Processing

Please wait...

Settings

Settings

Goto Application

1. WO2020137014 - CHATTERING DETECTION METHOD FOR COLD ROLLING MILL, CHATTERING DETECTION DEVICE FOR COLD ROLLING MILL, COLD ROLLING METHOD, AND COLD ROLLING MILL

Document

明 細 書

発明の名称 冷間圧延機のチャタリング検出方法、冷間圧延機のチャタリング検出装置、冷間圧延方法、及び冷間圧延機

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0008   0009  

課題を解決するための手段

0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

図面の簡単な説明

0019  

発明を実施するための形態

0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039  

実施例

0040   0041   0042   0043  

産業上の利用可能性

0044  

符号の説明

0045  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8  

明 細 書

発明の名称 : 冷間圧延機のチャタリング検出方法、冷間圧延機のチャタリング検出装置、冷間圧延方法、及び冷間圧延機

技術分野

[0001]
 本発明は、冷間圧延機のチャタリング検出方法、冷間圧延機のチャタリング検出装置、冷間圧延方法、及び冷間圧延機に関する。

背景技術

[0002]
 近年、薄板鉄鋼製品に対しては高強度化及び薄物化が求められ、圧延設備に求められる技術レベルはますます高くなっている。特に、冷間圧延機の異常振動であるチャタリングと呼ばれる現象は、圧延対象材が硬質及び薄物であるほど発生しやすいため、高品質製品の冷間圧延工程において品質面及び生産能率面で大きな課題となっている。
[0003]
 チャタリングの原因は様々であるが、特に第3オクターブチャタリングと呼ばれるチャタリングは一般の冷間圧延機、特にタンデム式の冷間圧延機において発生が多く報告されている。本チャタリングは、100~200Hz程度の周波数で発生することが多く、ワークロールの上下方向の逆位相振動を伴うものである。一般に、チャタリングは高速圧延時に発生し、その振動は急激に進展し、轟音を伴う場合も多い。
[0004]
 チャタリングが一度発生すると大きな板厚変動が引き起こされるため、圧延対象材のチャタリング発生部分は製品としては不適合となり、歩留まりの悪化を招く。さらに、チャタリングの振動強度が大きい場合には高速圧延時に板破断を引き起こす可能性もある。このため、チャタリングの発生が懸念される状況では、操業オペレータが、チャタリングの発生速度域を避けて、つまり圧延速度を減速して操業を行っており、冷間圧延機の処理能力がチャタリングにより律速されることにもなっている。
[0005]
 本来、動的連続圧延理論によれば、一般的な張力制限制御(張力変動がある範囲を超えたときのみ張力制御を行い、張力値を制限値範囲内に入れる制御)が行われている状態では、外乱が発生した圧延スタンドの後方張力が板厚変動を抑制する方向に変化して、板厚変動を自動的に減少させる自己安定化作用が存在する。しかしながら、ある圧延条件下では圧延ロール系の縦方向の固有振動が自励的に発生し、最終的に発散に至ることがチャタリングの原因であるという研究結果が多数ある。つまりチャタリング現象は、本来は板厚変動を抑制するような自己安定化作用が働いている中、自励的な振動が発生し、自己安定化作用によって収束し、再度発生し、ということを繰り返すうち、完全に不安定状態に推移し、振動が発散する現象であると考えることができる。
[0006]
 チャタリングを抑制する方法としては、特許文献1や特許文献2に記載の方法のように、ワークロールと圧延対象材との間の摩擦係数を検出し、チャタリングが発生しない適正な範囲内に摩擦係数を制御する方法が知られている。これらの文献には、摩擦係数を制御する方法として、潤滑油(圧延油)の供給条件を変更する方法が記載されている。さらに、特許文献3に記載の方法のように、ミルハウジングに設置された振動計によって測定された振動を周波数解析することによりチャタリングを検出する方法も提案されている。これらの方法は、チャタリングが発生していること自体を検出して不良部が後工程以降に流出することを防ぐ、又は、チャタリングが発生しないように直ちに操業条件を変更して不良部を最小限にとどめるということに対しては有効である。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特開2013-99757号公報
特許文献2 : 特開2001-137915号公報
特許文献3 : 特開2015-9261号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008]
 しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の方法では、チャタリングの発生危険領域を摩擦係数や先進率といった指標で明確に判別できない場合があり、また母板や潤滑状態の急激な変化には圧延油の供給方法を変更する方法では対応できないという問題がある。また、特許文献3に記載の方法も、上述したような急激に発展するチャタリングの予兆を捉えることができるわけではなく、破断といった大きなトラブルの発生を未然に防ぐことができるわけではない。
[0009]
 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、チャタリングの予兆振動を検出してチャタリングによるトラブルを未然に防ぐことが可能な冷間圧延機のチャタリング検出方法、冷間圧延機のチャタリング検出装置、冷間圧延方法、及び冷間圧延機を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010]
 本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出方法は、冷間圧延機の振動を測定する測定ステップと、前記測定ステップにおいて測定された振動の時間波形に対して、周期的な振動が収束せずに継続する時間と同等以下の所定周期で周波数解析を実行することにより、振動強度の時間波形を算出する算出ステップと、前記算出ステップにおいて算出された振動強度の時間波形に含まれる振動強度が所定の閾値より大きい点の数に基づいて、冷間圧延機のチャタリングの予兆振動を検出する予兆振動判定ステップと、を含むことを特徴とする。
[0011]
 本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出方法は、上記発明において、前記周波数解析を実行する周期が0.5秒以下であることを特徴とする。
[0012]
 本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出方法は、上記発明において、前記予兆振動判定ステップにおいて冷間圧延機のチャタリングの予兆振動が検出された場合、前記冷間圧延機の圧延速度を減速させるステップを含むことを特徴とする。
[0013]
 本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出装置は、冷間圧延機の振動を測定する振動測定部と、前記振動測定部によって測定された振動の時間波形に対して、周期的な振動が収束せずに継続する時間と同等以下の所定周期で周波数解析を実行することにより、振動強度の時間波形を算出し、算出された振動強度の時間波形に含まれる振動強度が所定の閾値より大きい点の数に基づいて、冷間圧延機のチャタリングの予兆振動を検出する予兆振動判定部と、を備えることを特徴とする。
[0014]
 本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出装置は、上記発明において、前記予兆振動判定部は、0.5秒以下の周期で周波数解析を実行することを特徴とする。
[0015]
 本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出装置は、上記発明において、前記予兆振動判定部は、冷間圧延機のチャタリングの予兆振動が検出された場合、前記冷間圧延機の圧延速度を減速させることを特徴とする。
[0016]
 本発明に係る冷間圧延方法は、本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出方法を用いて冷間圧延を行うステップを含むことを特徴とする。
[0017]
 本発明に係る冷間圧延機は、本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出装置を備えることを特徴とする。

発明の効果

[0018]
 本発明に係る冷間圧延機のチャタリング検出方法、冷間圧延機のチャタリング検出装置、冷間圧延方法、及び冷間圧延機によれば、チャタリングの予兆振動を検出してチャタリングによるトラブルを未然に防ぐことができる。

図面の簡単な説明

[0019]
[図1] 図1は、加速度計によって測定された振動速度の時間波形の一例を示す図である。
[図2] 図2は、図1に示す振動速度の時間波形に対してFFT解析を施した結果を示す図である。
[図3] 図3は、図2に示すFFT強度値を時間軸を横軸に取りプロットした図である。
[図4] 図4は、異なる周期でのFFT解析により得られたFFT強度値を時間軸を横軸に取りプロットした図である。
[図5] 図5は、本発明の一実施形態であるチャタリング検出装置の構成を示すブロック図である。
[図6] 図6は、本発明の一実施形態であるチャタリング予兆検出処理の流れを示すフローチャートである。
[図7] 図7は、加速度計により測定された振動速度の時間波形を示す図とFFT強度の最大値を横軸に時間を取りプロットした図である。
[図8] 図8は、加速度計により測定された振動速度の時間波形を示す図とFFT強度の最大値を横軸に時間を取りプロットした図である。

発明を実施するための形態

[0020]
 本発明の発明者らは、冷間圧延機のチャタリングについて鋭意検討した結果、轟音を伴うほど大きな強度の振動が発生する前に微小な振動が発生していること、そしてその微小な振動が発生と収束を繰り返すうちに徐々に強度を増すことによって最終的に振動が発散してチャタリングが発生するという知見を得た。そこで、本発明の発明者らは、この微小な振動をチャタリングの予兆振動として検出することにより、チャタリングによるトラブルを未然に防ぐという技術思想を想到するに至った。
[0021]
 本発明では、加速度計を利用して冷間圧延機のハウジングの振動を測定する。振動の測定場所は、冷間圧延機のハウジングの側面であれば加速度計を設置しやすい場所で問題ない。但し、圧延ミルの構造やチャタリングの形態に合わせて最も振動強度が高くなる部分の振動を測定することが望ましい。一般的には、チャタリング発生時は垂直方向の振動が主体となり、質量の小さなワークロールが最も大きく振動する。このため、ハウジングポストのワークロール高さ位置に加速度計を設置することにより、微小な振動の検出精度を向上させることができる。
[0022]
 しかしながら、チャタリングは垂直方向の振動と水平方向(圧延方向)の振動とが連成して発生しているという報告もあり、個々の場合に合った振動測定を行うことが望ましい。また、加速度計の測定方向も、一般的には垂直方向の測定を行えばよいが、検出強度が大きいのであればその限りではない。さらに、板厚変動が生じるようなチャタリングの発生時には、圧延荷重や圧延スタンド前後の鋼板張力の変動を伴う場合が多い。加速度計による直接的な振動測定だけではなく、圧延荷重や圧延スタンド間の張力変動を測定することでも、チャタリングの予兆振動を捉えるという所望の効果が得られる場合がある。
[0023]
 図1は、加速度計によって測定された振動速度の時間波形の一例を示す図である。図1に示す例では、サンプリング周波数を1500Hzとして振動速度を測定した。図1(a)に示すように、本例では、高速圧延時に周波数約120Hz付近で轟音を伴うチャタリングが発生しているが(経過時間t=t3以後)、図1(b)に示すように、チャタリングの発生が認識される(=轟音が発生した)数秒前の段階から周波数120Hz程度の微小な振動が発生している。但し、この微小な振動は継続するわけではなく、発生と収束とを繰り返しながら徐々に強度を増していき、最終的に強度の大きなチャタリングに至っている。
[0024]
 図1に示す振動速度の時間波形に対してデータ点数256点毎(=0.17秒毎)に周波数解析手法の一つであるFFT(高速フーリエ変換)解析を施した結果を図2(a)~(c)に示す。図2(a)~(c)はそれぞれ、図1(a)に示した経過時間t=t1(=28.7秒),t2(=29.1秒),t3(=29.5秒)の時点におけるFFT解析結果を横軸及び縦軸をそれぞれ周波数及びFFT強度として表したものである。図2(a)~(c)に示すように、本例によれば、周波数120Hz付近でFFT強度が高まった直後(図2(a))、その振動が低減し(図2(b))、さらにその直後に振動が大きく発散する(図2(c))という、チャタリング発生直前の振動挙動を確認することができる。なお、図2(a)~(c)中、ΔFは振動挙動の判定範囲を示している。
[0025]
 さらに、図2(a)~(c)の各時刻におけるFFT解析結果のうち、チャタリングが発生している周波数帯である110~120Hz帯において最大となったFFT強度値を、時間軸を横軸に取りプロットしたものを図3に示す。図3には振動の有無を判定する閾値も明記しているが、図1(a),(b)に示した時間波形の通り、チャタリングの予兆振動の発生と収束を閾値によって判断できることがわかる。
[0026]
 一方、図4には、データ点数1024点毎(=0.68秒毎)にFFT解析を行った結果から、図3に示した例と同様に110~120Hz帯において最大となったFFT強度値をチャートにした結果を示す。図4に示す例では、チャタリングの予兆振動の有無を判断できていない。これは、チャタリングの予兆振動が発生と収束を繰り返すため、その周期よりも長い0.68秒という周期でのFFT解析ではその強度が平均化されてしまい、FFT強度に明確な変化が現れないためである。
[0027]
 以上のことから、チャタリングの予兆振動が収束せずに継続する時間と同等以下の周期でFFT解析等の周波数解析を行うことにより、チャタリングの予兆振動の発生を捉えられることが明らかになった。なお、チャタリングの予兆振動が収束せずに継続する時間は0.5秒よりも短いことがほとんどであるため、周波数解析を実行する周期は0.5秒以下の周期とすることが望ましい。但し、周波数解析の周期を上げるためには、振動値のサンプリング点数を上げなければならず、また、高速での解析が求められるため、処理装置の能力が必要となる。このため、処理装置の負荷の適正範囲により、周波数解析の周期の上限が決められることになる。
[0028]
 図3に示したような周波数解析結果が得られれば、規定点数中に何点閾値を超えた点があるかという判断を行うことにより、チャタリングの予兆振動の有無を判定することができる。図3に示した例では、例えば過去10点中2点閾値超えの点があれば、異常が発生していると判定することができる。このような判定処理を行う理由は、例えば特許文献3に記載の方法のように、単純に閾値を超えた点があるかどうかを判定するだけでは、ノイズを拾った際に異常状態を過検出する可能性が高いためである。高速圧延時の破断のような大きなトラブルに繋がるチャタリングの予兆を過検出してしまった場合、トラブルを警戒して不必要な減速につながる恐れがあるために、このような判定処理を行う必要性が高い。
[0029]
 上述した判定処理を行うことにより、大きな振動強度のチャタリングが発生する予兆を、過検出することなく判定することができる。なお、規定点数中に何点閾値を超えた点があるかという判定基準の設定については、実機で計測されているデータに基づいて予兆振動の継続時間や周波数解析の周期を踏まえて決定すればよい。また、上述した方法で異常を検出した際、何らかの方法で操業条件を変更しなければ振動発散による大きなチャタリングが発生することが考えられる。このため、異常を検出した際には、検出装置から圧延機を制御するPLC(Programmable Logic Controller)へ信号を出力し、圧延速度を自動で減速することにより、より確実に強度の高いチャタリングの発生を未然に防ぐことが可能となる。
[0030]
 以下、上記概念に基づき想到された本発明の一実施形態であるチャタリング検出装置の構成及び動作について説明する。
[0031]
 図5は、本発明の一実施形態であるチャタリング検出装置の構成を示すブロック図である。図5に示すように、本発明の一実施形態である冷間圧延機のチャタリング検出装置1は、冷間圧延機のチャタリングを検出するための装置であり、振動測定部2及び予兆振動判定部3を備えている。
[0032]
 振動測定部2は、加速度計によって構成されている。振動測定部2は、冷間圧延機の振動を測定し、測定された振動を示す電気信号を予兆振動判定部3に出力する。
[0033]
 予兆振動判定部3は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。予兆振動判定部3は、情報処理装置内部のCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置がコンピュータプログラムを実行することによって機能する。予兆振動判定部3の機能については後述する。
[0034]
 このような構成を有する冷間圧延機のチャタリング検出装置1は、以下に示すチャタリング予兆検出処理を実行することにより、チャタリングの予兆振動を検出してチャタリングによるトラブルを未然に防ぐことを可能にする。以下、図6を参照して、チャタリング予兆検出処理を実行する際の冷間圧延機のチャタリング検出装置1の動作について説明する。
[0035]
 図6は、本発明の一実施形態であるチャタリング予兆検出処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、冷間圧延機に圧延対象材が通板されたタイミングで開始となり、チャタリング予兆検出処理はステップS1の処理に進む。チャタリング予兆検出処理は所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
[0036]
 ステップS1の処理では、振動測定部2が、所定の測定時間範囲内における冷間圧延機の振動を測定し、測定された振動を示す電気信号を予兆振動判定部3に出力する。これにより、ステップS1の処理は完了し、チャタリング予兆検出処理はステップS2の処理に進む。
[0037]
 ステップS2の処理では、予兆振動判定部3が、振動測定部2から出力された電気信号を用いて、冷間圧延機の振動の時間波形に対して周期的な振動が収束せずに継続する時間と同等以下の所定の周期で周波数解析を実行することにより、振動強度の時間波形を算出する。これにより、ステップS2の処理は完了し、チャタリング予兆検出処理はステップS3の処理に進む。
[0038]
 ステップS3の処理では、予兆振動判定部3が、ステップS2の処理において算出された振動強度の時間波形について、振動強度が所定の閾値よりも大きい点が所定数以上あるか否か判別する。判別の結果、振動強度が所定の閾値よりも大きい点が所定数以上ある場合(ステップS3:Yes)、予兆振動判定部3は、チャタリング予兆検出処理をステップS4の処理に進める。一方、振動強度が所定の閾値よりも大きい点が所定数以上ない場合には(ステップS3:No)、予兆振動判定部3は、一連のチャタリング予兆検出処理を終了する。
[0039]
 ステップS4の処理では、予兆振動判定部3が、チャタリングの予兆振動が発生したと判定し、冷間圧延機を制御するPLCに対して圧延速度の減速を指示する制御信号を出力する。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連のチャタリング予兆検出処理は終了する。
実施例
[0040]
 本実施例では、4重式圧延機を全5スタンド備えたタンデム圧延機にて冷延鋼板(板幅1200mm、仕上厚0.3mm)を700mpmで冷間圧延し、チャタリングの振動解析を行った。具体的には、上述した振動測定の方法のうち、ミルハウジングポストに設置した加速度計によって垂直方向の振動測定を行い、測定された振動データを解析装置へアナログ入力し、A/D変換後、周波数解析を行った。測定サンプリングピッチは3000Hzとし、周波数解析は0.17秒毎に実施した。また、異常判定基準は過去5点中2点以上設定閾値を超えた点があれば、チャタリングの予兆振動があると判定するように設定した。
[0041]
 図7(a)に、加速度計により測定された振動速度の時間波形を示す。本例では、圧延速度700mpmで圧延している際、約110Hzの周波数でチャタリングが発生している。次に、測定された振動速度の時間波形に対してFFT解析を実行し、100~120Hz帯でのFFT強度の最大値を横軸に時間を取りプロットしたものを図7(b)に示す。なお、図7(b)にはチャタリングの予兆振動があると判定されたタイミングを合わせて明示している。本実施例では、実験のためチャタリングの予兆振動があると判定されても減速等の対応は取らず操業を継続したが、予兆ありと初めて判定された約3.5秒後に大きな轟音と共に強度の高いチャタリングが発生し、その後板破断に至った。つまり、予兆振動が検出されたタイミングで減速対応を取っていれば、破断を未然に防ぐことが出来ていた実例であると言える。
[0042]
 なお、図8(a),(b)には上記に示したものと同じ鋼種、同じ寸法の圧延対象材について、圧延速度700mpmで圧延した別チャンスの実績を示している。図8(a),(b)に示すように、本チャンスではチャタリングは発生することなく圧延を終えているが、多少のノイズはあるものの、チャタリングの予兆があると異常判定されるタイミングはなく、過検出することなく精度よく予兆振動を捉えることができているといえる。
[0043]
 以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。

産業上の利用可能性

[0044]
 本発明によれば、チャタリングの予兆振動を検出してチャタリングによるトラブルを未然に防ぐことが可能な冷間圧延機のチャタリング検出方法、冷間圧延機のチャタリング検出装置、冷間圧延方法、及び冷間圧延機を提供することができる。

符号の説明

[0045]
 1 冷間圧延機のチャタリング検出装置
 2 振動測定部
 3 予兆振動判定部

請求の範囲

[請求項1]
 冷間圧延機の振動を測定する測定ステップと、
 前記測定ステップにおいて測定された振動の時間波形に対して、周期的な振動が収束せずに継続する時間と同等以下の所定周期で周波数解析を実行することにより、振動強度の時間波形を算出する算出ステップと、
 前記算出ステップにおいて算出された振動強度の時間波形に含まれる振動強度が所定の閾値より大きい点の数に基づいて、冷間圧延機のチャタリングの予兆振動を検出する予兆振動判定ステップと、
 を含むことを特徴とする冷間圧延機のチャタリング検出方法。
[請求項2]
 前記周波数解析を実行する周期が0.5秒以下であることを特徴とする請求項1に記載の冷間圧延機のチャタリング検出方法。
[請求項3]
 前記予兆振動判定ステップにおいて冷間圧延機のチャタリングの予兆振動が検出された場合、前記冷間圧延機の圧延速度を減速させるステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷間圧延機のチャタリング検出方法。
[請求項4]
 冷間圧延機の振動を測定する振動測定部と、
 前記振動測定部によって測定された振動の時間波形に対して、周期的な振動が収束せずに継続する時間と同等以下の所定周期で周波数解析を実行することにより、振動強度の時間波形を算出し、算出された振動強度の時間波形に含まれる振動強度が所定の閾値より大きい点の数に基づいて、冷間圧延機のチャタリングの予兆振動を検出する予兆振動判定部と、
 を備えることを特徴とする冷間圧延機のチャタリング検出装置。
[請求項5]
 前記予兆振動判定部は、0.5秒以下の周期で周波数解析を実行することを特徴とする請求項4に記載の冷間圧延機のチャタリング検出装置。
[請求項6]
 前記予兆振動判定部は、冷間圧延機のチャタリングの予兆振動が検出された場合、前記冷間圧延機の圧延速度を減速させることを特徴とする請求項4又は5に記載の冷間圧延機のチャタリング検出装置。
[請求項7]
 請求項1~3のうち、いずれか1項に記載の冷間圧延機のチャタリング検出方法を用いて冷間圧延を行うステップを含むことを特徴とする冷間圧延方法。
[請求項8]
 請求項4~6のうち、いずれか1項に記載の冷間圧延機のチャタリング検出装置を備えることを特徴とする冷間圧延機。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]