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1. JP1997508212 - 非調和誘導融合によるエネルギー発生の方法及びエネルギー発生器

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[ JA ]
【発明の詳細な説明】
非調和誘導融合によるエネルギー発生の方法及びエネルギー発生器
発明の分野
本発明は、核融合によるエネルギー生産に関し、より具体的には、結晶格子上に吸着された水素同位体の非調和誘導融合によってエネルギーを発生させる方法に関するものである。
加えて、本発明は、前記の方法を実施するエネルギー発生器に関するものである。
従来技術の説明
エネルギー調達の問題で、企業や研究所では、新たなエネルギー源の研究にますます拍車がかけられてきている。そうしたエネルギー源のなかでも、特に興味があるのは核融合である。
この目的のため、核融合の研究の間に、ある出願人は次のような装置を実現した。すなわち、“重水素含有物質の結晶格子の振動を励起することによって達せられるエネルギー産生の過程をスタートアップし、かつ制御する装置”である。この装置は、イタリア特許出願第SI/92/A/000002号に記載されている。
前記装置の基礎となっている方法には、単一金属か、または重水素含有可能な金属成分の合金か、いずれかから成る金属材料により構成された電極、それも精密な結晶構造、例えば等軸構造を有する電極を用意するステップが含まれている。この電極を用意するステップは、まず、電極を脱ガスして、その結晶構造を清浄化する作業を含んでいる。次に、一定量の重水素(D)を所定の温度および圧力で電極の結晶構造内へ導入する。次いで、金属原子に対する重水素原子の数比(D/Me)が0.7の閾値を超えると、連続する格子平面をプッシュープル(push−pull)振動に陥れる妨害が加えられる結果として、結晶格子に吸着されている重水素原子間に融合反応D+Dが惹起される。融合により発生する熱エネルギーを除去するためのシステムが備えられている。
しかし、前述の装置と方法は、実地に使用する場合、かなりの障害が生じる。とりわけ、重水素の使用は、装置を工業的に用いる場合には、高額の費用を要する。更に、反応のスタートアップのステップは、ほとんど制御不能または反復不能である。実際には、多くの場合、得られるエネルギー量は、D+D反応に起因するエネルギー値に基づき予想される値とは異なっており、準備とスタートアップの初期条件が等しくとも、一定にはならない。
発明の要約
これに対し、本発明の目的は、次ぎのようなエネルギー生産方法を得ることにある。すなわち、金属に吸着された水素同位元素の融合が可能で、かつまた工業規模で安価に再生産でき、容易に起動と停止が可能な生産方法である。
更に、本発明の別の目的は、前記方法を実施するエネルギー発生器を得ることにある。
これらの目的およびその他の目的が、本発明により達成されるが、そのエネルギー生産方法の特徴は、次のステップを有する点である:
−水素同位体HおよびDを金属製のコアに装荷し、コアの結晶格子に吸着させるステップ、
−水素同位体を装荷された前記コアを加熱し、コアを構成する材料のデバイ定温に相当する温度閾値より高い温度に高める加熱ステップ、
−振動応力を発生させることで、前記水素同位体の核融合反応を励起させる、前記コアのスタートアップ・ステップ、
−定常(変動しない)振動のコヒーレント(干渉性)多モードシステムを継続することで、コア内に生じるH+D核融合反応によって発生する熱の交換が可能な定常ステップ。
更に、融合反応を停止する必要がある場合、反応を中止するステップも備えられている。この停止は、前記定常振動のコヒーレント多モードシステムを解消する別の振動応力を発生させることで達成できる。
前記加熱ステップで、かならず超ねばならない温度閾値は、デバイ定温であろ。利用可能の多くの金属のデバイ定温は表1に示してある。反応成功の確率を高めるためには、活性コアを形成する物質の種類に応じて、前記温度閾値を少なくとも数度から数10度の値ΔTだけ超える必要がある。デバイ定温は、h/K*V erに等しいので、どんな場合でも、分析的に計算できる。この場合、hはプランク定数、Kはボルツマン定数、V erは各物質の通常の振動数である(詳しくは、チャールズ・キッテル著“Introduction to Solid State Physics”ニューヨーク、ジョン・ウィリー&サンズ刊を参照)。
前記コアに吸着される水素の種類は、好ましくは、天然水素、言い換えると、約1/6000のD/H同位体比率をもつ水素である。しかし、重水素を減損されたもしくは重水素で濃縮した天然水素でも、反応を生じさせることができる。その場合のD/H同位体比率は、どんな場合でも、1/80000以上とし、好ましくは1/10000〜1/1000とする。
本発明によるエネルギー発生器の新規な特徴は、次の部材を有するリアクターを備えていることである:
−可能なら重水素で濃縮した天然水素が吸着された活性コア、
−前記活性コアを有する発生室、
−熱キャリヤ流体を加熱する前室、
−前記熱キャリヤ流体を捕集するドーム、
−発生室を通って前室から捕集ドームへ熱キャリヤ流体を流す複数の管。
図面の簡単な説明
本発明による方法および発生器のこのほかの特徴と利点は、以下で若干の可能な実施例を、添付図面につき説明することによって明らかとなるであろう。これらの実施例は、しかし、本発明を限定するものではない。
第1図は、本発明による発生器の第1実施例の縦断面図である。
第2図は、本発明による発生器の第2実施例の縦断面図である。
表1は、複数の金属および合金のデバイ定温を示した表である。
好適実施例の説明
第1図に示した本発明による発生器は、銅製の管セット5が縦断している発生室2を有している。この管セット5は、支持シェル11に溶接された2個のフランジ10の間に延びている。支持シェル11は、発生室2を外側に対して仕切っている。管セット5は、フランジ10を貫通し、前室3と連通している。前室3は、入口3b付きの円筒形シェル13によって仕切られた環状ジャケット3aを有している。更に、管セット5は、捕集ドーム4と連通しており、捕集ドーム4は、フランジ付きノズル14を介して、図示されていない熱交換器および循環ポンプと連通している。
発生室2は、一方の側が捕集ドーム4を、他方の側が前室3を縦断している軸方向ダクト6を介して、図示されていないガスタンクおよびエアポンプと接続されている。この接続は、シェル13の外部に配置された公知の種類の接続部材を用いて行う。ダクト6は、水素または他のガスを発生室2内へ供給するのに適するようにされている。
管セット5上には、数ミリメータ厚の金属製活性コア1が電気めっきされている。支持シェル11の周囲には、電気コイル9が、例えばセラミック製マトリックス9a内に埋込まれて、巻付けられている。
入口3bからはいり、管セット5を通る流体は、ジャケット3a内で予熱され、水素同位元素の非調和融合反応の間にコア1内に発生する熱を除去する。融合反応のスタートアップについては後述する。
第2図に示した本発明による発生器の別の実施例は、円筒形バーの形状の活性コア1を有し、この円筒形バーが、電気巻線9を埋込んだ加熱円筒体20内の発生室2に挿入されている。
支持シェル11と円筒形シェル13とによって形成されたジャケット15によって、熱キャリア流体の通路が形成される。熱キャリア流体は、入口22から入り、軸方向に支持シェル11の周囲を包んだ後、出口23から流出する。発生室2内の気体は、公知接続部材により、図示されていないガスタンクおよびエアポンプと連通している室24を介して制御される。コア1は、電極25と接触しており、この電極によって、水素同位体の非調和融合反応を生起させる圧電式のインパルスが、コア1へ伝送される。この融合反応について、次に述べる。
第1図と第2図の双方の発生器の場合、巻線9は多機能を有している。なぜなら、コアによる水素吸着に要する磁界を発生させるほかに、熱キャリア流体の室を加熱する機能や、例えば、磁気ひずみ効果をもつ電気インパルスによる反応のスタートアップ機能をも有しているからである。
図示の第1の実施例の場合のコア1(第1図)は、金属層、例えばニッケルとクロムとを交互に重ねた多層金属層であり、他方、第2の実施例の場合(第2図)は円筒形の金属バー、例えばニッケル- クロム鋼製のバーである。コア1は、できる限り、ひびや疵のない均質の表面を有しているのが好ましい。コア1の結晶格子には、公知技術によって、約1/6000のD/H同位体比率をもつ天然水素を吸着しておく。水素Hに対する重水素Dのパーセンージは、前記の値より大きい値でもよいが、1/1000より大であれば、現在の重水素価格では、反応を利用する経済的な利点が失われ、また後述するように、通常の停止操作で反応を中止させることが難しくなる。
1) 装荷ステップ
結晶格子に化学的に吸着されるように活性コア内に水素を装荷する公知技術のなかには、次ぎのものがある:
−電解吸着
−所定の温度及び圧力下での、水素を含有する気体環境内へのコアの浸漬
−HCl、HNO 3、H 2SO 4の溶液へのコアの浸漬
−例えばNH 3を有する直流浴へのコアの浸漬。この場合、コアを構成する金属は、Cu又はセラミック等の材料製の支持体上に析出されている。
材料のなかには、飽和磁界より大きい強度、概して0.1テスラより大きい強度の磁界を与える必要があるものがある。前記2つの発生器の実施例の場合、磁界は巻線9によって形成される。
発生室内の水素の絶対圧力は、好ましくは1〜1000mbarの値に維持せねばならず、どんな場合でも、4bar以下でなければならない。4barを超えると、極端な高圧(>50bar)でなければ、吸着は行われない。
コアの金属に水素同位元素を化学的に吸着させることにより、H 2とD 2の分子が解離され、コアの結晶格子内に、金属をともなうH・D原子間の共有結合(水素化物)が生ぜしめられる。水素原子間の静電反発作用は、金属の自由電子により生ぜしめられる負の電荷を過剰にすることで、遮蔽される。したがって、これら共有結合による静電斥(反発)力の低減によって、共有結合原子が、等しい条件下で自由原子に通常可能であるよりも近くに相互接近できる。
既述の比率で金属に吸着されたH及びDの同位体の蛸集度が十分に高い値の場合、例えば、金属原子に対する水素同位体の数比が0.3を超える場合には、しかし、強い網状(reticular)振動が発生し、2つの系Me+HとD+Meとを相互接近させることがあり、その結果、H、D原子の間隔が、核力が働く間隔以下になる。
2) 加熱ステップ
本発明によれば、融合反応のスタートアップが成功するのは、活性コア1の温度が、コア構成材料のデバイ定温を超えた値の時のみである。各金属のデバイ温度は表1に示してある。事実、前記温度でのみ、水素が吸着される結晶格子非調和振動の数が、調和振動の数より高い値となり、振動波ベクトルが相互加算(add up)される確率が増大する。しかしながら、反応を成功裏に起動するためには、コアを構成する金属に応じて数度から数10度だけ、デバイ定温を上回る温度にする必要があり、そうすることによって、非調和振動の“占有率”(Population)が、調和振動のそれを十分に超えることができる。
この加熱ステップは、公知のシステム、例えば、熱電加熱、可燃物の酸化その他の発熱(exoenergetic)化学反応、多原子分子内への鉄の再結合、レーザ・インパルス、高温の流体内への浸漬のいずれを用いても実施できる。
3) スタートアップ・ステップ
水素が吸着されるコア箇所、言い換えると、コア外表面近くで、結晶格子のプッシュ- プル振動により、2つの水素同位元素、すなわち水素Hと重水素Dとを互いに、臨界間隔より近くに接近させることができる。既述のように、臨界間隔では核力が働く。
本発明により、前記の条件で、そしてそれらの条件でのみ、既述の局所的な核反応を生励させ、これにより、活性コア内に応力が加わり、多数の振動波ベクトルのコヒーレント(干渉性)加算が可能になり、したがって、水素同位体が吸着される結晶格子を十分に励起させることのできる局所的な莫大な振動インパルスが得られる。活性コア表面の膨張による局所的な体積変動は、コアの不活性部分で測定した変動の20倍も大きい。
各H+D融合は、 3Heを産生し、5.5MeVを解放し、反応が生起した箇所の周囲の区域を完全に気化するのに十分なエネルギーを発生する。この場合、完全なH+D反応は、H+D= 3He+5.5MeVのγとなる。しかし、この場合、γ光子又は他の粒子は、コアから放出されない。なぜなら、水素- 金属の共有結合の持続は、約10 -15〜10 -16秒であるのに対し、核の相互作用時間は、約10 -18〜10 -21秒だからである。したがって、核融合から放出されるエネルギーは、粒子又はγ光子の放出なしで結晶格子を介して散逸できる。(マックス・ボルン著“Atomic Physics”、ブラッキー&サン編、グラスゴウ;A.F.ダビドフ著“Teoria del nucleo atomico”、ザニチェリ編、ボローニャ;G.K.ヴェールトハイム著“メスバウアー効果”参照のこと)。
更に詳しく言えば、デバイ定温を超えた後、H+D反応が生起する確率は、原子間の変位の非調和期間(terms)が重要となるときに、大となる。このことは、各材料の特徴的な温度が、デバイ定温より十分に高いときにのみ、生じる。これらの条件の下で、外部からの作用により十分に強力な刺激を生じさせる結果として、結晶格子を横切る多量の振動エネルギーが、無秩序に振動するのではなく、続いて生じる、活性コアの表面に対して接線方向での振動波ベクトルの加算や、結果として生じる特定箇所(loci)での増幅エネルギー・ピークと、干渉性の相互作用をおこなう。コアの活性部分上を移動する振動波列は、局所的な融合を生起させるほかに、その活性部分の内側に定常(変化しない)振動の干渉性多モード・システムを形成し、これによって、エントロピーの負の変化が生じ、その結果として、熱放出が生じ、この熱放出を、本発明によるエネルギー発生器は利用することができる。
続いて、定常振動波は、H+D反応によって生じるポンプ効果によって自己保持され続ける。実際には、結晶格子の形状は、前記箇所(loci)で変位する個々のH+D融合によって生じる局所的な気化により変化するので、振動波ベクトルは、前の箇所の近くの、結晶格子のまだ変化していない別の箇所で、再び加算され、更にH+D反応を生起させる。融合の反復によって、コアの表面は、まだ変化していない結晶格子の区域によって隔てられた事実上等間隔の複数空洞を有するようになり、活性コアの質量は、連続する局所的な気化の結果、次第に小さくなる。
定常(変化しない)振動波の維持に更に重要な寄与をするのは、特に、可変電磁界が存在する場合の、電子と結晶格子との相互作用である。事実、フェルミ状態から他の状態へのあらゆる移行には、所与の振動数と振動波ベクトルの粒子の放出が伴う(チャールズ・キッテル著“Introduction to Solid State Physics”参照)。
スタートアップ・ステップは、立ち上り時間が10 -1以下である限り、種々の公知の種類のインパルスによって実現できる。
活性コアが、純金属、純金属と別の元素もしくは物質との化合物、スチール、ステンレススチール、合金、単層もしくは多層の金属系のいずれかから成る場合には、スタートアップ・ステップは、次の方法のうちの一つで実施できる。
−圧力勾配による熱応力法: 多原子気体、例えばH 2、D 2、HD、HT、C 24、NH 3、N 2、O 2等を、発生室に、物理的吸着の負(negative)のエンタルピー差及び1mbar〜4barの対応圧力勾配で、導入する。既知のように、導入された気体は、活性コアの表面上に熱応力を生じさせる。これは、気体分子の一時的解離と、更には突発的な熱エネルギー反応とに起因する。この反応は、再び分子を形成し、コア自体の表面による触媒作用を受ける。この熱応力によって、反応の振動波列が形成され、既述のように、H+D核融合によるエネルギー産生過程が急速にスタートアップされる。第1図の実施例は、まさにこの種のスタートアップ用に設計されたものである。この場合、多原子気体は、第1図に示されたダクト6から送入される。反応の間、コア1の全長にわたって配置された巻線9を電流が流れることによって、0.2〜1.5テスラの定磁界が形成される。
−機械的インパルスによる方法: 捩り、けん引、圧縮いずれかの機械的インパルスが、融合過程を喚起する構造的な変形を生じさせるのに十分な強さで、例えば10 -1秒の立ち上り時間、コア端部に加えられる。
−電気的なひずみによる方法: コア端部に、適当なピーク値と立ち上り時間で、例えば1000アンペアで30ナノセカンドの間、電流インパルスを与えて、融合過程を喚起する構造的変形を生じさせる。第2図の実施例は、この種のスタートアップ用に設計されたものである。この場合、交流電圧インパルスが電極25により得られ、電極25は、活性コア1に接続され、ケーブル8により給電される。
−光電子工学的方法: 高い力価の、例えば1MWのレーザビーム・インパルスをコア上に刻み込み、衝撃波と熱応力を生じさせ、それによって、融合過程を喚起する突発的な構造変形を生じさせる。
−高周波法: 水素同位体のスピン周波数、または結晶格子の自由電子のプラズマ周波数に相応する周波数を有する活性コアに高周波を加える。
−超音波振動法: 活性コアを共鳴空洞内に入れ、融合反応を喚起するのに十分な強さと持続時間(例えば10 -1秒)で超音波振動を、活性コアに加える。
活性コアを形成する材料の種類が、ピエゾ圧電効果の対象となる結晶体である場合は、スタートアップ・ステップは、逆圧電効果による方法を用いて起動できる。この方法は、融合反応を喚起する構造変形が生じるのに十分なピーク値(例えば5kV以上)で、金属コアの端部に対し、コアの機械的共鳴周波数に等しい周波数を有する交流電圧インパルスを加える、というものである。第2図の実施例は、この種のスタートアップ用にも適する設計となっている。その場合、交流電圧インパルスは、コア1に接続された電極25により発生せしめられ、ケーブル8を介して送られる。
最後に、活性コアを形成する材料が、強磁性の材料の場合は、スタートアップ・ステップは、磁気ひずみ法によって起動できる。この方法は、金属コアに沿って、磁気飽和の強度を超えるピーク値と10 -1秒以下の立ち上り時間をもつ磁界を形成するというものである。この種のスタートアップは、第1図、第2図いずれの発生器の場合にも、巻線9を介して電磁インパルスを与えることによって実施できる。
4) 熱交換ステップ
スタートアップに続いて、反応は定常状態で維持される。その場合、第1図の発生室または第2図のジャケット15ないを延びる管セット5内を循環する熱キャリア流体によって熱交換が行われる。熱の除去は、活性コアの温度がデバイ定温以下に降下するようなレベルまで行ってはならない。そのレベルまで温度を降下させると、反応が徐々に停止されることになる。
得られる熱力に関しては、活性コアの寸法と形態が、重要な役割を演じる。活性コアは、ロッド、薄片、別個の又はもつれ合わされた複数ワイヤ、自由粉末又は結合剤を用いた、もしくは用いない圧縮粉末、等々の形態にすることができる。例えば、第1図の発生室2内の場合、管セット5上に金属を析出するのではなく、発生室内の種々の箇所に複数バーを配置してもよい。あるいはまた、発生室2に金属粉末を充填してもよい。
言うまでもなく、反応が行われるコア1の温度は、十分に遷移温度以下に維持されねばならない。これを超えると、結晶格子が、その結晶特性を失い、ガラス状の状態同様のアモルファス状態になるからである。この状態は、各金属の熔融温度以下の温度の場合に発生する。前記条件下では、実際に、コアは、振動に対して、結晶状態の場合とまったく異なる反応を示す。なぜなら、振動波ベクトルが加算される優先方向が消失し、既述の融合反応の可能性がまったくなくなるからである。
コアが維持せねばならない定常的に機能する温度が、特定の臨界温度に近付かないようにする必要がある。これらの臨界温度は、各金属について知られており、かつまた実験的に得られた吸着図表で確認できる。それらの温度では、水素が、格子から漸次排除されてしまう。
5) 停止ステップ
融合反応は、定常振動のコヒーレント多モード・システムを停止することで中止できる。システムの停止は、エントロピーを確実に局所生成させることによって、システムを解消する別の振動応力を発生させるだけでよい。
このことは、たとえば、発生室を強制的に真空に引き(絶対圧を0.1mbar以下とする)、解離(dissociation)の正ΔHを有する気体、例えばH 2のジェットを導入することで、可能となる。活性表面と衝突するため、分子は解離し、格子のエネルギーは急激に除去され、その結果、負の熱応力が発生する。この突発的温度降下により、活性箇所が解消され、水素同位体間の核反応が停止される。
あるいはまた、発生室内の気体圧を変化させないままでも、熱交換により活性コアの温度を、デバイ定温以下に降下させれば、十分である。この熱交換は、例えば、発生室を縦断して入る管セット内を循環する流体をデバイ定温より十分に下降させることで可能になる。
本発明の方法を、更に具体的に説明するために、一定量の天然水素を吸着させた結晶格子を有する金属製活性コアに対して、既述の各ステップを適用した実例を、以下に挙げる。
例1
等方性結晶により形成され、等数のニッケル原子とクロム原子とを交互に有する金属材料(Clunil)製の直径5mm、長さ90mmのバーに、天然水素(D/H=1/6000)を吸着させた。そのさい、発生器にH 2を500mbarの圧力、220℃の温度で導入し、同時に、コア自体の周囲の巻線9により選られる1テスラの磁界にバーを浸漬させる方法を用いた。使用した発生器は、第1図に示した発生器であり、管セット5には、金属層を被覆してはいない。
バーを入れた室は、次いで徐々にデバイ定温より20°高い温度に高めた。クラニル(Clunil)の場合は、192℃である。
スタートアップは、熱電式に行い(巻線9を流れる電流インパルスにより生じる熱インパルスを利用)、コアは、常時、前記磁界内に置かれ、500mbarの圧力で天然水素に浸漬した。詳言すれば、スタートアップは、1000Aの強度のインパルスと30ナノセコンドの立ち上り時間によって達成された。
反応過程の間、58日にわたり、1日当たり1.29MJの平均正味総熱量が除去された。その後、一時的に真空(0.1mbar)に引かれた後、H 2の導入により、反応を停止した。
反応の停止の過渡の間、放射性同位体が検出されたが、これは、γ光子のエネルギー(5.5MeV)によって加速されるH、D、 3Heの核が、隣接核へ衝突したことに起因すると思われる。γ光子は、最後のH+D反応によって生成され、次の反応のために格子に与えられなくなったものである。
例2
直径3mm、長さ200mmのニッケル製のバーに、天然水素(D/H=1/6000)を吸着させた。方法は、臨界温度198°Cの気体環境内に浸漬し、同時に、コア周囲の巻線9により得られる1テスラの磁界を加える方法を用いた。発生器は第2図に示したものを使用した。
バーを入れた室は、次いで、デバイ定温より20°高い温度に高めた。ニッケルのデバイ定温は167°Cである。
スタートアップには、電気ひずみ法、言い換えると、コアに対し、圧電式のインパルス伝える電極を作用させた。詳言すると、スタートアップは、最低10kVのインパルスと0.1秒の立ち上り時間によって、達成された。
反応の間、31日間、1日当たり4.74MJの平均正味総熱量を除去した。その後で、徐々に運転を休止させ、反応を停止した。
例3
400°Cで焼きもどされ内部応力を除去されたAISI 316鋼製の長さ90mm、直径5mmのバーに、天然水素(D/H=約1/6000)を吸着させた。使用した方法は、酸溶液に浸漬し、次いで600mbarの絶対圧力の気体環境に浸漬し、かつコア周囲の巻線9を介して1テスラの磁界をかける方法である。
バーを入れた室を、次いで、デバイ定温を超える温度に高め、正確に314°Cにした。
スタートアップは、熱電法と、気体再結合による熱応力法との双方によって行った。
反応の間、34日間、1日当たり2.64MJの平均正味総熱量が除去された。そのあと、臨界温度以下に冷却し、徐々に運転を中止し、反応を停止した。
例4
第1図に示した発生器と類似の発生器を用いた。この発生器では、銅製の管セットが発生室を縦断し、各管上には2mm厚の純ニッケル層が電気めっきされている。このニッケルに天然水素(D/H=約1/6000)を吸着させた。方法は、600mbarの絶対圧力で気体環境に浸漬し、同時に、コア周囲の巻線を介して得られる1テスラの磁界をかけ、セラミック・マトリックス内へ埋め込む方法をもちいた。
管のストリップを収容した室は、デバイ定温より57°高い210°Cの温度に高めた。
スタートアップは、磁気ひずみ法、言い換えると、巻線9を介してコアに電磁インパルスを加える方法で実現した。詳言すると、スタートアップは、0.8テスラのインパルスと、0.1秒の立ち上り時間で達せられた。
反応の間、管のストリップを流れる熱キャリア流体により、6日間にわたり、1日当たり4.9MJの平均正味総熱量が熱交換された。その後、臨界温度以下に冷却し、徐々に運転を中止し、反応を停止した。
以上に説明したこのエネルギー発生の方法及びこの方法を実施する発生器が、放射性その他の危険な粒子を放出することなく、制限温度での核融合によって熱の形態でエネルギーを長期にわたって産生できるとすれば、工業分野への適用が可能であることは明らかであろう。活性コアに用いる材料も、発生器の台架に用いる材料も安価であり、したがって経済的な利用が可能である。
活性コアが高いデバイ定温を有する材料、例えば珪素(640°K)で形成される場合、熱交換が行われる温度は、既述の例の場合より高温である。したがって、発生器を流過する熱キャリア流体から得られるエネルギーを、例えばタービン羽根の駆動その他類似の用途に、直接に利用することも可能である。
核融合反応の生成物である 3Heの産生は、さらに、この気体の現在の高価格を考えれば、工業的にも利用可能である。