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1. (WO2018221711) COMPOUND SEMICONDUCTOR AND METHOD FOR PRODUCING SAME
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明 細 書

発明の名称 化合物半導体及びその製造方法

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008   0009   0010  

先行技術文献

特許文献

0011  

非特許文献

0012  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020  

課題を解決するための手段

0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060  

発明の効果

0061   0062   0063   0064   0065   0066  

図面の簡単な説明

0067  

発明を実施するための形態

0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195  

産業上の利用可能性

0196   0197   0198  

符号の説明

0199  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20  

図面

1   2   3   4   5   6A   6B   7   8   9   10A   10B   11   12   13   14   15   16A   16B   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26   27   28   29   30   31  

明 細 書

発明の名称 : 化合物半導体及びその製造方法

技術分野

[0001]
 本発明は化合物半導体とその製造方法に関する。

背景技術

[0002]
 GaNやInNといった13族窒化物半導体を利用したデバイスが広く実用化されてきている。従来、このような13族窒化物半導体の結晶成長には、MOCVD法やMBE法が用いられている。しかし、MOCVD法では1000℃を超えるプロセス温度が必要となる。MBE法は低温で化合物半導体の成膜することができるが、成膜面積に限度があることや生産コストが高く量産に向いてはいない。
[0003]
 また、MBE法においては、高濃度にドナーを添加すると、結晶構造の伝導帯近傍の禁制帯中に生じた高濃度ドナー準位による吸収が発生する。そのため、成膜した化合物半導体の透明度が低下するという問題がある。このようなことから、化合物半導体の生産、主として窒化物半導体の実用的な生産には、MOCVD法が用いられている(非特許文献1)。
[0004]
 現在、高耐圧で低オン抵抗の特性を合わせ持つ次世代の電子デバイスが求められている。そのためには、2元系、3元系または4元系の化合物半導体、より具体的には、13族窒化物半導体を用いた化合物半導体素子の実現が求められている。そのためには、化合物半導体の結晶のさらなる高品質化と、ドーピング技術の精緻化が求められる。特に、GaN基板上に形成される縦型パワーデバイスにおいては、n型ドリフト層の炭素濃度の低減と、電子移動度の向上が急務である。先行技術として以下の文献をあげることができる。
[0005]
 特許文献1には、銅基板上に金属窒化物からなるバッファ層、半導体層が備えられた半導体素子が開示されている。
[0006]
 特許文献2には、厚みが10~100μmで、焼結されたポリマーを含み、耐熱性を有する可撓性を有するグラファイト基板上に設けられたHfNをバッファ層とし、バッファ層上に設けられたGaNからなる半導体層とを備えた半導体基板の実施例が開示されている。また、特許文献3には、ZnO基板上にIII-V族の化合物半導体をエピタキシャル成長させる製造方法が開示されている。
[0007]
 特許文献4と特許文献5は窒化物半導体に関するものであるが本明細書の段落0167以降において説明を行う。
 そして、特許文献6は、後述するPCT特許出願(本出願人によるPCT/JP2017/020513)の国際調査報告で引用された先行技術である。Si濃度を2×10E+20/cm 3まで高めても、AlGaNに膜荒れが生じないという実験結果(図4)が開示されている。
[0008]
 次に、上記した非特許文献1には、MOCVDを用いて形成したn型GaN半導体層の物性に関する研究成果が開示されている。非特許文献2にはp型のGaN半導体層の接触抵抗に関する研究成果が開示されている。非特許文献3には、InGaNをベースとしたLED素子のp型GaNをPSD法で低温成長で製造する研究成果が開示されている。非特許文献4には、シリコンにおける電子の移動度とドーピング濃度についての研究成果が開示されている。
[0009]
 非特許文献5には、GaNにおけるキャリア移動度のモデルについての研究成果が開示されている。非特許文献6には、PSD法で形成したp型のGaNに対する接触抵抗の評価に関する研究成果が開示されている。非特許文献7には、LEDをガラス上に作成した実験例が開示されている。非特許文献8には、PSD法を用いて成長させた窒化物単結晶に関する研究成果が開示されている。非特許文献9には、オン抵抗が極めて低いノーマリーオフ型のGeドープGaNトランジスタが開示されている。
[0010]
 非特許文献10には、低抵抗でキャリア濃度が高いSiドープAlGaNの研究成果が開示されている。非特許文献11には、Si濃度を2×10 16cm -3で移動度が1034cm 2/(V・S)の実験例が開示されている。非特許文献12には、PSD法でGeをドープしたGaNのエピタキシャル成長膜について開示されている。
非特許文献13には、GeとSiをドープした新しい物性を提供し得るn型GaNの諸特性について詳細に開示がされている。
最後に、非特許文献14には、スパッタリング法による高品質窒化物半導体の形成とデバイス応用に関する研究成果が報告されている。

先行技術文献

特許文献

[0011]
特許文献1 : 特開2008-243873号公報
特許文献2 : WO2011/021248A1国際公開パンフレット
特許文献3 : 特開2010-56435号公報
特許文献4 : 特開2016-115931号公報
特許文献5 : 米国特許公開US2016/0172473号公報
特許文献6 : 特開2015-149342A号公報

非特許文献

[0012]
非特許文献1 : G.T. Zhao et. Al.”Optical Absorption and Photoluminescence Studies of n-type GaN”, Jpn. J. Appl. Phys. 38, L933-L995 (1999).
非特許文献2 : 荒川他、第63回応用物理学会春季学術講演会、20p-H121-8
非特許文献3 : E. Nakamura et al., Appl. Phys. Lett. 104, 051121 (2014).
非特許文献4 : D. M. Caughey et al., Proc. IEEE 55, 2192 (1967)
非特許文献5 : T. T. Mnatsakanov et al., Solid-State Electron. 47, 111 (2003)
非特許文献6 : 第62回応用物理学会春季学術講演会 予稿集
非特許文献7 : 日経エレクトロニクス NEレポート 14-15頁、2014年7月7日号
非特許文献8 : 藤岡「フレキシブルデバイス」プロジェクト研究概要集 89-94頁(平成20年3月4日発行)
非特許文献9 : A. Suzuki et al., "Extremely low on-resistance Enhancement-mode GaN-based HFET using Ge-doped regrowth technique" (IEDM14, p.275-278(2014))
非特許文献10 : Motoaki Iwaya et al.,"Extremely low-resistivity and high-carrier-concentration Si-doped AlGaN with low AlN molar fraction for improvement of wall plug efficiency of nitride-based LED", 2015 Conference on Lasers and Electro-Optics Pacific Rim (Optical Society of America, 2015), paper 28C2_2
非特許文献11 : 上野他、“PSD法によるGaNへのn型ドーピング技術の開発”、第77回応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集 (2016)
非特許文献12 : Ueno et al., "Highly conductive Ge-doped GaN epitaxial layers prepared by pulsed sputtering",Applied Physics Express 10, 101002(2017)
非特許文献13 : Ueno et al., “Electron transport properties of degenerate n-type GaN prepared by pulsed sputtering”,APL MATERIALS 5,126102(2017)
非特許文献14 : 藤岡他、“スパッタリング法による高品質窒化物半導体の形成とデバイス応用”、応用物理 第86巻第7号 576-580頁(2017)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0013]
 従来技術において、13族窒化物半導体をMOCVD法で結晶成長しようとすると、原料ガス中に含まれる炭素や水素が膜中に取り込まれる。そのため、炭素や水素といった不純物濃度の低い高品質膜を得ることが難しいという問題が発生した。
[0014]
 加えて、MOCVD法で13族窒化物半導体を結晶成長させようとすると、熱力学な制約により、5×10 19cm -3以上のドナー濃度の膜では、概して、約46cm 2/(V・S)以上の電子移動度を有する膜を得ることが難しくなる。また、MOCVD法は化学的反応に基づくものであるため、低温での結晶成長が事実上不可能であることに加え、原料ガス中に含まれる炭素や水素が製造した成膜中に取り込まれ易い。
[0015]
 また、MOCVD法に代わる窒化物半導体結晶の成長方法としてのパルススパッタ堆積(PSD)法が提唱されている。このPSD法により残留水素濃度の低い高正孔移動度のp型GaN薄膜が得られることが実証された(非特許文献2)。
[0016]
 しかし、窒化物半導体基板上に形成される電子素子や発光素子の素子抵抗の低減に重要となる高ドナー濃度n型層の特性については、素子の実用生産に利用されているMOCVD法では作製困難であるため、報告例が極めて少ない。
[0017]
 このように、高ドナー濃度領域においても、高い電子移動度を示すn型導電型の13族窒化物半導体膜の開発が求められている。このように電子デバイスや発光デバイスの高性能化、省エネルギー化、高効率化といった目的を達成するために出来るだけ高い電子移動度を持つ半導体材料の実現が課題となっている。
[0018]
 また、本発明者らの研究グループは、窒化物半導体の高性能化のための研究開発を進め、その成果として、「窒化物LED低温製造プロセスの開発」(第60回応用物理学会春季講演会 30a-G21-10)(図9参照)や「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」(戦略的創造研究推進事業 CREST)(図10A、図10Bを参照)、あるいは「PSD法によるGaNへのn型ドーピング技術の開発」(第77回応用物理学会秋季学術講演会 13p-A21-3 講演会予稿集 2016年秋)(非特許文献11、図11参照)などを発表している。
[0019]
 本発明は斯かる課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、高ドナー濃度領域においても高い電子移動度を示すn型導電型を示す2元系、3元系または4元系の化合物半導体、より具体的には、13族窒化物半導体膜を容易に製造し、提供することにある。
[0020]
 なお、本発明者らは、PCT特許出願(出願番号:PCT/JP2017/020513(出願日:2017/6/1)、優先権主張出願:特願2016-169994、WO2018/042792A1 国際公開日:2018年3月8日)により、新しい窒化物半導体およびその製造方法を開示した。
本願発明は、これらの特許出願の内容と実施例の一部が重複し、さらに新しい実施例を追加したものである。

課題を解決するための手段

[0021]
 上記課題を解決するために、本発明は以下の[態様1]~[態様20]を提供する。
[0022]
[態様1]
 窒素と13族元素であるB、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる一つの元素を含有する2元系、3元系または4元系の化合物半導体であって、
 電子濃度と比抵抗の二つの物性値の組み合わせについて、
(a)電子濃度が1.8×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.25×10 -3Ω・cm、
(b)電子濃度が3.6×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.25×10 -3Ω・cm、
(c)電子濃度が6×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cm、
及び、
(d)電子濃度が3×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cm、の4点で囲まれた数値条件を満たす化合物半導体。
 または、上記の(a)~(b)の数値範囲に変えて、電子濃度と比抵抗の二つの物性値の組み合わせについて、
(a-1)電子濃度が1.5×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.20×10 -3Ω・cm、
(b-1)電子濃度が6×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.20×10 -3Ω・cm、
(c-1)電子濃度が6×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.10×10 -3Ω・cm、及び、
(d-1)電子濃度が4×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.10×10 -3Ω・cm、の4点で囲まれた数値条件を満たす化合物半導体であってもよい。また、上記の(a-1)-(b-1)の上限域に変えて、比抵抗を0.18×10 -3Ω・cm以下にすることがより好ましい。
[0023]
[態様2]
 比抵抗が0.190×10 -3Ω・cm以下である態様1に記載の化合物半導体((a)~(d)の場合に限る。)。
[0024]
[態様3]
 Siを含有する態様1または2に記載の化合物半導体。
[0025]
[態様4]
 AFMによる表面粗さ測定で得られるRMS値が1.5nm以下である態様1、2または3に記載の化合物半導体。
[0026]
[態様5]
 n型導電性であり、電子移動度が80cm 2/(V・S)以上である態様1、2、3または4に記載の化合物半導体。
[0027]
[態様6]
 電子移動度がn型導電性であり、電子移動度が130cm 2/(V・S)以下である態様1~5のいずれかに記載の化合物半導体。
[0028]
[態様7]
 GaとNを主成分とする態様1~6のいずれかに記載の化合物半導体。
[0029]
[態様8]
 前記13族元素としてGaを含み、さらにAl及び/またはInを含有する態様1~7のいずれかに記載の化合物半導体。
[0030]
[態様9]
 Geを含有する態様1~8のいずれかに記載の化合物半導体。
[0031]
[態様10]
 態様1~9のいずれかに記載の化合物半導体が用いられた導電部と電極とが接続されてなるコンタクト構造。
[0032]
[態様11]
 態様10に記載のコンタクト構造が備えられた半導体素子。
[0033]
[態様12]
 態様1~9のいずれかに記載の化合物半導体が用いられた透明電極。
[0034]
[態様13]
 窒素と13族元素であるB、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる一つの元素を含有する2元系、3元系または4元系の化合物半導体の製造方法であって、
 希ガス、窒素ガス、及び酸素を含むプロセス雰囲気で、少なくともGaを含むターゲット金属をチャンバ内でパルススパッタリングし、
 成長レートを450nm/h以下とし、0.4×10 -3Ω・cm以下の比抵抗を有する化合物半導体を成膜する化合物半導体の製造方法。
[0035]
[態様14]
 態様13の化合物半導体の製造方法において、成膜時の基板温度を700℃以下で行う化合物半導体の製造方法。
[0036]
[態様15]
 態様13または14の化合物半導体の製造方法において、成長レートを90~450nm/hに設定する化合物半導体の製造方法。また、本態様において、成長レートを100~400nm/hに設定することがより好ましく、さらには、成長レートを180~370nm/hに設定することが好ましい。
[0037]
[態様16]
 態様13、14または15に記載の化合物半導体の製造方法において、プロセス雰囲気に酸素ガスを供給する化合物半導体の製造方法。
[0038]
[態様17]
 態様13~16のいずれかに記載の化合物半導体の製造方法において、酸素ガスをチャンバ内に供給することなく、チャンバ内の残留成分に含まれる酸素成分、または、他の原料ガス若しくはターゲット金属に含まれる微量な酸素成分を用いてスパッタリングを行う化合物半導体の製造方法。
[0039]
[態様18]
 態様13~17のいずれかに記載の化合物半導体の製造方法において、化合物半導体を成膜する面とターゲット金属との距離を10~50cmに設定する化合物半導体の製造方法。より好ましくは、上記距離を15~30cmに設定する。
[0040]
[態様19]
 態様13~18のいずれかの化合物半導体の製造方法に用いられるスパッタガンであって、
ターゲット金属がスパッタガンのヘッド部に備えられ、ヘッド部が基板電極に対向するようにチャンバに組み込まれ、
ヘッド部の有効サイズが約1インチサイズ~4インチサイズであるスパッタガン。
[0041]
[態様20]
 態様19に記載のスパッタガンにおいて、平面形状が円形または矩形であるターゲット金属をヘッド部に搭載するように構成されてなるスパッタガン。
[0042]
 本発明に係わる新たな4つの実験例を図1~図3に示す。図1はSiをドープしたGaNの成長レート(横軸)と得られた化合物半導体の膜の電子濃度をプロットしたものであり、電子濃度が2×10 20cm -3以上の高濃度領域の成長速度と電子濃度の関係を示している。同様に、縦軸を比抵抗としたものを図2に示す。
[0043]
 さらに、これらの4点の実験例に基づいて、成長レートと比抵抗の散布データから、比抵抗の下限値をフィッティングしたところ、0.083mΩcmという予測値を得た(図3参照)。
[0044]
 現在、商業的に用いられているスパッタリング装置における、利用可能な実効的な成長レートを59nm/hと仮定すると、フィッテイング直線との交点から約0.1mΩcmという結果が得られた。このように、用いる材料、プロセス条件などを調整することで、この0.1mΩcmという比抵抗を十分実現できると考えられる。
本発明において、所望の物性を持つ化合物半導体の成膜を実現するには、さまざまな条件を調整し必要となる成長レートを徐々に見出して量産製造に適した値に設定すればよい。例えば、チャンバの構造、電極の形状や配置を決め、次に成膜オペレーション上のパラメータとなるチャンバ内圧力や、背圧(真空ポンプの性能)、用いるガスの種別、ガスのフロー、不純物ガスの制御、磁界の制御、電源、基板温度、ターゲットと基板の距離などを最適化していく手法が考えられる。また、スパッタリングにおいて通常行われ得る、前洗浄、乾燥、加熱などの処理を必要に応じて実行すればよい。さらに、成膜したサンプルの諸特性、例えば、膜厚、膜の状態(表面粗さ、断面構造)、光学特性、導電率、膜の機械的特性などを高精度で評価することで本発明に係わる成膜のオペレーションを適切に管理することができる。
[0045]
 図4に、非特許文献13において、本発明者らが開示したGeまたはSiをドープした高濃度n型GaNの比抵抗と電子濃度の散布図を示す。図5は図4のデータに加えて、本願において新たに追加した実験例を同じ散布図中に重ねてプロットしたものである。図中、星印が新たな実験例である。一点の実験例は、従前の実験例と同程度の数値であるが、他の実験例は従前のものに比べて比抵抗が下がっていることがわかる。
[0046]
 また、図6A及び図6Bは、図5の一部を拡大表示したものである。本願において本発明の主題とする領域を破線で示している(図6A及び図6B:領域X 及びX を参照)。領域X と領域X (両者を合わせて領域Xとも呼ぶ。)の境界は、比抵抗が0.190mΩ・cmのラインである。
[0047]
 領域X と領域X を含む平行四辺形の座標値は、(1.8×10E+20 : 0.25mΩcm)、(3.6×10E+20 : 0.25mΩcm)、(3.0×10E+20 : 0.15mΩcm)及び(6.0×10E+20 : 0.15mΩcm)である。これらの四点で囲まれた領域において移動度は約70~約140cm /(V・S)となる。比抵抗、移動度及び電子濃度の三つのパラメータを制御しつつ高濃度n型の化合物半導体を安定して製造することが容易である。また、用途や仕様によって必要となる比抵抗の値に応じて領域X または領域X の条件に相当する製品を製造すればよい。なお、図6A及び図6Bにおける領域X 1に含まれる□で示した2点(当該□内に*印があるもの)は、上記の非特許文献13において開示があった実験例に相当する。このように領域Xにおいて製造条件を調整して所望の物性の高濃度n型の特性を示す化合物半導体を製造することができる。
[0048]
 次に、図7と図8は、非特許文献13において示した高濃度n型GaNの諸特性(電子移動度、温度依存性など)を示すグラフである。図7は、縦軸が電子移動度、横軸が電子濃度である。以下、上記のPCT出願において開示した第1の発明(優先権主張の基礎出願)及び第2の発明(PCT出願での追記内容)を含めて、本発明の説明を行う。
 本発明の態様1では、上記の(a)~(d)の4点、または(a-1)~(d-1)で囲まれた数値範囲の条件を満たすことを必須とするものである。
[0049]
 また、本発明は上記の各態様において、さらに以下の構成を備えていることが好ましい。
 各態様において、405nmの波長領域の光に対する吸光係数が2000cm -1以下であることが好ましい。
 また、各態様において、450nmの波長領域の光に対する吸光係数が1000cm -1以下であることが好ましい。
[0050]
 本発明において、2元系窒化物とは、B、Al、GaまたはInのいずれか一つの元素と窒素との化合物を意味する。すなわち、BN(窒化ホウ素)、AlN(窒化アルミニウム)、GaN(窒化ガリウム)またはInN(窒化インジウム)の2元系混晶である。
 また、3元系窒化物とは上記の2元系の13族元素の一部が他の13族元素で置換された化合物である。たとえば、InGaN(窒化インジウムガリウム)、AlGaN(窒化アルミニウムガリウム)、AlInN(窒化アルミニウムインジウム)の3元混晶である。また、3元系化合物はその組成比を調整することでバンドギャップを2元系化合物の特性を限度として、その範囲内で調整できることが知られている。
[0051]
 上記の発明において、化合物半導体の主成分となる13族元素に対して、他の13族元素が微量含有されていても本発明の範囲に含め得るものとする。本発明の効果を損しない限り元素の組み合わせは任意である。
[0052]
 また、用いる元素の組み合わせが異なる他の発明においては、窒素と、B、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる少なくとも1種の13族元素を含有する、導電型がn型の窒化物半導体であって、電子濃度と比抵抗が上記の態様1における(a)~(d)の4点、または(a-1)~(d-1)で囲まれた数値条件を満たした、窒化物半導体である。
[0053]
 また、本発明の態様において、好ましい数値範囲は、例えば0.20×10 -3Ω・cm以下、且つ、電子移動度が70~140cm 2/(V・S)の範囲である。
 より好ましくは、比抵抗が0.18×10 -3Ω・cm以下、電子移動度が70~140cm 2/(V・S)、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cm以上の所定の範囲である
(図6A及び図6B参照:領域X 1)。
[0054]
 また、好ましくは、n型オーミック電極金属に対するコンタクト抵抗が1×10 -4Ωcm -2以下である。
[0055]
 ある態様では、酸素不純物を1×10 17cm -3以上含有する。
[0056]
 好ましくは、405nmの波長領域の光に対する吸光係数が2000cm -1以下である。また、好ましくは、450nmの波長領域の光に対する吸光係数が1000cm -1以下である。さらに、好ましくは、AFMによる表面粗さ測定で得られるRMS値が5.0nm以下である。
[0057]
 ある態様では、前記少なくとも1種の13族元素はGaである。
[0058]
 また、ある態様では、前記窒化物半導体は、SiまたはGeの何れか若しくは双方をドナー不純物として含有している。
[0059]
 上記発明は、窒化物半導体を導電部として備えたコンタクト構造とすることができる。
[0060]
 また、上記窒化物半導体を電極部として備えたコンタクト構造とすることもできる。このようなコンタクト構造は半導体素子への利用が可能である。

発明の効果

[0061]
 本発明に係る窒化物化合物半導体は、凡そ、1.8×10 20cm -3以上という高い電子濃度領域においても、0.25×10 -3Ω・cm以下の低抵抗性を示す。また、電子移動度も70cm 2/(V・S)以上の値を示す。
[0062]
 但し、半導体素子の仕様や用途等によっては、必ずしも0.19×10 -3Ω・cm以下の低抵抗性をほとんど必須としない場合もありえる。その場合は、製造上の生産性を考慮し、製造プロセスの条件(ガス、カソード電力、ターゲットの電子濃度)を調整することによって、0.20~0.25×10 -3Ω・cm程度の化合物半導体を製造し、素子に求められる構造部分に適用することもできる。
[0063]
 本発明においては、パルススパッタリング堆積法(PSD法)を用いることにより、高温プロセスを経ることなく、単結晶のスパッタリング膜を形成することができる。より好ましくは、ほぼ室温条件でのプロセスによって化合物半導体の膜を成膜する。基板面積は制約がなく、小型サイズから大面積の膜を製造できる。
[0064]
 例えば、少なくとも外形が矩形であって、矩形の一辺または円形の直径が2インチサイズ以上、または膜の形成面積が30cm 2以上であって、スパッタリング装置の内部空間の制限内で許容され得る面積の化合物半導体の膜を成膜することができる。
[0065]
 その際、従来技術のように、バッファ層を必須とせずに良質の化合物半導体を容易に成膜することができる。
[0066]
 次に、本発明の化合物半導体の物性に関して説明する。n型窒化物半導体膜の抵抗値ρは、電子移動度μ nとキャリア濃度nに反比例する(ρ=(q・n・μ n-1)。しかし、本発明においては、高いキャリア濃度においても高い電子移動度を示している。このことは、即ち、電気的に低抵抗である良質な膜を製造できることを意味している。つまり、本発明によれば、半導体デバイスとして利用し易く良質な13族窒化物半導体膜を提供することができる。本発明に係わる化合物半導体の貫通転位密度は1×10 6/cm 2~5×10 10/cm 2程度である。好ましくは、10 以下、即ち10 ~10 台の窒化物半導体の膜を製造することも可能である。

図面の簡単な説明

[0067]
[図1] 本発明における、電子濃度と成長レートの相対的関係を示すグラフ。
[図2] 本発明における、比抵抗と成長レートの相対的関係を示すグラフ。
[図3] 本発明における、電子濃度と成長レートの指数フィッティングを示すグラフ。
[図4] 本発明における、電子濃度と比抵抗の散布図。
[図5] 本発明と従来例を含む、高濃度n型-窒化物半導体の電子濃度と比抵抗の散布図。
[図6A] 高濃度n型-窒化物半導体の電子濃度と比抵抗の散布図(拡大図)。
[図6B] 高濃度n型-窒化物半導体の電子濃度と比抵抗の散布図(補助図)。
[図7] 本発明における、電子濃度(n(RT))の関数として高濃度n型GaNについての電子移動度の実験結果と補償比θを変化させ関係式(1)で計算された電子の移動度を示すグラフ(非特許文献13:APL MATERIALS 5,126102 (2017),"Electron transport properties of degenerate n-type GaN prepared by pulsed sputtering"より引用)。
[図8] 本発明における、室温での電子濃度が3.3×10 20cm -3の場合のSiドープ-GaNの電子の移動度の温度依存性(a)、SiドープのサンプルとGeドープのサンプルについての電子の移動度の温度依存性とフィッティングカーブ(b)、室温での電子濃度の関数としてフィッテイングした非放物線係数αと補償比θのグラフ(c)(非特許文献13:APL MATERIALS 5,126102 (2017),“Electron transport properties of degenerate n-type GaN prepared by pulsed sputtering”より引用)。
[図9] MgドープGaN薄膜の表面AFM像(Fig.1)、およびMgアクセプターの活性化エネルギーを評価するためのグラフ(Fig.2)(第60回応用物理学会春季学術講演会 講演予稿集 30a-G21-10 15-190より引用)。
[図10A] PSD法を用いて作製したAlGaN/GaNヘテロ接合FETの(a)光学顕微鏡写真と(b)IVカーブ(科学技術振興機構 CREST研究領域「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」の研究終了報告書より引用)。
[図10B] (a)パルススパッタ堆積法によって作製したGaN薄膜の電子濃度と移動度の関係、(b)MgドープGaNホール濃度の温度依存性(科学技術振興機構 CREST研究領域「プロセスインテグレーションによる機能発現ナノシステムの創製」の研究終了報告書より引用)。
[図11] PSD法で作製したSiドープのn型GaN膜の電子濃度(N e)と電子移動度(μ e)の関係を示すグラフ。
[図12] Si濃度が2×10 20cm -3のGaN膜の酸素濃度の深さ方向のプロファイルを示すSIMSデータのグラフ。
[図13] 図12に示したSiドープのGaNスパッタリング膜の表面AFM像。
[図14] Si濃度(電子濃度)が2×10 20cm -3のGaN膜の吸収係数と屈折率をエリプソメータで測定した結果を示すグラフ。
[図15] GaNの結晶構造を示す模式図(A)、平面方向の模式図(B)。
[図16A] 本発明で用いるスパッタ装置の構成を示す模式断面図。
[図16B] 本発明で用いるスパッタガンの模式側面図。
[図17] 本発明においてスパッタリング時にスパッタ装置の電極に印加するパルスシーケンスの一例を示すグラフ。
[図18] 本発明で用いるスパッタリング装置の内部構造を示す縦断面の模式図。
[図19] 本発明の実施形態1に係る半導体素子の断面模式図。
[図20] 本発明の実施形態2に係わるコンタクト構造を示す断面模式図。
[図21] 本発明の実施形態3に係わるコンタクト構造を示す断面模式図。
[図22] 本発明を適用し得る薄膜トランジスタの模式的斜視図。
[図23] 本発明を適用し得るAlGaN/GaN・HEMTの断面模式図。
[図24] 本発明を適用し得るLED素子の断面模式図。
[図25] 本発明を適用し得る面発光レーザ素子の断面模式図。
[図26] 本発明に係るGaNの電子濃度と抵抗率の関係を説明するための図である。
[図27] 本発明に係るGaNにおける、SIMS測定で得たドナー不純物の濃度と電子濃度との関係を纏めた図である。
[図28] GaNの表面状態の例としての、GeドープのGaNの試料表面のAFM像である。
[図29] 縦形パワーMOSFETの断面概略図である。
[図30] GaN系LEDの断面概略図である。
[図31] ショットキダイオードの断面概略図である。

発明を実施するための形態

[0068]
 以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態として、13族窒化物半導体をパルススパッタリングで製造して形成した半導体化合物について説明する。
[0069]
 本発明の実施形態に係る13族窒化物半導体は、パルススパッタ堆積法(PSD法)により成膜する。
[0070]
(パルススパッタリング法)
 本発明において、窒化物の化合物半導体を製造するために用いる「パルススパッタリング法(PSD法)」や化合物半導体を製造するための材料・製造方法は当業者において周知の基礎的事項である。
[0071]
 例えば「窒化物基板および格子整合基板の成長とデバイス特性」(シーエムシー出版 2009年10月30日 第1刷発行)、「高周波半導体材料・デバイスの新展開」(シーエムシー出版 2006年11月13日 第1刷発行)、「次世代パワー半導体の高性能化とその産業展開」(シーエムシー出版 2015年6月10日 第1刷発行)、特開2009-138235号公報「パルススパッタ装置およびパルススパッタ方法」、及び特開2014-159368「窒化ガリウム焼結体または窒化ガリウム成形体ならびにそれらの製造方法」等に開示された標準的な技術を本発明の実施に際して問題なく利用することができる。また、上記の特許文献2、特許文献3、非特許文献3、非特許文献4などを参照されたい。
[0072]
 本発明で採用するPSD法においては、結晶成長は物理的反応に基づき進行するために低温での結晶成長が可能である。これに加えて、成膜環境中の炭素や水素を顕著に除去することが可能である。低温での結晶成長が可能であることから、膜中の熱ストレスの発生が抑制されるとともに、例えばInGaNのように相分離し易い化合物も安定的に成長させることができる。
[0073]
 本発明における化合物半導体の単結晶成長は、その状態を直接視認することができないが、結晶成長の作用原理の概要は以下の通りと考えられる。まず、図15に13族2元化合物の一つであるGaNの結晶構造を示す。本発明の化合物半導体を成膜しようとする際、GaNのGa原子が6角形状の配置構造を呈する有極性面(Ga原子面)が、下地となる基板の表面に揃うようにして単結晶状の構造が形成されていくものと考えられる。
[0074]
 その際、本発明で用いる製造方法はMOCVD法のような1000℃超の高温ではなく、比較的低温の条件で成膜を行うことができる。室温25℃を含み得る700℃以下の温度範囲である(室温~700℃)。成膜速度との兼ね合いがあるが、好適には、例えば300~700℃の範囲があげられる。
[0075]
 このため、成膜雰囲気に僅かに含有されている酸素原子が成膜中に膜の表面を覆うように存在している状態と推定される。その結果、酸素原子は13族元素と窒素の結合を妨害するかのように働き、所望の化合物を構成することになる主要元素が自由な状態を保持しつつ成膜プロセスが進行すると考えられる。
[0076]
 さらに、下地の面方向全体において成膜条件が同一条件に置かれることにより、全体として均一で結晶性が優れた結晶構造が形成されていくと考えられる。
[0077]
 このようにして、スパッタ膜として形成されたGaNの半導体化合物は6角形状の軸方向(膜の厚み方向)に徐々に成長し面内で均一であって、かつ一定以上の面積を持つ半導体化合物の膜が最終的に製造できると考えられる。
[0078]
 また、用いる下地は化合物半導体が成長しやすい格子が整合する条件または擬似的に整合し得る条件の材料であることが好ましい。PSD法による成膜プロセスは1000℃を超えるような高温条件ではない。そのため、下地材料が高耐熱性であることは必須ではないが、結晶性を向上させるには結晶と下地材料との格子整合または疑似格子整合の条件が成立することが好ましい。
[0079]
 従って、本発明において、下地材料としてはSiC、サファイア、GaN、単結晶シリコンの4種類から選択することが特に好ましい。サファイアは耐熱温度が1200℃、単結晶シリコンは耐熱温度が1100℃である。それぞれAlGaN/GaN HEMT、フルカラーLED、InGaN-TFT、センサーなどの半導体素子の製造に用いることができる。
[0080]
 また、上記の材料よりは化合物半導体の成膜後の結晶品質が悪くなるが、金属フォイルや耐熱温度が600~700℃のFPD用無アルカリガラス等にも適用することができる。この際、結晶成長の下地となる材料の表面に予め疑似格子整合をとるため等の目的でバッファ層を形成しておくことが好ましい。
[0081]
 また、本発明は、成膜サイズとして、矩形の一辺または円形の直径が2インチサイズから10インチサイズの素子を製造することができる。また、矩形の対角サイズが10~30インチサイズの中型サイズ、または30インチサイズ以上となる大型の素子にも適合させることができる。下地となる素子構造や基板等の形状は円形、正方形、矩形、または非対称形状のいずれでもよい。
[0082]
 図16A,図16B及び図17に本発明に係わる化合物半導体を製造する際に用いるスパッタリング装置の模式図とパルスシーケンスを示す。スパッタリング装置1は、チャンバ11、基板電極12、ターゲット電極13、直流電源14、電源制御部15、窒素供給源16、加熱装置17、アルゴン供給源18等を主体として構成されている。
[0083]
 チャンバ11は、外部に対して密閉可能に設けられている。チャンバ11内は図示しない真空ポンプなどによって減圧できるようになっている。基板電極12は、チャンバ11内に配置されており、放熱シート12aを保持可能になっている。
[0084]
 スパッタ源(またはスパッタガン)13は、スパッタ材料13aを載置した円筒状のヘッド部13bに、軸体部13cが接続されている。軸体13cの内部には電源線13dが備えられている。ヘッド部の有効サイズは、約1インチサイズ~4インチサイズである。ターゲット電極13は、チャンバ11内に基板電極12に対向して設けられており、ターゲット13aを保持可能になっている。
[0085]
 基板面とターゲット電極13との距離をL Hとする。距離L Hは本発明の実施の形態の場合、約10~50cmに設定すればよい。より好ましくは15~40cm、さらに好ましくは20~30cmに設定する。
[0086]
 次に、ターゲット13aは、13族元素と窒素との化合物からなる。現在、一般的に入手できる不純物の少ない高品質のターゲット材料を用いる。例えば、ファイブナインあるいはシックスナインといった高品位の材料であることが必要となる。用いるターゲットのタイプにより、スパッタガンの形状と大きさは必要に応じて、その形状と大きさを調整することができる。バッチ処理をするには、例えば、大口径サイズの円形形状やリニア(矩形)のターゲットを用いることができる。また、複数のスパッタガンをチャンバ内に配置することができることは言うまでもない。なお、Ga、AL、Siのターゲットでも、GaN、AlNのターゲットでも本発明の化合物半導体を成膜することができる。
[0087]
 直流電源14は、基板電極12及びターゲット電極13にそれぞれ電気的に接続されており、基板電極12とターゲット電極13との間に直流電圧を印加する電圧源である。
[0088]
 制御部15は、直流電源14に接続されており、直流電源14の動作のタイミングに関する制御を行う。制御部15により、基板電極12とターゲット電極13との間にパルス電圧を印加することが可能になっている。
[0089]
 窒素供給源16は、例えば供給管などによってチャンバ11内に接続されており、チャンバ11内に窒素ガスを供給する。アルゴンガスを供給するアルゴン供給源18はスパッタリングに必要なプラズマを生成するためである。
[0090]
 また、所定の分量の酸素ガスを供給する酸素供給源も設けられている。成膜しながら内部圧力を常にモニターできるようになっている。また、化合物半導体の成膜時に、チャンバ内の酸素の含有量が、ほぼ定常的に約10ppmを保持するように制御することが必要である。あるいは、主たる供給ガス中の不純物として含有される酸素の含有量をコントロールしつつスパッタリングを行うこともできる。または、その他の原料に僅かに含有されている酸素成分を大凡推定し、プロセス全体として、窒化物半導体に含まれる酸素成分を所定の限度内に抑制するよう設定することもできる。
[0091]
 そのためには、パルススパッタリング法に用いるチャンバの構造、プロセスガスの供給系、排気系(主排気、粗引き)は、ガス漏れが無く、外気の侵入がないことが不可欠であり、成膜時の圧力管理も極めて安定していることが重要である。なお、酸素は極微量の含有量を意図的にチャンバ内に供給することが基本と考えられる。その前提としてチャンバ内のクリーニングの確認と、用いる材料の純度は精選しなければならない。
[0092]
 加熱装置17は、例えば基板電極12に固定されており、基板電極12上の放熱シート12aの周囲温度を調節できるようになっている。また、本発明で用いる成膜条件の代表例は以下の通りである。図17はパルスシーケンスの一例であり、駆動パルスの電圧P Aを調整することができる。成膜速度は、概して、平均して0.1~4nm/秒であり、より好ましくは0.2~2nm/秒である。なお、電子濃度が2×10 20cm -3以上の高濃度領域では、0.025nm/秒~0.125nm/秒である。
[0093]
(a)駆動法:パルススパッタ法(PSD法)
(b)デューティー比:5%
(c)平均投入電力:100W
(d)パルス周波数:1kHz
(e)成長圧力:2×10 -3Torr
(f)ドーパント:Si
[0094]
 なお、スパッタリング成膜はアルゴンガスを主成分とする雰囲気ガス中で行い、成膜時の基板温度は300~700℃の範囲に設定した。この際、高濃度のn型13族窒化物化合物半導体を形成するため、ドーピング材料としてSiH 4やGeH 4等のドーピングガスやSiやGe原子を含むターゲットを使うことができる。
[0095]
 そして、製造しようとしている目的の化合物半導体の膜に酸素を導入する目的で、スパッタリングの雰囲気ガス中に濃度10ppmの酸素を添加した場合と、酸素を添加しない場合の両方について実験を行った。そして酸素の有り無しの条件を替えて製造した化合物半導体の物理特性を比較検証した。
[0096]
 次に図18はロールツーロール方式による連続成膜装置10の縦断面模式図を示す。内部に複数の成膜室5が設けられている。基板フィルム4が金属フォイルやフィルム状で巻き取ることができる極薄ガラス基板であれば本発明を適用することができる。巻きだしロール2から巻き取りロール3に向けて柔軟性のある基板フィルム4が水平方向に搬送される間に、基板フィルム4に対して成膜室内で複数のスパッタリングを実行できる。その結果、所望の化合物半導体等を含む半導体素子を高速処理することができる。チャンバ内のテーブルは、例えばφ320~φ600mmに対応できる。
ロールツーロールの工程においては、成長レートが刻々と変化していく可能性が高く、その場合は実効的な成長レートを想定し管理すればよい。概して、バッチ式よりも成長レートは低めになると考えられる。
[0097]
 本発明において、少なくとも矩形の一辺または直径が2インチサイズ以上となる面積を持つ下地または基板に対して化合物半導体を結晶成長させることができる。低温かつ高速での製造が可能であり、一定面積の結晶を均一に製造できる。また、生産コストを抑えつつ新規な化合物半導体を量産製造することができる。
[0098]
 図11は、本発明者らがPSD法で作製した、Siドープのn型GaN膜の電子濃度(N e)と電子移動度(μ e)の関係を、室温ホール効果測定により調べた結果をまとめた図である。本図においてプロットされた実験例においては約2×10 20cm -3付近が上限となっている。電子濃度(N )は実質的にSiドナー濃度に等しいと考えられる。なお、スパッタリング成膜はアルゴンガスを主成分とする雰囲気ガス中で行い、成膜時の基板温度は300~700℃の範囲であった。
[0099]
 この膜に酸素を導入する目的でスパッタリングの雰囲気ガス中に濃度10ppmの酸素を添加し、単結晶性を示す結晶膜を形成した。このGaN薄膜の表面に、n型オーミック電極金属積層構造(Ti(20nm)/Al(60nm)/Ti(20nm)/Au(50nm))を形成し、窒素中700℃でアニール処理を行った。このような試料についてTLM法により、コンタクト抵抗を評価したところ、8.5×10 -5 Ωcm 2であった。
[0100]
 この図中に丸印で示したものは実測値であり、曲線で示したものは、低電界での移動度の記述に用いられるCaughey-Thomas型の経験式(下式1:非特許文献4参照)に基づくフィッティング結果である。なお、下式中のN Dはドナー濃度であるが、上述のとおり電子濃度(N e)は実質的にSiドナー濃度に等しいと考えられるため、N D=N eとしてフィッティングを行っている。
[0101]
 μ=μ min+[μ max-μ min]/[1+(N D/N Rγ] ・・・(1)
[0102]
 上記フィッティングの結果から、μ max=1034cm 2/(V・S)、μ min=125cm 2/(V・S)と求められた。これらの値は、従来報告されているMOCVD法で成膜したn型GaN薄膜の移動度の最高値(例えば、非特許文献5参照)と比較しても遜色ない値である。このように本発明で製造した化合物半導体の膜において、キャリア散乱が十分抑制されていることを確認することができた。
[0103]
 従来技術のMOCVD法では、ドナー濃度が概ね5×10 19cm -3以上になると、このような高い電子移動度を示すGaN薄膜を得ることが困難とされていた。本発明においては、図11に示したとおり、PSD法で作製したSiドープのn型GaN膜は、少なくとも2×10 20cm -3のドナー濃度においてもCaughey-Thomas型の経験式(非特許文献4)に一致している。
[0104]
 つまり、PSD法で作製した第1の発明に係るn型GaN膜は、5×10 19cm -3以上の電子濃度においても、46cm 2/(V・S)以上の電子移動度を示す極めて良質な膜であることが分かった。好ましくは50cm 2/(V・S)以上の電子移動度の膜を利用することができる。
n型窒化物半導体膜の抵抗値ρは、電子移動度μ nとキャリア濃度nに反比例する。しかし、本発明においては、高いキャリア濃度においても高い電子移動度を示している。このことは、即ち、電気的に低抵抗である良質な膜を製造することができることを意味している。
[0105]
 図11に結果を示した試料は何れもSiドープのものであるが、ドナーとして混入させる不純物はSiに限定されず、Ge等であってもよい。
[0106]
 ところで、高い電子濃度を実現するために窒化物半導体膜中のドナー濃度が高くなると、当該膜の可視光に対する透明性が低下してくる。そのため、本発明に係る窒化物半導体膜を透明電極等に利用する場合には支障が生じる懸念がある。
[0107]
 そこで、本発明では、化合物半導体の膜中での電子濃度が高くなることに起因して低下する透明性を以下のようにして補っている。つまり、窒素サイトを置換してドナーとして作用するドーパントである酸素を不純物として混入させて膜のバンドギャップを広げて補償している。
[0108]
 酸素ドープした膜のバンドギャップはドーピング量に依存するが、例えばGaNの場合には、室温でのバンドギャップを、3.4eV~4.9eV(酸化Gaのバンドギャップの値)の範囲内で変化させることが可能である。例えば、GaNの場合、膜中に1×10 17cm -3以上の酸素を不純物として含有させると、室温でのバンドギャップは概ね3.4~3.6eV程度となる。
[0109]
 このような酸素の効果により、本実施例の窒化物半導体膜を、例えば、405nmの波長領域の光に対する吸光係数が2000cm -1以下の膜としたり、450nmの波長領域の光に対する吸光係数が1000cm -1以下の膜としたりすることができる。このことから、透明電極としての利用に支障がなくなる。
[0110]
 図12はPSD法で製造した本発明に係わるGaN膜の酸素濃度を示したグラフである。図12(b)は、図11に示した試料のうち、Si濃度が2×10 20cm -3のGaN膜の酸素濃度の深さ方向のプロファイルを示すSIMSデータである。1~3×10 18cm -3程度の濃度で酸素が含有されていることが分かる。なお、この膜の電子移動度は110cm 2/(V・S)である。
[0111]
 また、この膜の表面粗さを表すAFM像のRMS値は図13(b)からわかるように3.97nmであった。本発明者らが種々の電子濃度条件で成膜した電子濃度5×10 19cm -3以上の酸素を含む試料をAFM測定した結果、何れの試料においても、RMS値は5.0nm以下であった。
[0112]
 一方、雰囲気ガスへの10ppmの酸素添加なしでほぼ同条件で結晶成長を行った。その結果、酸素濃度は図12(a)のプロファイルに示すように1×10 16cm -3程度であり、この時の移動度は45cm 2/(V・S)であった。また、図13(a)から分かるように、この時の薄膜の表面粗さのRMS値は14.1nmであった。
[0113]
 ここで酸素有りと酸素無しの二通りの条件について考察を試みる。酸素有りの場合は、雰囲気中の酸素原子が成膜中の表面を覆い、応力の緩和と原子の表面でのマイグレーションを促進に役立っているためと考えられる。また、この表面荒れの抑制が点欠陥の導入を抑制し、移動度が向上しているものと考えている。尚、従来技術のMOCVD法などで使用される高温条件では、酸素が表面から蒸発してしまう。そのため、PSD法のような低温成長でみられる品質改善の効果を得ることが難しいと考えられる。
[0114]
 これに対して酸素無しの場合は、上記の作用が起こりにくく、PSD法で成膜した結晶に欠陥を含みやすいためと考えられる。
[0115]
 図14は、Si濃度(電子濃度)が2×10 20cm -3のGaN膜の吸収係数(図14(A))と屈折率(図14(B))をエリプソメータで測定した結果を示すグラフである。なお、この膜の電子移動度は115cm 2/(V・S)である。青色LEDで標準的に使われる波長である450nmにおける吸収係数は844cm -1であり、青紫色レーザで標準的に使われる波長である405nmにおける吸収係数は1860cm -1であった。
[0116]
 このように、酸素ドーピングにより、405nmの波長領域の光に対する吸光係数が2000cm -1以下の膜としたり、450nmの波長領域の光に対する吸光係数が1000cm -1以下の膜としたりすることが可能である。その結果、得られた化合物半導体を透明材料として用いることができる。
[0117]
 以下、本発明の化合物半導体を適用し得る電子デバイスの各種の態様について説明する。
[0118]
 (実施形態1)
 まず、図19は本発明の13族窒化物半導体を基板上に形成した化合物半導体素子20の断面模式図を示す。21は基板(サファイア)、22はGaNである。
[0119]
 (実施形態2)
 図20は、本発明の化合物半導体を用いたコンタクト構造の断面模式図を示す。31はGaN基板、32はGaN(PSD法で成膜した化合物半導体の膜)、34は絶縁層、33は外部に接続され得る配線電極、35はコンタクトホール部である。
[0120]
 (実施形態3)
 図21は、本発明の13族窒化物化合物半導体を用いたコンタクト構造40の断面模式図を示す。図21中、41はn型GaNコンタクト層、42はTi層、43はAl層、44はNi層、45はAu層である。本例では複合型の金属電極が用いられている。成膜後に900℃程度で熱処理が行われる。
[0121]
 (応用例)
 図22は、本発明を適用し得る薄膜トランジスタの模式的な斜視図である。薄膜トランジスタの電極のコンタクト層に高濃度のn型GaN層を適用することができる。
[0122]
 図中、51は無アルカリガラス基板等の基板、52は層間絶縁膜、53Sはソース側のコンタクト層(高濃度n +GaN層)、54Sはソース領域、55は活性層、54Dはドレイン領域、53Dはドレイン側のコンタクト層(高濃度n +GaN層)、56はゲート酸化膜、57はソース電極、58はゲート電極、59はドレイン電極である。ソース領域54Sとドレイン領域54Dはコンタクト層と活性層との間で不純物の濃度が徐々に変化するように形成されている。
[0123]
 図23は、本発明を適用し得るHEMT素子の模式的な斜視図である。AlGaN/GaN-HEMT素子のソース・ドレイン電極に接触する下部に配置されるコンタクト層に、本発明に係わる高濃度のn型GaN層を適用することができる。同図中、61はGaN、サファイア、SiCまたはSi等の基板、62はGaNまたはAlN等のバッファ層、63はGaNアンドープ層、64はAlGaNバリア層、65は高濃度n型GaN層を用いたコンタクト層である。さらに、ソース電極66、ゲート電極67、及びドレイン電極68が素子の上部に備えられている。
[0124]
 上記の薄膜トランジスタ(図22)及びHEMT素子(図23)において、高濃度のn型GaN層をコンタクト層に適用することができる。そして、動作電流が流れる回路要素(これらの素子においては、即ちソース、ドレインの部位)における電極との接触抵抗をかなり低減することができる。その結果、電子デバイスの性能向上に大きく寄与することができる。
[0125]
 図24は本発明を適用し得るGaN系半導体デバイスの一例として、LED素子の断面模式図を示す。
[0126]
 同図において、GaN、サファイア、SiCまたはSiの基板71側から複数の化合物半導体層を順次積層していく。バッファ層72、n型GaN層73、GaInN/GaNのMQW発光層74、p型GaN層75、p型GaN層76a、高濃度のn型GaN層からなるトンネル接合部76、n型GaN層77、高濃度のn型GaN層のコンタクト層78,及び電極79A、電極79Bが備えられている。
[0127]
 図25に本発明を適用し得るInGaN/GaN VCSEL(面発光レーザ)構造の断面模式図を示す。垂直共振器面発光型レーザ(VCSEL : Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は、共振器が半導体の基板面に対して垂直方向に形成されている。よって、レーザ光も基板面に垂直に射出される。
[0128]
 同図中、81はGaN基板、82Dは内部の多層膜反射鏡、83はn型GaN層、84はGaInN/GaNからなるMQW活性層、85はp型alGaN層、86aはp型InGaN層、86bは高濃度のn型GaN層であり、86aと86Bでトンネル接合部86が形成されている。さらに、87はn型GaN層、88は高濃度のn型GaN層(コンタクト層)、89Aと89Bは電極、及び82Uは上部の多層膜反射鏡が備えられている。
[0129]
 上述したように、本発明に係る化合物半導体は、発光素子や電子素子の大電流が流れる部位や、半導体素子のコンタクト部、透明電極等の電極構造等々に利用することができる。微小電圧で駆動する電子デバイスの配線などに好適に用いることができる。あるいは、従来技術では困難な大電流・大電力の仕様に適合させることができる。
[0130]
 また、高電子移動度を有しているので抵抗が低く素子の高速化に寄与すると考えられる。
[0131]
 これまで、第1の発明に係る化合物半導体、即ち、窒素と13族元素であるB、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる一つの元素を含有する2元系、3元系または4元系の化合物半導体であって、1×10 17cm -3以上の酸素を不純物として含有し、5×10 19cm -3以上の電子濃度を有し、n型導電性であり、電子移動度が46cm 2/(V・S)以上である化合物半導体について説明した。
[0132]
 以降では、本発明者らによる第2の発明に係る窒化物半導体について説明する。
[0133]
 この窒化物半導体は、高濃度にドナーをドープした結晶であるにも拘らず、従来のものに比較して比抵抗が低い(つまり、移動度が高い)という顕著な特徴を有している。
[0134]
 具体的には、窒素と、B、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる少なくとも1種の13族元素を含有する、導電型がn型の窒化物半導体であって、電子濃度が1×10 20cm -3以上で、且つ、比抵抗が0.3×10 -3Ω・cm以下である、窒化物半導体であり、好ましくは、少なくとも1種の13族元素はGaであり、SiまたはGeの何れか若しくは双方をドナー不純物として含有している。
[0135]
 従来、MBE法により育成されたGeを高濃度でドープした窒化物半導体であって、比較的低い比抵抗を示すものは知られていたが、そのようなものに比較しても、本発明のものは更に低い比抵抗を、しかも、より高い電子濃度領域において実現している。
[0136]
 このような、高濃度にドナーをドープした結晶であるにも拘らず比抵抗が低い(移動度が高い)窒化物半導体は、HEMTなどの電子素子における寄生抵抗の低減、ITOなどの透明導電膜に代わる材料の提供、LEDモジュールのカスケード接続といった種々の用途への利用が期待できる。
[0137]
 図26は、本発明に係るGaNの電子濃度(cm -3)と比抵抗率(mΩ・cm)の関係を説明するための図である。図中に星印で示したものが本発明に係るGaNであり、白抜きのものはSiドープのもの、灰色のものはGeドープのものである。同図には、比較のため、これまでに報告されている、MOCVD法(丸印)およびMBE法(菱形印)で得られたGaNのデータも示すと同時に、理論計算から得られる電子濃度と抵抗率の関係も示した。なお、図中にθで示した値はイオン化不純物濃度の補償比(アクセプタ濃度N Aとドナー濃度N Dの比:N A/N D)である。(注:この図25は、最も比抵抗が低い最下部の実験例一点を除いて、上記の非特許文献13の図4と同一である。)
[0138]
 従来の報告にあるGaN結晶は、MBE法で得られたものもMOCVD法で得られたものも、電子濃度が高くなるにつれて比抵抗が低くなる傾向は示すものの、ある電子濃度を超えると比抵抗が上昇している。
[0139]
 例えば、MOCVD法で得られたGaNでは、SiドープのGaNでは電子濃度が5×10 19cm -3を超えるあたりから比抵抗の上昇が認められ、GeドープのGaNでは電子濃度が1×10 20cm -3を超えるあたりから比抵抗の上昇が認められる。また、MBE法で得られたGaNでは、SiドープのGaNでは電子濃度が1.5×10 20cm -3を超えるあたりから比抵抗の上昇が認められ、GeドープのGaNでは電子濃度が5×10 20cm -3を超えるあたりから比抵抗の上昇が認められる。
[0140]
 これに対し、本発明に係るGaNの場合、Siドープのもの(白抜きのもの)もGeドープのもの(灰色のもの)も、少なくとも5×10 20cm -3の電子濃度においても、斯かる比抵抗の上昇は認められない。
[0141]
 しかも、従来のものは、高電子濃度領域において最も低い比抵抗を示すMBE法で得られたGeドープのGaNでさえ、概ね5×10 20cm -3の電子濃度において比抵抗は精々0.4mΩ・cm(0.4×10 -3Ω・cm)でしかないのに対し、本発明に係るGaNの場合、略同じ電子濃度における比抵抗は0.2mΩ・cm(0.2×10 -3Ω・cm)を示している。
[0142]
 この図に示した結果から明らかなように、本発明に係るGaNは、従来のものに比較して、特に電子濃度が1×10 20cm -3以上の場合に、0.3×10 -3Ω・cm以下という顕著に低い比抵抗を示すという特徴をもち、この特徴は電子濃度が2×10 20cm -3以上であっても失われない。この傾向は、下表に整理したように、少なくとも約0.16×10 -3Ω・cmまでの比抵抗範囲で実験的に確認済みである。なお、イオン化不純物散乱による抵抗値の下限の理論値は0.04×10 -3Ω・cmであるが、成膜条件等により、例えば0.2×10 -3Ω・cm、或いは0.15×10 -3Ω・cm、または0.1×10 -3Ω・cmなどとなる。図3のフィッティングでは、0.083×10 -3Ω・cm、という推定値が得られた。
[0143]
 また、図27には、本発明に係るGaNにおける、SIMS測定で得たドナー不純物の濃度と電子濃度との関係を纏めた。この結果から、PSD法により得られた本発明に係るGaNにおいては、ドナーの活性率が略1となることが分かる。つまり、本発明に係るGaNにおいては、ドナー不純物のドーピング濃度を制御しさえすれば、電子濃度制御が可能であることが分かる。
 上述した本発明に係るGaNの諸特性(電子濃度、電子移動度、比抵抗、表面粗さ)を、表1(SiドープのGaN)および表2(GeドープのGaN)に纏めた。また、本発明に係る高濃度領域のSi―ドープGaNの成長速度と諸特性(電子濃度、電子移動度、比抵抗、表面粗さ)の関係を表3(SiドープのGaN)に纏めた。
[0144]
[表1]


[0145]
[表2]


[0146]
[表3]


[0147]
 表1~3に整理したGaNは、何れも、既に説明したPSD法の結晶成長条件と概ね同様の条件下で得られたものであり、材料等は下記の純度のものを用いた。また、電子濃度は、カソード投入電力を20~150Wまで変化させて変化させた。
[0148]
 成長時基板温度:600~700℃
 スパッタリングターゲット(Si):純度99.999%の単結晶
 スパッタリングターゲット(Ge):純度99.99%の単結晶
 Ga:純度99.99999%
 窒素ガス:純度99.9999%
[0149]
 なお、本発明者は、高品質の結晶を成長させるに際し、成膜環境の真空度および真空の質が重要である点に留意しており、所望の膜質の結晶を得るために、パルススパッタの条件(パルス電圧、パルス幅、デューティ比など)を適宜調整している。このような細かな調整が迅速にできる点は、PSD法の利点のひとつである。
[0150]
 また、上記諸物性の測定条件等は、下記のとおりである。
[0151]
 電子濃度および電子移動度は、ホール測定装置(東陽テクニカ Resitest8400)を用い、試料の抵抗率により、印加電流は1mA~10mAの範囲、印加磁場は0.1~0.5T(テスラ)の範囲で測定した。測定温度は室温である。
[0152]
 また、表面粗さは、AFM装置(JEOL社製JSPM4200)を用いて測定した。
[0153]
 図28に、上記GaNの表面状態の例として、GeドープのGaNの試料表面のAFM像を示す。これらの試料のRMS値は何れも1nm未満である。一般に、AFMによる表面粗さ測定で得られるRMS値が5.0nm以下であれば十分に平坦な表面であると評価し得ることを考慮すると、本発明に係る窒化物半導体は、極めて平坦な表面を有していることが分かる。
[0154]
 また、GaNのGaサイトを一部AlまたはInで置換した窒化物半導体(AlGaNおよびInGaN)についても結晶を作製して、それらの諸特性を調べた。その結果を表4および表5に示す。なお、これらの試料において、Al濃度は1%、In濃度は1%であり、結晶成長に用いた材料の純度等は下記のとおりである。
[0155]
 成長時基板温度:600~700℃
 スパッタリングターゲット(Si):純度99.999%の単結晶
 スパッタリングターゲット(Ge):純度99.99%の単結晶
 Ga:純度99.99999%
 Al:純度99.999%
 In:純度99.999%
 窒素ガス:純度99.9999%
[0156]
[表4]


[0157]
[表5]


[0158]
 さらに、表1~5に示した各窒化物半導体のコンタクト抵抗を測定したところ、何れの試料においても、n型オーミック電極金属に対するコンタクト抵抗が1×10 -4Ωcm -2以下であることを確認した。この値は十分に低い値であり、上述した窒化物半導体を導電部として備えたコンタクト構造とすることで、HEMTなどの電子素子における寄生抵抗の低減、ITOなどの透明導電膜に代わる材料の提供、LEDモジュールのカスケード接続といった種々の用途への利用が期待できる。
[0159]
 コンタクト抵抗の測定は、TLM(Transmission Line Model)測定装置(半導体パラメータアナライザ Agilent 4155C)を用い、Ti/Al/Ti/Auの電極構造(100μm×100μm)を電極間距離2μm~100μmで配置したTLMパターンのもので実施した。
[0160]
 なお、既に説明したように、窒化物半導体の窒素サイトを置換してドナーとして作用するドーパントである酸素を不純物として混入させて膜のバンドギャップを広げて補償することにより、窒化物半導体の膜中での電子濃度が高くなることに起因した透明性の低下を補うことができる。
[0161]
 この目的のためには、例えば、上述した窒化物半導体に、酸素不純物を1×10 17cm -3以上含有させる。このような酸素不純物含有により、405nmの波長領域の光に対する吸光係数を2000cm -1以下としたり、450nmの波長領域の光に対する吸光係数を1000cm -1以下とすることができる。
[0162]
 上述した本発明に係る窒化物半導体はPSD法で形成されたものであるが、上記特性が得られる理由につき、本発明者らは、他の結晶成長方法では結晶成長が熱平衡状態下で進行するのに対し、PSD法においては熱的に非平衡な状態下で結晶成長が進行することによるものと考えている。
[0163]
 高濃度にドナーをドープしたGaN等の窒化物半導体は熱力学的に不安定であるため、結晶成長の進行中にも部分的に分解が生じる。つまり、結晶の成長と分解の両方が同時に生じているため、この分解の際に、結晶中に一旦取り込まれたドナー不純物が吐き出されてしまう。そして、ドナー不純物を高濃度でドープしようとすると、このドナー不純物の吐き出し現象が無視できないレベルに達し、結晶性そのものを低下させてしまう。つまり、ドナー不純物を高濃度でドープする場合には、熱的平衡状態に近い結晶成長条件では結晶性の低下が避けられないのである。
[0164]
 しかし、PSD法においては、熱的に非平衡な状態下で結晶成長が進行するため、上述のドナー不純物の吐き出しが生じ難いため、結晶性の低下が生じ難いのである。
[0165]
 なお、一般的な傾向として、ドナーとしてSiを用いたものの方が、Geを用いたものに比して、窒化物半導体結晶中に高濃度で取り込まれ易い。その理由のひとつとして、Geのイオン半径がGaのイオン半径に近いためにGaイオンサイトを容易に置換することが考えられる。その結果、窒化物半導体膜中の応力の蓄積も小さくなり、膜の表面も平坦になり易い傾向が認められる。
[0166]
 このように、本発明のものは、従来のものに比較して、より低い比抵抗を、より高い電子濃度領域において実現する。
[0167]
 なお、オン抵抗が小さい窒化物半導体装置に関する発明を開示する文献としては、例えば下記のものがある。
[0168]
 特開2016-115931号公報(特許文献4)には、オン抵抗が小さい窒化物半導体装置の発明が開示されており、段落0049には「前述したように、ソース側窒化物半導体再成長層205aおよびドレイン側窒化物半導体再成長層206aは高濃度にn型不純物を含んでいてもよい。しかし、図4に示すように、不純物がシリコン(Si)である場合、窒化物半導体層の成長中に供給する不純物量を多くしても、形成される窒化物半導体層におけるキャリア濃度は高くならない。つまり限界がある。これに対し、ゲルマニウム(Ge)を不純物として用いた場合、シリコンよりも高いキャリア濃度を実現することが可能である。」なる記載がある。
[0169]
 また、段落0095には「作製した窒化物半導体装置200の複合電極の特性を調べるため、窒化物半導体再成長層単体のシート抵抗と2DEGへのコンタクトをとった場合のコンタクト抵抗とを伝送路測定(Transmission Line Measurement:TLM)法によって測定した。図7は、Geの供給量に対する窒化物半導体再成長層単体のシート抵抗を示す。TEGeの供給量増加とともに、TMGに対してTEGeの流量比を0.09以上にすることにより、1.5×10 -6Ωcm程度までシート抵抗が低下した窒化物半導体再成長層が得られることが分かった。この条件を用いて作製した窒化物半導体再成長層を用いた場合の窒化物半導体装置200のコンタクト抵抗は1~5×10 -6Ωcmとなり、2DEGへの良好なコンタクトが得られていることが分かった。」なる記載がある。
[0170]
 ここで特許文献4について、優先権主張がなされた基礎出願、及び対応米国出願の米国特許公開US2016/0172473号公報(特許文献5)の関連箇所の記載を見比べてみる。すると、図17の縦軸の名称・単位が様々に変化しており、何らかの誤記を内包していたものと推測される。
[0171]
 さらに、特許文献4の発明者らによる技術文献(IEDM14:非特許文献9)の275-278頁("Extremely low on-resistance Enhancement-mode GaN-based HFET using Ge-doped regrowth technique")を参照する。そこには、低いオン抵抗を示すGeドープの窒化物半導体再成長層が開示されており、Fig.3には、特許文献4の図7と全く同じ図が示されている。
[0172]
 その縦軸は「Specific contact resistance(Ωcm 2)」とされ、当該Fig.3に関し、本文には「The measured specific contact resistance as a function of TEGe supply is shown in fig. 3, where extremely low specific contact resistance of 1.5 x 10 -6 Ω・cm 2 was achieved.」との記載がある。そうすると、特許文献4の図17の縦軸は、恐らくは「コンタクト抵抗」であり、単位は「Ωcm 2」であるべきものと考えられる。
[0173]
 仮に、特許文献4の図7のように、比抵抗が1.5×10 -6Ωcm程度であったとし、Ge濃度(電子濃度)を1×10 20cm -3と仮定した場合、電子の移動度が概ね42,000cm 2/(V・S)といった数値になってしまう。これはGaN結晶中の電子移動度として知られる常識的な値(1,200cm 2/(V・S)程度)から大きくかけ離れた数値である。このことからも、上記の箇所に誤記があったことは明らかであろう。
 このように、特許文献4に開示のものは、「1.5×10 -6Ωcm 2程度までコンタクト抵抗が低下した窒化物半導体再成長層」であったと考えられる。
[0174]
 上述した本発明に係る窒化物半導体は、高濃度にドナーをドープした結晶であるにも拘らず比抵抗が低い(移動度が高い)という特徴を生かし、HEMTなどの電子素子における寄生抵抗の低減、ITOなどの透明導電膜に代わる材料の提供、LEDモジュールのカスケード接続といった種々の用途への利用が期待でき、例えは下記のような応用が可能である。
[0175]
 [縦型パワーMOSFETへの応用]
 図29は、縦形パワーMOSFETの断面概略図である。この縦形パワーMOSFET100は、n +-GaN層102、n --GaN層103、p-GaN層104の積層構造の上に、本発明に係る窒化物半導体のn +-GaN層105が形成されている。この本発明に係るn +-GaN層105のパターニング加工には全面にn +-GaN層を堆積した後に、リソグラフィー技術を用いるか、あるいは、試料表面の一部のみに窒化ガリウムの結晶面を露出させ、その露出部に選択的にn +-GaN層をエピタキシャル成長する選択成長技術を用いてもよい。なお、符号106で示したものは絶縁膜、符号101で示したものはドレイン、符号107で示したものはソース、符号108で示したものはゲートである。
[0176]
 [LEDへの応用]
 図30は、GaN系LEDの断面概略図である。LED200は、窒化物半導体から成る基板201の上に、n型窒化物半導体層202、量子井戸層を含む活性層203、p型窒化物半導体層204、および本発明のn +-GaN層205が順次積層されている。
[0177]
 また、n +-GaN層205とp型窒化物半導体層204と活性層203の一部が除去されて露出したn型窒化物半導体層202の領域にカソード電極206が形成され、p型窒化物半導体層204の上方には、n +-GaN層205を介してアノード電極207が形成されている。ここで、本発明のn +-GaN層205は、p型窒化物半導体層204と、トンネル接合で導通している。
[0178]
 [ショットキダイオードへの応用]
 図31は、ショットキダイオードの断面概略図である。このショットキダイオード300は、裏面に本発明のn +-GaN層306を形成したn +-GaN基板301の表面にn --GaN層302が形成され、n +-GaN層306の側にはオーミック電極303が、n --GaN層302側にはショットキ電極304が形成されている。なお、図中に符号305で示したものは絶縁膜である。
[0179]
 本発明に係る、高濃度にドナーをドープした結晶であるにも拘らず比抵抗が低い(移動度が高い)窒化物半導体は、上述しデバイス以外にも、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のn +-GaN層にも利用可能である。
[0180]
 以上説明したように、本発明者らによる上記のPCT出願に開示した第2の発明である化合物半導体は、下記のように整理することができる。
[0181]
 窒素と、B、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる少なくとも1種の13族元素を含有する、導電型がn型の窒化物半導体であって、電子濃度が1×10 20cm -3以上で、且つ、比抵抗が0.3×10 -3Ω・cm以下である、窒化物半導体である。
[0182]
 好ましくは、前記電子濃度が2×10 20cm -3以上である。
[0183]
 また、好ましくは、n型オーミック電極金属に対するコンタクト抵抗が1×10 -4Ωcm -2以下である。
[0184]
 ある態様では、酸素不純物を1×10 17cm -3以上含有する。
[0185]
 好ましくは、405nmの波長領域の光に対する吸光係数が2000cm -1以下である。
[0186]
 また、好ましくは、450nmの波長領域の光に対する吸光係数が1000cm -1以下である。
[0187]
 さらに、好ましくは、AFMによる表面粗さ測定で得られるRMS値が5.0nm以下である。
[0188]
 ある態様では、前記少なくとも1種の13族元素はGaである。
[0189]
 また、ある態様では、前記窒化物半導体は、SiまたはGeの何れか若しくは双方をドナー不純物として含有している。
[0190]
 上記比抵抗の下限値は、例えば0.2×10 -3Ω・cm、或いは0.15×10 -3Ω・cm、または0.1×10 -3Ω・cmである。
[0191]
 上記窒化物半導体の電子濃度と比抵抗の関係は、(a)電子濃度が1×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.3×10 -3Ω・cm、(b)電子濃度が3×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.3×10 -3Ω・cm、(c)電子濃度が4×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cm、及び(d)電子濃度が9×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cmの4点で囲まれた数値範囲を満たす。
[0192]
 上記発明は、窒化物半導体を導電部として備えたコンタクト構造とすることができる。また、上記窒化物半導体を電極部として備えたコンタクト構造とすることもできる。このようなコンタクト構造は半導体素子への利用が可能である。
[0193]
 本発明に係わる発明は、上記のPCT出願に開示した高濃度n型-GaNの好ましい数値範囲に一部重複する領域を含みつつ、且つ、より低抵抗の領域に該当する化合物半導体の実現を目指したものである。
[0194]
 本発明の態様1は、窒素と13族元素であるB、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる一つの元素を含有する2元系、3元系または4元系の化合物半導体であって、
 電子濃度と比抵抗の二つの物性値の組み合わせについて、
(a)電子濃度が1.8×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.25×10 -3Ω・cm、
(b)電子濃度が3.6×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.25×10 -3Ω・cm、
(c)電子濃度が6×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cm、
及び、
(d)電子濃度が3×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cm、
の4点で囲まれた数値条件を満たす化合物半導体を提供する。あるいは、上記の(a-1)~(d-1)の4点で囲まれた数値条件を満たす化合物半導体を提供する。具体的には、GaNを主成分とする窒化物半導体である。
 また、製造方法に関する態様においては、窒素と13族元素であるB、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる一つの元素を含有する2元系、3元系または4元系の化合物半導体の製造方法であって、
希ガス、窒素ガス、及び酸素を含むプロセス雰囲気で、少なくともGaを含むターゲット金属をチャンバ内でパルススパッタリングし、
 成長レートを450nm/h以下とし、0.4×10 -3Ω・cm以下の比抵抗を有する化合物半導体を成膜する化合物半導体の製造方法を提供する。
[0195]
 上記の(a)~(d)の4点で囲まれた数値条件の中で、仕様や用途に合わせて所望の物性値を示す化合物半導体を製造することができる。さらに領域Xの中から選択することが容易にできる。また、化合物半導体の低抵抗性をそれほど必要としない用途であれば、領域X 2の条件に合致する化合物半導体を製造し使用することができる。低抵抗性を追求する必要があれば、領域X 1の条件に合致する化合物半導体を製造し使用することができる。

産業上の利用可能性

[0196]
 本発明に係る2元系、3元系または4元系の窒化物半導体は、(a)~(d)または(a-1)~(d-1)で囲まれた数値条件を満たすことにより、従来技術にはなかった優れた抵抵抗性または高い電子移動度を示す。
[0197]
 本発明によれば、電気抵抗が低くかつ大電流を必要とする電子デバイス、例えば、HMETなど横型や縦型のパワー半導体デバイス、高耐圧ダイオード、薄膜トランジスタ、ディスプレイデバイス等の配線構造のコンタクト部、活性層など、電子回路の性能を決定づける重要な回路要素に適用することができる。
[0198]
 また、本発明の窒化物半導体は、パワー半導体デバイスやディスプレイデバイス、発光素子だけでなく、高速通信素子、演算素子、太陽電池、制御回路、自動車用電子装置等に用いることができる。

符号の説明

[0199]
1 スパッタリング装置
2 巻きだしロール
3 巻き取りロール
4 基板フィルム
5 成膜室
10 連続成膜装置
11 チャンバ
12 基板電極
13 ターゲット電極
14 直流電源
15 電源制御部
16 窒素供給源
17 加熱装置
12a 放熱シート
21 基板
22 GaN
31 基板
32 GaN
33 絶縁層
34 絶縁層
35 コンタクトホール部
41 n型GaNコンタクト層
42 Ti層
43 Al層
44 Ni層
45 Au層
100 縦形パワーMOSFET
101 ドレイン
102 n +-GaN層
103 n --GaN層
104 p-GaN層
105 n +-GaN層
106 絶縁膜
107 ソース
108 ゲート
200 LED
201 基板
202 n型窒化物半導体層
203 活性層
204 p型窒化物半導体層
205 n側電極
206 p側電極
300 ショットキダイオード
301 n +-GaN基板
302 n --GaN層
303 オーミック電極
304 ショットキ電極
305 絶縁膜
306 n +-GaN層

請求の範囲

[請求項1]
 窒素と13族元素であるB、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる一つの元素を含有する2元系、3元系または4元系の化合物半導体であって、
 電子濃度と比抵抗の二つの物性値の組み合わせについて、
(a)電子濃度が1.8×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.25×10 -3Ω・cm、
(b)電子濃度が3.6×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.25×10 -3Ω・cm、
(c)電子濃度が6×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cm、
及び、
(d)電子濃度が3×10 20cm -3、且つ、比抵抗が0.15×10 -3Ω・cm、
の4点で囲まれた数値条件を満たす化合物半導体。
[請求項2]
 比抵抗が0.190×10 -3Ω・cm以下である請求項1に記載の化合物半導体。
[請求項3]
 Siを含有する請求項1に記載の化合物半導体。
[請求項4]
 AFMによる表面粗さ測定で得られるRMS値が1.5nm以下である請求項1、2または3に記載の化合物半導体。
[請求項5]
 n型導電性であり、電子移動度が80cm 2/(V・S)以上である請求項1、2、3または4に記載の化合物半導体。
[請求項6]
 電子移動度がn型導電性であり、電子移動度が130cm 2/(V・S)以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物半導体。
[請求項7]
 GaとNを主成分とする請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物半導体。
[請求項8]
 前記13族元素としてGaを含み、さらにAl及び/またはInを含有する請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物半導体。
[請求項9]
 Geを含有する請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物半導体。
[請求項10]
 請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物半導体が用いられた導電部と電極とが接続されてなるコンタクト構造。
[請求項11]
 請求項10に記載のコンタクト構造が備えられた半導体素子。
[請求項12]
 請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物半導体が用いられた透明電極。
[請求項13]
 窒素と13族元素であるB、Al、GaまたはInからなる群より選ばれる一つの元素を含有する2元系、3元系または4元系の化合物半導体の製造方法であって、
 希ガス、窒素ガス、及び酸素を含むプロセス雰囲気で、少なくともGaを含むターゲット金属をチャンバ内でパルススパッタリングし、
 成長レートを450nm/h以下とし、0.4×10 -3Ω・cm以下の比抵抗を有する化合物半導体を成膜する化合物半導体の製造方法。
[請求項14]
 請求項13の化合物半導体の製造方法において、成膜時の基板温度を700℃以下で行う化合物半導体の製造方法。
[請求項15]
 請求項13または14の化合物半導体の製造方法において、成長レートを90~450nm/hに設定する化合物半導体の製造方法。
[請求項16]
 請求項13、14または15に記載の化合物半導体の製造方法において、プロセス雰囲気に酸素ガスを供給する化合物半導体の製造方法。
[請求項17]
 請求項13~16のいずれか1項に記載の化合物半導体の製造方法において、酸素ガスをチャンバ内に供給することなく、チャンバ内の残留成分に含まれる酸素成分、または、他の原料ガス若しくはターゲット金属に含まれる微量な酸素成分を用いてスパッタリングを行う化合物半導体の製造方法。
[請求項18]
 請求項13~17のいずれか1項に記載の化合物半導体の製造方法において、化合物半導体を成膜する面とターゲット金属との距離を10~50cmに設定する化合物半導体の製造方法。
[請求項19]
 請求項13~18のいずれか1項に記載の化合物半導体の製造方法に用いられるスパッタガンであって、
ターゲット金属がスパッタガンのヘッド部に備えられ、ヘッド部が基板電極に対向するようにチャンバに組み込まれ、
ヘッド部の有効サイズが約1インチサイズ~4インチサイズであるスパッタガン。
[請求項20]
 請求項19に記載のスパッタガンにおいて、平面形状が円形または矩形であるターゲット金属をヘッド部に搭載するように構成されてなるスパッタガン。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6A]

[ 図 6B]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10A]

[ 図 10B]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16A]

[ 図 16B]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]

[ 図 27]

[ 図 28]

[ 図 29]

[ 図 30]

[ 図 31]