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1. WO2015083753 - UTILITY VEHICLE

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明 細 書

発明の名称 作業車両

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005  

課題を解決するための手段

0006   0007   0008   0009   0010   0011  

発明の効果

0012  

図面の簡単な説明

0013  

発明を実施するための形態

0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083  

符号の説明

0084  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 作業車両

技術分野

[0001]
 本発明は、掘削作業を行う作業車両に関する。

背景技術

[0002]
 土砂又は砕石等をダンプトラック等に積み込む作業機を備えた作業車両がある。このような作業車両として、ホイールローダーがある。ホイールローダーは、掘削作業を行うためのバケットを有し、タイヤで走行して作業する車両である。例えば、特許文献1には、作業現場毎に異なる積み込み作業の態様に適するように、エンジン出力を作業機及び走行装置に分配するホイールローダーが記載されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2008-248523号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 ホイールローダーは、掘削した物(掘削物)をダンプトラックのような運搬機械に積載する。この場合、ホイールローダーは、掘削した位置から運搬機械の位置まで移動するが、このとき、ホイールローダーのオペレーターは、ブームを上昇させながらホイールローダーを走行させ、運搬機械の位置まで移動する。この作業は、アクセル及びブレーキの操作が必要となり、オペレーターの負荷が大きくなる可能性があった。
[0005]
 本発明は、作業車両が掘削した後、掘削物を排出する位置まで移動する際において、オペレーターの負荷を軽減することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0006]
 本発明は、車体と、前記車体を走行させるための動力を発生する動力発生装置と、前記動力発生装置の発生した動力により前記車体を走行させる駆動輪と、前記車体に支持されて回動し、かつ前記車体側とは反対側にバケットを支持するブームと、前記ブームを回動させるアクチュエータと、前記車体が前記バケットによる掘削後に掘削物を排出する位置まで走行する際の目標となる目標走行距離に対応する値と、移動が開始された後に前記ブームが上昇する際の目標となる目標上昇量に対応する値との比である第1比率と、前記車体が前記バケットによる掘削後に掘削物を排出する位置までの移動を開始してから実際に走行した距離に対応する値と、前記移動が開始された後に前記ブームが実際に上昇した量に対応する値との比である第2比率との差が0になるように、前記動力発生装置から前記駆動輪に伝達される伝達トルクを制御する制御装置と、を含む、作業車両である。
[0007]
 前記動力発生装置と前記駆動輪との間にクラッチを有し、前記制御装置は、前記クラッチの係合状態を調整することにより前記伝達トルクを制御することが好ましい。
[0008]
 前記クラッチと前記駆動輪との間に、前記クラッチからの動力を前記駆動輪に伝達するトルクコンバータを有し、前記制御装置は、前記トルクコンバータが吸収したトルクと、前記クラッチが伝達できる最大のトルクとの比を用いて、前記伝達トルクをフィードフォワード制御することが好ましい。
[0009]
 前記制御装置は、前記クラッチの係合状態に応じて、前記動力発生装置が発生するトルクを制御することが好ましい。
[0010]
 前記目標走行距離及び前記目標上昇量の少なくとも一方を変更する目標値変更部を有することが好ましい。
[0011]
 本発明は、車体と、前記車体を走行させるための動力を発生する動力発生装置と、前記動力発生装置の発生した動力により前記車体を走行させる駆動輪と、前記動力発生装置と前記駆動輪との間に設けられたクラッチと、前記クラッチと前記駆動輪との間に設けられたトルクコンバータと、前記車体に支持されて回動し、かつ前記車体側とは反対側に支バケットを支持するブームと、前記ブームを回動させる油圧シリンダと、前記車体が前記バケットによる掘削後に掘削物を排出する位置まで走行する際の目標となる目標走行距離に対応する値と、移動が開始された後に前記ブームが上昇する際の目標となる目標上昇量に対応する値との比である第1比率と、前記車体が前記バケットによる掘削後に掘削物を排出する位置までの移動を開始してから実際に走行した距離に対応する値と、前記移動が開始された後に前記ブームが実際に上昇した量に対応する値との比である第2比率との差が0になるように、前記クラッチの係合状態をフィードバック制御し、かつ前記トルクコンバータが吸収したトルクと、前記クラッチが伝達できる最大のトルクとの比を用いて前記クラッチの係合状態をフィードフォワード制御する制御装置と、を含む、作業車両である。

発明の効果

[0012]
 本発明は、作業車両が掘削した後、掘削物を排出する位置まで移動する際において、オペレーターの負荷を軽減することができる。

図面の簡単な説明

[0013]
[図1] 図1は、本実施形態に係る作業車両を示す図である。
[図2] 図2は、作業機の動作を制御する制御系統を示す図である。
[図3] 図3は、作業機を示す図である。
[図4] 図4は、掘削が終了した後におけるホイールローダーの動作の一例を示す図である。
[図5] 図5は、ホイールローダーの駆動系及び制御系を示すブロック図である。
[図6] 図6は、フィードバック制御に加え、フィードフォワード制御を行う際の制御ブロックの一例を示す図である。
[図7] 図7は、クラッチの係合状態に応じてエンジンのトルクを制御する際の制御ブロックの一例を示す図である。
[図8] 図8は、エンジンのトルクの減少量を説明するための概念図である。

発明を実施するための形態

[0014]
 本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
[0015]
<ホイールローダー>
 図1は、本実施形態に係る作業車両を示す図である。本実施形態において、作業車両として、砕石又は砕石の掘削時に発生した土砂若しくは岩石等を運搬車両としてのダンプトラック等に積載するホイールローダー1を例とする。
[0016]
 ホイールローダー1は、車体2と、ブーム3及びバケット4を備える作業機5と、前輪6F及び後輪6Rと、運転室7と、ブームシリンダ9と、バケットシリンダ10とを備えている。車体2には、作業機5、前輪6F及び後輪6R並びに運転室7が取り付けられている。運転室7内には、運転席DS及び操作レバーCLが設けられている。運転席DSの背もたれDSBから操作レバーCLに向かう方向を前方といい、操作レバーCLから背もたれDSBに向かう方向を後方という。ホイールローダー1の左右は、前方を基準とする。
[0017]
 前輪6F及び後輪6Rは、路面Rに接地する。前輪6F及び後輪6Rの接地面側を下方といい、前輪6F及び後輪6Rの接地面から離れる方向を上方という。前輪6F及び後輪6Rが回転することにより、ホイールローダー1は走行する。ホイールローダー1の操舵は、車体2が前輪6Fと後輪6Rとの間で屈曲することにより実現される。
[0018]
 作業機5は、車体2の前部に配置される。ブーム3は、車体2の前方側に支持されて、前方に向かって延びている。ブーム3は、車体2に支持されて回動する。バケット4は、開口部4H及び爪4Cを有している。バケット4は、爪4Cが土砂又は砕石等をすくい取ることによって、対象を掘削する。爪4Cがすくい取った土砂又は砕石等を、適宜掘削物SRという。爪4Cがすくい取った掘削物SRは、開口部4Hからバケット4の内部に入る。バケット4は、ブーム3の車体2側とは反対側に支持されて回動する。
[0019]
 ブーム駆動装置としてのブームシリンダ9は、車体2とブーム3との間に設けられている。ブーム3は、ブームシリンダ9が伸縮することによって、車体2側の支持部を中心として回動する。ブーム3を回動させるブーム駆動装置はブームシリンダ9に限定されない。例えば、ブーム駆動装置は、ブーム3の付け根に設けられた電動機であってもよい。このように、ブーム駆動装置は、ブーム3を回動させるアクチュエータである。
[0020]
 バケットシリンダ10は、一端部が車体2に取り付けられて支持され、他端部がベルクランク11の一端部に取り付けられている。ベルクランク11の他端部は、バケット4に連結されている。バケット4は、バケットシリンダ10が伸縮することによって、ブーム3に支持された部分を中心として回動する。バケット4を回動させる装置は、バケットシリンダ10に限定されない。
[0021]
 操作レバーCLは、ブームシリンダ9及びバケットシリンダ10の伸縮を制御する。運転室7に搭乗したオペレーターが、操作レバーCLを操作すると、ブームシリンダ9及びバケットシリンダ10の少なくとも一方が伸縮する。すると、ブーム3及びバケット4の少なくとも一方が回動する。このように、ブーム3及びバケット4は、オペレーターが、操作レバーCLを操作することによって動作する。
[0022]
<作業機5の制御系統>
 図2は、作業機の動作を制御する制御系統を示す図である。図1に示す作業機5の動作、すなわちブーム3及びバケット4の動作を制御する制御系統CSは、作業機油圧ポンプ12と、ブーム操作弁13と、バケット操作弁14と、パイロットポンプ15と、吐出回路12Cと、電磁比例制御弁20と、制御装置40と、TM(変速装置)制御装置49と、EG(エンジン)制御装置51とを含む。
[0023]
 作業機油圧ポンプ12は、ホイールローダー1に搭載される動力発生装置としてのエンジン(EG)60によって駆動される。エンジン60は、内燃機関であり、本実施形態ではディーゼルエンジンである。エンジン60の種類はディーゼルエンジンに限定されない。エンジン60の出力は、PTO(Power Take Off)61に入力された後、作業機油圧ポンプ12と、動力伝達機構としてのクラッチ62とに出力される。このような構造により、作業機油圧ポンプ12は、PTO61を介してエンジン60に駆動されて、作動油を吐出する。
[0024]
 クラッチ62の入力側はエンジン60に、出力側はトルクコンバータ(TC)63に接続されている。トルクコンバータ63の出力側は変速装置(TM)64に接続される。このような構造により、エンジン60の出力は、PTO61、クラッチ62及びトルクコンバータ63を介して変速装置64に伝達される。変速装置64は、PTO61から伝達されたエンジン60の出力を、図1に示す前輪6F及び後輪6Rに伝達してこれらを駆動する。ホイールローダー1及び車体2は、エンジン60の出力によって前輪6F及び後輪6Rが駆動されて、走行する。前輪6F及び後輪6Rは、ホイールローダー1の駆動輪となる。
[0025]
 作業機油圧ポンプ12が作動油を吐出する吐出口には、作動油が通過する油路としての吐出回路12Cが接続されている。吐出回路12Cは、ブーム操作弁13とバケット操作弁14とに接続されている。ブーム操作弁13及びバケット操作弁14は、いずれも油圧パイロット式の操作弁である。ブーム操作弁13とバケット操作弁14とは、それぞれブームシリンダ9とバケットシリンダ10とに接続されている。作業機油圧ポンプ12と、ブーム操作弁13と、バケット操作弁14と、吐出回路12Cとは、タンデム形式の油圧回路を形成している。
[0026]
 ブーム操作弁13は、A位置、B位置、C位置及びD位置を有する4位置切換弁である。ブーム操作弁13は、A位置になるとブーム3が上昇し、B位置になると中立、C位置になるとブーム3は下降し、D位置になるとブーム3はそのときの位置を保持する。バケット操作弁14は、E位置、F位置及びG位置を有する3位置切換弁である。バケット操作弁14は、E位置になるとバケット4がチルト動作し、F位置になると中立、G位置になるとバケット4がダンプ動作する。
[0027]
 バケット4のチルト動作は、図1に示すバケット4の開口部4H及び爪4Cが運転室7に向かって回動することにより傾く動作である。バケット4のダンプ動作は、チルト動作とは反対に、バケット4の開口部4H及び爪4Cが運転室7から遠ざかるように回動することにより傾く動作である。
[0028]
 ブーム操作弁13及びバケット操作弁14のパイロット受圧部は、それぞれ電磁比例制御弁20を介してパイロットポンプ15と接続されている。パイロットポンプ15は、PTO61に接続されて、エンジン60によって駆動される。パイロットポンプ15は、電磁比例制御弁20を介して、ブーム操作弁13のパイロット受圧部13R及びバケット操作弁14のパイロット受圧部14Rに所定圧力(パイロット圧力)の作動油を与える。
[0029]
 電磁比例制御弁20は、ブーム下げ電磁比例制御弁21、ブーム上げ電磁比例制御弁22、バケットダンプ電磁比例制御弁23及びバケットチルト電磁比例制御弁24を有している。ブーム下げ電磁比例制御弁21及びブーム上げ電磁比例制御弁22は、ブーム操作弁13の各パイロット受圧部13R、13Rに接続されている。バケットダンプ電磁比例制御弁23及びバケットチルト電磁比例制御弁24は、バケット操作弁14の各パイロット受圧部14R、14Rに接続されている。ブーム下げ電磁比例制御弁21のソレノイド指令部21S、ブーム上げ電磁比例制御弁22のソレノイド指令部22S、バケットダンプ電磁比例制御弁23のソレノイド指令部23S及びバケットチルト電磁比例制御弁24のソレノイド指令部24Sには、制御装置40からのそれぞれの指令信号が入力される。
[0030]
 ブーム下げ電磁比例制御弁21、ブーム上げ電磁比例制御弁22、ブーム操作弁13及びブームシリンダ9は、ブーム3を回動(昇降)させるブーム駆動部としての機能を有する。バケットダンプ電磁比例制御弁23、バケットチルト電磁比例制御弁24、バケット操作弁14及びバケットシリンダ10は、バケットを回動(チルト動作又はダンプ動作)させるバケット駆動部としての機能を有する。
[0031]
 制御装置40は、例えば、コンピュータである。制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)等の処理部41と、ROM(Read Only Memory)等の記憶部42と、入力部43と、出力部44とを含む。処理部41は、コンピュータプログラムに記述された各種の命令を逐次実行することにより、作業機5の動作を制御する。処理部41は、記憶部42、入力部43及び出力部44と電気的に接続されている。このような構造により、処理部41は、記憶部42に記憶されている情報を読み出したり、記憶部42に情報を書き込んだり、入力部43から情報を受け取ったり、出力部44に情報を出力したりすることができる。
[0032]
 記憶部42は、作業機5の動作を制御するためのコンピュータプログラム及び作業機5の動作の制御に用いるための情報を記憶している。本実施形態において、記憶部42は、本実施形態に係る作業車両の制御を実現するためのコンピュータプログラムを記憶している。処理部41は、このコンピュータプログラムを記憶部42から読み出して実行することにより、本実施形態に係る作業車両の制御方法を実現する。
[0033]
 入力部43には、ブーム角度検出センサ46と、バケット角度検出センサ47と、ブームシリンダ9に充填されている作動油の圧力(ボトム圧力)を検出するブームシリンダ圧力センサ48と、変速装置64を制御するTM制御装置49と、車速センサ50と、エンジン60を制御するエンジン制御装置51と、第1ポテンショメータ31と、第2ポテンショメータ33と、入出力装置45と、目標値変更部としての設定ダイヤル53とが接続されている。処理部41は、これらの検出値又は指令値を取得して、作業機5の動作を制御する。
[0034]
 車速検出装置としての車速センサ50は、ホイールローダー1が走行する速度(車速)を検出する。車速センサ50は、例えば、図2に示す変速装置64の出力軸の回転速度からホイールローダー1の車速を求めるものであってもよい。TM制御装置49は、変速装置64の速度段を切り替える。この場合、TM制御装置49は、例えば、車速センサ50から取得した車速及びホイールローダー1のアクセル開度等に基づいて、速度段を制御する。エンジン制御装置51は、例えば、アクセル開度とエンジン60の回転速度とに基づき、エンジン60に供給する燃料の量を調整することにより、エンジン60の出力を制御する。本実施形態において、TM制御装置49及びエンジン制御装置51には、いずれもコンピュータを用いることができる。
[0035]
 出力部44には、ブーム下げ電磁比例制御弁21のソレノイド指令部21Sと、ブーム上げ電磁比例制御弁22のソレノイド指令部22Sと、バケットダンプ電磁比例制御弁23のソレノイド指令部23Sと、バケットチルト電磁比例制御弁24のソレノイド指令部24Sと、入出力装置45とが接続されている。処理部41は、ブーム下げ電磁比例制御弁21のソレノイド指令部21S又はブーム上げ電磁比例制御弁22のソレノイド指令部22Sにブームシリンダ9を動作させるための指令値を与えて、ブームシリンダ9を伸縮させる。ブームシリンダ9が伸縮することにより、ブーム3が昇降する。処理部41は、バケットダンプ電磁比例制御弁23のソレノイド指令部23S又はバケットチルト電磁比例制御弁24のソレノイド指令部24Sにブームシリンダ9を動作させるための指令値を与えて、バケットシリンダ10を伸縮させる。バケットシリンダ10が伸縮することにより、バケット4がチルト動作又はダンプ動作する。このようにして、処理部41は、作業機5、すなわちブーム3及びバケット4の動作を制御する。
[0036]
 入力部43及び出力部44の両方に接続されている入出力装置45は、入力装置45Sと、発音装置45Bと、表示装置45Mとを備えている。入出力装置45は、入力装置45Sから制御装置40に指令値を入力したり、発音装置45Bから警告音を発生させたり、表示装置45Mに作業機5の状態又は制御に関する情報を表示したりする。入力装置45Sは、例えば、押しボタン式のスイッチである。入力装置45Sが操作されることにより、表示装置45Mに表示される情報が切り替えられたり、ホイールローダー1の操作モードが切り替えられたりする。
[0037]
 それぞれの入力装置45Sには、ホイールローダー1の操作モードを切り替えたり、表示装置45Mの表示を切り替えたりする機能が割り当てられる。図2に示す例では、1つの入力装置45Sに、操作モードの1つとしてのダンプアプローチモードを開始させるための機能が割り当てられている。ダンプアプローチモードは、本実施形態に係るホイールローダー1の制御である。ダンプアプローチモードは、ホイールローダー1が掘削した後、掘削位置から退避して、バケット4に保持された掘削物SRを排出する場所に移動する間に、ブーム3を自動で上昇させる制御を実行するモードである。このため、本実施形態において、入力装置45Sは、ダンプアプローチモードのスタートスイッチ34となる。スタートスイッチ34が操作されると、入出力装置45は、ダンプアプローチモードのスタート信号を生成する。このスタート信号は、制御装置40に入力される。
[0038]
 スタート信号が入力されると、制御装置40は、ホイールローダー1をダンプアプローチモードで制御する。同時に、制御装置40は、表示装置45Mにアイコン34Iを表示する。アイコン34Iは、ダンプアプローチモードがONになっていること示すものである。なお、入出力装置45の入力装置45Sをタッチパネルとして表示装置45Mに組み込み、アイコン34Iをスタートスイッチ34に割り当ててもよい。
[0039]
 操作レバーCLは、ブーム操作レバー30とバケット操作レバー32とを含む。ブーム操作レバー30には、自身の操作量を検出する第1ポテンショメータ31が取り付けられている。バケット操作レバー32には、自身の操作量を検出する第2ポテンショメータ33が取り付けられている。第1ポテンショメータ31及び第2ポテンショメータ33の検出信号は、制御装置40の入力部43に入力される。変速装置64のセレクターレバー18Lは、変速装置64の速度段を切り替えたり、前進と後進とを切り替えたりする。設定ダイヤル53は、制御装置40がダンプアプローチモードを実行する際の目標値を変更する。
[0040]
<作業機5の構造及び動作>
 図3は、作業機5を示す図である。作業機5のブーム3は、第1端部側が連結ピン3Pによって車体2にピン結合されている。ブーム3の両端部の間には、ブームシリンダ9を取り付けるためのブラケット3BRが取り付けられている。ブームシリンダ9は、第1端部が連結ピン9Paによって車体2にピン結合され、第2端部が連結ピン9Pbによってブラケット3BRにピン結合される。このような構造により、ブーム3は、ブームシリンダ9が伸縮すると、連結ピン3Pの中心軸Z1を中心として回動(昇降)する。
[0041]
 バケット4は、ブーム3の第2端部側、すなわち車体2側とは反対側における端部側に、連結ピン4Paによってピン結合されている。このような構造により、バケット4は、連結ピン4Paの中心軸Z2を中心として回動する。バケットシリンダ10は、第1端部が連結ピン3Pによって車体2にピン結合され、第2端部が連結ピン11aによってベルクランク11の第1端部にピン結合される。ベルクランク11の第2端部は、連結部材11Lの第1端部と連結ピン11bによってピン結合されている。連結部材11Lの第2端部は、連結ピン4Pbによってバケット4とピン結合されている。
[0042]
 ブーム3は、両方の端部の間に、ベルクランク11を支持する支持部材8が取り付けられている。ベルクランク11は、両端部の間が連結ピン11cによって支持部材8にピン結合されている。このような構造により、ベルクランク11は、連結ピン11cの中心軸Z3を中心として回動する。バケットシリンダ10が縮むと、ベルクランク11は第1端部が車体2側に移動する。ベルクランク11は、連結ピン11cの中心軸Z3を中心として回動するため、ベルクランク11の第2端部は車体2から遠ざかる方向に移動する。すると、バケット4は、連結部材11Lを介してダンプ動作する。バケットシリンダ10が伸びると、ベルクランク11は第1端部が車体2側から遠ざかる。すると、ベルクランク11の第2端部は車体2に近づくので、バケット4は連結部材11Lを介してチルト動作する。
[0043]
<ブームの角度α及びバケットの角度β>
 作業機5において、ブーム3の角度(以下、適宜ブーム角度という)αは、連結ピン3Pの中心軸Z1と連結ピン4Paの中心軸Z2とを結ぶ直線L1と、連結ピン3Pを通り、かつ前輪6F及び後輪6Rの接地面と平行な水平線L2とのなす角度のうち小さい方である。本実施形態において、ブーム角度αは、水平線L2よりも路面R側に傾斜している場合は負になる。ブーム3が上昇するとブーム角度αは大きくなる。
[0044]
 バケット4の角度(以下、適宜バケット角度という)βは、路面R(図3では水平線L2が対応する)と、連結ピン4Paの中心軸Z2を通りバケット4の底面4Bに平行な直線L3とのなす角度である。本実施形態において、バケット角度βは、連結ピン4Paの中心軸Z2に対して直線L3の前方が下向きとなる場合は負になる。バケット4がチルト動作するとバケット角度βは大きくなる。
[0045]
 ブーム角度αを検出するブーム角度検出センサ46は、ブーム3を車体2にピン結合する連結ピン3Pの部分に取り付けられている。バケット角度βを検出するバケット角度検出センサ47は、連結ピン11cの部分に取り付けられて、ベルクランク11を介して間接的にバケット4の角度を検出する。バケット角度検出センサ47は、ブーム3とバケット4とを連結する連結ピン4Paの部分に取り付けられてもよい。本実施形態において、ブーム角度検出センサ46及びバケット角度検出センサ47は、例えば、ポテンショメータが用いられるが、これには限定されない。
[0046]
 ブーム角度検出センサ46が検出するブーム角度αは、ブーム3の姿勢を示す指標になる。このため、ブーム角度検出センサ46は、ブーム3の姿勢を検出するブーム姿勢検出装置として機能する。バケット角度検出センサ47が検出するバケット角度βは、バケット4の姿勢を示す指標になる。このため、バケット角度検出センサ47は、バケット4の姿勢を検出するバケット姿勢検出装置として機能する。
[0047]
 ホイールローダー1のオペレーターが、ブーム操作レバー30又はバケット操作レバー32を操作すると、制御装置40は第1ポテンショメータ31又は第2ポテンショメータ33からブーム操作レバー30又はバケット操作レバー32の操作量の信号を取得する。そして、制御装置40は、この操作量の信号に対応する作業機速度制御指令を、ブーム下げ電磁比例制御弁21、ブーム上げ電磁比例制御弁22、バケットダンプ電磁比例制御弁23又はバケットチルト電磁比例制御弁24に出力する。
[0048]
 ブーム下げ電磁比例制御弁21、ブーム上げ電磁比例制御弁22、バケットダンプ電磁比例制御弁23又はバケットチルト電磁比例制御弁24は、この作業機速度制御指令の大きさに応じたパイロット圧力を、対応するブーム操作弁13又はバケット操作弁14のパイロット受圧部に出力する。すると、ブームシリンダ9又はバケットシリンダ10はそれぞれのパイロット油圧に応じた速度で、対応する方向に作動する。
[0049]
<ダンプアプローチ>
 図4は、掘削が終了した後におけるホイールローダー1の動作の一例を示す図である。掘削対象Mを作業機5のバケット4で掘削したホイールローダー1は、掘削位置PSから後退し、方向転換のために方向転換位置PIまで進む。ホイールローダー1は、方向転換位置PIにおいて進行方向を前進に切り替えて、掘削対象Mとは異なる位置に停止しているダンプトラック100に向かって走行する。ダンプトラック100の位置に到達したホイールローダー1は、バケット4内の掘削物SRをダンプトラック100のベッセル101内に排出する。バケット4内の掘削物SRが排出される位置を排出位置PDという。
[0050]
 ホイールローダー1が掘削位置PSから離脱し、方向転換位置PIを経由して排出位置PDに向かう間に、作業機5のブーム3は上昇する。ホイールローダー1が排出位置PDに到達したとき、ブーム3が掘削物SRの排出に適した高さ、例えば、最も高くなることが好ましい。掘削を終了したホイールローダー1は、掘削位置PSから排出位置PDへの移動中に、ブーム3を上昇させる。掘削を終了したホイールローダー1が行う、この一連の動作をダンプアプローチという。ダンプアプローチにおいて、掘削位置PSから方向転換位置PIまでのホイールローダー1の移動距離はLx1であり、方向転換位置PIから排出位置PDまでの移動距離はLx2である。以下において、移動距離Lx1を適宜後進距離Lx1といい、移動距離Lx2を適宜前進距離Lx2という。ダンプアプローチにおいて、ホイールローダー1が掘削位置PSから排出位置PDまで走行した距離はLx(=Lx1+Lx2)となる。
[0051]
 ダンプアプローチは、ホイールローダー1が走行しながらブーム3を上昇させる作業であるが、現場の状況に応じた任意の後進距離Lx1及び前進距離Lx2で作業を遂行するには、ホイールローダー1のオペレーターはアクセルワーク及びブレーキ操作を必要とする。このとき、ホイールローダー1にはブレーキの引きずりも発生する可能性がある。また、ダンプアプローチにおける操作及びブレーキに与える影響は、オペレーターの技量にも影響を受ける。このため、本実施形態では、ダンプアプローチを自動制御によって補助することで、操作を容易にし、かつブレーキの負荷を低減する。自動制御によりダンプアプローチを補助するモードが、前述したダンプアプローチモードである。
[0052]
 任意の後進距離Lx1及び前進距離Lx2の間にダンプアプローチが行われるため、ホイールローダー1のオペレーターは、ホイールローダー1の車速とブーム3の上昇速度とのバランスを感覚的に捉えながら、それに応じてアクセル及びブレーキを操作する。このため、上昇速度に対して車速が速すぎる場合はアクセル操作又は過度のブレーキ操作が必要となり、操作の煩雑化及び必要以上のブレーキ負荷・エネルギーロスを招く可能性がある。ダンプアプローチモードは、車速及びブーム3の上昇速度を検出し、両者のバランスが任意に設定したバランスになるように、図2に示すクラッチ62の係合状態を調整する。このようにすることで、ブーム3の上昇速度に応じた車速とすることができるので、アクセル操作が容易になり、かつ過度のブレーキ操作によるブレーキ負荷を低減することができる。その結果、ダンプアプローチモードは、オペレーターの技量によらず、効率的なダンプアプローチを実現でき、ホイールローダー1のブレーキの耐久性低下を抑制できる。次に、ダンプアプローチモードについて、より詳細に説明する。
[0053]
<ダンプアプローチモード>
 図5は、ホイールローダー1の駆動系及び制御系を示すブロック図である。ダンプアプローチモードは、制御装置40が実現する。ダンプアプローチモードは、ホイールローダー1の走行距離に対応する値と、ブーム3が上昇した量に対応する値との比を用いて制御される。制御装置40は、後述する第1比率と第2比率との差が0になるように、エンジン60からホイールローダー1の駆動輪に伝達される伝達トルクを制御する。本実施形態において、制御装置40は、クラッチ62の係合状態を調整することにより、伝達トルクを制御する。クラッチ62の係合状態は、図5に示すクラッチ制御用のアクチュエータ62Aがクラッチ62を係合させるためにクラッチ62に与える作動油の圧力(クラッチ圧)を調整することにより変化する。その結果、伝達トルクが変化する。
[0054]
 伝達トルクは、クラッチ62の係合状態を調整する方法以外によって制御されてもよい。例えば、制御装置40は、エンジン60のトルクを制御することによって伝達トルクを制御してもよい。また、制御装置40は、ホイールローダー1のブレーキを制御して、ブレーキが発生する制動力を調整することにより、伝達トルクを制御してもよい。ブレーキは、例えば、図2に示す変速装置64と駆動輪との間に設けられているため、制御装置40は、ブレーキを制御することによってもエンジン60から駆動輪に伝達される伝達トルクを制御することができる。
[0055]
 第1比率は、ホイールローダー1がバケット4による掘削後に掘削物を排出する排出位置PDまでの移動を開始してからホイールローダー1が走行する際の目標となる目標走行距離に対応する値と、ホイールローダー1の移動が開始された後にブーム3が上昇する際の目標となる目標上昇量に対応する値との比である。第2比率は、ホイールローダー1がバケット4による掘削後に掘削物SRを排出する排出位置PDまでの移動を開始してから実際に走行した距離(実走行距離)に対応する値と、掘削後に掘削位置PSを始点としてホイールローダー1の移動が開始された後にブーム3が実際に上昇した量(実上昇量)に対応する値との比である。
[0056]
 本実施形態において、目標走行距離に対応する値としては、目標走行距離Ld自体が用いられる。目標走行距離Ldは、ホイールローダー1が掘削後に掘削位置PSから排出位置PDまでの移動を開始してからホイールローダー1が走行する際の目標となる距離である。
[0057]
 ダンプアプローチモードは、ホイールローダー1が掘削位置PSから方向転換位置PIまで移動する段階(第1段階)と、方向転換位置PIから排出位置PDまで移動する段階(第2段階)とがある。本実施形態において、目標走行距離Ldは、それぞれの段階に対して定められる。例えば、第1段階の目標走行距離Ldは、図4に示す掘削位置PSから方向転換位置PIまでの後進距離Lx1とすることができる。第2段階の目標走行距離Ldは、方向転換位置PIから排出位置PDまでの前進距離Lx2とすることができる。このように、本実施形態では、2種類の目標走行距離Ldが用いられる。
[0058]
 目標走行距離Ldの他にも、例えば、駆動輪の回転数又は変速装置の出力軸若しくは入力軸の回転数等の目標値が用いられてもよい。目標上昇量に相当する値としては、図1及び図2に示すブームシリンダ9の目標とする変位(目標変位)Hdが用いられる。目標変位Hdは、掘削後にホイールローダー1が掘削位置PSから排出位置PDまでの移動を開始してからブーム3が上昇する際の目標となる上昇量に対応したブームシリンダ9の変位である。目標変位Hdの他にも、ブーム角度αの目標値等が用いられてもよい。第1比率は、Ld/Hdとなる。
[0059]
 目標走行距離Ldは、ダンプアプローチモードの段階毎に定められなくてもよい。例えば、図4に示す掘削位置PSから方向転換位置PIまでの後進距離Lx1と、方向転換位置PIから排出位置PDまでの前進距離Lx2との合計の平均的な値を目標走行距離Ldとしてもよい。
[0060]
 本実施形態において、実走行距離に対応する値としては、実走行距離La自体が用いられる。実走行距離Laは、ホイールローダー1が掘削後に掘削位置PSから排出位置PDまでの移動を開始してから実際に走行した距離である。実走行距離Laの他にも、例えば、駆動輪の回転数又は変速装置の出力軸若しくは入力軸の回転数等が用いられてもよい。実上昇量に相当する値としては、図1及び図2に示すブームシリンダ9の変位(実変位)Haが用いられる。実変位Haは、掘削後にホイールローダー1が掘削位置PSから排出位置PDまでの移動を開始してから実際にブーム3が上昇した量に対応したブームシリンダ9の変位である。実変位Haの他にも、実際のブーム角度αs等が用いられてもよい。第2比率は、La/Haとなる。
[0061]
 目標走行距離Ldは、掘削対象Mとダンプトラック100との位置関係から、それぞれの現場毎に定められて、図2に示す設定ダイヤル53によって設定されてもよい。目標走行距離Ldは、例えば、図2に示す制御装置40の記憶部42に記憶される。
[0062]
 目標変位Hdは、ダンプアプローチモード開始時における実際のブーム角度αsと、目標のブーム角度αtとから求められる。例えば、目標変位Hdは、αt-αsで求めることができる。前述したように、本実施形態において、目標走行距離Ldは、ダンプアプローチモードの第1段階と第2段階とのそれぞれに対して定められる。これに対応して、例えば、第1段階における目標変位Hdは、掘削位置PSにおける実際のブーム角度αsと、方向転換位置PIにおける目標のブーム角度αt1とから求められ、第2段階における目標変位Hdは、方向転換位置PIにおける実際のブーム角度αsと、排出位置PDにおける目標のブーム角度αt2とから求められる。それぞれの段階における目標のブーム角度αt1、αt2は、任意に定められる。
[0063]
 実走行距離Laは、例えば、ホイールローダー1の車速が積分されることにより求められる。この場合、図2に示す制御装置40は、車速センサ50に検出された車速Vを時間で積分することにより、実走行距離Laを求める。ホイールローダー1がGPS(Global Positioning System)を利用した測位システムを備える場合、制御装置40は、その測位結果から実走行距離Laを求めてもよい。
[0064]
 実変位Haは、例えば、ブーム角度αから幾何学的に算出される。制御装置40は、図2及び図3に示すブーム角度検出センサ46が検出したブーム角度αを取得し、幾何学的に実変位Haを求める。また、ブーム角度αと、図1及び図2に示すブームシリンダ9の変位との関係を予め求めてテーブルを作成し、制御装置40は、このテーブルにブーム角度検出センサ46が検出したブーム角度αを与えて、対応するブームシリンダ9の変位を取得することにより、実変位Haを求めてもよい。
[0065]
 本実施形態において、ダンプアプローチモードが開始されると、制御装置40は、第1比率Ld/Hdと、第2比率La/Haとを求める。そして、制御装置40は、第1比率Ld/Hdと、第2比率La/Haとの差が0になるように、クラッチ62の係合状態をフィードバック制御することにより、エンジン60からホイールローダー1の駆動輪に伝達される伝達トルクを制御(フィードバック制御)する。
[0066]
 例えば、第2比率La/Haが第1比率Ld/Hd以上である場合、ホイールローダー1の車速が相対的に速いことになる。この場合、制御装置40は、伝達トルクを現時点よりも小さくして車速を低下させることにより、第1比率Ld/Hdと第2比率La/Haとの差を0に近づける。このために、制御装置40は、クラッチ圧の指令値(以下、適宜クラッチ圧指令値という)Pdを現時点よりも小さくすることにより、クラッチ圧を現時点よりも低下させて、クラッチ62が伝達するトルクを現時点よりも低下させる。このようにして、制御装置40は、伝達トルクを現時点よりも小さくする。結果として、ホイールローダー1が図4に示す排出位置PDに到達したとき、ブーム3は、掘削物SRの排出に適した高さになる。
[0067]
 また、第2比率La/Haが第1比率Ld/Hdよりも小さい場合、ホイールローダー1の車速が相対的に遅いことになる。この場合、制御装置40は、伝達トルクを現時点よりも大きくして車速を増加させることにより、第1比率Ld/Hdと第2比率La/Haとの差を0に近づける。このために、制御装置40は、クラッチ圧指令値Pdを現時点よりも大きくすることにより、クラッチ圧を現時点よりも上昇させて、クラッチ62が伝達するトルクを現時点よりも増加させる。このようにして、制御装置40は、伝達トルクを現時点よりも大きくする。結果として、ホイールローダー1が図4に示す排出位置PDに到達したとき、ブーム3は、掘削物SRの排出に適した高さになる。
[0068]
 ダンプアプローチモードにおいて、ホイールローダー1のオペレーターは、例えば、図2に示す入力装置45Sを操作してダンプアプローチモードに切り替える。その上で、オペレーターは、ブーム操作レバー30を最大のブーム角度αmaxとなる位置まで操作し、かつ図2に示すセレクターレバー18Lを後進に設定した上でアクセルを踏み込む。この操作により、制御装置40がブーム3の上昇に応じてホイールローダー1の車速を制御する。制御装置40は、図4に示す方向転換位置PIで後進中のホイールローダー1を停止させる。オペレーターは、更新中のホイールローダー1が停止したら、アクセルを踏み込んだままセレクターレバー18Lを前進に切り替える。制御装置40は、ブーム3を上昇させながらホイールローダー1を走行させる。オペレーターは、アクセルを踏み込んだまま、図2に示す排出位置PDにホイールローダー1が向かうようにハンドルを操作する。ホイールローダー1が排出位置PDに到達すると、制御装置40はブーム3の上昇を停止させるとともに、クラッチ62を開放して伝達トルクを0にする。このとき、ホイールローダー1のブーム3は、掘削物SRの排出に適した高さになる。オペレーターは、必要に応じてホイールローダー1のブレーキを作動させてホイールローダー1を停止させてから、バケット4内の掘削物SRを排出させる。
[0069]
 このように、ダンプアプローチモードの実行中におけるオペレーターの操作は、ハンドルの操作を除けば、実質的にアクセルを踏み込むのみになる。その結果、オペレーターは、簡単な操作でダンプアプローチを実現できるので、オペレーターの負荷が軽減される。また、ダンプアプローチモードは、迅速にダンプアプローチを完了させたり、ダンプアプローチのやり直しを低減したりすることができるので、作業効率が向上する。
[0070]
 ダンプアプローチモードにおいては、無駄なブレーキ操作が回避されるので、ホイールローダー1が備えるブレーキ及びトルクコンバータ63等の負荷が低減される。その結果、これらの耐久性低下が抑制される。また、熟練度の低いオペレーターは、ダンプアプローチモードを選択することにより、簡単な操作で同様のダンプアプローチを実現できる。習熟度の高いオペレーターは、ダンプアプローチモードを選択しなくても円滑にダンプアプローチを実行できるが、長時間にわたる作業においては、疲労及び集中力の低下等によって徐々に作業効率が低下する可能性がある。ダンプアプローチモードによれば、オペレーターの負荷が低減されるので、長時間にわたる作業において、疲労低減及び集中力低下の抑制といった作用により、作業効率の低下が抑制される。このように、ダンプアプローチモードは、オペレーターの技量によらず、オペレーターの負担低減及び作業効率の向上という利点がある。
[0071]
<フィードフォワード制御の追加>
 図6は、フィードバック制御に加え、フィードフォワード制御を行う際の制御ブロックの一例を示す図である。本実施形態において、制御装置40は、伝達トルクをフィードバック制御するが、これに加えて、伝達トルクのフィードフォワード制御を追加してもよい。このようにすると、伝達トルクの制御の応答性を向上させる。その結果、応答遅れによる伝達トルクのハンチングが抑制される。
[0072]
 図6に示すように、制御装置40は、第1比率Ld/Hdを生成し、減算器52aに入力する。減算器52aには、ホイールローダー1が実際に走行した距離及びブームシリンダ9が実際に変位した大きさに基づいて得られた第2比率La/Haが入力される。減算器52aは、第1比率Ld/Hdと第2比率La/Haとの差をPID制御部52bに与える。PID制御部52bは、第1比率Ld/Hdと第2比率La/Haとの差が0になるような制御信号を生成して加算器52cに出力する。加算器52cには、PID制御部52bからの制御信号及び実伝達トルク比Taが入力される。
[0073]
 実伝達トルク比Taは、Ttc/Tcmaxであり、トルクコンバータ63の入力側と出力側とのトルク比を表す。Ttcは、図6に示すトルクコンバータ63が吸収したトルク(吸収トルク)であり、図5に示す、入力側の回転速度Ntiと出力側の回転速度Nteとから求めることができる。Tcmaxは、図6に示すクラッチ62が伝達できる最大のトルクであり、本実施形態では、クラッチ62を係合させるために与えられる作動油の圧力(クラッチ圧)が最大のときのトルクである。Tcmaxは、クラッチ62の仕様等によって予め決定されている。
[0074]
 加算器52cは、PID制御部52bからの制御信号と実伝達トルク比Taとを加算した値を出力する。この値は、リミッター52dにより異常値が取り除かれた後、クラッチ圧指令値Pdとして出力される。本実施形態において、クラッチ圧指令値Pdは、クラッチ圧の指令値である。クラッチ圧指令値Pdが入力されたクラッチ62は、クラッチ圧がクラッチ圧指令値Pdとなるように動作する。このように、制御装置40は、実伝達トルク比Taを用いて伝達トルクをフィードフォワード制御し、かつフィードバック制御によって第1比率Ld/Hdと第2比率La/Haとの差が0になるような伝達トルクに制御する。すなわち、駆動輪に実際に伝達されているトルクを基準として、第1比率Ld/Hdと第2比率La/Haとの差が0になるように伝達トルクがフィードバック制御されるので、応答遅れによる伝達トルクのハンチングを抑制できる。
[0075]
<クラッチ62の係合状態に応じたエンジン60のトルクの制御>
 図7は、クラッチ62の係合状態に応じてエンジン60のトルクを制御する際の制御ブロックの一例を示す図である。図8は、エンジン60のトルクの減少量を説明するための概念図である。本実施形態において、制御装置40は、図2等に示すクラッチ62の係合状態に応じて、エンジン60が発生するトルクを調整してもよい。この場合、例えば、制御装置40は、クラッチ圧指令値Pdの大きさに基づいて、エンジン60が発生するトルクを調整する。
[0076]
 制御装置40は、エンジン60が発生するトルクの低減量(第1トルク低減量)Tesを生成して、エンジン制御装置51に出力する。第1トルク低減量Tesは、例えば、ホイールローダー1の駆動輪がスリップしたときに、スリップを抑制するためにエンジン60のトルクを低減するときの低減量である。この場合、駆動輪にスリップが発生しないと、第1トルク低減量Tes=0になる。また、制御装置40は、クラッチ圧指令値Pdを生成して、エンジントルク低減部52eに出力する。エンジントルク低減部52eは、クラッチ62の係合状態に基づくトルクの低減量(第2トルク低減量)Trを求める。本実施形態において、第2トルク低減量Trは、例えば、Trmax×(1-Pd)で求められる。Trmaxは、第2トルク低減量Trの最大値であり、任意の値に設定される。第2トルク低減量Trは、例えば、図8に示すように、クラッチ圧指令値Pdの増加とともに小さくなる。Pd=0のとき、クラッチ62は開放された状態であり、Pd=1のとき、クラッチ62は完全に係合された状態である。
[0077]
 エンジン制御装置51の加算器51Aには、制御装置40から第1トルク低減量Tesと第2トルク低減量Trとが与えられて、加算される。加算器51Aの演算結果は、減算器51Bに出力される。エンジン制御装置51は、アクセル開度ACとエンジン60の回転速度Neとに基づき、エンジン60に発生させるトルクTgを決定する。トルクTgは、減算器51Bに入力される。減算器51Bは、トルクTgから、加算器51Aの演算結果を減算する。すなわち、減算器51Bの演算結果は、Tg-(Tes+Tr)となる。減算器51Bの演算結果が、最終的にエンジン60に発生させるトルクの指令値Teである。エンジン制御装置51は、トルクの指令値Teに対応するトルクをエンジン60に発生させるために必要な燃料の量を演算し、エンジン60が備える燃料供給装置に、演算後の燃料の量を供給させる。
[0078]
 このような制御により、制御装置40は、クラッチ62の係合状態に応じてエンジン60のトルクを調整することができる。クラッチ62の係合状態は、クラッチ圧指令値Pdが大きくなるにしたがってクラッチ62がより多くのトルクを伝達できるように変化する。図8に示すように、本実施形態において、クラッチ圧指令値Pdが小さくなるにしたがって第2トルク低減量Trは大きくなり、クラッチ圧指令値Pdが大きくなるにしたがって第2トルク低減量Trは小さくなる。
[0079]
 制御装置40は、ダンプアプローチモードを実行中においてクラッチ62に与えるクラッチ圧のクラッチ圧指令値Pdを相対的に小さくすると、第2トルク低減量Trは相対的に大きくなる。すると、制御装置40は、エンジン60が発生するトルクが相対的に小さくなるように第2トルク低減量Trを生成するので、エンジン60が発生するトルクは低下する。その結果、エンジン60の回転速度Neが無駄に上昇することを抑制できるので、燃料消費の増加を抑制できる。制御装置40は、ダンプアプローチモードを実行中においてクラッチ62に与えるクラッチ圧指令値Pdを相対的に大きくすると、第2トルク低減量Trは相対的に小さくなる。すると、制御装置40は、エンジン60が発生するトルクが相対的に大きくなるように第2トルク低減量Trを生成するので、エンジン60が発生するトルクは上昇する。結果としてホイールローダー1の車速が上昇する。
[0080]
 ダンプアプローチモードにおいて、制御装置40が、クラッチ62の係合状態に応じて、エンジン60が発生するトルクを調整することにより、これを実行しなかった場合と比較して、燃料消費量は3%低減した。このように、ダンプアプローチモードの実行中に、クラッチ62の係合状態に応じたエンジン60のトルク制御が実行されると、ホイールローダー1の燃費を改善することに有効である。
[0081]
 ダンプアプローチモードにおいて、クラッチ62の係合状態が調整される代わりにホイールローダー1のブレーキが用いられる場合、制御装置40は、第2トルク低減量Trは求めない。この場合、制御装置40は、第1トルク低減量Tesによってエンジン60が発生するトルクを低減させる。
[0082]
<設定ダイヤル53>
 次に、図2に示す設定ダイヤル53について説明する。本実施形態において、設定ダイヤル53は、ダンプアプローチモードにおける目標値となる第1比率Ld/Hdを変更できる。第1比率Ld/Hdは、目標走行距離Ldと目標変位Hdとの比であるが、設定ダイヤル53は、両者のうち少なくとも一方を変更することにより、第1比率Ld/Hdを変更できる。設定ダイヤル53は、第1比率Ld/Hd自体を変更できるようになっていてもよいし、目標走行距離Ldと目標変位Hdとを個別に変更することにより第1比率Ld/Hdを変更できるようになっていてもよい。第1比率Ld/Hdが変更できるようになっていることで、ホイールローダー1のオペレーターは、自身の好み又は作業現場の状況に合わせてダンプアプローチモードの動作を調整できるので、好ましい。
[0083]
 以上、本実施形態を説明したが、前述した内容により本実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。

符号の説明

[0084]
1 ホイールローダー
2 車体
3 ブーム
4 バケット
5 作業機
6F 前輪
6R 後輪
9 ブームシリンダ
13 ブーム操作弁
18L セレクターレバー
40 制御装置
41 処理部
42 記憶部
43 入力部
44 出力部
45 入出力装置
46 ブーム角度検出センサ
48 ブームシリンダ圧力センサ
49 TM制御装置
50 車速センサ
51 エンジン制御装置
52e エンジントルク低減部
52b PID制御部
53 設定ダイヤル
60 エンジン
62 クラッチ
63 トルクコンバータ
64 変速装置
100 ダンプトラック
Ha 実変位
Hd 目標変位
La 実走行距離
Ld 目標走行距離
La/Ha 第1比率
Ld/Hd 第2比率
Pd クラッチ圧指令値
SR 掘削物
Ta 実伝達トルク比
Tr 第2トルク低減量

請求の範囲

[請求項1]
 車体と、
 前記車体を走行させるための動力を発生する動力発生装置と、
 前記動力発生装置の発生した動力により前記車体を走行させる駆動輪と、
 前記車体に支持されて回動し、かつ前記車体側とは反対側にバケットを支持するブームと、
 前記ブームを回動させるアクチュエータと、
 前記車体が前記バケットによる掘削後に掘削物を排出する位置まで走行する際の目標となる目標走行距離に対応する値と、移動が開始された後に前記ブームが上昇する際の目標となる目標上昇量に対応する値との比である第1比率と、
 前記車体が前記バケットによる掘削後に掘削物を排出する位置までの移動を開始してから実際に走行した距離に対応する値と、前記移動が開始された後に前記ブームが実際に上昇した量に対応する値との比である第2比率との差が0になるように、前記動力発生装置から前記駆動輪に伝達される伝達トルクを制御する制御装置と、
 を含む、作業車両。
[請求項2]
 前記動力発生装置と前記駆動輪との間にクラッチを有し、
 前記制御装置は、前記クラッチの係合状態を調整することにより前記伝達トルクを制御する、請求項1に記載の作業車両。
[請求項3]
 前記クラッチと前記駆動輪との間に、前記クラッチからの動力を前記駆動輪に伝達するトルクコンバータを有し、
 前記制御装置は、
 前記トルクコンバータが吸収したトルクと、前記クラッチが伝達できる最大のトルクとの比を用いて、前記伝達トルクをフィードフォワード制御する、請求項2に記載の作業車両。
[請求項4]
 前記制御装置は、
 前記クラッチの係合状態に応じて、前記動力発生装置が発生するトルクを制御する、請求項2又は請求項3に記載の作業車両。
[請求項5]
 前記目標走行距離及び前記目標上昇量の少なくとも一方を変更する目標値変更部を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の作業車両。
[請求項6]
 車体と、
 前記車体を走行させるための動力を発生する動力発生装置と、
 前記動力発生装置の発生した動力により前記車体を走行させる駆動輪と、
 前記動力発生装置と前記駆動輪との間に設けられたクラッチと、
 前記クラッチと前記駆動輪との間に設けられたトルクコンバータと、
 前記車体に支持されて回動し、かつ前記車体側とは反対側に支バケットを支持するブームと、
 前記ブームを回動させる油圧シリンダと、
 前記車体が前記バケットによる掘削後に掘削物を排出する位置まで走行する際の目標となる目標走行距離に対応する値と、移動が開始された後に前記ブームが上昇する際の目標となる目標上昇量に対応する値との比である第1比率と、
 前記車体が前記バケットによる掘削後に掘削物を排出する位置までの移動を開始してから実際に走行した距離に対応する値と、前記移動が開始された後に前記ブームが実際に上昇した量に対応する値との比である第2比率との差が0になるように、前記クラッチの係合状態をフィードバック制御し、かつ前記トルクコンバータが吸収したトルクと、前記クラッチが伝達できる最大のトルクとの比を用いて前記クラッチの係合状態をフィードフォワード制御する制御装置と、
 を含む、作業車両。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]