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1. (WO2018123526) NONAQUEOUS ELECTROLYTE SECONDARY BATTERY
Document

明 細 書

発明の名称 非水電解質二次電池

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

0006   0007   0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070  

実施例

0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091  

符号の説明

0092  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4  

明 細 書

発明の名称 : 非水電解質二次電池

技術分野

[0001]
 本開示は非水電解質二次電池に関する。

背景技術

[0002]
 近年、携帯電話、ノートパソコン、スマートフォン等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての二次電池にはさらなる高容量化が要求されている。リチウムイオンが正負極間を移動することにより充放電を行う非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であるので、移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。
[0003]
 最近では、非水電解質二次電池は、電動工具、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)等の動力用電源としても注目されており、さらなる用途拡大が見込まれている。
[0004]
 例えば特許文献1には、負極活物質としてチタン酸リチウムを含有する負極と、B(C 2-アニオンを含む非水電解質を備えた非水電解質二次電池について開示されている。特許文献1によれば、充電時の発熱反応を抑制し、高温保存特性が改善される。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 特開2007-173150号公報

発明の概要

[0006]
 しかし、特許文献1では、充放電サイクルに伴うガス発生を抑制することは困難である。ガス発生量が多いと、非水電解質二次電池が膨らみ、安全性が低下したり、非水電解質二次電池の抵抗が上昇し、容量が低下したりすることが懸念される。
[0007]
 本開示の目的は、充放電サイクルに伴うガス発生を抑制することが可能な非水電解質二次電池を提供することにある。
[0008]
 本開示の一態様である非水電解質二次電池は、第1正極活物質及び第2正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む負極合剤層を有する負極と、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含む非水電解質と、を備える。前記第1正極活物質は、Co含有リチウム遷移金属酸化物であり、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が8mm /g以上であり、前記第2正極活物質は、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が5mm /g以下である。前記第1正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積は、前記第2正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積に対して4倍以上であり、前記第1正極活物質の含有量が、前記第1正極活物質及び前記第2正極活物質の総量に対して30質量%以下である。前記オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩は、一般式Li[M(C ](式中、MはB又はPであり、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基であり、xは正の整数、yは0又は正の整数である)で表されることを特徴とする。
[0009]
 本開示の一態様である非水電解質二次電池によれば、充放電サイクルにおけるガス発生を抑制することが可能となる。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 実施形態の一例である非水電解質二次電池の概観を示す斜視図である。
[図2] 実施形態の一例である非水電解質二次電池を構成する電極体を示す断面図である。
[図3] 本実施形態に係る非水電解質二次電池に用いられる正極の一部模式断面図である。
[図4] 本実施形態に係る非水電解質二次電池に用いられる負極の一部模式断面図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 <本開示におけるガス発生抑制メカニズムについて>
 リチウムチタン複合酸化物を含む負極活物質を用いた非水電解質二次電池では、充放電サイクル時に、リチウムチタン複合酸化物の表面に存在するOH基等が活性点となって、非水電解質や水分等が分解され、それに伴いガス発生が引き起こされる。ここで、本開示の非水電解質二次電池は、以下で詳述するように、Co含有Li遷移金属酸化物(第1正極活物質)が、充電過程において、高酸化状態となって高い反応活性を有する状態となる。このため、充放電を繰り返すことで、当該第1正極活物質からCoが溶出しやすくなり、非水電解質にオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩が含まれない場合、溶出したCoが負極表面に析出して、電池性能が著しく悪化する場合がある。ところが、本開示の非水電解質二次電池のように、非水電解質にオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含むようにすると、当該リチウム塩が負極に泳動したCoと反応し、リチウムチタン複合酸化物の表面に化学的に安定な被膜を形成すると考えられる。この被膜はリチウムチタン複合酸化物表面に存在するOH基等の活性点を覆い、非水電解質等の分解を抑制すると考えられるため、ガス発生を抑制することが可能となる。
[0012]
 以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態の一例について詳細に説明する。なお、本開示の非水電解質二次電池は、以下で説明する実施形態に限定されない。また、実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、各構成要素の寸法などは以下の説明を参酌して判断されるべきである。
[0013]
 [非水電解質二次電池]
 図1及び図2を用いて、非水電解質二次電池10の構成を説明する。図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池10の斜視図である。図1に例示するように、非水電解質二次電池10は、電池ケース11と、電池ケース11内に収容された発電要素とを備える。発電要素は、巻回構造の電極体12と、非水電解質(図示しない)とで構成される。非水電解質二次電池10の好適な一例は、リチウムイオン電池である。
[0014]
 電池ケース11は、例えば2枚のラミネートシートによって構成される。各ラミネートシートには金属層の両面に樹脂層が形成されたシートを用いることが好適であり、互いに接触する樹脂層は熱圧着可能な樹脂で構成されていることが好ましい。金属層は、例えばアルミニウムの薄膜層であり、水分等の透過を防ぐ機能を有する。発電要素を収容する外装体は、ラミネートシートで構成されたものに限定されず、円筒形(円筒形電池)、角形(角形電池)、コイン形(コイン形電池)等の金属製ケースなどであってもよい。
[0015]
 電池ケース11は、上記発電要素を収容する収容部13と、収容部13の周囲に形成された封止部14とを含む。収容部13は、対向配置される他方のラミネートシートと反対側に凸となるように、一方のラミネートシートを絞り加工して形成される。封止部14は、各ラミネートシートの端部同士を熱圧着して形成され、発電要素が収容される収容部13の内部空間を密閉する。
[0016]
 非水電解質二次電池10は、電池ケース11から引き出された一対の電極端子(正極端子15及び負極端子16)を備える。正極端子15及び負極端子16は、電池ケース11の端部から引き出されている。正極端子15及び負極端子16は、いずれも略平坦な板状体であって、封止部14で各ラミネートシートに接合され、封止部14を通って各フィルムの間から電池ケース11の外部に引き出される。
[0017]
 図2は、非水電解質二次電池10を構成する電極体12の断面図である。図2に示すように、電極体12は、正極20と負極30がセパレータ40を介して巻回された巻回構造を有する。電極体12は、巻回構造の中心軸と直交する方向からプレス成型した扁平形状を有する。電極体の構造は、巻回構造に限定されず、複数の正極と複数の負極とがセパレータを介して交互に積層されてなる積層構造等であってもよい。
[0018]
 以下、非水電解質二次電池10の各構成要素、特に正極20及び負極30について説明する。
[0019]
 [正極]
 非水電解質二次電池用である正極20は、例えば金属箔等の正極集電体と、正極集電体上に形成された正極合剤層とで構成される。正極集電体には、アルミニウムなどの正極20の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合剤層は、正極活物質、導電材、及び結着材を含む。正極20は、例えば正極集電体上に正極活物質、導電材、及び結着材等を含む正極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して、正極合剤層を集電体の両面に形成することにより作製できる。
[0020]
 正極合剤層に含まれる導電材としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料が例示できる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[0021]
 正極合剤層に含まれる結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィン等が例示できる。また、これらの樹脂と、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、ポリエチレンオキシド(PEO)等が併用されてもよい。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[0022]
 正極合剤層は、正極活物質として第1正極活物質及び第2正極活物質を含む。第1正極活物質は、Co含有リチウム遷移金属酸化物であり、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が8mm /g以上である。第2正極活物質は、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が5mm /g以下である。また、第2正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積に対する、第1正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積の比率が4倍以上である。さらに、第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対する第1正極活物質の含有率は30質量%以下である。
[0023]
 本明細書において、正極活物質における「細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積」を「100nm以下細孔体積」とも記載し、また、「第2正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積に対する、第1正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積の比率」を「第1/第2細孔体積比率」とも記載する。
[0024]
 正極活物質における100nm以下細孔体積は、公知の方法により測定することができ、例えば、正極活物質について窒素吸着法により窒素ガスの圧力に対する吸着量の測定結果に基づいて、BJH法により細孔分布曲線を作成して、細孔径が100nm以下である範囲の細孔の体積を合計することにより、算出することができる。BJH法は、円筒形の細孔をモデルとして細孔径に対する細孔体積を計算し、細孔分布を決定する方法である。BJH法に基づく細孔分布は、例えば、ガス吸着量測定装置(カンタクローム社製)を用いて測定できる。
[0025]
 正極活物質において、細孔径が100nm以下である細孔の質量あたりの体積が大きくなれば、有効な反応面積が増大するとともに、Liイオンの固体内拡散距離が短くなる。本実施形態に係る正極20では、100nm以下細孔体積が8mm /g以上である第1正極活物質と、100nm以下細孔体積が5mm /g以下である第2正極活物質とが含有されているため、正極側での充電反応は、有効な反応面積が多く、固体内拡散距離の短い第1正極活物質で優先的に生じる。すなわち、正極合剤層内の第1正極活物質に充電反応が偏る状態が生じる。また、第1正極活物質の含有量(A)が第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対して30質量%以下(0<A≦30質量%)であるため(第1正極活物質の含有量が少ないため)、充電反応において第1正極活物質に掛かる負荷は大きくなる。その結果、充電反応時の第1正極活物質は、第2正極活物質と比較して高酸化状態となり、反応活性が高くなるため、第1正極活物質の表面が劣化し、Coが溶出すると考えられる。なお、正極活物質として、100nm以下細孔体積が8mm /g以上である第1正極活物質のみを含有する場合、充電反応は正極合剤層の全領域で均一に起こり易くなり、正極合剤層内の一部の正極活物質のみに充電反応が偏る状態は生じ難くなる。よって、正極活物質として、第1正極活物質のみを含有する場合は高酸化状態となる正極活物質が非常に少なく、第1正極活物質からのCoの溶出は起こり難くなる。
[0026]
 但し、第1正極活物質及び第2正極活物質において、第1/第2細孔体積比率は4倍以上であることが必要である。第1/第2細孔体積比率が4倍未満であると、第1正極活物質の100nm以下細孔体積と第2正極活物質の100nm以下細孔体積とが近いことから、正極側での充電反応は第1正極活物質で優先的に生じ難く、第1正極活物質が高酸化状態になり難くなると考えられる。
[0027]
 このように、第1正極活物質及び第2正極活物質の100nm以下細孔体積、含有量、及び第1/第2細孔体積比率を本実施形態で規定する範囲とすることで、充放電サイクルに伴い、第1正極活物質からCoが溶出される。ひいては、非水電解質中のオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩由来の分解生成物と、負極に泳動したCoとの反応により、リチウムチタン複合酸化物の表面に被膜が形成されると考えられるため、充放電サイクルに伴うガス発生が抑制される。
[0028]
 第1正極活物質の含有量(A)は、第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対して30質量%以下(0<A≦30質量%)であればよいが、充放電サイクルに伴うガス発生量をより低下させる等の観点から、第1正極活物質の含有量は、第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対して3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。特に好ましくは、5質量%以上20質量%以下である。
[0029]
 第1正極活物質の100nm以下細孔体積の上限は特に制限されないが、例えば、100mm /g以下であることが好ましく、更に好ましくは、50mm /g以下である。
[0030]
 また、第1正極活物質の100nm以下細孔体積は、好ましくは10mm /g以上、より好ましくは15mm /g以上である。第2正極活物質の100nm以下細孔体積の下限は特に制限されず、0mm /g以上である。また、第2正極活物質の100nm以下細孔体積は、より好ましくは3mm /g以下、更に好ましくは2mm /g以下である。
[0031]
 第1正極活物質及び第2正極活物質は、結晶構造が層状である、層状リチウム遷移金属酸化物であることが好ましい。第1正極活物質は、例えば、一般式(1)Li 1+xCo 2+cで表される層状リチウム遷移金属酸化物が挙げられ、一般式(1)中、x、a、b及びcは、a+b=1、-0.2≦x≦0.4、0<a≦1、-0.1≦c≦0.4の条件を満たし、Mはニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む金属元素である。第2正極活物質は、例えば、一般式(2)Li 1+x2+bで表される層状リチウム遷移金属酸化物が挙げられ、一般式(2)中、x、a及びbは、a=1、-0.2≦x≦0.4、及び、-0.1≦b≦0.4の条件を満たし、Mはニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)及びアルミニウム(Al)からなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む金属元素である。層状リチウム遷移金属酸化物は、充電反応時にリチウムイオンが引き抜かれた際に高酸化状態になり易い。層状リチウム遷移金属酸化物としては、上記一般式(1)や(2)で表され、MとしてNi、Co及びMnを含有するニッケルコバルトマンガン酸リチウムが特に好ましい。
[0032]
 層状リチウム遷移金属酸化物は、Ni、Co、Mn及びAl以外の他の添加元素を含んでいてもよく、例えば、Li以外のアルカリ金属元素、Mn、Ni及びCo以外の遷移金属元素、アルカリ土類金属元素、第12族元素、Al以外の第13族元素、並びに、第14族元素が挙げられる。他の添加元素の具体例としては、例えば、ジルコニウム(Zr)、ホウ素(B)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、錫(Sn)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)及びケイ素(Si)等が挙げられる。
[0033]
 層状リチウム遷移金属酸化物は、Zrを含有することが好適である。Zrを含有することにより、層状リチウム遷移金属酸化物の結晶構造が安定化され、正極合剤層の高温での耐久性、及び、サイクル特性が向上すると考えられるためである。層状リチウム含有遷移金属酸化物におけるZrの含有量は、Liを除く金属の総量に対して、0.05mol%以上10mol%以下が好ましく、0.1mol%以上5mol%以下がより好ましく、0.2mol%以上3mol%以下が特に好ましい。
[0034]
 正極活物質及び負極活物質として用いられる化合物の組成は、ICP発光分光分析装置(例えば、Thermo Fisher Scientific社製、商品名「iCAP6300」等)を用いて測定することができる。
[0035]
 第1正極活物質及び第2正極活物質として用いる層状リチウム遷移金属酸化物の合成方法について説明する。例えば、水酸化リチウム等のリチウム含有化合物及びリチウム以外の金属元素を含有する水酸化物を焼成して得られた酸化物を、目的とする混合比率で混合し、当該混合物を焼成することにより、上記一般式(1)や(2)で表される層状リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子を合成することができる。当該混合物の焼成は、大気中又は酸素気流中で行う。焼成温度は、例えば500~1100℃程度であり、焼成時間は、例えば焼成温度が500~1100℃である場合、1~30時間程度である。
[0036]
 第1正極活物質及び第2正極活物質として用いられる層状リチウム遷移金属酸化物における100nm以下細孔体積は、例えば、Coや上記金属元素Mを含有する水酸化物を準備する際に調整できる。Coや金属元素Mを含有する水酸化物は、例えば、Coや金属元素Mの化合物を含む水溶液に水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を滴下し攪拌することによって得られ、この際、水溶液の温度、アルカリ水溶液の滴下時間、攪拌速度及びpH等を調整する。
[0037]
 第1正極活物質及び第2正極活物質の粒径は、特に限定されないが、例えば、平均粒径が2μm以上30μm未満であることが好ましい。第1正極活物質及び第2正極活物質の平均粒径が2μm未満である場合、正極合剤層内の導電材による導電経路を阻害して、ハイレートサイクル特性が低下する場合がある。一方、第1正極活物質及び第2正極活物質の平均粒径が30μm以上である場合、反応面積の低下により、負荷特性が低下する場合がある。第1正極活物質及び第2正極活物質は、一次粒子が凝集して形成された二次粒子である場合、第1正極活物質及び第2正極活物質の二次粒子の平均粒径が上記の範囲にあることが好ましい。
[0038]
 正極活物質の平均粒径とは、レーザ回折法によって測定される体積平均粒径であって、粒子径分布において体積積算値が50%となるメジアン径を意味する。正極活物質の平均粒径は、例えば、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製)を用いて測定できる。
[0039]
 図3は、本実施形態に係る非水電解質二次電池に用いられる正極の一部模式断面図である。本実施形態に係る正極20では、図3に示すように、正極集電体21上に形成された正極合剤層22を厚さ方向において表面側領域22aと集電体側領域22bとに分割したときに、正極合剤層22に含まれる第1正極活物質の総量に対する、正極合剤層22の表面側領域22aに含まれる第1正極活物質の含有量の比率が60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、上限は80質量%以下であることが好ましい。これにより、非水電解質二次電池10のハイレート充放電サイクルに対する耐久性を向上させることができると考えられる。ここで、正極合剤層22の表面側領域22aとは、正極合剤層22の表面(正極集電体21と接する面と反対の面)から厚さ方向の中央までの領域、換言すると、正極合剤層22を厚さ方向において二等分した2つの領域のうちの表面側にある領域、又は正極合剤層22の表面から正極合剤層22の厚さの半分までの領域を意味する。以下、正極合剤層に含まれる第1正極活物質の総量に対する、正極合剤層の表面側領域に含まれる第1正極活物質の含有量の比率を、第1正極活物質の表面側含有比と称する場合がある。
[0040]
 第1正極活物質の表面側含有比の測定方法は、例えば下記の方法が挙げられる。正極集電体と正極合剤層とで構成される正極について、予め測定された正極合剤層の厚さに基づき、正極合剤層の表面側領域を切削工具等を用いて削り取り、これを遠心分離機を用いて遠心分離して第1正極活物質を分離後、質量を測定する。上記で削り取った後の正極に残った、正極集電体側の正極合剤層についても上記と同様の処理を行い、第1正極活物質の質量を測定する。これらの測定結果から、第1正極活物質の表面側含有比が得られる。
[0041]
 他の方法としては下記が挙げられる。クロスセクションポリッシャー等により正極20における正極合剤層の断面を作製し、これを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した断面像より、正極合剤層の表面側領域及び全体に含まれる第1正極活物質の粒子数及び平均粒径を測定する。これらの測定結果から、正極合剤層全体に含まれる第1正極活物質に対する、表面側領域に含まれる第1正極活物質の体積比を算出することで、第1正極活物質の表面側含有比が得られる。
[0042]
 上記の第1正極活物質の表面側含有比の測定方法において、正極の正極合剤層から表面側領域を削り取る際、その切削面は必ずしも正極合剤層の厚さ方向の中央と一致していなくてもよく、当該切削面が正極合剤層の厚さ方向の40%以上60%以下の範囲に含まれていればよい。また、表面側の正極合剤層を削り取って得られた1回目の混合物の総量と、正極集電体側の正極合剤層を削り取って得られた2回目の混合物の総量との差が大きい場合は、各混合物の総量(質量)に基づいて、第1正極活物質の表面側含有比の値を補正すればよい。
[0043]
 本実施形態に係る正極20は、例えば、第1正極活物質、第2正極活物質、導電材及び結着材を混合した後、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の分散媒を添加することによって正極合剤スラリーを調製し、次いで、正極集電体上に正極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して正極合剤層を集電体の両面に形成することにより作製される。
[0044]
 本実施形態に係る正極20は、例えば、(1)第1正極活物質、第2正極活物質、導電材及び結着材を含む正極第1スラリーと、第1正極活物質、第2正極活物質、導電材及び結着材を含み、第1正極活物質と第2正極活物質との含有比率が正極第1スラリーと異なる正極第2スラリーとを調製するスラリー調製工程、(2)正極第1スラリーを正極集電体の表面に塗布して第1塗布層を形成する第1塗布工程、(3)正極集電体上に形成された第1塗布層を乾燥させ、第1正極合剤層を形成する第1乾燥工程、(4)正極第2スラリーを第1正極合剤層の表面に塗布して第2塗布層を形成する第2塗布工程、及び、(5)第2塗布層を乾燥させ、第2正極合剤層を形成する第2乾燥工程、(6)第1正極合剤層及び第2正極合剤層を圧延する圧延工程、を有する方法により製造してもよい。このとき、正極合剤層の表面から厚さ方向の中央までを構成する領域(表面側正極合剤層)に含まれる第1正極活物質の含有量が、正極合剤層に含まれる第1正極活物質の総量に対して60質量%以上となるように、正極第1スラリー及び正極第2スラリーのそれぞれにおける第1正極活物質の含有量、並びに、正極第1スラリー及び正極第2スラリーの塗布量(即ち、第1正極合剤層及び第2正極合剤層の厚さ)等が調整される。
[0045]
 第1塗布工程において正極集電体の表面に正極第1スラリーを塗布する方法、及び、第2塗布工程において第1正極合剤層の表面に正極第2スラリーを塗布する方法は、特に制限されず、グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーターなどの周知の塗布装置を使用して行えばよい。
[0046]
 正極合剤層には、第1正極活物質及び第2正極活物質以外の正極活物質が含有されていてもよい。正極活物質の総量に対する、第1正極活物質及び第2正極活物質の質量比率は、特に限定されるものではないが、10質量%以上100質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以上100質量%以下であり、更に好ましくは60質量%以上100質量%以下である。第1正極活物質及び第2正極活物質以外の正極活物質としては、可逆的にリチウムを挿入・脱離可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、安定した結晶構造を維持したままリチウムイオンの挿入脱離が可能である、層状構造、スピネル構造又はオリビン構造等の結晶構造を有する化合物等が挙げられる。
[0047]
 [負極]
 負極30は、例えば金属箔等からなる負極集電体と、当該負極集電体上に形成された負極合剤層とで構成される。負極集電体には、アルミニウムなどの負極30の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合剤層は、負極活物質、導電材及び結着材を含む。負極30は、例えば負極集電体上に負極活物質、結着材等を含む負極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して負極合剤層を集電体の両面に形成することにより作製できる。
[0048]
 本実施形態に係る負極30は、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含有する。リチウムチタン複合酸化物は、例えば、一般式(3)Li 4+yTi 12(一般式(3)中、yは0以上1以下である)で表され、スピネル型の結晶構造を有する。
[0049]
 リチウムチタン複合酸化物は、例えば、層状リチウム遷移金属酸化物の合成方法に準じた方法で合成することができる。例えば、水酸化リチウム等のリチウム含有化合物と、二酸化チタン、水酸化チタン等のチタン含有化合物とを、目的とする混合比率で混合し、当該混合物を焼成することにより、上記一般式(3)で表されるリチウムチタン複合酸化物の一次粒子が凝集してなる二次粒子を合成することができる。当該混合物の焼成は、大気中又は酸素気流中で行う。焼成温度は、例えば500~1100℃程度であり、焼成時間は、例えば焼成温度が500~1100℃である場合、1~30時間程度である。
[0050]
 負極30は、負極活物質として、リチウムチタン複合酸化物以外に、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出できる化合物、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素材料、Si及びSn等のリチウムと合金化可能な金属等を含有してもよい。
[0051]
 負極30に用いる結着剤としては、公知の結着剤を用いることができ、正極20の場合と同様、PTFE等のフッ素系樹脂、PAN、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、並びに、ポリオレフィン系樹脂等を用いることができる。また、水系溶媒を用いて負極合剤スラリーを調製する場合に用いられる結着剤としては、例えば、CMC又はその塩、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。
[0052]
 負極合剤層に含まれる導電材としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料が例示できる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[0053]
 図4は、本実施形態に係る非水電解質二次電池に用いられる負極の一部模式断面図である。本実施形態に係る負極30では、図4に示すように、負極集電体31上に形成された負極合剤層32を厚さ方向において表面側領域32aと集電体側領域32bとに分割したときに、負極合剤層32に含まれる炭素材料(導電材や負極活物質)の総量に対する、負極合剤層32の表面側領域32aに含まれる炭素材料の含有量の比率が60質量%~80質量%であることが好ましい。ここで、負極合剤層32の表面側領域32aとは、負極合剤層32の表面(負極集電体31と接する面と反対の面)から厚さ方向の中央までの領域、換言すると、負極合剤層32を厚さ方向において二等分した2つの領域のうちの表面側にある領域、又は負極合剤層32の表面から負極合剤層32の厚さの半分までの領域を意味する。以下、負極合剤層に含まれる炭素材料の総量に対する、負極合剤層の表面側領域に含まれる炭素材料の含有量の比率を、負極合剤層に含まれる炭素材料の表面側含有比と称する場合がある。
[0054]
 負極合剤層に含まれる炭素材料の表面側含有比の測定方法は、例えば下記の方法が挙げられる。負極集電体と負極合剤層とで構成される負極について、予め測定された負極合剤層の厚さに基づき、負極合剤層の表面側領域を切削工具等を用いて削り取り、これを遠心分離機を用いて遠心分離して炭素材料を分離後、質量を測定する。上記で削り取った後の負極に残った、負極集電体側の負極合剤層についても上記と同様の処理を行い、炭素材料の質量を測定する。これらの測定結果から、炭素材料の表面側含有比が得られる。
[0055]
 他の方法としては下記が挙げられる。クロスセクションポリッシャー等により負極30における負極合剤層の断面を作製し、これを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した断面像より、炭素材料の表面側領域及び全体に含まれる炭素材料の面積を測定する。これらの測定結果から、負極合剤層全体に含まれる炭素材料に対する、表面側領域に含まれる炭素材料の面積比を算出することで、炭素材料の表面側含有比が得られる。
[0056]
 上記の炭素材料の表面側含有比の測定方法において、負極の負極合剤層から表面側領域を削り取る際、その切削面は必ずしも負極合剤層の厚さ方向の中央と一致していなくてもよく、当該切削面が負極合剤層の厚さ方向の40%以上60%以下の範囲に含まれていればよい。また、表面側の負極合剤層を削り取って得られた1回目の混合物の総量と、負極集電体側の負極合剤層を削り取って得られた2回目の混合物の総量との差が大きい場合は、各混合物の総量(質量)に基づいて、炭素材料の表面側含有比の値を補正すればよい。
[0057]
 本実施形態に係る負極30は、例えば、負極活物質、導電材及び結着材を混合した後、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の分散媒を添加することによって負極合剤スラリーを調製し、次いで、負極集電体上に負極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延して負極合剤層を集電体の両面に形成することにより作製される。
[0058]
 本実施形態に係る負極30は、例えば、(1)負極活物質、導電材及び結着材を含む負極第1スラリーと、負極活物質、導電材及び結着材を含み、導電材と結着剤との含有比率が負極第1スラリーと異なる負極第2スラリーとを調製するスラリー調製工程、(2)負極第1スラリーを負極集電体の表面に塗布して第1塗布層を形成する第1塗布工程、(3)負極集電体上に形成された第1塗布層を乾燥させ、第1負極合剤層を形成する第1乾燥工程、(4)負極第2スラリーを第1負極合剤層の表面に塗布して第2塗布層を形成する第2塗布工程、及び、(5)第2塗布層を乾燥させ、第2負極合剤層を形成する第2乾燥工程、(6)第1負極合剤層及び第2負極合剤層を圧延する圧延工程、を有する方法により製造してもよい。このとき、負極合剤層の表面から厚さ方向の中央までを構成する領域(表面側負極合剤層)に含まれる炭素材料の含有量が、負極合剤層に含まれる炭素材料の総量に対して60質量%~80質量%となるように、負極第1スラリー及び負極第2スラリーのそれぞれにおける炭素材料の含有量、並びに、負極第1スラリー及び負極第2スラリーの塗布量(即ち、第1負極合剤層及び第2負極合剤層の厚さ)等が調整される。
[0059]
 第1塗布工程において負極集電体の表面に負極第1スラリーを塗布する方法、及び、第2塗布工程において第1負極合剤層の表面に負極第2スラリーを塗布する方法は、特に制限されず、グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーターなどの周知の塗布装置を使用して行えばよい。
[0060]
 負極合剤層に含まれる炭素材料の表面側含有比を60質量%~80質量%とすることで、負極合剤層表面側の導電性が向上し、リチウムチタン複合酸化物の表面に被膜が形成され易くなると考えられ、上記範囲を満たさない場合と比較して、充放電サイクルにおけるガス発生を抑制することが可能となる。
[0061]
 負極合剤層中の負極活物質の水分含有量は、例えば、1000ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましい。充放電サイクルに伴うガス発生は、非水電解質の分解以外にも、電池内の水分の分解によっても引き起こされる。したがって、負極活物質の水分含有量を上記範囲とすることで、上記範囲外の場合と比較して、充放電サイクルに伴うガス発生を抑制することが可能となる。
[0062]
 [非水電解質]
 非水電解質は、非水溶媒を含む。非水電解質に用いる非水溶媒としては、例えば、エステル類、エーテル類、ニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができ、また、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を用いることもできる。
[0063]
 非水電解質に含まれるエステル類としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、カルボン酸エステル類が例示できる。具体的には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類;プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等の鎖状カルボン酸エステル;及び、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)等の環状カルボン酸エステル等が挙げられる。
[0064]
 非水電解質に含まれるエーテル類としては、例えば、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、フラン、2-メチルフラン、1,8-シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o-ジメトキシベンゼン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1-ジメトキシメタン、1,1-ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル等の鎖状エーテル類等が挙げられる。
[0065]
 非水電解質に含まれるニトリル類の例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、n-ヘプタンニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、1,2,3-プロパントリカルボニトリル、1,3,5-ペンタントリカルボニトリル等が挙げられる。
[0066]
 非水電解質に含まれるハロゲン置換体の例としては、4-フルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステル、メチル3,3,3-トリフルオロプロピオネート(FMP)等のフッ素化鎖状カルボン酸エステル等が挙げられる。
[0067]
 非水電解質は、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含む。オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩は、一般式(4)Li[M(C ](一般式(4)中、MはB又はPであり、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基であり、xは正の整数、yは0又は正の整数である)で表される。具体的には、リチウム-ビス(オキサラト)ボレート(Li[B(C ])、リチウム-ジフルオロ(オキサラト)ボレート(Li[B(C )F ])、リチウム-ジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート(Li[P(C ])、リチウム-トリス(オキサラト)ホスフェート(Li[P(C ])、リチウム-テトラフルオロ(オキサラト)ホスフェート(Li[P(C )F ])等が挙げられる。これらの中では、充放電サイクルに伴うガス発生を抑制する効果の点で、リチウム-ビス(オキサラト)ボレート(Li[B(C ])が好ましい。
[0068]
 非水電解質中のオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の濃度は、例えば、0.01mol/L~0.2mol/Lの範囲であることが好ましく、0.02mol/L~0.1mol/Lの範囲であることがより好ましい。オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の濃度を上記範囲とすることで、リチウムチタン複合酸化物の表面上に適切な厚みの被膜が形成されると考えられ、上記範囲外の場合と比較して、充放電サイクルにおけるガス発生をより抑制することが可能となる。
[0069]
 非水電解質は、イオン伝導性を向上させる点で、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩以外の従来公知のリチウム塩を含むことが好ましい。具体的には、LiBF 、LiClO 、LiPF 、LiAsF 、LiSbF 、LiAlCl 、LiSCN、LiCF SO 、LiC(C SO )、LiCF CO 、LiPF 6-x(C 2n+1(1≦x≦6、nは1又は2)、LiB 10Cl 10、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、Li 、LiN(FSO 、LiN(C 2l+1SO )(C 2m+1SO ){l、mは1以上の整数}等のイミド塩類等が挙げられる。リチウム塩は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
[0070]
 [セパレータ]
 セパレータ40には、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータ40の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロース等が好適である。セパレータ40は、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。また、ポリエチレン層及びポリプロピレン層を含む多層セパレータであってもよく、セパレータ40の表面にアラミド系樹脂等の樹脂や、アルミナやチタニアなどの無機微粒子が塗布されたものを用いることもできる。
実施例
[0071]
 以下、実施例及び比較例を挙げ、本開示をより具体的に詳細に説明するが、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
[0072]
 <実施例1>
 [正極の作製]
 組成式Li 1.054Ni 0.199Co 0.597Mn 0.199Zr 0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第1正極活物質A1)、及び組成式Li 1.067Ni 0.498Co 0.199Mn 0.299Zr 0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第2正極活物質B1)を、質量比30:70で混合して混合物を得た。BJH法を用いて測定した第1正極活物質A1の100nm以下細孔体積は10mm /gであり、第2正極活物質B1の100nm以下細孔体積は2mm /gであった。
[0073]
 上記混合物と、カーボンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(結着剤)とを、91:7:2の質量比で混合した。当該混合物に分散媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を加え、混合機(プライミクス株式会社製、T.K.ハイビスミックス)を用いて攪拌し、正極合剤スラリーを調製した。次に、正極集電体であるアルミニウム箔上に正極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させて正極合剤層を形成した。
[0074]
 その後、正極合剤層を圧延ロールにより圧延して、アルミニウム箔の両面に正極合剤層が形成された正極を作製した。正極において、第1正極活物質A1及び第2正極活物質B1の総量に対する第1正極活物質A1の含有比率は30質量%であった。
[0075]
 [負極の作製]
 組成式Li Ti 12で表されるリチウムチタン複合酸化物と、カーボンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、90:4.8:5.2の質量比で混合した。当該混合物にNMPを加え、混合機(プライミクス株式会社製、T.K.ハイビスミックス)を用いて攪拌し、負極合剤スラリーC1を調製した。次に、負極集電体であるアルミニウム箔上に負極合剤スラリーC1を塗布し、塗膜を乾燥させて、第1負極合剤層を形成した。
[0076]
 組成式Li Ti 12で表されるリチウムチタン複合酸化物と、カーボンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、90:7.2:2.8の質量比で混合したこと以外は、上記方法と同様にして負極合剤スラリーC2を調製した。次に、第1負極合剤層上に負極合剤スラリーC2を第1負極合剤層と同じ厚みとなるように塗布し、塗膜を乾燥させて、第2負極合剤層を形成した。第1負極合剤層及び第2負極合剤層を圧延ロールにより圧延して、アルミニウム箔の両面に負極合剤層が形成された負極を作製した。負極における炭素材料の表面側含有比は60質量%であった。
[0077]
 [非水電解質の調製]
 プロピレンカーボネート(PC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)とを、25:35:40の体積比で混合した。当該混合溶媒に、Li[B(C ]を0.05モル/L、LiPF を1.2モル/Lの濃度となるように溶解させた。
[0078]
 [電池の作製]
 上記正極と上記負極それぞれにアルミニウムリードを取り付けた。ポリプロピレン製の微多孔膜をセパレータとして用い、セパレータを介して正極及び負極を渦巻き状に巻回した後、プレス成型した巻回型の電極体を作製した。この電極体をアルミ製ラミネートシートで構成される電池ケースに収容し、上記非水電解質を注入した後、電池ケースの開口部を封口して、定格容量が220mAhである、ラミネート型の非水電解質二次電池を作製した。
[0079]
 <実施例2>
 負極合剤スラリーC1の調製工程において、組成式Li Ti 12で表されるリチウムチタン複合酸化物と、カーボンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、90:3.6:6.4の質量比で混合したこと、負極合剤スラリーC2の調製工程において、組成式Li Ti 12で表されるリチウムチタン複合酸化物と、カーボンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、90:8.4:1.6の質量比で混合したこと以外は、実施例1と同様とした。負極における炭素材料の表面側含有比は70質量%であった。
[0080]
 <実施例3>
 負極合剤スラリーC1の調製工程において、組成式Li Ti 12で表されるリチウムチタン複合酸化物と、カーボンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、90:7.2:2.8の質量比で混合したこと、負極合剤スラリーC2の調製工程において、組成式Li Ti 12で表されるリチウムチタン複合酸化物と、カーボンブラック(導電材)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、90:4.8:5.2の質量比で混合したこと以外は、実施例1と同様とした。負極における炭素材料の表面側含有比は40質量%であった。
[0081]
 <実施例4>
 正極の作製工程において、第1正極活物質A1の代わりに、組成式Li 1.054Ni 0.199Co 0.597Mn 0.199Zr 0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第1正極活物質A2)を用いたこと以外は、実施例1と同様とした。BJH法を用いて測定した第1正極活物質A2の100nm以下細孔体積は8mm /gであった。
[0082]
 <実施例5>
 非水電解質の調製工程において、Li[B(C ]に代えてLi[P(C ]を用いたこと以外は実施例1と同様とした。
[0083]
 <比較例1>
 正極の作製工程において、第1正極活物質A1の代わりに、組成式Li 1.054Ni 0.199Co 0.597Mn 0.199Zr 0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第1正極活物質A2)を用いたこと、第1正極活物質A2と、第2正極活物質B1とを、質量比40:60で混合して混合物を得たこと以外は、実施例1と同様とした。第1正極活物質A2及び第2正極活物質B1の総量に対する第1正極活物質A2の含有比率は40質量%であった。
[0084]
 <比較例2>
 正極の作製工程において、第1正極活物質A1の代わりに、組成式Li 1.054Ni 0.199Co 0.597Mn 0.199Zr 0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第1正極活物質A3)を用いたこと、及び、第2正極活物質B1の代わりに、組成式Li 1.067Ni 0.498Co 0.199Mn 0.299Zr 0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第2正極活物質B2)を用いたこと以外は、実施例1と同様とした。BJH法を用いて測定した第1正極活物質A3の100nm以下細孔体積は6mm /gであり、第2正極活物質B2の100nm以下細孔体積は1.5mm /gであった。
[0085]
 <比較例3>
 正極の作製工程において、第1正極活物質A1の代わりに、組成式Li 1.054Ni 0.199Co 0.597Mn 0.199Zr 0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第1正極活物質A2)を用いたこと、及び、第2正極活物質B1の代わりに、組成式Li 1.067Ni 0.498Co 0.199Mn 0.299Zr 0.005で表される層状リチウム遷移金属酸化物(第2正極活物質B3)を用いたこと以外は、実施例1と同様とした。BJH法を用いて測定した第2正極活物質B3の100nm以下細孔体積は2.7mm /gであった。
[0086]
 <比較例4>
 非水電解質の調製工程において、Li[B(C ]を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様とした。
[0087]
 [充放電サイクル試験]
 上記で作製した実施例及び比較例の各電池について、以下の充放電サイクル試験を行った。各電池につき、60℃の温度条件下において、電流値1100mAで2.65Vになるまでの定電流充電、15分間の休止期間、電流値1100mAで1.5Vになるまでの定電流放電、及び、15分間の休止期間からなる充放電サイクルを、500回繰り返した。
[0088]
 [ガス発生量の評価]
 上記充放電サイクル試験前後の各電池について、アルキメデス法に基づき、大気中における電池質量と水中における電池質量の差を測定し、電池にかかる浮力(体積)を算出した。充放電サイクル試験前の浮力と試験後の浮力の差をガス発生量とした。その結果を表1に示す。なお、ガス発生量は、比較例4における値を100とした時の比率で表した。
[0089]
[表1]


[0090]
 表1の結果から明らかなように、負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む負極を用いた非水電解質二次電池において、100nm以下細孔体積が8mm /g以上である第1正極活物質及び100nm以下細孔体積が5mm /g以下である第2正極活物質を含み、第1/第2細孔体積比率が4倍以上であり、第1正極活物質の含有量が第1正極活物質及び第2正極活物質の総量に対して30質量%以下である正極を用い、且つ、オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含む非水電解質を用いた実施例1~5の電池は、上記構成のいずれか1つを満たしていない比較例1~4の電池と比較して、充放電サイクルに伴うガス発生を抑制することができた。
[0091]
 実施例1~5の比較結果から、Li[B(C ]を用いることや負極活物質層における炭素材料の表面側含有比を60質量%以上とすることで、充放電サイクルに伴うガス発生をより抑制することができると言える。

符号の説明

[0092]
10 非水電解質二次電池
11 電池ケース
12 電極体
13 収容部
14 封止部
15 正極端子
16 負極端子
20 正極
21 正極集電体
22 正極合剤層
22a 表面側領域
22b 集電体側領域
30 負極
31 負極集電体
32 負極合剤層
32a 表面側領域
32b 集電体側領域
40 セパレータ

請求の範囲

[請求項1]
 第1正極活物質及び第2正極活物質を含む正極合剤層を有する正極と、
 負極活物質としてリチウムチタン複合酸化物を含む負極合剤層を有する負極と、
 オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩を含む非水電解質と、を備え、
 前記第1正極活物質は、Co含有リチウム遷移金属酸化物であり、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が8mm /g以上であり、
 前記第2正極活物質は、細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積が5mm /g以下であり、
 前記第1正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積は、前記第2正極活物質における細孔径が100nm以下である細孔の質量当たりの体積に対して4倍以上であり、
 前記第1正極活物質の含有量が、前記第1正極活物質及び前記第2正極活物質の総量に対して30質量%以下であり、
 前記オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩は、一般式Li[M(C ](式中、MはB又はPであり、Rはハロゲン、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基から選択される基であり、xは正の整数、yは0又は正の整数である)で表される、非水電解質二次電池。
[請求項2]
 前記負極合剤層は炭素材料を含み、
 前記負極合剤層の表面から半分の厚さまでの間の負極合剤層中の前記炭素材料の含有量は、前記炭素材料の総量に対して60質量%~80質量%である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
[請求項3]
 前記第1正極活物質は、一般式Li 1+xCo 2+c(式中、x、a、b及び
cは、a+b=1、-0.2≦x≦0.4、0<a≦1、-0.1≦c≦0.4の条件を満たし、Mは、Ni、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む金属元素である)で表される層状リチウム遷移金属酸化物であり、
 前記第2正極活物質は、一般式Li 1+x2+b(式中、x、a及びbは、a=1、-0.2≦x≦0.4、-0.1≦b≦0.4の条件を満たし、Mは、Ni、Co、Mn及びAlからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む金属元素である)で表される層状リチウム遷移金属酸化物である、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
[請求項4]
 前記非水電解質中の前記オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩の濃度は、0.01mol/L~0.2mol/Lである、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
[請求項5]
 前記オキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩は、リチウム-ビス(オキサラト)ボレート(Li[B(C ])である、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]