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1. (WO2019044192) THREE-DIMENSIONAL STRUCTURE MANUFACTURING METHOD, THREE-DIMENSIONAL STRUCTURE, AND MANUFACTURING DEVICE FOR MANUFACTURING THREE-DIMENSIONAL STRUCTURE
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明 細 書

発明の名称 三次元構造物の製造方法、三次元構造物及び三次元構造物を製造する製造装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003  

先行技術文献

特許文献

0004  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0005   0006  

課題を解決するための手段

0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021  

発明の効果

0022  

図面の簡単な説明

0023  

発明を実施するための形態

0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116   0117   0118   0119   0120   0121   0122   0123   0124   0125   0126   0127   0128   0129   0130   0131   0132   0133   0134   0135   0136   0137   0138   0139   0140   0141   0142   0143   0144   0145   0146   0147   0148   0149   0150   0151   0152   0153   0154   0155   0156   0157   0158   0159   0160   0161   0162   0163   0164   0165   0166   0167   0168   0169   0170   0171   0172   0173   0174   0175   0176   0177   0178   0179   0180   0181   0182   0183   0184   0185   0186   0187   0188   0189   0190   0191   0192   0193   0194   0195   0196   0197   0198  

実施例

0199   0200   0201   0202   0203   0204   0205   0206   0207   0208   0209   0210   0211   0212   0213   0214   0215   0216   0217   0218   0219   0220   0221   0222   0223   0224   0225   0226   0227   0228   0229   0230   0231   0232   0233   0234   0235   0236   0237   0238   0239   0240   0241   0242   0243   0244   0245   0246   0247   0248   0249   0250   0251   0252   0253   0254   0255   0256   0257   0258   0259   0260   0261   0262   0263   0264   0265   0266   0267   0268   0269   0270   0271   0272   0273   0274   0275   0276   0277   0278   0279   0280   0281   0282   0283   0284   0285   0286  

符号の説明

0287  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14   15   16   17   18   19   20   21   22   23   24   25   26  

明 細 書

発明の名称 : 三次元構造物の製造方法、三次元構造物及び三次元構造物を製造する製造装置

技術分野

[0001]
 本技術は、三次元構造物の製造方法に関し、より詳しくは、三次元構造物の製造方法、三次元構造物及び三次元構造物を製造する製造装置に関する。

背景技術

[0002]
 近年、3Dプリンタ向けに様々な材料が提案および商品化されている。一般的には有機材料(高分子樹脂)であるが、無機材料(ガラス)や金属材料も提案されている。
[0003]
 例えば、複数種類の樹脂材料を含み、第1の層と第2の層とが積層方向に繰り返し配置された複合樹脂材料が提案されている(特許文献1を参照)。

先行技術文献

特許文献

[0004]
特許文献1 : 特開2017-25187号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0005]
 しかしながら、特許文献1で提案された技術では、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができないおそれがある。
[0006]
 そこで、本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができる三次元構造物の製造方法及び三次元構造物を製造する製造装置、並びに三次元構造物の物性が自由にコントロールされた三次元構造物を提供することを主目的とする。

課題を解決するための手段

[0007]
 本発明者は、上述の目的を解決するために鋭意研究を行った結果、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができることに成功し、本技術を完成するに至った。
[0008]
 すなわち、本技術の第一の側面は、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、該少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含み、該層を形成すること及び該分子を配向することを複数回で繰り返す、三次元構造物の製造方法である。
[0009]
 本技術の第一の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向してよい。
[0010]
 本技術の第二の側面は、配向膜を形成することと、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、該少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含む、三次元構造物の製造方法である。
[0011]
 本技術の第二の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向してよい。
 本技術の第二の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記配向膜を形成すること、前記層を形成すること及び前記分子を配向することを複数回で繰り返してよい。
 本技術の第二の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記層を形成すること及び前記分子を配向することを複数回で繰り返してよい。
 本技術の第二の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記層を形成すること及び前記分子を配向することを複数回で繰り返した後に、前記配向膜を形成してよい。
[0012]
 本技術の第三の側面は、配向膜を形成することと、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、を含む、三次元構造物の製造方法である。
[0013]
 本技術の第三の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記配向膜を形成した後に、前記層を形成することを複数回で繰り返してよい。
 本技術の第三の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記配向膜を形成すること及び前記層を形成することを複数回で繰り返してよい。
 本技術の第三の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記配向膜を形成してよい。
[0014]
 本技術の第二の側面及び第三の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記形成された配向膜に配向処理が施されてよい。
[0015]
 本技術の第一の側面、第二の側面及び第三の側面に係る三次元構造物の製造方法では、前記少なくとも1種の化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含んでよい。
[0016]
 本技術の第四の側面は、本技術の第一の側面に係る三次元構造物の製造方法によって得られ、異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物である。
[0017]
 本技術の第五の側面は、本技術の第二の側面に係る三次元構造物の製造方法によって得られ、異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物である。
[0018]
 本技術の第六の側面は、本技術の第三の側面に係る三次元構造物の製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物である。
[0019]
 本技術の第四の側面、第五の側面及び第六の側面に係る三次元構造物において、異方性を有する化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含んでよい。
[0020]
 本技術の第七の側面は、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成する層形成部を、少なくとも備える、三次元構造物を製造する製造装置である。
[0021]
 本技術の第七の側面に係る三次元構造物を製造する製造装置は、更に、配向膜を形成する配向膜形成部を備えてよい。
 また、本技術の第七の側面に係る三次元構造物を製造する製造装置は、更に、前記少なくとも1種の化学物質の分子を配向する分子配向部を備えてよい。
 さらに、本技術の第七の側面に係る三次元構造物を製造する製造装置は、更に、配向膜を形成する配向膜形成部と、前記少なくとも1種の化学物質の分子を配向する分子配向部とを備えてよい。

発明の効果

[0022]
 本技術によれば、三次元構造物の物性を自由にコントロールすることができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果、または、それらと異質な効果であってもよい。

図面の簡単な説明

[0023]
[図1] 層を形成すること及び分子を配向することを交互に行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図2] 層を形成することを複数回で繰り返して複数層を形成すること及び分子を配向することを交互に行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図3] 配向膜を形成すること(形成された配向膜に配向処理をすることを含む。)、層を形成すること及び分子を配向することをこの順で行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図4] 配向膜を形成すること(形成された配向膜に配向処理をすることを含む。)及び層を形成することを交互に行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図5] 配向膜を形成すること(形成された配向膜に配向処理をすることを含む。)及び層を形成することを複数回で繰り返して複数層を形成することを交互に行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図6] 本技術に係る実施例1において、配向膜の配向処理をしなくても分子を配向させることができることを説明するための図である。
[図7] 本技術に係る実施例1の三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図8] 本技術に係る実施例2において配向膜に配向処理を施して、層に含有される分子を配向させることができることを説明するための図である。
[図9] 本技術に係る実施例2の三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図10] アゾベンゼンの光照射や熱に伴う構造変化を示す図である。
[図11] 本技術に係る実施例3において、配向膜の配向処理をしないで層に含有される分子を配向させ、そして分子を配向することを経ることによって分子を更に配向させることができることを説明するための図である。
[図12] 本技術に係る実施例3の三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図13] 本技術に係る実施例4において、層に含有される分子を配向することを経ることによって分子を配向させることができることを説明するための図である。
[図14] 本技術に係る実施例4の三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図15] UV光による架橋性官能基を有する化合物(ポリビニルシンナメート)の架橋反応を示す図である。
[図16] 本技術に係る実施例5において、配向膜の配向処理を施して分子を配向させて、そして、層に含有される分子を配向することを経ることによって、分子を更に配向させることができることを説明するための図である。
[図17] 本技術に係る実施例5の三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図18] 本技術に係る実施例6において、層に含有される分子を配向することを経ることによって、分子を配向させることができることを説明するための図である。
[図19] 本技術に係る実施例6の三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図20] 本技術に係る実施例7において、配向膜の配向処理を施して層に含有される分子を配向させて、そして、分子を配向することを経ることによって、分子を更に配向させることができることを説明するための図である。
[図21] 本技術に係る実施例7の三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図22] 本技術に係る実施例8において、配向膜に配向処理を施して、層に含有される分子を配向させることができることを説明するための図である。
[図23] 本技術に係る実施例8の三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[図24] アゾベンゼンのシス・トランス転移についての説明をするための図である。
[図25] 光が垂直入射する場合のアゾベンゼンの分子長軸の方向性を説明するための図である。
[図26] 光が斜め入射する場合のアゾベンゼンの分子長軸の方向性を説明するための図である。

発明を実施するための形態

[0024]
 以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、図面については、同一又は同等の要素又は部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[0025]
 なお、説明は以下の順序で行う。
 1.本技術の概要
 2.第1の実施形態(三次元構造物の製造方法の例1)
 3.第2の実施形態(三次元構造物の製造方法の例2)
 4.第3の実施形態(三次元構造物の製造方法の例3)
 5.第4の実施形態(三次元構造物の例1)
 6.第5の実施形態(三次元構造物の例2)
 7.第6の実施形態(三次元構造物の例3)
 8.第7の実施形態(三次元構造物を製造する製造装置の例)
[0026]
 <1.本技術の概要>
 まず、本技術の概要について説明をする。
[0027]
 本技術は、三次元構造物の内部に含有される分子の分子構造に着目し、分子を並べることによって、三次元構造物の物性に異方性を発現させて、物性を自由にコントロールすることができる。そして、本技術は、三次元構造物の随意の方向、例えば、X方向でも、Y方向でも、Z方向でも分子を並べる方向を自由に選択することができるため、三次元構造物の物性に制約を生じさせることはなく、さらに、三次元構造物の製造のために用いられる材料の設計の自由度が非常に高い。
[0028]
 したがって、本技術によれば、三次元構造物における、熱、光、力学等のなど物性値を三次元で自由にコントロールすることによって、異方性を発現させて、これまでにない材料を製造することができる。また、本技術によれば、光などの電子線で分子配向制御をする場合、より微細な分子配向コントロールが可能となり、様々なAM(Additive Manufacturing)の方法と分子配向手法とを組み合わせることで、適用できる材料の幅を広げることができる。
[0029]
 本技術に係る三次元構造物は、以下の4つの点で、少なくとも、二次元フィルムよりも優れている。
 ・目的物が三次元構造物である場合、二次元フィルムを積層して3次元構造物を作成することはできる場合があるが、微細に分子配向をさせたものなどでは、フィルムを積層する場合ではアライメント精度が取れず、目的の異方性3次元構造物を作ることができない。
 ・三次元構造物は、二次元フィルムでは実現不可能である中空構造を容易に作ることができる。
 ・レンズなどでは、二次元フィルムで、フレネルレンズで代替することも考えられるが、同心円状の線が入ってしまう欠点や、回折の影響による結像性能の悪化が顕著になる。このため、3次元形状のレンズ構造物とした方がよい。また、3次元構造物内の屈折率をコントロールすることにより、多彩な光学素子への応用の可能性がある。
 ・様々な材料を微細に配置することができる。なお、分解能は3Dプリンタなどの性能に依存する。
[0030]
 本技術に係る三次元構造物の応用については、上記で述べた光学素子、光学部材、光学材料等に、特に、限定されない。本技術に係る三次元構造物は、例えば、建築部材、ソフトロボティクス部材、特殊な力学物性を必要とするスポーツ用品やプロテクター、生体材料、インテリジェントテキスタイル、エラストマー、蓄熱・放熱材料、玩具等に応用することができる。
[0031]
<2.第1の実施形態(三次元構造物の製造方法の例1)>
 本技術に係る第1の実施形態(三次元構造物の製造方法の例1)の三次元構造物の製造方法は、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成することと、少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含み、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返す、製造方法である。
[0032]
 本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法において、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、がこの順で含まれてもよい。
[0033]
 本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法において、層を形成することを複数回で繰り返した後に、少なくとも1種の化学物質の分子を配向してもよい。
[0034]
 本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法で用いられる化学物質は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよく、高分子化合物でもよく、キラル分子骨格を有する分子を含んでいてもよい。
[0035]
 本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法は、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することを複数回で繰り返して、複数層を形成した後に、化学物質の分子を配向してもよい。
[0036]
 本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法は、例えば、3Dプリンタを用いて、厚み方向に薄膜を積み上げていく方法である。本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法は、各層を形成するプロセスと化学物質の分子を配向させるプロセスを含むことで、分子を並べることができる。分子を並べることで、異方性のある物性が得られる。
[0037]
 例えば、FDM法(Fused Deposition Modeling)熱溶解積層方式と分子を並べるラビング法とを組み合わせることにより、層を形成後に分子の方向を再定義することができる。ラビング法は液晶ディスプレイの製造プロセスで確立された手法で、一般的にはポリイミド表面の分子配向性を誘起することでポリイミド/液晶界面の液晶分子に配向秩序を与えることができる。この方法により、さらに積層された層の分子を配向することができる。
[0038]
 また、他の例として、STL法(Stereo lithography)光造形方式と分子を並べる光配向法とを組み合わせることにより、層を形成する際のUV照射と同時に形成する層の分子配向を処理することができる。具体的には、照射するUV光としては、直線偏光を適用する、斜め照射の平行光を適用する又は直線偏光と斜め照射の平行光との両方を適用することで、分子の配向を制御できる。さらに秩序を上げる方法として、斜めからUV光を照射することで、3次元的に分子の方向を決めることができる。
[0039]
 以下に、本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法の2つの例について、図1及び図2を用いて説明をする。
[0040]
 図1は、層を形成すること及び化学物質の分子を配向することを交互に行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。図1に示される三次元構造物の製造方法によれば、三次元に、物性的に異方性のある構造物を得ることができる。
[0041]
 図1に示される三次元構造物の製造方法は、図1(A)、図1(C)及び図1(E)で層を形成し(層を形成するプロセス)、図1(B)、図1(D)及び図1(F)で層に含有される分子を配向する(分子を配向するプロセス)。
[0042]
 図1(A)で、矢印P11方向に、ベース基材1に1層目の層21(2)を形成し、図1(B)で、矢印P12方向に、1層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた層22(2)を作製する。続いて、図1(C)で、矢印P13方向に、1層目の層22(2)上に2層目の層21(2)を形成し、図1(D)で、矢印P14方向に、2層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた2つの層22(2)を作製する。さらに、図1(E)で、矢印P15方向に、2層目の層22(2)上に3層目の層21(2)を形成し、図1(F)で、矢印P16方向に、3層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた3つの層22(2)を作製する。
[0043]
 以上の図1(A)~図1(F)を、所定の回数で繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0044]
 図2は、層を形成することを複数回で繰り返して複数層を形成すること及び分子を配向することを交互に行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。図2に示される三次元構造物の製造方法によれば、三次元に、物性的に異方性のある構造物を得ることができ、また、各層を形成するプロセスを複数回で行い、複数層(積層)を形成した後に分子配向処理をすることによって、製造タクトを短縮することができる。
[0045]
 図2に示される三次元構造物の製造方法は、図2(A)及び図2(C)で層を形成し(層を形成するプロセス)、図2(B)及び図2(D)で層に含有される分子を配向する(分子を配向するプロセス)。
[0046]
 図2(A)で、矢印P21方向に、ベース基材1に1層目の層21(2)を形成する。図示はされていないが、必要に応じて、2層目の層21(2)を形成する前に、1層目の層21(2)に2層目の層21(2)が積層されるように1層目の層21(2)をUV光、熱等で処理してもよい。1層目の層21(2)上に2層目の層21(2)を形成し、図2(B)で、矢印P22方向に、1層目の層21(2)及び2層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた2つの層22(2)を作製する。図示はされていないが、必要に応じて、3層目の層21(2)を形成する前に、2層目の層21(2)に3層目の層21(2)が積層されるように2層目の層21(2)をUV光、熱等で処理してもよい。図2(C)で、矢印P23方向に、2層目の層22(2)上に3層目の層21(2)を形成する。図示はされていないが、必要に応じて、4層目の層21(2)を形成する前に、3層目の層21(2)に3層目の層21(2)が積層されるように2層目の層21(2)をUV光、熱等で処理してもよい。3層目の層21(2)上に4層目の層21(2)を形成し、図2(D)で、矢印P24方向に、3層目の層21(2)及び4層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた4つの層22(2)を作製する。
[0047]
 以上の図2(A)~図2(D)を、所定の回数で繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0048]
 [少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成すること]
 本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法に含まれる、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成すること(層を形成すること又は層を形成するプロセスともいう。)について、詳細に説明をする。なお、層を形成することは、例えば、少なくとも1種の化学物質を含有する材料(混合組成物等)をベース基材等に塗布することと、該層に、次の層又は配向膜が積層されるように該層を処理することを含んでよい。そして、該層に、次の層及び/又は配向膜が積層されるように該層を処理することは、少なくとも1種の化学物質をUV光、熱等により重合(硬化)することを含んでよい。
[0049]
 層を形成すること(層を形成するプロセス)は、例えば、FDM法(Fused Deposition Modeling)熱溶解積層方式、STL法(Stereo lithography)光造形方式、Ink Jet方式、SLS法(Selective Laser Sintering)粉末焼結方式、Projection方式、インクジェット粉末積層方式、シート積層方式、接合材噴射法、粉末床溶融結合法、指向エネルギー堆積法等を用いることができる。
[0050]
 以下に、上記で例示として挙げた方式や方法について、具体的に説明をする。
[0051]
(FDM法(Fused Deposition Modeling)熱溶解積層方式)
 FDM法は、1980年代後半に米国 ストラタシス社のスコット・クランプによって開発されたラピッドプロトタイピング・3Dプリンタにおける造形方式の一つである。熱可塑性樹脂のフィラメントを高温で溶かし、積層させることで立体形状を作成する。樹脂スプールを造形ヘッド内のプーリーで押出し、その先のヒーターで樹脂を溶解しながら、押出された樹脂を造形テーブルに押し付けるように積層を行う。
[0052]
 原理としては、溶かした樹脂を積層するだけの非常にシンプルなものだが、熱可塑性樹脂により収縮率・線膨張率・溶解温度などの諸条件が違ううえ、型を使用しない方式のため作成する形状により前記条件が大きく変わってくる事もあり、実際にはこの方式で立体物を作成するには多大なノウハウと条件データが必要になる。
[0053]
(STL法(Stereo lithography)光造形方式)
 STL法は、3Dプリンタの中でもっとも歴史の古い方式である。日本で発明された技術で、1987年に3Dシステムズ社が実用化した。紫外線を照射すると硬化する液体樹脂(光硬化性樹脂)を用いた造形方式である。
[0054]
 原理としては、光硬化性樹脂を満たした槽に紫外線レーザーを照射させ層を造る。1層造ると造形ステージを1層分下げ、それを幾層も積み上げることで造形を行う。
[0055]
(Ink Jet方式)
 Ink Jet方式は、液状の紫外線硬化樹脂を噴射して、それを、紫外線を照らすことにより硬化させ積層させる方式である。紙を印刷するインクジェットプリンタの原理を応用した造形方法である。
[0056]
 原理としては、液状化した樹脂をインクジェットプリンタのように吹き付け、紫外線をあてることで硬化させる。それを幾層にも積層させることで造形する。
[0057]
(SLS法(Selective Laser Sintering)粉末焼結方式)
 粉末焼結積層造形は、粉末状の材料に高出力のレーザー光線をあて焼結させる造形方式である。主な材料としてナイロンなどの樹脂系材料や銅・青銅・チタン・ニッケルなどの金属系の材料が使用できる。耐久性があるためデザイン試作品だけでなく、利用可能な試作モデル(機能モデル)としてもおり、大量生産する前段階のテスト時に活用されている。
[0058]
 原理としては、粉末焼結方式は光造形法と似たような方式で、ステージ上にある粉末にレーザー光線を照射させて焼結させる。粉末が硬化したらステージを下げる。この作業をスライスした分繰り返し造形を行う。
[0059]
(Projection方式)
 光造形方式の一種であるが、プロジェクターの光を利用して樹脂を硬化させて積層していく方式である。下から照射する為、造形物が逆さまに作られる。
[0060]
 原理としては、光造形方式は造形中にステージが下に下がるが、プロジェクション方式は、台を上に引き上げ、逆さまに造形物ぶら下がるように造形する。光造形方式がレーザー光で照射するのに対し、プロジェクション方式では、プロジェクターを使用して造形ステージ全体を照射する。樹脂との間に光を遮断するマスクが存在し、造形部分以外を光に当てないようにして造形を行う。
[0061]
(インクジェット粉末積層方式)
 でんぷん、石膏などの粉末を樹脂で接着して固める方式である。そのため粉末固着式積層法とも呼ばれている。代表的な3DプリンタにZ-Corporation社(現在は3DSYstemsと統合)のZプリンタがある。フルカラーで造形出来ることも大きな特徴である。
[0062]
 原理としては、先ず、造形ステージに1層分の厚さに粉末を敷き詰める。次に、インクジェットより接着剤を噴射して3Dデータに沿ってインク(接着剤)を吹き付けて固める。1つの層がプリントできたら、造形ステージは1層分下降する。さらに、1層目の上に次の層を3Dデータに沿ってプリントする。これらを繰り返して幾層にも重ねることで造形する。
[0063]
(シート積層方式)
 シートを積層させ、形状を作る造型法。数種類あり、カッティングプロッタで切り込みを入れた紙を糊で積層する方式や 光硬化樹脂をシートにインクジェットで出力してから転写する方式や水溶性の紙に熱硬化性樹脂や光硬化樹脂のモノマーをしみこませて一層の積層毎に加熱または紫外線照射、加圧して硬化する方法がある。上記の粉末法の基材をシートに置き換えたものである。Laminated Object Manufacturing(薄膜積層方式)とも呼ばれる。材料ロスは大きいものの、比較的精度がよく、大きいものが造形できる。不要部分を除去する作業は手間がかかる。
[0064]
(接合材噴射法)
 石膏や樹脂、砂、セラミックスなどの粉末に対してバインダー(接着剤)を選択的にインクジェットノズルから吐出して固める。着色したバインダーを使うことでカラー化が可能。造形後に、粉末間の隙間に材料を含浸させる処理が必要な場合がある。
[0065]
(粉末床溶融結合法)
 平らに敷き詰められた粉末に対して、レーザービームや電子ビームを照射することで断面形状を溶融・結合させる。金属もしくは樹脂を使う装置が多い。造形材料そのものを溶融させず、樹脂コーティングした粉末や添加した樹脂を溶融させる装置もある。基本的には、単一の材料を使った造形となるが、積層方向に材料を変化させることも原理的に可能である。
[0066]
(指向エネルギー堆積法)
 レーザービームを照射した位置に、粉末材料を吹き付けることで肉盛溶接する技術(レーザークラッディング)をベースにする。レーザー照射と粉末材料の吐出を行う加工ヘッドの地位を制御することで積層造形する。原理上は、複数の材料が混在した立体モデルを一体造形することが可能である。
[0067]
 [少なくとも1種の化学物質の分子を配向すること]
 本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法に含まれる、少なくとも1種の化学物質の分子を配向すること(分子を配向すること又は分子を配向するプロセスともいう。)について、詳細に説明をする。
[0068]
 分子を配向すること(分子を配向するプロセス)は、例えば、ラビング法、Ion-beam法、光配向法、グルブ配向法、磁場配向法、自由界面法、温度勾配法、ずり配向法、配向転写法、Langmuir-Blodgett法、光異性化反応法、光ラビング法等を用いることができる。
[0069]
 以下に、上記で例示として挙げた方法のうち、ラビング法、Ion-beam法、光配向法、グルブ配向法、磁場配向法及び自由界面法について、具体的に説明をする。
[0070]
(ラビング法)
 配向膜(配向層、又は配向された分子を含有する層ともいう。以下同じ。)の形成はラビング工程とも呼ばれ、液晶分子の並びを整えるために高分子膜の表面に微細な溝を形成する工程である。ポリイミド樹脂(Polyimide resin)など液体をガラス基板上に塗布した後、これを180℃程度で焼成したのち、膜の表面をラビング布製のローラーで所望の方向で擦ってゆく。布地の細かな繊維によって表面を一方向に撫でることで樹脂の分子が一定方向に並び、また微細な溝が形成される。
[0071]
(Ion-beam法)
 イオンビーム配向技術とは、配向膜をローラーで擦る(ラビング法)代わりに、電界中で高速に加速したイオン性粒子(たとえばArイオン)のビームを斜め方向から照射することによって、配向膜表面の性質に異方性を付与し、これによって液晶を配向させる技術である。一般的なラビングローラーのバフ布に用いられる繊維の直径が数十μm程度であるのに対し、Arイオンの径はこの10万分の1以下であるため、極めて微細なレベルでの表面処理を、高密度で行うことがでる。したがって、配向膜の表面に擦りキズがつくことがなく、高いコントラストと、ざらつきやムラのない、なめらかな黒画面を実現することができる。
[0072]
(光配向法)
 光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ということがある。)を基材に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でより好ましい。
[0073]
 光反応性基とは、光を照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起又は異性化反応、二量化反応、光架橋反応、或いは光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。当該光反応性基の中でも、二量化反応又は光架橋反応を起こすものが、配向性に優れる点で好ましい。上記反応を生じうる光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有するものが好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)、及び炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基が特に好ましい。
[0074]
 C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾール基、スチルバゾリウム基、カルコン基及びシンナモイル基等が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基及び芳香族ヒドラゾン等の構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基及びホルマザン基等や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基及びマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基及びハロゲン化アルキル基等の置換基を有していてもよい。
[0075]
 中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向層が得られやすいという点で、シンナモイル基及びカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
[0076]
 光配向膜形成用組成物の溶剤としては、光反応性基を有するポリマー及びモノマーを、溶解するものが好ましく、該溶剤としては、配向性ポリマー組成物の溶剤として挙げられた溶剤等が挙げられる。
[0077]
 光配向膜形成用組成物に対する、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの含有量は、0.2質量%以上が好ましく、0.3~10質量%の範囲が特に好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、ポリビニルアルコールやポリイミド等の高分子材料や光増感剤が含まれていてもよい。
[0078]
 光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去する方法としては、配向性ポリマー組成物から溶剤を除去する方法と同じ方法が挙げられる。
[0079]
 偏光を照射するには、基板上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去したものに直接、偏光を照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レーザー等が挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプがより好ましい。これらのランプは、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光を照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラー等の偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。なお、ラビング又は偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
[0080]
(グルブ配向法)
 グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターン又は複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に液晶化合物を置いた場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
[0081]
 グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像及びリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化樹脂の層を形成し、樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、及び、基材上に形成した硬化前のUV硬化樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。具体的には、特開平6-34976号公報及び、特開2011-242743号公報記載の方法等が挙げられる。
[0082]
(磁場配向法)
 有機高分子は一般に共有結合から構成されており,反磁性であるため磁気的な性質には乏しい物質といえる。しかしながら、液晶状態にある高分子系では、異方性磁化率の方向がそろい、磁場によって大きなエネルギーを受けるようになり、マクロな分子配向が生ずるようになる。このエネルギーの大きさは、液晶の異方性磁化率に比例し、磁場の強さの2乗に比例する。また、ディレクターのそろったドメインの大きさも重要である。Dennらは臨界磁場とドメインの大きさについて(R.C. Moore, M. M. Denn, and G. Marruci, Polym. Mater,Sci. Eng., 52, 84 (1985).)、Stuppらはエージングによるドメインの成長と磁場配向速度について検討を行っている(J. S. Moore and S. I. Stupp, Macromolecules, 20, 282 (1987).Magnetic Orientation of Liquid Crystalline Polymers)。
[0083]
(自由界面法)
 空気側の表面に設けた20nm程度の光に反応する超薄スキン層を用いて、空気側から液晶材料膜の分子配向を光で自由に制御する方法が提案されている。空気側に光反応性高分子の薄膜を設ける手法は簡単で、液晶高分子に空気側に偏析しやすい光応答性のアゾベンゼンを含むブロック共重合体を数%添加して製膜し、120℃程度で数分アニールする。熱処理することで、このブロック共重合体のみが空気表面に偏析する。このブロック共重合体の空気側スキン層が光配向膜となる。液晶高分子のみでは、メソゲンと呼ばれる棒状分子は膜平面に対して垂直に配向するが、ブロック共重合体が表面に偏析すると、水平に配向するようになる(K.Fukuhara et al. Nature Communication 5, 3320(2014))。
[0084]
 なお、少なくとも1種の化学物質の分子を配向することとしては、上記に記載された分子を配向することに限定されることはない。磁場の他に電場による配向や、エレクトロスピニング法、エレクトロスプレー法、スリットによる光配向法、光ラビング法等を応用した配向も考えられる。
[0085]
<3.第2の実施形態(三次元構造物の製造方法の例2)>
 本技術に係る第2の実施形態(三次元構造物の製造方法の例2)の三次元構造物の製造方法は、配向膜を形成することと、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成することと、少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含む、製造方法である。
[0086]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、配向膜を形成することと、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、少なくとも1種の化学物質の分子を配向することとが、この順で含まれてもよい。
[0087]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0088]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0089]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、配向膜を形成すること、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてよい。
[0090]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、配向膜を形成すること、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返す場合、層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施さてもよい。
[0091]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0092]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返す場合、層を形成することを複数回で繰り返した後に、分子を配向してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0093]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返した後に、配向膜を形成してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0094]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法において、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返した後に配向膜を形成する場合、層を形成することを複数回で繰り返した後に、分子を配向してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0095]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法で用いられる化学物質は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよく、高分子化合物でもよく、キラル分子骨格を有する分子を含んでいてもよい。
[0096]
 後述するように、予め形成する層の下地に、形成する層に対して配向秩序を与えるための層(配向秩序層又は配向膜と称する場合がある。以下同じ。)を挿入し、さらに、その配向秩序層(配向膜)に対して配向処理を行う工程(プロセス)を加えることで、配向秩序層の上に形成される層の分子を並べる方法があるが、この方法では、構造物を形成するための層の配向秩序層とは逆の界面(一般的には空気界面)の分子の配向が、配向秩序層で決めた配向とは異なる場合がある。この場合は、構造物を形成するための層を形成した後に、さらにこれに対して分子を配向する処理を加えることで、構造物を形成するための層の上下界面の配向を整えることができる。ただし、構造物を形成するための層を繰り返し単位と考えた場合、その層内でハイブリッド構造(つまり、上下界面で配向秩序が異なる周期構造)を形成したい場合は、この処理を行う必要はない、もしくは、さらに加える配向処理方法によって、配向秩序層とは異なる配向秩序を与えることもできる。
[0097]
 以下に、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法の1つの例について、図3を用いて説明をする。
[0098]
 図3は、配向膜を形成すること(形成された配向膜に配向処理をすることを含む。)、層を形成すること及び分子を配向することをこの順で行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。なお、配向膜を形成すること自体が配向処理をすることになるので、図3に示される三次元構造物の製造方法は、形成された配向膜に配向処理をしなくてもよい場合がある。図3に示される三次元構造物の製造方法によれば、三次元に、物性的に異方性のある立体構造物(三次元構造物)を得ることができる。
[0099]
 図3に示される三次元構造物の製造方法は、図3(A)~図3(C)及び図3(J)で、配向膜を形成し(配向膜形成プロセス)、図3(D)~図3(F)で層を形成し(層を形成するプロセス)、図3(G)~図3(I)で層に含有される分子を配向する(分子を配向するプロセス)。
[0100]
 図3(A)で、矢印P31方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図3(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。
[0101]
 図3(C)では、配向膜32(3)に、矢印P32方向に、光配向処理を施して、分子配向処理された配向膜33(3)を形成する。
[0102]
 図3(D)~図3(E)で、矢印P33方向に、配向膜33(3)上に層21(2)を形成する。必要に応じて、図3(F)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層23(2))。
[0103]
 続いて、図3(G)~図3(H)で、矢印P34方向に、層21(2)(又は層23(2))に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた層24(2)を作製する。さらに、必要に応じて、図3(I)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層25(2))。
[0104]
 図3(J)(図3(A)と同じ。)で、再び、矢印P35方向に、層24(2)(層25(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図3(J)(図3(A))~図3(B)~図3(I)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0105]
 図示はされていないが、配向膜を形成した後に、層を形成することを複数回で繰り返して複数層(積層)を形成することによって、三次元に、物性的に異方性のある構造物を得ながら、製造タクトを短縮することができる。
[0106]
 [配向膜に配向処理をすること]
 本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法に含まれてもよい、配向膜に配向処理をすること(配向膜に配向処理をするプロセスともいう。以下同じ。)について、説明をする。
[0107]
 配向膜に配向処理をすること(配向膜に配向処理をするプロセス)は、例えば、ラビング法、Ion-beam法、光配向法、グルブ配向法、磁場配向法、自由界面法、温度勾配法、ずり配向法、配向転写法、Langmuir-Blodgett法、光異性化反応法、光ラビング法等を用いることができる。
[0108]
 上記で例示として挙げた方法のうち、ラビング法、Ion-beam法、光配向法、グルブ配向法、磁場配向法及び自由界面法については、本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法の分子を配向すること(分子を配向するプロセス)の欄で説明をしたとおりであるので、ここでは、具体的な説明は省略する。
[0109]
 また、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法に含まれる、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成することと、少なくとも1種の化学物質の分子を配向することとは、本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法における、層を形成すること(層を形成するプロセス)の欄及び分子を配向すること(分子を配向するプロセス)の欄で説明をしたとおりであるので、ここでは説明は省略する。
[0110]
<4.第3の実施形態(三次元構造物の製造方法の例3)>
 本技術に係る第3の実施形態(三次元構造物の製造方法の例3)の三次元構造物の製造方法は、配向膜を形成することと、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成することと、をこの順で含む、製造方法である。
[0111]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法において、配向膜を形成することと、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することとが、この順で含まれてもよい。
[0112]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法において、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0113]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法において、配向膜を形成した後に、層を形成することを複数回で繰り返してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0114]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法において、配向膜を形成すること及び層を形成することを複数回で繰り返してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0115]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法において、配向膜を形成すること及び層を形成することを複数回で繰り返す場合、配向膜を形成した後に、層を形成することを複数回で繰り返してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0116]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法において、層を形成することを複数回で繰り返した後に、配向膜を形成してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0117]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法において、層を形成することを複数回で繰り返した後に配向膜を形成する場合、配向膜を形成した後に、前記層を形成することを複数回で繰り返してよく、この場合、更に、形成された配向膜に配向処理が施されてもよい。
[0118]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法で用いられる化学物質は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよく、高分子化合物でもよく、キラル分子骨格を有する分子を含んでいてもよい。
[0119]
 3Dプリンタによって形成する層の分子を並べるために、予め形成する層の下地に、形成する層に対して配向秩序を与えるための層(配向秩序層又は配向膜)を挿入し、さらにその配向秩序層に対して配向処理を行う工程を加えることで、配向秩序層の上に形成される層の分子を並べる方法である。配向秩序層としては、液晶ディスプレイなどでは、ポリイミド膜が使われることが一般的ではあるが、これに限らない。例えば、ポリシロキサンやポリビニルアルコールなどでも適用できる。配向秩序層に対して施す配向処理方法としては、ラビング法や光配向法など、様々な手法が適用できる。これは、配向秩序層として選んだ材料に対して、その材料に適した配向処理方法を適用すればよい。
[0120]
 以下に、本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法の2つの例について、図4及び図5を用いて説明をする。
[0121]
 図4は、配向膜を形成すること(形成された配向膜に配向処理をすることを含む。)及び層を形成することを交互に行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。なお、配向膜を形成すること自体が配向処理をすることになるので、図4に示される三次元構造物の製造方法は、形成された配向膜に配向処理をしなくてもよい場合がある。図4に示される三次元構造物の製造方法によれば、三次元に、物性的に異方性のある構造物を得ることができる。
[0122]
 図4に示される三次元構造物の製造方法は、図4(A)~図4(C)及び図4(G)で、配向膜を形成して配向膜の配向処理(分子配向処理)をして(配向膜形成プロセス)、図4(D)~図4(F)で層を形成する(層を形成するプロセス)。
[0123]
 図4(A)で、矢印P41方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図4(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。
[0124]
 図4(C)では、配向膜32(3)に、矢印P42方向に、光配向処理を施して、分子配向処理された配向膜33(3)を形成する。
[0125]
 図4(D)で、矢印P43方向に、配向膜33(3)上に層21(2)を形成する。図4(D)~図4(E)で、層にモノマー(重合性化合物)が含まれる場合は、UV光、熱等でモノマー(重合性化合物)を硬化してポリマー(重合化合物)を形成してもよい。必要に応じて、図4(F)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層23(2))。
[0126]
 図4(G)(図4(A)と同じ。)で、再び、矢印P44方向に、層21(2)(23(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図4(G)(図4(A))~図4(B)~図4(F)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0127]
 図5は、配向膜を形成すること(形成された配向膜に配向処理をすることを含む。)及び層を形成することを複数回で繰り返して複数層(積層)を形成することを交互に行う、三次元構造物の製造方法を説明するための図である。なお、配向膜を形成すること自体が配向処理をすることになるので、図5に示される三次元構造物の製造方法は、形成された配向膜に配向処理をしなくてもよい場合がある。図5に示される三次元構造物の製造方法によれば、三次元に、物性的に異方性のある構造物を得ることができ、また、配向膜を形成した後に、各層を形成するプロセスを複数回で行い、複数層(積層)を形成することによって、製造タクトを短縮することができる。この場合、配向膜によって決められた配向秩序を、構造物を形成するための層が次に積層される層へ伝達することによって配向秩序が保たれる。
[0128]
 図5に示される三次元構造物の製造方法は、図5(A)~図5(C)及び図5(G)で、配向膜を形成して配向膜の配向処理(分子配向処理)をして(配向膜形成プロセス)、図5(D)~図5(F)で層を形成する(層を形成するプロセス)。
[0129]
 図5(A)で、矢印P51方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図5(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。
[0130]
 図5(C)では、配向膜32(3)に、矢印P52方向に、光配向処理を施して、分子配向処理された配向膜33(3)を形成する。
[0131]
 図5(D)で、矢印P53方向に、配向膜33(3)上に1層目の層21(2)を形成する。図5(E)で、矢印P54方向に、1層目の層21(2)上に2層目の層21(2)を形成する。1層目の層及び/又は2層目の層にモノマー(重合性化合物)が含まれる場合は、UV光、熱等でモノマー(重合性化合物)を硬化してポリマー(重合化合物)を形成してもよい。必要に応じて、図5(F)で、加熱等により、上記2層に含有される分子を再配向する(2つの層23(2))。
[0132]
 図5(G)(図5(A)と同じ。)で、再び、矢印P55方向に、2つの層21(2)(23(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図5(G)(図5(A))~図5(B)~図5(F)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0133]
 本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法に含まれる、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成することは、本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法における、層を形成すること(層を形成するプロセス)の欄で説明をしたとおりであるので、ここでは説明は省略する。また、本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法に含まれてもよい、配向膜に配向処理をすること(配向膜に配向処理をするプロセス)ことは、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法における、配向処理をすること(配向膜に配向処理をするプロセス)の欄で説明をしたとおりであるので、ここでは説明は省略する。
[0134]
<5.第4の実施形態(三次元構造物の例1)>
 本技術に係る第4の実施形態(三次元構造物の例1)の三次元構造物は、本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法によって得られ、異方性を有する化学物質を含む、構造物である。より詳しくは、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成すること及び少なくとも1種の化学物質の分子を配向することをこの順で含み、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返す製造方法によって、得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物である。なお、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、異方性を有する化学物質から構成されてもよい。
[0135]
 また、本技術に係る第4の実施形態(三次元構造物の例1)の三次元構造物は、本技術に係る第1の実施形態の三次元構造物の製造方法によって得られ、異方性を有する化学物質を含む、構造物である。より詳しくは、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成すること及び少なくとも1種の化学物質の分子を配向することをこの順で含み、層を形成すること及び分子を配向することを複数回で繰り返す製造方法によって、得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物でもよい。
[0136]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれる異方性を有する化学物質は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよく、高分子化合物でもよく、キラル分子骨格を有する分子を含んでいてもよい。
[0137]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、高分子を含んでもよく、三次元構造物中で、高分子主鎖が並んでいてもよいし、高分子側鎖が並んでいてもよいし、高分子主鎖及び高分子側鎖の両方が並んでいてもよい。
[0138]
 高分子主鎖及び/又は高分子側鎖を並べるためには、上記で述べた、分子を配向することを用いればよい。層を形成するためには、例えば、積層方式として、FDM法(Fused Deposition Modeling)熱溶解積層方式を選択することでこの構造を実現することができる。
[0139]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、高分子と、高分子中に分散されたメソゲン骨格を有する分子とを含んでよく、メソゲン骨格を有する分子が三次元構造物中で並んでいてもよい。メソゲン骨格を有する分子は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。メソゲン骨格を有する分子がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。
[0140]
 メソゲンとは液晶性を発現する要素の一つで、芳香環を有するなど、剛直かつ配向性を有する官能基(原子団)の一般的名称で、特定官能基を指す名称ではない。例えば、ビフェニルなどの構造がこれに含まれる。分子が並んでいるかどうかの議論をする際には、例えばこのように分子に方向性を持つような構造必要である。この場合、高分子に化学的に結合はしていないが、高分子中に分散されたメソゲン骨格を有する分子が方向性を持つことで、マクロな構造物として異方性を発現することができる。
[0141]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、高分子と、高分子中に分散された無機化合物とを含んでよく、無機化合物が三次元構造物中で並んでいてもよい。
[0142]
 上記で述べたメソゲンの代わりに無機化合物であっても同様に構造物に異方性を発現させることができる。例えば、マナマコの骨片は炭酸カルシウムの結晶でできており、この結晶が並ぶことで複屈折を有する。上記と同様に、高分子中に分散された無機化合物が、高分子が並ぶことによって、高分子に沿って並ぶことで、最終的な構造物に異方性を発現させることができる。
[0143]
 上記で述べたメソゲンや無機化合物の代わりに、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンナノファイバー、コラーゲンなどの天然物ナノファイバー、カーボンナノワイヤー、ガラス繊維、ナノ配向結晶体等も同様に三次元構造物に異方性を発現させることができる。例えば、炭素繊維複合材料を製造する場合には本技術を用いることによって、従来と比べて、より精密であって、かつ、より複雑である構造でも、高耐久性の材料が実現され得る。
[0144]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれる、少なくとも1種の化学物質の並んでいる分子のオーダーパラメーターは、任意の値でよいが、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましい。
[0145]
(オーダーパラメーター)
 例えば、液晶の一種であるネマティック液晶においては、温度を変化させることで、ネマティック相と等方相の相転移が起こる。このときの秩序変数は、配向秩序度と呼ばれ、
 S=<P (cosθ)>=1/2(3<cos θ>-1)、
 と表される。ここで、P は2次のルジャンドル多項式、θは配向主軸(系内の液晶分子の長軸が向く平均的な配向)とのなす角、<>は個々の分子の平均値である。系が十分低温で、分子の並びが揃う完全配向であるとき、
 cos θ=1、
 となり、秩序変数は1となる。一方、転移温度以上の等方相においては、分子の配向は完全にランダムになり、
 cos θ=1/3、
 により、秩序変数はゼロとなる。
[0146]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、メソゲン(骨格)を含有する高分子を含んでよく、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方にメソゲンが含まれていてもよい。
[0147]
 三次元構造物を形成するための高分子(ポリマー)に、メソゲンが化学的に共有結合で結合してよい。メソゲンの高分子(ポリマー)内での結合位置は、高分子主鎖でもよいし、高分子側鎖でもよいし、高分子主鎖及び高分子側鎖の両方でもよい。
[0148]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、高分子と、フォトクロミック分子とを含んでよく、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方にフォトクロミック分子が含まれていてもよい。フォトクロミック分子は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。フォトクロミック分子がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。
[0149]
 フォトクロミック分子において、フォトクロミズムは,物質の光吸収・発光などの光物性が外部からの刺激によって可逆的に変化する現象を意味する。クロミズムが発現する際には,分子構造の異性化が起きている場合がほとんどであり,屈折率や誘電率,酸化還元電位,融点などの物性も変化します。光照射によってクロミズムが起こる現象がフォトクロミズムと呼ばれ,この現象を発現する材料をフォトクロミック分子、フォトクロミック化合物と呼ぶ。フォトクロミズムにおける構造異性化には,光幾何異性化(シス-トランス異性化)や光開閉環反応などがある。
[0150]
 このような分子構造を含む場合、例えば、STL法(Stereo lithography)光造形方式と分子を並べる光配向法とを組み合わせることにより、層を形成する際のUV照射と同時に形成する層の分子配向を処理することができる。具体的には、照射するUV光として直線偏光を適用することで、分子の配向を制御できる。さらに秩序を上げる方法として、斜めからUV光を照射することで、3次元的に分子の方向を決めることができる。この製造プロセスに対して、フォトクロミック分子を用いることで、分子が変形を繰り返し、所望の分子配向状態を得ることができる。
[0151]
 分子配向に関係するフォトクロミック分子としては、例えば、アゾベンゼンが挙げられる。このアゾベンゼン骨格にUV偏光、可視偏光又は熱を当て続けると、シス‐トランス転移を繰り返し、所望の分子配向状態を得ることができる。
[0152]
 アゾベンゼンのシス-トランス転移について、詳細に説明をする。
[0153]
 図24は、アゾベンゼンのシス・トランス転移についての説明をするための図である。図24(A)に示されるように、トランス体のアゾベンゼン(図24(A-1))は、UV光によって、シス体のアゾベンゼン(図24(A-2))に構造変化をする。また、シス体のアゾベンゼン(図24(A-2))は、可視光又は熱によって、トランス体のアゾベンゼン(図24(A-1))に構造変化をする。
[0154]
 図24(B)では、トランス体のアゾベンゼンの分子長軸方向T1は図24(B)中の上下方向である。この場合、図24(C)に示されるように、UV光(hν)の進行方向は図24(C)中の左方向であり、UV光(hν)の振動方向は、図24(B)中の上下方向であるので、アゾベンゼンはUV光(hν)を吸収して、シス体のアゾベンゼンに構造変化をする(図24(D))。
[0155]
 一方、図24(E)では、トランス体のアゾベンゼンの分子長軸方向T2は図24(E)中の左右方向である。この場合、図24(F)に示されるように、UV光(hν)の進行方向は図24(F)中の左方向であり、UV光(hν)の振動方向は、図24(F)中の上下方向であるので、アゾベンゼンはUV光(hν)を吸収しないので、シス体のアゾベンゼンに構造変化をしない(図24(G))。
[0156]
 アゾベンゼンは光異性化をする。光異性化とは、光により分子が動くということを意味する。そしてこの動きはより大きなスケールの動きへと展開できる。例えば、アゾベンゼンは偏光を継続的に照射されると、光異性化を繰り返しながら動くうちに、その偏光を吸収できない配向に落ち着いて動かなくなる。このことについては、図25及び図26を用いて説明をする。
[0157]
 図25は、光(ランダム光及び直線偏光)が垂直入射する場合のアゾベンゼンの分子長軸の方向性を説明するための図である。
[0158]
 図25(A)及び図25(B)は、垂直入射する光がランダム光(光の振動方向)の場合である。図25(A)において、ランダム光(光の振動方向)がアゾベンゼンに垂直入射(光の進行方向が図25(A)中の下方向)したときに、アゾベンゼンの分子長軸方向が光の振動方向と平行であるアゾベンゼンの分子は光を吸収して動く。そして、図25(B)に示されるように、ランダム光(光の振動方向)がアゾベンゼンに垂直入射(光の進行方向が図25(B)中の下方向)しても、アゾベンゼンの分子が光を吸収できない配向、すなわち、アゾベンゼンの分子長軸方向が、光の進行方向(図25(B)中の上下方向)に定まって、アゾベンゼンの分子は動かなくなる。
[0159]
 図25(C)及び図25(D)は、垂直入射する光が直線偏光(光の振動方向)の場合である。図25(C)において、直線偏光(光の振動方向)がアゾベンゼンに垂直入射(光の進行方向が図25(C)中の下方向)したときに、アゾベンゼンの分子長軸方向が光の振動方向と平行であるアゾベンゼンの分子は光を吸収して動く。そして、図25(D)に示されるように、直線偏光(光の振動方向)がアゾベンゼンに垂直入射(光の進行方向が図25(D)中の下方向)しても、アゾベンゼンの分子が光を吸収できない配向、すなわち、アゾベンゼンの分子長軸方向が、光の振動方向をx軸方向としたときの面yz内(光の振動方向と垂直である面内)に定まって、アゾベンゼンの分子は動かなくなる。
[0160]
 図26は、光(ランダム光及び直線偏光)が斜め入射する場合のアゾベンゼンの分子長軸の方向性を説明するための図である。
[0161]
 図26(A)及び図26(B)は、斜め入射する光がランダム光(光の振動方向)の場合である。図26(A)において、ランダム光(光の振動方向)がアゾベンゼンに斜め入射(光の進行方向が図26(A)中の左下方向)したときに、アゾベンゼンの分子長軸方向が光の振動方向と平行であるアゾベンゼンの分子は光を吸収して動く。そして、図26(B)に示されるように、ランダム光(光の振動方向)がアゾベンゼンに斜め入射(光の進行方向が図26(B)中の左下方向)しても、アゾベンゼンの分子が光を吸収できない配向、すなわち、アゾベンゼンの分子長軸方向が、光の進行方向(図26(B)中の左下方向)に定まって、アゾベンゼンの分子は動かなくなる。
[0162]
 図26(C)及び図26(D)は、斜め入射する光が直線偏光(光の振動方向)の場合である。図26(C)において、直線偏光(光の振動方向)がアゾベンゼンに斜め入射(光の進行方向が図26(C)中の左下方向)したときに、アゾベンゼンの分子長軸方向が光の振動方向と平行であるアゾベンゼンの分子は光を吸収して動く。そして、図26(D)に示されるように、直線偏光(光の振動方向)がアゾベンゼンに斜め入射(光の進行方向が図26(D)中の左下方向)しても、アゾベンゼンの分子が光を吸収できない配向、すなわち、アゾベンゼンの分子長軸方向が、光の振動方向と垂直であって、x軸と光の進行方向とを含む面X’内に定まって、アゾベンゼンの分子は動かなくなる。
[0163]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、高分子と、芳香族不飽和カルボン酸とを含んでよく、その場合、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方に芳香族不飽和カルボン酸が含まれていてもよい。芳香族不飽和カルボン酸は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。芳香族不飽和カルボン酸がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。
[0164]
 芳香族不飽和カルボン酸の中でも、例えば、シンナメート構造やカルコン構造は、偏光紫外光を吸収し、二量体を形成する。この二量体の方向が照射した偏光方向に順ずるため、芳香族不飽和カルボン酸を用いると、製造される構造物に異方性を生じさせることができる。
[0165]
 本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物は、少なくとも1種の高分子を含んでよく、高分子は、特に限定されず、ホモポリマーでもよいし、共重合を含むポリマー、すなわち、コポリマー、ターポリマー等でもよい。コポリマーの場合、高分子主鎖と高分子側鎖とは異なるモノマー成分でよい。また、重合開始剤や光増感剤などの添加物や、架橋剤に相当するモノマーが、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれてもよいし、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物を製造するときに用いられてもよい。
[0166]
<6.第5の実施形態(三次元構造物の例2)>
 本技術に係る第5の実施形態(三次元構造物の例2)の三次元構造物は、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法によって得られ、異方性を有する化学物質を含む、構造物である。より詳しくは、本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、配向膜を形成すること(配向膜の配向処理を含んでもよいし、配向膜の配向処理を含まなくてもよい。)、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成すること及び少なくとも1種の化学物質の分子を配向することを含む製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物である。なお、本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、異方性を有する化学物質から構成されてもよい。
[0167]
 また、本技術に係る第5の実施形態(三次元構造物の例2)の三次元構造物は、本技術に係る第2の実施形態の三次元構造物の製造方法によって得られ、異方性を有する化学物質を含む、構造物である。より詳しくは、本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、配向膜を形成すること(配向膜の配向処理を含んでもよいし、配向膜の配向処理を含まなくてもよい。)、少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成すること及び少なくとも1種の化学物質の分子を配向することをこの順で含む製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物でもよい。
[0168]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物に含まれる異方性を有する化学物質は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよく、高分子化合物でもよく、キラル分子骨格を有する分子を含んでいてもよい。
[0169]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、高分子を含んでもよく、三次元構造物中で、高分子主鎖が並んでいてもよいし、高分子側鎖が並んでいてもよいし、高分子主鎖及び高分子側鎖の両方が並んでいてもよい。
[0170]
 高分子主鎖及び/又は高分子側鎖を並べるためには、上記で述べた、配向膜を形成すること(配向膜の配向処理を含んでもよいし、配向膜の配向処理を含まなくてもよい。)及び/又は分子を配向することを用いればよい。
[0171]
 層を形成するためには、例えば、積層方式として、FDM法(Fused Deposition Modeling)熱溶解積層方式を選択することでこの構造を実現することができる。
[0172]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、高分子と、高分子中に分散されたメソゲン骨格を有する分子とを含んでよく、メソゲン骨格を有する分子が三次元構造物中で並んでいてもよい。メソゲン骨格を有する分子は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。メソゲン骨格を有する分子がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物に含まれるメソゲン骨格を有する分子は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれるメソゲン骨格を有する分子と同様であるので、ここでは、メソゲン骨格を有する分子についての説明は省略する。
[0173]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、高分子と、高分子中に分散された無機化合物とを含んでよく、無機化合物が三次元構造物中で並んでいてもよい。本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物に含まれる無機化合物は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれる無機化合物と同様であるので、ここでは、無機化合物についての説明は省略する。
[0174]
 上記で述べたメソゲンや無機化合物の代わりに、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンナノファイバー、コラーゲンなどの天然物ナノファイバー、カーボンナノワイヤー、ガラス繊維、ナノ配向結晶体等も同様に三次元構造物に異方性を発現させることができる。例えば、炭素繊維複合材料を製造する場合には本技術を用いることによって、従来と比べて、より精密であって、かつ、より複雑である構造でも、高耐久性の材料が実現され得る。
[0175]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物に含まれる、少なくとも1種の化学物質の並んでいる分子のオーダーパラメーターは、任意の値でよいが、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましい。本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物のオーダーパラメーターは、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物のオーダーパラメーターの欄で説明したとおりであるので、ここでは、オーダーパラメーターについての説明を省略する。
[0176]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、メソゲン(骨格)を含有する高分子を含んでよく、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方にメソゲンが含まれていてもよい。本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物に含まれるメソゲンを含有する高分子は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれるメソゲンを含有する高分子と同様であるので、ここでは、メソゲンを含有する高分子についての説明は省略する。
[0177]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、高分子と、フォトクロミック分子とを含んでよく、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方にフォトクロミック分子が含まれていてもよい。フォトクロミック分子は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。フォトクロミック分子がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物に含まれるフォトクロミック分子は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれるフォトクロミック分子と同様であるので、ここでは、フォトクロミック分子についての説明は省略する。
[0178]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、高分子と、芳香族不飽和カルボン酸とを含んでよく、その場合、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方に芳香族不飽和カルボン酸が含まれていてもよい。芳香族不飽和カルボン酸は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。芳香族不飽和カルボン酸がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物に含まれる芳香族不飽和カルボン酸は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれる芳香族不飽和カルボン酸と同様であるので、ここでは、芳香族不飽和カルボン酸についての説明は省略する。
[0179]
 本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物は、少なくとも1種の高分子を含んでよく、高分子は、特に限定されず、ホモポリマーでもよいし、共重合を含むポリマー、すなわち、コポリマー、ターポリマー等でもよい。例えば、コポリマーの場合、高分子主鎖と高分子側鎖とは異なるモノマー成分でよい。また、重合開始剤や光増感剤などの添加物や、架橋剤に相当するモノマーが、本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物に含まれてもよいし、本技術に係る第5の実施形態の三次元構造物を製造するときに用いられてもよい。
[0180]
<7.第6の実施形態(三次元構造物の例3)>
 本技術に係る第6の実施形態(三次元構造物の例3)の三次元構造物は、本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法によって得られ、異方性を有する化学物質を含む、構造物である。より詳しくは、本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、配向膜を形成すること(配向膜の配向処理を含んでもよいし、配向膜の配向処理を含まなくてもよい。)及び少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成することを含む製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物である。なお、本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、異方性を有する化学物質から構成されてもよい。
[0181]
 また、本技術に係る第6の実施形態(三次元構造物の例3)の三次元構造物は、本技術に係る第3の実施形態の三次元構造物の製造方法によって得られ、異方性を有する化学物質を含む、構造物である。より詳しくは、本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、配向膜を形成すること(配向膜の配向処理を含んでもよいし、配向膜の配向処理を含まなくてもよい。)及び少なくとも1種の化学物質を含有する層(三次元構造物を形成するための層)を形成することをこの順で含む製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物でもよい。
[0182]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物に含まれる異方性を有する化学物質は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよく、高分子化合物でもよく、キラル分子骨格を有する分子を含んでいてもよい。
[0183]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、高分子を含んでもよく、三次元構造物中で、高分子主鎖が並んでいてもよいし、高分子側鎖が並んでいてもよいし、高分子主鎖及び高分子側鎖が並んでいてもよい。
[0184]
 高分子主鎖及び/又は高分子側鎖を並べるためには、上記で述べた配向膜を形成するプロセス(配向膜の配向処理を含んでもよいし、配向膜の配向処理を含まなくてもよい。)を用いればよい。層を形成するためには、例えば、積層方式として、FDM法(Fused Deposition Modeling)熱溶解積層方式を選択することでこの構造を実現することができる。
[0185]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、高分子と、高分子中に分散されたメソゲン骨格を有する分子とを含んでよく、メソゲン骨格を有する分子が三次元構造物中で並んでいてもよい。メソゲン骨格を有する分子は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。メソゲン骨格を有する分子がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物に含まれるメソゲン骨格を有する分子は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれるメソゲン骨格を有する分子と同様であるので、ここでは、メソゲン骨格を有する分子についての説明は省略する。
[0186]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、高分子と、高分子中に分散された無機化合物とを含んでよく、無機化合物が三次元構造物中で並んでいてもよい。本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物に含まれる無機化合物は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれる無機化合物と同様であるので、ここでは、無機化合物についての説明は省略する。
[0187]
 上記で述べたメソゲンや無機化合物の代わりに、炭素繊維、カーボンナノチューブ、フラーレンナノファイバー、コラーゲンなどの天然物ナノファイバー、カーボンナノワイヤー、ガラス繊維、ナノ配向結晶体等も同様に三次元構造物に異方性を発現させることができる。例えば、炭素繊維複合材料を製造する場合には本技術を用いることによって、従来と比べて、より精密であって、かつ、より複雑である構造でも、高耐久性の材料が実現され得る。
[0188]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物に含まれる、少なくとも1種の化学物質の並んでいる分子のオーダーパラメーターは、任意の値でよいが、0.1以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましい。本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物のオーダーパラメーターは、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物のオーダーパラメーターの欄で説明したとおりであるので、ここでは、オーダーパラメーターについての説明を省略する。
[0189]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、メソゲン(骨格)を含有する高分子を含んでよく、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方にメソゲンが含まれていてもよい。本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物に含有されるメソゲンを含有する分子は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれるメソゲンを含有する分子と同様であるので、ここでは、メソゲンを含有する分子についての説明は省略する。
[0190]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、高分子と、フォトクロミック分子とを含んでよく、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方にフォトクロミック分子が含まれていてもよい。フォトクロミック分子は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。フォトクロミック分子がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物に含まれるフォトクロミック分子は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれるフォトクロミック分子と同様であるので、ここでは、フォトクロミック分子についての説明は省略する。
[0191]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、高分子と、芳香族不飽和カルボン酸とを含んでよく、その場合、高分子主鎖若しくは高分子側鎖、又は高分子主鎖及び高分子側鎖の両方に芳香族不飽和カルボン酸が含まれていてもよい。芳香族不飽和カルボン酸は、低分子でもよいし、モノマーでもよい。芳香族不飽和カルボン酸がモノマーである場合は、重合してポリマーが形成されてもよい。本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物に含まれる芳香族不飽和カルボン酸は、本技術に係る第4の実施形態の三次元構造物に含まれる芳香族不飽和カルボン酸と同様であるので、ここでは、芳香族不飽和カルボン酸についての説明は省略する。
[0192]
 本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物は、少なくとも1種の高分子を含んでよく、高分子は、特に限定されず、ホモポリマーでもよいし、共重合を含むポリマー、すなわち、コポリマー、ターポリマー等でもよい。例えば、コポリマーの場合、高分子主鎖と高分子側鎖とは異なるモノマー成分でよい。また、重合開始剤や光増感剤などの添加物や、架橋剤に相当するモノマーが、本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物に含まれてもよいし、本技術に係る第6の実施形態の三次元構造物を製造するときに用いられてもよい。
[0193]
<8.第7の実施形態(三次元構造物を製造する製造装置の例)>
 本技術に係る第7の実施形態(三次元構造物を製造する製造装置の例)の三次元構造物を製造する製造装置は、少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成する層形成部を、少なくとも備える、製造装置である。
[0194]
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成する層形成部は、例えば、少なくとも1種の化学物質を含有する材料(混合組成物等)をベース基材等に塗布する塗布部と、該層に、次の層又は配向膜が積層されるように該層を処理する処理部とを含んでよい。そして、該層に、次の層及び/又は配向膜が積層されるように該層を処理する処理部は、少なくとも1種の化学物質をUV光、熱等により重合(硬化)する重合処理部を含んでよい。
[0195]
 本技術に係る第7の実施形態の三次元構造物を製造する製造装置は、更に、配向膜を形成する配向膜形成部を備えてよい。また、本技術に係る第7の実施形態の三次元構造物を製造する製造装置は、更に、少なくとも1種の化学物質の分子を配向する分子配向部を備えてよい。
[0196]
 本技術に係る第7の実施形態の三次元構造物を製造する製造装置は、更に、配向膜を形成する配向膜形成部と、少なくとも1種の化学物質の分子を配向する分子配向部とを備えてよい。
[0197]
 本技術に係る第7の実施形態の三次元構造物を製造する製造装置に備えられる層形成部において、用いられる化学物質は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよく、高分子化合物でもよく、キラル分子骨格を有する分子を含んでいてもよい。
[0198]
 本技術に係る第7の実施形態の三次元構造物を製造する製造装置に備えられてもよい分子配向部において、用いられる化学物質は、有機化合物でもよく、無機化合物でもよく、高分子化合物でもよく、キラル分子骨格を有する分子を含んでいてもよい。
実施例
[0199]
 以下に、実施例を挙げて、本技術の効果について具体的に説明をする。なお、本技術の範囲は実施例に限定されるものではない。
[0200]
<実施例1>
[配向膜を形成すること及び層を形成することを含む三次元構造物の製造方法]
 実施例1について、図6及び図7を用いて説明をする。図6(A)~(B)は、配向膜の配向処理をしなくても分子を配向させることができることを説明するための図である。図7は、配向膜を形成することと、層を形成することとを含む三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[0201]
 配向膜の配向処理をしなくても、分子配向をさせることのできる配向膜がある。例えば、分子を垂直配向させるポリイミドやポリシロキサンの配向膜がある。主鎖であるポリイミドやポリシロキサンにアルキル鎖やコレステロール骨格の側鎖が付いていて、これらが配向膜表面に(生け花の剣山のように)出ることで、接する材料(分子)はこの側鎖に倣って並ぶという配向方法である。他に配向処理が不要な配向膜としてSiO の射方蒸着などの方法がある。
[0202]
 図6(A)に示されるように、実施例1で用いる配向膜41-1は、配向処理をしなくても、分子配向をさせることのできる配向膜である。高分子主鎖411として、例えば、ポリイミドやポリシロキサンに、例えば、アルキル鎖、コレステロール骨格等の高分子側鎖511が付いている。高分子側鎖511が配向膜41-1の表面及び高分子主鎖411から、生け花の剣山のように出ている(図6(A)中では上下方向)。
[0203]
 図6(B)に示されるように、実施例1の配向膜の配向方法は、高分子側鎖512が配向膜41-2の表面及び高分子主鎖412から、生け花の剣山のように出ることで(図6(B)中では上下方向)、接する分子612はこの高分子側鎖512に倣って並ぶ(図6(B)中では上下方向)。なお、図6(B)は、配向膜41-2上に形成された層51-2に含有される分子612が層51-2を形成する途中のモノマー状態の図として示してある。
[0204]
 図7を用いて、実施例1の三次元構造物の製造方法を説明する。実施例1の三次元構造物の製造方法は、図7(A)~図7(C)及び図7(G)で、配向膜を形成し(配向膜形成プロセス)、図7(D)~図7(F)で層を形成する(層を形成するプロセス)。
[0205]
 図7(A)で、矢印P71方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図7(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。図7(C)では、配向膜32(3)の配向処理をしない。
[0206]
 図7(D)で、矢印P72方向に、配向膜32(3)上に層21(2)を形成する。図7(D)~図7(E)で、UV光で層に含有される分子を硬化してポリマーを形成する。なお、図7(D)~図7(E)では層の分子配向処理を行わない。必要に応じて、図7(F)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層23(2))。
[0207]
 図7(G)(図7(A)と同じ。)で、再び、矢印P73方向に、層21(2)(層23(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図7(G)(図7(A))~図7(B)~図7(F)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0208]
<実施例2>
[配向膜を形成すること及び配向膜の配向処理をすること、並びに層を形成することを含む三次元構造物の製造方法]
 実施例2について、図8及び図9を用いて説明をする。図8(A)~(C)は、配向膜に配向処理を施して、層に含有される分子を配向させることができることを説明するための図である。図9は、配向膜を形成することと、配向膜の配向処理ことと、層を形成することとを含む三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[0209]
 実施例2では、配向膜に配向処理を施して、配向膜に接する分子を配向させる方法である。配向膜に対して施す配向処理としては、例えば、ラビング法、光配向法、イオンビーム法などが挙げられる。これらの配向方法によって配向膜の高分子主鎖又は高分子側鎖に異方性を持たせて、配向処理を施した後に層を形成することで、配向処理で規定された方位に、形成された層の分子を並べることができる。
[0210]
 図8(A)では、配向膜の配向処理としてラビング法を用いる。ローラー62-1に巻きつけた布で矢印Q8方向に、高分子主鎖421(例えば、ポリイミド)と高分子側鎖521とから構成される配向膜42-1を擦る。
[0211]
 図8(B)では、高分子主鎖422と高分子側鎖522とから構成される配向膜42-2において、高分子側鎖522が、ラビング法によって略一定の方位に(図8(B)中では左右方向)揃っている。
[0212]
 図8(C)に示されるように、高分子主鎖423と高分子側鎖523とから構成される配向膜42-3上に形成された層52-3に含有される分子623を、高分子側鎖522で規定された方位(図8(C)中では左右方向)に並べることができる。
[0213]
 図9を用いて、実施例2の三次元構造物の製造方法を説明する。実施例2の三次元構造物の製造方法は、図9(A)~図9(C)及び図9(G)で、配向膜を形成して配向膜の配向処理(分子配向処理)をして(配向膜形成プロセス)、図9(D)~図9(F)で層を形成する(層を形成するプロセス)。
[0214]
 図9(A)で、矢印P91方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図9(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。
[0215]
 図9(C)では、ラビング法を用いて、ローラー62-Cに巻き付けた布で、ローラー62-Cを矢印Q9方向に回転させて、矢印P92方向に配向膜32(3)を擦って、分子配向処理された配向膜33(3)を形成する。
[0216]
 図9(D)で、矢印P93方向に、配向膜33(3)上に層21(2)を形成する。図9(D)~図9(E)で、UV光で層に含有される分子を硬化してポリマーを形成する。なお、図9(D)~図9(E)では層の分子配向処理を行わない。必要に応じて、図9(F)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層23(2))。
[0217]
 図9(G)(図9(A)と同じ。)で、再び、矢印P94方向に、層21(2)(23(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図9(G)(図9(A))~図9(B)~図9(F)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0218]
<実施例3>
[配向膜を形成すること、層を形成すること及び分子を配向することを含む三次元構造物の製造方法]
 実施例3について、図10~図12を用いて説明をする。図10は、アゾベンゼンの光照射や熱に伴う構造変化を示す図である。図11(A)~(C)は、配向膜の配向処理をしないで層に含有される分子を配向させ、そして分子を配向することを経ることによって分子を更に配向させることができることを説明するための図である。図12は、配向膜を形成することと、層を形成することと、分子を配向することとを含む三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[0219]
 層内の分子配向状態をコントロールするための分子構造としては、例えば、図10に示されるアゾベンゼン、スチルベン等のフォトクロミック材料がある。フォトクロミック材料は、層を形成するための高分子主鎖や高分子側鎖として結合されていてもよく、主成分のモノマーやポリマーとは別に、モノマーや単分子として分散されていてもよい。
[0220]
 実施例3では、図10に示されるアゾベンゼンを用いる。図10に示されるように、トランス体のアゾベンゼン(図10(A))は、UV光によって、シス体のアゾベンゼン(図10(B))に構造変化をする。また、シス体のアゾベンゼン(図10(B))は、可視光又は熱によって、トランス体のアゾベンゼン(図10(A))に構造変化をする。
[0221]
 配向膜の配向処理をしなくても、分子配向をさせることのできる配向膜ということでは、上記で述べた実施例1と同じであるが、その後に形成する層を分子配向処理することによって、さらに層に含有される分子の分子配向状態をコントロールすることができる点で実施例1とは異なる。
[0222]
 図11(A)に示されるように、実施例3で用いる配向膜43-1は、配向処理をしなくても、分子配向をさせることのできる配向膜である。高分子主鎖431として、例えば、ポリイミドやポリシロキサンに、例えば、アルキル鎖、コレステロール骨格等の高分子側鎖531が付いている。高分子側鎖531が配向膜43-1の表面及び高分子主鎖431から、生け花の剣山のように出ている(図11(A)中では上下方向)。
[0223]
 図11(B)に示されるように、実施例3の配向膜の配向方法は、高分子側鎖532が配向膜43-2の表面及び高分子主鎖432から、生け花の剣山のように出ることで(図11(B)中では上下方向)、接する分子632及びトランス体のアゾベンゼン732は、この高分子側鎖532に倣って並ぶ(図11(B)中では上下方向)。なお、図11(B)は、配向膜43-2上に形成された層53-2に含有される分子632が層53-2を形成する途中のモノマー状態の図として示してある。
[0224]
 続いて、図11(C)に示されるように、分子配向処理としての紫外線照射(hν)R11を、高分子主鎖433と高分子側鎖533とから構成される配向膜43-3上に形成された層52-3に施して、アゾベンゼンは、シス体のアゾベンゼン733に構造変化して、分子633の分子配向状態を自由にコントロールすることができる。図11(C)中においては、配向膜の近傍では、分子633は、高分子側鎖532及びシス体のアゾベンゼン733に則って、上下方位に配向され、配向膜から離れれば離れるほど、分子633は、段々と、左下から右上への方位(斜め方位)に配向された状態となっている。なお、図11(C)は、トランス体のアゾベンゼンとシス体のアゾベンゼンとの構造変化の反応が進行中であることを示す図である。
[0225]
 図12を用いて、実施例3の三次元構造物の製造方法を説明する。実施例3の三次元構造物の製造方法は、図12(A)~図12(C)及び図12(J)で、配向膜を形成し(配向膜形成プロセス)、図12(D)~図12(F)で層を形成し(層を形成するプロセス)、図12(G)~図12(I)で層に含有される分子を配向する(分子を配向するプロセス)。
[0226]
 図12(A)で、矢印P121方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図12(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。図12(C)では、配向膜32(3)の配向処理をしない。
[0227]
 図12(D)~図12(E)で、矢印P122方向に、配向膜32(3)上に層21(2)を形成する。必要に応じて、図12(F)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層23(2))。
[0228]
 続いて、図12(G)~図12(H)で、矢印P123方向に、層21(2)(又は層23(2))に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた層24(2)を作製する。さらに、必要に応じて、図12(I)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層25(2))。
[0229]
 図12(J)(図12(A)と同じ。)で、再び、矢印P124方向に、層24(2)(層25(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図12(J)(図12(A))~図12(B)~図12(I)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0230]
<実施例4>
[層を形成すること及び分子を配向することを含む三次元構造物の製造方法]
 実施例4について、図10及び図13~図14を用いて説明をする。図10は、上記で説明をしたとおりである。図13(A)~(B)は、層に含有される分子を配向することを経ることによって分子を配向させることができることを説明するための図である。図14は、層を形成すること及び分子を配向することを含む三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[0231]
 実施例4の三次元構造物の製造方法では、配向膜を用いない。この製造方法では、配向膜がない状態で、基材上に直接に層が形成されて、層内に含有される分子は、ランダムな配向状態から、分子配向処理により配向された状態になる。
[0232]
 図13(A)では、層54-1に、分子641及びシス体のアゾベンゼン741は、ランダムな配向状態で含有されている。
[0233]
 続いて、図13(B)に示されるように、分子配向処理としての可視光照射(hν’)R13を、層54-2に施して、アゾベンゼンは、トランス体のアゾベンゼン742に構造変化して、分子642の分子配向状態を自由にコントロールすることができる。図13(B)中では、分子642は、左下から右上への方位に配向された状態となっている。
[0234]
 図14を用いて、実施例4の三次元構造物の製造方法を説明する。実施例4の三次元構造物の製造方法は、図14(A)、図14(C)及び図14(E)で層を形成し(層を形成するプロセス)、図14(B)、図14(D)及び図14(F)で層に含有される分子を配向する(分子を配向するプロセス)。
[0235]
 図14(A)で、矢印P141方向に、ベース基材1に1層目の層21(2)を形成し、図14(B)で、矢印P142方向に、1層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた層22(2)を作製する。続いて、図14(C)で、矢印P143方向に、1層目の層22(2)上に2層目の層21(2)を形成し、図14(D)で、矢印P144方向に、2層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた2つの層22(2)を作製する。さらに、図14(E)で、矢印P145方向に、2層目の層22(2)上に3層目の層21(2)を形成し、図14(F)で、矢印P146方向に、3層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた3つの層22(2)を作製する。
[0236]
 以上の図14(A)~図14(F)を、所定の回数で繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0237]
<実施例5>
[配向膜を形成すること及び配向膜の配向処理をすること、並びに層を形成すること及び分子を配向することを含む三次元構造物の製造方法]
 実施例5について、図15~図17を用いて説明をする。図15は、UV光による架橋性官能基を有する化合物(ポリビニルシンナメート)の架橋反応を示す図である。図16は、配向膜の配向処理を施して分子を配向させて、そして、層に含有される分子を配向することを経ることによって、分子を更に配向させることができることを説明するための図である。図17は、配向膜を形成することと、配向膜の配向処理をすることと、層を形成することと、分子を配向することとを含む三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[0238]
 実施例5では、図15(A)に示されるポリビニルシンナメートを用いる。ポリビニルシンナメートは、架橋性官能基を有する化合物の一例である。図15(A)に示されるように、シンナメートの化合物は、UV光によって架橋して、図15(B)に示される四員環の骨格を有する化合物となる。図15(B)に示される化合物が有する四員環を中心とする骨格によって、分子を並べることができる。また、この時に照射するUV光(紫外光)は、直線偏光である方が秩序よく分子を並べることができるので好適である。
[0239]
 実施例5は、実施例2の配向膜の配向処理と実施例3の層の分子配向処理とを組み合わせた例である。実施例5によれば、配向膜の配向処理と層の分子配向処理とを組み合わせて、分子配向の自由度をより確保しながら、分子を秩序よく並べることができる。実施例3の層の分子配向処理では、例えば、アゾベンゼン等のフォトクロミック材料の光異性化を利用した方法について説明をしたが、ここでは別な例として、上記で述べたようにポリビニルシンナメートによる四員環の形成で分子が再配向する過程について説明をする。
[0240]
 図16(A)では、配向膜の配向処理としてラビング法を用いる。ローラー62-1に巻きつけた布で矢印Q16方向に、高分子主鎖451(例えば、ポリイミド)と高分子側鎖551とから構成される配向膜45-1を擦る。
[0241]
 図16(B)では、高分子主鎖452と高分子側鎖552とから構成される配向膜45-2において、高分子側鎖552が、ラビング法によって略一定の方位に(図16(B)中では左右方向)揃っている。
[0242]
 図16(C)に示されるように、高分子主鎖453と高分子側鎖553とから構成される配向膜45-3上に形成された層55-3に含有される分子653を、高分子側鎖553で規定された方位(図16(C)中では左右方向)に並べることができる。
[0243]
 続いて、図16(D)に示されるように、分子配向処理としての紫外線照射(hν)R16を、高分子主鎖454と高分子側鎖554とから構成される配向膜45-4上に形成された層55-4に施して、架橋結合(架橋点)854Bを介した、シンナメート854-1とシンナメート854-2とから構成される架橋シンナメート854が効率良く分子配向して、架橋シンナメート854に伴って、分子654の分子配向状態を自由にコントロールすることができる。図16(D)中では、分子654は、架橋シンナメート854に伴って、左下から右上への方位に配向された状態となっている。
[0244]
 図17を用いて、実施例5の三次元構造物の製造方法を説明する。実施例5の三次元構造物の製造方法は、図17(A)~図17(C)及び図17(J)で、配向膜を形成し(配向膜形成プロセス)、図17(D)~図17(F)で層を形成し(層を形成するプロセス)、図17(G)~図17(I)で層に含有される分子を配向する(分子を配向するプロセス)。
[0245]
 図17(A)で、矢印P171方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図17(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。
[0246]
 図17(C)では、配向膜32(3)に、ラビング法を用いて、ローラー65-Cに巻き付けた布で、ローラー65-Cを矢印Q17方向に回転させて、矢印P172方向に配向膜32(3)を擦って、分子配向処理された配向膜33(3)を形成する。
[0247]
 図17(D)~図17(E)で、矢印P173方向に、配向膜33(3)上に層21(2)を形成する。必要に応じて、図17(F)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層23(2))。
[0248]
 続いて、図17(G)~図17(H)で、矢印P174方向に、層21(2)(又は層23(2))に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた層24(2)を作製する。さらに、必要に応じて、図17(I)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層25(2))。
[0249]
 図17(J)(図17(A)と同じ。)で、再び、矢印P175方向に、層24(2)(層25(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図17(J)(図17(A))~図17(B)~図17(I)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0250]
<実施例6>
[層を形成すること及び分子を配向することを含む三次元構造物の製造方法]
 実施例6について、図18~図19を用いて説明をする。図18(A)~(B)は、層に含有される分子を配向することを経ることによって、分子を配向させることができることを説明するための図である。図19は、層を形成することと、分子を配向することとを含む三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[0251]
 図18(A)~(B)を参照しながら説明をする。実施例6では、ベース基材(図18(A)~(B)では不図示)にアクリル系材料を含有する層56(56-1及び56-2)を積層することで、3次元重合化合物を作成した。
[0252]
 図18(A)では、層56-1に、分子661及びポリビニルシンナメート861は、ランダムな配向状態で含有されている。積層する層56(56-1及び56-2)に用いた材料は、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(CH =CHCOO(CH O[CO(CH ) O] H)(不図示)をベースとし、液晶性モノマー661、ポリビニルシンナメート861、重合開始剤(不図示)からなる混合物である。これらを所定の比率で混合し、STL方式(Stereo lithography;光造形方式)によって積層構造物(三次元構造物)を作製した。
[0253]
 続いて、図18(B)に示されるように、分子配向処理としてのUV光照射(hν)R18を層56-2に施して、架橋シンナメート862の分子配向に伴って、液晶性モノマー662-1、662-2等から構成される重合化合物662の光学的な異方性が発現される。なお、図18(B)中では、液晶性モノマー成分662-1、662-2等は、左下から右上への方位に配向された状態となっている。
[0254]
 実施例6で用いられたSTL方式の3Dプリンタは照射するレーザーに偏光板を取り付けてあり、材料に照射される光は直線偏光となっている。直線偏光を当てることによって、上述したように、架橋シンナメート862が効率よく分子配向を行い、これに伴い、液晶性モノマー成分662-1及び662-2も配向し、同時に、重合開始剤から発生したラジカルによって、液晶モノマー662-1、662-2等から構成される重合化合物662が形成される。得られた重合化合物662は光学的に異方性があるため入射した光の偏光状態を変えることができる。なお、重合化合物662は、結合662Bを介して構成された液晶性モノマー成分662-1、662-2等からなる。
[0255]
 図19を用いて、実施例6の三次元構造物の製造方法を説明する。実施例6の三次元構造物の製造方法は、図19(A)及び図14(C)で層を形成し(層を形成するプロセス)、図19(B)及び図19(D)で層に含有される分子を配向した(分子を配向するプロセス)。
[0256]
 図19(A)で、矢印P191方向に、ベース基材1に1層目の層21(2)を形成し、図19(B)で、矢印P192方向に、1層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた層22(2)を作製した。続いて、図19(C)で、矢印P193方向に、1層目の層22(2)上に2層目の層21(2)を形成し、図19(D)で、矢印P194方向に、2層目の層21(2)に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた2つの層22(2)を作製した。
[0257]
 以上の図19(A)~図19(D)を、所定の回数で繰り返して、所望の三次元構造物を製造した。
[0258]
<実施例7>
[配向膜を形成すること及び配向膜の配向処理をすること、並びに層を形成すること及び分子を配向することを含む三次元構造物の製造方法]
 実施例7について、図20~図21を用いて説明をする。図20(A)~(E)は、配向膜の配向処理を施して層に含有される分子を配向させて、そして、分子を配向することを経ることによって、分子を更に配向させることができることを説明するための図である。図21は、配向膜を形成すること及び配向膜の配向処理をすること、並びに層を形成すること及び分子を配向することを含む三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[0259]
 図20(A)~(E)を参照しながら説明をする。
[0260]
 図20(A)で、ベース基材(図20(A)~(E)では不図示)に垂直配向膜47-1を塗布し溶剤をプリベークで除いた後、200℃のオーブンで1時間焼成した。これは可溶性ポリイミド(ポリイミドはポリイミド主鎖471及びポリイミド側鎖571から構成される。)のイミド化率を高めるためである。イミド化率を高めることにより、配向処理工程での摩耗耐性を高めることができる。
[0261]
 垂直配向膜47-1を形成した後に、図20(B)に示されるように、ラビング法により配向膜47-2に対し配向処理を行い、方位付けを行った。方位付けとは、図20(B)には正確に図示されていないが、例えば、ポリイミド側鎖572を垂直方向(図20(B)中の上方向)から図20(B)中の左右方向に傾けることを意味する。ラビング法は、例えば、ローラー67-2に巻きつけた布で矢印Q20方向に、ポリイミド主鎖472とポリイミド側鎖572とから構成される配向膜47-2を擦る方法である。
[0262]
 図20(C)で、配向処理を行った、ポリイミド主鎖473とポリイミド側鎖573とから構成される配向膜47-3上に、アクリル系材料を含有する層57-3を積層した。積層する層57-3に用いた材料は、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(CH =CHCOO(CH O[CO(CH ) O] H)(不図示)をベースとし、液晶性モノマー分子673、フォトクロミック材料としてのアゾベンゼン(トランス体)773、重合開始剤(不図示)からなる混合物である。これらを所定の比率で混合し、STL方式(Stereo lithography;光造形方式)によって積層構造物を作製した(三次元構造物)。
[0263]
 続いて、図20(D)に示されるように、分子配向処理としてのUV光照射(hν)R20を層57-4に施して、アゾベンゼンは、シス体のアゾベンゼン774に構造変化して、それに則って、分子674の分子配向状態を自由にコントロールすることができる。なお、図20(D)中においては、配向膜の近傍では、分子674は、高分子側鎖574及びシス体のアゾベンゼン774に則って、上下方位に配向され、配向膜から離れれば離れるほど、分子674は、段々と、左下から右上への方位(斜め方位)に配向された状態となっている。なお、図20(D)は、トランス体のアゾベンゼンとシス体のアゾベンゼンとの構造変化の反応が進行中であることを示す図である。
[0264]
 実施例7で用いられたSTL方式の3Dプリンタは、照射するレーザーに偏光板を取り付けてあり、材料に照射される光は直線偏光となっている。直線偏光を当てることによって、上述したように、アゾベンゼン等のフォトクロミック材料が効率よく分子配向を行い、これに伴い液晶性モノマー分子も配向する。
[0265]
 図20(E)に示されるように、UV光照射(hν)S20を、ポリイミド主鎖475とポリイミド側鎖575とから構成される配向膜47-5上に形成された層57-5に施して、開始剤(不図示)から発生したラジカルによって、液晶性モノマー成分675-1、675-2等から構成される重合化合物675が形成される。得られた重合化合物675は光学的に異方性があるため入射した光の偏光状態を変えることができる。なお、重合化合物675は、結合675Bを介して構成された液晶性モノマー成分662-1、662-2等からなる。
[0266]
 図21を用いて、実施例7の三次元構造物の製造方法を説明する。実施例7の三次元構造物の製造方法は、図21(A)~図21(C)及び図21(J)で、配向膜を形成し(配向膜形成プロセス)、図21(D)~図21(F)で層を形成し(層を形成するプロセス)、図21(G)~図21(I)で層に含有される分子を配向する(分子を配向するプロセス)。
[0267]
 図21(A)で、矢印P211方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図21(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。
[0268]
 図21(C)では、配向膜32(3)に、ラビング法を用いて、ローラー67-Cに巻き付けた布で、矢印P212方向に配向膜32(3)を擦って、分子配向処理された配向膜33(3)を形成する。
[0269]
 図21(D)~図21(E)で、矢印P213方向に、配向膜33(3)上に層21(2)を形成する。必要に応じて、図21(F)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層23(2))。
[0270]
 続いて、図21(G)~図21(H)で、矢印P214方向に、層21(2)(又は層23(2))に光配向処理を施して、分子配向状態がコントロールされた層24(2)を作製する。さらに、必要に応じて、図21(I)で、加熱等により、層に含有される分子を再配向する(層25(2))。
[0271]
 図21(J)(図21(A)と同じ。)で、再び、矢印P215方向に、層24(2)(層25(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図21(J)(図21(A))~図21(B)~図21(I)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0272]
<実施例8>
[配向膜を形成すること及び配向膜の配向処理をすること、並びに層を形成することを含む三次元構造物の製造方法]
 実施例8について、図22~図23を用いて説明をする。図22(A)~(D)は、配向膜に配向処理を施して、層に含有される分子を配向させることができることを説明するための図である。図23は、配向膜を形成すること及び配向膜の配向処理をすること、並びに層を形成することを含む三次元構造物の製造方法を説明するための図である。
[0273]
 図22(A)~(D)を参照しながら説明をする。
[0274]
 ベース基材に配向膜を塗布し溶剤をプリベークで除いた後、200℃のオーブンで1時間焼成した。これは可溶性ポリイミドのイミド化率を高めるためである。イミド化率を高めることにより、配向処理工程での摩耗耐性を高めることができる。
[0275]
 配向膜を形成した後に、図22(A)に示されるように、ラビング法により、ポリイミド主鎖481とポリイミド側鎖581とから構成される配向膜48-1に対して配向処理を行った。ラビング法は、例えば、ローラー68-1に巻きつけた布で矢印Q22方向に、ポリイミド主鎖481とポリイミド側鎖581とから構成される配向膜48-1を擦る方法である。
[0276]
 図22(B)に示されるように、ラビング法による配向処理により、ポリイミド主鎖482とポリイミド側鎖582とから構成される配向膜48-2において、ポリイミド側鎖582が水平方向に揃っている。
[0277]
 図22(C)で、配向処理を行った、ポリイミド主鎖483とポリイミド側鎖583とから構成される配向膜48-3上に、アクリル系材料を含有する層58-3を積層した。積層する層58-3に用いた材料は、不飽和脂肪酸ヒドロキシアルキルエステル修飾ε-カプロラクトン(CH =CHCOO(CH O[CO(CH ) O] H)(不図示)をベースとし、キラル分子含有液晶モノマー組成物683-1~683-4及び重合開始剤(不図示)からなる混合物である。これらを所定の比率で混合し、STL方式(Stereo lithography;光造形方式)によって積層構造物を作製した(三次元構造物)。
[0278]
 調合した材料には、上記のとおり、キラル分子が混入されており、これに伴い液晶性モノマー組成物683-1~683-4は自発的にらせん状に配向している。この時に加熱をして、重合前化合物の粘度を下げて分子が配向し易い状態にした。上記の加熱は、ステージ(又は容器)から加熱をして50℃にした。温度を上げすぎると(例えば100℃以上)にすると、アクリルモノマー自体が反応を始めてしまう可能性があるため。粘性が少し下がるような温度ということで、室温+20~30℃とする。ただし、液晶相の相転移温度より低い温度とする。液晶相の相転移温度より高い温度にすると液晶材料が、液体になってしまい並ばなくなってしまうからである。
[0279]
 続けて、図22(D)で、アクリロイル基を反応させるために、矢印S22(hν)で示されるように、UV光を照射した。UV光によって開始剤から発生したラジカルによって、液晶性モノマー684-1~684-4からなる重合化合物684が形成される。さらに、加熱をして(例えば、アニール処理)、分子配向を促進させた。得られた重合化合物684は光学的に選択反射という物性を示し、らせん構造に対応した波長の光を円偏光として反射する性質を有する。このことにより、得られた重合化合物684の意匠性を高めることができる。
[0280]
 図23を用いて、実施例8の三次元構造物の製造方法を説明する。実施例8の三次元構造物の製造方法は、図23(A)~図23(C)及び図23(G)で、配向膜を形成して配向膜の配向処理(分子配向処理)をして(配向膜形成プロセス)、図23(D)~図23(F)で層を形成する(層を形成するプロセス)。
[0281]
 図23(A)で、矢印P231方向に、ベース基材1に配向膜31(3)を塗布し、図23(B)で、配向膜31(3)をプリベーク及び焼成をして(例えば、ポリイミド材料の場合はイミド化)、配向膜32(3)を作製する。
[0282]
 図23(C)では、ラビング法を用いて、ローラー68-Cに巻き付けた布で、ローラー68-Cを矢印Q23方向に回転させて、矢印P232方向に配向膜32(3)を擦って、分子配向処理された配向膜33(3)を形成する。
[0283]
 図23(D)で、矢印P233方向に、配向膜33(3)上に層21(2)を形成する。続いて、図23(E)で、矢印S23方向でUV光を照射して層に含有される分子(モノマー)を硬化してポリマー(重合化合物)を形成する(層26(2))。必要に応じて、図23(F)で、アニール処理により、層に含有される分子を再配向する(層27(2))。
[0284]
 図23(G)(図23(A)と同じ。)で、再び、矢印P234方向に、層26(2)(層27(2))上に配向膜31(3)を塗布して、所定の回数で、図23(G)(図23(A))~図23(B)~図23(F)を繰り返して、所望の三次元構造物を製造する。
[0285]
 本技術は、上記の各実施形態及び各実施例に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において変更することが可能である。
[0286]
 また、本技術は、以下のような構成を取ることもできる。
[1]
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、
 該少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含み、
 該層を形成すること及び該分子を配向することを複数回で繰り返す、三次元構造物の製造方法。
[2]
 前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向する、[1]に記載の三次元構造物の製造方法。
[3]
 前記少なくとも1種の化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、[1]又は[2]に記載の三次元構造物の製造方法。
[4]
 配向膜を形成することと、
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、
 該少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含む、三次元構造物の製造方法。
[5]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[4]に記載の三次元構造物の製造方法。
[6]
 前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向する、[4]に記載の三次元構造物の製造方法。
[7]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[6]に記載の三次元構造物の製造方法。
[8]
 前記配向膜を形成すること、前記層を形成すること及び前記分子を配向することを複数回で繰り返す、[4]に記載の三次元構造物の製造方法。
[9]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[8]に記載の三次元構造物の製造方法。
[10]
 前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向する、[8]に記載の三次元構造物の製造方法。
[11]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[10]に記載の三次元構造物の製造方法。
[12]
 前記層を形成すること及び前記分子を配向することを複数回で繰り返す、[4]に記載の三次元構造物の製造方法。
[13]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[12]に記載の三次元構造物の製造方法。
[14]
 前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向する、[12]に記載の三次元構造物の製造方法。
[15]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[14]に記載の三次元構造物の製造方法。
[16]
 前記層を形成すること及び前記分子を配向することを複数回で繰り返した後に、前記配向膜を形成する、[4]に記載の三次元構造物の製造方法。
[17]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[16]に記載の三次元構造物の製造方法。
[18]
 前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向する、[16]に記載の三次元構造物の製造方法。
[19]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[18]に記載の三次元構造物の製造方法。
[20]
 前記少なくとも1種の化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、[4]から[19]のいずれか1つに記載の三次元構造物の製造方法。
[21]
 配向膜を形成することと、
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、を含む、三次元構造物の製造方法。
[22]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[21]に記載の三次元構造物の製造方法。
[23]
 前記配向膜を形成した後に、前記層を形成することを複数回で繰り返す、[21]に記載の三次元構造物の製造方法。
[24]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[23]に記載の三次元構造物の製造方法。
[25]
 前記配向膜を形成すること及び前記層を形成することを複数回で繰り返す、[21]に記載の三次元構造物の製造方法。
[26]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[25]に記載の三次元構造物の製造方法。
[27]
 前記配向膜を形成した後に、前記層を形成することを複数回で繰り返す、[25]に記載の三次元構造物の製造方法。
[28]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[27]に記載の三次元構造物の製造方法。
[29]
 前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記配向膜を形成する、[21]に記載の三次元構造物の製造方法。
[30]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[29]に記載の三次元構造物の製造方法。
[31]
 前記配向膜を形成した後に、前記層を形成することを複数回で繰り返す、[29]に記載の三次元構造物の製造方法。
[32]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、[31]に記載の三次元構造物の製造方法。
[33]
 前記少なくとも1種の化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、[21]から[32]のいずれか1つに記載の三次元構造物の製造方法。
[34]
 [1]に記載の製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物。
[35]
 前記異方性を有する化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、[34]に記載の三次元構造物。
[36]
 [4]に記載の製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物。
[37]
 前記異方性を有する化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、[36]に記載の三次元構造物。
[38]
 [21]に記載の製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物。
[39]
 前記異方性を有する化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、[38]に記載の三次元構造物。
[40]
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成する層形成部を、少なくとも備える、三次元構造物を製造する製造装置。
[41]
 更に、配向膜を形成する配向膜形成部を備える、[40]に記載の三次元構造物を製造する製造装置。
[42]
 更に、前記少なくとも1種の化学物質の分子を配向する分子配向部を備える、[40]又は[41]に記載の三次元構造物を製造する製造装置。
[43]
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、
 該少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含む、三次元構造物の製造方法。
[44]
 [43]に記載の製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物。

符号の説明

[0287]
1・・・基材
2、21、22、23、24、25・・・層
3、31、32、33・・・配向膜

請求の範囲

[請求項1]
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、
 該少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含み、
 該層を形成すること及び該分子を配向することを複数回で繰り返す、三次元構造物の製造方法。
[請求項2]
 前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向する、請求項1に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項3]
 前記少なくとも1種の化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、請求項1に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項4]
 配向膜を形成することと、
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、
 該少なくとも1種の化学物質の分子を配向することと、を含み、
 該配向膜を形成すること、該層を形成すること及び該分子を配向することを複数回で繰り返す、三次元構造物の製造方法。
[請求項5]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、請求項4に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項6]
 前記層を形成することを複数回で繰り返した後に、前記分子を配向する、請求項4に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項7]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、請求項6に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項8]
 前記少なくとも1種の化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、請求項4に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項9]
 配向膜を形成することと、
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成することと、を含み、
 該配向膜を形成すること及び該層を形成することを複数回で繰り返す、三次元構造物の製造方法。
[請求項10]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、請求項9に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項11]
 前記配向膜を形成した後に、前記層を形成することを複数回で繰り返す、請求項9に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項12]
 前記形成された配向膜に配向処理が施される、請求項11に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項13]
 前記少なくとも1種の化学物質が、キラル分子骨格を有する分子を含む、請求項9に記載の三次元構造物の製造方法。
[請求項14]
 請求項1に記載の製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物。
[請求項15]
 請求項4に記載の製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物。
[請求項16]
 請求項9に記載の製造方法によって得られ、少なくとも1種の異方性を有する化学物質を含む、三次元構造物。
[請求項17]
 少なくとも1種の化学物質を含有する層を形成する層形成部を、少なくとも備える、三次元構造物を製造する製造装置。
[請求項18]
 更に、配向膜を形成する配向膜形成部を備える、請求項17に記載の三次元構造物を製造する製造装置。
[請求項19]
 更に、前記少なくとも1種の化学物質の分子を配向する分子配向部を備える、請求項18に記載の三次元構造物を製造する製造装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]

[ 図 19]

[ 図 20]

[ 図 21]

[ 図 22]

[ 図 23]

[ 図 24]

[ 図 25]

[ 図 26]