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明 細 書

発明の名称 濾過装置

技術分野

0001  

背景技術

0002   0003   0004   0005  

発明の概要

0006   0007   0008   0009   0010   0011   0012   0013   0014   0015   0016  

図面の簡単な説明

0017  

発明を実施するための形態

0018   0019   0020   0021   0022   0023   0024   0025   0026   0027   0028   0029   0030   0031   0032   0033   0034   0035   0036   0037   0038   0039   0040   0041   0042   0043   0044   0045   0046   0047   0048   0049   0050   0051   0052   0053   0054   0055   0056   0057   0058   0059   0060   0061   0062   0063   0064   0065   0066   0067   0068   0069   0070   0071   0072   0073   0074   0075   0076   0077   0078   0079   0080   0081   0082   0083   0084   0085   0086   0087   0088   0089   0090   0091   0092   0093   0094   0095   0096   0097   0098   0099   0100   0101   0102   0103   0104   0105   0106   0107   0108   0109   0110   0111   0112   0113   0114   0115   0116  

符号の説明

0117  

請求の範囲

1   2   3   4   5   6   7   8   9  

図面

1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   11   12A   12B   13   14   15   16   17   18  

明 細 書

発明の名称 : 濾過装置

技術分野

[0001]
 本発明は、原水を濾過して処理水を生成する濾過装置に関する。

背景技術

[0002]
 従来、発電所および海水を淡水化するプラント等の施設において、海水を取水する方法として、海底等に設けられた取水口から直接的に海水を取水する直接取水法が知られている。直接取水法では、海水と同時に海生生物等を含む懸濁物質を取り込むことになるため、海水の濁度増大時等の取水停止、および、取水口等への海生生物の付着等のおそれがある。そこで、近年、海底の砂層(以下、「砂濾過層」ともいう。)を透過した海水を取水する間接取水法も提案されている(特許第3899788号公報(文献1)および特許第5822623号公報(文献2)参照)。
[0003]
 一方、特許第4532297号公報(文献3)および特許第5345512号公報(文献4)では、淡水を処理する水処理施設の濾過装置において、長繊維束により淡水中の懸濁物質を捕捉する技術が提案されている。当該濾過装置では、陸上に設置された濾過塔の内部空間に長繊維束が配置され、密閉された濾過塔の上方からポンプにより圧送された原水が供給される。長繊維束は、原水の流れによって屈曲して縮んだ状態となり、当該長繊維束を透過する原水中の懸濁物質が、長繊維束の空隙部等により捕捉される。
[0004]
 ところで、文献1および文献2のように海底の砂濾過層を介した間接取水法では、海底を掘削して掘削部に砂濾過層を形成し、当該砂濾過層に取水配管を埋め込む必要がある。また、砂濾過層を介した間接取水法では、濾過速度が比較的遅い(例えば、線速度(LV)100m/日)ため、海底に大面積の砂濾過層を形成する必要がある。このため、取水設備が大型化および複雑化し、取水設備の製造コストが増大するおそれがある。さらに、砂濾過層が設置される海域の海象環境が厳しい場合、砂濾過層を形成する砂が流出するおそれがある。
[0005]
 一方、文献3および文献4の濾過装置では、長繊維束に捕捉された懸濁物質を除去する際に、長繊維束の下方から水を逆流させて長繊維束の洗浄が行われる。しかしながら、密閉された濾過塔から懸濁物質を排出する必要があるため、当該懸濁物質を系外へと(すなわち、装置の外部へと)短時間で排出することが困難である。また、密閉された濾過塔から懸濁物質を排出するための構成が必要となり、濾過装置の構造が複雑化するおそれがある。なお、文献3および文献4では、濾過装置による河川水や湖沼水の濾過については記載されているが、海水の濾過については想定されていない。

発明の概要

[0006]
 本発明は、原水を濾過して処理水を生成する濾過装置に向けられており、簡素な構造で原水の濾過を実現することを目的としている。
[0007]
 本発明に係る濾過装置は、上下方向に延びる筒状であり、外部へと開放された上部開口を有する筒部と、前記筒部の内部空間を上下に分割するとともに液体が通過可能な隔離部と、前記隔離部の上側の空間である上部空間に収容される繊維濾材であり、濾過時に前記隔離部上に圧縮されて前記上部開口から前記内部空間に流入した原水中の懸濁物質を捕捉する繊維部と、濾過時に前記繊維部を通過した処理水を前記隔離部の下側の空間である下部空間から送出する送出部とを備える。当該濾過装置によれば、簡素な構造で原水の濾過を実現することができる。
[0008]
 本発明の一の好ましい実施の形態では、前記上部開口が外部の原水面よりも下方に位置した状態で、前記筒部が原水中に配置される。
[0009]
 本発明の他の好ましい実施の形態では、前記送出部が、前記下部空間から処理水を吸引するポンプを備える。
[0010]
 より好ましくは、前記下部空間から送出された処理水を貯溜する処理水貯溜部をさらに備え、前記送出部が、前記筒部の前記下部空間と前記ポンプとを接続する第1配管と、前記ポンプと前記処理水貯溜部とを接続する第2配管と、前記第1配管上に設けられる第1切替部と、前記第1切替部と前記処理水貯溜部とを接続する第3配管と、前記第2配管上に設けられる第2切替部と、前記第2切替部と前記筒部の前記下部空間とを接続する第4配管とをさらに備え、原水の濾過時には、前記ポンプが駆動されることにより、前記下部空間の処理水が、前記第1配管および前記第2配管を介して前記処理水貯溜部へと供給され、前記隔離部の下側から上側へと処理水を供給して前記繊維部を洗浄する際には、前記第1切替部および前記第2切替部が切り替えられて前記ポンプが駆動されることにより、前記処理水貯溜部の処理水が、前記第3配管、前記第1切替部、前記第1配管、前記第2配管、前記第2切替部および前記第4配管を介して前記下部空間へと供給される。
[0011]
 本発明の他の好ましい実施の形態では、前記上部開口を覆うとともに液体が通過可能な蓋部が設けられる。
[0012]
 本発明の他の好ましい実施の形態では、前記繊維部が、前記上部空間において下端部を前記隔離部または前記筒部に固定された状態で上下方向に延びる繊維濾材である。
[0013]
 より好ましくは、前記隔離部と伸張状態の前記繊維部の上端との間の上下方向の距離が、前記隔離部と前記上部開口との間の上下方向の距離の80%以上かつ120%以下である。
[0014]
 本発明の他の好ましい実施の形態では、前記繊維部が、複数の繊維濾材要素を含み、前記複数の繊維濾材要素が、前記筒部の上下方向を向く中心軸を中心として点対称に配置される。
[0015]
 本発明の他の好ましい実施の形態では、複数の給気口から前記下部空間へとガスを送出し、前記隔離部の下側から前記繊維部にガスを供給して前記繊維部を洗浄する給気部をさらに備え、前記繊維部が、複数の繊維濾材要素を含み、前記複数の給気口が、伸張状態の前記繊維部における前記複数の繊維濾材要素の鉛直下方にそれぞれ位置する。
[0016]
 上述の目的および他の目的、特徴、態様および利点は、添付した図面を参照して以下に行うこの発明の詳細な説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

[0017]
[図1] 一の実施の形態に係る濾過装置の構成を示す図である。
[図2] 濾過装置の一部を示す縦断面図である。
[図3] 濾過装置の一部を示す縦断面図である。
[図4] 濾過装置1の一部を示す平面図である。
[図5] 筒部の下部空間を示す底面図である。
[図6] 濾過処理の流れを示す図である。
[図7] 濾過装置の送出部における海水の流れを示す図である。
[図8] 濾過装置の送出部における海水の流れを示す図である。
[図9] 濾過装置の送出部における海水の流れを示す図である。
[図10] 実験装置を示す側面図である。
[図11] 実験装置の筒部の下部空間を示す底面図である。
[図12A] 実験結果を示す図である。
[図12B] 実験結果を示す図である。
[図13] 他の濾過装置の一部を示す縦断面図である。
[図14] 他の濾過装置の一部を示す縦断面図である。
[図15] 他の濾過装置の構成を示す図である。
[図16] 他の濾過装置の一部を示す縦断面図である。
[図17] 他の濾過装置の一部を示す縦断面図である。
[図18] 他の濾過装置の構成を示す図である。

発明を実施するための形態

[0018]
 図1は、本発明の一の実施の形態に係る濾過装置1の構成を示す図である。濾過装置1は、原水を濾過することにより、原水中の懸濁物質を除去して処理水(すなわち、濾過処理済みの水)を生成する装置である。濾過装置1により濾過される原水は、海水であってもよく、淡水(例えば、河川水、湖沼水、水道水または下水処理水)であってもよい。図1に示す例では、濾過装置1の後述する筒部2は海中に設置され、濾過装置1により濾過される原水は海水である。
[0019]
 図2および図3はそれぞれ、濾過装置1の一部を示す縦断面図である。図2は、濾過装置1において原水の濾過が行われている濾過時の状態を示す。図3は、濾過装置1において原水の濾過が行われていない非濾過時の状態を示す。図4は、非濾過時の濾過装置1の一部を示す平面図である。図4では、後述する長繊維束要素41を実際よりも大きく描き、長繊維束要素41の数を実際よりも少なく描いている。また、図3では、断面よりも奥側の一部の長繊維束要素41を併せて描いている。
[0020]
 濾過装置1は、筒部2と、隔離部3と、繊維部4と、送出部5と、処理水貯溜部6とを備える。筒部2の全体は海中(すなわち、原水中)に配置される。隔離部3および繊維部4は、筒部2の内部空間20に配置される。処理水貯溜部6は、例えば、筒部2が配置された海域近傍の陸上に配置される。処理水貯溜部6は、好ましくは、筒部2よりも高い位置(すなわち、重力方向において上側)に配置される。送出部5は、筒部2と処理水貯溜部6とを接続する。
[0021]
 筒部2は、上下方向に延びる略筒状の部材である。図1に示す例では、筒部2は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。当該上下方向は、重力方向とおよそ一致する。筒部2の上下方向に垂直な断面の形状は、例えば、略真円形であってもよく、略楕円形または略長円形であってもよい。
[0022]
 筒部2は、側壁部21と、底部22とを備える。側壁部21は、上下方向に延びる略円筒状の部位である。底部22は、側壁部21の下端を閉塞する略円板状の部位である。側壁部21の上端は閉塞されておらず、側壁部21の上端縁により囲まれた領域である上部開口23が形成されている。換言すれば、筒部2は、有底筒状であり、外部(すなわち、筒部2の周囲の海中)へと直接的に開放された上部開口23を有する。
[0023]
 図1に示す例では、筒部2の上下方向に垂直な断面の直径は、上下方向の全長に亘って略一定である。換言すれば、筒部2の上記断面の面積は、上下方向の全長亘って略一定である。筒部2の直径は、例えば約2mである。筒部2の高さは、例えば約1.6mである。なお、筒部2の上記断面の面積は、必ずしも一定である必要はなく、例えば、側壁部21の上端から下側に向かうに従って漸次減少または漸次増大してもよい。換言すれば、筒部2の側壁部21は、上下方向に対してある程度傾斜していてもよい。
[0024]
 図1に示す例では、筒部2は、底部22の下面が海底に接触した状態で設置される。筒部2の上部開口23は、外部の海面(すなわち、原水面)よりも下方に位置する。筒部2の内部空間20は、上部開口23から流入した原水により上部開口23まで満たされている。詳細には、海面と上部開口23との間の水頭差により、筒部2の周囲の原水が、上部開口23を介して筒部2の内部空間20に流入する。筒部2は、必ずしも海底に載置される必要はなく、側壁部21の下部および底部22を海底中に埋め込んだ状態で設置されてもよい。あるいは、筒部2は、岸壁から吊り下げられて底部22が海底よりも上側に位置する状態で海中に設置されてもよい。
[0025]
 隔離部3は、筒部2の内部空間20の下部(すなわち、筒部2の上下方向の中央部よりも下側)において、上下方向に略垂直に広がる部材である。隔離部3は、筒部2により支持され、筒部2の内部空間20を上下に分割する。隔離部3は、筒部2の上下方向に垂直な断面の略全体に亘って広がる。隔離部3は、液体が通過可能な部材である。隔離部3は、例えば、上下方向に貫通する複数の貫通孔を有する板状部材である。隔離部3としては、例えば、グレーチング等の格子状の部材、または、多数の貫通孔が略均等に分散配置された板状部材が利用される。
[0026]
 繊維部4は、筒部2の内部空間20のうち、隔離部3の上側の空間(以下、「上部空間201」と呼ぶ。)に収容される繊維濾材である。具体的には、繊維部4は長繊維束である。繊維部4の下端部は、隔離部3に固定される。換言すれば、繊維部4の下端部は、隔離部3を介して筒部2に間接的に固定される。なお、繊維部4の下端部は、筒部2に直接的に固定されてもよい。濾過装置1において原水の濾過が行われていない非濾過時には、繊維部4は、下端部が隔離部3または筒部2に固定された状態で上下方向に延びる。非濾過時における繊維部4は、圧縮されていない伸張状態(すなわち、非圧縮状態)である。
[0027]
 隔離部3と伸張状態の繊維部4の上端との間の上下方向の距離は、好ましくは、隔離部3と上部開口23との間の上下方向の距離の80%以上かつ120%以下であり、さらに好ましくは、90%以上かつ110%以下である。図3に示す例では、伸張状態の繊維部4の上端は、筒部2の上部開口23と上下方向において略同じ位置に位置する。なお、図3に示す例では、伸張状態の繊維部4の上端は、上下方向において上部開口23と厳密に同じ位置に位置する必要はなく、実質的に同じ位置に位置していればよい。
[0028]
 濾過装置1における原水の濾過時には、繊維部4は、筒部2の内部空間20を下方へと流れる原水により折れ曲がり、隔離部3上に圧縮(すなわち、圧密)される。そして、圧縮状態の繊維部4により、筒部2の上部開口23から内部空間20に流入した原水中の懸濁物質が捕捉され、原水中から懸濁物質が除去される。以下の説明では、濾過時に繊維部4を通過して懸濁物質が除去された水を「処理水」と呼ぶ。懸濁物質とは、水中に浮遊する粒子径2mm以下の不溶解性物質であり、浮遊物質とも呼ばれる。懸濁物質は、各種無機物または有機物であり、例えば、浮遊砂や海生生物を含む。
[0029]
 繊維部4は、複数の繊維濾材要素である長繊維束要素41を含む。伸張状態の長繊維束要素41は、上下方向に延びる複数の長繊維を柱状に束ねた部材である。伸張状態の長繊維束要素41の長さは、例えば、50cm~200cmであり、筒部2の高さに合わせる等して適宜決定される。長繊維束要素41の平面視における形状は、例えば略円形である。長繊維束要素41の平面視における直径は、例えば、30~100mmである。長繊維束要素41の平面視における形状は、例えば、略真円形であってもよく、略楕円形または略長円形であってもよい。長繊維束要素41の乾燥重量(以下、単に「重量」という。)は、例えば50~1000gである。平面視における単位面積当たりの長繊維束要素41の重量は、例えば30~90kg/m である。
[0030]
 図4に示す例では、複数の長繊維束要素41は、筒部2の中心軸J1を中心として同心円状に配置される。当該同心円の各円周上に配置される複数の長繊維束要素41は、略等角度間隔に配置される。換言すれば、複数の長繊維束要素41は、中心軸J1を中心として、平面視において略点対称に配置される。また、一の円周上に配置される長繊維束要素41と、隣接する円周上に配置される長繊維束要素41との間の最短距離は、いずれの円周上の長繊維束要素41についてもおよそ同じであることが好ましい。さらに、最外周に配置される複数の長繊維束要素41は、筒部2の側壁部21に接触することが好ましい。長繊維束要素41の数は、図4に示すものよりも多くても少なくてもよい。
[0031]
 長繊維束要素41は、多数の長繊維(すなわち、糸)を束ねて下端部にて互いに固定することにより形成される。長繊維束要素41を構成する長繊維は、例えば、ポリエステル製のマルチフィラメントである。当該長繊維の繊維径およびフィラメント数は、例えば、2200dtex(デシテックス)および432本である。当該長繊維には、例えば捲縮加工が施されている。当該長繊維の捲縮数は、例えば4~7個/25mmである。
[0032]
 複数の長繊維束要素41の下端部はそれぞれ、接続部材42を介して隔離部3に間接的に固定される。接続部材42は、柔軟で容易に変形可能な紐状の部材である。伸張状態の繊維部4では、長繊維束要素41が上下方向に延び、接続部材42も上下方向に延びる。これにより、長繊維束要素41の下端部は、隔離部3から上方に離間する。なお、繊維部4では、接続部材42が省略され、長繊維束要素41の下端部が、隔離部3または筒部2に直接的に固定されてもよい。
[0033]
 濾過装置1では、原水の濾過時に繊維部4を通過した処理水(すなわち、繊維部4により懸濁物質が除去された海水)は、隔離部3を通過し、隔離部3の下側の空間である下部空間202に流入する。送出部5は、下部空間202内の処理水を処理水貯溜部6へと送出する。処理水貯溜部6は、送出部5により下部空間202から送出された処理水を貯溜する。
[0034]
 送出部5は、送出ポート50と、第1配管51と、第2配管52と、第3配管53と、第4配管54と、第5配管55と、ポンプ56と、第1切替部51aと、第2切替部52aと、第3切替部51bと、第4切替部52bとを備える。送出ポート50は、筒部2の下部空間202に設けられ、下部空間202内の処理水を外部へと導く。送出ポート50は、例えば、側面に複数の開口が設けられたパイプである。第1配管51は、送出ポート50に接続され、筒部2の下部空間202とポンプ56とを接続する。第2配管52は、ポンプ56と処理水貯溜部6とを接続する。濾過装置1における原水の濾過時には、ポンプ56が駆動されて、第2配管52側へと処理水が圧送されることにより、筒部2の下部空間202から処理水が吸引される。ポンプ56により吸引された処理水は、第1配管51および第2配管52を介して処理水貯溜部6へと供給される。また、ポンプ56による吸引により、筒部2の内部空間20において上側から下側に向かう海水の流れが形成される。
[0035]
 第1切替部51aおよび第3切替部51bは、第1配管51上に設けられる。第3切替部51bは、第1切替部51aと送出ポート50との間に配置される。第3配管53は、第1切替部51aと処理水貯溜部6とを接続する。第2切替部52aおよび第4切替部52bは、第2配管52上に設けられる。第4切替部52bは、ポンプ56と第2切替部52aとの間に配置される。第4配管54は、第2切替部52aと第3切替部51bとを接続する。換言すれば、第4配管54は、第1配管51を介して、第2切替部52aと筒部2の下部空間202とを接続する。なお、第4配管54は、第1配管51を介することなく、直接的に筒部2の下部空間202に接続されてもよい。第5配管55は、第4切替部52bに接続される。第5配管55の第4切替部52b側とは反対側の端部は、筒部2の外部において、海中または海面よりも上側に配置される。第5配管55の当該端部は、好ましくは、筒部2の鉛直上方を避けた位置に配置される。
[0036]
 図5は、筒部2の下部空間202を示す底面図である。図5では、伸張状態の複数の長繊維束要素41を二点鎖線にて併せて描いている。筒部2の下部空間202には、繊維部4の洗浄に利用される給気部7が配置される。給気部7は、下部空間202の横断面(すなわち、上下方向に垂直な断面)の略全体に広がる散気管71を備える。散気管71は、径方向に延びる主管と、主管から側方に延びる複数の枝管とを備える。散気管71には、複数の給気口72が設けられる。散気管71は、陸上に配置されたガス供給源(図示省略)に接続されており、ガス供給源から供給されたガスを、複数の給気口72から下部空間202へと送出する。散気管71から下部空間202へと送出されたガスは、隔離部3の下側から上部空間201へと供給され、繊維部4の洗浄に利用される。当該ガスは、例えば空気である。散気管71からは、空気以外のガスが供給されてもよい。繊維部4の洗浄の詳細については後述する。
[0037]
 複数の給気口72は、例えば、散気管71の下端部(すなわち、隔離部3とは反対側の端部)に配置される。また、複数の給気口72は、例えば、伸張状態の繊維部4における複数の長繊維束要素41の鉛直下方にそれぞれ位置する。長繊維束要素41の下端と、当該長繊維束要素41の鉛直下方に位置する給気口72との間の上下方向の距離は、好ましくは100~500mmであり、より好ましくは200~300mmである。
[0038]
 次に、濾過装置1による原水の濾過処理について、図6を参照しつつ説明する。また、図7ないし図9は、濾過装置1の送出部5における海水の流れを示す図である。図7ないし図9では、海水の流れる経路を太線にて示す。濾過装置1の駆動前の状態では、筒部2の内部空間20は海水によって満たされており、内部空間20内における海水の流れはない。また、繊維部4の複数の長繊維束要素41は、図3に示すように、伸張状態で上下方向に延びている。
[0039]
 濾過装置1の駆動が開始される状態では、図7に示すように、送出部5において、第1切替部51aおよび第3切替部51bにより、筒部2の下部空間202とポンプ56とが第1配管51を介して接続されており、第4配管54は閉鎖されている。また、第4切替部52bにより、ポンプ56と処理水貯溜部6との間で第2配管52が閉鎖され、ポンプ56と第5配管55とが接続されている。
[0040]
 濾過装置1においてポンプ56の駆動が開始されると、筒部2の下部空間202内の海水が、送出ポート50および第1配管51を介して吸引される。この時点での下部空間202内の海水は、繊維部4により濾過された処理水ではなく、懸濁物質を含んでいる。ポンプ56により下部空間202から吸引された海水は、第2配管52の一部、第4切替部52bおよび第5配管55を介して海へと戻される。換言すれば、ポンプ56によって吸引した海水を処理水貯溜部6に貯溜することなく海に捨てる、いわゆる捨て水処理が行われる。
[0041]
 また、筒部2の内部空間20では、ポンプ56の駆動により下向きの海水の流れが形成され、当該流れにより、繊維部4が隔離部3上に圧縮される。繊維部4の圧縮が行われる際には、ポンプ56により吸引される海水の流量(以下、「取水流量」という。)は、例えば、線速度(LV)1000~2000m/日であり、本実施の形態では、約LV1500m/日である。そして、圧縮状態の繊維部4により、原水中の懸濁物質が除去されて処理水が生成される。処理水は、隔離部3を通過して筒部2の下部空間202に流入する。
[0042]
 濾過装置1では、繊維部4の圧縮が完了するまでの間、および、繊維部4の圧縮完了後の所定の時間、上述の捨て水処理が行われる(ステップS11)。圧縮完了時における繊維部4の初期損失水頭は、取水流量がLV1000m/日の場合、約0.6m以上であることが好ましい。また、ステップS11に要する時間は、例えば、約30秒~約1分である。濾過装置1では、繊維部4の圧縮完了と同時に捨て水処理を終了してもよいが、繊維部4の圧縮完了後にも捨て水処理をすることにより、濾過された処理水により捨て水処理の経路(例えば、送出ポート50、第1配管51、第2配管52および第5配管55)を洗浄することができる。その結果、当該経路における海生生物の付着等を防止または抑制することができる。
[0043]
 繊維部4の圧縮および捨て水処理が終了すると、図8に示すように、第4切替部52bが切り替えられることにより、ポンプ56と処理水貯溜部6とが第2配管52を介して接続され、第5配管55は閉鎖される。また、第2切替部52aにより第4配管54は閉鎖されている。これにより、圧縮状態の繊維部4により原水が濾過されて生成された処理水が、筒部2の下部空間202から、送出ポート50、第1配管51および第2配管52を介して処理水貯溜部6へと供給されて貯溜される(ステップS12)。ステップS12の取水処理時における取水流量は、例えば、LV500~2000m/日であり、本実施の形態では、約LV1000m/日である。濾過装置1では、例えば、取水処理の開始から所定時間の経過後、ポンプ56による吸引が停止されて取水処理が停止される。あるいは、繊維部4の損失水頭を圧力計等により測定しておき、例えば、当該損失水頭が2m以上になった場合に取水処理が停止される。
[0044]
 取水処理が停止されると、図9に示すように、第1切替部51aが切り替えられることにより、ポンプ56と送出ポート50との間で第1配管51が閉鎖され、ポンプ56と第3配管53とが接続される。また、第2切替部52aが切り替えられることにより、ポンプ56と第4配管54とが、第2配管52の一部を介して接続される。さらに、第3切替部51bが切り替えられることにより、第4配管54と第1配管51とが接続される。
[0045]
 そして、ポンプ56が駆動されることにより、処理水貯溜部6に貯溜されている処理水が、第3配管53を介して吸引され、第3配管53、第1切替部51a、第1配管51のポンプ56側の部位、ポンプ56、第2配管52、第4切替部52b、第2切替部52a、第4配管54、第3切替部51b、第1配管51の筒部2側の部位および送出ポート50を介して、筒部2の下部空間202に供給される。下部空間202への処理水の供給流量は、例えば、LV500~2000m/日であり、本実施の形態では、約LV1000m/日である。
[0046]
 下部空間202に供給された処理水は、筒部2の内部空間20において、隔離部3を通過して上部空間201へと流れる。これにより、筒部2の内部空間20に上向きの処理水の流れが形成される。その結果、繊維部4が受ける流体力により、圧縮されていた各長繊維束要素41が上方へと延び、図3に示すように、伸張状態(すなわち、伸張状態)となる。筒部2の上部開口23に到達した海水は、内部空間20から外部へと流出する。
[0047]
 続いて、下部空間202への処理水の供給が継続されている状態で、上述のガス供給源から散気管71を介して下部空間202に空気が供給される。下部空間202への空気の供給流量は、例えば、LV2~20m/分であり、本実施の形態では約LV9m/分である。ガス供給部から散気管71へのガスの供給は、例えば、パルス状に(すなわち、間欠的に)行われる。ガス供給部から散気管71へのガスの供給は、例えば、連続的に行われてもよい。散気管71の複数の給気口72(図5参照)から送出された空気の気泡は、隔離部3を通過して上部空間201に供給される。上部空間201では、上向きに流れる処理水および空気の気泡(すなわち、気液混相流)により、繊維部4の洗浄が行われる。具体的には、当該気液混相流により、複数の長繊維束要素41が揺動され、各長繊維束要素41に付着している懸濁物質が洗い流される。長繊維束要素41から除去された懸濁物質は、気液混相流により上方へと運ばれ、筒部2の上部空間201から上部開口23を介して外部へと排出されて拡散する。
[0048]
 下部空間202への空気の供給開始から所定の時間が経過すると、処理水の供給は継続された状態で、空気の供給が停止される。上部空間201では、上向きに流れる処理水により、長繊維束要素41に付着している空気の気泡が、長繊維束要素41から除去されて筒部2の外部へと排出される。その後、ポンプ56が停止され、下部空間202への処理水の供給が停止されることにより、繊維部4の洗浄処理が終了する(ステップS13)。
[0049]
 上述の洗浄処理では、処理水の下部空間202への供給を開始し、処理水の供給開始から約30秒後に、下部空間202への空気の供給を開始する。そして、処理水および空気の供給を、例えば約8分間以上継続した後に、空気の供給を停止し、最後に処理水の供給を停止する。濾過装置1では、洗浄処理の方法や処理時間は適宜変更されてよい。例えば、下部空間202に対する空気の供給は、処理水の供給開始と同時に開始されてもよい。また、下部空間202に対する空気の供給停止と同時に、処理水の供給も停止されてもよい。また、空気以外のガスが、散気管71から下部空間202に供給されてもよい。
[0050]
 濾過装置1では、上述のステップS11~S13が繰り返されることにより、繊維部4の目詰まりを防止しつつ、処理水の取得が行われる。取得された処理水は、例えば、海水淡水化プラント、発電所、漁港、水族館または水産加工施設等で利用される。なお、繊維部4の汚れの程度によっては、ステップS12の取水処理と次のステップS11の捨て水処理との間で、ステップS13の洗浄処理が複数回行われてもよい。
[0051]
 次に、上述の濾過装置1の性能を確認するために行った実験について説明する。図10は、当該実験に使用された実験装置91を示す側面図である。実験装置91は陸上に設置した。実験装置91は、筒部92と、隔離部93と、繊維部94と、送出部95と、処理水貯溜部96と、給気部97と、原水貯溜部98と、洗浄排水貯溜部99とを備える。実験装置91の筒部92、隔離部93、繊維部94、送出部95、処理水貯溜部96および給気部97は、図1に示す濾過装置1の筒部2、隔離部3、繊維部4、送出部5、処理水貯溜部6および給気部7にそれぞれ対応する。
[0052]
 図10に示す筒部92は、内径317mm、高さ2.5mの円筒状の部材である。隔離部93は、筒部92の下端部から0.5m上側に配置される。すなわち、筒部92の内部空間920のうち、隔離部93の上側の高さ2mの部位が上部空間9201であり、隔離部93の下側の高さ0.5mの部位が下部空間9202である。上部空間9201には、繊維部94が配置される。
[0053]
 筒部92の下部空間9202には、送出部95の送出ポート950、および、給気部97の散気管971が配置される。送出ポート950は、処理水貯溜部96および原水貯溜部98に選択的に接続可能である。散気管71は、図示省略のガス供給部に接続される。図11は、図5と同様に、筒部92の下部空間9202を示す底面図である。散気管971の複数の給気口972は、散気管971の下端部に配置される。複数の給気口972は、後述する実施例2における伸張状態の複数の長繊維束要素941の鉛直下方にそれぞれ位置する。図11では、複数の長繊維束要素941を二点鎖線にて示す。複数の長繊維束要素941の下端部は、隔離部93に固定される。
[0054]
 筒部2の上部には、原水貯溜部98および洗浄排水貯溜部99が接続される。原水貯溜部98に貯溜されている原水は、マリンシルトと水道水とを所定の割合にて混合したものである。原水の濁度は、海水の平均濁度に合わせて約12NTU(Nephelometric Turbidity Unit)に調整した。また、原水中の粒子径1μm~2mmの懸濁物質(すなわち、SS(Suspended Solids))の濃度は約15mg/L(リットル)に調整した。図10では、洗浄処理に使用される配管を、取水処理に使用される配管よりも細い線にて示す。また、捨て水処理に使用される配管は図示を省略している。
[0055]
 実験装置91では、筒部92の上部から原水が供給され、水頭差によって下方へと流れることにより、繊維部94が隔離部93上に圧縮される。繊維部94の圧縮の際の取水流量は、約LV1500m/日であり、繊維部94の圧縮に要する時間は約30秒~1分である。繊維部94の圧縮が終了するまでの間に送出ポート950を介して下部空間9202から送出された水は、処理水貯溜部96には貯溜されず、原水貯溜部98に戻される。すなわち、捨て水処理が行われる。
[0056]
 続いて、圧縮状態の繊維部94により原水が濾過されて生成された処理水が、送出ポート950を介して処理水貯溜部96へと供給されて貯溜される。処理水の取水処理の際の取水流量は、約LV1000m/日である。また、圧縮完了時における繊維部94の初期損失水頭は、取水流量がLV1000m/日の場合、約0.6m以上である。
[0057]
 図12Aおよび図12Bは、実験装置91において、繊維部94の複数の長繊維束要素941の形状および配置を変更して処理水の取水を行った結果を示す図である。図12Aおよび図12Bでは、実施例1~8について、長繊維束要素941の条件、濁度除去率およびSS除去率を示す。なお、SS除去率は、一部の実施例についてのみ測定した。
[0058]
 濁度除去率は、原水および処理水の濁度(NTU)を濁度計により測定し、原水と処理水との濁度差を原水の濁度で除算することにより求めた。当該濁度計として、ハンナインスツルメンツジャパン株式会社製のHI98703を利用した。SS除去率は、原水および処理水に含まれる粒子径1μm~2mmの懸濁物質の濃度(mg/L)を、「JIS-K0102」で定められている方法により測定し、原水および処理水に含まれる懸濁物質の濃度の差を、原水に含まれる懸濁物質の濃度で除算することにより求めた。
[0059]
 実施例1~8では、全長1.5mの多数の長繊維をまとめ、長手方向の中央部近傍において樹脂製の結束バンドで束ねたものを、当該結束バンド近傍で2つ折りにすることにより、2束の長繊維束要素941を形成している。当該2つの長繊維束要素941は、当該結束バンド近傍にて隔離部93に固定される。実施例1~6,8では、結束バンドを長繊維の長手方向の中央に位置させているため、繊維部94の複数の長繊維束要素941の長さは約750mmである。実施例7では、結束バンドの位置を当該中央から少しずらしているため、結束バンドの一方側の長繊維束要素941の長さは約500mmであり、他方側の長繊維束要素941の長さは約1000mmである。換言すれば、実施例1~6,8では、結束バンドの両側の2つの長繊維束要素941がU型となっており、実施例7では、結束バンドの両側の2つの長繊維束要素941がJ型となっている。
[0060]
 実施例1は、図1に示す濾過装置1と同様に、複数の長繊維束要素941を同心円配置した例である。実施例1では、長繊維束要素941の数は21束であり、各長繊維束要素941の重量は約200gである。実施例1の濁度除去率およびSS除去率はそれぞれ、約80%および約98%であった。
[0061]
 実施例2は、複数の長繊維束要素941を格子配置した例である。実施例2では、長繊維束要素941の数は21束であり、各長繊維束要素941の重量は約200gである。実施例2の濁度除去率は、約83%であった。
[0062]
 実施例3は、複数の長繊維束要素941を最密充填配置(すなわち、六方最密配置)した例である。実施例3では、長繊維束要素941の数は27束であり、各長繊維束要素941の重量は約200gである。実施例3の濁度除去率およびSS除去率はそれぞれ、約85%および約100%であった。
[0063]
 実施例4は、複数の長繊維束要素941を最密充填配置した他の例である。実施例4では、長繊維束要素941の数は31束であり、各長繊維束要素941の重量は約200gである。実施例4の濁度除去率は、約82%であった。
[0064]
 実施例5は、複数の長繊維束要素941を実施例4と同様に最密充填配置した後、中央部および端部の長繊維束要素941を除いた例である。実施例5では、長繊維束要素941の数は22束であり、各長繊維束要素941の重量は約200gである。実施例5の濁度除去率は、約84%であった。
[0065]
 実施例6は、複数の長繊維束要素941を格子配置した他の例である。実施例6では、長繊維束要素941の数は16束であり、各長繊維束要素941の重量は約200gである。実施例6では、各長繊維束要素941の重量を実施例1~5と同様としたまま(すなわち、長繊維束要素941を構成する長繊維の数を変更することなく)、伸張状態の各長繊維束要素941を平面視において広げている。換言すれば、各長繊維束要素941の長繊維は、平面視において実施例1~5よりも粗である。実施例6の濁度除去率およびSS除去率はそれぞれ、約78%および約94%であった。
[0066]
 実施例7は、複数の長繊維束要素941を実施例3と同様に最密充填配置した他の例である。実施例7では、上述のようにJ型の長繊維束要素941が配置される。長繊維束要素941の数は27束であり、複数の長繊維束要素941の平均重量は約200gである。実施例7の濁度除去率およびSS除去率はそれぞれ、約87%および約100%であった。
[0067]
 実施例8は、複数の長繊維束要素941を同心円配置した他の例である。実施例8の各長繊維束要素941は、実施例1の4つの長繊維束要素41を1つに束ねた大型束である。実施例8では、長繊維束要素941の数は7束であり、各長繊維束要素941の重量は約800gである。実施例1の濁度除去率およびSS除去率はそれぞれ、約88%および約100%であった。
[0068]
 実施例1~6を比較すると、長繊維束要素941の数が16束から27束まで増えるに従って濁度除去率も増加したが、長繊維束要素941の数が31束(実施例4)になると濁度除去率が減少した。また、長繊維束要素41の数が最小の16束である実施例6を除き、実施例1~5では、濁度除去率は80%以上であった。この点から、長繊維束要素941の数を21~27束とすることにより、80%以上の高い濁度除去率を好適に実現することができることが分かる。換言すれば、80%以上の高い濁度除去率を好適に実現するためには、平面視における単位面積当たりの長繊維束要素41の重量は、50~70kg/m であることが好ましいことが分かる。
[0069]
 また、実施例1~8のうち、SS除去率を測定した実施例1,3,6~8では、長繊維束要素41の数、形状、大きさに関わらず、SS除去率(すなわち、粒子径1μm~2mmの懸濁物質の除去率)は90%以上であった。また、処理水のSSの濃度は、1mg/L未満であり、限外濾過膜(すなわち、UF膜)に対する供給水に通常要求されるSS上限濃度10mg/L未満であった。なお、実施例1について、原水のSSの濃度を上述の例よりも大きい約100mg/Lとした場合であっても、SS除去率は約94%であり、処理水のSSの濃度は10mg/L未満であった。
[0070]
 次に、実験装置91を用いて、実施例1,8の繊維部94の洗浄実験を行った。実験に先立ち、メタン発酵汚泥を乾燥重量で100ppmとなるように水道水と混合したものを原水として利用し、上述の濾過実験と同様の手法で20分間濾過して長繊維束要素941を汚染した。その後、処理水貯溜部96から下部空間9202の送出ポート950へと、約LV1000m/日で処理水を供給した。これにより、複数の長繊維束要素941が伸張状態となる。全ての長繊維束要素941が伸張状態となるまでに要する時間は、下部空間9202への処理水の供給開始から約20~30秒であった。その後、散気管71から下部空間202へと空気が送出され、上向きに流れる処理水および空気の気泡(すなわち、気液混相流)により、繊維部94の洗浄を行った。洗浄に利用された処理水(すなわち、洗浄排水)は、繊維部94よりも上方の位置にて筒部2から排出され、洗浄排水貯溜部99に貯溜される。
[0071]
 実施例8では、空気の送出開始から16分間の洗浄を行った結果、筒部92の中央部に配置された長繊維束要素941にメタン発酵汚泥による汚染が少し残留しており、当該長繊維束要素941の周囲に配置された長繊維束要素941の汚染は除去された。空気の供給流量は、約LV3.7m/分であった。
[0072]
 実施例1では、空気の送出開始から16分間の洗浄を行った結果、全ての長繊維束要素941において、メタン発酵汚泥による汚染が除去された。空気の供給流量は、約LV6m/分であった。濾過時の濁度除去率およびSS除去率、並びに、洗浄処理の結果から、実施例1の長繊維束要素941の配置が好ましいことが分かる。また、筒部92から排出される洗浄排水の濁度の経時変化を測定した結果、空気の送出開始から約2分後には、長繊維束要素941の汚染は約85%以上除去されており、空気の送出開始から約8分が経過した時点以降は、洗浄排水の濁度は略一定である。このことから、洗浄処理における空気の送出時間は、2分以上かつ8分以下であることが好ましいことが分かる。
[0073]
 以上に説明したように、濾過装置1は、筒部2と、隔離部3と、繊維部4と、送出部5とを備える。筒部2は、上下方向に延びる筒状であり、外部へと開放された上部開口23を有する。隔離部3は、筒部2の内部空間20を上下に分離する。隔離部3は、液体が通過可能である。繊維部4は、隔離部3の上側の空間である上部空間201に収容される繊維濾材である。繊維部4は、濾過時に隔離部3上に圧縮されて、上部開口23から内部空間20に流入した原水中の懸濁物質を捕捉する。送出部5は、濾過時に繊維部4を通過した処理水を、隔離部3の下側の空間である下部空間202から送出する。
[0074]
 このように、濾過装置1では、筒部2の上部にて外部へと開放された上部開口23から原水を流入させ、当該原水を筒部2内の繊維部4にて濾過することにより、簡素な構造で原水の濾過を実現することができる。
[0075]
 繊維部4は、上部空間201において下端部を隔離部3または筒部2に固定された状態で上下方向に延びる繊維濾材である。このため、繊維部4を洗浄する際等に、繊維部4が筒部2から外部に流出することを容易に防止することができる。したがって、様々な条件の設置場所に濾過装置1を設置することができる。さらに、繊維部4が長繊維束であることにより、上述の実施例1~8に示すように、原水の濾過を好適に行うことができる。
[0076]
 濾過装置1では、筒部2は、上部開口23が外部の原水面よりも下方に位置した状態で、原水中に配置される。これにより、原水面と上部開口23との間の水頭差により、筒部2の内部空間20に原水が自然に流入する。したがって、筒部2への原水の供給を簡素化することができる。また、上述のように、原水は海水である。したがって、海水の濾過を、簡素な構造の濾過装置1によって実現することができる。濾過装置1は、上述のように、様々な条件の設置場所に設置可能であるため、海象条件が厳しい場所であっても海水の濾過を行うことができる。
[0077]
 ところで、海水中に存在する付着性の海生生物は、例えば、エゾカサネカンザシゴカイ、カサネカンザシゴカイ、ホソトゲカンザシゴカイ、ヤグルマカンザシゴカイ、ナデシコカンザシゴカイ、ヤッコカンザシゴカイ等の多毛類、あるいは、ムラサキイガイ、ミドリイガイ等のイガイ類である。これらの海生生物の卵径は40~70μmであり、海中を浮遊する幼生の大きさは、60~300μmである。
[0078]
 一方、上述の実施例のうちSS除去率を測定した実施例1,3,6~8では、長繊維束要素941の数、形状、大きさに関わらず、処理水におけるSS除去率(すなわち、原水から処理水を生成する際における粒子径1μm~2mmの懸濁物質の除去率)は94%以上である。また、懸濁物質の除去率は、懸濁物質の粒子径が大きくなるに従って増大する。例えば、SS除去率を測定した上記実施例における粒子径10μm以上の懸濁物質の除去率は、約100%である。したがって、実験装置91と略同様の構造を有する濾過装置1では、海水中に含まれる上述の付着性の海生生物が、繊維部4および隔離部3よりも下側の下部空間202へと侵入することをほぼ防止することができる。その結果、送出部5等に海生生物が付着して取水障害が生じることを防止することができる。また、送出部5等のメンテナンス頻度を低減することができ、濾過装置1のメンテナンスを容易とすることができる。さらに、濾過装置1により得られた処理水が淡水化装置等に供給される場合、逆浸透膜(すなわち、RO膜)等のバイオファウリングを防止または抑制することができる。濾過装置1では、海水中に含まれる上述の海生生物が下部空間202へと侵入することをほぼ防止するという観点からは、SS除去率が90%以上であることが好ましい。
[0079]
 濾過装置1では、上述のように、処理水への海生生物の侵入を防止することができるため、直接取水の場合に必要な次亜塩素酸ソーダ等の殺菌剤の添加装置が不要となる。その結果、濾過装置1のイニシャルコストおよびランニングコストを低減することができる。さらに、殺菌剤の使用による海洋環境の汚染を防止することもできる。
[0080]
 濾過装置1では、伸張状態の繊維部4の上端が、上部開口23と上下方向において同じ位置に位置する。これにより、濾過装置1の洗浄処理時または運転停止時等において、筒部2の上部開口23と隔離部3との間にて、伸張状態の繊維部4が筒部2の内側面と略全面に亘って接触する。そして、伸張状態の繊維部4が揺動することにより、筒部2の内側面が拭われる。その結果、筒部2の内側面に付着性の海生生物が付着することを防止または抑制することができる。また、伸張状態の繊維部4の上端が、上部開口23から筒部2の外部に露出して損傷することを防止することができる。
[0081]
 なお、濾過装置1では、必ずしも伸張状態の繊維部4の上端が、上部開口23と上下方向において同じ位置に位置する必要はない。ただし、隔離部3と伸張状態の繊維部4の上端との間の上下方向の距離は、隔離部3と上部開口23との間の上下方向の距離の80%以上かつ120%以下であることが好ましい。隔離部3と伸張状態の繊維部4の上端との間の上下方向の距離が、隔離部3と上部開口23との間の上下方向の距離の80%以上であることにより、筒部2の内側面のうち繊維部4よりも上側の領域(すなわち、付着性の海生生物が付着する可能性がある領域)の面積を小さくすることができる。これにより、筒部2の内側面に付着性の海生生物が付着することを防止または抑制することができる。その結果、筒部2の内側面にて成長した海生生物が当該内側面から剥離して繊維部4上へと落下する可能性を低減することができる。
[0082]
 また、隔離部3と伸張状態の繊維部4の上端との間の上下方向の距離が、隔離部3と上部開口23との間の上下方向の距離の120%以下であることにより、伸張状態の繊維部4の上端が、上部開口23から筒部2の外部に露出することを防止または抑制することができる。さらには、仮に、伸張状態の繊維部4の上端が上部開口23から筒部2の外部に露出した場合であっても、繊維部4のうち筒部2から露出した部位が、径方向に扇状(キノコ状とも捉えられる。)に大きく拡がることを抑制することができる。その結果、繊維部4のうち筒部2から露出した部位が、上部開口23の縁に引っかかる等して損傷することを防止または抑制することができる。また、繊維部4のうち筒部2から露出した部位が、上部開口23の縁に引っかかりにくいため、濾過開始時において繊維部4が筒部2内に戻りやすく、隔離部3上にて均等に圧縮される。
[0083]
 上述のように、筒部2は円筒状である。このため、筒部2を上述のように原水中に設置する場合、原水の流れに対する筒部2の抵抗を小さくすることができる。その結果、筒部2の設置および固定を容易とすることができる。また、筒部2が設置される環境への影響を低減することもできる。
[0084]
 上述のように、繊維部4は、複数の繊維濾材要素(すなわち、複数の長繊維束要素41)を含む。複数の長繊維束要素41は、筒部2の上下方向を向く中心軸J1を中心として同心円状(すなわち、点対称)に配置される。これにより、隣接する長繊維束要素41間の各距離、および、最外周に配置される各長繊維束要素41と筒部2の側壁部21との間の距離を略均一とすることができる。その結果、繊維部4を洗浄する際に、排気管71から供給されたガスの気泡を繊維部4全体に略均等に分散させることができ、繊維部4の洗浄を好適に行うことができる。また、濾過時に繊維部4を隔離部3上に圧縮する際に、隔離部3の上面全体に亘って、複数の長繊維束要素41を均等に圧縮することができる。なお、筒部2は円筒状には限定されず、様々な形状とされてよい。筒部2が円筒状でない場合であっても、複数の長繊維束要素41が中心軸J1を中心として点対称に配置されることにより、上記と同様に、隔離部3の上面全体に亘って、複数の長繊維束要素41を均等に圧縮することができる。
[0085]
 濾過装置1では、送出部5が、下部空間202から処理水を吸引するポンプ56を備える。これにより、取水流量(すなわち、濾過速度)を増大することができる。濾過装置1では、上述のように、LV1000m/日の取水流量を実現することができる。したがって、従来の海底砂濾過層を介した間接取水法等に比べて、取水に係る設備を小型化することができる。例えば、当該設備のうち、海底に設置する設備の面積を、従来に比べて約1/10にするができる。その結果、取水設備の設置コストを低減することができる。
[0086]
 上述のように、濾過装置1は、下部空間202から送出された処理水を貯溜する処理水貯溜部6をさらに備える。送出部5は、第1配管51と、第2配管52と、第3配管53と、第4配管54と、第1切替部51aと、第2切替部52aとをさらに備える。第1配管51は、筒部2の下部空間202とポンプ56とを接続する。第2配管52は、ポンプ56と処理水貯溜部6とを接続する。第1切替部51aは、第1配管51上に設けられる。第3配管53は、第1切替部51aと処理水貯溜部6とを接続する。第2切替部52aは、第2配管52上に設けられる。第4配管54は、第2切替部52aと筒部2の下部空間202とを接続する。
[0087]
 濾過装置1では、原水の濾過時には、ポンプ56が駆動されることにより、下部空間202の処理水が、第1配管51および第2配管52を介して処理水貯溜部6へと供給される。また、隔離部3の下側から上側へと処理水を供給して繊維部4を洗浄する際には、第1切替部51aおよび第2切替部52aが切り替えられてポンプ56が駆動されることにより、処理水貯溜部6の処理水が、第3配管53、第1切替部51a、第1配管51、第2配管52、第2切替部52aおよび第4配管54を介して下部空間202へと供給される。このように、濾過装置1では、原水を濾過して取水する取水処理の際と、繊維部4を洗浄する洗浄処理の際とにおいて、処理水の移送にポンプ56を共用することができる。その結果、濾過装置1の構造を簡素化することができる。
[0088]
 上述のように、濾過装置1は、給気部7をさらに備える。給気部7は、複数の給気口72から下部空間202へとガスを送出し、隔離部3の下側から繊維部4にガスを供給して繊維部4を洗浄する。このように、繊維部4の洗浄を気液混相流によって行うことにより、繊維部4の洗浄効率を向上することができる。また、繊維部4が複数の繊維濾材要素(すなわち、複数の長繊維束要素41)を含み、複数の給気口72は、伸張状態の繊維部4における複数の長繊維束要素41の鉛直下方にそれぞれ位置する。このように、各長繊維束要素41に対応する給気口72が各長繊維束要素41の直下に設けられることにより、複数の長繊維束要素41をそれぞれ好適に洗浄することができる。また、長繊維束要素41において長繊維が密であるため比較的洗浄しにくい下端部近傍に容易に気泡を供給することができるため、当該下端部も好適に洗浄することができる。
[0089]
 濾過装置1では、長繊維束要素41の下端と、当該長繊維束要素41の鉛直下方に位置する給気口72との間の上下方向の距離は、好ましくは100~500mmである。これにより、複数の給気口72から送出されたガスの気泡が、複数の長繊維束要素41の下端に到達するまでに内部空間20内において略均等に分散する。その結果、繊維部4の洗浄効率を向上することができる。また、上述の上下方向の距離は、より好ましくは200~300mmである。これにより、ガスの気泡がより均等に分散し、その結果、繊維部4の洗浄効率をさらに向上することができる。
[0090]
 給気部7では、複数の給気口72は、散気管71の下端部に配置される。これにより、ガスの供給を停止している状態において、給気口72から水が散気管71の内部に浸入することを抑制することができる。その結果、給気部7からガスの供給を再開する際に、複数の給気口72から略均等にガスを供給することができる。
[0091]
 濾過装置1では、給気部7から下部空間202へのガスの供給流量をLV2m/分以上とすることにより、繊維部4を好適に洗浄することができる。また、当該ガスの供給流量をLV6m/分以上とすることにより、繊維部4をさらに好適に洗浄することができる。当該ガスの供給流量の上限は特に制限されないが、ガスの過剰な使用を抑制するという観点からLV20m/分以下であることが好ましい。
[0092]
 濾過装置1では、伸張状態の複数の長繊維束要素41の下端部が、隔離部3から上方に離間する。これにより、繊維部4の洗浄処理の際に、長繊維束要素41が水流の力を受けて大きく揺動する。その結果、長繊維束要素41から懸濁物質が除去されやすくなり、繊維部4の洗浄効率を向上することができる。
[0093]
 ステップS13の洗浄処理では、気液混相流による繊維部4の洗浄が終了すると、ガスの供給が停止され、その後に処理水の供給が停止される。これにより、洗浄処理中に長繊維束要素41に付着したガスの気泡が、長繊維束要素41から除去されて筒部2の外部へと排出される。その結果、次の濾過が行われる際に、繊維部4に気泡が残留していないため、繊維部4を略均等に圧縮することができる。したがって、原水の濾過を好適に行うことができる。濾過装置1では、圧縮完了時における繊維部4の初期損失水頭は、取水流量がLV1000m/日の場合、約0.6m以上であることが好ましい。これにより、原水の濾過をさらに好適に行うことができる。
[0094]
 濾過装置1では、図13の縦断面図に示すように、筒部2の上部開口23を覆う蓋部24が設けられてもよい。蓋部24は液体が通過可能な部材である。これにより、水中の比較的大きな異物(例えば、流木や魚類)が、上部開口23から筒部2の内部空間20に侵入することを防止または抑制することができる。その結果、当該異物による繊維部4の損傷を防止または抑制することができる。蓋部24は、例えば、想定される異物よりも小さい貫通孔が多数設けられた板状部材であってもよく、樹脂や金属等により形成された網状部材であってもよい。
[0095]
 上述の濾過装置1では、様々な変更が可能である。
[0096]
 例えば、長繊維束要素41を構成する長繊維の繊維径およびフィラメント数は、上述の2200dtexおよび432本には限定されず、適宜変更されてよい。なお、実験装置91では、上述の長繊維、繊維径およびフィラメント数が2200dtexおよび192本である長繊維、および、繊維径およびフィラメント数が1100dtexおよび288本である長繊維の配合割合を変更した5種類の長繊維束要素41について取水処理を行ったが、繊維径およびフィラメント数が2200dtexおよび432本である上述の長繊維のみで構成される長繊維束要素41の濾過性能(すなわち、濁度除去率およびSS除去率)が最も高かった。
[0097]
 長繊維束要素41を構成する長繊維の材料は、ポリエステルには限定されず、様々に変更されてよい。また、当該長繊維の捲縮数は、上述の範囲には限定されず、適宜変更されてよい。さらに、当該長繊維は、必ずしもマルチフィラメントである必要はなく、モノフィラメントであってもよい。
[0098]
 長繊維束要素41の長さ、重さ、形状等は、上述の例には限定されず、適宜変更されてよい。例えば、繊維部4に含まれる複数の長繊維束要素41において、実施例7のように、隣接する2つの長繊維束要素41の長さを異ならせてもよい。また、繊維部4に含まれる長繊維束要素41の配置および数も適宜変更されてよい。例えば、複数の長繊維束要素41の配置は、同心円状には限定されず、実施例2または実施例3のように、格子配置または最密充填配置であってもよい。繊維部4は、1つの長繊維束要素41のみを含んでいてもよい。
[0099]
 筒部2の上部開口23は、必ずしも筒部2の上端縁により囲まれた領域である必要はない。例えば、図14に示すように、筒部2の上端が閉塞されており、上部開口23が筒部2の上部側面(すなわち、側壁部21の上部)に位置していてもよい。この場合、繊維部4の洗浄処理の際に上部開口23から排出された懸濁物質が、上部開口23から径方向外方へと向かう水流により、筒部2から遠くに離れる。その結果、筒部2から排出された懸濁物質が、筒部2の周囲に滞留することを抑制することができる。
[0100]
 上部開口23が筒部2の上部側面に位置する場合、蓋部が設けられる際には、当該蓋部は上部開口23を覆って筒部2の側壁部21に取り付けられる。また、伸張状態の繊維部4の上端(すなわち、各長繊維束要素41の上端)は、上部開口23の下端と上下方向において略同じ位置に位置することが好ましい。
[0101]
 筒部2は、必ずしも円筒状には限定されず、例えば矩形筒状(すなわち、直方体状)であってもよい。濾過装置1では、複数の長繊維束要素41が、筒部2の内側面に沿って略等間隔にて配置されることが好ましいため、筒部2が矩形筒状である場合、複数の長繊維束要素41は格子状に配置されることが好ましい。筒部2は、多角筒状であってもよい。また、筒部2は、末広がり型または上広がり型の円錐台状であってもよく、末広がり型または上広がり型の多角錐台状であってもよい。
[0102]
 給気部7の複数の給気口72の位置は、必ずしも複数の長繊維束要素41の鉛直下方である必要はなく、適宜変更されてよい。複数の給気口72は、下部空間202において平面視にて略均等に分散配置されていることが好ましい。これにより、複数の給気口72から送出されたガスの気泡が略均等に分散するため、繊維部4の洗浄効率を向上することができる。
[0103]
 ステップS13の繊維部4の洗浄処理では、気液混相流による繊維部4の洗浄が終了した後、ガスの供給および処理水の供給が同時に停止されてもよい。繊維部4の洗浄処理では、下部空間202へのガス供給が省略され、下部空間202から上部空間201への処理水の流れのみによって、繊維部4の洗浄が行われてもよい。
[0104]
 処理水貯溜部6が海面よりも上方に配置され、かつ、処理水貯溜部6と海面との間の水頭差が大きい場合、繊維部4の洗浄処理における下部空間202への処理水の供給は、ポンプ56を利用することなく水頭差のみにより行われてもよい。繊維部4の洗浄処理において下部空間202に供給される液体は、処理水貯溜部6からの処理水には限定されず、例えば、他の貯溜部に貯溜される洗浄専用水が下部空間202に供給されてもよい。
[0105]
 一方、図15に示すように、濾過装置1aの処理水貯溜部として取水井6aが設けられる場合、海面よりも下方に位置する取水井6aの水面と、海面との水頭差が大きい場合、取水処理における筒部2の下部空間202から取水井6aへの処理水の供給は、ポンプを利用することなく水頭差のみにより行われてもよい。
[0106]
 繊維部4は、上述の長繊維束には限定されず、他の様々な繊維濾材であってもよい。例えば、繊維濾材は短繊維により形成されてもよい。また、例えば、図16に示す濾過装置1bのように、芯糸に長繊維等が巻き付けられたモール状の繊維濾材が、繊維部4bとして利用されてもよい。図16では、図3と同様に、濾過装置1bにおいて原水の濾過が行われていない非濾過時の状態を示す。繊維部4bは、繊維部4と同様に、筒部2の上部空間201に収容される。繊維部4bは、濾過時に隔離部3上に圧縮されて、上部開口23から筒部2の内部空間20に流入した原水中の懸濁物質を捕捉する。濾過装置1bでも、上述の濾過装置1と同様に、簡素な構造で原水の濾過を実現することができる。
[0107]
 繊維部4bは、上部空間201において下端部を隔離部3または筒部2に固定された状態で上下方向に延びる繊維濾材である。このため、繊維部4bを洗浄する際等に、繊維部4bが筒部2から外部に流出することを容易に防止することができる。したがって、様々な条件の設置場所に濾過装置1bを設置することができる。
[0108]
 濾過装置1bでは、伸張状態の繊維部4bの上端が、上部開口23と上下方向において同じ位置に位置する。これにより、上記と同様に、筒部2の内側面に付着性の海生生物が付着することを防止または抑制することができる。また、伸張状態の繊維部4bの上端が、上部開口23から筒部2の外部に露出して損傷することを防止することができる。隔離部3と伸張状態の繊維部4bの上端との間の上下方向の距離は、隔離部3と上部開口23との間の上下方向の距離の80%以上かつ120%以下であることが好ましい。これにより、筒部2の内側面に付着性の海生生物が付着することを防止または抑制することができる。また、伸張状態の繊維部4bの上端が、上部開口23から筒部2の外部に露出して損傷することを防止または抑制することができる。
[0109]
 濾過装置1bでは、繊維部4bは、複数の繊維濾材要素である複数のモール繊維要素41bを含む。モール繊維要素41bは、1本のモール状の繊維濾材でもよく、複数のモール状の繊維濾材が束ねられた繊維束でもよい。複数のモール繊維要素41bは、筒部2の上下方向を向く中心軸J1を中心として同心円状(すなわち、点対称)に配置される。これにより、繊維部4bを隔離部3上に圧縮する際に、隔離部3の上面全体に亘って、複数のモール繊維要素41bを均等に圧縮することができる。
[0110]
 濾過装置1bでは、給気部7の複数の給気口72が、伸張状態の繊維部4bにおける複数のモール繊維要素41bの鉛直下方にそれぞれ位置する。これにより、複数のモール繊維要素41bをそれぞれ好適に洗浄することができる。
[0111]
 図17に例示する濾過装置1cでは、複数の球状の繊維塊41cを繊維濾材要素として含む繊維部4cが、筒部2の上部空間201に収容される。図17では、図3と同様に、濾過装置1cにおいて原水の濾過が行われていない非濾過時の状態を示す。繊維塊41cの直径は、非圧縮時(すなわち、非濾過時)において、例えば約10~50mmである。濾過装置1cでは、例えば図13と同様の蓋部24により、筒部2の上部開口23が覆われる。蓋部24は、液体が通過可能な部材である。各繊維塊41cは、隔離部3および筒部2には固定されておらず、また、他の繊維塊41cとも接続されていない。
[0112]
 繊維部4cの多数の繊維塊41cは、濾過時に隔離部3上に圧縮されて、上部開口23から蓋部24を介して内部空間20に流入した原水中の懸濁物質を捕捉する。濾過装置1cでも、上述の濾過装置1と同様に、簡素な構造で原水の濾過を実現することができる。蓋部24に設けられている複数の開口は、各繊維塊41cよりも小さい。このため、繊維部4cを洗浄する際等に、上部空間201において個別に流動する複数の繊維塊41c(すなわち、繊維部4c)が、筒部2から外部に流出することを容易に防止することができる。したがって、様々な条件の設置場所に濾過装置1cを設置することができる。繊維塊41cは、球状には限定されず、例えば、略円柱状または略角柱状であってもよい。
[0113]
 筒部2は、必ずしも海中に設置される必要はなく、様々な原水中に設置されてよい。換言すれば、濾過装置1により濾過される原水は、海水以外の様々な水であってよい。また、筒部2は、上下方向に延びる筒状であり、かつ、外部へと開放された上部開口23を有するものであれば、必ずしも水中に設置される構造物である必要はない。
[0114]
 例えば、図18に示す濾過装置1dでは、陸上に設置された貯水池2dが筒部として利用される。貯水池2dには、外部へと開放された上部開口23d(すなわち、貯水池2dの上端縁により囲まれる領域)から原水(例えば、河川水や雨水)が流入する。貯水池2dでは、繊維部4を通過した処理水が、隔離部3の下方の下部空間202から送出され、貯水池2dよりも下方に配置される処理水貯溜部6に水頭差により供給される。濾過装置1dにおいても、図1に示す濾過装置1と同様に、簡素な構造で原水の濾過を実現することができる。
[0115]
 上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
[0116]
 発明を詳細に描写して説明したが、既述の説明は例示的であって限定的なものではない。したがって、本発明の範囲を逸脱しない限り、多数の変形や態様が可能であるといえる。

符号の説明

[0117]
 1,1a~1d  濾過装置
 2  筒部
 2d  貯水池
 3  隔離部
 4,4b,4c  繊維部
 5  送出部
 6  処理水貯溜部
 6a  取水井
 7  給気部
 20  内部空間
 23,23d  上部開口
 24  蓋部
 41  長繊維束要素
 41b  モール繊維要素
 51  第1配管
 51a  第1切替部
 52  第2配管
 52a  第2切替部
 53  第3配管
 54  第4配管
 56  ポンプ
 72  給気口
 201  上部空間
 202  下部空間
 J1  中心軸

請求の範囲

[請求項1]
 原水を濾過して処理水を生成する濾過装置であって、
 上下方向に延びる筒状であり、外部へと開放された上部開口を有する筒部と、
 前記筒部の内部空間を上下に分割するとともに液体が通過可能な隔離部と、
 前記隔離部の上側の空間である上部空間に収容される繊維濾材であり、濾過時に前記隔離部上に圧縮されて前記上部開口から前記内部空間に流入した原水中の懸濁物質を捕捉する繊維部と、
 濾過時に前記繊維部を通過した処理水を前記隔離部の下側の空間である下部空間から送出する送出部と、
を備える。
[請求項2]
 請求項1に記載の濾過装置であって、
 前記上部開口が外部の原水面よりも下方に位置した状態で、前記筒部が原水中に配置される。
[請求項3]
 請求項1または2に記載の濾過装置であって、
 前記送出部が、前記下部空間から処理水を吸引するポンプを備える。
[請求項4]
 請求項3に記載の濾過装置であって、
 前記下部空間から送出された処理水を貯溜する処理水貯溜部をさらに備え、
 前記送出部が、
 前記筒部の前記下部空間と前記ポンプとを接続する第1配管と、
 前記ポンプと前記処理水貯溜部とを接続する第2配管と、
 前記第1配管上に設けられる第1切替部と、
 前記第1切替部と前記処理水貯溜部とを接続する第3配管と、
 前記第2配管上に設けられる第2切替部と、
 前記第2切替部と前記筒部の前記下部空間とを接続する第4配管と、
をさらに備え、
 原水の濾過時には、前記ポンプが駆動されることにより、前記下部空間の処理水が、前記第1配管および前記第2配管を介して前記処理水貯溜部へと供給され、
 前記隔離部の下側から上側へと処理水を供給して前記繊維部を洗浄する際には、前記第1切替部および前記第2切替部が切り替えられて前記ポンプが駆動されることにより、前記処理水貯溜部の処理水が、前記第3配管、前記第1切替部、前記第1配管、前記第2配管、前記第2切替部および前記第4配管を介して前記下部空間へと供給される。
[請求項5]
 請求項1ないし4のいずれか1つに記載の濾過装置であって、
 前記上部開口を覆うとともに液体が通過可能な蓋部が設けられる。
[請求項6]
 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の濾過装置であって、
 前記繊維部が、前記上部空間において下端部を前記隔離部または前記筒部に固定された状態で上下方向に延びる繊維濾材である。
[請求項7]
 請求項6に記載の濾過装置であって、
 前記隔離部と伸張状態の前記繊維部の上端との間の上下方向の距離が、前記隔離部と前記上部開口との間の上下方向の距離の80%以上かつ120%以下である。
[請求項8]
 請求項6または7に記載の濾過装置であって、
 前記繊維部が、複数の繊維濾材要素を含み、
 前記複数の繊維濾材要素が、前記筒部の上下方向を向く中心軸を中心として点対称に配置される。
[請求項9]
 請求項6ないし8のいずれか1つに記載の濾過装置であって、
 複数の給気口から前記下部空間へとガスを送出し、前記隔離部の下側から前記繊維部にガスを供給して前記繊維部を洗浄する給気部をさらに備え、
 前記繊維部が、複数の繊維濾材要素を含み、
 前記複数の給気口が、伸張状態の前記繊維部における前記複数の繊維濾材要素の鉛直下方にそれぞれ位置する。

図面

[ 図 1]

[ 図 2]

[ 図 3]

[ 図 4]

[ 図 5]

[ 図 6]

[ 図 7]

[ 図 8]

[ 図 9]

[ 図 10]

[ 図 11]

[ 図 12A]

[ 図 12B]

[ 図 13]

[ 図 14]

[ 図 15]

[ 図 16]

[ 図 17]

[ 図 18]