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1. (WO2019044313) PIGMENT COMPOSITION, PRODUCTION METHOD THEREFOR, AND WATER-BASED INK COMPOSITION
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明 細 書

発明の名称 顔料組成物及びその製造方法、並びに、水性インク組成物

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005   0006   0007   0008  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0009   0010  

課題を解決するための手段

0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017  

発明の効果

0018  

発明を実施するための形態

0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106  

実施例

0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13  

明 細 書

発明の名称 : 顔料組成物及びその製造方法、並びに、水性インク組成物

技術分野

[0001]
 本開示は、顔料組成物及びその製造方法、並びに、水性インク組成物に関する。

背景技術

[0002]
 画像データ信号に基づき、紙等の記録媒体に画像を形成する画像記録方法として、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式等の記録方法がある。
 インクジェット方式による画像記録方法(インクジェット記録方法)は、印刷版を必要とせず、画像形成部のみにインクを吐出して記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率的に使用でき、ランニングコストが安い。更に、インクジェット記録方法は印刷装置も従来の印刷機に比べ比較的低コストで、小型化も可能であり、騒音も少ない。このように、インクジェット記録方法は他の画像記録方式に比べて種々の利点を備えている。
[0003]
 インクジェットプリンターの水性インクには、色材(着色剤)として染料が用いられてきた。しかし染料を用いた水性インクでは、画像のにじみが生じやすく、また耐光性及び耐水性の向上にも制約があった。これらの欠点を克服するために、近年では色材として顔料を用いた水性インクが用いられている。顔料を用いた水性インクでは、顔料を水性媒体中に安定的に分散させる必要がある。そのため、水性インクないし水性インクの原料となる顔料分散物は、通常は分散剤を用いて顔料の分散性と分散安定性を高めている。
[0004]
 特開2017-100116号公報には、下記一般式(1)で示される分散剤が記載されている。
[0005]
[化1]



(式中、Xは一般式(2)であり、Rは、スルホン基、カルボキシル基、一般式(3)~
一般式(9)で表されるいずれかを表す。)
[0006]
[化2]


[0007]
 特開2016-141746号公報には、顔料としてC.I.ピグメントオレンジ43と、溶剤として下記一般式(1)で表される化合物の1種以上と、を含み、インク組成物中に含まれる水の含有量が0.1質量%以上2質量%以下である、非水系インクジェットインク組成物が記載されている。
 R O-(R O) -R  ・・・・・(1)
(一般式(1)中、R 及びR は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表す。ただし、R 及びR の少なくとも何れかは、炭素数1以上4以下のアルキル基である。R は、炭素数2又は3のアルキレン基を表す。mは2~3の整数を表す。)
[0008]
 特開2012-172070号公報には、アニオン性基含有有機高分子化合物と有機顔料と有機顔料誘導体と水とを含有し、上記高分子化合物と有機顔料と有機顔料誘導体とが水に分散した、インクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体において、上記有機顔料及び有機顔料誘導体として、ペリノン系橙色顔料(A)と、酸性基含有ジアリーリドアゾ化合物(B)とを含有することを特徴とするインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体が記載されている。

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0009]
 特開2017-100116号公報、特開2016-141746号公報又は特開2012-172070号公報には、種々の顔料分散物やインク組成物が記載されているが、顔料組成物の使用環境、使用態様等は多様化しており、本発明者らが検討した結果、ペリノン系顔料又はペリレン系顔料を含む従来の顔料組成物は、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性が十分でないことを見出した。
[0010]
 本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れる顔料組成物を提供することである。
 本発明の他の一実施形態が解決しようとする課題は、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れる顔料組成物の製造方法を提供することである。
 また、本発明の更に他の一実施形態が解決しようとする課題は、上記顔料組成物を用いた水性インク組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

[0011]
 上記課題を解決する手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料と、水と、下記式1で表される構成単位を有する樹脂と、カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを含む顔料組成物。
[0012]
[化3]


[0013]
 式1中、R は水素原子又はメチル基を表し、L は-C(=O)O-、-OC(=O)-又は-C(=O)NR -を表し、R は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R は炭素数6以上のアルキル基を表す。
[0014]
<2> 上記顔料が、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Red 194、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 178、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 189、C.I.Pigment Red 190、及び、C.I.Pigment Black 31よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料を含む上記<1>に記載の顔料組成物。
<3> 上記顔料が、ペリノン系顔料を含む上記<1>又は<2>に記載の顔料組成物。
<4> 上記顔料が、C.I.Pigment Orange 43を含む上記<1>~<3>のいずれか1つに記載の顔料組成物。
<5> 上記カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物における上記カルボキシアルキル基が、カルボキシメチル基又はカルボキシエチル基である上記<1>~<4>のいずれか1つに記載の顔料組成物。
<6> 上記カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が、カルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物である上記<1>~<5>のいずれか1つに記載の顔料組成物。
<7> 上記式1で表される構成単位を有する樹脂が、アクリル樹脂である上記<1>~<6>のいずれか1つに記載の顔料組成物。
<8> 上記R が、炭素数8~22のアルキル基である上記<1>~<7>のいずれか1つに記載の顔料組成物。
<9> 上記式1で表される構成単位を有する樹脂が、芳香環を有する構成単位を更に有する上記<1>~<8>のいずれか1つに記載の顔料組成物。
<10> 上記式1で表される構成単位を有する樹脂が、酸性基を有する構成単位を更に有する上記<1>~<9>のいずれか1つに記載の顔料組成物。
<11> 上記<1>~<10>のいずれか1つに記載の顔料組成物を含む水性インク組成物。
<12> ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料と、水と、下記式1で表される構成単位を有する樹脂と、カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを混合する工程を含む顔料組成物の製造方法。
[0015]
[化4]


[0016]
 式1中、R は水素原子又はメチル基を表し、L は-C(=O)O-、-OC(=O)-又は-C(=O)NR -を表し、R は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R は炭素数6以上のアルキル基を表す。
[0017]
<13> 上記混合する工程の前に、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料をソルトミリング処理する工程を含む上記<12>に記載の顔料組成物の製造方法。

発明の効果

[0018]
 本発明の一実施形態によれば、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れる顔料組成物を提供することができる。
 本発明の他の一実施形態によれば、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れる顔料組成物の製造方法を提供することができる。
 また、本発明の更に他の一実施形態によれば、上記顔料組成物を用いた水性インク組成物を提供することができる。

発明を実施するための形態

[0019]
 以下において、本開示の内容について詳細に説明する。
 本明細書において「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤(水を含む)を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、上述のように、溶剤を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
 本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものとともに置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
 本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
 本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
 更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[0020]
(顔料組成物)
 本開示に係る顔料組成物は、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料と、水と、下記式1で表される構成単位を有する樹脂と、カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを含む。
[0021]
[化5]


[0022]
 式1中、R は水素原子又はメチル基を表し、L は-C(=O)O-、-OC(=O)-又は-C(=O)NR -を表し、R は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R は炭素数6以上のアルキル基を表す。
[0023]
 上述の通り、本発明者らが検討した結果、ペリノン系顔料又はペリレン系顔料を含む従来の顔料組成物は、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性が十分でないことを見出した。
 また、特にインクジェット記録方法においては、使用環境、使用態様等の多様化が進む中で、インク組成物の原料として用いられる顔料組成物の更なる顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性の向上、それに伴う、水性インク組成物自体の保存安定性(顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性)の向上が望まれている。
 本発明者らは、鋭意検討した結果、本開示に係る顔料組成物は、上記構成とすることにより、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れることを見出した。
 これらの効果が得られる詳細な作用機序については不明であるが、以下のように推測している。
 水系の顔料組成物において、ペリノン系顔料又はペリレン系顔料に対し、分散剤として、炭素数の多いアルキル基を有する式1で表される構成単位を有する樹脂を用いることにより、顔料の分散性を向上させるとともに、顔料の沈降を抑制し、また、顔料同士の凝集を抑制することができると推定される。更に、分散助剤として、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料と類似の構造を有している、カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることにより、上記化合物が上記顔料と相互作用し、また、上記化合物が上記式1で表される構成単位を有する樹脂とも相互作用することにより、上記化合物自身による顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性を向上させる効果だけでなく、分散剤による上記効果も更に向上させると推定される。したがって、本開示に係る顔料組成物により、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れる顔料組成物が得られると推定される。
[0024]
 以下、本開示に係る顔料組成物に含まれる各成分について記載する。
[0025]
<顔料>
 本開示に係る顔料組成物は、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料を含む。
 ペリノン系顔料及びペリレン系顔料としては、ペリノン構造又はペリレン構造を有する顔料であれば、特に制限はないが、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、ペリノン系顔料が好ましく挙げられる。
 ペリノン系顔料としては、例えば、C.I.(Color Index)Pigment Orange 43、C.I.Pigment Red 194等が挙げられる。
 ペリレン系顔料としては、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 178、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 189、C.I.Pigment Red 190、C.I.Pigment Black 31等が挙げられる。
[0026]
 本開示に用いられる上記顔料としては、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Red 194、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 178、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 189、C.I.Pigment Red 190、及び、C.I.Pigment Black 31よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料を含むことが好ましく、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Red 194、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 178、及び、C.I.Pigment Red 179よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料を含むことがより好ましく、C.I.Pigment Orange 43、及び、C.I.Pigment Red 194よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料を含むことが更に好ましく、C.I.Pigment Orange 43を含むことが特に好ましい。
[0027]
 本開示に係る顔料組成物における上記顔料の体積平均粒径は、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、80nm~180nmであることが好ましく、100nm~145nmであることがより好ましく、100nm~135nmであることが更に好ましく、100nm~130nmであることが特に好ましく、100nm~125nmであることが最も好ましい。
 顔料組成物中の上記顔料の体積平均粒径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA-EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により測定することで求められる。
 また、顔料組成物中の上記顔料の算術平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により平均粒径を測定することができる。具体的には、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した分散体を滴下した後乾燥させ、TEM(日本電子(株)製1200EX(商品名))で10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の長径を測定して平均値を平均粒径として算出する。
[0028]
 上記顔料は、1種単独で含有しても、2種以上含有してもよい。
 また、本開示に係る顔料組成物は、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料以外の顔料を含んでいてもよいが、その含有量は、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料の総含有量100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。
[0029]
 本開示に係る顔料組成物中の上記顔料の含有量は、特に制限はなく、顔料組成物の全質量に対して、1質量%~30質量%が好ましく、5質量%~25質量%がより好ましく、10質量%~20質量%が更に好ましい。2種以上の上記顔料を用いる場合には、上記含有量は2種以上の合計含有量をいう。
[0030]
<水>
 本開示に係る顔料組成物は、水を含有する。
 水の含有量は、特に制限はなく、顔料組成物の全質量に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましい。上記水の含有量の上限は、特に限定されないが、顔料組成物の全質量に対し、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
[0031]
<式1で表される構成単位を有する樹脂>
 本開示に係る顔料分散物は、下記式1で表される構成単位(以下、「構成単位a-1」ともいう。)を有する樹脂(以下、「特定樹脂」ともいう。)を含有する。
[0032]
[化6]


[0033]
 式1中、R は水素原子又はメチル基を表し、L は-C(=O)O-、-OC(=O)-又は-C(=O)NR -を表し、R は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R は炭素数6以上のアルキル基を表す。
[0034]
〔構成単位a-1〕
 構成単位a-1は、上記式1で表される構成単位である。
 式1中、R は、メチル基が好ましい。
 式1中、L は、-C(=O)O-、-OC(=O)-、又は、-C(=O)NR -を表し、-C(=O)O-、又は、-C(=O)NR -であることが好ましく、-C(=O)O-であることがより好ましい。
 上記R は、水素原子が好ましい。
 なお、上記-C(=O)O-との記載は、-C(=O)O-における炭素原子と、上記式1中のR が結合した炭素原子とが直接結合することを示しており、-OC(=O)-との記載は、-OC(=O)-における炭素原子と、上記式1中のR が結合した炭素原子とが直接結合することを示している。
 また、-C(=O)NR -との記載は、-C(=O)NR -における炭素原子と、上記式1中のR が結合した炭素原子とが直接結合することを示している。
 式1中、R は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、炭素数6~30のアルキル基が好ましく、炭素数8~22のアルキル基がより好ましく、炭素数12~22のアルキル基が更に好ましく、炭素数12~18のアルキル基が特に好ましい。上記アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、また、環構造を有していてもよい。
[0035]
 構成単位a-1は、アルキル(メタ)アクリレート化合物、又は、アルキル(メタ)アクリルアミド化合物に由来する構成単位であることが好ましい。
[0036]
 構成単位a-1の含有量は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、特定樹脂の全質量に対し、10質量%~40質量%であることが好ましく、10質量%~30質量%であることがより好ましく、20質量%~30質量%であることが特に好ましい。
 本開示において用いられる特定樹脂は、構成単位a-1を、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。本開示において用いられる特定樹脂が、2種以上の構成単位a-1を含有する場合、上記含有量は2種以上の構成単位a-1の合計含有量をいう。
[0037]
〔構成単位a-2〕
 特定樹脂は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、芳香環を有する構成単位(以下、「構成単位a-2」ともいう。)を更に有することが好ましく、下記式2で表される構成単位を更に有することがより好ましい。
 上記芳香環としては、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
[0038]
[化7]


[0039]
 式2中、R は水素原子又はメチル基を表し、L は単結合、又は、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数2~12のアルケニレン基、-C(=O)-、-O-、-S-、及び、-NR -よりなる群から選ばれる2種以上の基を組み合わせてなる2価の連結基を表し、R は炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~15のアルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、炭素数6~20のアリールオキシ基、又は、シリル基を表し、R は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、mは0~5の整数を表す。
[0040]
 式2中、R はメチル基が好ましい。
 式2中、L は単結合、又は、下記式2-1若しくは下記式2-2により表される基であることが好ましく、単結合、又は、下記式2-1により表される基であることがより好ましい。
 L におけるアルキレン基としては、炭素数2~10のアルキレン基が好ましく、炭素数1~5のアルキレン基がより好ましく、炭素数1~3のアルキレン基が特に好ましい。上記アルキレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
 L におけるアルケニレン基としては、炭素数2~10のアルケニレン基が好ましく、炭素数2~6のアルケニレン基がより好ましく、炭素数2~4のアルケニレン基が特に好ましい。上記アルケニレン基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
 上記R は水素原子が好ましい。
 式2中、R はそれぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は、炭素数6~20のアリールオキシ基を表すことが好ましく、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子、又は、炭素数6~20のアリールオキシ基を表すことがより好ましい。
 上記R におけるアルキル基、及び、アルコキシ基に含まれるアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
 上記R におけるアリールオキシ基は、ナフチルオキシ基又はフェニルオキシ基であることが好ましく、フェニルオキシ基であることがより好ましい。
 式2中、mは、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
[0041]
[化8]


[0042]
 式2-1及び式2-2中、L 11は、炭素数1~12のアルキレン基、炭素数2~12のアルケニレン基、-O-、-S-、又は、これらの組み合わせにより表される基を表し、炭素数1~12のアルキレン基、-O-、又は、これらの組み合わせにより表される基が好ましく、炭素数1~8のアルキレン基、-O-、又は、これらの組み合わせにより表される基がより好ましく、炭素数1~4のアルキレン基、-O-、又は、これらの組み合わせにより表される基が更に好ましい。
 L 11の好ましい態様としては、下記式2-3、式2-4又は式2-5により表される2価の連結基が挙げられる。
 式2-2中、R は、式1中のR と同義であり、好ましい態様も同様である。
 式2-1及び式2-2中、*は式1中のR が結合した炭素原子との結合部位を表し、波線部は式1中のベンゼン環との結合部位を表す。
[0043]
[化9]


[0044]
 式2-3~式2-5中、aは式2-1中のO又は式2-2中のNR との結合部位を表し、bは式2-1及び式2-2における波線部と同様に、式2中のベンゼン環との結合部位を表し、n3は1~10の整数を表し、n4は1~5の整数を表し、n5は1~5の整数を表す。
 式2-3中、n3は1~5の整数であることが好ましい。
 式2-4中、n4は1~3の整数であることが好ましく、2であることがより好ましい。
 式2-5中、n5は1~3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
[0045]
 構成単位a-2は、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートに由来する構成単位であることが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレート又はフェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来することがより好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位であることが更に好ましい。
[0046]
 構成単位a-2の含有量は、特定樹脂の全質量に対し、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、10質量%~70質量%であることがより好ましく、20質量%~60質量%であることがより好ましく、25質量%~50質量%であることが更に好ましく、30質量%~45質量%であることが特に好ましい。
 本開示において用いられる特定樹脂は、構成単位a-2を、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。本開示において用いられる高分子分散剤が、2種以上の構成単位a-2を含有する場合、上記含有量は2種以上の構成単位a-2の合計含有量をいう。
[0047]
〔構成単位a-3〕
 特定樹脂は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、酸性基を有する構成単位(以下、「構成単位a-3」ともいう。)を更に有することが好ましい。
 本開示における酸性基とは、解離性のプロトンを有する置換基であり、例えば、カルボキシ基、ホスホニル基、ホスホリル基、スルホ基、ホウ酸基といった酸性を示す基を意味する。中でも、酸性基は、カルボキシ基、スルホ基又はホスホニル基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
 酸性基は、プロトンを放出して解離した形であってもよく、塩を形成していてもよい。
 また、顔料組成物中で、構成単位a-3は上述のアミン化合物との塩を形成していてもよい。
 構成単位a-3は、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸に由来する構成単位であることが好ましく、メタクリル酸又はアクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
[0048]
 構成単位a-3の含有量は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、特定樹脂の全質量に対し、3質量%~40質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましい。
 また、構成単位a-3の含有量は、後述する特定樹脂の酸価を、0.5mmol/g~3.5mmol/g(好ましくは1.0mmol/g~3.0mmol/g、より好ましくは1.0mmol/g~2.5mmol/g)とする量であることが好ましい。
 本開示において用いられる特定樹脂は、構成単位a-3を、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。本開示において用いられる特定樹脂が、2種以上の構成単位a-3を含有する場合、上記含有量は2種以上の構成単位a-3の合計含有量をいう。
[0049]
〔構成単位a-4〕
 本実施形態に用いられる特定樹脂は、上述の構成単位a-1、構成単位a-2及び構成単位a-3以外のその他の構成単位である構成単位a-4を含有してもよい。
 構成単位a-4としては、特に限定されないが、単官能(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位、又は、単官能(メタ)アクリルアミド化合物に由来する構成単位が好ましく、単官能(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位がより好ましい。
 また、構成単位a-4としては、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、ヒドロキシ基、アミノ基及びポリアルキレンオキシ構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を有する構成単位がより好ましい。ヒドロキシ基を有する構成単位がより好ましい。
 上記単官能(メタ)アクリレート化合物としては、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2-メトキシエチルアクリレート、2-(2-メトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-(2-メトキシエトキシ)エチルメタクリレート、エトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量200~1,000)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(分子量200~1,000)モノメタクリレート等が挙げられる。
 上記単官能(メタ)アクリルアミド化合物としては、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
 これらの中でも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-(2-メトキシエトキシ)エチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量200~1,000)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(分子量200~1,000)モノメタクリレート、又は、メチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
[0050]
 構成単位a-4の含有量は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、特定樹脂の全質量に対し、3質量%~40質量%であることが好ましく、5質量%~30質量%であることがより好ましい。
 本開示において用いられる特定樹脂は、構成単位a-4を、1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。本開示において用いられる特定樹脂が、2種以上の構成単位a-4を含有する場合、上記含有量は2種以上の構成単位a-4の合計含有量をいう。
[0051]
 また、特定樹脂は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、式1で表される構成単位、及び、芳香環を有する構成単位を有する樹脂であることが好ましく、式1で表される構成単位、芳香環を有する構成単位、及び、酸性基を有する構成単位を有する樹脂であることがより好ましく、式1で表される構成単位、芳香環を有する構成単位、酸性基を有する構成単位、並びに、ヒドロキシ基、アミノ基及びポリアルキレンオキシ構造よりなる群から選ばれた少なくとも1種の構造を有する構成単位を有する樹脂であることが更に好ましく、式1で表される構成単位、芳香環を有する構成単位、酸性基を有する構成単位、及び、ヒドロキシ基を有する構成単位を有する樹脂であることが特に好ましい。
 また、特定樹脂は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、付加重合型樹脂であることが好ましく、アクリル樹脂であることがより好ましい。
 なお、本開示におけるアクリル樹脂は、50質量%以上が(メタ)アクリル化合物及び(メタ)アクリルアミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物に由来する構成単位を50質量%以上有する樹脂であり、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
 また、特定樹脂は、単独重合体であっても、共重合体であってもよいが、共重合体であることが好ましい。
[0052]
〔特定樹脂の含有量〕
 特定樹脂の含有量は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、顔料組成物の全質量に対し、3質量%~50質量%であることが好ましく、5質量%~40質量%であることがより好ましく、10質量%~30質量%であることが更に好ましい。
[0053]
〔特定樹脂の酸価〕
 特定樹脂の酸価は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、0.5mmol/g~3.5mmol/gであることが好ましく、1.0mmol/g~3.0mmol/gであることがより好ましく、1.5mmol/g~2.5mmol/gであることが更に好ましい。
 特定樹脂の酸価は、JIS K0070(1992)に準拠して測定し、1mmol/g=56.1mgKOH/gとして換算することにより算出される。
[0054]
〔特定樹脂の重量平均分子量〕
 特定樹脂の重量平均分子量は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、5,000~50,000であることが好ましく、8,000~40,000であることがより好ましく、10,000~30,000であることが更に好ましい。
 本明細書において、樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)で測定される。GPCは、HLC-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgeL Super HZM-H、TSKgeL Super HZ4000、TSKgeL Super HZ2000(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)の3本を直列に接続し、溶離液としてNMP(N-メチルピロリドン)を用いる。また、条件としては、試料濃度を0.35質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、RI(Refractive Index)検出器(示差屈折率検出器)を用いて行う。また、検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」、「A-1000」、「n-プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
[0055]
〔I/O値〕
 特定樹脂のI/O値(無機性/有機性値)は、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、0.50~0.80であることが好ましく、0.50~0.75であることがより好ましい。
 上記I/O値とは、無機性値/有機性値とも称される各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、各官能基にパラメータを設定する官能基寄与法の一つである。
[0056]
 上記I/O値については、有機概念図(甲田善生著、三共出版(1984))などに詳細な説明がある。I/O値の概念は、化合物の性質を、共有結合性を表す有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基とに分け、全ての有機化合物を有機軸、無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものである。
[0057]
 上記無機性値とは、有機化合物が有している種々の置換基や結合等の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に数値化したものである。具体的には、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近でとると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定め、この数値に基づいて各種置換基あるいは各種結合などの沸点への影響力を数値化した値が、有機化合物が有している置換基の無機性値となる。例えば、-COOH基の無機性値は150であり、2重結合の無機性値は2である。したがって、ある種の有機化合物の無機性値とは、化合物が有している各種置換基や結合等の無機性値の総和を意味する。
 また、上記有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。すなわち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5~10付近で炭素1個が加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、これを基準に炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基礎として各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値となる。例えば、ニトロ基(-NO )の有機性値は70である。
 I/O値は、0に近いほど非極性(疎水性、有機性が大きい)の有機化合物であることを示し、値が大きいほど極性(親水性、無機性が大きい)の有機化合物であることを示す。
[0058]
 本開示において、特定樹脂のI/O値は以下の方法によって求めたものを意味する。甲田善生著、有機概念図-基礎と応用-(1984)13ページ等に記載されている有機性(O値)、無機性(I値)を元に、特定樹脂を構成する各モノマーのI/O値(=I値/O値)を算出する。ポリマーを構成する各モノマーについて、その(I/O値)と(ポリマー中のモル%)との積を算出し、これらを合計して、小数点以下第3位を四捨五入したものを特定樹脂のI/O値とする。
 ただし、各モノマーの無機性値の算出方法として、一般的には2重結合を無機性2として加算するが、ポリマー化すると2重結合はなくなるため、本開示ではモノマーの無機性値として2重結合分は加算していない数値を用いて特定樹脂のI/O値を算出する。
[0059]
 本開示においては、特定樹脂を構成するモノマーの構造及び含有率を調整することにより、特定樹脂のI/O値を調整することができる。
[0060]
 本開示に用いられる特定樹脂の具体例を下記に示すが、本開示はこれに限定されるものではない。下記具体例中、構成単位a-1~構成単位a-4の欄の記載は、各構成単位の構造を表し、質量%の記載は、各構成単位の含有量を意味し、Mwの欄の数値は、重量平均分子量を表し、「-」の記載は、該当する構成単位を含有しないことを表す。
[0061]
[表1]


[0062]
 なお、上記表1中、略語により記載した構造の詳細は、下記の通りである。下記構造中、nは繰り返し数を表す。
[0063]
[化10]


[0064]
[化11]


[0065]
<カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物>
 本開示に係る顔料組成物は、カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)を含む。
 特定化合物は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、フタルイミド環又はナフタルイミド環の窒素原子にカルボキシアルキル基が結合した化合物であることが好ましい。
 上記カルボキシアルキル基の炭素数は、沈降抑制性、凝集抑制性及び平均粒径を小さくする観点から、2~10であることが好ましく、2~8であることがより好ましく、2~5であることが更に好ましく、2~3であることが特に好ましい。すなわち、上記カルボキシアルキル基は、カルボキシメチル基又はカルボキシエチル基であることが特に好ましい。
 また、特定化合物は、平均粒径を小さくする観点から、ナフタルイミド化合物であることが好ましい。
 特定化合物におけるフタルイミド環及びナフタルイミド環は、置換基を有していてもよいが、有しないことが好ましい。置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
[0066]
 特定化合物としては、下記に示すC-1~C-5が好ましく挙げられるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
[0067]
[化12]


[0068]
 本開示に係る顔料組成物は、特定化合物を1種単独で含有しても、2種以上含有してもよい。
 本開示に係る顔料組成物中の特定化合物の含有量は、上記顔料の全含有量100質量部に対して、0.5質量%~10.0質量%が好ましく、1.0質量%~7.0質量%がより好ましく、2.0質量%~5.0質量%が更に好ましく、2.5質量%~3.5質量%が特に好ましい。2種以上の特定化合物を用いる場合には、上記含有量は2種以上の合計含有量をいう。
[0069]
 特定化合物の製造方法は、特に制限はなく、例えば、マレイミド化合物、又は、ナフタルイミド化合物の窒素原子上にカルボキシアルキル基を公知の方法により導入することができる。
[0070]
<アミン化合物>
 本開示に係る顔料組成物は、アミン化合物を含んでいてもよい。
 アミン化合物は、顔料組成物中でアンモニウムカチオンとして存在していてもよいし、特定樹脂は、上記構成単位a-3の少なくとも一部の酸性基がアミン化合物と塩を形成し中和されたものであってよい。
 アミン化合物としては、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、下記式3で表される化合物が好ましく挙げられる。
[0071]
[化13]


[0072]
 式3中、R a1~R a3はそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、水素原子、アルキル基又はヒドロキシアルキル基であることが好ましく、アルキル基又はヒドロキシアルキル基であることがより好ましい。
 上記アルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。また、上記アルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
 上記ヒドロキシアルキル基としては、アルキル基の炭素数が1~10であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。上記アルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖上であってもよいが、直鎖状であることが好ましい。また、上記ヒドロキシアルキル基は、アルキル基の末端にヒドロキシ基を有する、ω-ヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
 上記アミン化合物としては、無機アミン化合物、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物、第3級アミン化合物のいずれであってもよいが、第2級アミン化合物又は第3級アミン化合物が好ましい。
[0073]
 アミン化合物としては、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、アルカノールアミン化合物が好ましい。
 アルカノールアミン化合物としては、モノアルカノールアミン化合物、ジアルカノールアミン化合物、及び、トリアルカノールアミン化合物のいずれであってもよいが、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、モノアルカノールアミン化合物、又は、ジアルカノールアミン化合物が好ましい。
 また、モノアルカノールアミン化合物としては、ジアルキルモノアルカノールアミン化合物が好ましい。
 ジアルカノールアミン化合物としては、モノアルキルジアルカノールアミン化合物が好ましい。
[0074]
 アミン化合物の具体例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、アミノメチルプロパンジオール(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパノール)、アミノエチルプロパンジオール(2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパノール)、及び、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールが挙げられる。
 中でも、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、ジメチルアミノエタノール、アミノメチルプロパンジオール、又は、アミノエチルプロパンジオールであることが好ましい。
[0075]
 アミン化合物の含有量は、特定樹脂の酸性基の総量に対し、20mol%~200mol%であることが好ましく、25mol%~150mol%であることがより好ましく、40mol%~100mol%が更に好ましい。
 アミン化合物は、1種単独で使用してもよいが、2種以上を併用してもよい。本開示において、アミン化合物を2種以上併用する場合、アミン化合物の総量が上記範囲内であることが好ましい。
[0076]
<水溶性有機溶剤>
 本開示に係る顔料組成物は、水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。
 本開示において「水溶性」とは、20℃において水に対する溶解度が5質量%以上であるものをいう。
 水溶性有機溶剤としては、例えば、アルコール化合物、ケトン化合物、エーテル化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、スルホン化合物が挙げられる。
 上記アルコール化合物としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、及び、グリセリンが挙げられる。
 上記ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、及び、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
 上記エーテル化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、及び、ジオキサンが挙げられる。
 上記アミド化合物としては、例えば、ジメチルホルムアミド、及び、ジエチルホルムアミドが挙げられる。
 上記ニトリル化合物としては、例えば、アセトニトリルが挙げられる。
 上記スルホン化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、及び、スルホランが挙げられる。
[0077]
 水溶性有機溶剤の含有量は、顔料組成物の全質量に対し、3質量%~50質量%が好ましく、10質量%~45質量%がより好ましく、15質量%~40質量%が更に好ましい。
 本開示に係る顔料組成物は、水溶性有機溶剤を、1種単独で含有してもよいし、2種以上を併用してもよい。本開示に係る顔料組成物が、水溶性有機溶剤を2種以上併用する場合、上記含有量は、水溶性有機溶剤の合計含有量をいう。
[0078]
<顔料組成物の特性>
〔含有比〕
 本開示に係る顔料組成物において、上記顔料の含有量と特定樹脂の含有量の含有比は、顔料が顔料組成物中において安定的に分散できれば特に制限はないが、顔料:特定樹脂=1:0.1~1:2(質量比)であることが好ましく、1:0.2~1:1(質量比)であることがより好ましい。
 また、本開示に係る顔料組成物において、特定樹脂の含有量とアミン化合物の含有量の含有比は、顔料が顔料組成物中において安定的に分散できれば特に制限はないが、特定樹脂:アミン化合物=1:0.1~1:2(質量比)であることが好ましく、1:0.2~1:1(質量比)であることがより好ましい。
[0079]
〔粘度〕
 本開示に係る顔料組成物の粘度は、顔料濃度にもよるが、通常は3mPa・s~100mPa・sであり、5mPa・s~50mPa・sであることがより好ましい。顔料組成物の粘度は、TV-22型粘度計(東機産業(株)製)を用い、25℃で測定される。
[0080]
〔pH〕
 本開示に係る顔料組成物の25℃におけるpHは、分散安定性の観点から、pH6~11が好ましく、pH7~10がより好ましく、pH7~9が更に好ましい。pHの測定方法としては、25℃において、市販のpHメーターを用いて測定することができる。
[0081]
(顔料組成物の製造方法)
 本開示に係る顔料組成物の製造方法は、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料と、水と、下記式1で表される構成単位を有する樹脂と、カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを混合する工程を含む。
[0082]
[化14]


[0083]
 式1中、R は水素原子又はメチル基を表し、L は-C(=O)O-、-OC(=O)-又は-C(=O)NR -を表し、R は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R は炭素数6以上のアルキル基を表す。
[0084]
 本開示に係る顔料組成物は、本開示に係る顔料組成物の製造方法により製造されたものであることが好ましい。
[0085]
 上記混合する工程では、上記顔料と、水と、特定樹脂と、特定化合物とを混合する順番に特に制限はない。
 上記混合する工程において、各成分を混合する方法は、特に制限されない。
 上記混合する工程における各成分の混合は、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸又は2軸の押出機などを用いて行うことができる。
 なお、混練、分散についての詳細は、T.C. Patton著”Paint Flow and Pigment Disper
sion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載を参照できる。
[0086]
 また、平均粒径を小さくする観点から、本開示に係る顔料組成物の製造方法は、上記混合する工程の前に、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料をソルトミリング処理する工程を含むことが好ましい。
 ソルトミリング処理は、例えば、上記顔料と、水溶性無機塩と、水溶性有機溶剤とを含む混合物を混練機に仕込み、その中で混練し磨砕する処理である。
 上記水溶性無機塩としては、通常用いられる水溶性無機塩を特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の無機塩を用いることが好ましい。
 また、使用する水溶性無機塩の平均粒子径は、0.5μm~50μmが好ましく、1μm~20μmがより好ましく、1μm~10μmが更に好ましい。
 上記水溶性無機塩の使用量は、顔料の使用量に対して、1質量倍~30質量倍であることが好ましく、生産性の観点から、3質量倍~20質量倍であることがより好ましく、5質量倍~15質量倍であることが更に好ましい。
 水溶性有機溶剤としては、水に溶解し、上記顔料と上記水溶性無機塩を実質的に溶解しないものが好ましく、混練時の温度上昇により溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から高沸点溶剤が好ましい。水溶性有機溶剤は粗アゾ顔料と水溶性無機塩とを含む混合物を混練に適用可能な硬さに調整するために用いることができる。このような水溶性有機溶剤としては、例えばジエチレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングルコール、液体ポリプロピレングリコール、2-(メトキシメトキシ)エタノール、2-ブトキシエタノール、2ー(イソペンチルオキシ)エタノール、2-(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングルコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール又はこれらの混合物が挙げられる。
 上記水溶性有機溶剤の使用量は、顔料の使用量に対して、0.1質量倍~5質量倍が好ましい。
 混練温度は、20℃~130℃が好ましく、40℃~110℃が特に好ましい。
 混練機としては、例えば、ニーダー、ミックスマーラー等が好ましく使用できる。
 ソルトミリング処理により得られる上記顔料の算術平均粒径は、沈降抑制性及び凝集抑制性の観点から、50nm~180nmであることが好ましく、70nm~145nmであることがより好ましく、80nm~120nmであることが更に好ましく、90nm~100nmであることが特に好ましい。
 上記顔料の平均一次粒径はTEM(日本電子(株)製1200EX(商品名))で10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の長径を測定して平均値を算術平均粒径として算出する。
[0087]
(水性インク組成物)
 本開示にかかる水性インク組成物(以下、単に「インク」ともいう。)は、本開示に係る顔料組成物を含む。
 インク中の上記顔料の含有量は、インクの全固形分に対して、0.5質量%~30質量%であることが好ましく、1質量%~12質量%であることがより好ましく、2質量%~10質量%であることが更に好ましく、2質量%~5質量%が特に好ましい。
 本開示に係るインクは、更に水溶性溶剤、その他の添加剤を含んでもよい。
 本開示に係るインクは、本開示に係る顔料組成物を含むため、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れるだけでなく、インクジェット吐出安定性にも優れ、また、画像濃度が高い画像を形成することができる。
[0088]
<水溶性有機溶媒>
 本開示に係るインクは、水溶性有機溶媒の少なくとも1種を含有してもよい。
 水溶性有機溶媒は、乾燥防止、湿潤あるいは浸透促進の効果を得ることができる。乾燥防止には、噴射ノズルのインク吐出口においてインクが付着乾燥して凝集体ができ、目詰まりするのを防止する乾燥防止剤として用いられ、乾燥防止や湿潤には、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。また、浸透促進には、紙へのインク浸透性を高める浸透促進剤として用いることができる。
[0089]
 乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒であることが好ましい。このような水溶性有機溶媒の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3-スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。
 このうち、乾燥防止剤としては、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。
 乾燥防止剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。乾燥防止剤の含有量は、インクの全質量に対し、10質量%~50質量%の範囲であることが好ましい。
[0090]
 浸透促進剤としては、インクを記録媒体(印刷用紙など)により良く浸透させる目的で好適である。このような水溶性有機溶媒の具体例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を好適に用いることができる。
 浸透促進剤は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。浸透促進剤の含有量は、インクの全質量に対し、5質量%~30質量%の範囲であることが好ましい。また、浸透促進剤は、画像の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない量の範囲内で使用することが好ましい。
[0091]
 水溶性有機溶媒は、上記以外にも粘度の調整のために用いられる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶媒の具体例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、モルホリン、N-エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)、及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、2-オキサゾリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。この場合も、水溶性有機溶媒は1種単独で用いるほか、2種以上を併用してもよい。
[0092]
<水>
 本開示に係るインクは、水を含有する。本開示に係るインクは、顔料組成物に含まれる水に加えて、更に水を含んでいてもよい。
 水の含有量には特に制限はないが、インクの全質量に対し、10質量%~99質量%であることが好ましく、30質量%~80質量%であることがより好ましく、50質量%~70質量%であることが更に好ましい。
[0093]
<その他の添加剤>
 本開示に係るインクは、上記成分以外にその他の添加剤を用いて構成することができる。その他の添加剤としては、例えば、水溶性重合性化合物、重合開始剤、樹脂粒子、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、インクに直接添加する。
 水溶性重合性化合物は、画像の密着性を向上させることができる。水溶性重合性化合物の好ましい形態については、特開2011-231315号公報の段落0037~0061の記載を適宜参照できる。
[0094]
 重合開始剤は、水溶性重合性化合物とともに添加されることで、画像の耐擦過性を向上させることができ、また、高速記録に有利である。開始剤の好ましい形態については、特開2011-231315号公報の段落0062~0065の記載を適宜参照できる。
[0095]
 紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させることができる。紫外線吸収剤としては、特開昭58-185677号公報、同61-190537号公報、特開平2-782号公報、同5-197075号公報、同9-34057号公報等に記載のベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46-2784号公報、特開平5-194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載のベンゾフェノン系化合物、特公昭48-30492号公報、同56-21141号公報、特開平10-88106号公報等に記載の桂皮酸系化合物、特開平4-298503号公報、同8-53427号公報、同8-239368号公報、同10-182621号公報、特表平8-501291号公報等に記載のトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載の化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される、紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
[0096]
 褪色防止剤は、画像の保存性を向上させることができる。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤が挙げられる。有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。より具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI乃至J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載の化合物や、特開昭62-215272号公報の127頁~137頁に記載の代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
[0097]
 防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン及びその塩等が挙げられる。防黴剤の含有量は、インクの全質量に対して、0.02質量%~1.00質量%の範囲であることが好ましい。
[0098]
 pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させることができる。pH調整剤は、インクのpHが6~10となるように添加することが好ましく、インクのpHが7~10となるように添加することがより好ましい。
[0099]
 表面張力調整剤としては、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系
界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
 表面張力調整剤の添加量は、インクの表面張力を20mN/m~60mN/mに調整できる範囲が好ましく、20mN/m~45mN/mに調整できる範囲がより好ましく、25mN/m~40mN/mに調整できる範囲が更に好ましい。添加量が範囲内であると、インクジェット法で良好に打滴することができる。
[0100]
 界面活性剤の具体例としては、炭化水素系では、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。
 また、N,N-ジメチル-N-アルキルアミンオキシド等のアミンオキシド型の両性界面活性剤も好ましい。
 更に、特開昭59-157636号公報の第(37)~(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)に界面活性剤として挙げられたものも用いることができる。
 また、特開2003-322926号、特開2004-325707号、特開2004-309806号の各公報に記載のフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
[0101]
 これらの界面活性剤の中でも、顔料表面の濡れ性をより向上させ、混合液の分散性を向上させることができる点から、ノニオン系界面活性剤が好ましく、アセチレンジオール基を有する化合物がより好ましい。
 本開示に用いられるアセチレンジオール基を有する化合物は、アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物であることがより好ましい。
 アセチレンジオール基を有する化合物の具体例としては、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3オールなどが挙げられる。
 また、アセチレンジオール基を有する化合物は、市販品を用いることができる。具体的には、例えば、AirProducts&Chemicals社製のSURFYNOL82、465、485、DYNOL604、607、日信化学工業(株)製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等が挙げられる。
[0102]
 界面活性剤の添加量は、顔料の全質量100質量部に対して、30質量部~100質量部が好ましく、5質量部~30質量部がより好ましい。
 界面活性剤のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値は、6~13が好ましく、8~13がより好ましい。
 HLBはGRIFFINのHLB値(20Mw/M、Mw=親水性部位の分子量、M=非イオン界面活性剤の分子量)により算出された値である。
[0103]
 本開示に係るインクの製造方法は、特に制限はないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
 本開示に係る顔料分散体と水溶性有機溶剤とその他の添加剤とを混合してインクを作製する工程を含む方法であることが好ましく、必要に応じて、その他の工程を有することができる。
[0104]
<水性インク組成物の特性>
〔粘度〕
 本開示に係る水性インク組成物の粘度には特に限定はないが、25℃での粘度が、1.2mPa・s以上15.0mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上13mPa・s未満であることがより好ましく、2.5mPa・s以上10mPa・s未満であることが更に好ましい。水性インク組成物の粘度は、TV-22型粘度計(東機産業(株)製)を用い、25℃で測定される。
[0105]
〔pH〕
 本開示に係る水性インク組成物の25℃におけるpHは、分散安定性の観点から、6~11が好ましい。酸性処理剤を含むインクセットとして用いる場合は、酸性化合物等を含む処理剤との接触によってインク組成物が高速で凝集することが好ましいため、本開示に係る水性インク組成物の25℃におけるpHは、7~10がより好ましく、7~9が更に好ましい。
[0106]
〔用途〕
 本開示に係る水性インク組成物は、サインペン、マーカー等の文具類に用いるインク、又は、各種プリンタのインクとして用いることができる。中でも、その優れた顔料分散性及び分散安定性から、インクジェット記録用であることが好ましい。
実施例
[0107]
 以下、実施例により本発明の実施形態を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
[0108]
<合成例1:樹脂P-1の合成>
 撹拌機、冷却管を備えた三口フラスコにジプロピレングリコールを後述するモノマーの全量と同質量を加え、窒素雰囲気下で85℃に加熱した。
 ステアリルメタクリレート9.1モル当量、ベンジルメタクリレート34.0モル当量、ヒドロキシエチルメタクリレート31.9モル当量、メタクリル酸25.0モル当量、及び、2-メルカプトプロピオン酸0.8モル当量を混合した溶液Iと、モノマーの全質量に対し1質量%のt-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油(株)製パーブチルO)を、モノマーの全質量に対し20質量%のジプロピレングリコールに溶解させて得られた溶液IIと、をそれぞれ調製した。上記三口フラスコに溶液Iを4時間、溶液IIを5時間かけて滴下した。
 滴下終了後、更に2時間反応させた後、95℃に昇温し、3時間加熱撹拌して未反応モノマーをすべて反応させた。モノマーの消失は H-NMRで確認した。
 得られた反応溶液を70℃に加熱し、アミン化合物としてジメチルアミノエタノール(ジメチルエタノールアミン)を20.0モル当量添加した後、プロピレングリコールを加えて撹拌し、樹脂P-1の30質量%溶液を得た。得られたポリマーの構成成分を H-NMRで確認した。また、重量平均分子量(Mw)をGPCにより求め、Mw=22,000であった。なお、樹脂P-1における各構成単位の質量比は、ステアリルメタクリレート由来の構成単位/ベンジルメタクリレート由来の構成単位/ヒドロキシエチルメタクリレート由来の構成単位/メタクリル酸由来の構成単位=20/39/27/14であった。ただし、上記質量比は、ジメチルアミノエタノールは含まない値である。
 なお、下記各構成単位の括弧の右下の数値は、モル比である。
[0109]
[化15]


[0110]
<合成例2:樹脂P-2の合成>
 ステアリルメタクリレート由来の構成単位/ベンジルメタクリレート由来の構成単位の質量比が、15/44となるように、使用する各モノマーの量を変更した以外は、樹脂P-1の合成と同様に行い、樹脂P-2を合成した。
[0111]
<合成例3:樹脂P-3の合成>
 ステアリルメタクリレート由来の構成単位/ベンジルメタクリレート由来の構成単位の質量比が、45/14となるように、使用する各モノマーの量を変更した以外は、樹脂P-1の合成と同様に行い、樹脂P-3を合成した。
[0112]
<合成例4~6:樹脂P-4~P-6の合成>
 ステアリルメタクリレートの代わりに、シクロヘキシルメタクリレート(樹脂P-4)、n-オクチルメタクリレート(樹脂P-5)又は2-エチルヘキシルメタクリレート(樹脂P-6)を表1に記載の式1で表される構成単位の量となるように用いた以外は、樹脂P-1の合成と同様に行い、樹脂P-4~P-6をそれぞれ合成した。
 各モノマー由来の構成単位を、以下に示す。
[0113]
[化16]


[0114]
<合成例7~9:樹脂P-7~P-9の合成>
 ベンジルメタクリレートの代わりに、フェノキシエチルメタクリレート(樹脂P-7)、2-フェノキシベンジルアクリレート(樹脂P-8)又はスチレン(樹脂P-9)を等モル量用いた以外は、樹脂P-1の合成と同様に行い、樹脂P-7~P-9をそれぞれ合成した。
 各モノマー由来の構成単位を、以下に示す。
[0115]
[化17]


[0116]
<合成例10~12:樹脂P-10~P-12の合成>
 ヒドロキシエチルメタクリレートの代わりに、N,N-ジメチルアクリルアミド(樹脂P-10)、メトキシポリエチレンエチレングリコールメタクリレート(樹脂P-11)又はダイアセトンアクリルアミド(樹脂P-12)を対応する構成単位の質量比が樹脂P-1と同様となる量用いた以外は、樹脂P-1の合成と同様に行い、樹脂P-10~P-12をそれぞれ合成した。
 各モノマー由来の構成単位を、以下に示す。
[0117]
[化18]


[0118]
<合成例13及び14:樹脂P-13及びP-14の合成>
 ジメチルアミノエタノールの代わりに、アミノメチルプロパンジオール(樹脂P-13)又はアミノエチルプロパンジオール(樹脂P-14)を対応する構成単位の質量比が樹脂P-1と同様となる量用いた以外は、樹脂P-1の合成と同様に行い、樹脂P-13及びP-14をそれぞれ合成した。
[0119]
(実施例1)
<顔料のソルベントソルトミリング処理>
 以下の組成となるように、スーパーミキサーに粗顔料及び食塩を投入して混合した。スーパーミキサーを回転させながらジエチレングリコールを少しずつ添加して顔料の混合物(以下、「予備混合物」ともいう。)を調製した。
 表2に記載の顔料:100質量部
 食塩(ナクルUM-10、ナイカイ塩業(株)製、粒子径10μm):1,500質量部
 ジエチレングリコール(DEG):300質量部
[0120]
 続いて、連続式1軸混練機(浅田鉄工(株)製、ミラクルKCK-L)の磨砕部及び押出部の5箇所の温度を15℃~20℃に、軸回転数40rpmに設定し、上記で得られた予備混合物を投入し、混練物を得た。この時、電流値(負荷)は約5Aで、吐出量は50g/分、吐出物の温度は19℃であった。
 こうして得られた混練物1,000質量部を80℃に加温した純水5,000質量部へ投入してクリアミックスを用いて撹拌処理を行った後、濾過及び十分に水洗をして食塩及びジエチレングリコールを除去し、85℃で一昼夜乾燥し、100質量部の顔料組成物を得た。
[0121]
<顔料組成物1の調製>
 上記で得られた樹脂P-1の溶液100質量部と、ソルベントミリング処理を行った顔料95質量部と、水240質量部と、を混合し、混合液を得た。
 次いで、ラボスターミニ LMZ015(アシザワファインテック社製、ビーズ径:0.3mmφ、ジルコニアビーズ)を用いて、3時間分散処理を行った。こうして得られた顔料分散物を7000G、30分遠心(久保田商事(株)製、高速大容量冷却遠心機7780)処理し、処理した液の顔料の固形分濃度が15質量%になるように超純水で調整して顔料組成物1を得た。
[0122]
<水性インク組成物1の調製>
 下記配合組成で原料を混合し、得られた混合液をADVANTEC社製ガラスフィルター(GS-25)でろ過した後、ミリポア社製フィルター(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜、孔径5μm)でろ過し、水性インク組成物1を作製した。
-水性インク組成物1の組成-
・顔料組成物1:16.5質量部
・グリセリン:7質量部
・ジエチレングリコール:9質量部
・プロピレングリコール:9質量部
・オルフィンE1010(日信化学工業(株)製、界面活性剤):1質量部
・イオン交換水:全体が100質量部となる量
[0123]
<平均一次粒径の測定>
 顔料の平均一次粒径を、TEM(日本電子(株)製1200EX(商品名))を用いて測定した。具体的には、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに、1,000倍に希釈した顔料組成物を滴下した後乾燥させ、TEMで10万倍に拡大した画像から、重なっていない独立した粒子300個の長径を測定して平均値を平均粒径として算出した。
[0124]
<体積平均粒径>
 顔料組成物中の顔料の体積平均粒径を、ナノトラック粒度分布測定装置UPA-EX150(日機装(株)製)を用い、動的光散乱法により測定して求めた。測定には分散処理後の顔料を1,000倍に希釈した液を用いた。
[0125]
<沈降抑制性の評価>
 長さ30cm×直径φ0.7cmのチューブの両端を塞いで縦に置き、得られた水性インク組成物を25cmの高さまで充填する。それを室温(25℃)で1週間放置した後の下端2cmの液を採取し、吸光度の測定を行い、初期の水性インク組成物の吸光度に対する濃度の変化率を計算した。顔料の沈降量が多いほど、吸光度の変化率が大きくなる。評価基準を以下に示す。
-評価基準-
  AA:吸光度の変化率が2%以下
  A:吸光度の変化率が2%を超え5%以下
  B:吸光度の変化率が5%%を超え10%以下
  C:吸光度の変化率が10%を超え50%未満
  D:吸光度の変化率が50%以上
[0126]
<凝集抑制性の評価(インクジェット吐出安定性試験)>
 (株)リコー製GELJET GX5000プリンターヘッドを500mm/秒で所定の直線方向に移動可能なステージの移動方向(副走査方向)と直交する方向に、ノズルが並ぶラインヘッドの方向(主走査方向)を合わせて固定した。
 次にこれに繋がる貯留タンクに得られた水性インク組成物を詰め替えた。記録媒体として富士フイルム(株)製の画彩写真仕上げProを、ステージに貼り付けた。
 次に、ステージを248mm/分で移動させ、インク滴量3.4pL、吐出周波数10kHz、ノズル配列方向×搬送方向75dpi×1,200dpi(dots per inch)で96本のラインを搬送方向に対して平行に1ノズル(1つの吐出孔)当り2,000発のインク滴を吐出して、印画サンプルを作製した。
 得られた印画サンプルを目視で観察して、すべてのノズル(吐出孔)から水性インク組成物が吐出されていることを確認した。
 上記インク吐出後、25℃、80%RHの環境下で3時間ヘッドをそのままの状態で放置した後、新しい記録媒体を貼り付けて、再び同様の条件で水性インク組成物を吐出して印画サンプルを作製した。
 得られた印画サンプルを目視で観察し、2,000発吐出した後の不吐ノズル数を評価した。
 不吐ノズル数(単位:本)に応じてA~Dの評価をつけた。このとき、不吐ノズル数が少ないほうが、凝集抑制性により優れ、また、インクジェット吐出安定性により優れる。
-評価基準-
  A:不吐ノズル数が0本~3本であった。
  B:不吐ノズル数が4本~7本であった。
  C:不吐ノズル数が8本~11本であった。
  D:不吐ノズル数が12本以上であった。
[0127]
<画像濃度評価>
 OKトップコートマット(坪量:104.7g/m 、紙厚:0.09mm、王子製紙(株)製)にベタ画像(100%)を記録して、グレタグマクベス(X-Rite社製)を用いて測色してビジュアル濃度(Visual Density)を求め、下記の評価基準にしたがって評価した。評価基準を以下に示す。なお、ビジュアル濃度の値が大きいほうが好ましい。
-評価基準-
  A:ビジュアル濃度が2.2以上であった。
  B:ビジュアル濃度が2.0以上2.2未満であった。
  C:ビジュアル濃度が1.8以上2.0未満であった。
  D:ビジュアル濃度が1.8未満であった。
[0128]
(実施例2~26、及び、比較例1~9)
 表2に記載のように、ソルトミリング処理の有無、各成分の種類及び使用量を変更した以外は、実施例1と同様にして、顔料組成物をそれぞれ調製した。
 なお、実施例25の顔料組成物は、顔料の固形分濃度が2.5質量%となるように調製した。
 また、実施例3においては、実施例1よりも分散時間を短くしたこと以外は、実施例1と同様にして、顔料組成物を調製した。
 また、得られた顔料組成物を用い、実施例1と同様にして、水性インク組成物をそれぞれ調製した。
 更に、実施例1と同様にして、上記各評価を行った。評価結果をまとめて表2に示す。
[0129]
[表2]


[0130]
 また、上述した以外の表2中の略語の記載は、下記の通りである。
 PO43:C.I.Pigment Orange 43(ペリノン系顔料)
 PR194:C.I.Pigment Red 194(ペリノン系顔料)
 PR178:C.I.Pigment Red 178(ペリレン系顔料)
 PR149:C.I.Pigment Red 149(ペリレン系顔料)
 BYK2012:式1で表される構成単位を有しない樹脂(DISPERBYK-2012、ビックケミー社製)
 Joncryl 63J:式1で表される構成単位を有しない樹脂(BASF社製)
 C-1~C-5:上述した化合物C-1~C-5
 Solsperse22000:フタルイミド構造及びナフタルイミド構造を有しない化合物(分散助剤、Lubrizol社製)
 Solsperse12000:フタルイミド構造及びナフタルイミド構造を有しない化合物(分散助剤、Lubrizol社製)
[0131]
 表2の結果から明らかなように、本開示に係る顔料組成物を用いた場合、比較例1~6の顔料組成物に比べ、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性に優れることが分かる。
 また、表2の結果から明らかなように、本開示に係る水性インク組成物は、インクジェット吐出安定性にも優れ、また、画像濃度が高い画像を形成することができる。
[0132]
 表2の実施例1、2、7及び8に示すように、特定化合物がナフタルイミド化合物であると、顔料組成物における体積平均粒径をより小さくすることができ、また、カルボキシアルキル基がカルボキシメチル基であると、顔料組成物における顔料の体積平均粒径をより小さくすることができる。
 表2の実施例1及び4~6に示すように、特定化合物の含有量が、顔料100質量部に対し、1.0質量部~7.0質量部であると、顔料の沈降抑制性及び凝集抑制性により優れる。
 表2の実施例1、9及び10に示すように、樹脂における式1で表される構成単位の含有量が、10質量%~40質量%であると、顔料の凝集抑制性により優れる。
 表2の実施例1及び11~13に示すように、樹脂の式1で表される構成単位におけるR のアルキル基の炭素数が大きいほど、顔料組成物における顔料の体積平均粒径をより小さくすることができる。
 表2の実施例7及び20に示すように、ソルトミリング処理を行うことにより、顔料組成物における顔料の体積平均粒径をより小さくすることができ、また、顔料の沈降抑制性に優れる。
[0133]
 2017年8月29日に出願された日本国特許出願第2017-164810号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

請求の範囲

[請求項1]
 ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料と、
 水と、
 下記式1で表される構成単位を有する樹脂と、
 カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを含む
 顔料組成物。
[化1]



 式1中、R は水素原子又はメチル基を表し、L は-C(=O)O-、-OC(=O)-又は-C(=O)NR -を表し、R は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R は炭素数6以上のアルキル基を表す。
[請求項2]
 前記顔料が、C.I.Pigment Orange 43、C.I.Pigment Red 194、C.I.Pigment Red 123、C.I.Pigment Red 149、C.I.Pigment Red 178、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 189、C.I.Pigment Red 190、及び、C.I.Pigment Black 31よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料を含む請求項1に記載の顔料組成物。
[請求項3]
 前記顔料が、ペリノン系顔料を含む請求項1又は請求項2に記載の顔料組成物。
[請求項4]
 前記顔料が、C.I.Pigment Orange 43を含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[請求項5]
 前記カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物における前記カルボキシアルキル基が、カルボキシメチル基又はカルボキシエチル基である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[請求項6]
 前記カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が、カルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[請求項7]
 前記式1で表される構成単位を有する樹脂が、アクリル樹脂である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[請求項8]
 前記R が、炭素数8~22のアルキル基である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[請求項9]
 前記式1で表される構成単位を有する樹脂が、芳香環を有する構成単位を更に有する請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[請求項10]
 前記式1で表される構成単位を有する樹脂が、酸性基を有する構成単位を更に有する請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の顔料組成物。
[請求項11]
 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の顔料組成物を含む水性インク組成物。
[請求項12]
 ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料と、水と、下記式1で表される構成単位を有する樹脂と、カルボキシアルキル基を有するフタルイミド化合物及びカルボキシアルキル基を有するナフタルイミド化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物とを混合する工程を含む顔料組成物の製造方法。
[化2]



 式1中、R は水素原子又はメチル基を表し、L は-C(=O)O-、-OC(=O)-又は-C(=O)NR -を表し、R は水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R は炭素数6以上のアルキル基を表す。
[請求項13]
 前記混合する工程の前に、ペリノン系顔料及びペリレン系顔料よりなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料をソルトミリング処理する工程を含む請求項12に記載の顔料組成物の製造方法。