく、心肺運動効果を十分得るためには、運動時間を相対的に長くする必要があったのである。
なお、上記ステップ手段のキック運動は、下腿長軸方向の運動であって、文字通り直線に沿った運動を含むことはいうまでもないが、その他、多少の曲がりを持つ曲線や円弧に沿った運動をも当然に含んでいる。要は、使用者の下肢が後方へ大略直線的にキックできればよい。
上記構成のトレーニング器具においては、使用者が上記サドルに着座した状態において体幹と大腿部とのなす角度が100゜〜220゜となる範囲で、下肢のキック運動が行われるように、構成することが好ましい。この角度が小さくなればなるほど、脊柱が直線状に変形して背筋にストレスが生じるので、腰痛症を持つ人には好ましくない。使用者により異なるが、上記角度が略100゜〜110゜以上になると、そのようなストレスはほとんど生じないので無理のない運動となる。なお、上記角度が180゜であることは体が伸びきった直立状態を意味し、それより大きい角度は身体をそらせた状態を意味している。下肢のキック運動は、ステップ手段を後方に蹴り込んだとき、使用者の個人差はあるが、その角度が略220゜程度まで下肢が移動する。この下肢のキック運動は、傾斜のある斜面を登山する際の下肢の歩行運動に近似している。上記角度を上記範囲に収めるためには、各ステップ手段の移動を、その条件を満たすべく、案内する案内手段を備えることが好ましい。
上記の案内手段は、上記各ステップ手段を後方へ略直線に沿って案内する手段であっても、又は、上記各ステップ手段を後方へ円弧的案内する手段であってもよい。
上記案内手段は、バランスウェイトを上端に連結した揺動アームで構成し、該揺動アームの上端を上記サドル又はボデーの略サドルレベルに枢着し、該揺動アームの下端に上記ステップ手段を枢着した構成とすることもできる。この構成によれば、使用者の腰部とステップ手段との間隔が、ステップ手段の踏み込み運動中、略一定に維持されるので、膝の曲げ角が正確に一定する。
また、上記条件を満足するため、サドル位置(前後位置,上下位置)を調整する手段を備えることが好ましい。使用者の体格に応じてサドル位置を調整することにより、使用者が上記サドルに着座した状態において体幹部と大腿部とのなす角度が100゜〜220゜となる範囲で、下肢のキック運動が行われるようにするの好ましい。上記サドル位置調整手段は、簡単には、サドル支持棒をボデーに高さ調整ネジ高さ調整ピンで固定する方式とすればよいが、サドル支持棒を油圧昇降装置で上下動させる方式としてもよい。
また、さらに、上記条件を満足するために、上記サドルに着座した使用者が両手で握って体幹部を安定支持する握手手段をさらに備えることが好ましい。下肢の後方へのキック運動を行う場合には、当然のことながら、キック運動の反作用として、体幹部が前方に移動しようとする。この反作用の力を支えるための1つの手段としてこの握手手段がある。この握手手段は、直接手で握るグリップと、該グリップを高さ位置および前後位置を調整自在に支持するアームとで構成できる。
この握手手段に加えて、使用者の体幹部を前傾姿勢で支持する腹部支持手段をさらに備えることが好ましい。この腹部支持手段は、腹部支持パッドと、該パッドの前傾角度を調整する前傾角度調整手段、さらには、その高さを調整する手段を含むことが好ましい。この腹部支持パッドは、前傾姿勢の体幹部を支えながら、下肢のキック運動を行うには、最も効果的である。
また、この腹部支持パッドに加えて、さらに、使用者の肘を支持する肘部支持パッドも備えるのが一層効果的である。
また、さらに、上記負荷発生手段は、膝の曲げ角が上記各ステップ手段の踏み込み中略一定となるように、各ステップ手段を案内する第2の案内手段を含むのがよい。この構成とすれば、膝の屈伸運動がほとんど生じないため、膝に負担がかからず、したがって、膝疾患のある人でも楽に運動できることになる。
さらに、上記サドルは、サドル本体と、該サドル本体を上方に支持するサドル支持台と、サドル本体とサドル支持台との間に介在して、使用者の両下肢の交互キック運動の際に生じる腰部の左右揺動に従動して左右に揺動する揺動手段をさらに備えることが好ましい。この揺動手段は、簡単には板バネ、コイルスプリングで構成できるが、その他、空気バネを用いたり、油圧電動式とすることもできる。また、さらに、サドル本体を、ゲル状物質を含む柔軟な材料で構成してもよい。このような構成とすることにより、腰部に無理な力が発生せず、楽にペダル踏み運動を行うことができる。また、ペダル踏み込みに応じて腰部が揺動することにより、膝の曲げ角を一定に保持することが容易になる。
上記サドルに着座した使用者の背部を安定支持するために、背もたれ手段を備えてもよい。この背もたれ手段も、また、使用者の体格に合わせるために、背もたれパットと、該背もたれパットを高さ位置調整自在に支持するアームとで構成するのがよい。
上記負荷発生手段は、ステップ手段の踏み込み中の負荷を大略一定した値にする一方、ペダル踏み込み力の解除時には、ピストンロッドをステップ手段とともに上昇位置に自動復帰させる制御手段をさらに含むことが好ましい。ただし、下肢のキック運動の容易性の観点からは、踏み込み初期負荷と踏み込み最終負荷とを小さくし、踏み込みの初期段階と最終段階との間で漸増させて後漸減すべく制御することが好ましい。
上記負荷発生手段の好ましい態様としてのトレーニング器具は、下端に上記各ステップ手段が装着される一方、上端が上記サドル又は上記ボデーの略サドルレベルに枢着される一対の揺動アームと、揺動アームの揺動運動により駆動され、かつ、その端部が上記負荷手段に接続されたベルトとを含む構成が好ましい。その負荷手段としては、空気式又は油圧式のシリンダ、さらには、従来よりこの種のトレーニング器具に使用されているウェイトを採用できる。
さらに、好ましい態様としては、上記各揺動アームの上端の回転とともに回転し、かつ、上記ベルトの一端が固定されるとともにカム周面に沿うとともにその他端が上記負荷手段にに導かれる板カム手段をさらに含み、この板カム手段のカム周面形状を、上記ステップ手段の踏み込み中の負荷を、大略一定な範囲で、かつ、踏み込み初期負荷と踏み込み最終負荷とを小さくし、踏み込みの初期段階と最終段階との間で漸増させて後漸減すべく制御する形状とするのがよい。
上記制御手段は、ステップ手段の踏み込み負荷を調整する手段をさらに含むのがよい。これは、使用者の体力に対応するためである。
上記負荷手段は、通常、エアシリンダで構成される。負荷手段は、前記したように、コイルスプリングなどの弾性手段や、油圧装置、又はウェイトで構成することも可能であるが、空気圧を利用したエアシリンダを使用するのが好ましい。エアシリンダの場合は、ペダル踏み込み力を解除したとき、瞬時にピストンロッドをステップ手段とともに初期位置に復帰させるように構成することが技術的に容易である。また、ステップ手段踏み込み中の負荷を略一定した値にする一方、ステップ手段の踏み込み力の解除時には、ピストンロッドをステップ手段ともに初期位置に弾発的に自動復帰させる制御手段と協動させることも容易である。ステップ手段をすばやく初期位置に復帰するように構成すれば、単位時間当たりのステップ手段の踏み込み回数を多くすることができ、時間的に効率的な運動ができるという利点がある。また、筋肉の強化運動の1つの重要な要素として、一定した負荷を持続的にかけることが指摘されているが、ペダル踏み込み中の負荷が常時略一定値であることはこの条件に合致している。さらに、この場合には、運動のエネルギー消費量、換言すれば仕事量、を精度よく算出できる。つまり、<負荷(力)x 運動距離>の計算式で正確に算出できるのである。近年のこの種のトレーニング器具は、単位時間当たりのエネルギー消費量の明示が重要となっている。ちなみに、従来のエアロバイクの場合は、ペダル回転中の負荷はかなり変動するため、エネルギー消費量を正確に算出できなかったのである。
上記エアシリンダは、好ましくは、シリンダ本体と、ピストンと、ピストンロッドとを含み、シリンダ本体は、上記ピストン及びピストンロッドを往復摺動すべく収納する内筒と、内筒とともに2重筒を構成する外筒と、内外筒の上端を閉鎖するとともに、ピストンロッドが貫通する上板と、内外筒の下端を封鎖するとともに内筒空間の底部を外部に解放する解放ポートとを有する底板と、内外筒空間と内筒空間とをそれらの上部において連通する第1連通手段と、を含む構成とするのがよい。
エアーシリンダを負荷手段として用い、かつ、下肢によるキック運動中、略一定した負荷を維持するためには、ピストンの移動でシリンダ内圧が大きく変動しないことが重要であり、そのためには、従来技術によれば、通常は、容易の大きいエアーシリンダを使用するか、又は、小さなシリンダととは別にそれに連通するエアータンクを準備する必要がある。しかし、本発明の上記シリンダ構造によれば、従来のエアータンクに相当する圧力室を、内筒と外筒との間に確保でき、かつ、シリンダの大きさを十分小さくすることができる。
上記連通手段は、通常は、上記内筒の上部に形成した通孔で構成する。
上記内外空間と内筒空間との初期圧力を調整するためには、圧力調整手段をさらに備える必要がある。この上記圧力調整手段は、上記内外空間を外部に連通させる通孔等の第2連通手段と、第2連通手段に接続するバルブ手段と、バルブ手段に接続するエアーコンプレッサーと、バルブ手段及びエアーコンプレッサーを制御する圧力制御手段とを含む。この構成により、シリンダ内の初期圧を電気的制御手段で容易に制御することが可能である。これに対して、ウェイトを用いる場合は、ウェイとの調整を直接する必要があり、その操作は面倒である。
図面の簡単な説明
添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示している。
図1は、本発明の原理的な実施形態に係るキック式トレーニング器具の全体斜視図である。
図2は、図1のトレーニング器具を使用している状態を示す使用状態図である。ただし、使用者は模式的に示している。
図3は、図1のトレーニング器具のキック運動を図解する説明図である。ただし、使用者は模式的に示している。
図4は、図1のトレーニング器具のサドルの背面図である。
図5は、本発明の上記第1の実施形態の変形例に係るキック式トレーニング器具の要部を示す説明図である。
図6,7,8は、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係るキック式トレーニング器具の全体を示す正面図、右側面図、平面図である。
図9,10は、それぞれ、第2実施形態のサドル及びその位置調整手段の要部を示す右側面図及び背面図である。
図11は、第2実施形態の腹部支持パッド及びその位置調整手段の要部を示す右側面図である。
図12は、第2実施形態のエアーシリンダの断面図である。
図13は、第2実施形態のカムの形状及び、該カムにより引張されるベルトを示す説明図である。
図14は、第2実施形態において、使用者の下肢に与えられる負荷と、下肢の回転角度との関係を示すグラフである。
図15は、第2実施形態におけるキック運動を図解する説明図である。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明の具体的な実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜4に、本発明の原理的な第1実施形態に係るキック式トレーニング器具の全体を示している。図示するように、この器具は、台座形態のボデー1の上方にサドル3を備えている。使用者は、図2,3に示すように、サドル3に腰掛けて、ボデー1に備えられている一対のペダル手段、具体的にはペダル2c、のキック運動すなわち踏み込み運動をすることによりトレーニングを行う。
サドル3は、サドル本体3aを3本のコイルスプリング3bを介してサドル支持台3cに支持する構成としている。図4はサドルを背面より見た状態を示しているが、コイルスプリング3bは、その1つがサドルの前部中央に、他の2つがサドルの後部左右に、配置されている。したがって、サドル本体3aはサドル支持台3bに対して前後左右に揺動することができる。
サドル3の左右には、トレーニング中使用者の体幹部H2を支えるための一対の握手手段5a〜5dを設けている。各握手手段はサドル支持台3cの左右に固定したアーム部5a〜5cと、そのアーム部で支持されたグリップ5dとで構成している。アーム部は、サドル支持台3cに直接固定したL字状の第1アーム部5aと、グリップ5dを直立姿勢に支持する第2アーム部5cと、両アーム部5a,5cを長さ調整自在に接続するエルボ状の第3アーム部5bとで構成している。各アーム5b,5cは矢印Y方向、X方向にスライド自在に位置調整でき、これにより、グリップ5dの高さ位置および前後位置を調節できる。
サドル3の背後には、トレーニング中使用者の体幹部H2を背後から支える背もたれ手段を設けている。この背もたれ手段は、サドル支持台3cに直接接続するL字状背もたれアーム6aと、該アームに高さ調整自在に装着した背もたれパット6bとで構成している。背もたれアーム6aには、高さ調整用のネジ穴6cを複数個形成しており、高さ調整ネジ6dを用いて、パット6aを使用者の都合のよい高い位置に固定できるようにしている。
サドル3は、支持棒4aを介して高さ位置調整自在にボデー1に支持している。支持棒4aの上端はサドル支持台3cの底面に固定しており、その下端部は、ボデーカバー1aの前方上部に形成した差し込み口1cに挿入している。支持棒4aには複数個のネジ穴4aを形成しており、高さ調整ネジ4bを用いて、差し込み口1cのところで支持棒4aを高さ位置調整自在に固定するようにしている。
ボデー1には、上記各ペダル2cを支持するとともに、使用者の各下肢が斜め下方後方へ略直線に沿ってキック運動するための負荷発生手段たるエアーシリンダ2をボデーの左右に一対設けている。各エアーシリンダ2は、リンダ2aと、ピストンロッド2bとを有しており、ピストンロッド2bの先端にペダル2cを一定角度範囲で回動自在に取り付けている。シリンダ2aおよびピストンロッド2bの設置方向は、図に示すように、前方上方から後方下方に斜めに傾斜している。この傾斜角度は使用者のペダル踏み込み運動が適正になされるように設定される。
図2中、7は制御装置を簡略的に示している。この制御装置自体は公知のものであり、この制御装置を備えたエアーシリンダ自体も公知のものである。この制御装置で、ペダル踏み込み中の負荷を常時大略一定した値にする一方、ペダル踏み込み力の解除時には、ピストンロッドをペダルとともに上昇位置に弾発的に自動復帰させることができる。つまり、ペダル踏み込み中は、踏み込みストロークのどの位置でも負荷は大略一定していて変動がない。
上記制御装置7は外部の制御パネル7aと接続している。図においては、この制御パネル7aはボデーカバー1aの下方側面に設けているが、これに変えて、グリップ5dに設けたり、また、特別の支持手段により着座している使用者の前に位置させてもよい。この制御パネルを操作することにより、エアーシリンダ2の負荷の大きさを調整できる。また、使用者の心拍数検知装置(図示せず)と制御装置7とを接続して、心拍数によりエアーシリンダの負荷を自動的に制御することもできる。
さて次に、上記構造のキック式トレーニング器具を、図3に基づいて、使用方法を説明する。使用者は、自分の体格に応じてサドル位置を調整するとともに、自分の体力や体調等に応じて、エアーシリンダの負荷を調整する。その後、ペダル3に着座し、背中を背もたれパッド6aに当てるとともに、一対のグリップ5dを両手で握った状態で下肢の交互ペダル踏み運動を開始する。図3は、下肢がペダル踏み込みに応じて上昇位置から下降位置に向けて略直線に沿って降下していくステップを示している。上昇位置においては、体幹部H2と大腿部H3とのなす角度θ1は100゜〜120゜程度が好ましい。一方、下降位置における角度θ1は180゜でもよいが、図では、180゜より大きい角度に設定している(約220゜までは可能である)。この角度設定は、サドル3の高さ位置と、ペダル2cの上昇位置および下降位置との設定で決定される。また、膝H1の曲げ角θ2は略90゜程度がよく、この角度θ2は上昇位置から下降位置に至る間変動しないことが好ましい。したがって、上記シリンダ2の傾斜角度はこの要請を満足するように設定される。また、前記したように、サドル本体3aは左右に揺動可能であるから、ペダルの踏み込みに応じて、腰部は垂直方向Yに上下動でき、そのため膝の折曲角θ2を略一定に維持することができる。
ペダル踏み込み運動は、両下肢を交互に動かすことにより行う。運動中は、グリップ5dを握ることにより、また背部を背もたれパッド6bに当てることにより、体幹部H2を安定支持できる。このようにペダル踏み込み運動を行うことにより、下肢の上下斜め移動に連動て背筋群および腹筋群、取り分けその中の等尺筋力、が鍛えられる。勿論、下肢自体には負荷がかかっているので、大腿部H3および下腿部H4の等張筋力も同時に鍛えられる。
このキック式トレーニング器具は、体幹部をサドル上に直立させて優良肢位(角度θ1が90゜以上で、背筋に無駄なストレスがかからない姿勢)で運動を行うことができるので運動自体が楽である。また、ペダル踏み運動は基本的には上下運動であるから腰部に無理な力がかかることがなく、さらに、膝の曲げ角θ2が一定に保たれると膝の関節運動がないので、腰部疾患や膝疾患のある人でもこの運動を容易に行うことができる。
上記実施形態は、エアーシリンダ2のピストンロッド2bを斜め下方後方へ直線沿いにキックする形式のものであるが、前記したように、本発明では、キック方向は必ずしも幾何学的に厳密な意味で直線沿いでなくてもよい。ピストンロッド2bのキック方向が、実質的には直線的な下方後方ということができるが、幾何学的に厳密な意味では曲線又は円弧に沿った斜め下方後方である場合の変形例を図5に示している。
この変形例の基本構造は、第1実施形態と同じであるが、次の点で異なっている。すなわち、角ペダル2cは、ピストンロッド2bの先端に枢着すると同時に、揺動アーム8の下端に枢着している。このアーム8の上端はサドル3の適当な箇所に枢軸P5で枢着している。ペダル2cが踏み込まれると、アーム8は、その枢軸P5を支点として、その全体が振り子のように円弧P2に沿って揺動する。従って、ペダル2cはこの円弧P2に沿って移動する。
一方、エアーシリンダ2は、ペダル2cの円弧移動に追随すべく、シリンダ2aの後端をボデー1に枢軸P4で枢着している。従って、ペダル2cの円弧P2上の位置に応じて、エアーシリンダ2全体が矢印P3方向に適宜揺動する。
上記変形例の構成によれば、ペダル2cの移動軌跡は、アーム8の揺動軌跡である円弧P2に規制されており、また、アーム8の枢軸P5はサドル3に枢着されて使用者の腰部に接近しているので、腰部とペダル2c間の距離は略一定している。したがって、膝H1の巻げ角θ2は、第1実施形態の場合、すなわち、直線P1をペダルの移動軌跡とする場合、と比較すれば、より一定した角度に保たれ、変動しにくいという利点がある。また、ペダルの移動も、直線沿いであるより、より円滑である。
次に、図6〜図15に従って、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、第1実施形態をさらに改良して、使い勝手をよくしたものである。
この実施形態では、ボデー1はフレームで構成している。このフレームは、一対の側面スタンド1dと、一本の中央前スタンド1mと、上部フレームと、底部フレームとより構成している。上部フレームは、前フレーム部材1jと、このフレーム部材1jの左右に連結した左右フレーム部材1k,1iとで構成している。一方、底部フレームは、前フレーム部材1fと、後ろフレーム部材1hと、これらのフレーム部材1f,1hの左右に連結した左右フレーム部材1e,1gとで構成している。中央前スタンド1mの上下端は上部及び底部の前フレーム1j,1fに接続している。
図中符号3はサドルを示している。このサドル3は、フレームボデー1の略中心部に位置しており、サドル本体3aとその下部のサドル支持台3cとで構成している。サドル本体3aは、表面カバーの中に、ウレタンフォーム、あるいは、ゲル状物質等の柔軟材を詰めて構成している。これらの柔軟材は、第1実施形態におけるコイルスプリング3Bと同等の働きをなす。サドル3は支持棒4を介して高さ位置調整自在にフレームボデーに支持している。すなわち、中央前スタンド1mの中間部より、背面側にサドル支持フレーム部材1nが伸びており、このフレーム部材1nに、図9,10のよく示すように、サドル支持バー1pを入れ子式に挿入している。そして、このサドル支持バー1pの先端に固定したブロック4cの貫通孔に前記支持棒4を上から挿入している。支持棒4aは適当数の高さ調整穴4aを備える一方、ブロック4cにはそれらの穴4aに差し込むピン40bを備えている。これと同様に、サドル支持バー1pにも適当個数の距離調整用穴1qを備える一方、サドル支持フレーム部材1nには、これらの穴1qに差し込まれるピン4dを備えている。これにより、サドルの高さ位置と、水平方向前後位置とを調整できる。
上部フレームの上かつ前側には、支持板22を設けており、この支持板に左右一対のグリップ5dと、左右一対の肘部支持パッド19と、1つの腹部支持パッド18とを支持している。支持板22の一端はガイドロッド21に枢着している。このガイドロッド21は、側部支持フレーム部材1kの上に固定した一対の軸受けブロック20に前後方移動自在に支持している。したがって、ガイドロッド21を軸として上方に回転して開きことができるとともに、ガイドロッド21沿いに摺動できる。一方、支持板22の他端は側部フレーム部材1iの上に支持される。支持板22のこの他端の下面にはピン板22aを固定している。このピン板22aはこの支持板22は、隙間調整板の下面にピン(図示せず)を突出させたものである。このピンは、側部フレーム部材1iの上面にライン状に形成したピン孔22bに嵌入できるようになっていて、支持板22の前後の位置決めをできるようにしている。なお、各グリップ5dはアーム5cを介して支持板22に高さ調整自在に固定している。
腹部支持パッド及び各肘部支持パッド19は、図15によく示すように、サドル3上に前傾姿勢で着座した使用者の体幹部H2を、グリップ5cとともに、効果的に支えるものである。各肘部支持パッド19は、支持板22上に支持している。一方、腹部支持パッド18は、図11に詳細に示すように、該パッド18の裏面中央上部にブラケット18aを固定的に有しており、このブラケット18aに支持スタンド23の上部を枢着している。そして、この支持スタンド23は、支持板22を上下に貫通している。支持スタンド23は、適当枢の高さ調整穴23aを有しており、この各穴23aには、ピン24が挿入されるようにしている。ピン24は、支持板22に形成した挿入穴を介して挿入される。これにより、腹部支持パッド18の高さ位置を調整できる。一方、図中符号26は、腹部支持パッド18の傾斜角度を調整するための一対の調整ネジであって、支持板22に設けたネジ穴にねじ込まれて、その先端がパッド18の裏面下部に当接するようにしている。この各調節ネジ26の前後移動により、パッド18は支持スタンド23の上部を支点として回動し、その傾斜角度が調整される。なお、上記したように、本実施形態では、使用者は前傾姿勢でキック運動するものであるので、第1実施形態で見られる背もたれ手段は除外している。
本実施形態においては、ステップ手段として一対の足踏ロッド30を採用している。この各足踏ロッド30は、左右一対の揺動アーム8の下端に固定している。各足踏ロッド30は、各揺動アーム8から内側に左右水平方向に伸びている。各ロッド30は、ストッパー10を有している。使用者の足はこれらストッパー10の内側に置くようになっている。各ロッドを後ろに踏み込んだとき、足は外側にスライドして足を外側に開くする傾向となるが、このストッパー10により足の開きが阻止される。各揺動アーム8の上端は、各軸11に固定している。この各軸11は、各側部スタンド1dの上部に回転自在に設けている。この各軸11は各スタンド1dを内側から外側に貫通して伸びている。上記各揺動アーム8は、各軸11の内側に固定されている。一方、各軸11の、スタンドより外側には、カム14とバランスウェイト13とをそれぞれ固定している。このバランスウェイト13は、各揺動アームや各足踏ロッドの重量とバランスさせて踏み込み負荷が略零になるように重さ調整している。
各カム14の形状の詳細を図13に示している。このカムは板カムであって、全体的に略楕円形状であり、そ基端が軸11に固定されている。カムの自由端の両側には、フランジ14aを設けてその間にカム溝を形成している。このカムには、ベルト17の一端を固定している。すなわち、ベルト17をカムの自由端周面に当てがってその固定端17aをカム周面に固定している。
ベルト17は、プーリ16を経由して各エアーシリンダ2に連結している。このプーリ16は、各側部フレーム部材1i,1kの後部にかつその外側に、軸着している。各シリンダ2の配置方法は、第1実施形態のものとは大幅に異なっていて、底部フレーム上に垂直に固定している。ベルト17の端部は、各エアーシリンダ2のピストンロッド2bの上端に連結している。従って、使用者が、第15図に示すように、その下肢で各足踏ロッド30を後方にキックすれば、ベルト17が、前方に引っ張られ、ピストンロッド2bが引き上げられることになる。
カム14のカム形状が、キック運動中に下肢にどのような負荷を与えるかについて、図13、図14に基づいて以下に説明する。
図13は、水平軸を基準にして、カムの初期位置が角度45゜の位置にあり、キック運動により、揺動アームとともに、カムが図中左回りに90゜回転した場合を示している。カム14が図示のカム周面形状を有するとき、キック角度と、下肢に加えられる負荷との関係は、図14のグラフに示したカーブのようになる。つまり、全体としては、略一定した負荷であるが、キック運動の初期段階から漸増してピークに達し、その後、キック運動の最終の段階に向けて漸減する。これは、カムの形状が楕円形になっているので、カム周面と軸11との距離が変化し、そのため、カムの単位回転角に対するベルト17の移動距離が変化するためである。これにより、キック運動が円滑に行える。すなわち、キック運動の初期段階では、負荷を相対的に小さくして踏み込み易くしている。そして、踏み込みの加速がつくに従って負荷を漸増させている。また、キック運動の最終段階は、下肢を体幹部に対して背面側に反らせる姿勢となるため、力が入りにくい。このため、最小段階では、負荷を相対的に小さくしている。
次に、エアーシリンダ2aの構造を、図12に基づいて詳細に説明する。
上記エアシリンダ2aは、シリンダ本体と、ピストン2fと、ピストンロッド2bとを含んでいる。シリンダ本体は、二重壁構造になっている。すなわち、筒体を内筒2mと外筒2cとで構成している。内筒は、従来のシリンダ本体に相当するもので、上記ピストン2f及びピストンロッド2bを往復摺動すべく収納している。一方、外筒2cは、内筒2mとの間に内外筒空間2pを形成している。内筒2mの上部には適当個数の通孔2nを形成して、内筒空間2qと内外筒空間2pとを連通している。内外筒の上端及び下端は、各上板2d及び底板2eで封鎖している。底板2eは、内筒空間2qの底部を外部に解放する解放ポート2gとを有している。また、上記内外空間2pと内筒空間2qとの初期圧力を調整するためにの圧力調整手段を備えている。この圧力調整手段は、内外空間2pを外部に連通させるため、底板2eに形成した空気圧調整ポート2hと、該ポート2hに接続するバルブ2jと、バルブ2jに接続するエアーコンプレッサー2kと、バルブ2j及びエアーコンプレッサー2kを制御する圧力制御手段、すなわち制御パネル7b、とを含んでなる。制御パネル7bは前フレーム部材1jに固定している。
シリンダ本体を上記のように二重壁構造としているのは、究極的には、エアータンクを不要とするとともに、エアーシリンダを小型化することである。このエアーシリンダは、内筒の容積を小さくし、外筒の容積を大きくしている。今、通孔2nが存在せず閉鎖されていると仮定すると、使用者のキック運動により生じるピストンの上下動により、シリンダが内筒2m内で上下動して、内筒内の圧力が変化する。すなわち、キック運動の踏み込み量の増加に比例して圧力が大きくなる。このようになると、キック運動は円滑に行うことが不可能となる。内筒内の極度の圧力上昇を防止する必要がある。従来ならば、内筒に接続するエアータンクを用いていた。これに対して、本エアーシリンダでは、エアータンクに代わるものとして、外筒2cを用いている。すなわち、内筒空間2qは通孔2nを介して内外筒空間2pに連通しているので、大容量の内外筒空間の流体により内筒空間内の圧力変化が吸収され、その変化量は、シリンダの設計により無視す得る程度に抑えることができる。そしてまた、通孔2nは、その開口面積を十分大きくすることができるとともに、その個数や形状も任意に設定できるので、通孔2nの空気通過抵抗を十分小さくして、圧力変化の変動を極めて小さくすることができる利点がある。従来のエアータンクを使用する場合は、エアータンクとエアーシリンダとを接続する管路抵抗がかなり大きかったため、本実施形態のエアーシリンダに比較すると、圧力変化が大きかったのである。