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1. WO2020137555 - ROOM TEMPERATURE COMPOSITE MATERIAL

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明 細 書

発明の名称 常温合材

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010  

発明の効果

0011  

図面の簡単な説明

0012  

発明を実施するための形態

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

符号の説明

0040  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6   7  

明 細 書

発明の名称 : 常温合材

技術分野

[0001]
 本発明は、常温合材に関する。

背景技術

[0002]
 既設道路舗装において局所的に発生する破損個所を補修するために、常温状態で施工可能な常温アスファルト混合物(常温合材)が使用されている。従来の常温アスファルト混合物としては、鉱物油等を使用してアスファルト混合物の粘度を強制的に低下させる、いわゆるカットバックアスファルト混合物があった。カットバックアスファルト混合物は、鉱物油等のカットバック材でアスファルトを軟化させて施工を行い、施工後は、カットバック材が揮発することで、アスファルト混合物の強度を発現させる。
[0003]
 しかし、カットバックアスファルト混合物では、施工後の混合物強度が極端に低く、養生時間が長くなるといった問題があった。この問題を解決するには、カットバックアスファルト混合物を施工後、急速に固化させる必要があるが、常温で鉱物油を固化させることはできない。そこで、通常使用するアスファルト混合物の材料に、油脂または脂肪酸にアルカリ性添加物を添加・混合して、アスファルトの粘度を低下させたアスファルト混合物(特許文献1参照)があった。特許文献1のアスファルト混合物は、施工中もしくは施工直後にアスファルト混合物に硬化促進剤を供給することにより、油脂または脂肪酸とアルカリ分とが急速に鹸化反応し、硬化することで早期の交通開放が可能となる。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特許5583978号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 特許文献1のアスファルト混合物では、養生時間を短くすることができるものの、アスファルト混合物の使用(交通開放)が可能となる可使時間(アスファルト混合物の硬化時間)を遅くして所望の時間に調整することはできない。
[0006]
 そこで、本発明は、これらの問題に鑑みて創案されたものであり、アスファルト混合物の硬化時間を所望の時間に調整できる常温合材を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 前記課題を解決するための本発明は、常温にて施工可能な常温合材において、アスファルトと、脂肪酸と、当該脂肪酸の濃度を薄めるキレート剤とを備えたことを特徴とする常温合材である。
[0008]
 このような構成の常温合材によれば、キレート剤を添加して脂肪酸の濃度を薄めることで、アスファルトの固化速度を遅くできるので、アスファルト混合物の硬化時間を所望の時間に調整できる。これによって、硬化時間を補修の施工に好ましい時間(5~25分)に調整することができる。
[0009]
 本発明の常温合材は、前記脂肪酸が亜麻仁油脂肪酸であり、前記キレート剤が亜リン酸エステルであるものが好ましい。このような構成によれば、アスファルト混合物の硬化時間を調整し易くなる。
[0010]
 また、本発明の常温合材は、前記亜麻仁油脂肪酸の配合重量と、前記亜リン酸エステルの配合重量は、重量比で95~50:5~50であるものが好ましい。このような構成によれば、アスファルト混合物の硬化時間を、補修の施工時間に好ましい長さに調整することができるとともに、アスファルト混合物の硬化後の強度(安定度)を確保することができる。

発明の効果

[0011]
 本発明に係る常温合材によれば、アスファルト混合物の硬化時間を所望の時間に調整することができる。

図面の簡単な説明

[0012]
[図1] 本発明の第一実施形態に係る常温合材の施工手順を示した図であって、(a)は充填工程、(b)は散水工程、(c)は転圧工程を示した断面図である。
[図2] 本発明の第一実施形態に係る常温合材の配合と硬化時間との関係を示したグラフである。
[図3] 本発明の第一実施形態に係る常温合材の配合と安定度/フロー値との関係を示したグラフである。
[図4] 本発明の第二実施形態に係る常温合材の配合と硬化時間との関係を示したグラフである。
[図5] 本発明の第二実施形態に係る常温合材の配合と安定度/フロー値との関係を示したグラフである。
[図6] 本発明の第三実施形態に係る常温合材の配合と硬化時間との関係を示したグラフである。
[図7] 本発明の第三実施形態に係る常温合材の配合と安定度/フロー値との関係を示したグラフである。

発明を実施するための形態

[0013]
 本発明の第一実施形態に係る常温合材について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、本発明に係る常温合材1は、常温にて施工可能なものであって、たとえば、アスファルト路面2上に発生した穴3の補修を行うためのものである。かかる常温合材1は、骨材とアスファルトと脂肪酸とキレート剤とアルカリ系材料とその他添加材とを備えて構成されている。
[0014]
 骨材は、粗骨材、細骨材、フィラーからなり、連続粒度を有するものが好ましい。粗骨材は、砕石、玉砕、砂利、鉄鋼スラグ等の公知のものである。その他、人口焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、エメリーなども使用することができる。細骨材は、天然砂、人工砂、スクリーニングス等の公知のものである。フィラーは、石灰岩やその他の岩石を粉砕した石粉、消石灰、セメント、回収ダストまたはフライアッシュ等を用いる。骨材の最大粒径は、2.5mm~15mm程度のものが使用条件に応じて適宜採用される。たとえば、穴3が浅い場合や細い場合には、比較的小さい粒径2・5mmを最大粒径とする。穴3が所定以上の大きさ(狭くない大きさ)の場合は、粒径5mmを最大粒径とする。また、透水性が要求される場合には、大きい粒径15mm程度を最大粒径とする。
[0015]
 アスファルトは、たとえば、ストレートアスファルトや天然アスファルトにて構成されている。脂肪酸は、本実施形態では、亜麻仁油脂肪酸が採用されている。亜麻仁油脂肪酸は、ヨウ素価が183~203の範囲であり、その代表値は185である。キレート剤は、硬化時間を長くする役目を有するものであって、本実施形態では、亜リン酸エステルが採用されている。本実施形態では、亜麻仁油脂肪酸と亜リン酸エステルの配合比率は、重量比95~50:5~50である。また、アスファルトの配合重量と、亜麻仁油脂肪酸および亜リン酸エステルの配合重量(亜麻仁油脂肪酸の重量と亜リン酸エステルの重量を合わせた重量)は同等である。アスファルトに亜麻仁油脂肪酸と亜リン酸エステルを配合することで、軟質アスファルトが形成されている。軟質アスファルトは、針入度360以上となっており、通常のアスファルトよりも軟質である。
[0016]
 針入度の測定は、JIS K2207の規格に基づいた試験機を用いて行っている。具体的には、恒温水槽で一定温度に保った試料に、既定の針が一定時間(5秒間)に進入する長さを0.1mm単位で計測している。
[0017]
 アルカリ系材料は、セメントが採用されている。かかるセメントとしては、ポルトランドセメント(JIS R 5210:2009)、高炉セメント(JIS R 5211:2009)、シリカセメント(JIS R 5212:2009)、フライアッシュセメント(JIS R 5213:2009)、エコセメント(JIS R 5214:2009)等が使用可能であり、第三実施形態においてはJWWA規格に記載されている、高流動性、超早強、無収縮のモルタルである。その他の添加材は、当該常温合材を加熱アスファルト混合物に風合いを似せるために用いる、酸化鉄や艶出し剤等からなる。骨材と、アスファルトと、亜麻仁油脂肪酸および亜リン酸エステルと、セメントと、その他添加材の配合比率は、略90:4:3:3:0.6である。
[0018]
 かかる常温合材1を製造するに際しては、骨材にアスファルトを混合したのち、亜麻仁油脂肪酸と亜リン酸エステルを混ぜたものを混合する。その後にセメントおよびその他添加剤の一部、最後にその他添加剤の残りを混合して、常温合材1が完成する。なお、混合の際、過混合を防ぐため混合時間を入念に管理する。常温合材1は、袋に入れて貯蔵・搬送され、袋に保存された状態で販売される。
[0019]
 かかる常温合材1を施工するに際しては、充填工程と散水工程と転圧工程とを行う。図1の(a)に示すように、充填工程は、アスファルト路面2上に発生した穴3に常温合材1を充填する工程である。常温合材1の充填は、袋からシャベル等を用いて作業員が手作業で行う。常温合材1の充填量は、常温合材1が路面2の表面より、若干盛り上がる程度の量とする。補修する穴3が多数の場合や大きい場合には、手作業ではなく重機を用いて充填してもよい。
[0020]
 図1の(b)に示すように、散水工程は、穴3に充填された常温合材1に水を撒く工程である。散水は散水ノズルを用いて作業員が手作業で行う。散水量は、常温合材1の質量20kgに対して1.5リットル以上である。
[0021]
 図1の(c)に示すように、転圧工程は、散水された常温合材1を圧縮して、路面2と面一にする工程である。転圧は、シャベルで常温合材1の表面を叩いたり、転圧機で行ったりする。転圧後、所定時間養生することで、常温合材1が硬化する。
[0022]
 常温合材1の硬化は、散水によってセメントが亜麻仁油脂肪酸と結合し、亜麻仁油脂肪酸とセメントのアルカリ成分が鹸化反応を起こすことで為される。鹸化反応することで、常温合材1が硬化するので、路面2が使用可能となる。本実施形態に係る構成の常温合材1によれば、散水後、最遅で略12分で硬化することが分かる(図2参照)。
[0023]
 以下に、図2を参照しながら、亜麻仁油脂肪酸とキレート剤(亜リン酸エステル)の配合を変えて硬化時間を測定した実験結果を説明する。かかる実験では、亜麻仁油脂肪酸とキレート剤の配合比(重量比)を、100:0(亜麻仁油脂肪酸のみで、キレート剤なし)、80:20および50:50の三種として、常温合材が硬化する時間を計測した。配合比100:0では硬化時間は略3分、配合比80:20では硬化時間は略7分、配合比50:50では硬化時間は略12分である。以上の結果より、亜麻仁油脂肪酸に対してキレート剤の配合割合が大きくなると、硬化時間が長くなる傾向が得られる。
[0024]
 ここで、硬化時間について検討すると、硬化時間が短すぎると、転圧工程が完了する前に常温合材が硬化してしまうという問題が発生する。一方、硬化時間が長すぎると、交通開放までの時間(可使時間)が長くなってしまうという問題が発生する。その他、可使時間を長くする目的でキレート剤(亜リン酸エステル)を多く配合すると硬化後の強度低下と言う問題が発生する。これら全体を考慮すると、施工時間と、交通開放までの時間と、硬化後の強度(安定度)のバランスがとれた好ましい硬化時間は5~25分程度である。本実施形態のように、亜麻仁油脂肪酸とキレート剤の配合比を80:20とすると、硬化時間が7分となることから、転圧工程の施工時間を確保できつつ早期の交通開放が可能となる。また、亜麻仁油脂肪酸とキレート剤の配合比を50:50(亜麻仁油脂肪酸の配合重量と、亜リン酸エステルの配合重量を同等)とすると、硬化時間が12分となることから、施工時間と、交通開放までの時間と、硬化後の強度(安定度)のバランスを取ることができる。常温合材1は、袋に入れた状態で貯蔵されるが、キレート剤を含むことで、硬化し難くなるため、貯蔵安定性を高めることができる。
[0025]
 次に、図3を参照しながら、亜麻仁油脂肪酸とキレート剤(亜リン酸エステル)の配合を変えて安定度/フロー値を測定した実験結果を説明する。かかる実験では、亜麻仁油脂肪酸とキレート剤の配合比(重量比)を、80:20、75:25、70:30、65:35および60:40の五種として、マーシャル安定度試験を行い、安定度/フロー値(100kgf/cm)を算出した。その結果、亜麻仁油脂肪酸にキレート剤を添加した場合、キレート剤の配合比率を増加させることで、安定度/フロー値が低くなることが分かった。安定度/フロー値が低くなることで、変形追従性が高くなるので、路面補修に適用した場合、ひび割れや飛散が生じ難くなるので好ましい。つまり、本実施形態のように、亜麻仁油脂肪酸とキレート剤の配合比を95~50:5~50と変化させることにより、施工時間と交通開放までの時間とのバランスを取りつつ、現場毎の要求性能(変形追従性や強度(安定度))を満たすことができる。
[0026]
 以上説明したように、本実施形態の常温合材1によれば、亜麻仁油脂肪酸に、当該脂肪酸の濃度を薄めるキレート剤(亜リン酸エステル)を混合したことで、アスファルトの固化速度を遅くできる。よって、アスファルト混合物の硬化時間を所望の時間に調整でき、硬化後の強度(安定度)も調整することが可能である。
[0027]
 また、本実施形態の常温合材は、脂肪酸が亜麻仁油脂肪酸であり、キレート剤が亜リン酸エステルであるので、アスファルト混合物の硬化時間を調整し易くなる。さらに、アスファルトの針入度が360以上であるので、フロー値が大きく(安定度/フロー値が小さく)なり、既設路面等の変形に対する追従性能が向上する。したがって、アスファルトのひび割れや飛散が生じにくくなる。
[0028]
 さらに、本実施形態の常温合材は、亜麻仁油脂肪酸の基本配合重量比と、亜リン酸エステルの基本配合重量比は95~50:5~50であり、配合重量比を変化させることにより硬化時間を施工に適度な時間、安定度(強度)、フロー(変形追従性)をコントロールすることができる。
[0029]
 本発明の第二実施形態に係る常温合材について説明する。第二実施形態に係る常温合材は、脂肪酸として米ぬか脂肪酸が採用されている。第二実施形態の常温合材は、第一実施形態の常温合材と比較して、脂肪酸を亜麻仁油脂肪酸に替えて米ぬか脂肪酸としたものである。米ぬか脂肪酸は、ヨウ素価が98~108の範囲であり、亜麻仁油脂肪酸より低くなっている。その他の構成については、第一実施形態と同様である。キレート剤は第一実施形態と同様に亜リン酸エステルが採用されている。本実施形態では、米ぬか脂肪酸と亜リン酸エステルの配合比率は、重量比で95~55:5~45である。また、アスファルトの配合重量と、米ぬか脂肪酸および亜リン酸エステルの配合重量(米ぬか脂肪酸の重量と亜リン酸エステルの重量を合わせた重量)は略同等である。アスファルトに米ぬか脂肪酸と亜リン酸エステルを配合することで、軟質アスファルトが形成されている。軟質アスファルトは、針入度360以上となっており、通常のアスファルトよりも非常に軟質である。
[0030]
 以下に、図4を参照しながら、米ぬか脂肪酸とキレート剤(亜リン酸エステル)の配合を変えて硬化時間を測定した実験結果を説明する。かかる実験では、米ぬか脂肪酸とキレート剤の配合比(重量比)を、100:0(米ぬか脂肪酸のみで、キレート剤なし)、75:25および65:35の三種として、常温合材が硬化する時間を計測した。配合比100:0では硬化時間は略3分、配合比75:25と配合比65:35では硬化時間は略4分である。なお、配合比75:25と配合比65:35では、グラフ上の違いはほとんどないが、詳細には、配合比65:35の方が硬化時間は僅かに長い。
[0031]
 以上の結果より、米ぬか脂肪酸に対してキレート剤の配合割合が大きくなると、硬化時間が長くなる傾向が得られる。したがって、キレート剤を多く配合することで、硬化時間を長くできることが分かる。また、米ぬか脂肪酸は、亜麻仁油脂肪酸と比較して、硬化時間が短くなる傾向がある。したがって、米ぬか脂肪酸は、補修する穴が小さく施工時間が短くて済む場合に適している。
[0032]
 次に、図5を参照しながら、米ぬか脂肪酸とキレート剤(亜リン酸エステル)の配合を変えて安定度/フロー値を測定した実験結果を説明する。かかる実験では、亜麻仁油脂肪酸とキレート剤の配合比(重量比)を、85:15、80:20、75:25、70:30、65:35および60:40の六種として、マーシャル安定度試験を行い、安定度/フロー値(100kgf/cm)を算出した。その結果、亜麻仁油脂肪酸にキレート剤を添加した場合、キレート剤の配合比率を増加させることで、安定度/フロー値が低くなることが分かった。キレート剤の配合比率の増加による、安定度/フロー値の低下傾向は、米ぬか脂肪酸の方が、亜麻仁油脂肪酸よりも大きい。つまり、米ぬか脂肪酸の方が、亜麻仁油脂肪酸よりも、変形追従性が高くなる傾向が高く、路面補修においてひび割れや飛散が生じにくくなる作用効果が大きい。
[0033]
 第二実施形態の常温合材においても、第一実施形態の常温合材と同様に、アスファルトの固化速度を遅くできる。よって、アスファルト混合物の硬化時間を所望の時間に調整でき、補修の施工時間を確保することができる。さらに、アスファルト混合物の変形追従性を高くでき、ひび割れや飛散が生じにくくなる。
[0034]
 本発明の第三実施形態に係る常温合材について説明する。第三実施形態に係る常温合材は、脂肪酸として植物脂肪酸の亜麻仁タイプ(ヨウ素価170調整)(以下、「植物脂肪酸」と記す。)が採用されている。第三実施形態の常温合材は、第一実施形態の常温合材と比較して、脂肪酸を亜麻仁油脂肪酸に替えて植物脂肪酸にしたものである。植物脂肪酸は、ヨウ素価が170以上で代表値が172であり、亜麻仁油脂肪酸よりも若干低くなっている。植物脂肪酸の亜麻仁タイプは、亜麻仁油を主原料とする脂肪酸と、その他不飽和成分が少ない脂肪酸(主に菜種、コーン、大豆を主原料とする脂肪酸)とを混合させて、ヨウ素価の下限を170としたものである。亜麻仁油脂肪酸とその他の脂肪酸の配合比率は、60~80:40~20である。その他の構成については、第一実施形態と同様である。キレート剤は第一実施形態と同様に亜リン酸エステルが採用されている。本実施形態では、植物脂肪酸と亜リン酸エステルの配合比率は、重量比で100~80:0~20である。また、アスファルトの配合重量と、植物脂肪酸および亜リン酸エステルの配合重量(植物脂肪酸の重量と亜リン酸エステルの重量を合わせた重量)は略同等である。アスファルトに植物脂肪酸と亜リン酸エステルを配合することで、軟質アスファルトが形成されている。軟質アスファルトは、針入度360以上となっており、通常のアスファルトよりも非常に軟質である。
[0035]
 以下に、図6を参照しながら、植物脂肪酸とキレート剤(亜リン酸エステル)の配合を変えて硬化時間を測定した実験結果を説明する。かかる実験では、植物脂肪酸とキレート剤の配合比(重量比)を、100:0(植物脂肪酸のみで、キレート剤なし)、90:10および80:20の三種として、常温合材が硬化する時間を計測した。配合比100:0では硬化時間は略5分、配合比90:10と配合比80:20では硬化時間は略6分である。なお、配合比90:10と配合比80:20では、グラフ上の違いはほとんどないが、詳細には、配合比80:20の方が硬化時間は僅かに長い。
[0036]
 以上の結果より、植物脂肪酸に対してキレート剤の配合割合が大きくなると、硬化時間が長くなる傾向が得られる。したがって、キレート剤を多く配合することで、硬化時間を長くできることが分かる。また、植物脂肪酸は、亜麻仁油脂肪酸と比較して、硬化時間が短くなる傾向があり、米ぬか脂肪酸と比較して硬化時間が長くなる傾向がある。したがって、植物脂肪酸は、亜麻仁油脂肪酸と米ぬか脂肪酸の中間の性状を表し、施工現場に合わせた使い分けが可能である。
[0037]
 次に、図7を参照しながら、植物脂肪酸とキレート剤(亜リン酸エステル)の配合を変えて安定度/フロー値を測定した実験結果を説明する。かかる実験では、植物脂肪酸とキレート剤の配合比(重量比)を、100:0、95:5、90:10、85:15、および80:20の五種として、マーシャル安定度試験を行い、安定度/フロー値(100kgf/cm)を算出した。その結果、植物脂肪酸にキレート剤を添加した場合、キレート剤の配合比率を増加させることで、安定度/フロー値が低くなることが分かった。キレート剤の配合比率の増加による、安定度/フロー値の低下傾向は、植物脂肪酸の方が、亜麻仁油脂肪酸よりも大きいが、米ぬか脂肪酸より小さい。つまり、植物脂肪酸の方が、亜麻仁油脂肪酸よりも、変形追従性が高くなる傾向があり、米ぬか脂肪酸より変形追従性が低くなる傾向がある。路面補修において、それぞれの現場に即した使い分けを行うことによる、より現場に即した製品を提供することが可能である。
[0038]
 第三実施形態の常温合材においても、第一実施形態の常温合材と同様に、アスファルトの固化速度を遅くできる。よって、アスファルト混合物の硬化時間を所望の時間に調整でき、補修の施工時間を確保することができる。さらに、アスファルト混合物の変形追従性を高くでき、ひび割れや飛散が生じにくくなる。また、第三実施形態の常温合材では、第一及び第二実施形態と比較して、低温凝固による白濁を低減できる。これによって、当該常温合材を低温時または寒冷地の冬季に使用した際に、脂肪酸凝固によるワーカビリティの低下や、酸と塩基成分の反応(鹸化反応)の妨げになることを防止できる。さらに、第三実施形態の常温合材は、第一及び第二実施形態と比較して、安価に製造できる。
[0039]
 以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定する趣旨ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、脂肪酸が、亜麻仁油脂肪酸、米ぬか脂肪酸および植物脂肪酸であって、キレート剤が亜リン酸エステルであるがこれに限定されるものではない。

符号の説明

[0040]
 1   常温合材
 2   アスファルト路面
 3   穴

請求の範囲

[請求項1]
 常温にて施工可能な常温合材において、
 アスファルトと、脂肪酸と、当該脂肪酸の濃度を薄めるキレート剤とを備えた
 ことを特徴とする常温合材。
[請求項2]
 前記脂肪酸は、亜麻仁油脂肪酸であり、
 前記キレート剤は、亜リン酸エステルである
 ことを特徴とする請求項1に記載の常温合材。
[請求項3]
 前記亜麻仁油脂肪酸の配合重量と、前記亜リン酸エステルの配合重量は、重量比で95~50:5~50である
 ことを特徴とする請求項2に記載の常温合材。
[請求項4]
 前記脂肪酸は、植物脂肪酸の亜麻仁油タイプであり、
 前記キレート剤は、亜リン酸エステルである
 ことを特徴とする請求項1に記載の常温合材。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]