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1. WO2021065320 - POSITIVE ELECTRODE FOR NON-AQUEOUS ELECTROLYTE SECONDARY BATTERY AND NON-AQUEOUS ELECTROLYTE SECONDARY BATTERY

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明 細 書

発明の名称 非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

先行技術文献

特許文献

0006  

発明の概要

0007   0008   0009   0010   0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073  

産業上の利用可能性

0074  

符号の説明

0075  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1  

明 細 書

発明の名称 : 非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池

技術分野

[0001]
 本開示は、非水電解質二次電池用正極および非水電解質二次電池に関する。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、例えば、パソコンおよびスマートフォン等のICT用、車載用、ならびに蓄電用等の用途に用いられている。このような用途において、非水電解質二次電池には、さらなる高容量化が求められる。非水電解質二次電池を高容量化する方法の1つとして、正極において、正極活物質を高密度化する方法が挙げられる。
[0003]
 特許文献1は、平均粒径1μm~20μmの大粒径活物質と平均粒径5nm~100nmの小粒径活物質とを含有する正極活物質層を含み、活物質の充填率が80%以上であるリチウム二次電池用正極を提案している。
[0004]
 特許文献2は、正極活物質として、層状型リチウム遷移金属酸化物の粒子Aとスピネル型リチウム遷移金属酸化物の粒子Bとを、特定の重量比の範囲で含み、正極活物質の粒度分布が1~50μmの範囲の粒子Aに基づくピークと粒子Bに基づくピークとを有しており、体積標準の粒度分布における、粒子Aの粒径(D50)と粒子Bの粒径(D50)とが特定の式を満たし、粒子Aの粒径(D95)と粒子Bの粒径(D95)が特定の式を満たす非水電解質二次電池を提案している。
[0005]
 特許文献3は、一般式Li Ni Co Mn で表されるリチウム複合酸化物の微粒子が多数凝集して形成された、平均粒子径D50が3~15μmで、圧縮破壊強度が50MPa以上の第1の粒状粉末と、圧縮破壊強度が40MPa未満の第2の粒状粉末とを、特定の重量比の範囲で含む正極活物質粉末を、リチウム二次電池用の正極に用いることを提案している。

先行技術文献

特許文献

[0006]
特許文献1 : 特開2009-146788号公報
特許文献2 : 国際公開第2014/041793号
特許文献3 : 国際公開第2005/020354号

発明の概要

[0007]
 特許文献1および2では、粒径の制御が煩雑である。また、平均粒径が異なる正極活物質粒子群を用いると、分散状態が不均一になり易い。特許文献3のように強度が異なる正極活物質粒子群を用いる場合、組み合わせる正極活物質の種類が限られる。
[0008]
 非水電解質二次電池用の正極を作製する際に、正極活物質粒子を微粉化できれば、平均粒径が異なる正極活物質粒子群を用いたり、強度が異なる正極活物質粒子群を用いたりしなくても、正極活物質の密度を高めることができると考えられる。
[0009]
 本開示の一側面は、正極合剤層を備え、
 前記正極合剤層は、正極活物質と、第1バインダと、第2バインダとを含み、
 前記正極活物質は、下記式(1):
 Li Ni Co Me (1-x-y)  (1)
(ここで、0.97≦a≦1.2、0.5≦x≦1、および0≦y≦0.1であり、元素Meは、Al、Mn、B、W、Sr、Mg、Mo、Nb、Ti、Si、およびZrからなる群より選択される少なくとも一種を含む。)
で表される複合酸化物を含み、
 前記第1バインダは、少なくともフッ化ビニリデン単位を含む高分子バインダであり、
 前記第2バインダは、少なくともジエン単位を含む高分子バインダであり、
 前記第1バインダと前記第2バインダの総量に占める前記第2バインダの割合が、5質量%以上35質量%以下である、非水電解質二次電池用正極に関する。
[0010]
 本開示の他の側面は、上記の正極と、負極と、リチウムイオン伝導性の非水電解質と、を備える、非水電解質二次電池に関する。
[0011]
 非水電解質二次電池の正極において、高い正極活物質密度を確保することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 図1は、本開示の一実施形態に係る非水電解質二次電池を模式的に示す縦断面図である。

発明を実施するための形態

[0013]
 本開示の一実施形態に係る非水電解質二次電池用正極は、正極合剤層を備える。正極は、通常、正極合剤層と、正極集電体とを備える。正極合剤層は、正極活物質と、第1バインダと、第2バインダとを含む。
[0014]
 正極活物質は、下記式(1):
 Li Ni Co Me (1-x-y)  (1)
(ここで、0.97≦a≦1.2、0.5≦x≦1、および0≦y≦0.1であり、元素Meは、Al、Mn、B、W、Sr、Mg、Mo、Nb、Ti、Si、およびZrからなる群より選択される少なくとも一種を含む。)
で表される複合酸化物を含む。以下、式(1)で表される複合酸化物を、酸化物(1)と称する場合がある。
[0015]
 第1バインダは、少なくともフッ化ビニリデン単位を含む高分子バインダである。第2バインダは、少なくともジエン単位を含む高分子バインダである。第1バインダと第2バインダの総量に占める第2バインダの割合は、5質量%以上35質量%以下である。なお、本明細書中、第2バインダにおいて、ジエン単位には、ジエン単位の水素添加体も含まれるものとする。
[0016]
 酸化物(1)の粒子は、粒子の圧縮破壊強度が比較的大きい傾向がある。このような粒子は、正極合剤層を形成する際に微粉化され難いため、正極合剤層において高充填するのに限界がある。本開示によれば、上記のように、酸化物(1)を含む正極活物質を用いる場合に、第1バインダおよび第2バインダを特定の割合で用いる。第1バインダおよび第2バインダを特定の割合で用いることにより、正極合剤中の第1バインダの分散状態を適度に制御することができ、第1バインダの結晶部の割合を高めることができる。第1バインダの結晶部は剛直性を持っているため、正極合剤の摩擦係数を適度に大きくすることができる。正極合剤層は、正極合剤を加圧することにより形成される。そのため、正極合剤の加圧に伴う応力が、正極合剤層を形成する際に、酸化物(1)の粒子に加わり易くなり、粒子が割れ易くなる。その結果、正極合剤層中に正極活物質を高充填することができるため、正極における活物質密度を高めることができる。
[0017]
 第1バインダおよび第2バインダの総量に占める第2バインダの割合が35質量%を超える場合および5質量%より少ない場合のいずれの場合にも、正極合剤層の摩擦係数は低くなり、正極合剤層における活物質密度を高めることが難しくなる。第2バインダの割合が35質量%を超えると、第1バインダの分散状態を適度に保てず、第1バインダの結晶性が下がり剛直性が低下するため、正極合剤層の摩擦係数が下がる。また、第2バインダの割合が5質量%より少ない場合、第1バインダによる物性の影響が支配的であり、第2バインダを加える効果がほとんど得られない。
[0018]
 第2バインダの割合は、35質量%以下であり、34質量%以下であってもよい。第2バインダの割合は、5質量%以上であり、8質量%以上であってもよい。
[0019]
 正極合剤層に占める第1バインダおよび第2バインダの総量の割合は、例えば、0.1質量%以上であり、0.4質量%以上が好ましい。第1バインダおよび第2バインダの総量の割合は、例えば、3質量%以下であり、1.5質量%以下が好ましい。第1バインダおよび第2バインダの総量の割合がこのような範囲である場合、高容量を確保しながら、正極活物質のより高い充填性を確保することができる。
[0020]
 酸化物(1)の組成は、満充電時の非水電解質二次電池の正極における組成である。酸化物(1)において、リチウムのモル比を示すa値は充放電により増減する。
[0021]
 満充電時とは、電池の定格容量をCとするとき、例えば0.98×C以上の充電状態(SOC:State of Charge)となるまで電池を充電した状態である。満充電時における酸化物(1)の組成は、満充電状態の電池から取り出した正極を、エチルメチルカーボネート(EMC)を用いて洗浄し、乾燥させたものについて求められる。より具体的には、乾燥後の正極から所定量の正極合剤を採取し、誘導結合プラズマ発光分光分析により元素の定量分析をすることにより酸化物(1)の組成を求めることができる。
[0022]
 正極合剤層の摩擦係数は、0.3以上が好ましく、0.31以上であってもよい。正極合剤層の摩擦係数がこのような範囲である場合、正極合剤中において、酸化物(1)の粒子の滑り性が低い状態を確保することができる。よって、正極合剤層を形成する際に、酸化物(1)の粒子をより容易に微粉化することができる。正極合剤層の摩擦係数は、0.5以下が好ましく、0.4以下であってもよい。正極合剤層の摩擦係数がこのような範囲である場合、酸化物(1)の粒子の適度な滑り性を確保することができ、正極合剤層中に粒子が配列し易くなるため、正極合剤層中に正極活物質を高充填する上で有利である。
[0023]
 本明細書中、正極合剤層の摩擦係数とは、静摩擦係数を意味する。正極合剤層の摩擦係数は、JIS K 7125:1999のプラスチックフィルム及びシートの摩擦係数試験方法に準じて測定される。正極合剤層の摩擦係数は、非水電解質二次電池を組み立てる前の正極、または非水電解質二次電池から取り出し、EMCを用いて洗浄し、乾燥させた正極の正極合剤層について測定される。摩擦係数の測定は、例えば、(株)島津製作所製の精密万能試験機(AUTOGRAPH AG-X plus)を用いて行われる。
[0024]
 このように、本開示によれば、正極合剤層中に酸化物(1)の粒子を高充填できるため、正極活物質の密度を高めることができる。より具体的には、正極合剤層における正極活物質の密度を、例えば、3.67g/cm 以上(好ましくは3.68g/cm 以上)に高めることができる。正極活物質の密度の上限は特に制限されないが、高いサイクル特性を確保し易い観点から、正極活物質の密度は、3.75g/cm 以下であってもよい。
[0025]
 正極合剤層中の正極活物質密度は、非水電解質二次電池を組み立てる前の正極、または非水電解質二次電池から取り出し、EMCを用いて洗浄し、乾燥させた正極の正極合剤層について、次の手順で求めることができる。正極合剤層の、リードの接続部などを除く比較的平坦な縦50mm×横50mmのサイズの領域について、正極合剤層の厚みを測定する。縦ならびに横のサイズ、および厚みからこの領域における正極合剤層のみかけ体積を求める。この領域の正極合剤を、正極集電体から剥離させ、誘導結合プラズマ発光分光分析または原子吸光分析で元素の定量分析をすることにより、正極活物質の質量を求める。この質量をみかけ体積で除することにより、正極合剤層における正極活物質の密度が求められる。
[0026]
 より高い容量を確保する観点からは、酸化物(1)において、Niの比率xは、0.8≦x≦1であってもよい。また、Niの比率が大きいと、正極合剤層を形成する際に、粒子が粉砕され難い。本開示によれば、上記のように、第1バインダおよび第2バインダを特定の割合で用いることで、酸化物(1)を含む正極活物質の粒子が微粉砕され易くなる。そのため、0.8≦x≦1の場合であっても、酸化物(1)の粒子を容易に微細化でき、正極合剤層中に正極活物質を高充填することができる。
[0027]
 酸化物(1)のより高い熱的安定性を確保し易い観点からは、酸化物(1)において、元素Meは、少なくともAlを含むことが好ましい。また、元素MeがAlを含む場合、正極合剤層を形成する際に酸化物(1)の粒子が粉砕され難い。本開示によれば、第1バインダおよび第2バインダを特定の割合で用いることで、酸化物(1)を含む正極活物質の粒子が微粉砕され易くなる。そのため、元素Meが少なくともAlを含む場合でも、酸化物(1)の粒子を容易に微細化でき、正極合剤層中に正極活物質を高充填することができる。
[0028]
 元素Meが少なくともAlを含む場合、Coの比率yは、0.01≦yであってもよい。この場合、酸化物(1)の粒子の圧縮破壊強度を大きくすることができ、粒子の微細化の効率を高めることができる。低コスト化の観点からは、y≦0.05とすることが好ましい。
[0029]
 Meが、Alを含む場合、さらにMnを含んでもよい。この場合、酸化物(1)の粒子の圧縮破壊強度の増加を抑えることができるため、粒子をさらに微細化し易くなる。MnのAlに対する原子比(=Mn/Al)は、0.9以下であることが好ましい。この場合、より高い容量およびサイクル特性を確保し易い。また、酸化物(1)の結晶構造を安定化し易い。Mn/Al比は、0.7以下であってもよい。高い熱安定性を確保し易い観点からは、Mn/Al比は、0.4以上が好ましい。
[0030]
 以下に、非水電解質二次電池の構成について、より具体的に説明する。
[0031]
 (正極)
 正極は、正極合剤層を備える。正極は、通常、正極合剤層を保持する正極集電体を備える。正極合剤層は、正極集電体の一方の表面に形成してもよく、両方の表面に形成してもよい。
[0032]
 正極集電体には、例えば、金属箔を用い得る。正極集電体を構成する金属としては、例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、これらの金属元素を含む合金、ステンレス鋼などが挙げられる。
[0033]
 正極合剤層は、正極活物質、第1バインダおよび第2バインダを必須成分として含み、任意成分として、導電剤、添加剤などを含み得る。添加剤としては、例えば公知の材料を利用できる。
[0034]
 正極活物質は、酸化物(1)を含む。酸化物(1)は、層状岩塩型の結晶構造を含む。酸化物(1)は、Niの比率が高いため、高容量化および低コスト化に有利である。また、酸化物(1)は、Coを含むため、電池の長寿命化などに有利である。
[0035]
 酸化物(1)において、元素Meは、Al、Mn、W、Mg、Mo、Nb、Ti、SiおよびZrからなる群より選択された少なくとも1種が好ましい。なお、Mn、W、Nb、Mg、Zrなどは結晶構造の安定化に寄与すると考えられる。
[0036]
 酸化物(1)において、原子比Co/Alを0~1.0に設定してもよい。
[0037]
 正極活物質は、酸化物(1)以外の他の酸化物を含んでもよい。他の酸化物としては、例えば、Li αCoO 2、Li αNiO 2、Li αMnO 2、Li αCo β1-βγ(Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBからなる群より選択される少なくとも1種)、LiMPO 4、(Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBからなる群より選択される少なくとも1種)などが挙げられる。ここでは、0<α≦1.1、0≦β≦0.9および2≦γ≦2.3である。なお、リチウムのモル比を示すα値は充放電により増減する。これらの酸化物における組成は、酸化物(1)の場合と同様に、満充電時の組成とする。
[0038]
 正極活物質全体に占める酸化物(1)の割合は、例えば、50質量%以上であり、80質量%以上または90質量%以上であってもよい。正極活物質を、酸化物(1)のみで構成してもよい。
[0039]
 正極合剤層は、バインダとして、第1バインダおよび第2バインダを少なくとも含んでいる。正極合剤は、第1バインダおよび第2バインダ以外の第3バインダを含んでもよい。
[0040]
 第1バインダは、少なくともフッ化ビニリデン(VDF)単位を含む高分子バインダである。第1バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、VDF単位とコモノマー単位とを含む共重合体などが挙げられる。共重合体としては、例えば、オレフィン単位およびハロゲン化オレフィン単位からなる群より選択される少なくとも一種とVDFとの共重合体が挙げられる。オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなどが挙げられる。ハロゲン化オレフィンとしては、フッ素および塩素の少なくとも一方を有するオレフィンなどが挙げられる。ハロゲン化オレフィンは、例えば、パーフルオロオレフィンであってもよい。パーフルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどが挙げられる。しかし、これらのコモノマーは単なる例示であり、これらに限定されるものではない。
[0041]
 VDF共重合体に占めるVDF単位の比率は、例えば、50モル%以上であり、80モル%以上であってもよい。
[0042]
 第2バインダは、ジエン単位を含む。ジエン単位としては、共役ジエン単位、非共役ジエン単位、またはこれらの水素添加体などが挙げられる。第2バインダは、共役ジエン単位またはその水素添加体を少なくとも含むことが好ましい。共役ジエン単位としては、ブタジエン単位、イソプレン単位、ペンタジエン単位、またはその置換体などが挙げられる。ブタジエン単位としては、1,3-ブタジエン単位、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン単位などが挙げられる。第2バインダは、一種または二種以上のジエン単位を含んでいてもよい。
[0043]
 第2バインダは、ジエン単位以外の他のコモノマー単位を含んでもよい。第2バインダにおける他のコモノマー単位としては、例えば、シアン化ビニル単位、アクリル系モノマー、α,β-不飽和カルボン酸またはその酸無水物、ビニル系モノマー、アリル系モノマー、オレフィンなどが挙げられる。シアン化ビニル単位としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。アクリル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドなどが挙げられる。α,β-不飽和カルボン酸としては、アクリル酸およびメタクリル酸以外のα,β-不飽和カルボン酸が挙げられる。このような不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。ビニル系モノマーとしては、ビニルエステル、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物またはそのハロゲン化物、ハロゲン化ビニルなどが挙げられる。アリル系モノマーとしては、アリルエステル、アリルエーテルなどが挙げられる。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、およびこれらのハロゲン化物などが挙げられる。ビニル系モノマーのハロゲン化物(ハロゲン化ビニルも含む)およびオレフィンのハロゲン化物としては、フッ化物、塩化物などが挙げられる。他のコモノマーは、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、ホスホン酸基、リン酸エステル基、ホスホン酸エステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、アシルアミノ基などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらの他のコモノマーは単なる例示であり、これらに制限されるものではない。第2バインダは、他のコモノマー単位を一種または二種以上含んでもよい。
[0044]
 第3バインダとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリエーテルサルフォン、ゴム粒子などが例示できる。ただし、第3バインダは、第1バインダおよび第2バインダとは異なるものである。正極合剤層は、第3バインダを一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
[0045]
 正極合剤層に含まれるバインダ全体に占める第1バインダおよび第2バインダの総量の割合は、例えば、50質量%以上であり、80質量%以上または90質量%以上であってもよい。正極合剤層に含まれるバインダ全体を第1バインダおよび第2バインダのみで構成してもよい。
[0046]
 導電剤としては、例えば、公知のものが使用できる。導電剤としては、カーボンブラック、導電性繊維、およびフッ化カーボンが例示される。カーボンブラックとしては、例えば、アセチレンブラックが挙げられる。導電性繊維としては、炭素繊維、金属繊維などが挙げられる。炭素繊維には、カーボンナノチューブも含まれる。正極合剤層は、導電剤を1種含んでもよく、2種以上含んでもよい。
[0047]
 正極合剤層は、正極活物質、バインダおよび導電剤などを含む正極合剤を分散媒に分散させた正極スラリーを、正極集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより形成できる。乾燥後の塗膜は、通常、塗膜の厚み方向に圧縮される。
[0048]
 正極合剤層を形成する際に、正極活物質粒子に応力が加わり易い観点から、正極スラリーに用いる正極活物質の平均粒子径は、10μm以上が好ましい。低コスト化が容易である観点から、正極スラリーに用いる正極活物質の平均粒子径は、13μm以下とすることが好ましい。
[0049]
 なお、正極スラリーに用いる正極活物質の平均粒子径は、レーザー回折散乱法で測定される粒度分布において、体積積算値が50%となる粒径(換言すれば、体積平均粒径)を意味する。
[0050]
 (負極)
 負極は、例えば、負極活物質を含む負極合剤層と、負極合剤層を担持する負極集電体とを備える。負極活物質は、少なくとも、リチウムイオンを吸蔵および放出する炭素材料を含む。
[0051]
 負極集電体には、例えば、金属箔を用い得る。負極集電体を構成する金属としては、リチウム金属と反応しない金属が好ましく、例えば、銅、ニッケル、鉄およびこれらの金属元素を含む合金などが挙げられる。
[0052]
 負極合剤層は、例えば、負極合剤を分散媒に分散させた負極スラリーを負極集電体の表面に塗布し、乾燥させることにより形成できる。乾燥後の塗膜を必要により圧延してもよい。負極合剤層は、負極集電体の一方の表面に形成してもよく、両方の表面に形成してもよい。
[0053]
 負極合剤は、負極活物質を必須成分として含み、任意成分として、バインダ、導電剤、増粘剤などを含み得る。バインダ、導電剤、増粘剤としては、例えば公知の材料を利用できる。バインダは、正極合剤層について例示した第1~第3バインダから選択してもよい。導電剤としては、正極合剤層について例示したものから選択してもよい。また、負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出する炭素材料を必須成分として含む。
[0054]
 リチウムイオンを吸蔵および放出する炭素材料としては、黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素などが挙げられる。易黒鉛化炭素は、ソフトカーボンと呼ばれることがある。難黒鉛化炭素は、ハードカーボンと呼ばれることがある。中でも充放電の安定性に優れ、不可逆容量も少ない黒鉛が好ましい。また、負極活物質は、炭素材料以外の材料を含んでもよい。負極活物質の80質量%以上または90質量%以上が黒鉛であることが好ましい。
[0055]
 黒鉛とは、黒鉛型結晶構造が発達した炭素材料であり、例えば、X線回折法にて測定される(002)面の面間隔d002が3.4Å以下の黒鉛であってもよい。黒鉛の結晶子サイズは100Å以上であってもよい。結晶子サイズは、例えばシェラー(Scherrer)法により測定される。
[0056]
 負極活物質として用い得る炭素材料以外の材料として合金系材料が挙げられる。合金系材料とは、リチウムと合金形成可能な金属を少なくとも1種類含む材料であり、例えば、ケイ素、スズ、ケイ素合金、スズ合金、ケイ素化合物などが挙げられる。
[0057]
 合金系材料として、リチウムイオン導電相と、その相に分散したケイ素粒子とを有する複合材料を用いてもよい。リチウムイオン導電相として、シリケート相や、95質量%以上が二酸化ケイ素であるケイ素酸化物相を用いてもよい。
[0058]
 (非水電解質)
 非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解したリチウム塩を含む。非水電解質におけるリチウム塩の濃度は、例えば、0.5~2mol/Lである。非水電解質は、公知の添加剤を含有してもよい。
[0059]
 非水溶媒としては、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステルなどが用いられる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネートなどが挙げられる。環状カルボン酸エステルとしては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトンなどが挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0060]
 リチウム塩としては、例えば、塩素含有酸のリチウム塩、フッ素含有酸のリチウム塩、フッ素含有酸イミドのリチウム塩、リチウムハライドなどが使用できる。塩素含有酸のリチウム塩としては、LiClO 4、LiAlCl 4、LiB 10Cl 10などが挙げられる。フッ素含有酸のリチウム塩としては、LiPF 6、LiBF 4、LiSbF 6、LiAsF 6、LiCF 3SO 3、LiCF 3CO 2などが挙げられる。フッ素含有酸イミドのリチウム塩としては、LiN(CF 3SO 22、LiN(CF 3SO 2)(C 49SO 2)、LiN(C 25SO 22などが挙げられる。リチウムハライドとしては、LiCl、LiBr、LiIなどが挙げられる。リチウム塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[0061]
 (セパレータ)
 正極と負極との間にセパレータを介在させてもよい。セパレータは、イオン透過度が高く、適度な機械的強度および絶縁性を備えている。セパレータとしては、微多孔薄膜、織布、不織布などを用いることができる。セパレータの材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンが好ましい。
[0062]
 (非水電解質二次電池)
 非水電解質二次電池の種類や形状は特に限定されない。例えば、円筒型、コイン型、角型、シート型、扁平型等の各種形状から適宜選択することができる。電極群の形態も特に限定されず、例えば捲回型、積層型などであってもよい。
[0063]
 一例として、図1に円筒型の非水電解質二次電池の縦断面図を示す。非水電解質二次電池100は、捲回式電極群40と、図示しない非水電解質とを含む。電極群40は、それぞれ帯状の正極10、負極20およびセパレータ30を含む。正極10には正極リード13が接続され、負極20には負極リード23が接続されている。正極リード13は、長さ方向の一端部が正極10に接続され、他端部が封口板90に接続されている。封口板90は、正極端子15を備えている。負極リード23は、一端が負極20に接続され、他端が負極端子になる電池ケース70の底部に接続されている。電池ケース(電池缶)70は、金属製であり、例えば鉄で形成されている。電極群40の上下には、それぞれ樹脂製の上部絶縁リング80および下部絶縁リング60が配置されている。なお、図示例では、捲回型の電極群を備える円筒型電池について説明したが、この場合に限らず本実施形態を適用できる。
[0064]
 [実施例]
 以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[0065]
 《実施例1~3および比較例1》
 正極活物質であるリチウムニッケル複合酸化物と、バインダと、アセチレンブラックと、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)とを所定の質量比で混合し、正極スラリーを調製した。バインダとしては、第1バインダとしてのポリフッ化ビニリデンと、第2バインダとしての変性ブタジエンゴム(アクリロニトリル単位を含む)とを用いた。第1バインダおよび第2バインダの総量に占める第2バインダの割合は、表1に示す値とした。正極スラリーの固形分(換言すれば、正極合剤層)に占める第1バインダおよび第2バインダの総量の比率は、1質量%とした。リチウムニッケル複合酸化物としては、NCA1(LiNi 0.9Co 0.05Al 0.05、D50:12μm)またはNCA2(LiNi 0.9Co 0.04Al 0.06、D50:12μm)を用いた。
[0066]
 正極集電体であるアルミニウム箔の両方の表面に正極スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して、アルミニウム箔の両方の表面に正極合剤層を形成した。このようにして非水電解質二次電池用正極を作製した。
[0067]
 《比較例2~3》
 第2バインダを用いない以外は、実施例1または実施例3と同様にして正極を作製した。
[0068]
 《評価》
(1)摩擦係数
 正極の正極合剤層の表面における摩擦係数を既述の手順で求めた。
(2)正極活物質密度
 既述の手順で正極における正極活物質の密度を求めた。
[0069]
 結果を表1に示す。表1中、E1~E3は実施例1~3であり、R1~R3は比較例1~3である。
[0070]
[表1]


[0071]
 表1に示されるように、第2バインダの割合が5質量%未満または35質量%超の場合には、正極合剤層の摩擦係数が低く、正極活物質密度も小さくなった。これに対し、第2バインダの割合が、5質量%以上35質量%以下である実施例の正極では、比較例に比べて正極合剤層の摩擦係数が大きくなり、正極活物質密度を向上できている。
[0072]
 《非水電解質二次電池》
 実施例で作製した正極を用いて非水電解質二次電池を作製した。非水電解質二次電池は、次の手順で作製した。
(1)負極の作製
 人造黒鉛(平均粒径30μm)と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンとを、所定の質量比で混合し、NMPを添加し、負極スラリーを調製した。次に、負極集電体である電解銅箔の表面に負極スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して、銅箔の両面に負極合剤層を形成した。
(2)非水電解質の調製
 エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを3:7の体積比で含む混合溶媒にLiPF 6を1.0mol/L濃度で溶解して非水電解液を調製した。
(3)非水電解質二次電池の組み立て
 正極および負極にリードタブをそれぞれ取り付け、リードが最外周部に位置するように、セパレータを介して正極および負極を渦巻き状に巻回することにより電極群を作製した。電極群を、アルミニウム箔をバリア層とするラミネートフィルム製の外装体内に挿入し、105℃で2時間真空乾燥した後、電解液を注入し、外装体の開口部を封止して、非水電解質二次電池を得た。
[0073]
 得られた非水電解質二次電池を用いて充放電を行ったところ、正極活物質密度に応じた高い容量が得られた。

産業上の利用可能性

[0074]
 本開示に係る正極を備える非水電解質二次電池は、高容量であるため、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末のような電子機器、ハイブリッド、プラグインハイブリッドを含む電気自動車、太陽電池と組み合わせた家庭用蓄電池などに用いることができる。

符号の説明

[0075]
10  正極
13  正極リード
15  正極端子
20  負極
23  負極リード
30  セパレータ
40  電極群
60  下部絶縁リング
70  電池ケース
80  上部絶縁リング
90  封口板
100  非水電解質二次電池

請求の範囲

[請求項1]
 正極合剤層を備え、
 前記正極合剤層は、正極活物質と、第1バインダと、第2バインダとを含み、
 前記正極活物質は、下記式(1):
 Li Ni Co Me (1-x-y)  (1)
(ここで、0.97≦a≦1.2、0.5≦x≦1、および0≦y≦0.1であり、元素Meは、Al、Mn、B、W、Sr、Mg、Mo、Nb、Ti、Si、およびZrからなる群より選択される少なくとも一種を含む。)
で表される複合酸化物を含み、
 前記第1バインダは、少なくともフッ化ビニリデン単位を含む高分子バインダであり、
 前記第2バインダは、少なくともジエン単位を含む高分子バインダであり、
 前記第1バインダと前記第2バインダの総量に占める前記第2バインダの割合が、5質量%以上35質量%以下である、非水電解質二次電池用正極。
[請求項2]
 前記正極合剤層の摩擦係数は、0.3以上0.5以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
[請求項3]
 前記正極合剤層に占める前記第1バインダおよび前記第2バインダの総量の割合は、0.4質量%以上1.5質量%以下である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用正極。
[請求項4]
 0.8≦x≦1を充足する、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極。
[請求項5]
 前記Meは、少なくともAlを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極。
[請求項6]
 0.01≦y≦0.05を充足する、請求項5に記載の非水電解質二次電池用正極。
[請求項7]
 前記Meは、さらにMnを含み、
 MnのAlに対する原子比は、0.9以下である、請求項5または6に記載の非水電解質二次電池用正極。
[請求項8]
 請求項1~7のいずれか1項に記載の正極と、負極と、リチウムイオン伝導性の非水電解質と、を備える、非水電解質二次電池。

図面

[ 図 1]