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1. WO2021065372 - VEHICLE CONTROL DEVICE

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明 細 書

発明の名称 車両制御装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009   0010   0011  

課題を解決するための手段

0012  

発明の効果

0013  

図面の簡単な説明

0014  

発明を実施するための形態

0015  

実施例 1

0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097  

実施例 2

0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150  

実施例 3

0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174  

実施例 4

0175   0176   0177   0178   0179  

実施例 5

0180   0181   0182   0183   0184   0185  

実施例 6

0186   0187  

実施例 7

0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195  

実施例 8

0196   0197   0198   0199   0200   0201  

実施例 9

0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214  

実施例 10

0215   0216   0217   0218   0219   0220  

実施例 11

0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228  

符号の説明

0229  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2   3   4   5   6A   6B   6C   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22  

明 細 書

発明の名称 : 車両制御装置

技術分野

[0001]
 本発明は、運転者や自動運転システムの運転特性を考慮したうえで、燃費を改善するようにエンジンを制御する車両制御装置に関する。

背景技術

[0002]
 車両制御装置に関連する従来技術として、例えば、特許文献1、2に記載されるものがある。
[0003]
 特許文献1は、モータ駆動による走行中に、エンジンを始動させてエンジン駆動により走行させる際に、エンジン始動の直後にエンジンが停止されると予想される場合はエンジンの始動を抑制するものである。
[0004]
 この特許文献1によれば、自車の前方に割り込む車両を検知した場合に、運転者が減速操作行うか否かの予測に基づき、減速が予想される場合に、モータモードからエンジンモードへの切り替えを中断させるエンジン始動抑制手段を設けることで、エンジン始動と停止の繰り返しによる燃費悪化を改善し、さらに良好な加速性能を得ることができるとされる。
[0005]
 また、特許文献2は、追従制御中にアクセル操作によって車間距離を狭める場合に、アクセルをOFFした後は自車速度が先行車速度よりも高速であるため、車間距離が狭まり続けることを回避するためにアクセルをOFFした時に目標車間距離を設定すると、減速、加速、減速の順の速度変化が発生し、ドライバビリティが悪化することを抑制する車間距離制御装置に係るものである。
[0006]
 この特許文献2によれば、運転者の加速操作を検出する加速操作検出手段と運転者の減速操作を検出する減速操作検出手段の少なくとも1つの操作検出手段と、自車と先行車との車間距離を取得する車間距離取得手段と、操作検出手段により検出した運転者の加速操作又は減速操作に応じて、車間距離取得手段により取得した車間距離に基づいて目標車間距離を変更する目標車間距離変更手段と、自車と先行車との相対速度を取得する相対速度取得手段とを備え、目標車間距離変更手段は、加速操作検出手段により加速操作終了を検出した後又は減速操作検出手段により減速操作終了を検出した後に、相対速度取得手段により取得した自車と先行車との相対速度が零になったときの車間距離取得手段により取得した車間距離に基づいて目標車間距離を変更することにより、加減速操作終了後の自車と先行車との相対速度とが零(すなわち、自車と先行車とが同じ車速)という条件が成立したときの実車間距離に基づいて目標車間距離を変更することにより、余分な加減速によるドライバビリティの悪化を防止でき、運転者は違和感を受けないとされる。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2018-118690号公報
特許文献2 : 特開2010-143323号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 しかしながら、特許文献1では、燃費改善の機会が割込み車両の検出時に限られ、効果を得られる機会の拡大に改善の余地があり、また、特許文献2ではアクセルペダルの戻し操作、あるいはブレーキペダルの戻し操作のタイミングで運転者の特徴と得ようする試みではあるものの、運転者がアクセル、あるいはブレーキを操作し続ける状態、すなわち運転操作の大部分の時間についてはその情報を利用できていない。また、いずれの文献においても、運転者の行動の予測という観点で、運転者の志向や癖といった運転者ごとに異なると思われる情報に対する考慮が十分になされていない。
[0009]
 運転者、あるいは運転者に代わる自動運転システムが車両に加減速を要求するにあたり、運転者が持つ志向や癖等を反映させることができれば、加減速に係る要求駆動力、あるいは制動力、ないしは加速度をより精度高く予測することが可能になる。
[0010]
 これにより、モータとエンジンを併用する車両においては、駆動力の適切な分配を可能にし、バッテリの出力制限やエンジン始動判定の正確性を高めることができる。あるいは、エンジンを主たる動力源とする車両にあっては、応答遅れが比較的大きなEGRや過給を伴う省燃費制御に対して、その応答性を犠牲にすることなく制御の実行機会を拡大することができる。
[0011]
 すなわち、本発明は、運転者や自動運転システムの運転特性を考慮したうえで、燃費を改善するようにエンジンを制御する車両制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0012]
 本発明に係る車両制御装置は、先行車と自車の車間距離に基づいて、自車の運転特性パラメータを演算する運転特性演算部と、前記車間距離に基づいて、所定時間後の前記先行車の状態を予測する先行車状態予測部と、前記先行車状態予測部が予測した所定時間後の前記先行車の状態と、前記運転特性演算部が演算した前記自車の運転特性パラメータと、に基づいて、所定時間後の前記自車の駆動状態を推定する駆動状態推定部と、を備えるものとした。

発明の効果

[0013]
 本発明の車両制御装置によれば、運転者や自動運転システムの運転特性を考慮したうえで、燃費を改善するようにエンジンを制御することができる。

図面の簡単な説明

[0014]
[図1] 実施例1の車両の制御装置を示すブロック線図
[図2] 実施例1に係る先行車状態推定部の機能を説明する図
[図3] 実施例1に係る運転特性演算フローを示す図
[図4] 実施例1に係る駆動状態推定部の機能を説明する図
[図5] 実施例1に係る推定加速度と要求駆動力を整理したマップの例
[図6A] 実施例1に係る加速度推定結果の一例を説明する図
[図6B] 実施例1に係る加速度推定結果の一例を説明する図
[図6C] 実施例1に係る加速度推定結果の一例を説明する図
[図7] 実施例2に係るハイブリッド電気自動車の模式図
[図8] 実施例2に係る制御ユニットのブロック線図
[図9] 実施例2に係る運転計画生成部を備える車両の制御装置を示すブロック線図
[図10] 実施例2に係るシステム出力とバッテリ上限出力とマージンの関係を説明する図
[図11] 先行車に追従する自車の走行シーンを説明する図
[図12] 実施例2に係る運転計画部の機能を説明する図
[図13] 実施例2に係る運転計画の変更例を説明する図
[図14] 実施例2に係る運転計画の変更例を説明する図
[図15] 実施例2に係る発明の効果を説明する図
[図16] 実施例3~7に係る、エンジンを主たる駆動力源とする車両の模式図
[図17] 実施例3、5~8に係る、車両の制御装置を示すブロック図
[図18] 実施例3、4に係るエンジンを説明する模式図
[図19] 実施例3に係るエンジン回転速度とエンジン負荷に対するEGR弁開度の設定マップの一例
[図20] 実施例9に係る車両の制御装置を示すブロック図
[図21] 実施例10に係る車両の制御装置を示すブロック図
[図22] 実施例11に係る通信モジュールを搭載した車両の模式図

発明を実施するための形態

[0015]
 以下、図面を参照して、本発明に係る車両の制御装置の実施例について説明する。なお、図面においては、同一の要素には同一符号を付し、その重複説明を省略する。
実施例 1
[0016]
 まず、図1から図6Cを用いて、本発明の実施例1を説明する。
[0017]
 図1は、本発明の実施例1に係る車両制御装置の要部を示すブロック図である。ここに示すように、本実施例の車両制御装置10は、将来の先行車状態を予測する先行車状態予測部11と、自車の運転特性を抽出する運転特性演算部12と、将来の自車の駆動状態を推定する駆動状態推定部13を備える。なお、車両制御装置10は、具体的には、CPU等の演算装置、半導体メモリ等の記憶装置、および、通信装置などのハードウェアを備えた計算機である。そして、記憶装置にロードされたプログラムを演算装置が実行することで、各部の機能を実現するが、以下では、このような計算機分野での周知技術を適宜省略しながら、各部の詳細を順次説明する。
[0018]
 <先行車状態予測部11>
 先行車状態予測部11は、先行車と自車の車間距離dx、先行車と自車の相対速度dv、および、自車速度v に基づいて、将来の先行車状態を予測する。ここでいう将来の先行車状態とは、5秒後や20秒後といった将来時刻において、先行車と自車の位置関係(車間距離dx)や相対速度dvがどのように変化するのかを予測した情報である。これは、例えば、次の式1を用いて求めることができる。
[0019]
[数1]


[0020]
 なお、式1において、τは仮想的な時間軸τ axis上の任意の時刻を表し、τ+1は時刻τから時間ステップdτが経過した仮想的な時刻を意味する。この時間ステップdτは、例えば、0.1秒や1秒である。また、x は先行車位置、v は先行車速度、α は先行車加速度である。先行車速度v の変化は、任意の時刻τにおける、先行車速度v (τ)と、先行車加速度α (τ)から、式2のように求めることができる。
[0021]
[数2]


[0022]
 式1や式2の先行車速度v の初期値v (τ )は、例えば、式3のように計算できる。
[0023]
[数3]


[0024]
 なお、式3において、v esは速度センサで計測した自車速度、dv は先行車と自車の現時点の相対速度である。式1や式2の先行車加速度α は、式3で求めた先行車速度v (τ )と、車両制御装置10の1処理周期dt job前に式3で求めた先行車速度v poldを用いて式4のごとく求める。
[0025]
[数4]


[0026]
 この関係を模式したものを図2に示す。同図において、t axisは実時間軸、τ axisは仮想時間軸、v axisは速度軸である。また、実時間軸t axisの一目盛は車両制御装置10の処理周期dt jobであり、仮想時間軸τ axisの一目盛は任意に設定可能な時間ステップdτ(例えば0.1秒や1秒)である。
[0027]
 先行車がいる場合、先行車状態予測部11は、処理周期dt job毎に次の演算を行う。
すなわち、まず、式3を用いて先行車速度v (τ )を演算する(図2中の黒丸参照)。次に、その先行車速度v (τ )を初期値として、式2を用いて、所定時間後(例えば、5秒後)までの先行車状態を、仮想的な時間ステップdτ(例えば、0.1秒や1秒)毎に演算する(図2中の点線で連結された白丸参照)。これにより処理周期dt job毎に先行車状態の検出結果に基づいた先行車状態の予測を行うことができる。
[0028]
 一方、先行車がいない場合には、先行車状態予測結果として無効値を出力し、駆動状態推定部13で先行車不在時の駆動力予測を実施できるようにする。
[0029]
 先行車速度v や先行車加速度α の演算値や計測値は、量子化誤差やセンサ誤差を含んでいるため、適当なフィルタを適用しても構わない。このようなフィルタとしてローパスフィルタやカルマンフィルタを好適に用いることができる。なお、先行車速度の初期値v (τ )や先行車加速度α は、上記のごとく演算により求めるほか、センサを使って直接検出しても構わないし、通信装置などを経由して先行車から提供される値を用いてもよい。
[0030]
 <運転特性演算部12>
 運転特性演算部12は、車間距離dx、相対速度dv、自車速度v 、アクセルペダル操作量、および、ブレーキペダル操作量に基づいて、要求駆動力を推定するための運転特性パラメータθを算出する。運転特性演算部12で実施する処理について図3のフローチャートにより説明する。
[0031]
 運転特性抽出処理が開始されると、まず、ステップS1では、自車加速度α を取得する。自車加速度α は、速度センサで計測した現時点の自車速度v esから式5のように計算してもよく、車両の加速度を計測する加速度センサによって計測してもよい。また、計算結果や計測結果に適当なフィルタを適用しても構わない。
[0032]
[数5]


[0033]
 なお、式5において、v eoldは1処理周期dt job前の自車速度v esである。
[0034]
 ステップS2では、先行車を検出している状態であるか(すなわち、先行車状態予測部11の出力が有効値であるか)を判定する。先行車を検出している状態であれば、ステップS3へ進み、そうでなければ、ステップS7へ進む。
[0035]
 ステップS3では、距離センサで計測した現時点の車間距離dx と速度センサで計測した自車速度v esに基づいて、車間時間THWを計測する。車間時間THWは、現在の自車速度v esを継続した場合に先行車位置にたどり着くと予想される時間であり、式6のごとく計算される。
[0036]
[数6]


[0037]
 ステップS4では、ステップS3で求めた車間時間THWと閾値THW thを比較し、自車が追従走行しているか、実質的に単独走行しているかを推測する。車間時間THWが閾値THW thより小さい場合はステップS5に進み、車間時間THWが閾値THW th以上であり実質的に単独走行していると見做すことができる場合はステップS7に進む。
[0038]
 一般的な運転者は、先行車に追従する場合、先行車から2~3秒遅れで走行することが多く、この場合、車間時間THWは比較的小さくなる。一方で、先行車がいる場合でも車間距離dxが極端に大きい場合は、先行車速度v の大小に関係なく自車速度v を決定することが多いため、この状態を実質的な単独走行と判定する必要がある。このため、追従走行と実質的な単独走行を識別するための閾値THW thは、2~3秒より大きく、かつ、大きすぎない値を設定する必要がある。従って、閾値THW thは、5秒から20秒の範囲が好適であり、例えば、15秒程度が特に好適である。
[0039]
 また、閾値THW thは、車速に基づいて変化させても良い。例えば、低速走行時にはTHW thを15秒程度に設定しておき、車速が高速になるにしたがって5秒程度にまで小さくするなどの方法が考えられる。このようにすることで、実質的な単独走行時に、追従走行用の不適切な運転特性パラメータθを設定することを抑制できる。
[0040]
 ステップS4で追従走行中と判定した場合は、ステップS5へ移行し、追従走行時の運動特性パラメータθを計算するために必要なデータを取得する。まず、ステップS5aにて自車速度v をバッファへ格納する。次いで、ステップS5bで車間距離dxをバッファへ格納する。また、ステップS5cでは相対速度dvをバッファに格納する。さらに、ステップS5dで自車加速度α をバッファに格納する。なお、この格納処理の順番は特に限定されず、また、バッファに格納する情報もこれに限らない。バッファに格納する情報を増やすことで運転特性を説明する情報量が増加し、駆動状態推定部13における駆動状態の推定精度が高まり、一方、バッファに格納する情報を減らすことで、計算処理の高速化やメモリ消費量の低減が期待できる。
[0041]
 少なくとも車間距離dxと相対速度dvと自車加速度α をバッファに格納することで運転特性パラメータθを算出できる。ここで言うバッファは、運転特性演算部12の処理周期dt job毎に、車間距離dx等を格納し、所定時間分をさかのぼって参照できるような配列やリスト構造として保持が可能なデータベースであり、このような時間として30秒間や1分間、ないしは10分間程度の時間を設定することが好適である。また、バッファへの格納は処理周期dt job毎になされていなくてもよく、例えば、1秒毎や5秒毎のように所定時間間隔でダウンサンプリングしても良く、または、5m走行毎や10m走行毎といった走行距離に応じたサンプリングがなされても構わない。さらには自車速度v が1km/hや5km/h変動毎といったサンプリングも可能であり、これらを組み合わせて用いても構わない。
[0042]
 ステップS6では、ステップS5で取得した情報を用いて、運転特性パラメータθを計算する。ここで計算した運転特性パラメータθが反映される、駆動状態推定モデルの一例を式7に示す。
[0043]
[数7]


[0044]
 式7は、自車の駆動状態yを、2つの説明変数x 、x に基づいて推定する駆動状態推定モデルの一例であり、説明変数x (例えば、車間距離dx)と、説明変数x (例えば、相対速度dv)に基づいて、駆動状態y(例えば、自車加速度α )を推定する。式7では、θ 、θ 、θ がステップS6で求めたい運転特性パラメータθであり、これらの運転特性パラメータθの精度を高めることで、駆動状態yの推定精度を高めることができる。
[0045]
 また、式8のように、ステップS5で取得する情報を[x ,x ,x ,・・・,x (n-1),x ]のごとく増やした場合には、ステップS6で求めたい運転特性パラメータθも[θ ,θ ,θ ,・・・,θ (n-1),θ ]のごとく増加する。
[0046]
[数8]


[0047]
 式7や式8の運転特性パラメータθは、ステップS5で取得した情報を用いて、最小二乗法により決定する。式9は求めたい運転特性パラメータθを含む仮説関数h (x)である。
[0048]
[数9]


[0049]
 ステップS5で取得した情報は、例えば表1に示す形に可視化される。
[0050]
[表1]


[0051]
 表1に示すように、バッファにn個のサンプルが格納されているとき、仮説関数h (x)と自車加速度α の誤差の合計を式10のように置き、J(θ ,θ ,θ )を最小にする、θ ,θ ,θ を運転特性パラメータθとして演算する。
[0052]
[数10]


[0053]
 式9の仮説関数h (x)を行列表現するため、式11のように、運転特性パラメータθと説明変数xを定義すれば、
[0054]
[数11]


[0055]
 仮説関数h (x)は式12のように運転特性パラメータθの転置行列と説明変数xの行列の積として表現することができる。
[0056]
[数12]


[0057]
 表1のサンプル番号ごとのデータの組み合わせ(行ごとのデータの組み合わせ)をデータセットとして与えた行列Xを式13のように表現できるため、式14を求めることで各々の運転特性パラメータθを導出する。そして、このようにして計算した運転特性パラメータθを駆動状態推定部13に送信する。
[0058]
[数13]


[0059]
[数14]


[0060]
 一方、ステップS2にて先行車を検出していない場合や、ステップS4にて実質的な単独走行と判定された場合は、ステップS7で、単独走行時の運転特性パラメータθを算出するために必要なデータを取得する。
[0061]
 ステップS7での処理は、基本的には、ステップS5での処理と同様であり、式7における自車の駆動状態y(例えば、自車加速度α )を説明するための説明変数xをバッファへ格納する。具体的には、ステップS7aでは自車速度v をバッファへ格納し、ステップS7bでは自車加速度α をバッファに格納する。
[0062]
 さらにステップS8では、ステップS6と同様の方法で運転特性パラメータθを算出し、算出した単独走行時の運転特性パラメータθを駆動状態推定部13へ出力する。
[0063]
 以上で、追従走行時と単独走行時の夫々における、運転特性パラメータθの算出方法を説明したが、本実施例の運転特性演算部12で行う運転パラメータの算出方法は上記の方法に限らず、運転者の操作によって生じる加速度を予見できれば良い。例えば、前述のように加速度の検出結果と、これを説明する説明変数を使って、カーネル密度推定法や混合ガウス分布に従う確率モデルとして運転特性をモデル化し、これら分布を生成するための情報を運転特性パラメータとしてもよい。
[0064]
 あるいは、運転者の車間時間THWと加速側と減速側の加速度を計測し、現時点の車間時間THWが、得られた車間時間の平均値よりも大きい場合には、加速側の平均加速度で加速し、一方、現時点の車間時間が、得られた車間時間の平均値よりも小さい場合には、減速側の平均加速度で減速するように運転者要求加速度を求めてもよく、加速度の平均値や平均車間時間、ないしは平均衝突余裕時間を運転特性パラメータとしても構わない。
[0065]
 <駆動状態推定部13>
 駆動状態推定部13では、先行車状態予測部11で予測した将来の先行車状態(位置、速度)と、運転特性演算部12で抽出した自車の運転特性パラメータθと、式7や式8に示した駆動状態推定モデルに基づいて、自車の将来における運転者の要求加速度を計算し、駆動状態を予測する。以下、その計算内容について説明する。
[0066]
 図4は、駆動状態推定部13による、駆動状態の導出過程を説明する概略図である。
[0067]
 図4(a)において、t axisは実時間軸、τ axisは仮想時間軸、v axisは速度軸である。同図から明らかなように、黒丸で示す各時刻の先行車速度v と、黒四角で示す各時刻の自車速度v が、実時間軸t axis・速度軸v axis平面上にプロットされている。また、現在時刻t nowの先行車速度v (τ )を初期値として、先行車状態予測部11が予測した、白丸で示す将来の先行車速度v (τ )が仮想時間軸τ axis方向に時間ステップdτ間隔でプロットされている。さらに、現在時刻t nowの自車速度v (τ )を初期値とし、また、運転特性演算部12で演算した運転特性パラメータθを用いて、駆動状態推定部13が自車の要求駆動力を予測しながら推定した、白四角で示す自車速度v (τ )が仮想時間軸τ axis方向に時間ステップdτ間隔でプロットされている。なお、図4(a)は、自車速度v (τ )の演算途中の状態を表しているため、v (τ )までしか表示されていないが、v (τ )以降も演算されプロットされる。
[0068]
 同様に、図4(b)において、t axisは実時間軸、τ axisは仮想時間軸、x axisは位置軸である。黒丸で示した各時刻の先行車位置x と、黒四角で示した各時刻の自車位置x が、実時間軸t axis・位置軸x axis平面上にプロットされている。また、現在時刻t nowの先行車位置x (τ )を初期値として、先行車状態予測部11が予測した、白丸で示す将来の先行車位置x (τ )が仮想時間軸τ axis方向に時間ステップdτ間隔でプロットされている。さらに、現在時刻t nowの自車位置x (τ )=0を初期値とし、また、運転特性演算部12で演算した運転特性パラメータθを用いて、駆動状態推定部13が自車の要求駆動力を予測しながら推定した、白三角で示す自車位置x (τ )が仮想時間軸τ axis方向に時間ステップdτ間隔でプロットされている。なお、図4(b)は、自車位置x (τ )の演算途中の状態を表しているため、x (τ )までしか表示されていないが、v (τ )以降も演算されプロットされる。
[0069]
 本実施例の車両制御装置10の特徴は、仮想時間軸τ axis方向の自車の挙動予測や駆動力要求の予測処理であるため、以下では、現在時刻t nowにおける、仮想時間軸τ axis方向の予測に焦点を当てて説明する。
[0070]
 図4(c)は、3次元表現の図4(a)の現在時刻t nowにおける仮想時間軸τ axis方向の速度予測結果を抜粋し2次元表現したグラフであり、図4(d)は、3次元表現の図4(c)の現在時刻t nowにおける仮想時間軸τ axis方向の位置予測結果を抜粋し2次元表現したグラフである。
[0071]
 図4(c)、図4(d)において、τの添え字がn=1以上の任意の時間における、自車速度v (τ )や自車位置x (τ )を推定するには、式1や式2からも明らかなように、その前提として、自車加速度α (τ )を予測しておく必要がある。この自車加速度α (τ )は、運転特性演算部12で演算した運転特性パラメータθを、式7へ代入することで算出する。なお、τ=0では、式5により求めた加速度を、初期値α (τ )として採用する。
[0072]
 ここで求めた加速度α (τ )から、式15のように次の時間ステップの速度v (τ n+1)を順次推定する。自車状態を仮想時刻上で変化させ、これに基づいて式7により運転特性パラメータθに基づいた要求加速度を推定する。
[0073]
[数15]


[0074]
[数16]


[0075]
 なお、先行車がいない場合には、先行車状態予測結果として無効値が出力されるため、予測ステップ毎に自車状態を逐次更新することで再帰的に自車加速度変化を推定する。この場合、図3のステップS6で算出した運転特性パラメータθではなく、ステップS8で算出した運転特性パラメータθを用いることにより、単独走行時に運転者が要求する加速度α を推定することができる。
[0076]
 以上のように、駆動状態推定部13では、運転特性パラメータθから仮想時間軸τ axis方向の自車加速度α の予測値を生成する。
[0077]
 さらに、駆動状態推定部13では、推定した自車加速度α (τ )から、車両に要求される駆動力を推定する。駆動力の推定は、式17ごとく、車両の運動を質点系の運動に置き換えた運動モデルを用いて加速度を換算することにより実施してもよく、単に加速度と車両の速度に対して要求駆動力を整理したマップを用意してもよい。
[0078]
 車両の運動を質点系の運動に置き換えた運動モデルを用いる例を説明する。
[0079]
[数17]


[0080]
 式17において、F (τ )は求める駆動力である。また、R (τ )は空気抵抗、R (τ )は転がり抵抗、R (τ )は登坂抵抗、R acc(τ )は加速抵抗の効力成分であり、それぞれ次の式で求める。
[0081]
[数18]


[0082]
 式18における、ρは空気密度であり、25℃、1気圧を想定して、1.1841kg/m 3などの所定値を設定してもよく、環境温度や気圧に基づいて補正してもよい。C は抗力係数であり、本実施例の車両の制御装置を搭載する車両の諸元に基づいて0.3や0.25、0.35などといった値を設定できる。Aは車両の前方投影面積であり、車両の諸元に基づいて決定でき、2m ~10m のなどと決定できる。v (τ )は、式15のごとく算出した各時刻における車両の速度の推定値である。
[0083]
[数19]


[0084]
[数20]


[0085]
 式19における、μは転がり抵抗係数であり、車両100が装着する車輪や走行路面の状態により決定でき、0.02や0.005などといった値を設定できる。Mは車両100の重量であり、車両の乾燥重量に燃料の重量や乗員の人数、積載量に応じた値を設定できる。車両が乗員の人数や積載量、燃料重量を把握できない場合には乾燥重量に所定の重量を加えた所定値や車両の乾燥重量を代表的な所定値として設定しても構わない。gは重力加速度であり、9.80665m/s 2や9.8m/s 2や10m/s 2などの所定値を設定すればよい。θ(τ )は、式16のごとく推定した車両の位置における路面勾配である。式20も同様である。
[0086]
[数21]


[0087]
 式21における、ΔMは車両の慣性重量であり、車両重量Mの3%や8%といった所定値を設定してもよく、または計測した値を用いても構わない。α(τ )は式7により推定した加速度である。
[0088]
 なお、式18~式21で定義される各効力成分は必ずしもすべてを正確に導出する必要なく、例えば経路の勾配が未知数である場合は一定値として代替するか、または、平面の移動として考えてこれを0としても構わないがこの場合は駆動力の推定が悪化する。各パラメータを正確に設定できるほど駆動力の推定精度が向上することは言うまでもない。
[0089]
 以上質点系の運動モデルを使った例を述べたが、図5のような予測により得られた加速度と、車両の速度と、要求駆動力の関係を整理したマップを用いても構わない。
[0090]
 運転特性パラメータθに基づく加速度変化を上述のごとく先行車状態予測部により得られた将来の先行車状態に従って再帰的に算出することで、自車の将来にわたる駆動力状態の推定を行うことができる。
[0091]
 次に、図6A~図6Cを用いて、駆動状態推定部13が推定した駆動状態の一例を説明する。
[0092]
 まず、図6Aにおいて、図6A(a)には自車速度v esの変化、図6A(b)には自車加速度α の変化、図6A(c)には駆動状態推定部13の推定結果の一例として、運転者要求加速度の推定結果を示している。なお、図6A(c)において、横軸は実時間軸t axis、縦軸は仮想時間軸τ axisである。また、図6A(c)の右側に示すように、明度が低いほど(黒色に近いほど)要求加速度は小さく、明度が高いほど(白色に近いほど)要求加速度が大きいことを示している。
[0093]
 この例では、図6A(b)の自車加速度α が正である期間(矢印i,ii,iiiの起点付近参照)では、図6A(a)に示す自車速度v が増加しており、一方で、自車加速度α が負である期間では自車速度v が減少している。図6A(b)と(c)を比較すると、図6A(b)で自車加速度α が増加する期間に先行して、図6A(c)では明度の高い白い領域が存在していることが分かる。つまり、駆動状態推定部13は、運転特性演算部12が自車の運転者の運転傾向から抽出した運転特性パラメータθを用いることで、自車が実際に加速される前に、運転者の加速操作を正確に予測している。同様に、図6A(b)で自車加速度α が減少する期間に先行して、図6A(c)では明度の低い黒い領域が存在しているため、駆動状態推定部13は、自車が実際に減速される前に、運転者の減速操作を正確に予測している。なお、図6A(c)では、紙面の上方向が仮想時間τの正方向(将来方向)に相当しており、実時間tの各時刻に、下から上へ向かって近い将来から遠い将来への加速度要求の変化を予測していることを示している。
[0094]
 図6Bは、ある時刻t に、駆動状態推定部13が推定した運転者要求加速度の予測結果を抜き出したものである。これは、図6A(c)の時刻t における仮想時間軸τ axis方向のデータを紙面横方向に書き直したものである。従って、図6Bにおける仮想時間τの紙面右側への経過は、図6A(c)の時刻t における仮想時間τの紙面上側への経過と等価である。図6Bでは、仮想時間τの経過とともに、明度が高くなり白色に近づいていることから、時刻t の時点では、駆動状態推定部13が将来の運転者要求加速度の増加を予想していることが分かる。
[0095]
 図6Cは、図6Bの濃淡の変化を、加速度要求の変化に描きなおしたものである。ここに示すように、図6Bでの明度の濃色から淡色への変化は、図6Cでは、仮想時間τの経過とともに、要求加速度が小から大へと増加するものとして表現される。
[0096]
 以上のように、実施例1に係る車両制御装置10は、先行車検出部と、先行車検出部により得られた先行車状態に基づいて将来の先行車状態を予測する先行車状態予測部と、予測した先行車状態に合わせて自車がどのような駆動状態となるかを予測するために、運転特性を演算する運転特性演算部と、先行車状態予測部により得られた将来の先行車状態に対して、再帰的に駆動状態推定を行うことで、自車の将来にわたる駆動状態について、運転特性を反映してこれを予測できる。
[0097]
 このようにすることで、運転者のアクセルペダル、あるいはブレーキペダル操作によって変化する自車の駆動状態を正確に予測でき、運転者の運転特性を考慮したうえで、将来の運転者要求加速度を推定することができる。
実施例 2
[0098]
 次に、図7から図15を用いて、本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1との共通点は重複説明を省略する。
[0099]
 図7は、本発明の実施例2に係る、実施例1車両制御装置10を含む制御ユニット1を搭載する車両100の構成図を示している。
[0100]
 図7に示す車両100は、モータの駆動力によってのみ車両が駆動されるシリーズ式のハイブリッド電気自動車であり、燃料タンク101に蓄えられた燃料をエンジン102(内燃機関)で化学エネルギから、燃焼によって熱、圧力エネルギへの変換を介して図示しないピストン機構やクラン機構を介して運動エネルギへ(回転力)変換し、発電機103を駆動する。発電機103はエンジン102の回転力により入力軸が回転し、図示しない磁石が回転し、電磁誘導により電力を発生させる。発電機103で作られた電力は、バッテリ104へ充電されるほか、インバータ105を介してモータ106で運動エネルギ(回転力)へ変換される。また、エンジン102が停止状態であるときは、バッテリ104の電力のみをインバータ105を介してモータ106へ入力し、電力を運動エネルギへ変換する。加えて、エンジン102が停止状態にあって、モータ106がさらなる電力を必要とするときは、バッテリ104の電力を使って発電機103をモータ駆動し、エンジン102の始動を行う。
[0101]
 モータ106で変換された運動エネルギは、車両100を走行するための駆動力となり、走行装置107を介して車輪108を回転させることで車両100を前進、あるいは後退させることで車両100を走行させる。また、舵取り装置109によって車輪108の角度を変更することで、車両100は左右に旋回する。ブレーキアクチュエータ110は車輪108とともに回転するドラム、あるいはディスクに摩擦材を押し当てることにより運動エネルギを熱エネルギへ変換し、車両100の制動を行う。以上簡単な説明ではあるが、車両100は上記構成により走る、曲がる、止まるといった運動を実現できる。
[0102]
 制御ユニット1は、運転者からの加速要求をアクセルペダル111の操作量として受け付け、これを図示しないアクセルペダルポジションセンサにより検出する。制動の要求をブレーキペダル112の操作量として図示しないブレーキスイッチや図示しないブレーキ液圧としてこれを検出する。運転者が舵取り装置109を操作した量を舵角センサ113により検出し、車両に旋回要求があることを検出する。車速センサ114は車輪108の回転数を検出し、これを車両100の走行速度として検出する。また、前方認識センサ115により、車両100の前方を走行するほかの車両や、歩行者、道路上の障害物等を検知し、移動速度や物体までの距離を測距しこれを検出する。
[0103]
 前方認識センサ115には、撮像装置、レーダ装置、ソナーやレーザスキャナを好適に用いることができる。例えば撮像装置は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を用いた単眼カメラやステレオカメラにより構成されており、可視光、赤外光を検出することにより自車前方の道路状態、先行車を含む障害物の様子、規制情報、環境状態等を取得する。可視光を検出する場合には色差や輝度差に基づきを物体の形状に関する特徴量を抽出する。赤外光を検出する場合には、赤外光によって放射を検出し、温度差から物体の形状に関する特徴量を抽出する。
[0104]
 ステレオカメラは、このように特徴を抽出可能な撮像素子を任意の間隔で設置するとともにシャッタ同期させて、例えば左右にずれた画像について画素ずれ量を視差として求めて、距離を算出する。また、このような特徴量が画素上のどこに存在するのかといった情報に基づき、対象の方向を算出する。このように取得した情報を制御ユニット1に出力する。
[0105]
 例えば、レーダ装置は、自車の前方、側方、後方等に存在する他車両等の障害物を検出し、自車と障害物との距離、他車両の識別情報や相対速度dvといった情報を取得する。
レーダ装置には、電波を発振する発振器と、電波を受信する受信部を備えており、発振器で発振させた電波を外部空間に向けて送信する。発振された電波の一部は物体に到達して反射波として受信部で検出される。送信する電波の振幅や周波数。あるいは位相に適当な変調を加えることで、これと受信部で検出した信号との相関によって検出される送受信の時間差を求めて、これを距離に変換する。
[0106]
 また、電波を限られた方向にのみ送信し、送信方向を走査するように変更することで、物体が存在する角度を検出できる。取得した情報を制御ユニット1に出力する。前方認識センサ115がソナーの場合には電波を音波に読み替えることで同様にして検出できる。
また、レーザスキャナを用いる場合には電波をレーザ光に読み替えることでやはり同様に検出が可能となる。
[0107]
 制御ユニット1は、エンジン102や発電機103、バッテリ104、インバータ105、モータ106の制御状態を検出し、前述のごとく運転者からの加速、制動、あるいは旋回の要求を実現するように、エンジン102や発電機103、バッテリ104、インバータ105、モータ106を制御する。
[0108]
 図7には、制御ユニット1と接続がないものが一部に示されているが、基本的にはすべての要素が何らかの形で接続されていて構わない。本発明を特徴づけることはしないが、制御ユニット1では、車両100を運用するために必要な処理を実行するため、制御ユニット1と接続ない要素、あるいは図1に図示しない要素との接続があることはこれを制限せず、また制御ユニット1は発明の開示に含まれる処理以外の処理を実行していても問題ない。
[0109]
 図8は、制御ユニット1を説明する概略図である。制御ユニット1は、演算を行うマイクロコンピュータや中央処理演算装置(Central Processing Unit:CPU)、演算処理を記述したプログラムを格納する不揮発性のメモリ(Read only memory:ROM)、演算途中の情報を記憶するための主記憶装置(Radom access memory:RAM)、センサ信号のアナログ量を量子化してプログラムで利用可能な情報に変換するA/Dコンバータ(Analog-to-Digital-Converter)やほかの制御ユニット1と通信を行うための通信ポートなどにより構成されており、車両100を運用するための各種処理を実行する。
[0110]
 以下は処理の内容によって多少の周波数幅を持っているものの、1000Hzから10Hz程度の周期で繰り返し実行される。目標駆動力演算部201は、自車速度v と、アクセルペダル操作量とに基づいて車両100に対する運転者の加速要求を算出する。駆動力分配演算部202は、目標駆動力演算部201で算出した目標駆動力に対して、これを実現する目標モータ状態をインバータ制御部203へ出力するとともに、バッテリの充電状態から、エンジン102が発電機103を駆動して発生させるべき電力と、バッテリの放電によって賄うと電力とを算出し、エンジン制御部204にむけて、発電機103が所望の電力を発生できる目標エンジン状態を出力する。
[0111]
 エンジン制御部204は目標エンジン状態を実現するために、エンジン102が備える図示しない絞り弁開度を制御する。エンジン102が備える絞り弁は、エンジン102の流入空気量を制御しており、エンジン102への流入空気量が増加すると燃焼させることのできる燃料量を増量でき、すなわちエンジン出力を増加させることができる。これによって発電機103が発電できる電力量が増加し、これに伴ってインバータ105を介してモータ106へ供給できる電力量が増大するため、車両100を走行させるための駆動力を増加することができる。
[0112]
 目標制動力演算部205は、運転者のブレーキペダル操作量とアクセルペダル操作量とに基づいて車両100の制動力を演算する。基本的には、ブレーキ制御部206は、ブレーキペダル操作量に基づいてブレーキアクチュエータ110を制御している。
[0113]
 目標駆動力演算部201は、アクセルペダルが操作されていない状態では、ブレーキペダルの操作量に基づいて車両100に対する運転者の減速要求を算出する。制動力分配演算部207は、車両100に発生させる制動力に対してブレーキアクチュエータ110を介して車両100の運動エネルギを熱エネルギに変換する量と、バッテリ充電状態に基づいて、インバータ制御部203を介して、インバータ105さらにはモータ106を回生動作させ、車両100の運動エネルギを電気エネルギとして回生する量とを演算する。
[0114]
 ブレーキ制御部206は制動力分配演算部207により制動力の分配を通知されると、ブレーキペダル操作量に基づく制動力に代わって、制動力分配部が決定した制動力を実現するようにブレーキアクチュエータ110を制御する。インバータ制御部203はモータ106の同期速度よりも低い周波数を出力するようにインバータ105を制御する。一方、モータ106は車両100の慣性力によって車輪108、走行装置107を通じて外部から連れまわされる状態にあり、車両100の速度に応じた回転数で回転する。モータ106は、インバータ105による運転周波数を維持しようとして滑りを生じ、滑り周波数に比例するような制動トルクが発生する。この結果インバータ105へ制動トルクによる電気エネルギが返還され、これをバッテリ104へ充電することで、走行エネルギを電力として回生できる回生ブレーキを利用でき、車両100の燃費を向上できる。
[0115]
 また、アクセルペダル操作、ブレーキペダル操作ともになされていない場合は、目標制動力演算部は、自車速度v に基づいた機関ブレーキを模擬する制動力を実現するように制動力を演算し、制動力分配演算部207、さらにはインバータ制御部203を介して回生ブレーキを行う。このようにすることで、エンジンのみが搭載された車両と同様の乗り味を実現でき、運転者がこのような車両から車両100へ乗り換えた場合に生ずる違和感を抑制できる。
[0116]
 運転計画部209は実施例1車両制御装置10を含み、アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量、自車速度v 、バッテリ充電状態に加えて前方認識センサ115により取得した、先行車との車間距離dx、先行車との相対速度dvに基づいて、上記した駆動力分配演算部202と制動力分配演算部207の動作を修正する。
[0117]
 図9は、運転計画部209のブロック図である。ここに示すように、運転計画部209は、車両制御装置10と、車両制御装置10により推定した駆動状態推定結果に基づいて運転計画を生成する運転計画生成部210を備えている。なお、車両制御装置10は、制御ユニット1の構成要素であっても良い。
[0118]
 運転計画生成部210は、駆動状態推定部13により生成した駆動状態の推定結果と、車両100の備える、モータ106の出力特性、バッテリ104の特性、走行装置107、車輪108の特性から、式22~式26を用いて、モータ106の要求電力を計算する。
[0119]
 式22は、車両100の駆動トルクTq demを表す式であり、D tireは車輪108の直径である。
[0120]
[数22]


[0121]
 式23は、車輪108と接続される走行装置107の出力軸側の回転数N shaftを表す式であり、v は自車速度、πは円周率を示している。
[0122]
[数23]


[0123]
 式24は、モータ106の回転数N motを表す式であり、GRは、走行装置107を構成する図示しない変速機やファイナルギアの変速比である。
[0124]
[数24]


[0125]
 式25は、モータ106に要求される出力トルクTq motを示す式である。
[0126]
[数25]


[0127]
 式24、式25により、モータ106の出力トルクTq motと回転数N motが得られるため、式26のようにモータ106の要求電力P mot(ないし消費電力)を予測できる。なお、η motはモータ106の効率である。
[0128]
[数26]


[0129]
 以上のようにして予測したモータ106の要求電力P motと、バッテリ104の出力可能な電力を照らし合わせることで、運転計画生成部210は、駆動力分配演算部202や制動力分配演算部207への指令値を生成する。具体的には、モータ106が駆動力を実現するためにモータ106へ供給する電力の分配を決定するバッテリ104の充電状態に対するエンジン始動判定閾値が変更される。
[0130]
 モータ106へ供給する電力の電源を決定する際に利用する、バッテリ充電率とシステム出力の関係を、図10を用いて説明する。図10では、縦軸がシステム出力を示しており、横軸がバッテリ充電率を示している。上部に示すシステム上限出力は、車両100を走行駆動させるモータ106の最大出力でもある。
[0131]
 モータ106を最大出力で駆動するには、バッテリ104に蓄積された電力と発電機103で発電した電力の双方をインバータ105へ供給する必要がある。図10では、発電機103とバッテリ104の双方を電源としなければならない高いシステム出力の領域を「ハイブリッド領域」と称している。
[0132]
 一方、バッテリ104の最大出力は、バッテリ上限出力として図示する実線であるため、出力動作点がこの実線以下であれば、本来は、バッテリ104からの電力だけでモータ106を駆動することができる。但し、エンジン102の始動時には発電機103の駆動をバッテリ104からの電力で補助するため、バッテリ104にはある程度の余力を残しておく必要がある。このような事情のため、バッテリ上限出力を示す実線の下方の、斜線で示すマージン領域に出力動作点があるときは、バッテリ104だけでモータ106を駆動することができず、マージン領域よりも更に下方にあるドット模様で示す電動モード域に出力動作点があるときに限り、バッテリ104だけでモータ106を駆動することができる。なお、実線で示したバッテリ上限出力は、バッテリ充電率によって異なるほか、バッテリの温度や充電状態によっても変動するが、説明簡単化のため図10ではバッテリ充電率との関係のみを示している。
[0133]
 従来技術では、如何なるタイミングでもエンジン102を始動させることができるように、斜線で示したマージンを大きくとる必要があり、その結果として、バッテリ104のみで車両100を走行させる電動モード域が狭くなっていた。これに対し、本実施例では、状況に応じて、マージンの大きさを抑制することで、電動モード域を広げ、その結果として、エンジン102の始動回数を抑制し、燃費を向上させることができるようにした。
以下、本実施例により、エンジン102の始動回数を抑制し、燃費を向上させることができる理由を順次説明する。
[0134]
 図11は、本実施例の車両制御装置10を搭載した自車302が、先行車301に追従走行するシーンを例示している。図11のチャートは紙面の上側方向から順に、速度変化、加速度変化、車間距離dxの変化、アクセルペダル操作量、アクセルペダル操作速度の変化を示している。速度変化については、先行車301の速度変化(v )を破線で示し、自車302の速度変化(v )を実線で示した。
[0135]
 時刻t の時点で自車302はより高速な先行車301に追従しており、時刻t で車間距離が拡大したため、時刻t の時点まで加速を行って速度を上げ、時刻t から車間距離が詰まったために、減速を行って、時刻t の時点で先行車301の速度に合わせて所定の車間距離を保ちながら追従している。時刻t から時刻t の時点までは車間距離が拡大するため、自車302の運転者はいずれかのタイミングでアクセルペダルを踏み増し、自車を加速する可能性が高いことが予想される。時刻t の時点では自車302は先行車301へ追従するよう運転方法を変更しており、素早くアクセル操作を行うものの要求する駆動力は時刻t に対して小さい。時刻t 以降は、先行車301が障害となるため駆動力を増して速度を上げることできないためである。
[0136]
 図12はそのようなシーンにおいて、図9に示した駆動状態推定部13による駆動状態の推定結果、並びに運転計画生成部210で運転計画を修正するために利用可能なエンジン102の始動判断結果を可視化したものである。
[0137]
 図12の上から順に(a)速度の時間変化、(b)加速度の時間変化、(c)運転者のアクセルペダル操作量の時間変化、(d)駆動状態推定部13における駆動力要求変化の可視化結果、(e)運転計画生成部210で駆動力分配演算に使用するバッテリ出力超過判定の可視化結果と、(f)実際にシステム出力を増加させるためにエンジン102を始動したタイミングとを示している。(e)駆動力予測の可視化結果の横軸は、(a)~(c)に示した速度等の時間変化と同じ実時間軸上の時間変化を示し、(d)及び(e)の縦軸に各実時刻における仮想的な時間方向(将来の駆動力変化)の予測を示している。なお、図12(d)の読み方は、図6A(c)と同様である。
[0138]
 図12(e)バッテリ出力超過判定は、駆動状態推定部303により予測を行った結果に基づいて、システム出力が大きくなり、モータ出力を高めるためにエンジン始動が必要と予測される領域を白色で示している。黒色の領域はバッテリ単独の出力により車両を走行できる領域であることを示している。
[0139]
 図12(f)エンジン始動タイミングでは、図12に示す一連の操作の間にエンジン始動が実施されたタイミングを示しておりこの例では20~25秒付近でエンジン始動がなされ、モータ出力をサポートするほか、バッテリの充電などのためその後、エンジン102が一定時間運転されている。
[0140]
 この例の(c)では、15秒目付近からアクセルペダルの操作量は減少しており、一見すると運転者は駆動力を要求しない状態にあるように見受けられるが、その後20秒目付近ではアクセルを踏み込み再加速していることが示されている。(d)の駆動状態推定部303による予測結果を見れば、15秒目付近から淡色の領域が出現し、運転者が加速方向駆動力を要求する見通しを得られている。また、(e)バッテリ出力超過判定では、15秒目付近ではおおむね5秒先程度にバッテリ出力を超過してエンジン始動が必要なことが示され、20秒目付近に向かって、より短時間後にエンジン始動が必要であることが予測されている。
[0141]
 一方、30秒目付近の予測では、(d)の要求駆動力推定結果は濃色、中間色の分布を示す予測結果となり、バッテリのみの出力で車両を走行できる見通しを得られていることが示されている。このように本実施例の車両制御装置10では、運転特性の抽出とこれに基づく予測を行うことで、実際のエンジン始動タイミングを迎える以前から運転特性を踏まえた駆動力の分配を行うことができることが示される。
[0142]
 これらの過程をシステム出力の点から模式したものが図13と図14である。
[0143]
 図13は、図11における時刻t や、図12における20秒目付近にみられるような加速シーンにおけるシステム出力の変化を模式したものである。図13における、プロットにはそれぞれの時刻τ を示しており、時刻τ から、時刻τ に向けて、出力点が遷移しており、比較例を白四角のプロット、本実施例を黒丸と白丸のプロットで示している。時刻τ から時刻τ までは、出力変化の実績を示しており、比較例、本実施例ともにプロットが存在する。比較例は、本実施例に示すような予測機能を備えていないため、時刻τ 以降については、プロットがなく出力変化の見通しを得られていない。このため、時刻τ 時点でマージンを超過する出力要求が発生していることから、エンジン102を始動してモータへ供給する電力を増大させる。
[0144]
 一方、本実施例も同様に、出力変化の見通しを得られていても、バッテリ出力を超過する出力要求がなされることが予測されていることから、マージンを比較例の位置から変更せずにエンジン102を始動している。あるいは、このようにバッテリ出力を超過する見通しが得られた時点で、出力マージンを増量し、早めにエンジン102を始動するようにしても構わない。しかしながら、遠くの未来の予測であるほど、不確定な予測となるため、かえってエンジン始動回数が増加してしまう可能性もある。このため、この例では、バッテリ出力を超過するような出力要求の見通しが得られている状態ではマージンカットを実施せず、比較例と同様に制御を行うようにしている。
[0145]
 図14は、図11における、時刻τ や、図12における30秒目付近にみられるような加速シーンにおけるシステム出力変化を模式したものである、図13と同様に、比較例を白四角のプロットで示し、本実施例を黒丸と白丸のプロットで示した。この例では、時刻τ の時点で、比較例は先の出力変化の見通しを得られていないため、マージン領域を超過した出力要求がなされたと判断してエンジン102を始動する。一方、本実施例では、時刻τ 11に向けて時刻τ 以上のシステム出力要求がない見通しが得られていることから、マージンカットを実施して、図14に二点鎖線で示すようにマージン領域を狭くすることで、電動モード域を広げている。これにより、本実施例では、エンジン始動を行うことなく、バッテリの出力のみで車両を走行させることができ、エンジン102の無用な始動を抑制して燃費を向上できる。
[0146]
 図15には、このような出力マージンと実測した出力点の分布を示した。図15においては、横軸に速度を増加させる方向の加速度を取り、縦軸に自車速度v を取った。図中のグラデーションがシステム出力の分布であり、淡色になるほど高出力が要求されることを示している。右上側の白色領域はシステムの設計出力を超える範囲となり、実際には実現できない出力である。また、灰色四角で示す多数のプロットが実測した動作点の分布である。
[0147]
 図15に示す実線のち、最も左下が、バッテリ出力マージンを設定した状態でエンジン始動を行うシステム出力の境界を示している。本実施例のマージン制御を用いて、バッテリ出力のマージンを小さく(低出力に)するほど、この境界線は右上方向に移動し、図に示す実線のもっとも右のものが、マージンをすべてカットした状態で車両を走行できるシステム出力の最大値を示している。
[0148]
 したがって、本実施例のマージン制御により、マージンカット量を変更することで、中央の黒い実線として示す境界線が移動し、この境界線より左下の動作点についてはバッテリ出力のみで車両を走行させることができる。走行計画部304は、将来の駆動力要求により推定したモータ106の出力予測に基づき、要求駆動力が前述の出力マージンを減少させることで、電動モードでの走行を継続できると判断した場合に、電動モードが継続できるように、出力マージンを減ずる補正を行う要求を駆動力配分演算部202へ送信する。この要求に基づき、駆動力配分演算部202は、要求駆動力のすべてをバッテリ104からの電力でのみ実現するように駆動力分配を変更し、エンジン102を始動しないように準備をする。
[0149]
 実施例2では、以上に述べたような特徴を備えることで、将来のある時刻において運転者から車両100に要求される駆動力が見通し良く判断でき、無用なエンジン始動を抑制して車両100の燃費悪化を抑制できる効果がもたらされる。すなわち、運転者の運転特性を踏まえて、エンジン102の無用な始動が抑制されて燃料消費の低減を図ることができ、ひいては車両100の燃費を改善することができる。
[0150]
 なお、本実施例の図7では、モータの駆動力によってのみ車両が駆動されるシリーズハイブリッド電気自動車を例に挙げたが、必ずしもこれに限らず、電力によってのみ車両を駆動するEVモードと、モータとエンジンの動力との両方により車両を駆動するHEVモードとを備えるシリーズパラレルハイブリッド電気自動車あるいはスプリットハイブリッド電気自動車であっても構わない。
実施例 3
[0151]
 次に、図16から図19を用いて、本発明の実施例3を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0152]
 実施例3は、実施例2の車両100に替えて、エンジンを主たる動力源とする車両400に置き換えたものである。図16に車両400の模式図を示す。車両400は、燃料タンク401に蓄えられた燃料の化学エネルギを動力に変換するエンジン402と、エンジン402に駆動され発電を行い、あるいは、バッテリ403の電力によってエンジン402を始動するスタータジェネレータ404を備えている。
[0153]
 エンジン402で発生した動力は、その全量、あるいは一部を伝達し、または非伝達状態に制御可能な、クラッチ405を通じて、変速機406、また、作動機構などにより構成される走行装置407より車輪408へ伝達され車両400を加速し、車両100と同様に、舵取り装置409による旋回や、ブレーキアクチュエータ410による減速によって走る、曲がる、止まるを実現している。また、車両100と同様に、アクセルペダル411やブレーキペダル412、舵角センサ413により運転者の要求を検出する。また、車輪速度センサ414や前方認識センサ415により、自車の状態や周辺環境の状態等を検出し、これらを制御ユニット416で処理する。
[0154]
 制御ユニット416の構成を図17に示す。本実施例の制御ユニット416は、図8に示した実施例2の制御ユニット1からハイブリッド電気自動車特有の構成(駆動力分配演算部202、制動力分配演算部207)を省略し、エンジンを主たる動力源とする車両特有の構成(クラッチ制御部425)を追加した構成であり、具体的には、アクセルペダル操作量と車両400の速度に基づいて車両400に発生させる加速度や駆動力を演算する目標駆動力演算部421と、アクセルペダル操作量と車両400の速度とブレーキペダル操作量とに基づいて車両400の制動力を演算する目標制動力演算部422と、本実施例の特徴部となる運転計画部423と、運転計画部423の指令により車両加速するためにエンジン402を制御するエンジン制御部424と、運転計画部423の指令によりクラッチ405の状態を制御するクラッチ制御部425と、運転計画部423の指令によりブレーキアクチュエータ410を制御するブレーキ制御部426を有している。
[0155]
 運転計画部423は、図9に示した運転計画生成部210に相当する機能ブロックへ入出力する指令のみが、図9の運転計画部209と異なっているものであるため、図示は省略する。
[0156]
 実施例2の運転計画生成方法の適用によって、エンジンを主たる動力源とする車両400においても、運転計画部423がエンジン制御部424、クラッチ制御部425、ブレーキ制御部426へ指令する指令によりエンジン402、クラッチ405、ブレーキアクチュエータ410の動作状態が変化する。この点を詳述する。
[0157]
 図18は、車両400のエンジン402を模式したものであり、エアクリーナ431により吸入した空気が、空気質量流量センサ432により計量される。その後低圧EGR弁433を通過した排気が混合され、コンプレッサ434で圧縮される。圧縮された混合気はインタークーラ435で冷却され、スロットル弁436で調量される。
[0158]
 スロットル弁436の下流にはインテークマニホールド437が設けられ、マニホールド圧力センサ438によりマニホールド圧力が計測される、空気質量流量センサ432やマニホールド圧力センサ438は、燃焼室439に流入する新気の量を計測することで、燃料噴射弁440が噴射する燃料や点火プラグ441による点火タイミングを調整し、所望の出力を実現する。
[0159]
 燃焼室439へ導入する新気の量は、スロットル弁436の開度を変更するほか、低圧EGR弁433の開度、コンプレッサ434により実現する過給圧、吸気バルブ442の開閉期間を図示しないカムの位相を変更することや同様に排気バルブ443の位相を変更すること、または吸気バルブ442や排気バルブ443のリフト量を変更することなどにより実現する。
[0160]
 燃焼室439へ導入した新気に含まれる酸素の量に合わせて、燃料噴射弁440により燃料を供給して、混合ガスを形成し、点火プラグ441によって火花点火を行うことで、酸素と燃料の混合気を燃焼させ、燃焼室439の圧力を高めることで、ピストン444を押し下げ、クランク機構445により回転力を取り出すことができる。
[0161]
 また、ピストン444を逆にクランク機構からの回転力により引き下げることにより、燃焼室439内部の圧力を下げて新気を吸入する。また、燃焼後の排気は、排気バルブ443をリフトして開くとともに、ピストン444が押し上げられることにより掃気される。掃気された圧力と熱を伴った排気をタービン446にあてることで、コンプレッサ434を駆動している。また、排気の一部は、前述のようにEGRクーラ447を通過して冷却されたのちに、低圧EGR弁433により調量され、吸気側へ還流される。
[0162]
 そのほかの排気は、触媒コンバータ448により未燃焼の燃料や燃焼の過程で不完全燃焼することにより生じた有害物質を取り除き、浄化した排気を図示しない消音機構を通じてテールパイプより排出する。
[0163]
 以上簡単ではあるが、車両400に搭載される過給機や低圧EGRを備えるエンジン402について説明した。
[0164]
 エンジン402が所望の出力を実現するために新規の量を調量し、供給する燃料を合わせて調量することは上述の通り複数の方法によることを示した。スロットル弁436や吸気バルブ442による方法は、図18に示すように燃焼室439との位置関係が近いため急速な出力応答の変化に対応できる。
[0165]
 一方で、スロットル弁436により低出力を実現する場合には、スロットル弁436を絞ることにより、流入する空気量を減ずることが想定されるが、この場合にはインテークマニホールド437内が大気圧に対して負圧となるため、ピストン444を引き下げて新気を吸入する場合に圧力差によって損失を生じる。したがってエンジン402の効率を下げ、燃費が悪化してしまう。
[0166]
 一方で、低圧EGR弁433の開度を開き、還流する排気を増量することで、新気に含まれる酸素の量を減少させることでも、エンジン402を低出力で運転することができる。排気は燃焼によって酸素が消費されているため、外気から取り入れる吸気に対して不活性であり、排気と外気を混合することで相対的に酸素濃度が低下し、すなわち酸素の量が減少するため、EGR量の調量によってエンジン402を低出力で運転できる。
[0167]
 しかしながら、図18に示すように、排気の還流は経路を大回りした排気が燃焼室439へたどり着くまでに時間差があり、応答性に劣る制御方式である。また、エンジン402が複数の燃焼室439を備える多気筒エンジンである場合には、その燃焼気筒数を変更することでも出力制御が可能となる。
[0168]
 燃焼気筒数を減ずることで見かけの排気量が減少し、同一出力を実現するために必要な1気筒辺りの吸入空気量は増加する。これによりスロットル弁436を開いたままで、インテークマニホールド437内の圧力が高い状態でもエンジン402を低出力にすることができる。しかしながら、この方法では燃焼気筒数によって階段状に発生出力が変化することから、連続的な出力変化への対応は難しいため、やはり応答性に劣る制御方式である。加えて吸入した新気を燃焼させずに排気へ捨てることは触媒コンバータ448の焼損につながる恐れがあり、これを避けるために燃焼させない気筒の吸気バルブ442のリフト量を0にするなど対応が挙げられる。
[0169]
 ところで、エンジン402を逆に高出力で運転する場合には、新気量を増大する必要があり、エンジン402では、過給圧を高める対応を行う。過給圧を高めることで新気を圧縮し、エンジン402の燃焼室439へ導入できる酸素の量を増大できる。前述のようにコンプレッサ434は、タービン446のエネルギにより駆動されるため、タービン446で回収する仕事が増加するまではコンプレッサ434により昇圧できる過給圧が低く、いわゆるターボラグという形で応答遅れを生じる。
[0170]
 すなわち、このようなEGRによる出力制御や過給圧の上昇を伴う出力制御方式は、エンジン402の要求出力を燃費良く実現するためにエンジン402の応答遅れを考慮した準備制御が必要となる。
[0171]
 エンジン402の低負荷運転を低圧EGR弁433の開度で実現する場合、車両400が加速するなどして高出力が要求される場合には、低圧EGR弁433を閉じたのちに、インテークマニホールド437に流入したEGRを燃焼とともに排気へ捨てる必要があるため、低負荷運転時に高出力が要求される見通しが得られた時点で低圧EGR弁433を閉じる駆動準備を行うことで応答性を犠牲にすることなく、EGRを行うことができる。
[0172]
 このように、エンジン402を高出力にする必要がある場合には、高出力が要求される見通しが得られた時点で、EGR弁開度を閉弁方向へ補正し、EGRを減ずる補正を行う駆動準備によって、EGRが掃気されるまではエンジン402へ高出力が要求されるにもかかわらず、エンジン402の出力を高められないという応答遅れの発生を防ぐことができる。
[0173]
 駆動状態推定部13では、図4に示したように、自車の駆動力状態に加えて、自車の将来の速度変化を予測している。これらの予測によって、将来のエンジン402の回転速度やエンジン402の駆動力、すなわち負荷状態を推定する。例えば、図19のようにエンジン回転数とエンジン負荷が設定されると、目標となるEGR弁開度が設定されるマップ上を、時刻k から、k に向かってエンジン402の駆動状態が移動することを駆動状態推定部により予測できるため、将来の目標EGR弁開度の見通しが得られることによりEGR弁開度をあらかじめ変更するなどの駆動準備を行うことができる。エンジンの回転速度の予測は、先に述べたように、車両400の速度と、車輪408の諸元、走行装置407からクラッチ405に至るまでの、変速比などの情報に基づいて算出できる。モータ106の電力を求める過程で、モータ106に要求されるトルクを算出したように、車両400の速度と、運転者の要求する加速度などに基づいて、エンジン402に要求されるトルクを計算できる。
[0174]
 なお、本実施例の図18では、オットーサイクルガソリンエンジンを意図して描かれているが、エンジンの種別はこれに限られたものではなく、ディーゼルエンジンでもよく、また気筒数に制限が設けられるものでもない。さらにはピストンによる往復運動をクランク機構によって動力に変換するレシプロエンジンに限られたものでもなく、ヴァンケル式ロータリエンジンであっても構わない。
実施例 4
[0175]
 次に、本発明の実施例4を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0176]
 実施例4は、図18に示す過給機によってエンジン402の出力を増大させるに際してエンジン402の応答遅れを解消し得るものである。具体的には、駆動状態推定部により推定した車両の駆動状態の予測結果に基づいて、車両の運転計画を生成する運転計画生成部をさらに備え、自車は過給機を備えたエンジンを主たる走行の動力源とする車両であり、駆動状態推定部により推定した駆動状態が、車両を加速させるように遷移する駆動状態である場合に、過給圧を増加する補正を伴う駆動準備を行うことを特徴とする車両の制御装置を用いることで、過給圧を高めてさらにエンジンを高出力する必要がある場合にも、高出力が要求される見通しが得られた時点で、ウエイストゲートバルブを閉じるなどして、過給圧を高める駆動準備を行うことができる。
[0177]
 過給圧を常に高い状態とすることでこの応答遅れを抑制しようとすることでは、タービン446には不要な仕事が発生しており、これが排気損失の増加という形でエンジン402の効率低下を招くため好適ではない。また、常に十分な排気の量があるとは言えず、エンジン402が低負荷領域で運転され続ければ、過給を維持できなくなる。
[0178]
 実施例4では、エンジン402に要求される出力の見通しが得られる場合に、コンプレッサ434によってエンジン402の過給圧力を高めるため、エンジン402が高出力で運転されない場合は、エンジン402の過給圧力を下げコンプレッサ434の仕事、ひいてはタービン446の仕事が低下する。これによってエンジン402の排気損失の増大を抑制することができ、エンジン402の熱効率の低下を抑制し、以て車両400の燃費悪化を抑制しながら、エンジン402の出力増加の応答遅れ、いわゆるターボラグを抑制することができる。
[0179]
 基本的には、図19に示したエンジン402の回転速度と負荷に対する目標EGR弁開度のように、エンジン402の回転速度と負荷に対して、目標過給圧力を決定するようなマップ上を、駆動状態推定部により推定した駆動状態に基づき、エンジン402の運転状態がどのように遷移するかに基づいて目標過給圧が高まる見通しがある場合に、目標過給圧力を増加させるようにするのが好適である。
実施例 5
[0180]
 次に、本発明の実施例5を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0181]
 本発明の実施例5は、図17に示したクラッチ制御部425の動作に関するものである。図11の時刻t からt の期間のように、車両400(自車302)が先行車301より高速度で車間距離dxを詰めるような場合、クラッチ制御部425はクラッチ405の締結状態を解放するように制御する。このようにすることで、車両400が先行車301へ接近する際に、惰性走行によって車両400を走行させることで、車両400の速度を維持するためのエンジン402の仕事量を低減することができる。
[0182]
 図11のような状況でも、駆動状態推定部13により、自車302と先行車301の状態を予測していることから、自車302が先行車301へ追従を継続することや、やがて先行車301へ自車302が追いつき、運転者は追突を回避するために自車302を減速させるようにすること等を予測することができる。
[0183]
 したがって、この間は自車302を加速させる必要がないことが見通せることから、車両400は、クラッチ405の駆動力伝達を開放するように駆動準備を行うことができる。
[0184]
 一方、先行車301が加速し、自車302との車間距離が拡大して、運転者が加速を所望し、駆動状態推定部により車両400を加速させるように駆動状態が遷移することを見通せることから、クラッチ405を再び締結状態として車両400の駆動力を回復することもできる。
[0185]
 車両400のクラッチ405を解放状態とすれば、エンジン402は待機運転状態となり、車両400の走行に伴う走行抵抗がエンジン402の負荷ではなくなるため、エンジン402の仕事が減少し、したがってエンジン402の燃料消費量を低減できる。このため、車両400の燃費を向上させることができる。
実施例 6
[0186]
 次に、本発明の実施例6を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0187]
 本発明の実施例6は、実施例5を改良したものであり、図11のように自車302(車両400)が先行車301へ接近中であれば、実施例5のように図16や図17に示すクラッチ405の動力伝達を解放状態にするだけでなく、更に、エンジン402を停止させるというものである。これにより、単にクラッチ405を開放状態にするだけの実施例5に比べ、エンジン402を停止させることでさらなる燃料消費量の低減を期待できる。
実施例 7
[0188]
 次に、本発明の実施例7を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0189]
 本発明の実施例7は、実施例6を改良したものであり、エンジン402が停止状態で先行車301に追従中に、駆動状態推定部13が車両400を加速させる駆動状態を推定したことをきっかけにエンジン402を再始動させるようにした。
[0190]
 運転者は自車302が先行車301へ接近中に、アクセルペダルやブレーキペダルを操作していない可能性がある。したがって、これらが操作されることを契機としてエンジン402を再始動すると、エンジン402の回転速度と、車両400の車輪408、あるいは走行装置407、変速機406、クラッチ405の回転速度とが一致、あるいは回転速度差が小さくなるまで、クラッチ405による動力伝達を再開できず、すなわち応答の遅れを生じる。
[0191]
 そこで、実施例7では、実施例6によるエンジン402の停止中に、駆動状態推定部13が車両400を加速させる駆動状態を推定したことを契機に、エンジン402を再始動させる。これにより、アクセルペダルないしはブレーキペダル等から運転者の要求が得られない場合であっても、エンジン402を再始動することができ、すなわちエンジン402の応答遅れを少なくして、クラッチ405による動力伝達を再開できる。
[0192]
 一方、自車302が先行車301へ接近中に、先行車301が急制動を行うなどしてさらに制動力が必要になることも考えられる。この場合に運転者はブレーキペダルを操作し、ブレーキアクチュエータ410が動作するが、この踏力を増加させることを目的として車両400には、図示しないブレーキ倍力装置が設けられる。
[0193]
 このブレーキ倍力装置は、エンジン402を低負荷運転するに際して発生したインテークマニホールド437と外気との圧力差によって作動するのが一般的であり、この圧力差を発生させるために、エンジン402が少なくとも運転される必要がある。
[0194]
 したがって、実施例7では、駆動状態推定部13により車両400をさらに減速させるように駆動状態が遷移することを契機としてもエンジン402を再始動するようにした。
[0195]
 これによって自車302が先行車301へ接近中に、先行車301が急制動するなどして大きな制動力が必要となるに際して、エンジン402を始動し、図示しないブレーキ倍力装置の駆動に必要な、インテークマニホールド437と外気との圧力差を得ることができる。
実施例 8
[0196]
 次に、本発明の実施例8を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0197]
 本発明の実施例8は、図17に示すブレーキ制御部426の動作に関するものである。
図11の時刻t からt の期間のように、車両400(自車302)が減速する場合、ブレーキ制御部426は、ブレーキアクチュエータ410で実現する制動力を減少方向へ修正しながら、クラッチ制御部425はクラッチ405を締結状態で維持し、スタータジェネレータ404の発電目標電圧を増加させる方向に制御する。
[0198]
 スタータジェネレータ404は、エンジン402とクラッチ405の間設けられるか、あるいはエンジン402と巻きかけ伝達機構によりベルト駆動されるかによってエンジン402の発生する駆動力や、車両400の走行に伴う運動エネルギを走行装置407、変速機406、クラッチ405を通じてエンジン402が連れまわされる際の回転力によって発電駆動される。発電駆動することによって制動力が作用することはすでに述べた通りであるが、スタータジェネレータを使用して、車両400の運動エネルギを電力として回収することで車両400の燃費を向上させることができる。運転計画部423は、目標制動力演算部422が演算した目標制動力をスタータジェネレータ404により発電に伴って発生する制動力とブレーキアクチュエータ410を制御することによって実現する制動力とに分配するように指令を出力する。
[0199]
 スタータジェネレータ404を発電駆動するために、クラッチ制御部425を通じて、クラッチ405を締結状態とするほか、スタータジェネレータ404の目標発電電圧を高めるために、本実施例では、スタータジェネレータ404の図示しない界磁巻き線電流を増量するなどの処置を駆動準備として実施する。
[0200]
 このようにすることで、車両400の運動エネルギを電力として回生することができ、車両400がエンジン402を駆動して燃料消費を伴う発電をスタータジェネレータ404で実施する機会が減少して、発電により消費される燃料使用量を削減し、以て車両400の燃費悪化を抑制することができる。
[0201]
 なお、実施例8として、エンジン402を始動可能で、かつエンジン402や車両400の慣性力により回転駆動されることで発電を行うことができるスタータジェネレータ404を例にとったが、エンジン402の始動を行うスタータモータと発電を行うオルタネータとを分けて設ける構成の車両であっても、オルタネータの発電を、車両400の運動エネルギの回生により行うことで、同様の効果を得られるものである。したがって、スタータジェネレータ404はこれに限らず、オルタネータとスタータモータとを備える構成であっても構わない。
実施例 9
[0202]
 次に、図20を用いて、本発明の実施例9を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0203]
 上述した実施例の運転特性演算部12では、運転者の運転特性に基づいて運転特性パラメータθを演算したが、本発明の実施例9では、運転特性演算部502での演算に、自動運転システムの一種である定速車間距離追従制御システムの特性を反映させるものである。
[0204]
 図20は本実施例における運転計画部500のブロック図である。先行車状態予測部501は図1の先行車状態予測部11と同等であり、駆動状態推定部503も図1の駆動状態推定部13と同等である。
[0205]
 本実施例の運転特性演算部502には、定速車間距離追従制御(いわゆるアダプティブクルーズコントロールやACCと呼ばれる技術)の特性が反映される。定速車間距離追従制御では、運転者の設定した上限速度、あるいは前方認識センサ115により取得された道路の制限速度などを上限として、先行する車両が前方におらず、衝突の危険が認められない場合には、その速度を維持するように車両を加速させる。
[0206]
 一方で、自車を先行する車両(先行車)が検出され、前述の速度を下回る速度で走行する場合には、衝突を回避するために、所定の車間距離を維持するように走行する。このような車間距離は、先行車と自車との車間距離を自車の速度で除した車間時間が、0.5秒から5秒程度の範囲で一定となるように車間距離を調整する。
[0207]
 運転者は、定速車間距離追従制御の実行中に、先行車に対して保持する車間距離を短、中、長の3段階や、あるいはそれ以上の水準の中からの、運転者が運転を行う感覚に近いあるいは心理的負担の少ない車間距離となるよう選択する。
[0208]
 定速車間距離追従制御では、式のように、車間距離と相対速度dv(あるいは相対加速度)によって自車の目標加速度が決定されるため、運転特性演算部502は、運転者が選択した、目標車間距離の設定状態に応じて、あらかじめ設計された運転特性パラメータθを選択することに特徴がある。
[0209]
[数27]


[0210]
 定速車間距離追従制御では、式27に示すように自車と先行車の相対的関係と自車状態に基づいて加速度α contorl(τ )が決定されるため、運転特性演算結果を、定速車間距離追従制御の設計諸元に読み替えることで、駆動状態推定部503で将来の要求駆動力を推定し、また、運転計画生成部504で、運転計画を適宜修正することができ、車両が車両100のようなシリーズハイブリッド電気自動車であれば、その駆動力、あるいは制動力の分配を変更し、車両が車両400のような、エンジンを主たる駆動力源とする車両であっても、運転計画部500が指令を出力することにより、車両の燃費を向上させることができる。
[0211]
 すなわち、実施例9は、車両が定速車間距離追従制御あるいはそれに準ずる機能を備える場合に、運転特性演算部502は目標車間距離設定状態に応じて、駆動状態推定部に出力する運転特性パラメータを変更する。
[0212]
 このようにすることで、車両が自動運転システムによって運転される場合であっても、車両が運転者によって運転される場合と同様に、運転計画部500は、車両の燃費悪化を抑制することができる。
[0213]
 また、実施例9は、車両が運転者によって運転される場合と運転支援機能の実行状態のいずれであっても、運転特性パラメータを切り替えることにより、上記した実施例の発明を実現できるようにしたものである。
[0214]
 このようにすることで、運転支援システムによって車両の加減速を制御する場合にあっても、車両の燃費を向上させることができる。
実施例 10
[0215]
 次に、図21を用いて、本発明の実施例10を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0216]
 本発明の実施例10は、実施例1で得られた運転特性パラメータθを短時間で取得する方法に関するものである。実施例1の運転特性演算部12は、運転の開始後に、運転特性パラメータθを演算するために必要な諸情報を収集するため、現在の運転者に応じた運転特性パラメータθを決定するまでに数分の時間を要し、その間は燃費改善が実現されないという問題があった。
[0217]
 この問題を解消するため、図21に示す実施例10の車両制御装置600では、さらに運転者情報識別部601と運転特性パラメータ格納部602を備えた。また、運転者情報識別部601は、車両において車両制御装置600の外部に設けられる読み取り装置603と情報の送受信を行うものとした。
[0218]
 読み取り装置603は、運転者を識別する情報を取得する装置であり、例えば、車両の運転席周辺や速度計、インフォテイメント装置などが設けられる車室内に設置される。この読み取り装置603に、運転者がICチップ等の搭載されたカードや免許証、スマートフォンや運転者の体に埋め込んだにマイクロチップなどをかざしたり、あるいは指紋や静脈、網膜、顔、声紋などの生体情報を読み取らせたりすることで、運転者情報識別部601は、現在の運転者が誰であるかを特定することができる。なお、読み取り装置603は、非接触型の検出器であっても良いし、タッチパネルやカメラ、マイクなどの装置であってもよく、また、前述のインフォテイメント装置を通じて合言葉や暗証番号の入力を行うことによる手法に代替されていてもよい。
[0219]
 運転特性パラメータ格納部602は、運転特性演算部12で演算した運転特性パラメータθと、運転者情報識別部601で生成された運転者の識別情報とを紐づけて格納しており、運転者識別結果に基づいて対応する運転特性パラメータを運転特性演算部12へ展開してこれを運転特性パラメータθとして即時に反映させる。
[0220]
 このようにすることで、車両が複数の運転者によって運転される場合であっても、運転特性パラメータを短時間で車両に反映することができる。
実施例 11
[0221]
 次に、図22を用いて、本発明の実施例11を説明する。なお、上述した実施例との共通点は重複説明を省略する。
[0222]
 図21は、本発明の実施例11を説明する図であり、実施例10における運転者情報識別部601と運転特性パラメータ格納部602が、車両610以外の場所(例えば、クラウド上)に設けられる例を示している。
[0223]
 車両610には、本実施例の車両制御装置を搭載した制御ユニット611が設けられており、また、運転者識別情報を取得する読み取り装置603と通信モジュール612が接続される。
[0224]
 通信モジュール612は、携帯電話網613やインターネット614を介して、データセンタ615と情報の送受信が可能である。読み取り装置603により読み出した運転者識別情報は、制御ユニット611、通信モジュール612を介して、データセンタ615へ送信され、データセンタ615では、データセンタ615内で管理するストレージ616に保存された運転特性パラメータを読み出す。実施例10における、運転者情報識別部601と運転特性パラメータ格納部602をデータセンタ615とストレージ616の機能により代替する構成となる。
[0225]
 このようにすることで、車両610を運転者が一度も運転したことがなくても、ほかの車両を運転した際に生成した運転特性パラメータθを車両610へ反映することができる。
[0226]
 今回の運転時に作成された、あるいは、更新された運転特性パラメータθは、車両610の運転を完了した時点で、通信モジュール612を経由してデータセンタ615のストレージ616の内容を更新することや、所定時間ごとにこの更新を実施しても構わない。
[0227]
 更新間隔を短くすることで、運転特性パラメータを短時間で修正でき、一方で車両の運転を完了した時点に行うようにすることで通信にかかるコストを削減できる。また、時間ごとや運転終了ごとではなく、走行実績のない地点を経由した場合など運転特性パラメータを様々なシーンで取得できると予想されるごとに実施しても構わない。
[0228]
 以上、本発明の好適な実施例についてその一例を示した。本発明の実施例、並びに、その説明に用いた図では発明の説明に必要な構成のみを記載している。実際に発明を実施する場合にあっては従来公知の技術を使って本発明のある実施形態において説明の無い制御や機能は当然達成されるものである。従って、本発明は必ずしも説明したすべての構成が含まれることによって特徴づけられるものでは無く、説明した実施例の構成に限定されるものでは無い。ある実施例の一部構成を別の実施例や従来公知の構成に置き換えることが可能であり,その特徴を著しく変更しない限り各実施例の構成の一部について,他の構成の追加・削除・置換が可能である。

符号の説明

[0229]
1、416、611 制御ユニット、
100、400、610 車両、
10、600 車両制御装置、
11、501 先行車状態予測部、
12、502 運転特性演算部、
13、503 駆動状態推定部、
101、401 燃料タンク、
102、402 エンジン、
103 発電機、
104、403 バッテリ、
105 インバータ、
106 モータ、
107、407 走行装置、
108、408 車輪、
109、409 舵取り装置、
110、410 ブレーキアクチュエータ、
111、411、 アクセルペダル、
112、412 ブレーキペダル、
113、413 舵角センサ、
114、414 車速センサ、
115、415 前方認識センサ、
201、421 目標駆動力演算部、
202 駆動力分配演算部、
203 インバータ制御部、
204、424 エンジン制御部、
205、422 目標制動力演算部、
206 ブレーキ制御部、
207 制動力分配演算部、
209、423 運転計画部
210、504 運転計画生成部、
301 先行車、
302 自車、
404 スタータジェネレータ、
405 クラッチ、
406 変速機、
425 クラッチ制御部、
426 ブレーキ制御部、
431 エアクリーナ、
432 空気質量流量センサ(エアフローメータ)、
433 低圧EGR弁、
434 コンプレッサ、
435 インタークーラ、
436、スロットル弁、
437 インテークマニホールド、
438 マニホールド圧力センサ、
439 燃焼室、
440 燃料噴射弁、
441 点火プラグ、
442 吸気バルブ、
443 排気バルブ、
445 クランク機構、
446 タービン、
447 EGRクーラ、
448 触媒コンバータ、
601 運転者情報識別部、
602 運転特性パラメータ格納部、
603 読み取り装置、
612 通信モジュール、
613 携帯電話網、
614 インターネット、
615 データセンタ、
616 ストレージ

請求の範囲

[請求項1]
 先行車と自車の車間距離に基づいて、自車の運転特性パラメータを演算する運転特性演算部と、
 前記車間距離に基づいて、所定時間後の前記先行車の状態を予測する先行車状態予測部と、
 前記先行車状態予測部が予測した所定時間後の前記先行車の状態と、前記運転特性演算部が演算した前記自車の運転特性パラメータと、に基づいて、所定時間後の前記自車の駆動状態を推定する駆動状態推定部と、
 を備えることを特徴とする車両制御装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の車両制御装置において、
 前記自車はモータとバッテリとエンジンを備えるハイブリッド電気自動車であり、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態に基づいて、前記自車の運転計画を生成する運転計画生成部をさらに備え、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態が、前記バッテリのみによって前記モータを駆動できる駆動状態である場合に、前記バッテリの出力マージンを減ずるとともに、前記エンジンの始動を禁止することを特徴とする車両制御装置。
[請求項3]
 請求項1に記載の車両制御装置において、
 前記自車はEGRを備えたエンジンを動力源とする車両であり、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態に基づいて、前記自車の運転計画を生成する運転計画生成部をさらに備え、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態が、前記自車を加速させる駆動状態である場合に、前記EGRのEGR量を減ずることを特徴とする車両制御装置。
[請求項4]
 請求項1に記載の車両制御装置において、
 前記自車は過給機を備えたエンジンを動力源とする車両であり、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態に基づいて、前記自車の運転計画を生成する運転計画生成部をさらに備え、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態が、前記自車を加速させる駆動状態である場合に、前記過給機の過給圧を増加することを特徴とする車両制御装置。
[請求項5]
 請求項1に記載の車両制御装置において、
 前記自車はエンジンを動力源とするとともに、該エンジンの動力伝達を走行中であっても切断できるクラッチを備える車両であり、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態に基づいて、前記自車の運転計画を生成する運転計画生成部をさらに備え、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態が、前記自車を減速させる駆動状態である場合に、前記クラッチを介した前記エンジンの動力伝達を切断し、前記自車を慣性走行させることを特徴とする車両制御装置。
[請求項6]
 請求項5に記載の車両制御装置において、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態が、前記自車をさらに減速させる駆動状態である場合に、前記エンジンを停止することを特徴とする車両制御装置。
[請求項7]
 請求項6に記載の車両制御装置において、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態が、前記自車を加速させる駆動状態である場合に、前記エンジンを再始動することを特徴とする車両制御装置。
[請求項8]
 請求項1に記載の車両制御装置において、
 前記自車はエンジンを動力源とするとともに、該エンジンの動力で駆動される発電機を備える車両であり、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記車両の駆動状態に基づいて、前記自車の運転計画を生成する運転計画生成部をさらに備え、
 前記駆動状態推定部が推定した所定時間後の前記自車の駆動状態が、前記自車を減速させる駆動状態である場合に、前記発電機の出力を増加させることを特徴とする車両制御装置。
[請求項9]
 請求項1に記載の車両制御装置において、
 前記運転特性演算部は、前記自車が運転者によって運転される場合と、前記自車が自動運転システムによって運転される場合で、前記運転特性パラメータを変更することを特徴とする車両制御装置。
[請求項10]
 請求項1に記載の車両制御装置において、
 運転者を識別して運転者識別情報を出力する運転者情報識別部と、
 前記運転特性パラメータを前記運転者識別情報と紐づけて記録する運転特性パラメータ格納部と、をさらに備え、
 前記運転者識別情報に基づいて、前記運転特性パラメータ格納部に記録した運転特性パラメータを前記運転特性演算部へ出力することを特徴とする車両制御装置。
[請求項11]
 請求項10に記載の車両制御装置において、
 前記運転者情報識別部と前記運転特性パラメータ格納部が、前記自車の外部に設けられており、
 通信モジュールを介して、前記運転者情報識別部と前記運転特性パラメータ格納部と通信することを特徴とする車両制御装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 6C]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]