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1. (WO2019065887) SURFACE-TREATED FLUORESCENT SUBSTANCE, PRODUCTION METHOD THEREFOR, AND LIGHT-EMITTING DEVICE
Document

明 細 書

発明の名称 表面処理蛍光体及びその製造方法、並びに発光装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

非特許文献

0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014  

発明の効果

0015  

図面の簡単な説明

0016  

発明を実施するための形態

0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032  

実施例

0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047  

産業上の利用可能性

0048  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11  

図面

1   2  

明 細 書

発明の名称 : 表面処理蛍光体及びその製造方法、並びに発光装置

技術分野

[0001]
 本発明は、表面処理蛍光体及びその製造方法、並びに発光装置に関する。

背景技術

[0002]
 近年、白色光源として、発光ダイオード(Light emitting diode:LED)と蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオード(白色LED)がディスプレイのバックライト光源及び照明装置などに適用されている。その中でも、InGaN系青色LEDを励起源とした白色LEDが幅広く普及している。
[0003]
 この白色LEDに用いられる蛍光体には、青色LEDの発光で効率良く励起され、可視光の蛍光を発光することが要求される。
 白色LED用の蛍光体としては、青色光で効率良く励起され、ブロードな黄色発光を示すCe付活イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体が代表例として挙げられる。YAG蛍光体を単独で青色LEDと組み合わせることにより、疑似白色が得られると共に、幅広い可視光領域の発光を得ることができる。このような理由から、YAG蛍光体を含む白色LEDは、照明及びバックライト光源に使用されている。
 しかしながら、YAG蛍光体を含む白色LEDは、赤色成分が少ないために、照明用途では演色性が低く、バックライト用途では色再現範囲が狭いという問題がある。
[0004]
 そこで、演色性及び色再現性を改善することを目的として、青色LEDで励起可能な赤色蛍光体と、Eu付活βサイアロンやオルソシリケートなどの緑色蛍光体とを組み合わせた白色LEDも開発されている。
 このような白色LED用の赤色蛍光体としては、蛍光変換効率が高く、高温での輝度低下が少なく、化学的安定性に優れることから、Eu 2+を発光中心とした窒化物又は酸窒化物蛍光体が多く用いられている。その代表的なものとしては、化学式Sr 2Si 58:Eu 2+、CaAlSiN 3:Eu 2+、(Ca,Sr)AlSiN 3:Eu 2+で示される蛍光体が挙げられる。
 しかしながら、Eu 2+を用いた蛍光体の発光スペクトルはブロードであり、視感度が低い発光成分も多く含まれるために、蛍光変換効率が高い割には白色LEDの輝度がYAG蛍光体を単独で使用した場合に比べて大きく低下してしまう。また、特にディスプレイ用途に用いる蛍光体は、カラーフィルターとの組み合わせの相性も要求されるため、ブロードな(シャープでない)発光スペクトルを有する蛍光体の使用は望ましくない。
[0005]
 シャープな発光スペクトルを有する赤色蛍光体の発光中心としては、Eu 3+及びMn 4+が知られている。その中でも、K 2SiF 6のようなフッ化物結晶にMn 4+を固溶させて付活することで得られるフッ化物蛍光体(赤色蛍光体)は、青色光で効率良く励起され、半値幅の狭いシャープな発光スペクトルを有するため、白色LEDの輝度を低下させることなく、優れた演色性及び色再現性が実現できる。それ故、近年、K 2SiF 6:Mn 4+蛍光体を白色LEDに適用する検討が盛んに行われている(例えば、非特許文献1)。
[0006]
 他方、特許文献1には、K 2SiF 6:Mn 4+蛍光体を表面処理剤で処理することによって当該蛍光体の耐湿性が向上することが開示されている。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献1 : 特許第6090590号公報

非特許文献

[0008]
非特許文献1 : A.G.Paulusz、Journal of The Electrochemical Society、1973年、第120巻、第7号、p.942-947

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 液晶ディスプレイのバックライト、照明などの発光装置では、発光特性の改善が常に求められており、そのために各部材の特性(特に、輝度)の向上が要求されている。
 また、より輝度の高い発光装置を作製するために、昨今、LEDチップに高電流が印加されるようになっており、蛍光体に対して今まで以上に高い信頼性も要求されている。
 しかしながら、特許文献1に開示された表面処理方法は、蛍光体の耐湿性を改善することができるものの、発光装置の信頼性については改善効果が十分とは言えない。
[0010]
 本発明は、前記のような問題を解決するためになされたものであり、輝度及び信頼性に優れた発光装置を与える表面処理蛍光体及びその製造方法を提供することを目的とする。
 また、本発明は、輝度及び信頼性に優れた発光装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0011]
 本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定の蛍光体を特定のアルコキシシランで表面処理することにより、輝度及び信頼性に優れた発光装置を与える表面処理蛍光体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0012]
 すなわち、本発明は、組成が下記式(1)で表される蛍光体を、下記式(2)で表されるアルコキシシランにて表面処理する工程を含む表面処理蛍光体の製造方法である。
 K 2MF 6:Mn 4+ ・・・ (1)
(式中、元素MはSi、Ge、Ti、Sn、Zr及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
 R 1Si(OR 23 ・・・ (2)
(式中、R 1は炭素数が6~12の置換又は非置換の一価炭化水素基、R 2は非置換の一価炭化水素基である。)
[0013]
 また、本発明は、組成が下記式(1)で表される蛍光体の表面に、下記式(2)で表されるアルコキシシランの表面処理部を有する表面処理蛍光体である。
 K 2MF 6:Mn 4+ ・・・ (1)
(式中、元素MはSi、Ge、Ti、Sn、Zr及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
 R 1Si(OR 23 ・・・ (2)
(式中、R 1は炭素数が6~12の置換又は非置換の一価炭化水素基、R 2は非置換の一価炭化水素基である。)
[0014]
 さらに、本発明は、上記の表面処理蛍光体と、ピーク波長が420nm~480nmの発光光源とを含む発光装置である。

発明の効果

[0015]
 本発明によれば、輝度及び信頼性に優れた発光装置を与える表面処理蛍光体及びその製造方法を提供することができる。
 また、本発明によれば、輝度及び信頼性に優れた発光装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0016]
[図1] 比較例1で得られた蛍光体の励起・蛍光スペクトルである。
[図2] 比較例1で得られた蛍光体のX線回折パターンである。

発明を実施するための形態

[0017]
 本明細書において別段の断りがない限りは、数値範囲を示す場合は、その上限値及び下限値が含まれる。
[0018]
 本発明の表面処理蛍光体の製造方法は、蛍光体をアルコキシシランにて表面処理する工程を含む。
 ここで、本明細書において「表面処理蛍光体」とは、表面処理が行われた蛍光体、具体的には、表面処理部を表面に有する蛍光体のことを意味する。なお、表面処理部は、蛍光体の表面全体を被覆していてもよいし、蛍光体の表面の一部を被覆していてもよい。
[0019]
 本発明に用いられる蛍光体は、下記式(1)で表される。
 K 2MF 6:Mn 4+ ・・・ (1)
 式(1)中、元素MはSi(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、Ti(チタン)、Sn(スズ)、Zr(ジルコニウム)及びHf(ハフニウム)からなる群から選ばれる1種以上の4価の元素である。その中でも、元素Mは、化学的安定性の観点から、好ましくはSiである。
[0020]
 本発明に用いられる蛍光体は、単一種であっても、異なる組成を有する2種以上の蛍光体の混合物であってもよいが、化学的安定性の観点から、元素MがSiである蛍光体(単一種)であることが好ましい。また、2種以上の蛍光体の混合物を用いる場合、元素MがSiである蛍光体を少なくとも含むことが好ましい。具体的には、元素MがSiである蛍光体と、元素MがGe、Ti、Sn、Zr及びHfからなる群から選ばれる蛍光体との混合物であり得る。また、2種以上の蛍光体の混合物である場合、化学的安定性の観点から、混合物に占める元素MがSiである蛍光体の割合が高いことが好ましい。
[0021]
 本発明に用いられる蛍光体の製造方法としては、特に限定されず、従来から知られている方法を用いることができる。例えば、蛍光体の構成元素の全てを溶解した反応液に水溶性の有機溶媒を貧溶媒として導入することにより、蛍光体を析出させる方法などを用いることができる。
[0022]
 本発明に用いられるアルコキシシランは、下記式(2)で表される。
 R 1Si(OR 23 ・・・ (2)
 式(2)中、R 1は炭素数が6~12、好ましくは8~10の置換又は非置換の一価炭化水素基、R 2は非置換の一価炭化水素基である。
[0023]
 R 1の置換又は非置換の一価炭化水素基としては、炭素数が上記範囲内であれば特に限定されず、例えば、アルキル基などの飽和脂肪族基、不飽和脂肪族基などであり得る。また、これらの脂肪族基は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子、アミノ基、その他の基で置換されていてもよい。R 1の炭素数が6未満であると、蛍光体に疎水性を十分に付与することができない。一方、R 1の炭素数が12を超えると、疎水性の効果は十分であるものの、樹脂(特に、白色LEDで汎用されるシリコーン樹脂)との親和性が低下する。その結果、蛍光体と樹脂との間の密着性が低下するため発光装置の輝度が低下すると共に、蛍光体と樹脂との間が剥離し易くなるため発光装置の信頼性が低下する。
[0024]
 R 2の非置換の一価炭化水素基としては、特に限定されず、アルキル基などの飽和脂肪族基などであり得る。また、R 2の非置換の一価炭化水素基は、炭素数が多くなると、アルコキシ基の加水分解・縮合反応が遅くなることがあるため、好ましくはメチル基又はエチル基、より好ましくはメチル基である。
[0025]
 上記式(2)で表されるアルコキシシランの例としては、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、トリエトキシ-1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロ-n-オクチルシラン、トリメトキシ(7-オクテン-1-イル)シランなどが挙げられる。アルコキシシランは、単一種を用いてよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
[0026]
 アルコキシシランを用いた蛍光体の表面処理方法としては、特に限定されず、公知の方法に準じて行うことができる。例えば、蛍光体にアルコキシシランを直接噴霧する方式、剪断力のある攪拌装置を用いて処理する攪拌混合方式、ボールミル、ミキサーなどを用いて処理する乾式法、水又は有機溶媒を用いて処理する湿式法などを用いることができる。なお、攪拌混合方式では、蛍光体の破壊が起こらない程度に剪断力を制御して行うことが肝要である。また、乾式法における系内温度又は処理後の乾燥温度は、表面処理剤の種類に応じ熱分解しない領域で適宜決定されるが、80~150℃で行うことが好ましい。
[0027]
 表面処理におけるアルコキシシランの使用量としては、特に限定されないが、蛍光体の比表面積から計算される必要量の10倍~70倍であることが好ましい。
 ここで、本明細書において「蛍光体の比表面積から計算される必要量」とは、蛍光体の表面全体をアルコキシシラン(表面処理部)で被覆するために最低限必要な量であり、蛍光体の比表面積(m 2/g)から計算によって求めることができる。具体的には、アルコキシシランの必要量は、下記の式で表される。
 アルコキシシランの必要量=蛍光体の質量(g)×蛍光体の比表面積(m 2/g)/アルコキシシランの最小被覆面積(m 2/g)
 また、アルコキシシランの最小被覆面積は、下記の式で表される。
 アルコキシシランの最小被覆面積=6.02×10 23×13×10 -20/アルコキシシランの分子量
[0028]
 蛍光体に対するアルコキシシランの表面修飾は、蛍光体の表面に存在する水酸基との脱水縮合反応が代表例であるが、本発明に用いられる蛍光体は表面に水酸基が少ない。そのため、本発明では、当該反応を十分に行うために、アルコキシシランの使用量を、蛍光体の比表面積から計算される必要量の10倍以上とすることが好ましい。一方、アルコキシシランの使用量が多すぎると、アルコキシシラン中のアルコキシ基同士が無秩序に重合してしまい、表面処理を行わない場合と比べて樹脂との親和性が低下してしまうことがある。その結果、蛍光体と樹脂との間の密着性が低下するため発光装置の輝度が低下すると共に、蛍光体と樹脂との間が剥離し易くなるため発光装置の信頼性が低下する。そのため、アルコキシシランの使用量を、蛍光体の比表面積から計算される必要量の70倍以下とすることが好ましい。
[0029]
 表面処理による蛍光体の質量増加率は、0.03%~1.00%であることが好ましい。表面処理蛍光体の質量増加率が0.03%未満の場合、表面処理による疎水性の向上効果が十分でないことがある。一方、表面処理蛍光体の質量増加率が1.00%を超えると、アルコキシシラン中のアルコキシ基同士が無秩序に重合してしまい、樹脂との親和性が低下してしまうことがある。
 ここで、本明細書において「蛍光体に対する表面処理蛍光体の質量増加率」とは、アルコキシシランで表面処理していない蛍光体(未表面処理蛍光体)に対する表面処理蛍光体の質量増加率を意味する。
[0030]
 上記のようにして表面処理が行われた蛍光体(表面処理蛍光体)は、アルコキシシランの表面処理部を表面に有する。
 この表面処理蛍光体は、特定の蛍光体を特定のアルコキシシランで表面処理することによって製造されているため、輝度及び信頼性に優れた発光装置を与えることができる。
[0031]
 本発明の発光装置は、上記の表面処理蛍光体と、ピーク波長が420nm~480nmの発光光源とを含む。この発光装置は、上記の特性を有する表面処理蛍光体を備えているため、輝度及び信頼性に優れている。また、発光光源のピーク波長を420nm~480nmとすることにより、表面処理蛍光体の発光中心であるMn 4+を効率良く励起することができると共に、発光装置の青色光として利用することができる。
[0032]
 本発明の発光装置は、波長455nmの励起光を受けた際にピーク波長が510nm~550nmの緑色光を発光する蛍光体(以下、「緑色蛍光体」という)を更に含むことができる。この緑色蛍光体は、単一種であってよいが、2種以上としてもよい。このような構成を有する本発明の発光装置は、赤色光を発光する本発明の表面処理蛍光体、青色光を生じる発光装置及び緑色光を発光する緑色蛍光体の組み合わせによって白色光を得ることができると共に、これら3色の混合比を変えることによって様々な色域の発光を得ることができる。特に、緑色蛍光体として、Eu付活βサイアロン蛍光体を用いると、高色域の発光装置が得られるため好ましい。
実施例
[0033]
 以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、下記の実施例に限定されるものではない。
<比較例1>
 常温下で、容量1500mLのフッ素樹脂製ビーカーに、濃度55質量%のフッ化水素酸600mLを入れ、フッ化水素カリウム粉末(和光純薬工業社製、特級試薬)76.50g及び六フッ化マンガン酸カリウム粉末3.30gを順次溶解させることによって水溶液を調製した。この水溶液に、シリカ粉末(デンカ社製、FB-50R、非晶質、平均粒径55μm)20.70gを入れた。シリカ粉末を水溶液に添加すると、溶解熱の発生により水溶液温度が上昇した。溶液温度はシリカ粉末を添加して約3分後に最高温度に到達し、その後はシリカ粉末の溶解が終了したために溶液温度は下降した。なお、シリカ粉末を添加すると直ぐに水溶液中で黄色粉末が生成し始めていることが目視で確認された。
 シリカ粉末が完全に溶解した後、しばらく水溶液を撹拌し、黄色粉末の析出を完了させた。その後、水溶液を静置して固形分を沈殿させた。沈殿確認後、上澄み液を除去し、濃度20質量%のフッ化水素酸及びメタノールを用いて黄色粉末を洗浄し、更にこれを濾過して固形分を分離回収し、更に乾燥処理により、残存メタノールを蒸発除去した。乾燥処理後、目開き75μmのナイロン製篩を用い、この篩を通過した黄色粉末だけを分級して回収し、最終的に59.43gの黄色粉末(蛍光体)を得た。
[0034]
<発光スペクトルの確認>
 比較例1の蛍光体について、分光蛍光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製、F-7000)を用いて励起・蛍光スペクトルを測定した。得られたスペクトルを図1に示す。その結果、比較例1の蛍光体は、455nmの青色光で励起することで、632nmの赤色発光を示すことを確認した。
[0035]
<結晶相測定による黄色粉末の母結晶の確認>
 比較例1の蛍光体について、X線回折装置(リガク社製、商品名Ultima4、CuKα管球使用)を用いてX線回折パターンを測定した。得られたX線回折パターンを図2に示す。その結果、比較例1の蛍光体のX線回折パターンは、K 2SiF 6結晶と同一パターンであったことから、K 2SiF 6:Mnを単相で合成できたことを確認した。
[0036]
 <比表面積測定>
 比較例1の蛍光体について、比表面積測定装置(マイクロメリティックス社製、3Flex)を用いて、Krガス吸着の多点法にて比表面積を測定した。測定試料は、予め200℃で15時間、減圧脱気処理した後に、比表面積の測定を行った。その結果、蛍光体の比表面積は0.21m 2/gであった。
[0037]
<実施例1>
 比較例1の蛍光体40.0gを袋に入れ、デシルトリメトキシシラン(式(2)において、R 1が(CH 29CH 3、R 2がCH 3である;信越化学工業社製)を蛍光体の比表面積から計算される必要量の28倍となるように0.8g更に添加し、袋内で混合した。その後、100℃で8時間乾燥させることにより、39.8gの表面処理蛍光体を得た。
[0038]
<実施例2~3>
 アルコキシシランの種類を変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面処理蛍光体を得た。
 アルコキシシランについては、下記のものを使用した。
 実施例2:ドデシルトリメトキシシラン(式(2)において、R 1が(CH 211CH 3、R 2がCH 3である;東京化成工業社製)。
 実施例3:ヘキシルトリメトキシシラン(式(2)において、R 1が(CH 25CH 3、R 2がCH 3である;信越化学工業社製)
 なお、使用するアルコキシシランの種類が変わると、アルコキシシランの最小被覆面積(m 2/g)も変化するため、その値を考慮してアルコキシシランの使用量も調整した。
[0039]
<実施例4~7>
 アルコキシシランの使用量を表1に示す通りに変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面処理蛍光体を得た。
<比較例2~4>
 アルコキシシランの種類を変更したこと以外は、実施例1と同様にして表面処理蛍光体を得た。
 アルコキシシランについては、下記のものを使用した。
 比較例2:メチルトリメトキシシラン(式(2)において、R 1がCH 3、R 2がCH 3である;信越化学工業社製)。
 比較例3:n-プロピルトリメトキシシラン(式(2)において、R 1が(CH 22CH 3、R 2がCH 3である;信越化学工業社製)
 比較例4:ヘキサデシルトリメトキシシラン(式(2)において、R 1が(CH 215CH 3、R 2がCH 3である;東京化成工業社製)
[0040]
 <表面処理蛍光体の質量増加率の評価>
 比較例1の蛍光体40.0gを100℃で8時間乾燥させることによって得た未表面処理蛍光体に対する各表面処理蛍光体の質量増加率を算出した。具体的には、下記の式に基づいて質量増加率を算出した。
 表面処理蛍光体の質量増加率=(表面処理蛍光体の質量-未表面処理蛍光体の質量)/未表面処理蛍光体の質量×100
 上記の評価結果を表1に示す。
[0041]
[表1]


[0042]
 次に、実施例1~7及び比較例2~4で得られた表面処理蛍光体、並びに比較例1の未表面処理蛍光体を用いて下記の評価を行った。
[0043]
<全光束測定>
 表面処理蛍光体又は蛍光体を、βサイアロン緑色蛍光体(デンカ社製、商品名GR-MW540K;ピーク波長545nm)と共にシリコーン樹脂に添加して脱泡及び混練した。この混練物を、ピーク波長450nmの青色LED素子を接合した表面実装タイプのパッケージにポッティングし、更にそれを熱硬化させることによって白色LEDを作製した。ここで、表面処理蛍光体又は蛍光体とβサイアロン緑色蛍光体との添加量比は、通電発光時に白色LEDの色度座標(x、y)が(0.280、0.270)になるように調整した。
 次に、作製した白色LEDを通電発光させた際の全光束を大塚電子社製の全光束測定装置(直径300mm積分半球と分光光度計/MCPD-9800とを組合せた装置)によって測定した。この測定は、色度xが0.275~0.284、色度yが0.265~0.274の範囲である5個の白色LEDに対して行い、それらの平均値を測定値とした。また、この評価結果は、比較例1の蛍光体を用いて作製した白色LEDの全光束の平均値を100%とした場合の相対評価とした。
[0044]
<信頼性試験>
 全光束測定で作製した5個の白色LEDを、温度85℃、相対湿度85%の恒温恒湿槽(エスペック製、SH-642)内において、400mAで1000時間通電点灯させる試験を行い、点灯初期からの1000時間後の色度xのずれ(Δx)及び全光束の低下率を求めた。この評価についても5個の白色LEDに対して行い、それらの平均値を測定結果とした。
 上記の各測定結果を表2に示す。
[0045]
[表2]


[0046]
 表2に示されるように、実施例1~7の表面処理蛍光体を用いて製造した白色LEDは、比較例1の未表面処理蛍光体及び比較例2~4の表面処理蛍光体を用いて製造した白色LEDに比べて、全光束が高いと共に、色度xのずれ(Δx)及び全光束の低下率が小さかった。
[0047]
 以上の結果からわかるように、本発明によれば、輝度及び信頼性に優れた発光装置を与える表面処理蛍光体及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、輝度及び信頼性に優れた発光装置を提供することができる。

産業上の利用可能性

[0048]
 本発明の表面処理蛍光体は、青色光を光源とする白色LED用の赤色蛍光体として好適に使用できるため、照明器具、画像表示装置などの発光装置に用いるのに適している。

請求の範囲

[請求項1]
 組成が下記式(1)で表される蛍光体を、下記式(2)で表されるアルコキシシランにて表面処理する工程を含む表面処理蛍光体の製造方法。
 K 2MF 6:Mn 4+ ・・・ (1)
(式中、元素MはSi、Ge、Ti、Sn、Zr及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
 R 1Si(OR 23 ・・・ (2)
(式中、R 1は炭素数が6~12の置換又は非置換の一価炭化水素基、R 2は非置換の一価炭化水素基である。)
[請求項2]
 元素MがSiである、請求項1に記載の表面処理蛍光体の製造方法。
[請求項3]
 R 2がメチル基である、請求項1又は2に記載の表面処理蛍光体の製造方法。
[請求項4]
 前記表面処理が、前記蛍光体の比表面積から計算される必要量の10倍~70倍の量のアルコキシシランを用いて行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の表面処理蛍光体の製造方法。
[請求項5]
 前記蛍光体に対する前記表面処理蛍光体の質量増加率が0.03%~1.00%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の表面処理蛍光体の製造方法。
[請求項6]
 組成が下記式(1)で表される蛍光体の表面に、下記式(2)で表されるアルコキシシランの表面処理部を有する表面処理蛍光体。
 K 2MF 6:Mn 4+ ・・・ (1)
(式中、元素MはSi、Ge、Ti、Sn、Zr及びHfからなる群から選ばれる1種以上の元素である。)
 R 1Si(OR 23 ・・・ (2)
(式中、R 1は炭素数が6~12の置換又は非置換の一価炭化水素基、R 2は非置換の一価炭化水素基である。)
[請求項7]
 元素MがSiである、請求項6記載の表面処理蛍光体。
[請求項8]
 R 2がメチル基である、請求項6又は7記載の表面処理蛍光体。
[請求項9]
 請求項6~8のいずれか一項に記載の表面処理蛍光体と、ピーク波長が420nm~480nmの発光光源とを含む発光装置。
[請求項10]
 前記発光装置が、波長455nmの励起光を受けた際にピーク波長が510nm~550nmの緑色光を発光する蛍光体を更に含む、請求項9に記載の発光装置。
[請求項11]
 前記緑色光を発光する蛍光体がEu付活βサイアロン蛍光体である請求項10に記載の発光装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]