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1. WO2020137561 - NON-AQUEOUS ELECTROLYTE SECONDARY BATTERY

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明 細 書

発明の名称 非水電解質二次電池

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

0004   0005   0006   0007  

図面の簡単な説明

0008  

発明を実施するための形態

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060  

実施例

0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079  

符号の説明

0080  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 非水電解質二次電池

技術分野

[0001]
 本開示は、非水電解質二次電池に関する。

背景技術

[0002]
 リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池は、過充電、内部短絡、外部短絡、大電流に起因する過度の抵抗加熱等により、異常発熱する可能性がある。従来、非水電解質二次電池の発熱を抑制する技術の1つとして、セパレータのシャットダウン機能が知られている。シャットダウン機能は、電池の異常発熱によりセパレータが溶融してセパレータの空孔を塞ぐことで、正負極間のイオン伝導(リチウムイオンの移動)を遮断し、電池のさらなる発熱を抑制するものである。例えば、特許文献1には、シャットダウン機能を有する多孔質基材の表面に、アラミド及び酸化アルミニウムを含む層が形成された非水電解質二次電池用セパレータが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特許第4243323号公報

発明の概要

[0004]
 ところで、近年、電池の高容量化の要求に伴い、セパレータの薄膜化が検討されているが、セパレータの厚みが薄くなると、電池の異常発熱時に、シャットダウン機能を発現することが難しくなり、電池のさらなる発熱を抑制することが困難となる。
[0005]
 そこで、本開示の目的は、電池の異常発熱時において、電池のさらなる発熱を抑制することが可能な非水電解質二次電池を提供することである。
[0006]
 本開示の一態様である非水電解質二次電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に介在するセパレータとを備え、前記セパレータは、多孔質の基材と、リン酸塩粒子を主成分として含み、前記基材の一方の面に配置された第1フィラー層と、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、及び芳香族ポリアミドイミドからなる群から選択される1つ以上の化合物を含み、前記基材の他方の面に配置された第2フィラー層と、を有し、前記リン酸塩粒子のBET比表面積は、5m /g以上100m /g以下であり、前記第2フィラー層中の前記化合物の含有量は、15質量%以上である。
[0007]
 本開示の一態様である非水電解質二次電池によれば、異常発熱時において、電池のさらなる発熱を抑えることができる。

図面の簡単な説明

[0008]
[図1] 実施形態の一例である非水電解質二次電池の断面図である。
[図2] 図1に示す電極体の一例を示す一部拡大断面図である。

発明を実施するための形態

[0009]
 一般的に、多孔質の基材はシャットダウン機能を有する。したがって、電池が異常発熱した際には、基材のシャットダウン機能により、例えば、正負極間のイオン伝導等が遮断され、電池のさらなる発熱が抑制される。しかし、電池の高容量化の要求により、セパレータが薄膜化されると、電池の異常発熱時に、セパレータの形状が確保できず、セパレータのシャットダウン機能が十分に発揮されない場合がある。その結果、例えば、正負極間のイオン伝導等を十分に遮断することができず、電池の発熱を抑えることが難しくなる。
[0010]
 かかる状況に鑑みて、本発明者らは鋭意検討した結果、電池の異常発熱時において、電池のさらなる発熱を抑えることができる非水電解質二次電池を見い出した。具体的には、正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に介在するセパレータとを備え、前記セパレータは、多孔質の基材と、リン酸塩粒子を主成分として含み、前記基材の一方の面に配置された第1フィラー層と、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、及び芳香族ポリアミドイミドからなる群から選択される1つ以上の化合物を含み、前記基材の他方の面に配置された第2フィラー層と、を有し、前記リン酸塩粒子のBET比表面積は、5m /g以上100m /g以下であり、前記第2フィラー層中の前記化合物の含有量は、15質量%以上である、非水電解質二次電池である。当該非水電解質二次電池によれば、電池の異常発熱時において、電池のさらなる発熱を抑えることができる。当該効果を奏するメカニズムは十分に明らかでないが、以下のことが考えられる。
[0011]
 本開示に係る非水電解質二次電池では、短絡等により電池が異常発熱した際に、第1フィラー層に含まれるリン酸塩粒子が、熱を加速因子として溶融、重縮合し、多孔質の基材の空孔を埋め、セパレータのシャットダウン機能が高められる。また、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、及び芳香族ポリアミドイミドからなる群から選択される1つ以上の化合物を所定量含む第2フィラー層は高い耐熱性を有するため、多孔質基材の他方の面に第2フィラー層を配置することで、当該第2フィラー層が、異常発熱時に、多孔質の基材の変形や収縮を抑える支持部材となり、異常発熱時におけるセパレータのシャットダウン機能が維持される。これらのことから、異常発熱時において、例えば、正負極間におけるリチウムイオンの移動がセパレータにより迅速に遮断され、短絡時の発熱反応が十分に抑制され、電池のさらなる発熱が抑えられる。
[0012]
 なお、電池の内部短絡による電池内の温度上昇によって、例えば一方の電極から可燃性、支燃性のあるガス(酸素、水素等)が発生し、そのガスが他方の電極に移動して反応することによっても、電池の発熱が加速される。本開示に係る非水電解質二次電池によれば、当該ガスの移動もセパレータにより十分に遮断することができる。
[0013]
 以下、本開示に係る非水電解質二次電池の実施形態の一例について詳細に説明する。以下では、巻回型の電極体が円筒形の電池ケースに収容された円筒形電池を例示するが、電極体は、巻回型に限定されず、複数の正極と複数の負極がセパレータを介して交互に1枚ずつ積層されてなる積層型であってもよい。また、電池ケースは円筒形に限定されず、角形(角形電池)、コイン形(コイン形電池)等の金属製ケース、樹脂フィルムによって構成される樹脂製ケース(ラミネート電池)などであってもよい。
[0014]
 図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池の断面図である。図1に例示するように、非水電解質二次電池10は、電極体14と、非水電解質と、電極体14及び非水電解質を収容する電池ケース15とを備える。電極体14は、正極11と、負極12と、正極11と負極12の間に介在するセパレータ13とを備える。電極体14は、正極11と負極12がセパレータ13を介して巻回された巻回構造を有する。電池ケース15は、有底円筒形状の外装缶16と、外装缶16の開口部を塞ぐ封口体17とで構成されている。
[0015]
 非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水溶媒には、例えばエステル類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いてもよい。非水溶媒は、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有していてもよい。なお、非水電解質は液体電解質に限定されず、固体電解質であってもよい。電解質塩には、例えばLiPF 等のリチウム塩が使用される。
[0016]
 外装缶16は、例えば有底円筒形状の金属製容器である。外装缶16と封口体17との間にはガスケット28が設けられ、電池内部の密閉性が確保される。外装缶16は、例えば側面部の一部が内側に張り出した、封口体17を支持する溝入部22を有する。溝入部22は、外装缶16の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体17を支持する。
[0017]
 封口体17は、電極体14側から順に、底板23、下弁体24、絶縁部材25、上弁体26、及びキャップ27が積層された構造を有する。封口体17を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材25を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体24と上弁体26は各々の中央部で互いに接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材25が介在している。異常発熱で電池の内圧が上昇すると、下弁体24が上弁体26をキャップ27側に押し上げるように変形して破断し、下弁体24と上弁体26の間の電流経路が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体26が破断し、キャップ27の開口部からガスが排出される。
[0018]
 非水電解質二次電池10は、電極体14の上下にそれぞれ配置された絶縁板18,19を備える。図1に示す例では、正極11に取り付けられた正極リード20が絶縁板18の貫通孔を通って封口体17側に延び、負極12に取り付けられた負極リード21が絶縁板19の外側を通って外装缶16の底部側に延びている。正極リード20は封口体17の底板23の下面に溶接等で接続され、底板23と電気的に接続された封口体17のキャップ27が正極端子となる。負極リード21は外装缶16の底部内面に溶接等で接続され、外装缶16が負極端子となる。
[0019]
 図2は、図1に示す電極体の一例を示す一部拡大断面図である。以下、図2を用いて、正極、負極、セパレータについて説明する。
[0020]
 [正極]
 正極11は、正極集電体と、当該集電体上に形成された正極合材層とを備える。正極集電体には、アルミニウムなどの正極11の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合材層は、正極活物質、導電材、及び結着材を含み、正極集電体の両面に形成されることが好ましい。正極11は、正極集電体上に正極活物質、導電材、結着材等を含む正極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して正極合材層を正極集電体の両面に形成することにより作製できる。電池の高容量化の観点から、正極合材層の密度は、3.6g/cc以上であり、好ましくは3.6g/cc以上4.0g/cc以下である。
[0021]
 正極活物質としては、Co、Mn、Ni、Al等の金属元素を含有するリチウム金属複合酸化物が例示できる。リチウム金属複合酸化物としては、Li CoO 、Li NiO 、Li MnO 、Li Co Ni 1-y、Li Co 1-y、Li Ni 1-y、Li Mn 、Li Mn 2-y、LiMPO 、Li MPO F(M;Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0.95≦x≦1.2、0.8<y≦0.95、2.0≦z≦2.3)等が例示できる。
[0022]
 正極合材層に含まれる導電材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン等の炭素材料が例示できる。正極合材層に含まれる結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の含フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が例示できる。また、これらの樹脂と、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、ポリエチレンオキシド(PEO)等が併用されてもよい。
[0023]
 [負極]
 負極12は、負極集電体と、当該集電体上に形成された負極合材層とを備える。負極集電体には、銅などの負極12の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合材層は、負極活物質、及び結着材を含み、負極集電体の両面に形成されることが好ましい。負極12は、負極集電体上に負極活物質、結着材等を含む負極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して負極合材層を負極集電体の両面に形成することにより作製できる。
[0024]
 負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できるものであれば特に限定されず、例えば天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、ケイ素(Si)、錫(Sn)等のLiと合金化する金属、又はSi、Sn等の金属元素を含む酸化物などを用いることができる。また、負極合材層は、リチウムチタン複合酸化物を含んでいてもよい。リチウムチタン複合酸化物は、負極活物質として機能する。リチウムチタン複合酸化物を用いる場合、負極合材層にはカーボンブラック等の導電材を添加することが好ましい。
[0025]
 負極合材層に含まれる結着材には、正極11の場合と同様に、PTFE、PVdF等の含フッ素樹脂、PAN、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることができる。また、水系溶媒を用いて負極合材スラリーを調製する場合、結着材として、CMC又はその塩、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩、ポリビニルアルコール(PVA)等を用いることができる。
[0026]
 [セパレータ]
 図2に例示するように、セパレータ13は、多孔質の基材30と、第1フィラー層31と、第2フィラー層32とを有する。第1フィラー層31は、リン酸塩粒子を主成分として含み、基材30の一方の面(第1面)に配置されている。ここで、リン酸塩粒子を主成分とするとは、第1フィラー層31に含まれる成分の中で、リン酸塩粒子の比率が最も高いことを意味している。第2フィラー層32は、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドからなる群から選択される1つ以上の化合物を含み、基材30の他方の面(第2面)に配置されている。
[0027]
 セパレータ13は、図2に示すように、正極11側から、第1フィラー層31/基材30/第2フィラー層32の順に積層されてもよいし、図での説明は省略するが、正極11側から、第2フィラー層32/基材30/第1フィラー層31の順に積層されてもよい。但し、第1フィラー層31に含まれるリン酸塩粒子の溶融、重縮合は、電池の異常発生時における熱だけでなく、電池の異常発生時における正極11の電位によっても引き起こされる場合がある。したがって、セパレータ13のシャットダウン機能を迅速に作用させる等の点で、正極11側から、第1フィラー層31/基材30/第2フィラー層32の順に積層されていること、すなわち、第1フィラー層31が、正極11の表面に当接していることが好ましい。なお、セパレータ13には、本開示の目的を損なわない範囲で、各フィラー層を複数有していてもよく、また、第1フィラー層31及び第2フィラー層32以外の他の層を有していてもよい。
[0028]
 また、図2に示すセパレータ13では、第1フィラー層31のリン酸塩粒子の一部が、基材30の空孔内に入り込んでいることが好ましい。
[0029]
 基材30は、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔質シート、例えば微多孔薄膜、織布、不織布等で構成される。基材30を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとαオレフィンとの共重合体等のポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、セルロースなどが例示できる。基材30は、例えばポリオレフィンを主成分として構成され、実質的にポリオレフィンのみで構成されてもよい。基材30は、単層構造であってもよく、積層構造を有していてもよい。基材30の厚みは、特に限定されないが、例えば、3μm以上20μm以下が好ましい。
[0030]
 基材30の空孔率は、電池の充放電時におけるイオン導電性を確保する点で、例えば、30%以上70%以下であることが好ましい。基材30の空孔率は、下記の方法で測定される。
(1)基材30の10箇所を直径2cmの円形に打ち抜き、打ち抜いた基材30の小片の中心部の厚みh、質量wをそれぞれ測定する。
(2)厚みh、質量wから、10枚分の小片の体積V、質量Wを求め、以下の式から空孔率εを算出する。
[0031]
  空孔率ε(%)=((ρV-W)/(ρV))×100
  ρ:基材を構成する材料の密度
 基材30の平均孔径は、例えば0.01μm以上0.5μm以下であり、好ましくは0.03μm以上0.3μm以下である。基材30の平均孔径は、バブルポイント法(JIS K3832、ASTM F316-86)による細孔径測定ができるパームポロメーター(西華産業製)を用いて測定される。基材30の最大孔径は、例えば0.05μm以上1μm以下であり、好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。
[0032]
 第1フィラー層31に含まれるリン酸塩粒子としては、Li PO 、LiPON、Li HPO 、LiH PO 、Na PO 、Na HPO 、NaH PO 、Zr (PO 、Zr(HPO 、HZr (PO 、K PO 、K HPO 、KH PO 、Ca (PO 、CaHPO 、Mg (PO 、MgHPO 等が例示できる。中でも、副反応抑制等の観点から、リン酸リチウム(Li PO )、リン酸水素二リチウム(Li HPO )、リン酸二水素リチウム(LiH PO )から選択される少なくとも1種が好ましい。
[0033]
 第1フィラー層31に含まれるリン酸塩粒子のBET比表面積は、5m /g以上100m /g以下であればよいが、20m /g以上80m /g以下が好ましい。BET比表面積は、JIS R1626のBET法(窒素吸着法)に従って測定される。一般的に、電池製造時にかかる温度、通常使用時における電池内温度、及び異常時における電池内温度を考慮すれば、リン酸塩粒子は、140℃~190℃程度の温度で溶融することが好ましい。そして、上記範囲のBET比表面積を有するリン酸塩粒子は140℃~190℃程度の温度で溶融し易いため、当該粒子を用いることで、電池の異常発熱時に溶融、重縮合したリン酸塩が基材30の空孔を迅速に塞ぐことができる(及び正極11の表面を迅速に覆うことができる)。
[0034]
 第1フィラー層31中のリン酸塩粒子の含有量は、基材30の空孔を塞ぐのに十分な量とする点で、第1フィラー層31の総質量に対して、90質量%以上98質量%以下、より好ましくは92質量%以上98質量%以下である。
[0035]
 リン酸塩粒子の体積基準の10%粒径(D 10)は、0.02μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.03μm以上0.3μm以下であることがより好ましく、さらに基材30の平均孔径より小さいことがより好ましい。上記範囲を満たすことで、セパレータ13の製造時においてリン酸塩粒子の一部が基材30の空孔内に入り込み易くなり、電池の異常発熱時における電池のさらなる発熱をより効果的に抑制することができる。
[0036]
 ここで、体積基準の10%粒径(D 10)とは、リン酸塩粒子の粒子径分布において体積積算値が10%となる粒径を意味する。なお、後述する50%粒径(D 50)、90%粒径(D 90)は、それぞれ、粒子径分布において体積積算値が50%、90%となる粒径を意味する。50%粒径(D 50)は、メジアン径とも呼ばれる。リン酸塩粒子の粒子径分布は、レーザ回折法(レーザ回折散乱式粒度分布測定装置)によって測定される。以下、特に断らない限り、10%粒径、50%粒径、及び90%粒径は、体積基準の粒径を意味するものとする。
[0037]
 リン酸塩粒子の50%粒径(D 50)は、例えば0.05μm以上1μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。リン酸塩粒子の50%粒径(D 50)が当該範囲から外れる場合、当該範囲内にある場合と比較して、電池の異常発熱時における電池のさらなる発熱を抑制する効果が減少する場合がある。なお、リン酸塩粒子の50%粒径(D 50)は、基材30の平均孔径より小さくてもよい。
[0038]
 リン酸塩粒子の90%粒径(D 90)は、基材30の平均孔径より大きいことが好適である。90%粒径(D 90)は、例えば0.2μm以上2μm以下であることが好ましく、0.5μm以上1.5μm以下であることがより好ましい。D 90が当該範囲内であれば、セパレータ13の製造時において基材30の空孔内に入り込むリン酸塩粒子の量を適度な範囲に調整でき、電池の異常発熱時における電池のさらなる発熱をより効果的に抑制することができる。なお、リン酸塩粒子が基材30の内部に入り込む深さが深くなり過ぎると、かえって発熱が大きくなる場合がある。
[0039]
 セパレータ13では、第1フィラー層31のリン酸塩粒子の一部が基材30の空孔内に入り込み、当該粒子の入り込み深さの平均値が0.1μm以上2μm以下であることが好ましく、0.2μm以上1.5μm以下であることがより好ましい。
[0040]
 ここで、リン酸塩粒子の入り込み深さとは、基材30の第1面から基材30の内部に入り込んだ各粒子の第1面と反対側の端部までのセパレータ13の厚み方向に沿った長さを意味する。入り込み深さは、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた基材30の断面観察によって計測できる。
[0041]
 リン酸塩粒子は、基材30の第1面の略全域において空孔内に入り込んでいることが好ましい。即ち、基材30の第1面には、空孔内に入り込んだリン酸塩粒子が略均一に存在している。また、リン酸塩粒子の上記入り込み深さは、基材30の第1面の略全域において略均一であることが好ましい。
[0042]
 リン酸塩粒子の上記入り込み深さの平均値は、基材30の厚みに対して、例えば1%以上50%以下であり、好ましくは5%以上30%以下である。基材30の平均孔径に応じて、リン酸塩粒子の10%粒径(D 10)等を調整することで、基材30の内部に入り込むリン酸塩粒子の深さを制御することが可能となる。
[0043]
 基材30上の第1フィラー層31の厚み(リン酸塩粒子の入り込み深さを除いた厚み)は、電池の異常発熱時における電池のさらなる発熱を効果的に抑制する等の点で、0.5μm以上2μm以下が好ましい。
[0044]
 第1フィラー層31は、例えば、多孔質層であって、リチウムイオンが通過する空孔が形成されている。第1フィラー層31の空孔率は、電池の充放電時において、良好なイオン導電性を確保する点、物理的な強度を確保する点等から、30%以上70%以下が好ましい。第1フィラー層31の空孔率は、下記の式で算出される(第2フィラー層32についても同様)。
[0045]
 第1フィラー層の空孔率(%)=100-[[W÷(d×ρ)]×100]
  W:第1フィラー層の目付量(g/cm
  d:第1フィラー層の厚み(cm)
  ρ:第1フィラー層の平均密度(g/cm
 第1フィラー層31は、リン酸塩粒子の他に、結着材を含むことが好ましい。結着材の含有量は、第1フィラー層31の強度を確保する等の点で、第1フィラー層31の総質量に対して、例えば2質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
[0046]
 第1フィラー層31に含まれる結着材としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとαオレフィンとの共重合体等のポリオレフィン、PVdF、PTFE、ポリフッ化ビニル(PVF)等の含フッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体等の含フッ素ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体及びその水素化物、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体及びその水素化物、メタクリル酸エステル-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル-アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリN-ビニルアセトアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、セルロース、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリビニルアルコール、CMC、アクリルアミド、PVA、メチルセルロース、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム及びこれらの塩などが挙げられる。
[0047]
 第1フィラー層31は、さらに、ヘテロポリ酸を含んでいてもよい。ヘテロポリ酸を添加することで、溶融したリン酸塩の重縮合が促進されると考えられる。ヘテロポリ酸としては、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、ケイモリブドタングステン酸、ケイモリブドタングステントバナジン酸等が例示できる。
[0048]
 第1フィラー層31は、基材30の表面に、例えば、リン酸塩粒子、結着材、及び分散媒を含むスラリー状組成物(第1スラリー)を塗布し、塗膜を乾燥させることにより形成できる。第1スラリーは、グラビア印刷法等の従来公知の方法で塗布できる。リン酸塩粒子の一部を基材30の空孔内に入り込ませ、当該粒子の入り込み深さの平均値を0.1μm以上2μm以下とするには、10%粒径(D 10)が基材30の平均孔径より小さいリン酸塩粒子を用いることが好ましい。
[0049]
 リン酸塩粒子の上記入り込み深さは、リン酸塩粒子の粒径の調整に加えて、第1スラリーに含まれる分散媒の種類、第1スラリーの塗膜の乾燥条件、第1スラリーの塗布方法、及びこれらの組み合わせによっても制御できる。例えば、基材30と親和性が良好な分散媒を用いた場合や、塗膜の乾燥条件を緩やかにした場合は、リン酸塩粒子が基材30の内部に入り込み易くなる。また、第1スラリーの塗布に用いるグラビアロールの回転速度を調整することによっても、リン酸塩粒子の上記入り込み深さを制御できる。グラビアロールの回転速度を遅くすると、リン酸塩粒子が基材30の内部に入り込み易くなる。
[0050]
 第2フィラー層32中の芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドからなる群から選択される1つ以上の化合物の含有量は、第2フィラー層32の総質量に対して、15質量%以上であればよいが、20質量%以上40質量%以下であることが好ましい。当該化合物の含有量が15質量%未満であると、第2フィラー層32の耐熱性が低下し、電池の異常発熱時における基材30の変形や収縮を抑制することが困難となる。第2フィラー層32は、耐熱性の点で、少なくとも芳香族ポリアミドを含むことが好ましい。
[0051]
 芳香族ポリアミドとしては、例えば、メタ配向芳香族ポリアミドとパラ配向芳香族ポリアミドが挙げられる。メタ配向芳香族ポリアミドは、例えば、アミド結合が芳香族環のメタ位またはそれに準じた配向位(例えば、1,3-フェニレン、3,4’-ビフェニレン、1,6-ナフタレン、1,7-ナフタレン、2,7-ナフタレン等)で結合される繰り返し単位から実質的になるものであり、メタ配向芳香族ジアミンとメタ配向芳香族ジカルボン酸ジクロライドの縮合重合により得られる。具体的には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリ(メタベンズアミド)、ポリ(3,4’-ベンズアニリドイソフタルアミド)、ポリ(メタフェニレン-3,4’-ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン-2、7-ナフタレンジカルボン酸アミド)等が挙げられる。一方、パラ配向芳香族ポリアミドは、例えば、アミド結合が芳香族環のパラ位またはそれに準じた配向位(例えば、4,4’-ビフェニレン、1,5-ナフタレン、2,6-ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものであり、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ジハライドの縮合重合により得られるものである。具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4’-ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン-4,4’-ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン-2,6-ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2-クロロ-パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンジアミンと2,6-ジクロロパラフェニレンジアミンとテレフタル酸ジクロライドとの共重合体等が挙げられる。
[0052]
 芳香族ポリイミドとしては、例えば、芳香族の二酸無水物とジアミンの縮合重合から得られるものが挙げられる。該二酸無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物などが挙げられる。また、該ジアミンとしては、オキシジアニリン、パラフェニレンジアミン、ベンゾフェノンジアミン、3,3’-メチレンジアニリン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾスルフォンなどが挙げられる。
[0053]
 また、芳香族ポリアミドイミドとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジイソシアネート、または芳香族二酸無水物と芳香族ジイソシアネートの縮合重合から得られるものが挙げられる。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。また、芳香族二酸無水物としては、無水トリメリット酸等が挙げられる。また、芳香族ジイソシアネートとしては、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、オルソトリランジイソシアネート、m-キシレンジイソシアネート等が挙げられる。
[0054]
 第2フィラー層32は、上記化合物の他に、例えば、融点(耐熱性)の高い無機粒子や結着材を含むことが好ましい。
[0055]
 無機粒子は、例えば、電池の異常発熱時に溶融、分解しない、絶縁性の無機化合物で構成されることが好ましい。無機粒子の一例は、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の粒子である。無機粒子のD 50は、例えば0.2μm以上2μm以下である。
[0056]
 金属酸化物、金属酸化物水和物の例としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、ベーマイト(Al O又はAlOOH)、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化亜鉛等が挙げられる。金属窒化物の例としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。金属炭化物の例としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素等が挙げられる。金属硫化物の例としては、硫酸バリウム等が挙げられる。金属水酸化物の例としては、水酸化アルミニウム等が挙げられる。なお、例えばベーマイトのようにアルミナに変性後溶融するような物質の融点は、変性後の物質の融点がリン酸塩粒子の融点より高いことが望ましい。
[0057]
 また、無機粒子は、ゼオライト(M 2/nO・Al ・xSiO ・yH O、Mは金属元素、x≧2、y≧0)等の多孔質アルミノケイ酸塩、タルク(Mg Si 10(OH) )等の層状ケイ酸塩、チタン酸バリウム(BaTiO )、チタン酸ストロンチウム(SrTiO )等の粒子であってもよい。中でも、絶縁性、耐熱性等の観点から、酸化アルミニウム、ベーマイト、タルク、酸化チタン、酸化マグネシウムから選択される少なくとも1種が好適である。
[0058]
 第2フィラー層32中の無機粒子の含有率は、第2フィラー層32の総質量に対して、30質量%以上85質量%以下が好ましく、40質量%以上80質量%以下がより好ましい。第2フィラー層32中の結着材の含有率は、例えば2質量%以上8質量%以下が好ましい。なお、第2フィラー層32に含まれる結着材は、第1フィラー層31に含まれる結着材と同様の材料を用いることができる。第2フィラー層32の厚みは、特に限定されないが、1μm以上5μm以下が好ましく、2μm以上4μm以下が特に好ましい。
[0059]
 第2フィラー層32は、例えば、多孔質層であって、リチウムイオンが通過する空孔が形成されている。第2フィラー層32の空孔率は、第1フィラー層31と同様に、30%以上70%以下が好ましい。
[0060]
 第2フィラー層32は、第1フィラー層31の場合と同様に、基材30の表面に、例えば、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミドからなる群から選択される1つ以上の化合物、無機粒子、結着材、及び分散媒を含むスラリー状組成物(第2スラリー)を塗布し、塗膜を乾燥させることにより形成できる。分散媒には、例えばNMPを用いることができる。
実施例
[0061]
 以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
[0062]
 <実施例1>
 [セパレータの作製]
 下記の手順で、リン酸塩粒子を含む第1フィラー層/ポリエチレン製の多孔質基材/芳香族ポリアミドを含む第2フィラー層からなる3層構造を有するセパレータを作製した。
[0063]
 (1)第1スラリーの調製
 BET比表面積が6.5m /g、D 10が0.49μm、D 50が0.72μm、D 90が1.01μmのリン酸リチウム粒子(Li PO )と、ポリN-ビニルアセトアミドとを、92:8の質量比で混合し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を加えて、固形分濃度が15質量%の第1スラリーを調製した。
[0064]
 (2)第2スラリーの調製
 N-メチル-2-ピロリドンと塩化カルシウムを94.2:5.8の重量比で混合し、約80℃に昇温し、塩化カルシウムを完全に溶解させた。そして、この溶液を室温に戻し、2200g採取した後、パラフェニレンジアミン(PPD)を0.6mol添加し完全に溶解させた。この溶液を約20℃に保った状態で、テレフタル酸ジクロライド(TPC)0.6molを少量ずつ添加した。その後溶液を約20℃に保ったまま1時間熟成し、重合液とした。次に、この重合液100gと、5.8質量%の塩化カルシウムが溶解しているNMP溶液を混合し、芳香族ポリアミドであるパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)の濃度が2質量%の溶液を得た。上記溶液中に、セラミック粉末としてアルミナを、芳香族ポリアミド50質量部に対し100質量%となるように混合し、第2スラリーを調製した。
[0065]
 (3)第1フィラー層の形成
 厚みが12μmの単層のポリエチレン製多孔質基材の一方の面に、乾燥後の層厚みが2μmとなるようにワイヤーバーにより第1スラリーを塗布し、塗膜を60℃で5分間乾燥させることにより第1フィラー層を形成した。
[0066]
 (4)第2フィラー層の形成
 ポリエチレン製多孔質基材の他方の面に、乾燥後の層厚みが2μmとなるようにスロットダイ方式で第2スラリーを塗布し、温度25℃、相対湿度70%の雰囲気下に1時間放置して、芳香族ポリアミドを析出させた後、水洗によりNMPや塩化カルシウムを除去し、60℃で5分間乾燥させることにより、第2フィラー層を形成した。
[0067]
 [正極の作製]
 正極活物質として、Li 1.05Ni 0.82Co 0.15Al 0.03で表されるリチウム複合酸化物粒子を用いた。正極活物質と、カーボンブラックと、PVdFとを、NMP中で100:1:1の質量比で混合して正極合材スラリーを調製した。次に、当該正極合材スラリーを、アルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延ローラーにより圧延し、さらにアルミニウム製の集電タブを取り付けて、正極集電体の両面に正極合材層が形成された正極を作製した。なお、正極合材の充填密度は3.70g/cm であった。
[0068]
 [負極の作製]
 人造黒鉛と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC‐Na)と、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)のディスパージョンとを、水中で98:1:1の固形分質量比で混合して負極合材スラリーを調製した。次に、当該負極合材スラリーを銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延ローラーにより圧延し、さらにニッケル製の集電タブを取り付けて、負極集電体の両面に負極合材層が形成された負極を作製した。なお、負極合材の充填密度は1.70g/cm であった。
[0069]
 [非水電解質の調製]
 エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを、3:3:4の体積比で混合した混合溶媒に対して、六フッ化リン酸リチウム(LiPF )を1モル/リットルの濃度になるように溶解した。さらに、ビニレンカーボネート(VC)を上記混合溶媒に対して1質量%の濃度で溶解させて、非水電解質を調製した。
[0070]
 [非水電解質二次電池の作製]
 上記正極及び上記負極を、上記セパレータを介して巻回した後、80℃で加熱プレス成形して扁平状の巻回型電極体を作製した。このとき、第1フィラー層が正極表面に当接するように、第1フィラー層が形成された面を正極側に向けてセパレータを配置した。アルミラミネートシートで構成される電池外装体内に当該電極体を収容し、上記非水電解質を注入した後、外装体を封止して、750mAhの非水電解質二次電池を作製した。
[0071]
 [釘刺し試験]
 上記非水電解質二次電池について、25℃の環境下で、150mAの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電を行い、その後、4.2Vの定電圧で電流値が37.5mAになるまで充電を行った。25℃の環境下で上記充電状態の電池の側面中央部に、1mmφの大きさの丸釘の先端を0.1mm/秒の速度で垂直に突き刺し、釘が正極の1層目まで貫通した時点で突刺しを停止させた。電池側面部の釘を刺した場所から5mm離れた箇所の最高到達温度を測定した。測定結果を表1に示す。
[0072]
 <実施例2>
 第1スラリーの調製において、BET比表面積が32m /g、D 10が0.25μm、D 50が0.51μm、D 90が0.81μmのリン酸リチウム粒子(Li PO )を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製し、釘刺し試験を行った。
[0073]
 <実施例3>
 第1スラリーの調製において、BET比表面積が66m /g、D 10が0.15μm、D 50が0.26μm、D 90が0.55μmのリン酸リチウム粒子(Li PO )を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製し、釘刺し試験を行った。
[0074]
 <実施例4>
 実施例2のセパレータを用いたこと、第2フィラー層が正極表面に当接するように、第2フィラー層が形成された面を正極側に向けてセパレータを配置したこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製し、釘刺し試験を行った。
[0075]
 <比較例1>
 第1スラリーの調製において、BET比表面積が3.3m /g、D 10が0.62μm、D 50が0.97μm、D 90が1.38μmのリン酸リチウム粒子(Li PO )を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製し、釘刺し試験を行った。
[0076]
 <比較例2>
 第1スラリーの調製において、BET比表面積が32m /g、D 10が0.25μm、D 50が0.51μm、D 90が0.87μmのリン酸リチウム粒子(Li PO )を用いたこと、セパレータの作製において、第2フィラー層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製し、釘刺し試験を行った。
[0077]
 <比較例3>
 セパレータの作製において、第1フィラー層を形成しなかったこと、第2フィラー層が正極表面に当接するように、第2フィラー層が形成された面を正極側に向けてセパレータを配置したこと以外は、実施例1と同様に非水電解質二次電池を作製し、釘刺し試験を行った。
[0078]
[表1]


[0079]
 表1から分かるように、実施例の電池はいずれも、比較例の電池と比べて、釘刺し試験における最高到達温度が低い結果となった。すなわち、各実施例の電池によれば、異常発熱時において、電池のさらなる発熱が抑制されたと言える。

符号の説明

[0080]
 10 非水電解質二次電池
 11 正極
 12 負極
 13 セパレータ
 14 電極体
 15 電池ケース
 16 外装缶
 17 封口体
 18,19 絶縁板
 20 正極リード
 21 負極リード
 22 溝入部
 23 底板
 24 下弁体
 25 絶縁部材
 26 上弁体
 27 キャップ
 28 ガスケット
 30 基材
 31 第1フィラー層
 32 第2フィラー層

請求の範囲

[請求項1]
 正極と、負極と、前記正極と前記負極の間に介在するセパレータとを備え、
 前記セパレータは、
 多孔質の基材と、
 リン酸塩粒子を主成分として含み、前記基材の一方の面に配置された第1フィラー層と、
 芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、及び芳香族ポリアミドイミドからなる群から選択される1つ以上の化合物を含み、前記基材の他方の面に配置された第2フィラー層と、
 を有し、
 前記リン酸塩粒子のBET比表面積は、5m /g以上100m /g以下であり、
 前記第2フィラー層中の前記化合物の含有量は、15質量%以上である、非水電解質二次電池。
[請求項2]
 前記第2フィラー層中の前記化合物の含有量は、20質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
[請求項3]
 前記第1フィラー層中の前記リン酸塩粒子の含有量は、90質量%以上99質量%以下である、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
[請求項4]
 前記第1フィラー層は、前記正極の表面に当接している、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
[請求項5]
 前記第2フィラー層は、前記正極の表面に当接している、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
[請求項6]
 前記リン酸塩粒子の体積基準の10%粒径(D 10)は、0.02μm以上0.5μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
[請求項7]
 前記リン酸塩粒子の一部は前記基材の空孔内に入り込んでおり、当該粒子の入り込み深さの平均値は0.1μm以上2μm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
[請求項8]
 前記基材上の前記第1フィラー層の厚みは、0.5μm以上2μm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]