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1. (WO2016190081) FILM OF CYCLOOLEFIN-BASED RESIN COMPOSITION
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明 細 書

発明の名称 環状オレフィン系樹脂組成物フィルム

技術分野

0001  

背景技術

0002  

先行技術文献

特許文献

0003  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0004   0005   0006   0007  

課題を解決するための手段

0008   0009  

発明の効果

0010  

図面の簡単な説明

0011  

発明を実施するための形態

0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052  

実施例

0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7  

図面

1   2   3  

明 細 書

発明の名称 : 環状オレフィン系樹脂組成物フィルム

技術分野

[0001]
 本発明は、環状オレフィン系樹脂と酸化防止剤とを含有する環状オレフィン系樹脂組成物フィルムに関する。本出願は、日本国において2015年5月28日に出願された日本出願番号特願2015-108605、及び日本国において2016年4月27日に出願された日本出願番号特願2016-89840を基礎として優先権を主張するものであり、これらの出願は参照されることにより、本出願に援用される。

背景技術

[0002]
 環状オレフィン系樹脂は、その主鎖に環状のオレフィン骨格を持った非晶性で熱可塑性のオレフィン系樹脂であり、優れた光学特性(透明性、低複屈折性)を持ち、低吸水性とそれに基づく寸法安定性、高防湿性といった、優れた性能を有している(例えば、特許文献1~5を参照)。そのため環状オレフィン系樹脂からなるフィルムもしくはシートは、各種光学用途、例えば位相差フィルム、偏光板保護フィルム、光拡散板等や、防湿包装用途、例えば医薬品包装、食品包装等への展開が期待されている。

先行技術文献

特許文献

[0003]
特許文献1 : 特開2001-139756号公報
特許文献2 : 特開2009-234982号公報
特許文献3 : 特開2004-156048号公報
特許文献4 : 特開2004-359819号公報
特許文献5 : 特開2000-86870号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0004]
 環状オレフィン系樹脂は、高ガラス転移点により、より高い温度で成形、加工することが必要となる。このような高温条件下で成形加工を行うと、得られる成形品が着色されて無色透明性が損なわれたり、上記成形品が樹脂(環状ポリオレフィン系樹脂)及び/又は添加剤(含有成分)の熱分解に起因する焼け(黒状)が生じたりする問題がある。
[0005]
 例えば、環状オレフィン系樹脂を用いてフィルムを溶融成形する場合、樹脂間のせん断によるゲルが発生しやすく、成形温度を高くする(例えば280~360℃)ことが必要であり、焼け(黒状)が発生することがある。透明導電性フィルムの基材のような薄膜品においては、僅かな焼けでも品質上問題となる。
[0006]
 そこで、環状ポリオレフィン系樹脂が有する優れた光学特性(レタデーション、ヘイズ)と靭性を保持しつつ、高温条件下で成形加工して得られる成形品に欠陥(例えば、酸化劣化による着色や、熱分解による焼け(黒状)など)を発生させないことが求められている。
[0007]
 本発明は、このような従来の実情の鑑みてなされたものであり、欠陥が少ない環状オレフィン系樹脂組成物フィルムを提供する。

課題を解決するための手段

[0008]
 本願発明者らは、鋭意検討の結果、酸化防止剤に含まれる特定イオンの含有量を所定値以下とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
[0009]
 すなわち、本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、環状オレフィン系樹脂と酸化防止剤とを含有し、上記酸化防止剤が以下の(1)~(3)の条件の少なくとも1つを満たす。
(1)上記酸化防止剤に含まれるリチウムイオンの含有量が0.4ppm以下である。
(2)上記酸化防止剤に含まれる陽イオンの含有量が0.9ppm以下である。
(3)上記酸化防止剤に含まれる塩化物イオンの含有量が0.1ppm以下である。

発明の効果

[0010]
 本発明によれば、酸化防止剤が上記(1)~(3)の条件の少なくとも1つを満たすことにより、環状オレフィン樹脂組成物フィルムの欠陥を抑制することができる。

図面の簡単な説明

[0011]
[図1] 図1は、酸化防止剤に含まれるリチウムイオンの含有量と欠陥数との関係を示すグラフである。
[図2] 図2は、酸化防止剤に含まれる陽イオンの含有量と欠陥数との関係を示すグラフである。
[図3] 図3は、酸化防止剤に含まれる塩化物イオンの含有量と欠陥数との関係を示すグラフである。

発明を実施するための形態

[0012]
 以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.環状オレフィン系樹脂組成物フィルム
2.実施例
[0013]
 <1.環状オレフィン系樹脂組成物フィルム>
 本実施の形態に係る環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、環状オレフィン系樹脂と酸化防止剤とを含有し、酸化防止剤が以下の(1)~(3)の条件の少なくとも1つを満たす。
(1)酸化防止剤に含まれるリチウムイオンの含有量が0.4ppm以下である。
(2)酸化防止剤に含まれる陽イオンの含有量が0.9ppm以下である。
(3)酸化防止剤に含まれる塩化物イオンの含有量が0.1ppm以下である。
[0014]
 本実施の形態に係る環状オレフィン系樹脂組成物フィルムによれば、欠陥を抑制することができる。また、光学特性(レタデーション、ヘイズ)と靭性を良好にすることができる。
[0015]
 環状オレフィン系樹脂組成物フィルムに用いられる環状オレフィン系樹脂組成物中において、酸化防止剤に含まれる上記各イオンが、酸化防止剤の近傍に過剰に存在していると、上記各イオンが酸化防止剤に作用して酸化防止剤の機能を低下させやすい。その結果、環状オレフィン系樹脂組成物を用いてフィルムを溶融成形する際に、欠陥が発生しやすくなる傾向にある。酸化防止剤に含まれる上記各イオンとしては、酸化防止剤の製造過程に起因するものが挙げられる。例えば、リチウム触媒を用いて得られるフェノール系酸化防止剤を用いる場合、酸化防止剤にはリチウムが過剰に含まれやすい。
[0016]
 一方、環状オレフィン系樹脂組成物中において、環状オレフィン樹脂に由来する上記各イオンは、酸化防止剤の近傍には存在しにくいため、酸化防止剤の機能の低下には寄与しにくいと考えられる。
[0017]
 本実施の形態に係る環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、フィルム又はシート状である。環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、厚みが0.1μm~2mmであることが好ましく、1μm~1mmであることがより好ましい。以下、環状オレフィン系樹脂組成物フィルムに用いられる環状オレフィン系樹脂、酸化防止剤等について、詳細に説明する。
[0018]
 [環状オレフィン系樹脂]
 環状オレフィン系樹脂は、主鎖が炭素-炭素結合からなり、主鎖の少なくとも一部に環状炭化水素構造を有する高分子化合物である。この環状炭化水素構造は、ノルボルネンやテトラシクロドデセンに代表されるような、環状炭化水素構造中に少なくとも一つのオレフィン性二重結合を有する化合物(環状オレフィン)を単量体として用いることで導入される。
[0019]
 環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンの付加(共)重合体又はその水素添加物(A)、環状オレフィンとα-オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物(B)、環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物(C)に分類される。
[0020]
 環状オレフィンの具体例としては、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン;シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン等の1環の環状オレフィン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(慣用名:ノルボルネン)、5-メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5,5-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ブチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-エチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-オクタデシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-メチリデン-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-ビニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-プロペニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン等の2環の環状オレフィン;
[0021]
 トリシクロ[4.3.0.1 2,5]デカ-3,7-ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.1 2,5]デカ-3-エン;トリシクロ[4.4.0.1 2,5]ウンデカ-3,7-ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.1 2,5]ウンデカ-3,8-ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.1 2,5]ウンデカ-3-エン;
5-シクロペンチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキシル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン、5-フェニル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エンといった3環の環状オレフィン;
[0022]
 テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8-メチルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン、8-エチルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン、8-メチリデンテトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン、8-エチリデンテトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン、8-ビニルテトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン、8-プロペニル-テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エンといった4環の環状オレフィン;
[0023]
 8-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキシル-テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン、8-シクロヘキセニル-テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン、8-フェニル-シクロペンチル-テトラシクロ[4.4.0.1 2,5.1 7,10]ドデカ-3-エン;テトラシクロ[7.4.1 3,6.0 1,9.0 2,7]テトラデカ-4,9,11,13-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.1 4,7.0 1,10.0 3,8]ペンタデカ-5,10,12,14-テトラエン(1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.1 3,6.0 2,7.0 9,14]-4-ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.1 3,6.0 2,7.0 9,13]-4-ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.0 2,7.1 3,6.1 10,13]-4-ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.1 2,9.1 4,7.1 11,17.0 3,8.0 12,16]-5-エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.1 2,9.0 3,8.1 4,7.0 12,17.1 13,l6]-14-エイコセン;シクロペンタジエンの4量体などの多環の環状オレフィンが挙げられる。これらの環状オレフィンは、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
[0024]
 環状オレフィンと共重合可能なα-オレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-へキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-へキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数2~20、好ましくは炭素数2~8のα-オレフィンなどが挙げられる。これらのα-オレフィンは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのα-オレフィンは、環状ポリオレフィンに対して、5~200%の範囲で含有されたものを使用することができる。
[0025]
 環状オレフィン又は環状オレフィンとα-オレフィンとの重合方法及び得られた重合体の水素添加方法に、格別な制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
[0026]
 環状オレフィン系樹脂として、本実施の形態では、エチレンとノルボルネンの付加共重合体が好ましく用いられる。
[0027]
 環状オレフィン系樹脂の構造には、特に制限はなく、鎖状でも、分岐状でも、架橋状でもよいが、好ましくは直鎖状である。
[0028]
 環状オレフィン系樹脂の分子量は、GPC法による数平均分子量が5000~30万、好ましくは1万~15万、さらに好ましくは1.5万~10万である。数平均分子量が低すぎると機械的強度が低下し、大きすぎると成形性が悪くなる。
[0029]
 また、環状オレフィン系樹脂には、前述の環状オレフィン系樹脂(A)~(C)に極性基(例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基など)を有する不飽和化合物(u)をグラフト及び/又は共重合したもの(D)を含めることができる。上記環状オレフィン系樹脂(A)~(D)は、二種以上混合して使用してもよい。
[0030]
 上記不飽和化合物(u)としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1~10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1~10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル等が挙げられる。
[0031]
 極性基を有する不飽和化合物(u)をグラフト及び/又は共重合した変性環状オレフィン系樹脂(D)を用いることにより金属や極性樹脂との親和性を高めることができるので、蒸着、スパッタ、コーティング、接着等、各種二次加工の強度を高めることができ、二次加工が必要な場合に好適である。しかし、極性基の存在は環状オレフィン系樹脂の吸水率を高めてしまう欠点がある。そのため極性基(例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基など)の含有量は、環状オレフィン系樹脂1kg当り0~1mol/kgであることが好ましい。
[0032]
 [酸化防止剤]
 酸化防止剤は、樹脂材料又はゴム材料の分野において通常使用されるものであり、上述した(1)~(3)の条件、すなわちイオン含有量の条件の少なくとも1つを満たす。
[0033]
 (1)酸化防止剤に含まれるリチウムイオンの含有量は、0.4ppm以下であり、0.3ppm以下であることが好ましく、0.2ppm以下であることがより好ましい。リチウムイオンの含有量が0.4ppmを超えると、酸化防止剤による効果(熱安定性改良効果)が小さくなってしまう結果、欠陥を抑制することが困難となる。
[0034]
 (2)酸化防止剤に含まれる陽イオンの含有量は、0.9ppm以下であり、0.7ppm以下であることが好ましく、0.6ppm以下であることがより好ましい。陽イオンの含有量には、上記リチウムイオンの含有量が含まれる。陽イオンの含有量が0.9ppmを超えると、酸化防止剤による効果(熱安定性改良効果)が小さくなってしまう結果、欠陥を抑制することが困難となる。
[0035]
 (3)酸化防止剤に含まれる塩化物イオンの含有量は、0.1ppm以下であり、0.095ppm以下であることが好ましく、0.080ppm以下であることがより好ましく、0.050ppm以下であることがさらに好ましい。塩化物イオンの含有量が0.1ppmを超えると、酸化防止剤による効果(熱安定性改良効果)が小さくなってしまう結果、欠陥を抑制することが困難となる。
[0036]
 特に、酸化防止剤は、少なくとも上記(1)又は(3)の条件、すなわち、酸化防止剤に含まれるリチウムイオンの含有量が0.4ppm以下であること、及び、酸化防止剤に含まれる塩化物イオンの含有量が0.1ppm以下であることのいずれか一方を満たすことが好ましく、上記(1)~(3)の条件を全て満たすことがより好ましい。
[0037]
 上記各イオンの含有量と熱安定性の作用機構は定かではないが、例えば組成物中に過剰にリチウムイオンが存在すると、押出加工時にリチウムイオンが酸化防止剤に作用し、酸化防止剤の効果を抑制してしまうと考えられる。特に、環状オレフィン系樹脂は、溶融温度が高いため、酸化防止剤の効果の抑制が顕著となる。
[0038]
 酸化防止剤の具体例としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられ、欠陥数をより効果的に抑制する観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。フェノール系酸化防止剤の具体例としては、ビタミンE、テトラキス-(メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-チオビス-(6-t-ブチルフェノール)、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス〔3‐(3,5-ジ-t-ブチル-4‐ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6-ジ-(t-ブチル)-4-メチルフェノール、2,2’-メチレンビス-(6-t-ブチル-p-クレゾール)、1,3,5-トリス(3,5-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、2,6-ジ-t-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール等を挙げることができる。フェノール系酸化防止剤の市販品としては、IRGANOX1010(BASFジャパン(株)社製)、アデカスタブAO-60((株)ADEKA社製)等を用いることができる。
[0039]
 リン系酸化防止剤の具体例としては、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリスデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)-4,4’-イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマー、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-3-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
[0040]
 酸化防止剤の含有量は、環状オレフィン系樹脂及びエラストマーの合計100質量部に対し、通常、0.05~5質量部が好ましく、0.1~3質量部がより好ましい。酸化防止剤の含有量を0.05質量部以上とすることにより、酸化防止剤の機能(酸化防止効果)をより効果的に奏することができる。また、酸化防止剤の含有量を5質量部以下とすることにより、環状オレフィン系樹脂組成物の機械的強度やガラス転移温度などの品質の低下や、環状オレフィン系樹脂組成物の揮発時における揮発成分の増加をより効果的に抑制することができる。酸化防止剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上の酸化防止剤を用いる場合、その合計量が上記数値範囲を満たすことが好ましい。
[0041]
 環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、その特性を損なわない範囲で、必要に応じて各種配合剤を含有していてもよい。各種配合剤としては、熱可塑性樹脂組成物で通常用いられているものであれば格別な制限はなく、例えば、エラストマー、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、染料や顔料などの着色剤、近赤外線吸収剤、蛍光増白剤などの配合剤、充填剤等が挙げられる。
[0042]
 エラストマーとしては、スチレン系エラストマーが好ましい。スチレン系エラストマーを含有することにより、フィルムの靭性をより向上させることができる。以下、スチレン系エラストマーについて説明する。
[0043]
 [スチレン系エラストマー]
 スチレン系エラストマーは、スチレンとブタジエンもしくはイソプレン等の共役ジエンの共重合体、及び/又は、その水素添加物である。スチレン系エラストマーは、スチレンをハードセグメント、共役ジエンをソフトセグメントとしたブロック共重合体であり、加硫工程が不要であり、好適に用いられる。また、水素添加をしたものの方が、熱安定性が高く、さらに好適である。
[0044]
 スチレン系エラストマーの例としては、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体などが挙げられる。
[0045]
 また、水素添加により共役ジエン成分の二重結合をなくした、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体、スチレン/ブタジエンブロック共重合体(水素添加されたスチレン系エラストマーともいう。)などを用いてもよい。水素添加されたスチレン系エラストマーは、高い引裂き強度と環境保存後のヘイズ上昇が小さいため好ましい。
[0046]
 スチレン系エラストマーの分子量は、GPC法による数平均分子量が5000~30万、好ましくは1万~15万、さらに好ましくは2万~10万である。数平均分子量が低すぎると機械的強度が低下し、大きすぎると成形性が悪くなる。
[0047]
 スチレン系エラストマーを含有する場合、環状オレフィン樹脂とスチレン系エラストマーとの重量比(環状オレフィン樹脂:スチレン系エラストマー)は、60:40~95:5であることが好ましく、85:15~95:5であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、得られるフィルムの靭性をより向上させることができる。
[0048]
 [環状オレフィン系樹脂組成物フィルムの特性]
 環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、リタデーションが10.0nm以下であることが好ましく、7.0nm以下であることがより好ましく、5.0nm以下であることがさらに好ましい。リタデーションの値は、フィルムの面内リタデーションR0について、光学材料検査装置(大塚電子株式会社製、商品名:RETS-100)を用いて測定した値をいう。リタデーションが上記範囲を満たすことにより、目的とする光学特性をより満足しやすくなる。
[0049]
 環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、ヘイズが2.0%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましい。ヘイズの値は、厚み50μmのフィルムについて、ヘイズメーター(製品名:HM150、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した値をいう。ヘイズの値が上記範囲を満たすことにより、使用上、初期設定からの特性を維持し、目的とする光学特性をより満足しやすくなる。
[0050]
 環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、引裂き強度が50N/mm以上であることが好ましく、60N/mm以上であることがより好ましく、70N/mm以上であることがさらに好ましい。引裂き強度が上記範囲を満たすことにより、製造時や使用時におけるフィルムの破壊をより効果的に防ぐことができる。
[0051]
 <環状オレフィン系樹脂組成物フィルムの製造方法>
 環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、上述した環状オレフィン系樹脂と酸化防止剤とを含有する環状オレフィン系樹脂組成物を用いて形成することができる。例えば、上記環状オレフィン系樹脂組成物を210~300℃の範囲の温度で溶融し、溶融された環状オレフィン系樹脂組成物をフィルム状に押出すことにより得ることができる。環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、無延伸のものでも、一軸延伸のものでも、二軸延伸のものでもよい。フィルムの製法は、特に限定されず、押出法が好ましい。
[0052]
 環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、各種光学用途、例えば位相差フィルム、偏光板保護フィルム、光拡散板等、特にプリズムシート、液晶セル基板の用途に好適である。
実施例
[0053]
 <3.実施例>
 以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、環状オレフィン系樹脂組成物フィルムを作製し、得られたフィルムの欠陥数、リタデーションR0、引き裂き強度及びヘイズを評価した。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[0054]
 [欠陥数]
 25mm角のフィルムについて、目視と光学顕微鏡(500倍)にて、大きさが5μm以上の欠陥(酸化劣化による着色、熱分解による焼け(黒状))の数をカウントした。欠陥数が100個以下のものを「○」と評価し、欠陥数が100個を超えるものを「×」と評価した。欠陥数が100個以下であることにより、実際の製造ラインにおいて発生する欠陥数を大きく削減することができる。
[0055]
 [リタデーション]
 リタデーションの測定は、フィルムの面内リタデーションR0について、光学材料検査装置(大塚電子株式会社製、商品名:RETS-100)を用いて測定した。
[0056]
 [引裂き強度(直角形引き裂き)]
 引裂き強度は、厚み50μmのフィルムをJISK7128に従い測定した。試験片として3号形試験片を用い、引張試験機(AG-X、島津製作所(株)製)を用いて試験速度200mm/分で測定した。
[0057]
 [ヘイズ]
 ヘイズは、厚み50μmのフィルムについて、ヘイズメーター(製品名:HM150、(株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。
[0058]
 [環状オレフィン系樹脂]
 環状オレフィン系樹脂としては、TOPAS6013-S04(ポリプラスチックス(株)製、化学名:エチレンとノルボルネンの付加共重合体)を用いた。
[0059]
 [スチレン系エラストマー]
 スチレン系エラストマーとしては、タフテックH1041(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体、旭化成ケミカルズ(株)製)を用いた。
[0060]
 [酸化防止剤]
 以下の酸化防止剤A~Fのいずれかを用いた。以下の各イオン濃度は、イオンクロマトグラム(DIONEX製、製品名:DX-320)で分析、測定を行った。GI-1000約0.2gを10mLの超純水とともにPP容器(50mL)に入れ、100℃オーブンに10時間放置し測定試料とした。
[0061]
 <酸化防止剤A>
 IRGANOX1010(BASFジャパン(株)社製、ロット番号A1、陽イオン含有量:0.5ppm、リチウムイオン含有量:0.2ppm、塩化物イオン含有量:0.048ppm)
[0062]
 <酸化防止剤B>
 IRGANOX1010(BASFジャパン(株)社製、ロット番号B1、陽イオン含有量:0.6ppm、リチウムイオン含有量:0.3ppm、塩化物イオン含有量:0.075ppm)
[0063]
 <酸化防止剤C>
 IRGANOX1010(BASFジャパン(株)社製、ロット番号C1、陽イオン含有量:1.3ppm、リチウムイオン含有量:0.6ppm、塩化物イオン含有量:0.105ppm)
[0064]
 <酸化防止剤D>
 アデカスタブAO-60((株)ADEKA社製、ロット番号D1、陽イオン含有量:1.9ppm、リチウムイオン含有量:1.4ppm、塩化物イオン含有量:0.117ppm)
[0065]
 <酸化防止剤E>
 IRGANOX1010(BASFジャパン(株)社製、ロット番号E1、陽イオン含有量:4.2ppm、リチウムイオン含有量:3.2ppm、塩化物イオン含有量:0.142ppm)
[0066]
 [実施例1]
 環状オレフィン系樹脂100質量部と、酸化防止剤Aを0.2質量部とを配合した。上記配合物を、先端にダイを取り付けた二軸押出機(仕様:直径25mm、長さ:26D、Tダイ幅:160mm)を用いて、210~300℃の温度範囲の所定温度で混錬した後、環状オレフィン系樹脂組成物を250g/minの速さで押し出し、厚さが50mmのフィルムをロールに巻き取った。表1に示すように、得られたフィルムの欠陥数は81個/25mm角であった。また、得られたフィルムのリタデーションR0は0.4nmであり、引裂き強度は55N/mmであり、ヘイズは0.2%であった。
[0067]
 [実施例2]
 環状オレフィン系樹脂90質量部と、スチレン系エラストマー10質量部とを配合し、この配合物に酸化防止剤Aを0.2質量部配合し、二軸押出機を用いて混錬したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。表1に示すように、得られたフィルムの欠陥数は81個/25mm角であった。また、得られたフィルムのリタデーションR0は2.0nmであり、引裂き強度は90N/mmであり、ヘイズは1.4%であった。
[0068]
 [実施例3]
 環状オレフィン系樹脂90質量部と、スチレン系エラストマー10質量部とを配合し、この配合物に酸化防止剤Bを0.2質量部配合し、二軸押出機を用いて混錬したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。表1に示すように、得られたフィルムの欠陥数は88個/25mm角であった。また、得られたフィルムのリタデーションR0は2.0nmであり、引裂き強度は90N/mmであり、ヘイズは1.4%であった。
[0069]
 [比較例1]
 環状オレフィン系樹脂90質量部と、スチレン系エラストマー10質量部とを配合し、この配合物に酸化防止剤Cを0.2質量部配合し、二軸押出機を用いて混錬したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。表1に示すように、得られたフィルムの欠陥数は122個/25mm角であった。また、得られたフィルムのリタデーションR0は2.0nmであり、引裂き強度は90N/mmであり、ヘイズは1.4%であった。
[0070]
 [比較例2]
 環状オレフィン系樹脂90質量部と、スチレン系エラストマー10質量部とを配合し、この配合物に酸化防止剤Dを0.2質量部配合し、二軸押出機を用いて混錬したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。表1に示すように、得られたフィルムの欠陥数は129個/25mm角であった。また、得られたフィルムのリタデーションR0は2.0nmであり、引裂き強度は90N/mmであり、ヘイズは1.4%であった。
[0071]
 [比較例3]
 環状オレフィン系樹脂90質量部と、スチレン系エラストマー10質量部とを配合し、この配合物に酸化防止剤Eを0.2質量部配合し、二軸押出機を用いて混錬したこと以外は、実施例1と同様にしてフィルムを作製した。表1に示すように、得られたフィルムの欠陥数は132個/25mm角であった。また、得られたフィルムのリタデーションR0は2.0nmであり、引裂き強度は90N/mmであり、ヘイズは1.4%であった。
[0072]
[表1]


[0073]
 図1は、酸化防止剤に含まれるリチウムイオンの含有量と欠陥数との関係を示すグラフである。図2は、酸化防止剤に含まれる陽イオンの含有量と欠陥数との関係を示すグラフである。図3は、酸化防止剤に含まれる塩化物イオンの含有量と欠陥数との関係を示すグラフである。図1~図3に示すように、リチウムイオンの含有量、陽イオンの含有量又は塩化物イオンの含有量に比例して、欠陥数が増加する傾向にあることが分かった。
[0074]
 実施例1~3のように、酸化防止剤が上述した(1)~(3)の条件、すなわち、酸化防止剤に含まれるリチウムイオンの含有量が0.4ppm以下である、酸化防止剤に含まれる陽イオンの含有量が0.9ppm以下である、及び、酸化防止剤に含まれる塩化物イオンの含有量が0.1ppm以下であることの少なくとも1つを満たす環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、欠陥が抑制されていることが分かった。
[0075]
 特に、酸化防止剤が上述した(1)~(3)の条件をすべて満たす環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、欠陥がより効果的に抑制されていることが分かった。また、実施例2、3のように、スチレン系エラストマーを含有する環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、光学特性(リタデーション、ヘイズ)と靭性(引裂き強度)がより良好であることが分かった。
[0076]
 一方、比較例1~3のように、酸化防止剤が上述した(1)~(3)の条件のいずれも満たさない環状オレフィン系樹脂組成物フィルムは、欠陥を抑制するのが困難であることが分かった。

請求の範囲

[請求項1]
 環状オレフィン系樹脂と酸化防止剤とを含有し、上記酸化防止剤が以下の(1)~(3)の条件の少なくとも1つを満たす、環状オレフィン系樹脂組成物フィルム。
(1)上記酸化防止剤に含まれるリチウムイオンの含有量が0.4ppm以下である。
(2)上記酸化防止剤に含まれる陽イオンの含有量が0.9ppm以下である。
(3)上記酸化防止剤に含まれる塩化物イオンの含有量が0.1ppm以下である。
[請求項2]
 上記(1)の条件を少なくとも満たす、請求項1記載の環状オレフィン系樹脂組成物フィルム。
[請求項3]
 上記(3)の条件を少なくとも満たす、請求項1記載の環状オレフィン系樹脂組成物フィルム。
[請求項4]
 上記(1)~(3)の条件を全て満たす、請求項1記載の環状オレフィン系樹脂組成物フィルム。
[請求項5]
 上記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の環状オレフィン系樹脂組成物フィルム。
[請求項6]
 スチレン系エラストマーをさらに含有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の環状オレフィン系樹脂組成物フィルム。
[請求項7]
 上記環状オレフィン系樹脂が、エチレンとノルボルネンの付加共重合体である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の環状オレフィン系樹脂組成物フィルム。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]