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1. (WO2018193701) LIQUID EJECTION DEVICE
Document

明 細 書

発明の名称 液体噴射装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004  

先行技術文献

特許文献

0005  

発明の概要

発明が解決しようとする課題

0006   0007   0008  

課題を解決するための手段

0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016   0017   0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024  

発明の効果

0025  

図面の簡単な説明

0026  

発明を実施するための形態

0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057  

実施例

0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086  

符号の説明

0087  

請求の範囲

1   2   3   4  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12   13   14  

明 細 書

発明の名称 : 液体噴射装置

技術分野

[0001]
 本発明は、液体噴射装置に関するものである。

背景技術

[0002]
 癌の外科治療において、腫瘍を切除することと、神経や細血管を傷つけずに温存すること(機能温存)とを1つの治療手法や治療機器で両立させる事は難しい.この課題を解決する治療機器としてパルスジェットメスが開発されている。パルスジェットメスは、微量な液体を高速かつ間欠式(パルス式)に治療箇所へ射出する液体噴射装置である。
[0003]
 パルスジェットメス(以下「液体噴射装置」とも言う)は、射出されるジェット液の速度・量などを調整することで、腫瘍のみを破砕し、同時に正常組織や神経・細血管の温存する二つの作用を両立させることができる。すなわち、パルスジェットメスは、超音波破砕吸引機などの従来機器に比べ、より細い血管や神経の温存が可能な技術である。これまでに脳下垂体良性腫瘍の治療用としてパルスジェットメスの開発がスタートし、日本国内の下垂体治療のハイボリュームセンターにおいて臨床研究が実施され、100名以上の患者の治療が行われその優位性が示されている。
[0004]
 現在開示されているパルスジェットメスの技術は、主に2種類ある。すなわち、液体内にパルス的にレーザを照射し、液体を気化させ、膨張による圧力上昇を利用して液体を噴射するレーザ駆動型(特許文献1参照)および、応答性が高い圧電素子を利用したシリンジ式のポンプやチューブポンプによってパルス的に液体を噴射するポンプ駆動型(特許文献2参照)である。

先行技術文献

特許文献

[0005]
特許文献1 : 国際公開第2015/125394号
特許文献2 : 特開2015-171547号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0006]
 パルスジェットメスは、要求される治療の条件によって、射出されるジェット液の速度・量などを微妙に調整することが必要となる。しかしながら、特許文献2に記載されたポンプ駆動型のパルスジェットメスにおいては、ポンプの出力調整の精度および液体の応答性の限度等の理由から、パルス的に液体を噴射させる上で噴流の出力を微妙に調整することは困難であった。このため、微妙な噴流出力の制御を要するような、腫瘍を切除すると同時に神経や細血管を傷つけずに温存する(機能温存)ことは困難であった。
[0007]
 一方、特許文献1に記載されたレーザ駆動型のパルスジェットメスにおいては、液体の噴射口であるノズルとレーザ光照射部までの間の距離を調整する調整手段を備え、レーザ光照射部によるパルスレーザ光の照射前または照射時に、調整手段によりノズルとレーザ光照射部までの間の距離を調整することで、噴流出力の調整を行っている。しかし、この技術構成は、調整手段という可動部分を有するため構成およびその制御が複雑になるとともに装置が大型化するおそれがあった。
[0008]
 本発明は、前記背景におけるこれらの実情に鑑みてなされたものであり、部品点数の増加がない簡単な構成で、噴流出力を調整・制御する液体噴射装置を提供することをその目的とする。

課題を解決するための手段

[0009]
 本発明は、液体の噴流を生成する液体噴射装置であって、筒状の液体室と、前記液体室の端部を開口して該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、前記液体室内にパルスレーザ光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザ光照射部と、を備え、前記液体室または前記ノズルには、前記ノズルと前記レーザ光照射部までの間の周縁に前記液体室外と連通する孔が形成されていることを特徴としている。
[0010]
 本発明は、一般的なレーザ駆動型パルスジェットメスと同様に、光ファイバからレーザを照射することによって、液体室内の液体へ急速に熱を伝達して、照射箇所に在る液体を気化させる構成を備えている。さらに、付加的な構成として液体室またはノズルのノズルとレーザ光照射部との間の周縁に液体室外と連通する孔を形成している。
[0011]
 レーザ照射によって液体が蒸発して発達した気泡は、液体室内の圧力を高めて、液体をノズルから噴出させる。液体の流れはノズルに近づくにつれて、十分に発達して噴流になる。ノズルから噴射された液体は、本発明の孔を備えない構成であっても、はじめに水塊を噴出し、その後その水塊よりもサイズの小さい水滴が水塊を追うように噴出される。
[0012]
 水塊は標的となる組織に衝突して、水塊の運動量と組織の弾性に応じて、組織の深部へ到達する。その後多くの水滴が水塊衝突部分を押圧するように作用する。しかし、水滴の運動量は小さいことから、液体がさらなる深部へ到達することはなく、標的箇所周辺、例えば多層状態の組織であれば、液体は到達した深さにある層間へ広がっていく。
[0013]
 このように液体噴射装置は、射出されるジェット液の速度・量などを調整することで、腫瘍のみを破砕することと同時に正常組織や神経・細血管の温存することの二つの作用を両立させている。
[0014]
 本発明の一態様は、従来技術と比較して、液体室またはノズルのノズルとレーザ光照射部との間の周縁に液体室外と連通する孔を設けている。液体流は液体室管内において十分に発達しているため、液体室の外部と連通している孔近傍においては、外環境の圧力状態と比べ相対的に負圧になる。そのため、液体はこの孔から漏れることはなく、エゼクタ効果によって周囲から孔を通して液体室へ空気を引き込み、気泡を含んだ噴流が形成される。
[0015]
 この態様は、孔の位置によって任意に水塊の大きさを変えられる特徴を有している。すなわち、孔の位置がノズルさらにノズルの液体を噴出する開口に近づくにつれて、孔から引き込まれる気泡によって、レーザ照射後に射出される水塊が小さくなる。さらに、この小さくなった水塊が液体室やノズルを通りノズルの開口で噴出されるまでの距離は短くなり、水塊に負荷される配管抵抗(ずり抵抗)も小さくなる。この結果、水塊の噴出速度が上昇して、標的となる組織に衝突する瞬間の力が大きくなり、液体はより深い位置に到達する。
[0016]
 一方、孔の位置がノズルから遠ざかることで、水塊は大きくなり、配管抵抗も大きくなる。この結果、水塊の噴出速度が低下して、標的となる組織への到達深度は小さくなる。
[0017]
 ただし、液体の噴出力のトータルは、液体室内の圧力とノズルの噴出口もしくはスロート部分(流路内の断面積が最も小さな部分)の断面積の積に応じた反力であるため、水塊の大きさにかかわらず、ずり抵抗等に依存して多少の差異はあっても、大きく変わることはない。
[0018]
 すなわち、本態様では、孔の位置に応じて、小さな水塊にすることで組織の深い部分まで液体を到達させるとともに周囲への影響を小さくした局所的な治療を可能にし、一方、大きな水塊にすることで浅くかつ広い部分の治療を可能にしている。さらに前記したように、この構成においては、標的となる組織への噴流出力の総計は、孔の位置によって大きく変わることはないため、組織に想定外の損傷を与えることなく、安全な操作を実現させている。
[0019]
 前記態様において、前記孔が、前記液体室または前記ノズルの長尺方向に複数形成されており、前記孔のそれぞれに開閉機構を備えている構成とすることができる。
[0020]
 この態様によれば、癌の外科治療に要求される破砕力に応じて、いずれかの孔を選択できる。そして、不要な孔については開閉機構によって閉じた状態とすることができる。孔の開閉機構は、複雑な機構を要することはなく、例えば、テープ等で孔を塞ぐものでも良い。また、微妙な調整を行うために、選択された複数の孔を外部と連通させるように開いた状態とすることもできる。そのため、この態様は、細かな治療要求を実現させることができる。
[0021]
 前記態様において、前記孔が、前記液体室または前記ノズルの前記周縁方向に複数形成されており、前記孔のそれぞれに開閉機構を備えている構成とすることができる。
[0022]
 この態様によれば、噴流出力の微妙な調整・制御をすることができる。また、液体室の上下方向に対する姿勢に応じて、例えば上側の孔を開放状態にして、下側の孔を閉鎖状態にすることで、レーザ照射前の液体室に液体が充填された状態において、液漏れを最小限にすることができる。そのため、レーザ照射前に常に液が液体室に充填された状態を維持することができる。
[0023]
 前記態様において、前記孔の形状が、前記液体が気化するまで、前記液体の粘度・ぬれ性に応じて決定される表面張力によって、前記液体を前記液体室に保持するように設定されている構成とすることができる。
[0024]
 この態様によれば、液体室内に圧力が負荷されていないときには、充填された液体のぬれ性、粘度等の物性に基づき、孔の大きさ・方向を設定することで、表面張力によって液漏れを起こさせない構成とすることができる。そのため、レーザ照射前に常に液が液体室に充填された状態を維持することができる。

発明の効果

[0025]
 本発明は、部品点数の増加がない簡単な構成で、噴流出力を調整・制御する液体噴射装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

[0026]
[図1] 本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の全体構成を説明する図である。
[図2] 本発明に係る液体噴射装置の作用を説明する図である。
[図3] 本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の作用を説明する図である。
[図4] 本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の作用を説明する図である。
[図5] 本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の実施例を示す図である。
[図6] 本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の実施例を示す図である。
[図7] 本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の作用を説明する図である。
[図8] 本発明の第1実施形態に係る実施例と、比較例の作用を示す図である。
[図9] 本発明の第1実施形態に係る複数の実施例と、比較例との比較結果を説明する図である。
[図10] 本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置の側断面図および側面図である。
[図11] 本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置の側面図である。
[図12] 本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置の側面図である。
[図13] 本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置の側面図である。
[図14] 本発明の第6実施形態に係る液体噴射装置の側面図である。

発明を実施するための形態

[0027]
 以下、図面を参照しながら、本発明の液体噴射装置に係る好適な実施の形態について説明する。以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
[0028]
 本発明に係る一態様は、液体の噴流を生成する液体噴射装置であって、筒状の液体室と、前記液体室の端部を開口して該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、前記液体室内にパルスレーザ光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザ光照射部と、を備え、前記液体室または前記ノズルには、前記ノズルと前記レーザ光照射部までの間の周縁に前記液体室外と連通する孔が形成されていることを特徴としているものであれば、その具体的態様はいかなるものであっても構わない。
[0029]
 (第1実施形態)
 はじめに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の主要構成について説明する。次に、図2,3を参照して、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の作用について説明する。そして、図4~9を参照して、液体室に、ノズルとレーザ光照射部までの間の周縁に液体室外と連通する孔を形成したときの作用について、実施例と比較例との比較結果について説明する。
[0030]
 (全体構成の説明)
 図1は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の全体構成を説明する図であり、図2は、本発明に係る液体噴射装置の作用を説明する図であり、図3、4は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の作用を説明する図であり、図5、6は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の実施例を示す図であり、図7は、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置の作用を説明する図であり、図8は、本発明の第1実施形態に係る実施例と、比較例の作用を示す図であり、図9は、本発明の第1実施形態に係る複数の実施例と、比較例との比較結果を説明する図である。
[0031]
 図1を参照すると、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置100は、液体室140と、液体室140へ液体を供給する送液装置130と、液体室100内でレーザ照射を行うレーザ装置120と、送液装置130およびレーザ装置120を制御する制御装置110とからなる。
[0032]
 液体室140は、例えば、円筒形状のステンレス、チタン、金、銀などの金属、または、セラミックスなどの材料を用いた内径は0.5mm~3.0mm程度の細管を適用することができるが、これに限定されることはない。
[0033]
 図1において、液体室140は直線的な円筒形状としているが、例えば、一実施例として示した図5のように屈曲部145を備えている構成としてもよい。この屈曲部145を備えることで、液体噴射装置100の使用時に、使用者が標的箇所を視認することを妨げないようにすることができる。ただし、液体室140に内挿されるレーザ装置120の光ファイバ121は、許容できる屈曲量が限られているため、光ファイバ121が内挿されている範囲については、直線的な円筒形状の液体室140とすることが好ましい。
[0034]
 液体室140の一端には液体噴流を噴出する開口142と、円筒状の液体室140から開口142へとつなぐノズル141が形成されている。図1では、液体室140の内径を絞るようにノズル141および開口142を形成しているが、液体室140の内径を維持したストレート状のノズル141、開口142としても良い。なお、ノズル141の材料は液体室140と同様にステンレス、チタン、金、銀などの金属、または、セラミックスなどを適用することができるが、これらに限定はされない。
[0035]
 液体室140には、送液装置130から供給管131を経由して供給される噴射する液体132が満たされている。液体132は、水、電解質輸液、薬液、生理食塩水などを選択することができ、ホルミウム・ヤグレーザなどのパルスレーザ光のエネルギ吸収性を有する液体の使用が好適である。
[0036]
 レーザ装置120は、例えば、医療用で一般的に使用されている赤外線域のホルミウム・ヤグレーザ装置(Ho:YAGレーザ:波長2.06μm) などのレーザ発振器を適用することができる。Ho:YAGレーザは高いピークパワーを持つパルス発振レーザであり、医療用として好適である。しかしながらHo:YAGレーザに限定されることはなく、CO2レーザやネオジウム・ヤグレーザ等の他のレーザ装置を適用しても良い。
[0037]
 レーザ装置120は、制御装置110からのパルスレーザ光のパルスエネルギー・パルス幅・パルス繰り返し周波数を変化させる信号111により、パルスレーザ光を出力する。パルスレーザ光は、液体室140に内挿された光ファイバ121の先端122から、液体132に満たされた液体室140へ射出される。
[0038]
 送液装置130は、液体132を制御装置110からの指令によって供給管131と接続部143を経由して液体室140へ供給する。制御装置110は、液体室140に液体132が満たされていない状態で、レーザ装置120がレーザ光を出力することがないように制御している。
[0039]
 液体室140には、ノズル141とレーザ光照射部となる光ファイバ121の先端122までの間の周縁に液体室外と連通する吸気孔151が形成されている。この吸気孔151の作用については後記する。
[0040]
 (パルスジェットメスの作用の説明)
 次に、主に図2,3を参照して、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置100のレーザ駆動型パルスジェットメスの作用について説明する。
[0041]
 図2(A)を参照すると、制御装置110からの指令により、レーザ装置120がパルスレーザ光を出力して、光ファイバ121の先端122からレーザが照射されている(EXで示す)。例えば、波長が2100nmのレーザ光において、水中での吸収係数は、約50c m-1であることから、レーザ光が水中を1ミリメートル進行する間にレーザ光のエネルギの99.3%が水に吸収される。
[0042]
 図2(B)に示すように、液体132にエネルギが吸収されることにより、液体132は熱せられ、液相から気相へと相転移が行われ、気泡EGが発生する。相転移に伴う急激な体積の増加は、液体室140の圧力を上昇させて、液体132をノズル141そして開口142へ押し出す力として働く。
[0043]
 そして、図2(C)に示すように、液体132は開口142から噴出される。すなわち、パルスレーザ光から液体132へは極めて短時間で大きなエネルギが伝達されることから、急激な相転移によって、液体132は開口142から噴流(ジェット流)として、噴出される。なお、この液体の噴出力は、液体室内の圧力とノズルの噴出口もしくは液体室140内の最も内径が絞られている部分(スロート部分)の断面積の積に応じた反力に相当する。なお、噴流は制御装置110からのパルスレーザ光のパルスエネルギー・パルス幅によって制御される。
[0044]
 次に図3(A)に示すように、発明者等は、膨張する気泡EGによって、開口142から初めに水塊WBが噴出され、その後水塊WBの後を追うように多くの水滴DWが噴出されることを、観測によって確認した。このような構成の噴流は、標的となる生体組織180に向かって射出される。
[0045]
 生体組織180は、いくつかの層で構成されており、図3では第1層181、第2層182として示している。例えば、第1層181は角質層、第2層182は顆粒層が該当する。角質層や顆粒層は細胞間脂質(セラミド)を介して小さな細胞が並んで配された状態となっている。
[0046]
 図3(B)を参照すると、水塊WBが第1層181に衝突して、第1層181を破砕する。さらに水塊WBは、生体組織180内の深部にまで掘削CRを行う。すなわち、生体組織180の抵抗力が水塊WBの破砕力を超えるまで、水塊WBは生体組織180の内部まで進入する。図3(B)では、第1層181の中間部に到達する例を示している。
[0047]
 そして、図3(C)に示すように、深さ方向に進入できなくなった水塊WBは生体組織180内の、例えば第1層181の抵抗力が弱い部分へ広がり浸透PEした状態になる。水塊WBが広がった形に変形した液体層(浸透PE)には、後続の水滴DWがこの液体層を押すように衝突する。
[0048]
 すなわち、水塊WBは、標的となる生体組織180に衝突後に、水塊WBの運動量と生体組織180の抵抗力・弾性とに応じて、生体組織180の深部へ到達する。その後水滴DWが水塊WBの生体組織180へ衝突した部分を押圧するように作用するが、液体132が生体組織180のさらなる深部へ到達することはない。すなわち、標的箇所周辺、例えば第1層181、第2層182からなるような多層状態の生体組織180であれば、液体132は到達した深さにある層間もしくは層を形成する細胞、ゼラチン質のセラミド等の間へ広がっていく。
[0049]
 このように、本発明の第1実施形態に係る液体噴射装置は、射出されるジェット液の速度・量などを調整することで、腫瘍のみを破砕し、同時に正常組織や神経・細血管の温存する二つの作用を両立させている。
[0050]
 次に図4を参照すると、本発明の第1実施形態に係る一態様は、液体室140のノズル141とレーザ光照射部となる光ファイバ121の先端122との間の周縁に液体室140外と連通する吸気孔151を設けている。気泡EGの膨張に伴い、液体室140内の液体の管内流は十分に発達していくため、液体室140の外部と連通している管内の吸気孔151近傍においては、外環境の圧力状態と比べ相対的に負圧になる。そのため、エゼクタ効果によって外環境の周囲から吸気孔151を通して液体室140へ空気を引き込み、気泡BLを含んだ噴流が形成される。
[0051]
 この態様は、吸気孔151の位置によって任意に水塊WBの大きさを変えられる特徴を有している。すなわち、図4(A)に示すように吸気孔151の位置がノズル141に近い距離L1の形成されている場合には、吸気孔151から引き込まれる気泡によって、噴流が分断されて、レーザ照射後に射出される水塊WB1が小さくなる。
[0052]
 さらに、この小さくなった水塊WB1が液体室140を通りノズル141で噴出されるまでの距離は短くなるため、水塊WB1に負荷される配管抵抗(ずり抵抗)も小さくなる。この結果、水塊WB1の噴出速度が上昇して、標的となる生体組織180に衝突する瞬間の力が大きくなり、液体132の水塊WB1は生体組織180のより深い位置に到達する。
[0053]
 一方、図4(B)(C)に示すように吸気孔151の位置が距離L2,L3のようにノズル141から遠ざかることで、水塊WB2,WB3は大きくなり、配管抵抗も大きくなる。この結果、水塊の噴出速度が低下して、標的となる組織への到達深度は小さくなる。
[0054]
 ただし、液体132が噴出されるトータルの力は、液体室140内の圧力とノズル141の開口142の内径Dの断面積の積に応じた反力であるため、水塊WB1~WB3の大きさにかかわらず、ずり抵抗に依存して多少の差異はあっても、大きく変わることはない。すなわち、図4(A)~(C)の水塊WB1~WB3が生体組織180に衝突する力と、水塊WB1~WB3が生体組織180内で浸透PEした状態で、水滴DWが水塊WB1~WB3の衝突部分を押圧するように作用する力はほぼ同等となる。
[0055]
 このように、本態様では、吸気孔151の位置に応じて、小さな水塊WB1にすることで生体組織180の深い部分まで液体を到達させるとともに周囲への影響を小さくした局所的な治療を可能にし、一方、大きな水塊WB3にすることで生体組織180の浅くかつ広い部分の治療を可能にしている。さらにこの構成においては、前記のように標的となる生体組織180への噴流出力の総計は、孔の位置によって大きく変わることはないため、組織に想定外の損傷を与えることなく、安全な操作を実現させている。
[0056]
 吸気孔151の形状・サイズは、液体132が気化して、開口142から射出されるまで、液体132の粘度・ぬれ性に応じて決定される表面張力によって、液体132を液体室140に保持するように設定するようにしても良い。
[0057]
 このように設定することで、液体室140内に圧力が負荷されていないときには、充填された液体132のぬれ性、粘度等の物性に基づき、吸気孔151の大きさ・方向を設定することで、表面張力によって液漏れを起こさせない構成とすることができる。そのため、レーザ照射前に常に液体132が液体室140に充填された状態を維持することができる。
実施例
[0058]
 次に、図5~9を参照して、本発明の第1実施形態に係る実施例を説明する。図5に示す液体噴射装置100は、試験に供したものであり、屈曲部145を有した液体室140と、吸引装置170を備えた構成としている。屈曲部145は、液体噴射装置100の使用時に、使用者が標的箇所を視認することを妨げないようにするものである。吸引装置170は制御装置110の指令によって液体室140内の液体132を必要に応じて吸引するものである。いずれも本発明の第1実施形態に付加することを妨げることはない。なお、その他の構成については、図1にて説明した通りであるが、光ファイバ121は曲げ許容性が少ないことから、屈曲部145の手前側(レーザ装置120寄り)に配置している。
[0059]
 図6は、液体室140のノズル141とレーザ光照射部となる光ファイバ121の先端122との間の周縁に液体室140外と連通する吸気孔151を設けた実施例を示している。実施例は図5、6に示す供試体を使用し、図4に示した吸気孔151の開口142からの距離をL1=3mm,L2=6mm,L3=12mmとした実施例1、2,3と、吸気孔151を備えていない従来型の比較例との比較試験を行った。
[0060]
 比較試験は、図7に示すように、容器に満たされた液体内に液体室140を挿入し、図2,3で説明したようにパルスレーザ光を照射している。そして、開口142から噴射される気泡BSを有する噴流の大きさを、視覚的に気泡BSの到達深度として計測している。気泡BSを有する噴流が大きければ、より深い位置に気泡BSが到達することから、気泡BSの到達深度によって水塊WBによる破砕力を確認することができる。
[0061]
 図8(A)は比較例、図8(B)は実施例1(L1=3mm)の比較試験結果を示す。比較例の気泡流BSRと実施例1の気泡流BSEとを比較すると、明らかに実施例1の気泡流BSEの方が大きい到達深度となっていることが示されている。
[0062]
 図9は、実施例1~3と比較例の試験結果をまとめたものを示している。実施例1(L1=3mm)は、比較例や実施例2,3と比べて大きな到達深度となっている。また、実施例3(L1=12mm)では、比較例よりも到達深度を小さくできることが確認された。このように、本発明の第1実施形態に係る態様は、吸気孔151の位置によって任意に水塊の大きさを変えられる特徴を有していることを確認できた。
[0063]
 本態様では、吸気孔の位置に応じて、小さな水塊にすることで組織の深い部分まで液体を到達させるとともに周囲への影響を小さくした局所的な治療を可能にし、一方、大きな水塊にすることで浅くかつ広い部分の治療を可能にしている。さらにこの構成においては、標的となる組織への噴流出力の総計は、孔の位置によって大きく変わることはないため、組織に想定外の損傷を与えることなく、安全な操作を実現させている。そして、本態様は、部品点数の増加がない簡単な構成で、噴流出力を調整・制御する液体噴射装置を提供することができる。
[0064]
 (第2実施形態)
 次に、図10を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置の側断面図および側面図である。本発明の第2実施形態は、吸気孔の配置に係る実施形態であり、その他の構成については第1実施形態と同じであるため、以下の説明において、第1実施形態と重複する構成についてはその説明を省略する。
[0065]
 図10(A)を参照すると、本発明の第2実施形態に係る液体噴射装置200は、液体室240のノズル141とレーザ光照射部となる光ファイバ121の先端122との間の周縁に液体室240外と連通する複数の吸気孔251,252,253,254を備えている。
[0066]
 この実施例では、4つの吸気孔251,252,253,254は、液体132が噴射される方向に沿って直列に並んでおり、それぞれの吸気孔は同じサイズとしているが、吸気孔のサイズ、数量はこの形態に限定されない。
[0067]
 次に図10(B)を参照すると、吸気孔253を除いて、吸気孔251,252,254には、パッチ260が貼付され、孔を閉鎖している。すなわち、吸気箇所として機能するのは吸気孔253だけとなる。
[0068]
 この態様によれば、癌の外科治療等に要求される破砕力に応じて、いずれかの吸気孔を選択できる。そして、不要な吸気孔についてはパッチ260(開閉機構)によって閉じた状態とすることができる。
[0069]
 吸気孔の開閉機構は、複雑な機構を要することはなく、例えば、テープ等で孔を塞ぐものでも良い。また、微妙な調整を行うために、選択された複数の孔を外部と連通させるように開いた状態とすることもできる。このように、この態様は、細かな治療要求を実現させることができる。
[0070]
 (第3実施形態)
 次に、図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図11は、本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置の側面図である。本発明の第3実施形態は、吸気孔の配置に係る実施形態であり、その他の構成については第1、2実施形態と同じであるため、以下の説明において、第1、2実施形態と重複する構成についてはその説明を省略する。
[0071]
 図11を参照すると、本発明の第3実施形態に係る液体噴射装置300は、液体室340のノズル141とレーザ光照射部となる光ファイバ(図示せず)の先端との間の周縁に液体室340外と連通する複数の吸気孔351,352,353,354を備えている。
[0072]
 この実施例では、3つの吸気孔351,352,353は、液体室340の周縁状に並んでおり、吸気孔354だけは、他の3つの吸気孔351,352,353に対し、液体132が噴射される方向に沿って光ファイバの先端に近い位置に配されている。なお、それぞれの吸気孔は同じサイズとしているが、吸気孔のサイズ、数量はこの形態に限定されない。
[0073]
 そして、吸気孔352を除いて、吸気孔351,353,354には、パッチ360が貼付され、孔を閉鎖している。すなわち、吸気箇所として機能するのは吸気孔352だけとなる。
[0074]
 この態様によれば、吸気孔を適宜選択することで、噴流出力の微妙な調整・制御をすることができる。また、液体室340の上下方向に対する姿勢に応じて、例えば上側の孔を開放状態にして、下側の孔を閉鎖状態にすることで、レーザ照射前の液体室340に液体が充填された状態において、液漏れを最小限にすることができる。そのため、レーザ照射前に常に液が液体室に充填された状態を維持することができる。
[0075]
 (第4実施形態)
 次に、図12を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。図12は、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置の側面図である。本発明の第4実施形態は、吸気孔の配置に係る実施形態であり、その他の構成については第1~3実施形態と同じであるため、以下の説明において、第1~3実施形態と重複する構成についてはその説明を省略する。
[0076]
 図12を参照すると、本発明の第4実施形態に係る液体噴射装置400は、液体室440のノズル141とレーザ光照射部となる光ファイバ(図示せず)の先端122との間に、液体の噴射方向(液体室440の長尺方向)に沿った液体室440と外環境とを連通させた開口となるスリット460を備えている。
[0077]
 そして、このスリット460は、平板461によって閉塞されている。平板461には、吸気孔451が形成されており、液体室440と外環境とを連通させているのは、この吸気孔451だけとなる。
[0078]
 平板461は、液体室440の長尺方向に移動自在としており、長尺方向に対する吸気孔451の位置を自在に選択することができる。この態様によれば、癌の外科治療等に要求される破砕力に応じて、長尺方向の適正な位置に吸気孔を設定するとともに微妙な調整を可能にしている。
[0079]
 (第5実施形態)
 次に、図13を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。図13は、本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置の側面図である。本発明の第5実施形態は、吸気孔の配置に係る実施形態であり、その他の構成については第1~4実施形態と同じであるため、以下の説明において、第1~4実施形態と重複する構成についてはその説明を省略する。
[0080]
 図13を参照すると、本発明の第5実施形態に係る液体噴射装置500は、液体室540のノズル141とレーザ光照射部となる光ファイバ(図示せず)の先端122との間に、液体の噴射方向(液体室540の長尺方向)に沿った液体室540と外環境とを連通させた開口となるスリット560を備えている。
[0081]
 そして、このスリット560は、長尺方向に並んだ二つの平板561、562によって閉塞されている。平板561、562は長尺方向に移動自在とされており、平板561、562の位置を適宜設定することで、吸気孔551を形成する。
[0082]
 この態様によれば、長尺方向に対する吸気孔451の位置を自在に選択することができることから、癌の外科治療等に要求される破砕力に応じて、長尺方向の適正な位置に吸気孔を設定するとともに微妙な調整を可能にしている。
[0083]
 (第6実施形態)
 次に、図14を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。図14は、本発明の第6実施形態に係る液体噴射装置の側面図である。本発明の第6実施形態は、吸気孔の配置に係る実施形態であり、その他の構成については第1~5実施形態と同じであるため、以下の説明において、第1~5実施形態と重複する構成についてはその説明を省略する。
[0084]
 図14を参照すると、本発明の第6実施形態に係る液体噴射装置600は、液体室640のノズル141に外環境とを連通させた開口となる通気口651を備えている。
[0085]
 この態様によれば、孔の位置をノズルの液体を噴出する開口に近づけることで、孔から引き込まれる気泡によって、レーザ照射後に射出される水塊を小さくすることができる。さらに、この小さくなった水塊が液体室やノズルを通りノズルの開口で噴出されるまでの距離は短くなり、水塊に負荷される配管抵抗(ずり抵抗)も小さくなる。この結果、水塊の噴出速度が上昇して、標的となる組織に衝突する瞬間の力が大きくなり、液体はより深い位置に到達さえることができる。
[0086]
 以上で説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、実施例で説明したように、液体室に屈曲部を設けたり、吸引装置を付加したりすることもできる。

符号の説明

[0087]
 100,200,300,400,500,600・・・液体噴射装置
 110・・・制御装置
 111・・・信号
 120・・・レーザ装置
 121・・・光ファイバ
 122・・・先端
 130・・・送液装置
 131・・・供給管
 140,240,340,440,540,640・・・液体室
 141・・・ノズル
 142・・・開口
 143・・・接続部
 145・・・屈曲部
 151,251,252,253,254,351,352,353,354,451,551,651・・・吸気孔
 170・・・吸引装置
 180・・・生体組織
 181・・・第1層
 182・・・第2層
 260,360・・・パッチ(開閉装置)
 460,560・・・スリット
 461,561,562・・・平板
 D・・・内径
 EG、BL・・・気泡
 WB・・・水塊
 DW・・・水滴
 CR・・・掘削
 PE・・・浸透

請求の範囲

[請求項1]
 液体の噴流を生成する液体噴射装置であって、
 筒状の液体室と、
 前記液体室の端部を開口して該液体室内の液体を外部に噴射するノズルと、
 前記液体室内に液体を供給する液体供給路と、
 前記液体室内にパルスレーザ光を照射して、該液体室内の液体を気化させるレーザ光照射部と、を備え、
 前記液体室または前記ノズルには、前記ノズルと前記レーザ光照射部までの間の周縁に前記液体室外と連通する孔が形成されていることを特徴とする液体噴射装置。
[請求項2]
 前記孔が、前記液体室または前記ノズルの長尺方向に複数形成されており、前記孔のそれぞれに開閉機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
[請求項3]
 前記孔が、前記液体室または前記ノズルの前記周縁方向に複数形成されており、前記孔のそれぞれに開閉機構を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体噴射装置。
[請求項4]
 前記孔の形状が、前記液体が気化するまで、前記液体の粘度・ぬれ性に応じて決定される表面張力によって、前記液体を前記液体室に保持するように設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12]

[ 図 13]

[ 図 14]