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1. (WO2018056026) ELECTRIC WINCH DEVICE
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明 細 書

発明の名称 電動ウインチ装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006  

先行技術文献

特許文献

0007  

発明の概要

0008   0009  

図面の簡単な説明

0010  

発明を実施するための形態

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091  

請求の範囲

1   2   3   4   5  

図面

1   2   3   4   5  

明 細 書

発明の名称 : 電動ウインチ装置

技術分野

[0001]
 本発明は、建設機械に搭載される電動ウインチ装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 クレーン等の建設機械に用いられるウインチドラムには、通常、整列状態でワイヤーロープが巻き回されている。このことは、ウインチドラムから繰り出され、あるいはウインチドラムに巻き取られるワイヤーロープのねじれや曲げを防止し、また、ワイヤーロープ同士の不必要な接触を抑制することを可能にし、その結果、ワイヤーロープの長寿命化を可能にする。
[0003]
 従来、吊荷の巻下げ時に乱巻が発生することが知られている。当該乱巻は、ウインチドラムにおけるワイヤーロープの整列状態が乱れる現象である。この吊荷の巻下げ時の乱巻は、何らかの要因によってワイヤーロープに弛みが生じ、その状態でウインチドラムが回転することによって発生する。
[0004]
 下記特許文献1には、ウインチ装置における吊荷の巻下げ時のワイヤーロープの乱巻を防止するための技術が開示されている。具体的に、特許文献1は、ウインチドラムの巻下げ操作の起動時におけるワイヤーロープの乱巻を防止するための乱巻防止装置を開示している。この乱巻防止装置は、ウインチドラムから繰り出されるワイヤーロープに作用する実ロープ張力と予め設定される乱巻発生張力とを比較し、実ロープ張力が乱巻発生張力以下の場合にウインチドラムを回転させる油圧モータの最大回転速度を低く抑えることで実ロープ張力が乱巻発生張力以下にならないようにしてワイヤーロープの弛みを防止し、それによって乱巻の発生を防止している。
[0005]
 一方、従来の油圧式ウインチ装置に対して新規なウインチ装置として、電動モータでウインチドラムを駆動する電動ウインチ装置が開発されている。この電動ウインチ装置においても吊荷の巻下げ時にワイヤーロープの乱巻が発生する問題点がある。特に、巻下げられた吊荷が着床したときにワイヤーロープに弛みが生じて乱巻が発生するという現象が発見されており、この吊荷の着床時に生じるワイヤーロープの乱巻を防止するための技術が求められている。
[0006]
 前記特許文献1の技術は、ウインチドラムの巻下げ操作の起動時に生じる乱巻を防止する技術であり、この技術で吊荷の着床時の乱巻の発生を防止することは難しい。そもそも、当該特許文献1の乱巻防止のための技術は油圧式ウインチ装置における油圧モータの制御を前提とするものであるから、電動ウインチ装置に適用されることは不可能である。

先行技術文献

特許文献

[0007]
特許文献2 : 特開平11-139774号公報

発明の概要

[0008]
 本発明は、巻下げられた吊荷の着床により発生するワイヤーロープの乱巻を防止可能な電動ウインチ装置を提供することを目的とする。
[0009]
 提供されるのは、建設機械に搭載される電動ウインチ装置であって、吊荷を吊り下げるためのワイヤーロープが巻回されたウインチドラムと、前記ウインチドラムにトルクを与えることにより前記吊荷を巻き上げる回転方向である巻上方向及び前記吊荷を巻き下げる回転方向である巻下方向のいずれの方向にも当該ウインチドラムを回転させることが可能な電動モータと、基準位置から前記吊荷の巻上げを指示するための操作方向である巻上操作方向と前記吊荷の巻下げを指示するための操作方向である巻下操作方向とに変位可能な操作部であって、当該操作部を前記巻上操作方向に変位させる巻上操作と当該操作部を前記巻下方向に変位させる巻下操作とを受ける操作部と、前記ワイヤーロープの張力の指標値である張力指標値を計測する計測部と、前記操作部に与えられる操作に応じて前記ウインチドラムを前記巻上方向又は前記巻下方向に回転させるように前記電動モータの作動を制御するコントローラと、を備える。前記コントローラは、前記操作部が前記巻下操作方向に操作された状態で、前記計測部により計測された前記張力指標値の所定期間における平均値に対応する前記ワイヤーロープの張力の平均値である張力平均値が所定の張力基準値以下になった場合に前記電動モータの作動を停止させる停止処理を実行する。

図面の簡単な説明

[0010]
[図1] 本発明の一実施形態による電動ウインチ装置の構成を示す図である。
[図2] 図1に示した電動ウインチ装置のコントローラの内部構成を示すブロック図である。
[図3] 本実施形態による電動ウインチ装置の乱巻防止のための制御のフローチャートである。
[図4] 吊荷の巻下操作の過程で吊荷が着床するときに本実施形態による電動ウインチ装置の乱巻防止のための技術が適用されない場合の電動ウインチ装置の挙動を示す波形図である。
[図5] 吊荷の巻下操作の過程で吊荷が着床するときの本実施形態による電動ウインチ装置の挙動を示す波形図である。

発明を実施するための形態

[0011]
 図1には、本発明の一実施形態による電動ウインチ装置の構成が示されている。本実施形態による電動ウインチ装置は、建設機械としてのクレーンに設けられ、吊荷4の巻上又は巻下を行う。
[0012]
 前記クレーンは、図略のクレーン本体と、当該クレーン本体に起伏可能に支持されるブーム1と、電動ウインチ装置と、を備えている。ブーム1は先端を有し、当該先端からワイヤーロープ2を介してフック3が吊り下げられる。フック3はワイヤーロープ2の先端に接続され、当該フック3に吊荷4が引掛けられて吊られる。前記電動ウインチ装置は、前記クレーン本体に設置されている。
[0013]
 前記電動ウインチ装置は、ウインチドラム5と、ブレーキ6と、減速機7と、電動モータ8と、インバータ9と、電源10と、回生抵抗11と、コントローラ12と、操作レバー装置13と、荷重計15と、ドラム回転計16と、ブーム角度計17と、電流計18と、入力装置20と、を備える。前記電動モータ8は、前記ウインチドラム5を巻上方向及び巻下方向のいずれにも回転させることが可能であり、これによりワイヤーロープ2を介して吊荷4の巻上又は巻下を行う。
[0014]
 前記ワイヤーロープ2は、前記ウインチドラム5の周囲に巻回されている。前記電動モータ8は回転軸8aを有し、当該回転軸8aに前記減速機7を介して前記ウインチドラム8が接続されている。ウインチドラム5は、電動モータ8から与えられるトルクにより回転する。ウインチドラム5は、回転軸5aを有している。
[0015]
 前記ブレーキ6は、前記ウインチドラム5の回転を制動するために前記回転軸5aに接続されている。当該ブレーキ6は、メカニカルブレーキであり、コントローラ12による制御を受けて、ウインチドラム5の回転を制動する制動状態と、ウインチドラム5の制動を解放する解放状態とに切り換えられる。ブレーキ6には、例えば、バンド式或いは湿式ディスク式のブレーキが採用されることが可能である。
[0016]
 前記ウインチドラム5は、前記巻上方向に回転することにより前記ワイヤーロープ2を巻き取り、それによって吊荷4を巻き上げる。ウインチドラム5は、前記巻上方向と逆の方向である前記巻下方向に回転することによりワイヤーロープ2を繰り出し、それによって吊荷4を巻き下げる。
[0017]
 前記電動モータ8は、例えば、三相モータである。前記電動モータ8は、前記インバータ9に電気的に接続され、そのインバータ9は前記電源10に電気的に接続されている。すなわち、電動モータ8は、インバータ9を介して電源10に電気的に接続されている。電動モータ8は、インバータ9を経由して電源10から供給されかつインバータ9により制御される電力により駆動され、その電力に対応したトルクをウインチドラム5に与えることによりこれを巻下方向及び巻上方向のいずれにも駆動することが可能である。当該トルクは、電動モータ8から回転軸8a及び減速機7を介してウインチドラム5の回転軸5aに伝達され、これによりウインチドラム5を巻上方向又は巻下方向に回転させる。
[0018]
 前記インバータ9は、例えば、U,V,W相のそれぞれに2つずつ割り当てられた複数のスイッチング素子、すなわち合計6個のスイッチング素子、を含む三相インバータで構成されている。インバータ9は、コントローラ12から入力される制御信号にしたがって電動モータ8の作動を制御する。
[0019]
 前記減速機7は、電動モータ8の回転軸8aの回転速度を所定の減速比で減速しながら当該回転軸8aの回転力をウインチドラム5の回転軸5aへ伝える。
[0020]
 電源10は、例えば、クレーンに搭載されるバッテリである。或いは、電源10は、クレーンに搭載されたプラグイン端子に接続される外部電源であってもよい。
[0021]
 前記回生抵抗11は、前記インバータ9に電気的に接続されている。この回生抵抗11は、電源10が回生しきれない余剰電力を消費することにより、電力調整を行う。本実施形態では、この回生抵抗11の機能により電動モータ8に回生ブレーキが掛けられる。
[0022]
 前記コントローラ12は、例えば、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータで構成される。前記操作レバー装置13は後述のように中立位置から巻下操作方向または巻上操作方向のいずれにも変位することが可能な操作部の一例である操作レバー13aを有する。前記コントローラ12は、前記操作レバー13aに与えられる前記操作による当該操作レバー13aの変位量であるレバー操作量に応じた回転速度で電動モータ8が作動するようにインバータ9を制御する。前記コントローラ12は、前記操作レバー13aが前記中立位置にあるときにはブレーキ6を制動状態にし、操作レバー13aにこれを前記中立位置から巻下操作方向または巻上操作方向に変位させる操作が与えられることに応じてブレーキ6を解放状態にする。
[0023]
 前記コントローラ12には、前記荷重計15、前記ドラム回転計16、前記ブーム角度計17及び前記電流計18を含む複数のセンサが接続されている。コントローラ12は、荷重計15、ドラム回転計16及びブーム角度計17の計測値に基づいて吊荷4の状態を把握する。
[0024]
 前記コントローラ12は、前記インバータ9が前記電動モータ8に供給する電流の計測値を電流計18から取得し、その取得した電流の計測値からウインチドラム5に発生するトルクを計算する。
[0025]
 前記操作レバー装置13は、吊荷4の巻上げ及び巻下げを指示するための装置である。当該操作レバー装置13の前記操作レバー13aには、ウインチドラム5を吊荷4の巻上方向へ回転させるための操作及びウインチドラム5を吊荷4の巻下方向へ回転させるための操作のいずれもが与えられる。操作レバー13aは、本発明における操作部の一例である。操作レバー13aは、例えば、中立位置を中心に前後或いは左右に傾倒するように操作される。中立位置は、本発明における操作レバーの基準位置の一例である。操作レバー13aに与えられる操作のうち当該操作レバー13aを前記中立位置から巻下操作方向に変位させる操作が吊荷4の巻下げを指示するための巻下操作であり、操作レバー13aを中立位置から前記巻下操作方向と反対の方向である巻上操作方向に変位させる操作が吊荷4の巻上げを指示するための巻上操作である。
[0026]
 前記操作レバー装置13は、操作レバー13aにこれを中立位置から巻下操作方向に変位させる操作(巻下操作、例えば傾倒操作)が与えられると、その操作レバー13aの中立位置からの変位量である操作量(例えば傾倒角度)を表す信号を生成してコントローラ12に入力する。また、操作レバー装置13は、操作レバー13aがこれを中立位置から巻上操作方向に変位させる操作(巻上操作、例えば傾倒操作)が与えられると、その操作レバー13aの中立位置からの変位量である操作量(例えば傾倒角度)を表す信号を生成してコントローラ12に入力する。前記巻下操作方向への操作レバー13aの操作量及び巻上操作方向への操作レバー13aの操作量にそれぞれ負の符号及び正の符号が与えられる。当該符号は、操作レバー13aの操作方向の判別を可能にする。
[0027]
 前記荷重計15は、例えば、ブーム1の起伏姿勢を保持する起伏ロープに取り付けられ、あるいは、起伏ロープを介してブーム1を起伏させる図略の起伏ドラムに取り付けられる。この荷重計15は、起伏ロープに加わる荷重や起伏ロープから起伏ドラムに加わる荷重を計測する。この荷重計15による荷重の計測値は、吊荷4が停止している状態でのワイヤーロープ2の張力や吊荷4及びフック3の重量を推測するために用いられる。コントローラ12は、荷重計15による計測値を逐次取得し、取得した計測値から所定の演算式を用いてワイヤーロープ2の張力と吊荷4及びフック3の重量とを算出する。
[0028]
 前記ドラム回転計16は、ウインチドラム5の単位時間当たりの回転数を逐次検出し、検出した回転数のデータをコントローラ12に逐次入力する。
[0029]
 前記ブーム角度計17は、前記ブーム1の起伏角度を逐次検出し、検出した起伏角度のデータをコントローラ12に逐次入力する。
[0030]
 前記電流計18は、インバータ9から電動モータ8に供給される電流の値を逐次計測し、計測した電流値のデータをコントローラ12に逐次入力する。前記電流計18は、例えば、インバータ9と電動モータ8とを相互に繋ぐ電力線に設けられている。電流計18は本発明における計測部の一例であり、この電流計18により計測される電流値は本発明における張力指標値の一例である。
[0031]
 入力装置20は、操作者が電動ウインチ装置の作動モードの指定をコントローラ12に入力するために用いられる装置である。この入力装置20は、例えば、運転室内に設置されたタッチパネル式やその他の方式の入力装置である。電動ウインチ装置の作動モードとしては、クレーンにおいて通常のクレーン作業(吊作業)を行うための通常作業モード、吊荷4の巻下げを目的とせずにウインチドラム5からワイヤーロープ2を繰り出させるための繰り出しモード、吊荷4のフリーフォールを行うためのフリーフォールモードなどが設定されている。入力装置20は、これらの複数の作動モードの中から選ばれる1つの作動モードの指定をコントローラ12に入力する。
[0032]
 入力装置20によりコントローラ12に入力される作動モードの入力のうち、繰り出しモード以外の作動モードの指定の入力、すなわち通常作業モードやフリーフォールモードなどの指定の入力は、本発明において吊荷4の着床時の電動モータ8の停止処理の実行を指示するための停止入力の一例である。入力装置20が通常作業モードやフリーフォールモードではなく繰り出しモードの指定の入力をしている場合は、本発明において入力装置20が停止入力を受けていない場合の一例である。
[0033]
 前記操作者は、設定された複数の作動モードから所望の作動モードを選択し、その選択した作動モードの指定のためのモード指定信号を前記入力装置20を用いて前記コントローラ12に入力する。コントローラ12は、入力装置20から入力された前記モード指定信号に対応する作動モードに応じた電動モータ8の制御を行う。コントローラ12は、入力装置20から繰り出しモード以外の作動モードの指定の入力を受けている場合、すなわち入力装置20からコントローラ12に入力されるモード指定信号が繰り出しモード以外の作動モードを指定する信号である場合には、電動モータ8を停止させる停止処理を実行する。また、コントローラ12は、入力装置20から入力されるモード指定信号が繰り出しモードを指定するものでない場合には、前記停止処理を実行しない。従って、本実施形態では、電動ウインチ装置の作動モードと電動モータ8の停止処理の実行と非実行とが互いに関連付けられている。
[0034]
 図2は、図1に示した電動ウインチ装置のコントローラ12の機能を示すブロック図である。コントローラ12は、速度制御部121、電流制御部122、速度計算部123、及びウインチ制御部124を備える。コントローラ12は、操作レバー13aの操作量に応じた回転速度で電動モータ8を作動させるような電動モータ8の速度制御を行うことが可能である。
[0035]
 速度制御部121は、速度計算部123から入力される電動モータ8の回転速度と、ウインチ制御部124から入力される速度指令値との偏差を0にするようなトルク指令を生成して電流制御部122にする。本実施形態では、ウインチドラム5を巻下方向に回転させる方向の電動モータ8の回転の速度及びウインチドラム5を巻上方向に回転させる方向の電動モータ8の回転の速度にそれぞれ負の符号及び正の符号が与えられ、当該符号は、電動モータ8の回転速度が巻上方向の速度及び巻下方向の速度のいずれであるかの判別を可能にする。これに対応して巻下方向の速度指令値及び巻上方向の速度指令値にそれぞれ負の符号及び正の符号が与えられ、当該符号は、前記速度指令値が巻下方向と巻上方向のいずれの方向の指令値であるかの判別を可能にする。
[0036]
 前記電流制御部122は、前記速度制御部121から入力されたトルク指令に基づいて目標電流値を決定し、決定した目標電流値と電流計18により計測された電流値との偏差を0にするための制御信号を生成してインバータ9に入力する。
[0037]
 前記制御信号は、例えばU,V,W相のそれぞれに対応する複数の相別制御信号で構成され、当該複数の相別制御信号はインバータ9を構成するU,V,W相のスイッチング素子の制御端子にそれぞれ入力される。スイッチング素子の制御端子としては、例えば、トランジスタのゲートやベースが該当する。
[0038]
 前記速度計算部123は、前記電動モータ8におけるロータの位置についての情報を受け取り、当該位置の時間微分をすることで、電動モータ8の回転速度を算出する。前記電動モータ8は、例えばエンコーダ81を内蔵し、前記位置についての情報は前記エンコーダ8から前記速度計算部123に逐次入力される。
[0039]
 前記ウインチ制御部124は、例えば、操作レバー13aの操作量と速度指令値との関係について規定された速度指令マップを格納し、当該速度指令マップを用いて、操作レバー装置13から入力される信号が表す操作レバー13aの操作量に応じた速度指令値を決定し、その決定した速度指令値を前記速度制御部121に入力する。前記速度指令値は、例えば、操作レバー13aが中立位置にある場合には0であり、操作レバー13aの中立位置から巻下操作方向への操作の量(例えば傾倒量)が増大するにつれてマイナスの方向に増大し、操作レバー13aの中立位置から巻上方向への操作の量(例えば傾倒量)が増大するにつれてプラスの方向に増大する値である。
[0040]
 前記ウインチ制御部124は、操作レバー13aが中立位置にある時、すなわち操作レバー装置13から入力される信号が表す操作レバー13aの操作量が0である時には、ブレーキ6を制動状態にするためのブレーキ制御信号をブレーキ6に入力する。また、ウインチ制御部124は、操作レバー13aが中立位置から巻下操作方向または巻上操作方向へ操作された時、すなわち操作レバー装置13から入力される信号が表す操作レバー13aの操作量の絶対値が0から増加した時には、ブレーキ6を解放状態にするためのブレーキ制御信号をブレーキ6に入力する。
[0041]
 更に、ウインチ制御部124は、荷重計15、ドラム回転計16及びブーム角度計17から入力される計測値にしたがって、吊荷4の状態を把握する。
[0042]
 前記エンコーダ81は、モータ回転計の一例であり、例えば、ロータリーエンコーダである。エンコーダ81は、電動モータ8のロータの基準位置からの回転量を位置情報として逐次計測し、その計測した回転量からなる位置情報を速度計算部123に逐次入力する。
[0043]
 この実施形態に係るコントローラ12は、以上説明した基本制御動作に加え、巻下げられた吊荷4の着床に伴って前記停止処理すなわちウインチドラム5の巻下方向への回転を停止するように電動モータ8の作動を停止させる処理を行う。
[0044]
 具体的に、コントローラ12は、電流計18により計測される電流値に基づいて電動モータ8がウインチドラム5に付与するトルクをワイヤーロープ2の張力に対応する値として算出するとともに、所定期間(所定時間長さ)における当該トルクの平均値を所定期間におけるワイヤーロープ2の張力の平均値に対応する値として算出し、操作レバー13aが巻下操作方向に操作された状態で前記のように算出されたトルク平均値に対応する張力の平均値が所定の張力基準値以下になった場合に前記停止処理すなわちインバータ9に電動モータ8の作動を停止させる処理を実行する。
[0045]
 コントローラ12は、例えば下記のように、電動モータ8からウインチドラム5に付与されるトルクを算出する。電流計18が例えばU,V,W相のそれぞれの電流値を計測する場合、ウインチ制御部124は、電流計18から入力されるU,V,W相の電流の計測値をd軸、q軸の電流値に変換し、q軸の電流値に所定の変換係数を乗じた値をワイヤーロープ2の張力に対応したトルクとして算出する。この場合、電流計18は本発明における計測部の一例に該当する。前記変換係数は、q軸の電流値を前記ウインチドラム5に付与されるトルクに変換するための係数である。当該変換係数としては、減速機7の減速比及び減速機7の機械的な影響を考慮した値が採用される。
[0046]
 次に、図3に示されるフローチャートを参照して、本実施形態に係る電動ウインチ装置で行われる吊荷4の着床時のワイヤーロープ2の乱巻防止のための制御について説明する。
[0047]
 まず、コントローラ12は、電動ウインチ装置の作動モードとして繰り出しモードが選択されているか否かを判断する(図3のステップS1)。具体的には、コントローラ12は、入力装置20から当該コントローラ12に入力されているモード指定信号が繰り出しモードを指定するものである場合に、電動ウインチ装置の作動モードとして繰り出しモードが選択されていると判断する。一方、コントローラ12は、入力装置20から当該コントローラ12に入力されるモード指定信号が繰り出しモード以外の作動モードを指定するものである場合には、電動ウインチ装置の作動モードとして繰り出しモードが選択されていないと判断する。
[0048]
 コントローラ12は、電動ウインチ装置の作動モードとして繰り出しモードが選択されていない、換言すれば、繰り出しモード以外の作動モードが選択されていると判断した場合には(ステップS2でNO)、次に、操作レバー13aの中立位置から巻下方向への操作量が所定の操作量基準値以上であるか否かを判断する(ステップS2)。一方、コントローラ12は、電動ウインチ装置の作動モードとして繰り出しモードが選択されていると判断した場合には(ステップS2でYES)、ウインチドラム5の巻下方向への回転を停止させるための電動モータ8の停止処理の解除(後述)を行う(ステップS6)。この停止処理の解除は、クレーンの状態や作業内容の関係で操作者がウインチドラム5からワイヤーロープ2を繰り出させるべく前記繰り出しモードを選択したときに、前記電動モータ8の停止処理の機能を解除して前記ワイヤーロープ2の繰り出しを可能にするためのものである。
[0049]
 前記ステップS2において、コントローラ12は、操作レバー装置13から入力される信号が示す操作レバー13aの操作量を読み取り、その操作量が操作量基準値以上であるか否かを判断する。コントローラ12は、操作レバー13aの操作量が操作量基準値以上であると判断した場合には(ステップS2でYES)、次に、所定期間におけるワイヤーロープ2の張力の平均値、すなわち前記トルクの平均値に対応する張力平均値、が所定の張力基準値以下であるか否かを判断する(ステップS3)。一方、コントローラ12は、操作レバー13aの操作量が操作量基準値以上ではないと判断した場合には(ステップS2でNO)、前記停止処理の解除、すなわち、後に詳述するように前記ウインチドラム5の巻下方向への回転を停止させるために電動モータ8を停止させる処理の解除、を行う(ステップS6)。この停止処理の解除は、操作レバー13aの巻下操作方向の操作量が前記操作量基準値未満であるような僅かな量である場合に、電動モータ8の停止処理を実行せずにそのような微小操作に対応したウインチドラム5の僅かな巻下方向の回転を許容することを可能にする。
[0050]
 図5には記載していないが、コントローラ12は、前記したように、電流計18により計測された電流値に基づいて電動モータ8がウインチドラム5に付与するトルクをワイヤーロープ2の張力に相当する値として逐次算出するとともに、所定期間における前記トルクの平均値を当該所定期間におけるワイヤーロープ2の張力の平均値に相当する値として算出する。コントローラ12は、前記ステップS3では、そのように算出したトルクの平均値に対応する張力が予め設定された張力基準値以下であるか否かを判断する。張力基準値は、フック3の重量に相当する荷重よりも小さい値に設定されている。この判断は、実際には、前記トルクの平均値に対応する張力平均値と前記張力基準値との直接の比較に基づいて行われてもよいし、あるいは、前記トルクの平均値と前記張力基準値に対応するトルク基準値との比較に基づいて行われてもよい。前記のようにワイヤーロープ2の張力の平均値に相当する値としてトルクの平均値を用いることは、瞬間的な振動やノイズ、風によるあおり等の原因で負荷が瞬間的に変動する場合に電動モータ8の停止処理が実行される可能性を除外することを可能にする。
[0051]
 コントローラ12は、前記ワイヤーロープ2の張力の平均値が前記張力基準値以下である場合には、前記停止処理すなわちウインチドラム5の巻下方向の回転を停止させるために電動モータ8を停止させる処理を開始する(ステップS4)。一方、前記トルクの平均値が張力基準値よりも大きい場合には、コントローラ12は、前記ステップS2以降の処理を再度実行する。
[0052]
 電動モータ8の前記停止処理は、操作レバー13aに巻下操作方向の操作が与えられているにもかかわらず、すなわち操作レバー装置13からマイナスの操作量を示す信号が入力されているにもかかわらず、当該コントローラ12のウインチ制御部124が速度制御部121に0の速度指令値を入力することにより行われる。これにより、電動モータ8の回転速度を0にする電動モータ8の速度制御が行われる。つまり、操作レバー13aが巻下操作方向に操作されているにも関わらず電動モータ8の作動を停止させる制御が行われる。
[0053]
 前記停止処理を開始した後、コントローラ12は、操作レバー13aがまだ巻下操作中であるか否かを判断する(ステップS5)。具体的に、コントローラ12は、操作レバー装置13から入力される信号が示す操作レバー13aの巻下操作方向への操作量が前記操作量基準値以上であるか否かを判断する。コントローラ12は、操作レバー13aの巻下方向への操作量が前記操作量基準値以上である間すなわち操作レバー13aが巻下操作されている間は前記停止処理を解除せず(ステップS5でNO)、操作レバー13aの巻下方向への操作量が操作量基準値未満となった時点で(ステップS5でNO)電動モータ8の停止処理の解除を行う(ステップS6)。
[0054]
 前記停止処理の解除は前記ウインチ制御部124により行われる。具体的に、当該ウインチ制御部124は、前記速度指令値として操作レバー13aの中立位置からの操作量に応じた値を速度制御部121に入力する。当該停止処理の解除は、電動モータ8の回転速度を操作レバー13aの操作量に応じた速度にするような電動モータ8の速度制御の実行を可能にする。停止処理の解除(ステップS6)後は前記ステップS1以降の処理が繰り返し行われる。
[0055]
 次に、吊荷4の巻下操作の過程で前記のような吊荷4の着床時における乱巻防止のための制御が行われるときの本実施形態に係る電動ウインチ装置の挙動について図4及び図5を参照して説明する。図4は、比較例に係る電動ウインチ装置の挙動を示す波形図であり、当該比較例では吊荷4の巻下操作の過程で吊荷4が着床するときに乱巻防止が行われない。図5は、吊荷の巻下操作の過程で吊荷が着床するときに乱巻防止のための制御が行われる本実施形態に係る電動ウインチ装置の挙動を示す波形図である。
[0056]
 図4及び図5において、波形(A)は操作レバー13aの操作量の時間的な推移を示し、波形(B)は速度指令値の時間的な推移を示し、波形(C)は所定期間におけるワイヤーロープ2の張力の平均値の時間的な推移を示し、波形(D)はブレーキ6の状態を示し、波形(E)は吊荷4の巻下時のウインチドラム5の回転速度の時間的な推移を示し、波形(F)は上下方向におけるフック3の位置の時間的な推移を示す。
[0057]
 巻下操作の開始前、すなわち時刻t0以前は、吊荷4は停止状態にある。このとき、操作レバー13aは中立位置にあるとともに、ブレーキ6は制動状態になっており、吊荷4の速度は0である。
[0058]
 この状態から、時刻t0において、操作レバー13aにこれを中立位置から巻下操作方向に変位させる巻下操作が与えられ、それに応じて、コントローラ12のウインチ制御部124は、ブレーキ6を制動状態から解放状態にする。また、前記巻下操作に伴って操作レバー装置13からウインチ制御部124に入力される信号が表す操作レバー13aの操作量が負となりかつその絶対値が増加する。これに応じて、コントローラ12は、電動モータ8の回転速度が操作レバー13aの操作量に応じた回転速度になるように電動モータ8の速度制御を開始する。すなわち、当該コントローラ12の電流制御部122は電動モータ8の回転速度を操作レバー13aの操作量に応じた回転速度にするような制御信号を生成してインバータ9に入力する。当該制御信号の入力を受けたインバータ9は前記速度制御を実行するために必要なトルクを発生させる電流を電動モータ8に入力する。ウインチドラム5には、電動モータ8が出力するトルクに減速機7の減速比及び減速機7の機械的な摩擦などの影響が加味されたトルクが付与される。これにより、時刻t0において、ウインチドラム5の巻下方向への回転が開始され、操作レバー13aの中立位置からの巻下操作方向の変位量である操作量に応じた吊荷4の巻下げが開始される。つまり、フック3の位置が下がり始める。
[0059]
 このような吊荷4及びフック3の降下中、すなわちウインチドラム5の巻下方向の回転中、コントローラ12の電流制御部122は、インバータ9が電動モータ8に供給している電流の値、すなわち電流計18による計測値、に基づいて、ウインチドラム5に与えられているトルクをワイヤーロープ2の張力に相当する値として算出するとともに、所定期間における前記トルクの平均値をその所定期間におけるワイヤーロープ2の張力に対応する値の平均値として算出する。
[0060]
 時刻t1において吊荷4の降下速度が目標値に到達した後は、この到達した目標値の降下速度を維持したまま吊荷4の巻下げを継続するように電線制御部122が電動モータ8の回転速度を制御する。
[0061]
 時刻t2において、吊荷4が着床する、すなわち、吊荷4が地面に到達する、より詳しくは吊荷4の下端が地面に接触する、と、吊荷4の速度が0になる。このとき、ワイヤーロープ2の張力は吊荷4の荷重分だけ急激に低下する。この状態で吊荷4の巻下げが継続され、時刻t3においてフック3が地面に着床する。フック3は、あるいは、地面ではなく吊荷4上に着床してもよい。いずれの場合も、当該フック3の着床はワイヤーロープ2に作用する当該フック3の荷重をなくしてワイヤーロープ2の張力をさらに急激に低下させる。
[0062]
 操作者は、通常、吊荷4が着床する前に操作レバー13aの巻下操作方向への操作量を低下させて吊荷4の降下を低速状態にしてから吊荷4及びフック3を着床させる作業を行い、これにより、ワイヤーロープ2の張力の低下が前記のような急激なものにならないようにする。しかし、吊荷4及びフック3の速度が低下する前にこれらが着床する場合、例えば、操作者が前記着床を認識せず操作レバー13aの巻下操作方向への操作量を低下させない場合や、操作レバー装置13のディテント機構により操作レバー13aが中立位置から巻下操作方向に外れた位置に止められていたりする場合があり得る。これらの場合、前記着床に伴ってワイヤーロープ2の張力が前記のように急激に低下する。
[0063]
 図4に示す比較例では、前記ワイヤーロープ2の張力の急低下にかかわらず、速度指令値が操作レバー13aの巻下方向への操作量に応じた値に維持され、その速度指令値に応じてウインチドラム5の巻下方向への回転速度が維持されるため、当該張力の急低下はワイヤーロープ2に弛みを生じさせてウインチドラム5におけるワイヤーロープ2の乱巻を発生させるおそれがある。
[0064]
 これに対し、図5に示す本実施形態では、ワイヤーロープ2の張力の平均値がフック3の重量に相当する荷重よりも小さい張力基準値以下になった時点で、ウインチ制御部124が、操作レバー13aが巻下操作方向へ操作されているにも関わらず、速度制御部121に入力する速度指令値を0にしてウインチドラム5の回転速度を0にする。このことは、ワイヤーロープ2の弛みを抑制してウインチドラム5におけるワイヤーロープ2の乱巻の発生を防止することを可能にする。
[0065]
 以上のように、本実施形態の電動ウインチ装置におけるコントローラ12のウインチ制御部124は、吊荷4の巻下げ時に操作レバー13aが巻下操作方向に操作された状態で所定期間におけるワイヤーロープ2の張力の平均値が張力基準値以下になった場合に、ウインチドラム5の巻下方向への回転が停止するようにインバータ9に電動モータ8の作動を停止させる制御を行うことにより、吊荷4及びフック3が着床してワイヤーロープ2の張力が低下したときにウインチドラム5の巻下方向への回転を停止させてワイヤーロープ2の弛みを抑制し、これにより、吊荷4及びフック3が着床したときに発生するワイヤーロープ2の乱巻を防止することができる。
[0066]
 また、本実施形態において電動モータ8の停止処理を実行するか否かを決定するための判断基準である張力基準値はフック3の重量に相当する荷重よりも小さい範囲で設定されており、このことは、吊荷4の着床時のワイヤーロープ2の乱巻防止のための電動モータ8の停止処理を確実に実行することを可能にする。具体的に、所定期間におけるワイヤーロープ2の張力の平均値がフック3の重量に相当する荷重よりも小さい値である状態は、吊荷4さらにはフック3が着床した状態であるから、ワイヤーロープ2の張力の平均値が前記のように設定された張力基準値以下になった場合に電動モータ8の停止処理を実行することにより、吊荷4の着床時の乱巻をより確実に防止することができる。
[0067]
 また、本実施形態に係るコントローラ12は、電流計18により計測された電動モータ8に供給される電流の値に基づいて、電動モータ8がウインチドラム5に付与するトルクをワイヤーロープ2の張力に相当する値として良好な精度で算出することができる。このように算出された値に基づいてワイヤーロープ2の乱巻防止のための電動モータ8の停止制御を高い精度で行うことができる。
[0068]
 例えば、吊荷を先端から吊るすブーム等の起伏部材を起伏ロープにて起伏させるための起伏ドラムに設けた荷重計による起伏ロープから起伏ドラムにかかる荷重の計測や、吊荷の巻上げ及び巻下げ用のウインチドラムの回転軸に設けたロードセル等による回転軸にかかる荷重の計測によってもワイヤーロープ2に加わる張力を間接的に推測することは可能である。しかし、これらの計測はワイヤーロープ2の張力の直接的な計測ではないため、高い精度で張力を推測することはできない。これに対し、前記実施形態に係るコントローラ12がワイヤーロープ2の張力に相当する値として算出するトルクは、前記のような間接的な計測に基づくワイヤーロープ2の張力の推測値に比べて、ワイヤーロープ2の張力の値をより直接的かつ高精度に表す値である。このことは、前記したようにワイヤーロープ2の乱巻防止のための本実施形態による電動モータ8の停止制御を高い精度で行うことを可能にする。
[0069]
 また、前記実施形態に係るコントローラ12は、ウインチドラム5の巻下方向への回転を停止させるための電動モータ8の停止処理を実行した後に操作レバー13aの巻下操作方向への操作量が操作量基準値未満になったときにインバータ9による電動モータ8の停止処理を解除することにより、操作者が、電動モータ8の停止処理が実行されてウインチドラム5の巻下方向への回転が停止された後に操作レバー13aを中立位置側へ戻して当該操作レバー13aの巻下操作方向への操作量を操作量基準値未満にすることで電動モータ8の停止処理を解除すること、及び、その後再び電動モータ8にウインチドラム5を巻下方向に回転させてワイヤーロープ2の繰り出し等を行わせること、を可能にする。
[0070]
 また、本実施形態の電動ウインチ装置では、操作者による操作を受けて入力装置20がコントローラ12に対して停止入力を行っていない場合、具体的には、通常作業モードやフリーフォールモードを指定するモード指定信号の入力を行っていない場合、例えば繰り出しモードを指定するモード指定信号の入力を行っている場合、コントローラ12は、ワイヤーロープ2の乱巻防止のための電動モータ8の停止処理を解除(キャンセル)することにより、例えば電動モータ8の停止処理の実行がクレーンにおいて行われる作業に好ましくないものである場合に、操作者がその電動モータ8の停止処理を自らの意思で解除することを可能にする。
[0071]
 本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は例えば次のような態様を包含する。
[0072]
 本発明に係る電動ウインチ装置は、クレーンに限らず、吊荷の巻上げ及び巻下げを行う機能を有する建設機械に広く適用されることが可能である。
[0073]
 本発明に係る電動ウインチ装置が入力装置を備える場合、当該入力装置は、前記実施形態に係る入力装置20のように作動モードの指定の入力を行うものと異なり、専ら停止入力、すなわち、ワイヤーロープ2の乱巻防止のための電動モータ8の停止処理の実行を指示するための入力、をコントローラに対して行う機能のみを備えたものであってもよい。この場合も、当該コントローラは、当該停止入力を受けた場合に電動モータの停止処理を実行し、当該停止入力を受けていない場合には電動モータの停止処理を実行しないことにより、上述と同様の効果を奏することができる。
[0074]
 あるいは、前記入力装置が前記停止入力と電動モータ8の停止処理の実行の禁止を指示するための禁止入力とをコントローラに選択的に入力するものであり、当該コントローラが、前記停止入力を受けた場合には前記のように電動モータの停止処理を実行し、前記禁止入力を受けた場合には当該停止処理を実行しないものでもよい。この態様では、前記入力装置が禁止入力を受けた場合が本発明において入力装置が停止入力を受けていない場合の一例である。
[0075]
 本発明に係る電動ウインチ装置が含む可能性のある入力装置は、タッチパネル式のものに限らず、例えば押しボタンや操作スイッチといった操作部材を含み、当該操作部材に与えられる操作に基づいて電動ウインチ装置の作動モードの指定のための信号や電動モータの停止処理の実行と非実行を切り換えるための信号をコントローラに入力するものでもよい。例えば、ワイヤーロープにより吊られるバイブロハンマやクラムシェル等の使用による土木作業では、操作レバーの操作量に関わらずワイヤーロープの張力が激しく変動する。この場合、所定期間におけるワイヤーロープの張力の平均値が頻繁に張力基準値以下になり、そのたびに電動モータが停止すると煩わしい。このような土木作業において、操作者は、入力装置に停止入力すなわち電動モータの停止処理の実行を指示するための入力を行わせないことにより、電動モータの頻繁な停止を回避することができる。
[0076]
 前記ウインチドラム5に付与されるトルクの取得は、前記実施形態のように電動モータ8に供給される電流の計測値に基づく算定に限定されない。例えば、電動モータ8が実際にウインチドラム5に付与するトルクを計測するトルクメータを当該電動モータ8に設けてもよい。当該トルクメータは本発明における計測部の一例であり、トルクメータによって計測されるトルクは本発明における張力指標値の一例である。あるいは、電源10からインバータ9に印加される電流値を電流計で計測してその計測した電流値から電動モータ8がウインチドラム5に付与するトルクを算出することも可能である。この場合の電流計は本発明における計測部の一例であり、その電流計によって計測される電流値は本発明における張力指標値の一例である。
[0077]
 前記実施形態に係る電流計18は、インバータ9または電動モータ8に内蔵されてもよい。
[0078]
 本発明において電源が回生しきれない余剰電力の消費による電力調整が行われる場合、当該消費は、前記実施形態に係る回生抵抗11での消費に限らず、例えば、キャパシタンスへの余剰電力の充電や、他の電気機器の作動への前記余剰電力の使用でもよい。
[0079]
 乱巻防止のための電動モータの停止処理を解除する解除条件は、電動ウインチ装置の作動モードが繰り出しモードであることや、操作レバーの巻下方向への操作量が操作量基準値以上ではないこと、に限定されず、これらの条件に代え、あるいは加えて他の条件が与えられてもよい。例えば、前記解除条件は、巻下操作方向に操作された操作レバーを中立位置側へ戻す操作が行われ、かつ、その操作を受けた操作レバーの位置の変化の速度が所定値以上であること、を含んでもよい。
[0080]
 本発明において吊荷の巻上げ/巻下げを指示するための操作を受ける操作部は、操作レバーに限定されず、例えば、押し操作を受けることにより基準位置からその操作方向に変位可能な操作ボタンや、基準位置から回動するように操作される操作ダイヤル、その他のものであってもよい。
[0081]
 以上のように、吊荷を巻き下げて当該吊荷が着床したときに発生するワイヤーロープの乱巻を防止可能な電動ウインチ装置が提供される。
[0082]
 提供されるのは、建設機械に搭載される電動ウインチ装置であって、吊荷を吊り下げるためのワイヤーロープが巻回されたウインチドラムと、前記ウインチドラムにトルクを与えることにより前記吊荷を巻き上げる回転方向である巻上方向及び前記吊荷を巻き下げる回転方向である巻下方向のいずれの方向にも当該ウインチドラムを回転させることが可能な電動モータと、基準位置から前記吊荷の巻上げを指示するための操作方向である巻上操作方向と前記吊荷の巻下げを指示するための操作方向である巻下操作方向とに変位可能な操作部であって、当該操作部を前記巻上操作方向に変位させる巻上操作と当該操作部を前記巻下方向に変位させる巻下操作とを受ける操作部と、前記ワイヤーロープの張力の指標値である張力指標値を計測する計測部と、前記操作部に与えられる操作に応じて前記ウインチドラムを前記巻上方向又は前記巻下方向に回転させるように前記電動モータの作動を制御するコントローラと、を備える。前記コントローラは、前記操作部が前記巻下操作方向に操作された状態で、前記計測部により計測された前記張力指標値の所定期間における平均値に対応する張力平均値が所定の張力基準値以下になった場合に前記電動モータの作動を停止させる停止処理を実行する。
[0083]
 この電動ウインチ装置に係るコントローラは、操作部に巻下操作が与えられて吊荷が巻き下げられている過程で吊荷が着床することにより所定期間におけるワイヤーロープの張力の平均値が張力基準値以下になったときに電動モータの作動を停止させてウインチドラムの巻下方向の回転を停止させることにより、前記吊荷の着床に伴うワイヤーロープの張力の低下に起因するワイヤーロープの弛みを抑制し、これにより、吊荷が着床したときに発生するワイヤーロープの乱巻を防止することができる。
[0084]
 前記電動ウインチ装置は、前記ワイヤーロープに接続されるフックであって当該フックに前記吊荷が掛けられるものをさらに備え、前記張力基準値は、前記フックの重量に相当する荷重よりも小さい値であることが好ましい。
[0085]
 前記のような張力基準値の設定は、吊荷の着床時のワイヤーロープの乱巻防止のための電動モータの停止処理を確実に実行することを可能にする。所定期間におけるワイヤーロープの張力の平均値がフックの荷重未満の値である状態は、吊荷さらにはその吊荷を吊るすフックが着床した状態であるため、当該状態において吊荷が着床したときの乱巻防止のための電動モータの停止処理をより確実に実行できる。
[0086]
 前記電動ウインチ装置において、前記計測部は、前記電動モータに供給される電流の値を前記張力指標値として逐次計測する電流計であり、前記コントローラは、前記電流計により計測された電流値に基づいて前記電動モータが前記ウインチドラムに付与するトルクを算出するとともに、その算出したトルクの前記所定期間における平均値を前記ワイヤーロープの張力の平均値に相当する値として算出することが好ましい。
[0087]
 この構成によれば、ワイヤーロープの張力の平均値に相当する値を良好な精度で算出することができ、その算出値に基づく電動モータの停止制御の精度を向上できる。例えば、クレーンのブーム等の起伏部材の姿勢を保持する起伏ロープ等の部材に取付けられた荷重計が計測する当該部材に加わる荷重の値や、起伏部材を起伏ロープを介して起伏させる起伏ドラムに取付けられた荷重計が計測する起伏ドラムに加わる荷重の値からワイヤーロープの張力を推測することも可能であるが、このように推測された値の精度はワイヤーロープの張力の直接的な計測により得られる値の精度より低い。前記コントローラが算出するトルクは、前記のような推測値に比べてワイヤーロープの張力値をより直接的にかつ高精度で表す値である。このような値の平均値に基づいてワイヤーロープの乱巻防止のための電動モータの停止制御をより高精度で実行することができる。
[0088]
 前記コントローラは、前記停止処理を実行した後、前記操作部の前記巻下操作方向への変位量である操作量が所定の操作量基準値未満になった場合に前記停止処理を解除することが、好ましい。
[0089]
 前記停止処理の解除は、電動モータの停止処理によるウインチドラムの巻下方向の回転の停止後、操作者が操作部を基準位置側へ戻してその操作部の巻下操作方向への操作量を操作量基準値未満にすることで電動モータの停止処理を解除し、さらに再び電動モータにウインチドラムを巻下方向に回転させてワイヤーロープの繰り出し等を行わせることを、可能にする。
[0090]
 前記電動ウインチ装置は、前記停止処理の実行を指示するための停止入力を前記コントローラに入力することが可能な入力装置をさらに備え、前記コントローラは、前記入力装置からの前記停止入力を受けた場合には前記停止処理を実行し、前記停止入力を受けていない場合には前記停止処理を実行しないものであることが、好ましい。
[0091]
 前記入力装置と前記コントローラの組合せは、操作者が入力装置を用いたコントローラへの停止入力を行わないことによりワイヤーロープの乱巻防止のための電動モータの停止処理を解除することを可能にする。このことは、例えば電動モータの停止処理が建設機械により行われる作業にとって好ましくない場合に、操作者がその電動モータの停止処理を自らの意思で解除することを可能にする。

請求の範囲

[請求項1]
 建設機械に搭載される電動ウインチ装置であって、
 吊荷を吊り下げるためのワイヤーロープが巻回されたウインチドラムと、
 前記ウインチドラムにトルクを与えることにより、前記吊荷を巻き上げる回転方向である巻上方向又は前記吊荷を巻き下げる回転方向である巻下方向のいずれの方向にも前記ウインチドラムを回転させる電動モータと、
 基準位置から前記吊荷の巻上げを指示するための操作方向である巻上操作方向と前記吊荷の巻下げを指示するための操作方向である巻下操作方向とに変位可能な操作部であって、当該操作部を前記巻上げ操作方向に変位させる巻上操作と当該操作部を前記巻下方向に変位させる巻下操作とを受ける操作部と、
 前記ワイヤーロープの張力の指標値である張力指標値を計測する計測部と、
 前記操作部に与えられる操作に応じて前記ウインチドラムを前記巻上方向又は前記巻下方向に回転させるように前記電動モータの作動を制御するコントローラと、を備え、
 前記コントローラは、前記操作部が前記巻下操作方向に操作された状態で、前記計測部により計測された前記張力指標値の所定期間における平均値に対応する前記ワイヤーロープの張力の平均値である張力平均値が所定の張力基準値以下になった場合に前記電動モータの作動を停止させる停止処理を実行する、電動ウインチ装置。
[請求項2]
 請求項1に記載の電動ウインチ装置であって、前記ワイヤーロープに接続されるフックであって当該フックに前記吊荷が掛けられるものをさらに備え、前記張力基準値は、前記フックの重量に相当する荷重よりも小さい値である、電動ウインチ装置。
[請求項3]
 請求項1又は2に記載の電動ウインチ装置であって、前記計測部は、前記電動モータに供給される電流の値を前記張力指標値として逐次計測する電流計であり、前記コントローラは、前記電流計により計測された電流値に基づいて前記電動モータが前記ウインチドラムに付与するトルクを算出し、その算出したトルクの前記所定期間における平均値を前記ワイヤーロープの張力の平均値に相当する値として算出する、電動ウインチ装置。
[請求項4]
 請求項1~3のいずれか1項に記載の電動ウインチ装置であって、前記コントローラは、前記停止処理を実行した後、前記操作部の前記中立位置からの前記巻下操作方向の変位量である操作量が所定の操作量基準値未満になった場合に、前記停止処理を解除する、電動ウインチ装置。
[請求項5]
 前記停止処理の実行を指示するための停止入力を前記コントローラに入力することが可能な入力装置をさらに備え、前記コントローラは、前記入力装置からの前記停止入力を受けた場合には前記停止処理を実行し、前記停止入力を受けていない場合には前記停止処理を実行しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の電動ウインチ装置。


図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]